A.第1実施形態
図1は、第1実施形態としての無線LAN通信装置100を含むネットワークシステム200の概略構成図である。ネットワークシステム200は、無線LAN通信装置100と、3台のクライアント装置CL1、CL2、CL3を備える。
無線LAN通信装置100は、無線LANアクセスポイントであり、有線ケーブルを介してインターネットINTに接続されている。また、無線LAN通信装置100は、有線LANアクセスポイントとしても機能する。
クライアント装置CL1〜CL3は、無線LAN通信装置100を介してインターネットINTに接続される装置である。第1のクライアント装置CL1と第2のクライアント装置CL2は、無線LAN通信装置100に無線接続されている。第3のクライアント装置CL3は、無線LAN通信装置100に有線接続されている。第1のクライアント装置CL1は、通常の使用において使用位置が固定されている装置、例えば、テレビや無線通信を中継する無線LAN中継機である。本実施形態において、第1のクライアント装置CL1は、テレビである。第2のクライアント装置CL2は、通常の使用において使用位置が固定されていない装置、例えば、スマートフォンやタブレット型コンピュータである。本実施形態において、第2のクライアント装置CL2は、タブレット型コンピュータである。第3のクライアント装置CL3は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)である。なお、ネットワークシステム200は、クライアント装置CL1〜CL3以外の他のクライアント装置を備えていてもよい。
図2は、無線LAN通信装置100の内部構成を示すブロック図である。無線LAN通信装置100は、第1の無線通信部11と、第2の無線通信部12と、第3の無線通信部13と、第1のアンテナ部20と、第2のアンテナ部30と、有線通信部40と、ベースバンドプロセッサ50と、記憶部60と、制御部90と、を備える。本実施形態において、無線LAN通信装置100は、5470−5725MHzの周波数帯域と、5150−5250MHzの周波数帯域および5250−5350MHzの周波数帯域と、2401−2483MHzの周波数帯域と、の3つの周波数帯域を用いるトライバンド無線LAN通信装置である。
トライバンド無線LAN通信装置とは、上記3つの周波数帯域を用いて無線通信を実行する無線通信部11〜13を備え、主に上記3つの周波数帯域を用いた無線通信を実行する無線LAN通信装置である。従って、トライバンド無線LAN通信装置には、3つの無線通信部11〜13に加えて、別の周波数帯域を用いた無線通信を実行する通信部や、IEEE802.11とは別の規格に準拠した無線通信を実行する通信部や、有線通信部40等、を備える無線LAN通信装置も含まれる。別の周波数帯域を用いた無線通信とは、例えば、1GHz未満の周波数帯域(916.5−927.5MHz)であるサブギガ帯域や60GHz付近の周波数を中心周波数とした周波数帯域である60GHz帯域を用いた無線通信である。IEEE802.11とは別の規格に準拠した無線通信とは、例えば、Bluetooth(登録商標)やZigbee(登録商標)を用いた無線通信である。
以下では、5470−5725MHzの周波数帯域は、5GHz帯域Highと記載する。また、5150−5250MHzの周波数帯域および5250−5350MHzの周波数帯域は、5GHz帯域Lowと記載する。2401−2483MHzの周波数帯域は、2.4GHz帯域と記載する。5GHz帯域Highと5GHz帯域Lowと2.4GHz帯域には、それぞれ複数のチャネルが属する。具体的には、5GHz帯域Highに属するチャネルは、100ch、104ch、108ch、112ch、116ch、120ch、124ch、128ch、132ch、136ch、および、140chの11チャネルである。5GHz帯域Lowに属するチャネルは、36ch、40ch、44ch、および、48chの4チャネルと、52ch、56ch、60ch、および、64chの4チャネルと、の合計8チャネルである。2.4GHz帯域に属するチャネルは、1ch〜13chの13チャネルである。
第1の無線通信部11は、第1のRF回路rf11、rf12、第1のパワーアンプa11、a12を有する。第1の無線通信部11は、ベースバンドプロセッサ50と、第1のアンテナ部20と、に電気的に接続されている。第1の無線通信部11は、5GHz帯域Highを用いてIEEE802.11a/n/acに準拠した無線通信を実行する。第1のRF回路rf11、rf12は、ベースバンドプロセッサ50から送出されたベースバンド信号を5GHz帯域Highの電気信号である高周波へと変換する、もしくは、第1のアンテナ部20が受信した高周波をベースバンド信号に変換する。第1のパワーアンプa11、a12は、第1の無線通信部11から第1のアンテナ部20に入力される電力を増幅する。具体的には、第1のパワーアンプa11は第1のRF回路rf11から第1のアンテナ部20へと出力される高周波の電力を増幅させ、第1のパワーアンプa12は第1のRF回路rf12から第1のアンテナ部20へと出力される高周波の電力を増幅させる。以下において、第1のRF回路rf11と第1のRF回路rf12との共通の機能および構成を説明する場合には、第1のRF回路rf1と記載する。同様に、第1のパワーアンプa11、a12について、共通の機能および構成を説明する場合には、第1のパワーアンプa1と記載する。第1の無線通信部11が実行する無線通信についての詳細は、後述する。
第1のアンテナ部20は、第1の専用アンテナ211と、第2の専用アンテナ212と、コネクタ端子c11、c12と、を有する。コネクタ端子c11は、第1の専用アンテナ211と第1の無線通信部11を接続する端子部である。コネクタ端子c12は、第2の専用アンテナ212と第1の無線通信部11を接続する端子部である。以下において、第1の専用アンテナ211と第2の専用アンテナ212との共通の機能および構成を説明する場合には、専用アンテナ21と記載する。同様に、コネクタ端子c11、c12の共通の機能および構成を説明する場合には、コネクタ端子c1と記載する。
専用アンテナ21は、後述する第2のアンテナ部30が有する共用アンテナ31と比べて高い、指向性およびアンテナ利得を有する。指向性は、アンテナビームの半値幅によって規定されるアンテナ特性であり、本実施形態において、水平方向における指向性である。専用アンテナ21の有する指向性は、100°以上150°以下の範囲の値であることが好ましい。アンテナ利得は、仮想の等方性アンテナであるアイソトロピックアンテナを基準にした絶対利得によって評価される。第1のアンテナ部20のアンテナ利得は、7dBi以上の値であることが好ましい。アンテナ利得の高いアンテナを用いた場合には、アンテナ利得の低いアンテナ利得を用いた場合と比べて、電波出力が高くなる。アンテナ利得は、例えば、アンテナの大型化や指向性を高めることによって、高くなる。専用アンテナ21のアンテナ利得は、第1のアンテナ部20のアンテナ利得とも記載される。専用アンテナ21の詳細は、後述する。
第2の無線通信部12は、第2のRF回路rf21、rf22、第2のパワーアンプa21、a22を有する。第2の無線通信部12は、ベースバンドプロセッサ50と、第2のアンテナ部30と、に電気的に接続されている。第2の無線通信部12は、5GHz帯域Lowを用いてIEEE802.11a/n/acに準拠した無線通信を実行する。第2のRF回路rf21、rf22は、ベースバンドプロセッサ50から送出されたベースバンド信号を5GHz帯域Lowの電気信号である高周波へと変換する、もしくは、第2のアンテナ部30が受信した高周波をベースバンド信号に変換する。第2のパワーアンプa21、a22は、第2の無線通信部12から第2のアンテナ部30に入力される電力を増幅する。具体的には、第2のパワーアンプa21は第2のRF回路rf21から第2のアンテナ部30へと出力される高周波の電力を増幅させ、第2のパワーアンプa22は第2のRF回路rf22から第2のアンテナ部30へと出力される高周波の電力を増幅させる。以下において、第2のRF回路rf21と第2のRF回路rf22との共通の機能および構成を説明する場合には、第2のRF回路rf2と記載する。同様に、第2のパワーアンプa21、a22の共通の機能および構成を説明する場合には、第2のパワーアンプa2と記載する。第2の無線通信部12が実行する無線通信についての詳細は、後述する。
第3の無線通信部13は、第3のRF回路rf31、rf32、第3のパワーアンプa31、a32を有する。第3の無線通信部13は、ベースバンドプロセッサ50と、第2のアンテナ部30と、に電気的に接続されている。第3の無線通信部13は、2.4GHz帯域を用いてIEEE802.11b/g/nに準拠した無線通信を実行する。第3のRF回路rf31、rf32は、ベースバンドプロセッサ50から送出されたベースバンド信号を2.4GHz帯域の電気信号である高周波へと変換する、もしくは、第2のアンテナ部30が受信した高周波をベースバンド信号に変換する。第3のパワーアンプa31、a32は、第3の無線通信部13から第2のアンテナ部30に入力される電力を増幅する。具体的には、第3のパワーアンプa31は第3のRF回路rf31から第2のアンテナ部30へと出力される高周波の電力を増幅させ、第3のパワーアンプa32は第3のRF回路rf32から第2のアンテナ部30へと出力される高周波の電力を増幅させる。以下において、第3のRF回路rf31と第3のRF回路rf32との共通の機能および構成を説明する場合には、第3のRF回路rf31と第3のRF回路rf32は第3のRF回路rf3と記載する。同様に、第3のパワーアンプa31、a32の共通の機能および構成を説明する場合には、第3のパワーアンプa3と記載する。第3の無線通信部13が実行する無線通信についての詳細は、後述する。
第2のアンテナ部30は、第1の共用アンテナ311と、第2の共用アンテナ312と、コネクタ端子c21、c22と、を有する。コネクタ端子c21は、第1の共用アンテナ311と、第2の無線通信部12および第3の無線通信部13と、を接続する端子部である。コネクタ端子c22は、第2の共用アンテナ312と、第2の無線通信部12および第3の無線通信部13と、を接続する端子部である。コネクタ端子c21、c22と、第2の無線通信部12および第3の無線通信部13と、の間には、それぞれ分波器dl1、dl2が配置されている。分波器dl1、dl2は、周波数帯域ごとに信号を分離し、複数の異なる周波数帯域でアンテナを共用することを可能にする機器である。以下において、第1の共用アンテナ311と共用アンテナ312との共通の機能および構成を説明する場合には、共用アンテナ31と記載する。また、同様に、コネクタ端子c21、c22の共通の機能および構成を説明する場合には、コネクタ端子c2と記載する。また同様に、分波器dl1、dl2の共通の機能および構成を説明する場合には、分波器dlと記載する。
共用アンテナ31は、無指向性であり、かつ、専用アンテナ21と比べて低いアンテナ利得を有する。無指向性とは、指向性の評価基準であるアンテナビームの半値幅が算出できないアンテナ特性を示している。半値幅が算出できないアンテナ特性とは、例えば、アンテナビームにおけるアンテナ利得の最大値が3dBi未満である場合や、アンテナビームにおけるアンテナ利得の最大値と最小値の差が3dBi未満である場合が該当する。共用アンテナ31は、異なる周波数帯域を用いた無線通信に共用できるアンテナであり、例えば、1つのアンテナ端子に対して2つのアンテナ基板を有するアンテナ、いわゆるデュアルバンドアンテナである。共用アンテナ31のアンテナ利得は、第2のアンテナ部30のアンテナ利得とも記載される。共用アンテナ31の詳細は、後述する。
ベースバンドプロセッサ50は、半導体集積回路であり、無線通信を介して送信するデータからベースバンド信号を生成、または、無線通信を介して受信したベースバンド信号からデータを生成する。ベースバンドプロセッサ50によって生成されたデータは、各無線通信部11〜13へと送出される。
記憶部60は、図示しない、不揮発性メモリと揮発性メモリを有する。不揮発性メモリは、無線LAN通信装置100の機能を実行するために必要な制御プログラムを記憶している。揮発性メモリは、無線LAN通信装置100の通信によって取得される情報を一時的に記憶する。
有線通信部40は、有線接続されたクライアント装置CL3(図1)と有線通信を実行する。本実施形態において、無線LAN通信装置100は、有線通信部40を備えるが、無線LAN通信装置100は、有線通信部40を備えていなくてもよい。
制御部90は、図示しないCPUを有する。制御部90は、記憶部60に電気的に接続されている。また、制御部90は、第1の無線通信部11と、第2の無線通信部12と、第3の無線通信部13と、ベースバンドプロセッサ50とを制御する。制御部90は、記憶部60に記憶されている制御プログラムを実行することによって、無線LAN通信装置100を制御する。例えば、制御部90は、通常の使用において使用位置が固定されていないクライアント装置CL2(図1)が各無線通信部11〜13のうちのいずれの無線通信部と接続するかを決定する。具体的には、制御部90は、バンドステアリングによって、クライアント装置CL2の接続先を切り替える。バンドステアリングとは、通信速度に基づいて、無線通信部11〜13のうちクライアント装置CL2との関係で最適な通信が可能な無線通信部をリアルタイムで判断し、接続先を切り替える処理である。本実施形態において、制御部90は、通信速度に基づいて、クライアント装置CL2の接続先を切り替えているが、例えば、電波強度や、リンク速度、使用するクライアント装置の数や電波の干渉状況、に基づいて切り替えてもよい。また、クライアント装置CL2の使用者が、クライアント装置CL2の接続先を切り替えてもよい。
第1の無線通信部11は、MIMO(Multiple Input Multiple Output)方式の無線通信を実行する。また、第1の無線通信部11は、チャネルボンディングを用いた無線通信を実行する。
MIMO方式の無線通信とは、複数の送受信アンテナを用いて信号を空間多重伝送する伝送方式である。MIMO方式の無線通信は、1つのアンテナのみを用いたSISO(Single Input Single Output)方式の無線通信と比べて通信路容量を増加させることが可能である。本実施形態において、第1の無線通信部11によって実行されるMIMO方式の無線通信は、送信と受信にそれぞれ2本のアンテナを使用する2×2MIMO方式である。MIMO方式の無線通信を実行する際には、第1のアンテナ部20が備えた複数の専用アンテナ211、212同士の相関が小さい必要がある。アンテナ同士の相関は、例えば、アンテナ同士間の距離を大きくすると、小さくなる。本実施形態において、2×2MIMO方式が採用されているが、第1のアンテナ部20が3本以上のアンテナを有している場合には、アンテナの数に応じて3×3MIMO方式や4×4MIMO方式を採用してもよい。また、接続されるクライアント装置がMIMO方式に対応していない場合には、SISO方式の無線通信を実行しても良い。本実施形態において、第1の無線通信部11は、MIMO方式の無線通信を実行可能な構成を採用しているが、SISO方式の無線通信のみを実行可能な構成を採用していてもよい。この場合には、第1のアンテナ部20が備えるアンテナは、1つであってもよい。
第1の無線通信部11が用いるチャネルボンディングは、5GHz帯域Highに属するチャネルのうち複数のチャネルをまとめて、無線通信に利用する帯域幅を拡張する技術である。第1の無線通信部11が無線通信に用いる帯域幅は、第3の無線通信部13が無線通信に用いる帯域幅より広い帯域幅であることが好ましい。具体的には、第1の無線通信部11は、20MHzの帯域幅のチャネルを4つまとめることによって、80MHzの帯域幅を用いた無線通信が可能である。広い帯域幅を用いた無線通信は、狭い帯域幅による無線通信と比べて、一度に通信可能な通信容量が増加する。一度に通信可能な通信容量が大きい場合には、小さい場合と比べて、連続的な大容量通信が要求される条件、例えば、4Kテレビによる高画質動画のストリーミング再生や、多数の無線子機が接続される無線中継機との無線通信、における通信の遅延が抑制される。本実施形態において、第1の無線通信部11が実行するチャネルボンディングは、4つのチャネルをまとめることにより帯域幅を広げているが、2の倍数のチャネルであればよい。第1の無線通信部11が実行するチャネルボンディングは、例えば、8つ以上の偶数のチャネルをまとめてもよく、2つのチャネルをまとめてもよい。なお、本実施形態において、チャネルボンディングに用いるチャネルに不適切なチャネルが含まれる際には、設定された帯域幅より狭い帯域幅となるようにチャネルボンディングを実行してもよい。不適切なチャネルとは、例えば、干渉や接続された通信機器の数の影響によって、十分な通信速度の通信が困難なチャネルである。例えば、第1の無線通信部11は、8つのチャネルをまとめ160MHz帯域幅による無線通信を実行するように設定されていた場合であっても、4つのチャネルをまとめるチャネルボンディングを実行することが適切であれば、後者を実行してもよい。
第2の無線通信部12は、第1の無線通信部11と同様に、チャネルボンディングを用いたMIMO方式の無線通信である。しかし、第2の無線通信部12が用いる5GHz帯域Lowは、第1の無線通信部11が用いる5GHz帯域Highと比べて、属するチャネルが少ない。このため、第2の無線通信部12は、第1の無線通信部11と比べて、チャネルボンディングに用いる複数のチャネルの中に不適切なチャネルを含む可能性が高い。不適切なチャネルが含まれている場合には、第2の無線通信部12は、狭い帯域幅での無線通信を実行する。したがって、第2の無線通信部12は、第1の無線通信部11と比べて、狭い帯域幅による無線通信を実行するおそれがある。第2の無線通信部12は、無線通信を実行する際に、第2のアンテナ部30を第3の無線通信部13と共用して利用する。第2のアンテナ部30が共用で用いられる際には、時間分割が用いられる。時間分割は、例えば、分波器dlのスイッチ機能により、第2のアンテナ部30へ電力を出力可能な状態で接続される通信部を、第2の無線通信部12と第3の無線通信部13とのいずれか一方に切り替えることによって実行される。
第3の無線通信部13は、第1の無線通信部11および第2の無線通信部12と同様に、MIMO方式の無線通信である。また、第3の無線通信部13は、チャネルボンディングを用いた無線通信を実行する。ここで、第3の無線通信部13は、2つのチャネルをまとめることにより、40MHzの帯域幅による無線通信を実行する。これは、2.4GHz帯域は、5GHz帯域Highおよび5GHz帯域Lowと比べて、チャネルボンディングに用いることができるチャネル数が少ないためである。また、2.4GHz帯域は、5GHz帯域Highおよび5GHz帯域Lowと比べて、干渉による通信速度の低下が発生しやすい。このため、40MHzの帯域幅による無線通信に不適切なチャネルが含まれる場合には、第3の無線通信部13は、チャネルボンディングを用いない20MHzの帯域幅による無線通信を実行してもよい。このような場合には、例えば、都市部のように干渉の原因となる機器や2.4GHz帯域を用いた無線通信を実行する機器が多い場合が該当する。
図3は、第1のアンテナ部20の水平方向における指向性を示す図である。図4は、第2のアンテナ部30の水平方向における指向性を示す図である。図3および図4は、方向(−180〜180°)とアンテナ利得との関係を示している。図3では、第1のアンテナ部20のアンテナ利得が最大となる方向(最大利得方向)を90°としている。
図3に示すように、第1のアンテナ部20は、アンテナ利得の最大方向においてアンテナ利得は7dBiである。アンテナ利得が、最大方向のアンテナ利得と比べて3dBi低い、4dBiである方向は、30°及び150°である。つまり、第1のアンテナ部20における、アンテナビームbe1の半値幅θは、120°である。専用アンテナ21は、例えば、ダイポールアンテナに反射器を配置したセクターアンテナや、八木・宇田アンテナである。本実施形態において、専用アンテナ21は、120°の指向性と7dBiのアンテナ利得を有する八木・宇田アンテナを採用している。指向性が高い場合には、指向性が低い場合と比べて、特定の方向に電波出力を集中させることができる。このため、指向性が高い場合には、指向性が低い場合と比べて、離れた場所に設置されたクライアント装置CL1(図1)との安定した無線通信が可能である。具体的には、専用アンテナ21は、同じアンテナ利得を有する指向性が低いアンテナと比べて、通信可能な距離は同じであっても、通信可能な領域は狭くなる。このため、指向性が高い専用アンテナ21は、通信可能な領域が相対的に狭いので、多数のクライアント装置CL1、CL2(図1)が接続されることによる、通信速度の低下を抑制することができる。したがって、専用アンテナ21は、最大利得方向を特定の方向に向けることによって、特定の接続先との安定した無線通信が可能である。また、指向性が高いアンテナは、指向性が低い場合と比べて、2つの専用アンテナ211、212の相関を小さくすることが容易である。したがって、指向性が低い場合と比べて、2つの専用アンテナ211、212の間の距離が小さくできる。また、指向性が高いアンテナと指向性が低いアンテナが同じアンテナ利得を有する場合には、指向性が高いアンテナの方が小型にしやすい。本実施形態において、第1のアンテナ部20は、専用アンテナ21の向きを変更する機構(図示しない)を有する。この機構により、無線LAN通信装置100は、専用アンテナ21のアンテナ最大利得方向をクライアント装置CL1が設置された方向と一致するように調整できる。
図4に示すように、共用アンテナ31は、アンテナ利得の最大方向においてアンテナ利得は2.14dBiである。共用アンテナ31は、アンテナ利得が3dBi未満であるため、共用アンテナ31における、アンテナビームbe2の半値幅は、算出することができない。つまり、共用アンテナ31は、無指向性のアンテナである。第2のアンテナ部30は、第1のアンテナ部20と比べて、方向によるアンテナ利得のばらつきが少ない。無指向性のアンテナとして、例えば、半波長ダイポールアンテナやモノポールアンテナを用いることができる。本実施形態において、共用アンテナ31は、アンテナ利得2.14dBiの一対の半波長ダイポールアンテナである。この一対の半波長ダイポールアンテナは、互いのアンテナビームの中心軸が垂直に交わるように配置されている。本実施形態において、共用アンテナ31は、無指向性のアンテナであるが、これに限定されない。共用アンテナ31は、専用アンテナ21より低い指向性を有するアンテナであればよい。この場合であっても、第2のアンテナ部30は、第1のアンテナ部20と比べて、方向によるアンテナ利得のばらつきが少ない。
図5は、第1実施形態に係る無線LAN通信装置100が実行する無線通信の出力値を示すグラフである。このグラフは、出力値として、各無線通信部11〜13が20MHzの帯域幅を用いた無線通信を実行する場合の、端子入力電力とアンテナ部20、30の電波出力を示している。図5において、端子入力電力はクロスハッチングで示され、アンテナ部20、30の電波出力はシングルハッチングで示されている。端子入力電力と電波出力は、同様の単位(mW/MHz)で表される。本実施形態において、「端子入力電力」とは、送信機である各無線通信部11〜13から空中線系の供給線である各アンテナ部20、30のコネクタ端子c1、c2に供給される1MHz帯域幅における平均電力である。アンテナ部20、30の電波出力は、1MHzの帯域幅における等価等方輻射電力によって規定される。「等価等方輻射電力」とは、コネクタ端子c1、c2に供給される平均電力(端子入力電力)に、各アンテナ部20、30の最大利得方向におけるアンテナ利得を乗じたものをいう。なお、等価等方輻射電力は、実効等方輻射電力(Effective Isotropic Radiated Power)とも呼ばれる。
各パワーアンプa1〜a3は、無線通信部11〜13からアンテナ部20、30に入力される電力が法定の出力制限以下になるように設計されている。ここで、無線通信部11〜13からアンテナ部20、30に入力される電力は、無線通信部11〜13からコネクタ端子c1、c2に入力される平均電力によって評価される。また、各アンテナ部20、30のアンテナ利得は、各アンテナ部20、30の電波出力が法定の出力制限以下となるように、設計されている。ここで、無線LAN通信装置100は、法定の出力制限以下となるように、周波数帯域毎に出力値の最大値を設定している。以下では、20MHzの帯域幅を用いた無線通信を実行する場合での、各周波数帯域の出力値の最大値を示している。5GHz帯域Highでは、端子入力電力の最大値は10mW/MHzであり、第1のアンテナ部20の電波出力の最大値は50mW/MHzである。5GHz帯域Lowにおける、電波出力の最大値は10mW/MHzである。2.4GHz帯域における、端子入力電力の最大値は10mW/MHzである。したがって、5GHz帯域Highは、5GHz帯域Lowと比べて高い電波出力による無線通信が可能である。電波出力が高い場合には、電波出力が低い場合と比べ、遠い場所にあるクライアント装置CL1、CL2(図1)との無線通信が可能である。
第1の無線通信部11が実行する5GHz帯域Highを用いた無線通信は、第1の無線通信部11専用に設けられた第1のアンテナ部20を用いることで、5GHz帯域Lowを用いた無線通信における電波出力の最大値に制限されることがない。よって、5GHz帯域Highにおける無線通信は、5GHz帯域Lowと比べて、高い電波出力で実行できる。5GHz帯域Highを用いた無線通信を実行する第1のアンテナ部20の電波出力は、5GHz帯域Lowを用いた場合の第2のアンテナ部30の電波出力と比べて、高いことが好ましく、2倍以上であることがより好ましい。さらに、5GHz帯域Highを用いた無線通信を実行する第1のアンテナ部20の電波出力は、20mW/MHz以上50mW/MHz以下であることがより好ましく、最大値と同程度であることが最も好ましい。最大値と同程度とは、電波出力の最大値(50mW/MHz)の80%以上100%以下である40mW/MHz以上50mW/MHz以下を意味している。ここで、第1のコネクタ端子c1の端子入力電力は、5GHz帯域Highにおける無線通信の電波出力が5GHz帯域Lowにおける無線通信の電波出力より高出力であれば、第2のコネクタ端子c2の端子入力電力より低くてもよい。本実施形態において、5GHz帯域Highを用いた無線通信を実行する第1のアンテナ部20の電波出力は、50mW/MHzである。
図6は、比較例に係る無線LAN通信装置400の構成を示すブロック図である。図7は、比較例に係る無線LAN通信装置400が実行する無線通信の出力値を示すグラフである。出力値として、各無線通信部11〜13が20MHzの帯域幅を用いた無線通信を実行する場合の、端子入力電力とアンテナ部420、430の電波出力を示している。以下において、比較例に係る無線LAN通信装置400は、比較装置400と記載する。
図6に示すように、比較装置400が備える第1のアンテナ部420は、5GHz帯域Highを用いた無線通信を実行する第1の無線通信部11および5GHz帯域Lowを用いた無線通信を実行する第2の無線通信部12に接続されている。第1のアンテナ部420が備えるアンテナ421は、2.14dBiのアンテナ利得を有するアンテナである。5GHz帯域Lowにおける電波出力の最大値によって、第1のアンテナ部420は、高いアンテナ利得を有するアンテナを用いることが困難である。このため、第1実施形態の第1のアンテナ部20(図2)のアンテナ利得と比べて、第1のアンテナ部420のアンテナ利得は低い。第2のアンテナ部430は、2.4GHz帯域における無線通信を実行する第3の無線通信部13と接続されている。第2のアンテナ部430が備えるアンテナ431は、2.14dBiのアンテナ利得を有するアンテナである。その他の構成は、第1実施形態に係る無線LAN通信装置100と同様である。比較装置400において、第1実施形態に係る無線LAN通信装置100と同様の構成については、第1実施形態と同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図7に示すように、5GHz帯域Highにおける無線通信は、5GHz帯域Highにおける電波出力の最大値である50mW/MHzと比べて低い電波出力によって実行されている。これは、第1のアンテナ部420を第1の無線通信部11と第2の無線通信部12とにおいて共用して用いているため、第1のアンテナ部420の電波出力が、5GHz帯域Lowの無線通信における電波出力の制限値以下に制限されるためである。このため、比較装置400は、5GHz帯域Highにおける無線通信の電波出力を高出力できない。したがって、比較装置400では、第1実施形態に係る無線LAN通信装置100と比べ、通信可能な距離が短くなり、通信容量の大きいテレビや無線LAN中継機の設置位置が制限されるおそれがある。
図8は、第1実施形態に係る無線LAN通信装置100と比較装置400の通信速度を比較する比較実験を行なった住宅WHの模式図である。図9は、比較実験の結果を示す表である。第1実施形態に係る無線LAN通信装置100(以下、無線LAN通信装置100)の通信速度(データ伝送速度)と比較装置400の通信速度を比較する実験(比較実験)を行なった。以下では、図8と図9を用いて、比較実験の内容および結果を説明する。
比較実験は、図8に示された木造住宅WHで行なわれた。この木造住宅WHの1フロアの広さは、縦約11m×横約11mであり、1階の床から2階の床までの高さは、約3mである。木造住宅WHの各部屋を隔てる壁部は、ハッチングで示されている。木造住宅WHは、1階部分に4つの部屋R1を有し、2階部分に5つの部屋R2〜R6を有する。この比較実験では、無線LAN通信装置100および比較装置400が、木造住宅WHの1階部分の部屋R1の中央部である地点Aに設置されている。無線LAN通信装置100および比較装置400を介してインターネットに接続するクライアント装置CL4は、木造住宅WHの2階部分の各部屋R2〜R6の中央部であるそれぞれの地点B〜Fで無線通信を実行した。クライアント装置CL4は、5GHz帯域Highを用いた2×2MIMO方式の無線通信を実行するスマートフォンである。
無線LAN通信装置100および比較装置400が設置された地点Aとクライアント装置CL4が無線通信を実行した各地点B〜Fと、の位置関係を説明する。地点Bは、地点Aの直上である。地点Aと地点Bとの間には、住宅WHの2階の床frがある。地点Aと地点Cとの間には、壁W1と床frがある。地点Aと地点Dとの間には、壁W1と床frがある。地点Aと地点Dとの距離は、地点Aと地点Cとの距離より大きい。地点Aと地点Eとの間には、2つの壁W2、W4と床frがある。地点Aと地点Fとの間には、2つの壁W2、W5と床frがある。地点Aと各地点B〜Fの距離のうち、地点Aと地点Fの距離が最も大きい。なお、無線LAN通信装置100の5GHz帯域Highのアンテナビームの最大利得方向は、地点Fに向かっている。なお、地点Eを含む部屋R4と地点Fを含む部屋R5との間には、1階と2階とを繋ぐ階段が存在する。
図9に示すとおり、全ての地点B〜Fにおいて、無線LAN通信装置100は、比較装置400と比べて、高い通信速度を示している。これは、無線LAN通信装置100は、比較装置400と比べて、高い電波出力での無線通信を実行しているためである。さらに、地点Fにおける無線LAN通信装置100の通信速度は、比較装置400の通信速度1Mbpsと比べて、特に高い約14倍である通信速度14Mbpsを示している。これは、地点Fが、無線LAN通信装置100の5GHz帯域Highのアンテナビームの最大利得方向、つまり、無線LAN通信装置における電波出力が最も高い方向だからである。
以上説明した、第1実施形態によれば、無線LAN通信装置100は、第1の無線通信部11に接続されている第1のアンテナ部20と、第2の無線通信部12および第3の無線通信部13に接続されている第2のアンテナ部30と、を備える。このため、5GHz帯域Highを用いた無線通信を実行する第1の無線通信部11および第1のアンテナ部20は、法定の出力制限以下となるように設定されている5GHz帯域Lowにおける出力の最大値に制限されない。したがって、第1のアンテナ部20の電波出力は、第2の無線通信部12が無線通信を実行する場合の第2のアンテナ部30の電波出力より高くすることができる。これにより、5GHz帯域Highを用いた無線通信は、5GHz帯域Lowを用いた無線通信と比べて、より遠くのクライアント装置CL1、CL2と接続できる。ここで、5Hz帯域Highは、2.4GHz帯域や5GHz帯域Lowと比べて、広い帯域幅を用いた大容量通信に適している。したがって、無線LAN通信装置100は、遠くに設置された大容量通信が必要なクライアント装置CL1と無線通信する際に、5GHz帯域Lowや2.4GHz帯域と比べて、安定した大容量通信が可能な5GHz帯域Highを用いて無線通信ができる。
また、第1実施形態によれば、無線LAN通信装置100は、共用アンテナ31より指向性が高い専用アンテナ21を有している。このため、第1のアンテナ部20は、第2のアンテナ部30よりもアンテナ利得を高くできる。また、指向性が高い場合には、指向性が低い場合に比べ、無線LAN通信装置100は、特定の方向に高出力の電波を安定して出力できる。したがって、無線LAN通信装置100は、電波通信速度が低下しやすい条件であっても通信速度の低下を抑制できる。通信速度が低下しやすい条件とは、例えば、住宅の1階に設置された無線LAN通信装置100と2階で使用されるクライアント装置CL1、CL2とを接続する場合である。このため、無線LAN通信装置100は、例えば、無線LAN通信装置100とは別の階で使用されるテレビや無線LAN中継機と接続した際の通信速度の低下を抑制できる。
また、第1実施形態によれば、無線LAN通信装置100は、5GHz帯域Lowと2.4GHz帯域で、共用のアンテナ部である第2のアンテナ部30を有している。このため、無線LAN通信装置100は、5GHz帯域Lowと2.4GHz帯域で、別々のアンテナ部を有している場合と比べて、小型化できる。
また、第1実施形態によれば、無線LAN通信装置100は、5GHz帯域Highを用いた無線通信において、チャネルボンディングを用いた無線通信が可能である。5GHz帯域Highは、2.4GHz帯域と比べて、チャネルボンディングによる広い帯域幅(例えば、80MHzや160MHzの帯域幅)を用いた無線通信が安定して実行することが可能である。これにより、無線LAN通信装置100は、5GHz帯域Highにおいてチャネルボンディングを用いない場合と比べて、広い帯域幅を用いた無線通信を安定して実行できる。したがって、無線LAN通信装置100は、安定した連続的な大容量通信が要求される装置、例えば、4K,8Kテレビ等の高画素の映像コンテンツや家の全体で無線通信を可能とするための無線中継機、との無線通信が遅延することを抑制できる。
また、第1実施形態によれば、無線LAN通信装置100は、5GHz帯域Lowと2.4GHz帯域で、無指向性のアンテナ部30を有している。つまり、無線LAN通信装置100からの距離が一定である場合には、第2および第3の無線通信部12、13が接続されている第2のアンテナ部30は、第1の無線通信部11が接続されている第1のアンテナ部20と比べて、電波出力の変動が小さい。したがって、無線LAN通信装置100は、クライアント装置CL2が使用中に移動した場合であっても、クライアント装置CL2との接続が不安定になることを抑制できる。
B.第2実施形態
第2実施形態に係る無線LAN通信装置100は、専用アンテナ21が共用アンテナ31と同じアンテナ利得を有する点が、第1実施形態と異なる。本実施形態において、専用アンテナ21は、アンテナ利得2.14dBiの半波長ダイポールアンテナである。第2実施形態は、第1実施形態と同様の構成であるため、第1実施形態と同様の符号を付し、説明を省略する。
図10は、第2実施形態に係る無線LAN通信装置100が実行する無線通信の出力値を示すグラフである。出力値として、各無線通信部11〜13が20MHzの帯域幅を用いた無線通信を実行する場合の、端子入力電力とアンテナ部20、30の電波出力を示している。図10において、端子入力電力はクロスハッチングで示され、アンテナ部20、30の電波出力はシングルハッチングで示されている。5GHz帯域Lowにおける無線通信および2.4GHz帯域における無線通信の出力値は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。本実施形態において、第1のコネクタ端子c1へ入力される平均電力は、10mW/MHzである。これは、5GHz帯域Highにおける、平均電力の最大値が10mW/MHzだからである。第1の無線通信部11から第1のアンテナ部20へ入力される平均電力は、第2の無線通信部12から第2のアンテナ部30に入力される平均電力より高い。第1のアンテナ部20のアンテナ利得は2.14dBiであるため、第1のアンテナ部20の電波出力は、約16mW/MHzである。この場合であっても、第2の無線通信部12が無線通信を実行する場合の第2のアンテナ部30の電波出力と比べて、第1のアンテナ部20の電波出力は高い。
以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、第1のアンテナ部20の電波出力は、第2の無線通信部12が無線通信を実行する場合の第2のアンテナ部30の電波出力より高くできる。 これにより、5GHz帯域Highを用いた無線通信は、5GHz帯域Lowを用いた無線通信と比べて、より遠くのクライアント装置と接続できる。また、無線LAN通信装置100の小型化や、連続的な大容量通信の安定化、通信速度低下の抑制、についても第1実施形態と実施形態同様の効果が得られる。
C.第3実施形態
図11は、第3実施形態に係る無線LAN通信装置600の構成を示す模式図である。本実施形態に係る無線LAN通信装置600は、第1の無線通信部11と、第2の無線通信部12と、第3の無線通信部13と、第1のアンテナ部20と、第2のアンテナ部30と、有線通信部40と、ベースバンドプロセッサ50と、記憶部60と、制御部90と、筐体500と、方向変更部530と、を有している。第1のアンテナ部20と第1の無線通信部11とを電気的に接続する配線は、方向変更部530の内部を通るように設けられている。本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。なお、無線LAN通信装置600は、第1実施形態に係る無線LAN通信装置100と同様に、専用アンテナ21として指向性アンテナである八木・宇田アンテナを採用している。なお、専用アンテナ21として使用される指向性アンテナは、例えば、パッチアンテナがある。
筐体500は、略直方体形状である。本実施形態に係る無線LAN通信装置600では、第1から第3の無線通信部11〜13と、第2のアンテナ部30と、有線通信部40と、ベースバンドプロセッサ50と、記憶部60と、制御部90とは、筐体500に収容されている。第1のアンテナ部20は、筐体500の外部に配置されている。方向変更部530は、第1のアンテナ部20と筐体500との接続部分に配設されている。筐体500の外壁面502は、吸排気口(図示しない)を有している。本実施形態において、吸排気口は、底面505側の端部に設けられたスリットとしての吸気口と、外壁面502のうち上面504側の端部に設けられたスリットとしての排気口と、を有する。なお、筐体500は、略直方体形状に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。
図12は、第3の実施形態に係る無線LAN通信装置600の外観を示す模式図である。図13は、第3実施形態に係る無線LAN通信装置600の第1の側面図である。図14は、第3実施形態に係る無線LAN通信装置600の第2の側面図である。図15は、第3実施形態に係る無線LAN通信装置600の第1の上面図である。図16は、第3実施形態に係る無線LAN通信装置600の第2の上面図である。図12において、X方向およびY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。また、+Z方向が鉛直上方向であり、−Z方向が鉛直下方向である。図12に示す無線LAN通信装置600は、底面505が水平面に設置されている。水平面に底面505が設置された状態を、無線LAN通信装置600の設置状態ともよぶ。
無線LAN通信装置600は、第1のアンテナ部20を内部に収容するケースとしてアンテナ収容部510を有する。第1のアンテナ部20は、アンテナ収容部510に収容された状態で、筐体500の配置外壁面501に配置されている。配置外壁面501は、筐体500の側面であり、底面505から立ち上がる面である。アンテナ収容部510は、方向変更部530を介して、筐体500に取り付けられている。
第1のアンテナ部20が有する専用アンテナ211、212は、プリント基板であるアンテナ基板上に配置されている。アンテナ収容部510の内部において、2つの専用アンテナ211、212は、それぞれの最大利得方向が同じ向きになるように配置され、また、互いのアンテナ基板が垂直に交差するように配置されている。ここで、垂直とは、概ね垂直である状態、例えば85度以上90度以下の範囲の角度、を含む。アンテナ基板が垂直に交差している場合には、2つの専用アンテナ211、212から出力されるアンテナビームは互いに異なる偏波を有する。アンテナ基板の距離に加えて偏波によって相関を小さくしているため、第1のアンテナ部20を小型化することができる。また、筐体500の外側に配置される第1のアンテナ部20を小型することにより、無線LAN通信装置600の意匠性を向上させることが可能である。
本実施形態において、第1の無線通信部11は、2×2MIMO方式の無線通信を実行している。2×2MIMO方式は、1つのアンテナごとの電波出力を3×3MIMO方式や4×4MIMO方式等の3本以上のアンテナを送受信に利用するMIMO方式よりも高くすることが可能である。電波出力が高い場合には、無線LAN通信装置600は、低い場合と比べて、無線通信に不利な条件であっても無線通信が可能である。無線通信に不利な条件とは、例えば、通信の対象であるクライアント装置との距離が遠い場合や、遮蔽物が多い場合や、電波の遮断性が高い遮蔽物がある場合である。遮蔽物とは、例えば、壁や床や天井や家具等である。遮断性が高い遮蔽物とは、例えば、コンクリート壁等である。したがって、例えば、鉄筋コンクリート造の建物内で使用する場合に、2×2MIMO方式は、3本以上のアンテナを送受信に利用するMIMO方式と比べて、異なる階や部屋に配置されたクライアント装置との通信が容易である。また、2×2MIMO方式は、3本以上のアンテナを送受信に利用するMIMO方式と比べて、第1のアンテナ部20の小型化を容易に実現できる。なお、通信方式は、2×2MIMO方式に限定されず、別の方式であってもよい。例えば、4×4MIMO方式が採用されていても良い。木造住宅等の電波の遮断性が比較的低い環境である場合には、4×4MIMO方式であっても、異なる階や異なる部屋に設置されたクライアント装置と通信が可能である。4×4MIMO方式が採用された場合には、第1のアンテナ部20は4本の専用アンテナを有し、アンテナ収容部510の内部にはこれら4本の専用アンテナが収容される。
アンテナ収容部510は、方向表示部520を有している。方向表示部520は、アンテナ収容部510の一部を構成し、外部から視認可能である。方向表示部520は、第1のアンテナ部20の最大利得方向GDを示す。本実施形態において、方向表示部520は、アンテナ収容部510の壁面の一部であって、最大利得方向GD側に形成されている。方向表示部520は、アンテナ収容部510における他の壁面とは彩色の異なる別の部材によって形成されている。アンテナ収容部510の壁面のうちで、最大利得方向GD側に方向表示部520を形成することで、使用者は特別な操作をすることなく方向表示部520が位置する側が最大利得方向GDであると容易に把握できる。なお、方向表示部520は、これに限定されず、例えば、形状や模様や色彩またはこれらの組み合わせによって、第1のアンテナ部20の最大利得方向GDを示してもよい。方向表示部520が形状によって最大利得方向GDを表示する場合としては、例えば、方向表示部520の先端を尖った形状とし、先端が向く方向を最大利得方向GDとなるように方向表示部520を配置すればよい。方向表示部520が模様によって最大利得方向GDを表示する場合としては、例えば、最大利得方向GDを示す矢印を方向表示部520として形成すればよい。また、方向表示部520は、必要に応じて最大利得方向GDを示す機構、例えば、使用者の操作によって、アンテナ収容部510の最大利得方向GD側部分に設けられた光源が点灯する機構であってもよい。
方向変更部530は、アンテナ収容部510の向きを変えることで、専用アンテナ21の向きを変えることができる。専用アンテナ21の向きが変わることで、第1のアンテナ部20の最大利得方向GDが変更される。つまり、方向変更部530は最大利得方向GDを変更する。こここで、方向変更部530は、最大利得方向GDを三次元的に変更可能であることが好ましい。つまり、方向変更部530は、水平方向と最大利得方向GDとのなす角度を変更可能であり、かつ、水平方向における、最大利得方向GDを変更可能であることが好ましい。水平方向と最大利得方向GDとのなす角度を変更可能な場合には、変更不可能な場合と比べて、無線LAN通信装置600が設置された階とは別の階に設置された接続先に最大利得方向GDを容易に向けることができる。水平方向における、最大利得方向GDを変更可能な場合には、無線LAN通信装置600の配置位置を変えることなくクライアント装置に最大利得方向GDを容易に向けることができる。また、方向変更部530は、最大利得方向GDを水平方向に向けるように変更できることが好ましい。最大利得方向GDを水平方向に向けるように変更できることで、同一の階に設置されたクライアント装置に最大利得方向GDを容易に向けることができる。最大利得方向GDを三次元的に変更可能な方向変更部530としては、例えば、交差する複数の回転軸を有するヒンジ機構や湾曲自在なフレキシブルアームやボールジョイントを用いることができる。本実施形態において、方向変更部530は、垂直に交差する二つの回転軸である第1の回転軸dx1と第2の回転軸dx2を有するヒンジ機構である。
方向変更部530の第1の回転軸dx1は、配置外壁面501に垂直な回転軸である。方向変更部530は、第1の回転軸dx1周りに回転することによって、最大利得方向GDを変更可能である。方向変更部530の第2の回転軸dx2は、配置外壁面501に平行な回転軸である。方向変更部530は、第2の回転軸dx2周りに回転することによって、最大利得方向GDを変更可能である。第2の回転軸dx2は、方向変更部530の第1の回転軸dx1周りでの回転に応じて、第1の回転軸dx1周りに回転する。方向変更部530は、第2の回転軸dx2によって、最大利得方向GDを配置外壁面501から離れる方向もしくは近づく方向に変更可能である。
方向変更部530は、第1の回転軸dx1周りにアンテナ収容部510を回転させることで、第1の回転軸dx1を中心とした第1回転角θ1を変更である。第1回転角θ1の変更可能な範囲は、0°以上270°以下の範囲である。ここで、本実施形態において、最大利得方向GDが+Y方向のときを第1回転角θ1の基準となる基準位置(第1回転角θ1が0°)とする。第1回転角θ1が90°のとき、設置状態において、最大利得方向GDは鉛直上方向(+Z方向)である。第1回転角θ1が180°のとき、設置状態において、最大利得方向GDは+Y方向である。第1回転角θ1が270°のとき、設置状態において、最大利得方向GDは鉛直下方向(−Z方向)である。
方向変更部530は、第2の回転軸dx2周りにアンテナ収容部510を回転させることで、第2の回転軸dx2を中心とした第2回転角θ2を変更可能である。第2回転角θ2の変更可能な範囲は、0°以上90°以下の範囲である。ここで、本実施形態において、最大利得方向GDが−X方向(配置外壁面501に垂直な方向)のときを第2回転角θ2の基準となる基準位置(第2回転角θ2が0°)とする。第2回転角θ2が90°のとき、設置状態において、最大利得方向GDは配置外壁面501に沿った方向となる。
例えば、図13に示すように、第1回転角θ1が90°であるときに、第2の回転軸dx2周りにアンテナ収容部510を回転させることで、最大利得方向GDを鉛直上方向(+Z方向)から水平方向までの範囲で変更できる。また例えば、図14に示すように、第1回転角θ1が270°であるときに、第2の回転軸dx2周りにアンテナ収容部510を回転させることで、最大利得方向GDを鉛直下方向(−Z方向)から水平方向までの範囲で変更できる。
以上のように、方向変更部530は、第1の回転軸dx1と第2の回転軸dx2とを有することによって、最大利得方向GDと水平方向との角度θt(図13、図14)を変更可能である。具体的には本実施形態では、水平方向と最大利得方向GDとのなす角度θtを変更することで、最大利得方向GDを、水平方向から鉛直上方向までの範囲(図13)と水平方向から鉛直下方向までの範囲(図14)とのいずれの範囲においても変更可能である。つまり、最大利得方向GDを上向き(仰角)にしたり下向き(俯角)にしたりできる。
また、方向変更部530は、水平方向における、最大利得方向GDを変更可能である。例えば、図15に示すように、第1回転角θ1が0°であるときに、第2の回転軸dx2周りにアンテナ収容部510を回転させることで、最大利得方向GDをXY平面に沿って+Y方向から−X方向までの範囲で変更できる。また例えば、図16に示すように、第1回転角θ1が180°であるときに、第2の回転軸dx2周りにアンテナ収容部510を回転させることで、最大利得方向GDをXY平面に沿って−Y方向から−X方向までの範囲で変更できる。
また、無線LAN通信装置600では、第1のアンテナ部20を収容するアンテナ収容部510が筐体500の外壁面(本実施形態では配置外壁面501)に配置され、第2のアンテナ部30を筐体500の内部に備えている(図11、図12)。この構造は、第1のアンテナ部20を識別するための、外部から視認可能な識別部として機能する。識別部によって、無線LAN通信装置600の使用者は、第1のアンテナ部20を容易に識別することが可能である。このため、使用者は、指向性を有し最大利得方向GDの調整が必要な第1のアンテナ部20と、指向性を有さない第2のアンテナ部30とを区別することが可能である。したがって、無線LAN通信装置600は、第1のアンテナ部20と第2のアンテナ部30とを間違えることによる使用者の誤操作や、第1のアンテナ部20を操作する際に第1のアンテナ部20の識別に時間がかかることによる煩わしさを低減できる。なお、識別部は、上記の構造に限定されない。例えば、第2のアンテナ部30が筐体500の外部に備えられている場合には、第1のアンテナ部20を収容するアンテナ収容部510と第2のアンテナ部30を収容する収容部とを異なる色にすることによって、識別可能にしてもよい。この場合には、色の違いが識別部として機能する。また、アンテナ収容部510と第2のアンテナ部30を収容する収容部について、色ではなく形状や模様の差異によって識別可能にしてもよい。
無線LAN通信装置600は、図12に示すように、縦置きでの使用状態において、第1のアンテナ部20が筐体500の側面である配置外壁面501に配置されている。ここで、縦置きとは、筐体500の最も外形(外周)が大きい面と水平面(XY平面)とがなす鋭角側の角度が45°以上であることを示している。なお、縦置きでの使用状態において、筐体500の最も外形が大きい面と水平面とがなす角度は概ね垂直であることが好ましい。本実施形態において、筐体500の最も外形が大きい面は、配置外壁面501および配置外壁面501に対向する外壁面502である。また、縦置きでの使用状態において、外壁面501、502と水平面のなす角度は垂直である。無線LAN通信装置600の縦置きでの使用状態では、横置きでの使用状態と比べて、水平方向における設置面積を低減することが可能である。なお、本実施形態において、無線通信部11〜13(図11)の回路基板は、筐体500の内部に配置外壁面501と概ね平行になるように配置されている。このため、無線LAN通信装置600が縦置き状態である場合において、回路基板と水平面とのなす角度は垂直である。
無線LAN通信装置600は、縦置きでの使用状態とするための状態維持機構を有していることが好ましい。本実施形態において、底面505が状態維持機構として機能する。なお、状態維持機構は、これに限定されない。例えば、状態維持機構は、複数の脚部によって無線LAN通信装置600に縦置きでの使用状態を維持させる機構や、筐体500の外壁面の一部と脚部とによって無線LAN通信装置600に縦置きでの使用状態を維持させる機構であってもよい。また、状態維持機構は、無線LAN通信装置600に縦置きでの使用状態を維持させる台座等、筐体500とは別体で設けられていてもよい。
無線LAN通信装置600における、吸排気口を介した、筐体500内の換気について説明する。回路基板の発熱により、筐体500内の空気が外部の空気(外気)より高温になったときには、筐体500内の空気は外気より密度が小さくなる。この場合には、筐体500内の空気に浮力が生じることにより、無線LAN通信装置600は、筐体500の外壁面502の下側(底面505側)に設けられた吸気口から外気を吸気し、外壁面502の上側(上面504側)に設けられた排気口から筐体500内の空気を排気する。つまり、無線LAN通信装置600は、いわゆる煙突効果を利用して筐体500内の換気を行なっている。煙突効果を利用した換気を行なう際には、吸気口と排気口との高低差が小さい場合に比べて、吸気口と排気口との高低差が大きい場合に効率良く換気できる。ここで、無線LAN通信装置600は、横置きでの使用状態である無線LAN通信装置と比べて、吸気口と排気口とに高低差をつけることが容易である。このため、無線LAN通信装置600は、横置きでの使用状態である無線LAN通信装置と比べて、筐体500内の空気と外気とを効率良く交換できる。したがって、無線LAN通信装置600は、横置きの使用状態である無線LAN通信装置と比べて、温度上昇の抑制が容易となる。
第1のアンテナ部20が、縦置きの使用状態において、筐体500の側面のうち上面504側に配置されている場合、もしくは、上面504に設けられている場合には、横置きでの使用状態と比べて、第1のアンテナ部20をより高い位置にできる。第1のアンテナ部20が、高い位置に設けられていることで、低い位置に設けられている場合に比べて、無線LAN通信装置600の設置面等に電波が反射することによる通信速度の低減を抑制できる。本実施形態において、第1のアンテナ部20は、配置外壁面501のうち底面505よりも上面504側に配置されている。
以上説明した第3実施形態によれば、無線LAN通信装置600は、方向変更部530を備えるため、最大利得方向GDを三次元的に容易に変更できる。よって、無線LAN通信装置600は、方向変更部530を備えない場合と比べて、第1のアンテナ部20の最大利得方向GDをクライアント装置(例えば、4Kテレビや無線LAN中継機)が設置されている方向に容易に向けることができる。例えば、方向変更部530によって最大利得方向GDを変更することで、無線LAN通信装置600の配置位置を変更することなく、クライアント装置が設置されている方向に最大利得方向GDを向けることができる。
また、上記第3実施形態によれば、無線LAN通信装置600は、最大利得方向GDを水平方向と交差する方向(上向きの方向や下向きの方向)に向けることができる(図13、図14)。これにより、無線LAN通信装置600と異なる階に設置されているクライアント装置に最大利得方向GDを容易に向けることができる。例えば、無線LAN通信装置600が住宅の2階に設置され、クライアント装置が住宅の1階や3階に設置されていたとする。ここで、インターネットへと接続するためのLAN配線が2階にしか設けられていない場合において、無線LAN通信装置を異なる階に移動させる際には、有線ケーブルを異なる階まで引き回す必要がある。有線ケーブルを異なる階まで引き回す場合には、有線ケーブルの長くする必要がある。しかし、本実施形態に係る無線LAN通信装置600によれば、方向変更部530によって最大利得方向GDを下向きに調整することで、無線LAN通信装置600の設置位置を2階から1階へと移動させることなく、1階のクライアント装置に最大利得方向GDを向けることができる。また方向変更部530によって最大利得方向GDを上向きに調整することで、無線LAN通信装置600の設置位置を2階から3階へと移動させることなく、3階のクライアント装置に最大利得方向GDを向けることができる。本実施形態に係る無線LAN通信装置600は、設置場所を大きく変えることなく、最大利得方向GDを上下方向に変更できるので、無線LAN通信装置600に接続されたケーブル(例えば、インターネットに接続するための有線ケーブル)の長さの増大を抑制できる。
また、上記第3実施形態によれば、方向変更部530は筐体500の外壁面(本実施形態では配置外壁面501)に配置されている(図13)。これにより、方向変更部530が複数の外壁面が交わる角に配置されている場合に比べて、筐体500と方向変更部530との接続部の強度を容易に高くすることができる。
また、上記第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、第1のアンテナ部20の電波出力は、第2の無線通信部12が無線通信を実行する場合の第2のアンテナ部30の電波出力より高くできる。 これにより、5GHz帯域Highを用いた無線通信は、5GHz帯域Lowを用いた無線通信と比べて、より遠くのクライアント装置と接続できる。また、無線LAN通信装置100の小型化や、連続的な大容量通信の安定化、通信速度低下の抑制、についても第1実施形態と実施形態同様の効果が得られる。
なお、無線LAN通信装置600は、第1のアンテナ部20の最大利得方向GDが第2のアンテナ部30に向けることができないように設計されていることが好ましい。本実施形態では、第1のアンテナ部20を筐体500の外壁面(具体的には配置外壁面501)に配置し、第2のアンテナ部30を筐体500の内部に配置することで、第1のアンテナ部20の最大利得方向GDが第2のアンテナ部30に向けることができないようにしている。第1のアンテナ部20が無線通信に用いる5GHz帯域Highと第2のアンテナ部30が無線通信に用いる5GHz帯域Lowとは、互いに干渉が発生するおそれがある。干渉は、例えば、第1のアンテナ部20の最大利得方向GDが第2のアンテナ部30に向くことによって発生する。これは、5GHz帯域Highと5GHz帯域Lowとが、干渉が発生し得る程度に周波数帯域が近いためである。干渉が発生した場合には、無線通信が正常に実行されない可能性がある。よって、第1のアンテナ部20の最大利得方向GDが第2のアンテナ部30に向けることができないように設計されることで、5GHz帯域Highと5GHz帯域Lowとの電波干渉を抑制できる。
D.第4実施形態
図17は、第4実施形態に係る無線LAN通信装置800の外観を示す第1の模式図である。図18は、第4実施形態に係る無線LAN通信装置800の外観を示す第2の模式図である。図17および図18において、無線LAN通信装置800は、第3実施形態に係る無線LAN通信装置600と同様に縦置きでの使用状態である。第4実施形態に係る無線LAN通信装置800における、5GHz帯域Highを用いた無線通信を実行するための第1のアンテナ部20は、図示しない4本の専用アンテナを有している。この4本の専用アンテナは、2つのアンテナ収容部510に分けて収容されている。各アンテナ収容部510には、各2本の専用アンテナである一対の専用アンテナが収容されている。一対の専用アンテナは、最大利得方向が同じ向きになるように、かつ、基板が垂直に交差するように配置されている。各アンテナ収容部510は、収容された一対の専用アンテナの最大利得方向GD1、GD2を示す方向表示部520を有している。
本実施形態において、2つのアンテナ収容部510は、互いに対向する第1の配置外壁面501と第2の配置外壁面502とにそれぞれ配置されている。各アンテナ収容部510は、方向変更部530を介して筐体500に配置されている。最大利得方向GD1、GD2を三次元的に変更することで、各方向変更部530は、アンテナ収容部510に収容されたそれぞれの専用アンテナの最大利得方向GD1、GD2を三次元的に変更可能である。このため、方向変更部530は、各アンテナ収容部510に収容された専用アンテナの最大利得方向GD1、GD2を同じ向きとなるように変更できる。例えば、図17に示すように、最大利得方向GD1、GD2を鉛直上方向にできる。また、図18に示すように、方向変更部530は、最大利得方向GD1と最大利得方向GD2とが別々の方向を向くように変更可能である。
本実施形態に係る無線LAN通信装置800は、各アンテナ収容部510に収容された専用アンテナの最大利得方向GDが一致している場合には、4×4MIMO方式の無線通信を実行することが可能である。また、無線LAN通信装置800は、各アンテナ収容部510に収容された専用アンテナの最大利得方向GDが別々の方向である場合には、一対の専用アンテナそれぞれを別々の方向に設置されたクライアント装置との通信に利用することができる。この場合には、一対の専用アンテナそれぞれを用いて、5GHz帯域Highを用いた2方向への2×2MIMO方式の無線通信を同時に実行する。2×2方式の無線通信と4×4方式の無線通信との切り替えは、制御部90によって実行される。
以上説明した第4実施形態に係る無線LAN通信装置800によれば、1方向への4×4MIMO方式の無線通信と、2方向への2×2MIMO方式の無線通信と、を切り替え可能である。これにより、4×4MIMO方式の無線通信に対応したクライアント装置に対しては、2×2MIMO方式と比べて通信容量が大きい、4×4MIMO方式の無線通信が可能である。また、無線LAN通信装置800は、必要に応じて、別々の方向に設置されたクライアント装置と5GHz帯域Highを用いた無線通信が可能な2方向への2×2MIMO方式の無線通信が可能である。
また、上記第4実施形態によれば、第1のアンテナ部20を筐体500の互いに対向する外壁面(具体的には配置外壁面501、502)に配置している、これにより、一方のアンテナ収容部510に収容された専用アンテナ(一方の専用アンテナ)の最大利得方向GD1を他方のアンテナ収容部510に収容された専用アンテナ(他方の専用アンテナ)に向けることができないようにしている。また、他方の専用アンテナの最大利得方向GD2を一方の専用アンテナに向けることができないようにしている。よって、別々のアンテナ収容部510に収容された専用アンテナによる5GHz帯域High同士の電波干渉を抑制できる。
また、上記第4実施形態によれば、第3実施形態と同様に、第1のアンテナ部20の電波出力は、第2の無線通信部12が無線通信を実行する場合の第2のアンテナ部30の電波出力より高くできる。また、無線LAN通信装置800は、方向変更部530を備えるため、最大利得方向GDを三次元的に容易に変更できる。
E.他の実施形態
E−1.第1の他の実施形態
第1実施形態において、無線LAN通信装置100は、専用アンテナ21として指向性と高アンテナ利得を有するアンテナを採用し、共用アンテナ31として無指向性のアンテナを採用している。しかしながら、専用アンテナ21および共用アンテナ31は、これらに限定されない。例えば、専用アンテナ21は、高利得ダイポールアンテナ等の高アンテナ利得の無指向性アンテナであってもよい。また、共用アンテナ31は、指向性を有するアンテナであってもよい。この場合でも、第1実施形態と同様に、第1のアンテナ部20の電波出力は、第2の無線通信部12が無線通信を実行する場合の第2のアンテナ部30の電波出力より高くできる。
E−2.第2の他の実施形態
第1実施形態において、無線LAN通信装置100は、専用アンテナ21のアンテナ利得を高くすることによって、第1のアンテナ部20の電波出力を第2の無線通信部12が無線通信を実行する場合の第2のアンテナ部30の電波出力よりも高くしている。しかしながら、第1のアンテナ部20の電波出力を高くする手段は、これに限定されない。例えば、無線LAN通信装置100は、第1のアンテナ部20のアンテナ利得と第1の無線通信部11からの端子入力電力の両方を高くすることによって、第1のアンテナ部20の電波出力を高くしてもよい。具体的には、第1のアンテナ部20のアンテナ利得は第2のアンテナ部30のアンテナ利得より高く、かつ、第1のパワーアンプa1によって増幅された電力は第2のパワーアンプa2によって増幅された電力より高くする。この場合でも、第1実施形態と同様に、第1のアンテナ部20の電波出力は、第2の無線通信部12が無線通信を実行する場合の第2のアンテナ部30の電波出力より高くできる。
E−3.第3の他の実施形態
上記実施形態において、第1の無線通信部11、第2の無線通信部12、および第3の無線通信部13は、チャネルボンディングを用いた無線通信を実行しているが、これに限定されない。第1の無線通信部11、第2の無線通信部12、および第3の無線通信部13がチャネルボンディングを用いた無線通信を実行しない場合であっても、第1実施形態と同様に、第1のアンテナ部20の電波出力は、第2の無線通信部12が無線通信を実行する場合の第2のアンテナ部30の電波出力より高くできる。したがって、5GHz帯域Highを用いた無線通信は、5GHz帯域Lowを用いた無線通信と比べて、より遠くのクライアント装置と接続できる。
E−4.第4の他の実施形態
第3、第4実施形態において、第1のアンテナ部20は、筐体500の外壁面のうち側面に配置されていたが、これに限定されない。例えば、第1のアンテナ部20は、筐体500の外壁のうち上面504に配置されていてもよい。この場合において、第1のアンテナ部20における最大利得方向GDの変更可能な範囲は、上面504を底面とした半球内である。また、第1のアンテナ部20が上面504に配置されている場合であっても、方向変更部530としてフレキシブルアーム等の寸法の長い部材を採用する場合には、水平方向より下側に第1のアンテナ部20の最大利得方向GDを向けることが可能である。また、第1のアンテナ部20は、筐体500の外壁面ではなく、複数の外壁面が交わる角に配置されていてもよい。この場合であっても、最大利得方向GDを変更できない無線LAN通信装置と比べて、第1のアンテナ部20を用いたクライアント装置との接続は容易である。
E−5.第5の他の実施形態
第3、第4実施形態において、無線LAN通信装置600、800は、方向変更部530と方向表示部520の両方を備えているが、これに限定されない。例えば、無線LAN通信装置600、800は、方向変更部530を備えず、方向表示部520のみを備えていてもよい。この場合には、使用者は、無線LAN通信装置600、800全体の方向を変更することによって、方向表示部520の示す最大利得方向GD、GD1、GD2をクライアント装置に向けることができる。この場合には、方向表示部520は、筐体500に矢印等のマークを付したものであってもよい。また、無線LAN通信装置600、800は、方向変更部530と方向表示部520の両方を備えていなくてもよい。この場合には、取扱説明書等の記載によって使用者が最大利得方向GD、GD1、GD2を把握できるようにしていてもよい。また、無線LAN通信装置600、800は、方向表示部520に代えて、例えば、有線接続もしくは無線接続された装置を介して最大利得方向GDを認識可能にする機能を有していても良い。
E−6.第6の他の実施形態
第3、第4実施形態において、方向変更部530は、最大利得方向GD、GD1、GD2を三次元的に変更可能であるが、これに限定されない。例えば、方向変更部530は、最大利得方向GD、GD1、GD2を上下方向にのみ変更可能であり、水平方向における、最大利得方向GD、GD1、GD2を変更できなくてもよい。例えば、方向変更部530が、鉛直方向と平行な面に沿って最大利得方向GD、GD1、GD2を変更可能な回転軸のみを有するヒンジ機構であってもよい。この場合であっても、最大利得方向GD、GD1、GD2を無線LAN通信装置600と異なる階に設置されていたクライアント装置に容易に向けることができる。
E−7.第7の他の実施形態
第3、第4実施形態において、方向変更部530の回転可能な範囲は、第1回転角θ1では0°以上270°以下の範囲であり、第2回転角θ2では0°以上90°以下の範囲である。しかし、方向変更部530の回転可能な範囲は、これに限定されない。例えば、第1回転角θ1は、0°以上270°以下よりも狭い範囲や広い範囲で変更可能な角度であってもよい。また例えば、第2回転角θ2は、0°以上90°以下よりも狭い範囲で変更可能な角度であってもよく、0°以上90°以下よりも広い範囲で変更可能な角度であってもよい。これらの場合であっても、第1の回転軸dx1と第2の回転軸dx2を有するため、無線LAN通信装置600、800は、最大利得方向GD、GD1、GD2を三次元的に変更可能である。
E−8.第8の他の実施形態
第3、第4実施形態において、無線LAN通信装置600、800は、識別部を備えているが、備えていなくても良い。例えば、第1のアンテナ部20と第2のアンテナ部30の両方が筐体500の内部に収容されている状態の場合には、識別部として機能する構成を有さない。この場合には、例えば、無線LAN通信装置600、800は、方向変更部530を備えず、方向表示部520を筐体500の外壁面上に備えていてもよい。また、例えば、無線LAN通信装置600、800は、方向変更部530と方向表示部520とに代えて、使用者によるシステムを介した第1のアンテナ部20の最大利得方向GD、GD1、GD2の認識と変更を可能とする機能を有していてもよい。また、第1のアンテナ部20と第2のアンテナ部30の両方が筐体500の外部に配置されている場合であっても、識別部は必須ではない。例えば、無線LAN通信装置600、800において、第1のアンテナ部20のみが方向変更部530による最大利得方向GD、GD1、GD2の変更が可能である場合である。この場合には、第1のアンテナ部20を識別できなくても、第2のアンテナ部30の方向を変更する等の使用者による誤操作は抑制される。
E−9.第9の他の実施形態
第3、第4実施形態において、無線LAN通信装置600、800は、さらに、アンテナ収容部510と配置外壁面501、502とが接触する際の衝撃によるアンテナ収容部510および配置外壁面501、502の破損を抑制する保護部を有していても良い。保護部は、アンテナ収容部510の外表面の一部であって、アンテナ収容部510の外表面の他の部分と比べて、配置外壁面501との接触の可能性が高い部分に設けられている。保護部には、衝撃や振動を和らげ保護対象に伝えづらくする機能を持つ緩衝材を用いることが可能である。緩衝材は、例えば、シリコンゴム等のゴムや発泡ポリエチレン等の発泡プラスチックである。具体的には、例えば、保護部は、最大利得方向GD、GD1、GD2を配置外壁面501、502に沿った方向に向けた場合に、アンテナ収容部510の表面のうち配置外壁面501、502と対面する部分に設けられ、他の部分より外側に突出していることが好ましい。この場合には、最大利得方向GD、GD1、GD2を配置外壁面501、502に沿った方向に向けた際に、保護部が他の部分より配置外壁面501、502に接触しやすい。これにより、アンテナ収容部510のうちで保護部が設けられた部分以外の外表面が配置外壁面501、502と衝突することを抑制できるので、アンテナ収容部510や配置外壁面501、502の破損を抑制できる。なお、保護部は、必ずしも、アンテナ収容部510の外表面に設けられている必要はない。例えば、保護部は、配置外壁面501、502に設けられていてもよい。
E−10.第10の他の実施形態
上記実施形態において、無線LAN通信装置100、600、800は、トライバンド無線LAN通信装置であるが、これに限定されない。無線LAN通信装置100、600、800は、トライバンド無線LAN通信装置以外の無線LAN通信装置であってもよい。トライバンド無線LAN通信装置以外の無線LAN通信装置とは、3つの無線通信部11〜13に加えて、もしくは、3つの無線通信部11〜13のうち少なくとも1つに代えて、主として用いる無線通信部として別の無線通信部を備える無線LAN通信装置である。別の無線通信部とは、例えば、別の周波数帯域を用いた無線通信を実行する無線通信部や、IEEE802.11とは別の規格に準拠した無線通信を実行する無線通信部である。別の周波数帯域を用いた無線通信とは、例えば、サブギガ帯域や60GHz帯域を用いた無線通信である。IEEE802.11とは別の規格に準拠した無線通信とは、例えば、Bluetooth(登録商標)やZigbee(登録商標)を用いた無線通信である。
E−11.第11の他の実施形態
第3、第4実施形態において、無線LAN通信装置600、800は、縦置きでの使用状態が示されているが、これに限定されない。無線LAN通信装置600、800は、例えば、縦置きでの使用状態と横置きでの使用状態との両方をとることが可能な構成であってもよい。また、無線LAN通信装置600、800は、横置きでの使用状態のみをとることが可能な構成であってもよい。これらの場合であっても、第1の回転軸dx1と第2の回転軸dx2を有するため、無線LAN通信装置600、800は、最大利得方向GD、GD1、GD2を三次元的に変更可能である。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行なうことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。