JP6908097B2 - パルプシートの製造方法及びパルプスラリー用脱水向上剤 - Google Patents
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Description
そこで、パルプシートは、通常、ワイヤパート、プレスパート、ドライヤパートを通過させて脱水されるが、パルプシートは再離解して使用され、ほぐれ易さが要求されるため、製紙機械のように大きな圧力をかけて脱水することは通常行われない。すなわち、プレスパートでは、緩やかに脱水が行われ、その後のドライヤパート(乾燥工程)で水分を蒸発させる必要があり、そのための熱量が必要となる。具体的には、重油などの燃料が多量に必要となる。
しかしながら、パルプ原料として販売されるパルプシートを製造するマシンでは、パルプの荷電状態を変える有機ポリマー、および、スケールとなるコロイダルシリカなどの添加はパルプ品質に影響するため好まれない。
なお、本願明細書では、ドライヤパートを通過する前をシート状パルプと称し、ドライヤパートを通過させて、乾燥した後をパルプシートと称する。
(1)パルプスラリーを、ワイヤパート、プレスパート及びドライヤパートを通過させて脱水し、パルプシートを製造する方法であって、該パルプスラリーがエーテル型の非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とするパルプシートの製造方法。
(2)上記非イオン性界面活性剤が、構造単位中にポリオキシプロピレン鎖及びポリオキシブチレン鎖の少なくともいずれかを有する重合体である上記(1)に記載のパルプシートの製造方法。
(3)上記非イオン性界面活性剤が、構造単位中に、ポリオキシエチレン鎖及びポリオキシプロピレン鎖を有する共重合体である上記(1)又は(2)に記載のパルプシートの製造方法。
(4)上記共重合体中のポリオキシプロピレン鎖の含有量が85質量%以上である上記(3)に記載のパルプシートの製造方法。
(5)上記共重合体が下記式(I)又は(II)で表されるブロック共重合体である上記(3)又は(4)に記載のパルプシートの製造方法。
R1O−(C2H4O)a−(C3H6O)b−(C2H4O)c−R2・・・(I)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、a+cは1〜10であり、bは5〜40である。)
R3O−(C3H6O)d−(C2H4O)e−(C3H6O)f−R4・・・(II)
(式中、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、eは1〜10であり、d+fは5〜40である。)
(6)上記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシプロピレンの単独重合体である上記(1)又は(2)に記載のパルプシートの製造方法。
(7)上記ポリオキシプロピレンの単独重合体が、下記式(III)で示される重合体である上記(6)に記載のパルプシートの製造方法。
R5O−(C3H6O)g−R6・・・(III)
(式中、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、gは5〜20である。)
(8)エーテル型の非イオン性界面活性剤を含むパルプスラリー用脱水向上剤であって、該エーテル型の非イオン性界面活性剤が、ポリオキシプロピレンの単独重合体又は構造単位中にポリオキシエチレン鎖及びポリオキシプロピレン鎖を有する共重合体であって、該共重合体のポリオキシプロピレン鎖の含有量が85質量%以上であるパルプスラリー用脱水向上剤。
(9)上記共重合体が下記式(I)又は(II)で表されるブロック共重合体、若しくは、上記単独重合体が下記式(III)で表される単独重合体である上記(8)に記載のパルプスラリー用脱水向上剤。
R1O−(C2H4O)a−(C3H6O)b−(C2H4O)c−R2・・・(I)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、a+cは1〜10であり、bは5〜40である。)
R3O−(C3H6O)d−(C2H4O)e−(C3H6O)f−R4・・・(II)
(式中、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、eは1〜10であり、d+fは5〜40である。)
R5O−(C3H6O)g−R6・・・(III)
(式中、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、gは5〜20である。)
本発明で用いるエーテル型の非イオン性界面活性剤は、高級アルコールやアルキルフェノールなど水酸基を持つ原料に、酸化エチレン等を付加させて得られるものであり、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどが挙げられる。また、疎水基としてポリプロピレングリコールを用いたポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなども、当該エーテル型の非イオン性界面活性剤の範疇に入る。
POEO共重合体としては、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいが、パルプへの定着の点から、ブロック共重合体が好ましい。POEO共重合体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
R1O−(C2H4O)a−(C3H6O)b−(C2H4O)c−R2 ・・・(I)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、a+cは1〜10であり、bは5〜40である。)
R3O−(C3H6O)d−(C2H4O)e−(C3H6O)f−R4 ・・・(II)
(式中、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、eは1〜10であり、d+fは5〜40である。)
R5O−(C3H6O)g−R6 ・・・(III)
(式中、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、gは5〜20である。)
また、平均分子量としては、数平均分子量で300〜3000の範囲であることが好ましく、さらには、400〜2500の範囲であることが好ましい。なお、数平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography;ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
HO−(C3H6O)d−(C2H4O)e−(C3H6O)f−H ・・・(II’)
HO−(C3H6O)g−H ・・・(III’)
上記式(I’)中、a+cは1〜10であり、bは5〜40である。また、上記式(II’)中、eは1〜10であり、d+fは5〜40である。上記式(III’)中、gは1〜40、好ましくは5〜20である。
また、上記式(II’)で表される構造を有するPOEOブロック共重合体は、例えば、両末端にヒドロキシル基を有するエチレンオキシドに、プロピレンオキシドを付加反応させることにより得ることができる。
上記式(III’)で表される構造を有するプロピレンオキシド重合体は、例えば、プロピレンオキシドをアニオン開環重合させることにより得ることができる。
パルプシートの製造方法について、以下、図1を用いて説明する。図1はパルプスラリーからパルプシートを製造する方法を示す模式図である。当該工程は、パルプスラリーを製造しておいて、該パルプスラリーからパルプシートを製造するものである。すなわち、原質調製工程(パルプスラリーの製造工程)10とパルプシート製造工程20を含むものである。
まず、原質調製工程10において、パルプ受け入れタンク14内で、パルプと水とが導入されてパルプスラリーが調製される。なお、水はピット11から供給されるが、ピット11には、後述するパルプシートの製造工程20で回収される濾液を還流して再利用してもよい(図示せず)。
次いで、パルプシート製造工程20において、該パルプスラリーは、シートマシン21でシート状にされ(シート状パルプ30)、その後、ワイヤパート22、プレスパート23、及びドライヤパート24で脱水され、パルプシートが形成される。
パルプスラリーは、パルプを水に懸濁させて得られる液状物であり、不溶性懸濁物の濃度は、通常、0.2〜2.0質量%程度であり、好ましくは0.5〜1.5質量%、より好ましくは0.7〜1.3質量%である。
前記界面活性剤は、当該パルプスラリーや後述するシートマシン21、パルプスラリーを貯留するチェスト15等に添加することができるが、パルプ受け入れタンク14にて、パルプスラリーに添加することが、製造が容易であるとの観点から好ましい。
界面活性剤の添加量は、パルプスラリーに含まれる不溶性懸濁物に対して、0.001〜0.1質量%であることが好ましく、0.005〜0.05質量%であることがさらに好ましく、0.01〜0.02質量%であることが特に好ましい。
なお、パルプスラリーには、本発明の効果を阻害しない範囲で、パルプシートの製造に通常用いられる添加剤を添加することができ、例えば、pH調整剤、防腐剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、上述の界面活性剤以外の界面活性剤などが挙げられる。これらの添加剤は、通常、第1添加装置60又は第2添加装置70から、それぞれ第1薬注管61及び第2薬注管71にて供給される。
ワイヤパート22は、シートマシン21で形成されたシート状パルプ30を脱水して、プレスパート23に送るための金網状のワイヤコンベアを備える。シート状パルプ30はワイヤコンベア上で重力による脱水または真空脱水される。
プレスパート23はフェルトコンベアで構成され、シート状パルプ30を互いに対向するロールの間に挟んでプレス脱水する。このプレス脱水過程で、通常の抄紙であれば、高い圧力によって、ドライヤパート前に極力脱水することが好ましいが、本発明においては、上述のように、再離解して使用され、ほぐれ易さが要求されることから、高い圧力をかけて脱水することは好ましくない。したがって、通常の抄紙であれば、プレスパート出口での含水率を55〜45%となるように圧力をかけるが、本発明においては、プレスパート出口での含水率が60%程度となるような圧力でプレスする。
ドライヤパート24では、シート状パルプの加熱乾燥が行われる。加熱方法としては、特に制限はなく、熱風式エアドライヤ、IRドライヤ、シリンダードライヤ等を使用することができる。本発明においては、最終的なパルプシートの水分含有量が、10〜25%であることが好ましく、15〜20%であることがさらに好ましい。
含水率の測定方法としては、乾燥機による方法、赤外線による加熱乾燥の方法、近赤外線による方法などが挙げられる。
乾燥機による方法は、パルプの絶乾率を試験するJIS P 8202に準じて行われ、試料を採取して、105℃の恒温加熱乾燥器内で一晩放置して乾固させ、その後、デシケーター中で室温に戻して、乾燥前後の試料の重量差から水分量を求めることにより測定される。
赤外線による加熱乾燥の方法は、含水率を迅速に測定することができる。例えば、試料を栗田工業株式会社製「クリガンスイ」(商品名)に入れ、赤外線を照射して水分の蒸発による質量変化から含水率を測定する。
近赤外線による方法は、例えば、株式会社ケット科学研究所製の近赤外水分計「KJT−130」(商品名)などを使い行われる。近赤外線とは、可視光線より波長の長く、赤色の外側にある見えない光であり、水分に対しよく吸収するため、近赤外線を含む光を照射してその反射率を測定することで含水率を測定する。
長い針葉樹パルプ(NBKP)のスラリーを使用し、下記式(A)で示される界面活性剤を、パルプスラリーに含まれる不溶性懸濁物に対して、0.02質量%配合し、動的遮水性試験機「DDA(ダイナミック・ドレネージ・アナライザー)」(Ab Akribi Kemikonsulter社製)を用いて、シート状パルプを得た。なお、当該界面活性剤のポリオキシプロピレン鎖の含有比率(PO/(PO+EO)、質量比)は、0.90である。
HO−(C2H4O)a−(C3H6O)b−(C2H4O)c−H ・・・(A)
(a+c及びbが、それぞれ5、及び35である。)
実施例1において、界面活性剤として、下記式(B)で示される界面活性剤を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート状パルプを得、該シート状パルプの含水率を測定した。結果を第1表に示す。
HO−(C3H6O)g−H ・・・(B)
(gは7である。)
実施例1において、界面活性剤として、下記式(C)で示される界面活性剤を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート状パルプを得、該シート状パルプの含水率を測定した。結果を第1表に示す。なお、当該界面活性剤のポリオキシプロピレン鎖の含有比率(PO/(PO+EO)、質量比)は、0.89である。
HO−(C2H4O)d−(C3H6O)e−(C2H4O)f−H ・・・(C)
(d+f及びeが、それぞれ5及び30である。)
実施例1において、界面活性剤として、下記式(D)で示される界面活性剤を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート状パルプを得、該シート状パルプの含水率を測定した。結果を第1表に示す。なお、当該界面活性剤のポリオキシプロピレン鎖の含有比率(PO/(PO+EO)、質量比)は、0.80である。
HO−(C2H4O)h−(C3H6O)i−(C2H4O)j−H ・・・(D)
(h+j及びiが、それぞれ10、及び30である。)
実施例1において、界面活性剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、シート状パルプを得、該シート状パルプの含水率を測定した。結果を第1表に示す。
実施例1において、カチオン性有機ポリマー(栗田工業株式会社製「ハイホールダー(登録商標)821」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シート状パルプを得、該シート状パルプの含水率を測定した。結果を第1表に示す。
なお、カチオン性有機ポリマーは、パルプ繊維のアニオン部位とポリマーのカチオン基が反応して凝集する。抄紙マシンでは使用されるが、原料として販売するシート状パルプの製造においては、パルプ品質に影響を与えるため使用を避けられている。効果の参考として示す。
11 ピット
14 パルプ受け入れタンク
15 チェスト
20 パルプシート製造工程
21 シートマシン
22 ワイヤパート
23 プレスパート
24 ドライヤパート
30 シート状パルプ
31 第1流路管
32 第2流路管
60 第1添加装置
61 第1薬注管
70 第2添加装置
71 第2薬注管
Claims (4)
- パルプスラリーを、ワイヤパート、プレスパート及びドライヤパートを通過させて脱水し、パルプシートを製造する方法であって、該パルプスラリーがエーテル型の非イオン性界面活性剤を含有し、前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシプロピレンの単独重合体であることを特徴とするパルプシートの製造方法。
- 前記ポリオキシプロピレンの単独重合体が、下記式(III)で示される重合体である請求項1に記載のパルプシートの製造方法。
R5O−(C3H6O)g−R6 ・・・(III)
(式中、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、gは5〜20である。) - エーテル型の非イオン性界面活性剤を含むパルプスラリー用脱水向上剤であって、該エーテル型の非イオン性界面活性剤が、ポリオキシプロピレンの単独重合体であるパルプスラリー用脱水向上剤。
- 前記単独重合体が下記式(III)で表される単独重合体である請求項3に記載のパルプスラリー用脱水向上剤。
R 5 O−(C3H6O)g−R6 ・・・(III)
(式中、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、gは5〜20である。)
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