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JP6909354B2 - 物理量測定装置 - Google Patents
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Description

本発明は、たとえば圧力等の物理量を測定する物理量測定装置に関する。
物理量測定装置とは、例えば車両などに搭載される圧力センサ、トルクセンサ、荷重センサ、推力センサなどを指し、シリコンや炭化ケイ素からなる半導体素子を実装されることで構成され、エンジンの燃料圧、ブレーキ圧、各種ガス圧、荷重圧等の測定に用いられる。
従来の圧力センサは、通常、金属のダイアフラムに半導体素子が実装される。このダイアフラムの材質としては、シリコンに近い熱膨張係数を有するFe−Ni系合金などが使用される場合もあるが、耐力や腐食性などの観点からステンレス系のダイアフラムを使用することが求められる。
また、半導体素子とダイアフラムの接合に関しては、ガラスなどの脆性材を用いて、もしくは直接接合されることが望ましい。これは、一般的な樹脂やはんだ等で接合する場合には、接合層のクリープが問題となり半導体素子上で測定する物理量が変化してしまうためである。しかしながら、ステンレスと半導体素子とは、熱膨張係数が大きく異なるため、加熱して接合後の冷却工程で接合層に大きな熱応力が発生する。この熱応力によって接合層や半導体素子の破損が発生するため、接合時にかかる熱応力をいかに緩和して接合するかが問題となっている。
上記の問題を解決するため、例えば特許文献1では、接合部材上で、半導体素子の外周側に位置する部位に主成分が無機ガラスの応力吸収材を環状に設けることが開示されている。
特開2013−234955公報
しかしながら、特許文献1の方法では、環状に設けた応力吸収材の内周部位の下部に位置する接合層に信頼性を低下させる引張応力が発生してしまう。また、半導体素子とダイアフラムの接合において、最も熱応力の大きくなる部位は半導体素子の下部周辺の接合層部位と接合層の端部(側面)であるが、この部位には応力吸収材を形成できず熱応力を吸収しきれないため、接合部位の信頼性に課題があった。
本発明に係る物理量測定装置は、半導体素子と、基台と、前記半導体素子と前記基台とを接続する接合層と、を有する物理量測定装置において、少なくとも前記接合層側面の一部が応力緩和材と接触し、前記接合層は、少なくとも2層以上であり、かつ脆性材料で構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、物理量測定装置の熱応力を十分に緩和することができ、長期的に信頼性の高い装置を提供することができる。
圧力測定装置の断面図である。 圧力測定装置の回路図である。 接合体の断面図である。 接合体の断面図である。 接合体の断面図である。 接合体の上面図である。 応力緩和材の種類等に基づく解析値及び測定値を示す図である。 応力緩和材の種類等に基づく解析値を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図1から図8を用いて詳細に説明する。本発明は、半導体素子を使用して検出する物理量であれば特に制限されるものではないが、以下では検出する物理量の一例として、圧力測定装置について述べる。
(圧力測定装置)
図1は、圧力測定装置100の断面図である。
圧力測定装置100は、圧力ポート11と基台14とフランジ13とが形成される金属筐体10と、圧力ポート11内の圧力を測定する半導体素子15と、半導体素子15と電気的に接続される基板16と、カバー18と、外部と電気的に接続するためのコネクタ19とを備える。
圧力ポート11は、軸方向の一端側(図面下側)に圧力導入口12aが形成された中空筒状の圧力導入部12haと、圧力導入部12haの軸方向の他端側(図面上側)に形成された円筒状のフランジ13とを備えている。フランジ13の中央部位には、圧力によって変形し歪を生じる基台14が立設されている。
基台14は、圧力導入口12aから導入された圧力を受ける受圧面と、受圧面とは反対の面にセンサ搭載面とを有する。
圧力ポート11の圧力導入部12haの、基台14側の半導体素子15に対向する先端部12hatは矩形形状になっており、フランジ13の中央部であって基台14の上部表面より若干低い高さの部位まで連続して穿設されている。この先端部12hatの矩形形状によって、基台14にはx方向−y方向の歪差が生じる。
半導体素子15は、基台14のセンサ搭載面上のほぼ中央部に後述する接合層を介して接合されている。半導体素子15は、シリコンチップ上に基台14の変形(歪)に応じた電気信号を出力する1つ以上の歪抵抗ブリッジ30a〜30cを備える半導体チップとして構成される。
基板16は、半導体素子15から出力された各検出信号を増幅するアンプ、そのアンプのアナログ出力信号をデジタル信号に変換するA−D変換器、そのデジタル信号に基づいて後述する補正演算を行うデジタル信号演算処理回路、各種データが格納されたメモリおよびコンデンサ17等が搭載されている。
カバー18の軸方向他端を閉塞する閉塞板18aの、中央よりの所定径範囲は切り欠かれており、その切欠部には例えば樹脂等により形成され、圧力測定装置100で検出された検出圧力値を外部に出力するためのコネクタ19が挿入されている。
コネクタ19の一端はカバー18内においてカバー18に固定され、コネクタ19の他端はカバー18から外部へ露出している。
このコネクタ19の内部には、例えばインサート成型により挿入された棒状のターミナル20を有している。このターミナル20は、例えば電源用、接地用、信号出力用の3本で構成され、各ターミナル20の一端は基板16に接続されており、他端が図示省略の外部コネクタに接続されることによって、自動車のECU等へ配線部材を介して電気的に接続される。
図2は、圧力測定装置100の回路図である。半導体素子15の複数の歪抵抗ブリッジと基板16に搭載された各回路部品を示す。
歪抵抗ブリッジ30a〜30cは、それぞれ基台14の変形に応じて歪むことで抵抗値が変化する抵抗ゲージをブリッジ接続して構成されている。歪抵抗ブリッジ30a〜30cには電圧源35から電力が供給される。
歪抵抗ブリッジ30a〜30cの出力信号(圧力に相当するブリッジ信号)は、アンプ(AMP)31a〜31cによって増幅され、その増幅出力信号はA−D(アナログ−デジタル)変換器(ADC)32a〜32cによってデジタル信号に変換される。
デジタル信号演算処理回路(Digital Signal Processor)33は、A−D変換器32a〜32cの出力信号に基づいて、例えば1つの歪抵抗ブリッジ30aで検出された圧力値をその他の歪抵抗ブリッジ30b、30cの検出圧力値によって補正する演算処理を行って、その補正した圧力値を圧力測定装置の検出値として出力する。デジタル信号演算処理回路33には、不揮発性メモリ34が接続されている。
このデジタル信号演算処理回路33は、補正演算処理に限らず、複数の歪抵抗ブリッジの検出圧力値同士の比較や、歪抵抗ブリッジの検出圧力値と予め不揮発性メモリ34に記憶しておいた規定圧力値との比較を行って、測定対象機器の劣化や半導体素子15の劣化を判定し、その判定時に故障信号を出力する等の処理も行う。
尚、電圧源35から歪抵抗ブリッジ30a〜30cへの電力の供給およびデジタル信号演算処理回路33からの各信号の出力は、図1のターミナル20を介して行われる。
不揮発性メモリ34は、基板16に搭載された回路部品とは異なる回路チップに搭載されていてもよい。また、デジタル信号演算処理回路33の代わりに補正演算をアナログ回路で行うように構成してもよい。
(半導体素子と基台との接合部)
図3〜図5は、半導体素子15と、接合層21と、基台14との接合体の断面を示す一例である。
図3に示すように、基台14と半導体素子15とは、接合層21を介して接合されている。この例では、接合層21の側面全体が応力緩和材22で被覆されている。なお、接合層21の少なくとも側面の一部が応力緩和材22と接触する構成であってもよい。ここで接合層21の側面とは、基台14から半導体素子15を見た場合に基台14の実装面から垂直方向に位置する面のことを指す。接合層21の少なくとも側面の一部と接触する応力緩和材22が、半導体素子15と基台14の熱膨張係数差によって発生する熱応力を緩和することで、接合の信頼性を向上させている。
接合層21は図4、図5に示すように一層で構成する必要はなく、複数層に分けて構成することも可能である。複数層に分けて構成する場合には、例えば、図4に示すように半導体素子15の耐熱温度以下で半導体素子15を接合する役割を有する接合層21aと、高ヤング率、且つ高絶縁性を有する接合層21bというように役割を分担して構成することができる。この場合、接合層21aは絶縁性でなくても良い。複数層に分けて構成される接合層は、少なくとも2層以上であり、かつ脆性材料で構成されもよい。接合層は、少なくとも1層以上の絶縁層を有する。
また、図5に示すように、さらに接合層21a、接合層21bに加えて、基台14と接合する役割を有する接合層21cを加えて構成することもできる。図4、図5のように複数層で構成することによって、接合層21に発生する熱応力をうまく分散できるため、接合の信頼性をさらに向上させることができる。これら接合層21は、環境への配慮から無鉛の材料で構成されることが望ましい。本実施形態でいう無鉛とは、RoHS指令(Restriction of Hazardous Substances:2006年7月1日施行)における禁止物質を指定値以下の範囲で含有することを容認するものとする。接合層21の厚みは、特に規定されるものではなく、5〜500μm程度まで幅広く使用できるが、信頼性とセンサとしての出力の関係から特に好ましいのは20μm以上300μm以下である。
また、図6は接合体の上面図である。図3〜図5に示した、半導体素子15と、接合層21と、基台14との接合体を上面から観察した場合の一例である。この例では、接合層21の周囲であって、接合層21全体が応力緩和材22で被覆されている。図6では、接合層21の側面全体が応力緩和材22で被覆されているが、接合層21の側面の一部が応力緩和材22と接触するようにしてもよい。
このように、接合層21の少なくとも側面の一部が応力緩和材22と接触する構成であり、より望ましくは、図3〜図5に示したように、接合層21の側面全体が被覆されている状態である。さらに望ましくは、図6に示したように、接合層21全体が応力緩和材22で被覆されている状態である。応力緩和材22が接合層21を覆うことで、接合層21の熱収縮を、引っ張り力で緩和する。また、半導体素子15の少なくとも側面の一部が応力緩和材22と接触している。これにより、半導体素子15に発生する熱応力を緩和することができる。
半導体素子15の材料としては、特に限定されるところではないが、一般的な材料であるシリコンや炭化ケイ素を用いることができる。この際、半導体素子15の裏面には、接合層21との接着強度向上や接合時の熱応力を緩和するために薄膜層を成膜することもできる。薄膜層としては、少なくともAl、Ni、Ti、Mo、Ag、SiNが含まれることが望ましい。これによって、半導体素子15の材質が変わっても接合層21に合わせて接合することが可能となる。
基台14の材質には、高圧や繰り返し応力にも対応できるように高耐力であること、さらに半導体素子15との熱膨張係数差を小さくするために低熱膨張特性であることが求められる。そのため、例えば、SUS系ではSUS630やSUS430、SUS420J2などが採用される。また、鉄系では鋳鉄、クロムモリブデン鋼、炭素工具鋼などを用いることができる。鉄系の材料を用いる場合には、耐食性を向上させるためにメッキなどの処理を施しても良い。メッキの種類としては特に限定されるところではないが、亜鉛ニッケル合金メッキなどが適用できる。基台14の耐力としては、400MPa(メガパスカル)以上あることが好ましい。これ以下の場合には、基台14に繰り返しの応力が発生することによって基台14の信頼性が低下する。また、基台14の熱膨張係数としては、140×10−7/℃以下であることが好ましい。これ以上の場合には、半導体素子15との熱膨張係数差が大きくなることによって接合層21で熱応力を緩和するのが難しくなり、信頼性が低下する。ここで、本実施形態における熱膨張係数とは、室温〜250℃の温度範囲での測定した値のことを指す。
接合層21は、絶縁性、且つ低クリープ特性を有するものであれば特に限定されるところではなく、樹脂材料も用いることができるが、低クリープ特性の観点からはガラスなどの脆性材が含まれることが好ましい。絶縁性が必要な理由は、自動車等へ実装時に基台14から半導体素子15へかかるノイズを抑制することができるためであり、低クリープ特性が必要な理由は、物理量を測定する半導体素子15へかかる物理量が変化しないためである。ここで、本実施形態における絶縁性とは、体積抵抗率で1010Ωcm以上のことを指す。
接合層21の熱膨張係数(α21)は、熱応力緩和の観点から半導体素子15の熱膨張係数(α15)以上、基台14の熱膨張係数(α14)以下であることが望ましい。すなわち、α14≧α21≧α15の関係性を満たす。また、接合層が上記のように複数層になる場合には、各層の熱膨張係数を層の上から順にα21a、α21b、α21c・・・とすると、α14≧・・・α21c≧α21b≧α21a≧α15の関係を満たすことが好ましい。
応力緩和材22は、半導体素子15や接合層21、基台14と反応しないものであれば特に限定されるところではないが、樹脂材料のような延性材料を含むことが望ましい。低融点ガラスのような脆性材料のみで形成した場合には、応力緩和材22に発生する応力によって応力緩和材22そのものが破損する場合がある。その場合、それが接合層21や半導体素子15にも破損をもたらす場合があるため、信頼性の観点から樹脂材料のような延性材料を含むもので構成されることが望ましい。また、応力緩和材22として、基板16上の回路を保護する保護部材を援用してもよい。
また、無鉛の低融点ガラスの場合には、半導体素子15の耐熱温度以下で接合できるガラス組成としてバナジウムを含むものが選択されるが、この場合には接合層21の側面を応力緩和材22で被覆した場合に絶縁性を担保できなくなる。同様の観点から、応力緩和材22は絶縁性を有することが求められる。また、樹脂材料を含むことのメリットは、樹脂材料を含むことで接合層21の接合温度よりも低温で形成できるため、接合層21との反応を抑えることができるためである。すなわち、接合層の接合温度は半導体素子の耐熱温度以下である。これにより、熱応力の大きくなる接合層21の側面や半導体素子15の側面にも応力緩和材を形成することができ、効果的に接合層21や半導体素子15に発生する熱応力を緩和することができる。
応力緩和材22の熱膨張係数(α22)は、基台14の熱膨張係数(α14)以下であることが望ましい。より望ましくは、接合層21の熱膨張係数(α21)以上である。すなわち、α14≧α22の関係性を満たすことが望ましい。より望ましくは、α14≧α22≧α21である。熱膨張係数を上記範囲にすることで、接合時に発生する熱応力を効果的に緩和することができる。
応力緩和材22のヤング率は、1.9GPa以上であることが望ましい。より望ましくは、3.9GPa以上である。これを満たすとき、接合時に発生する熱応力を効果的に緩和することができる。
応力緩和材22に含まれる樹脂材料は、結晶質あるいは非晶質どちらでも良く、また1種類でなく数種類組み合わせて使用することも可能である。樹脂材料としては、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリイミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリビニルエステル等が使用できる。また、ゴムとしては、フッ素ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム等の樹脂が使用できる。ただし、耐熱性の観点からガラス転移温度が130℃以上であることが好ましい。これ以下の温度では、外部温度によって樹脂劣化によるセンサ特性変化の可能性がある。
応力緩和材22に含まれる部材としては、樹脂材料の他に熱膨張係数やヤング率を調整するためにセラミックスなどのフィラ材が含まれていても良い。フィラ材としては、例えばウォラストナイト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、石膏繊維、アルミボレート、アラミド繊維、繊維状マグネシウム化合物、炭素繊維、ガラス繊維、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ポリオキシベジンゾイルウイスカなどを使用することができる。また、これらを複数組み合わせて使用することもできる。
上記の樹脂材料とフィラ材を好ましい熱膨張係数、ヤング率とするために組み合わせて使用することができる。また、上記の応力緩和材22は、物理量測定装置を形成する際に、他の部材を接合・封止するのと共通部材とすることもできる。その場合、工程数を削減することもできるため、その観点から樹脂材料とフィラ材を選定することも可能である。
(例1−3、比較例1)
以下、例を用いて応力緩和材の種類等に基づく測定値について説明する。ただし、本発明は、ここで取り上げた例の記載に限定されることはなく、適宜組み合わせてもよい。
図7(A)に示す例1から例3は、応力緩和材の種類を材料Aから材料Cとした場合の例であり、比較例は応力緩和材を用いない場合を示す。これらの例では、図5に示した接合構造において、130℃から−40℃の間の温度変化を与えた場合の半導体素子15の接合層21aとの接合面における発生熱応力をCAE解析したものである。例1では、熱膨張係数α(×ppm/℃)は10、ヤング率(GPa)は22.8、半導体素子15にかかる最大主応力変化率(%)は29であった。例2では、熱膨張係数α(×ppm/℃)は41、ヤング率(GPa)は3.9、主応力変化率(%)は37であった。例3では、熱膨張係数α(×ppm/℃)は89、ヤング率(GPa)は1.9、主応力変化率(%)は92であった。
図8(A)は、図7(A)に示す例1から例3について、横軸に熱膨張係数を縦軸に主応力変化率をプロットしたグラフである。図8(B)は、図7(A)に示す例1から例3について、横軸にヤング率を縦軸に主応力変化率をプロットしたグラフである。
なお、図7(B)は、図7(A)に示す例1から例3の解析において使用した、図5に示した半導体素子15、接合層21a、接合層21b、接合層21c、基台14の物性値を示す。熱膨張係数α(×ppm/℃)は、半導体素子15、接合層21a、接合層21b、接合層21c、基台14の順にそれぞれ、3.0、6.0、7.2、11.6、11.3である。ヤング率(GPa)は、半導体素子15、接合層21a、接合層21b、接合層21c、基台14の順にそれぞれ、170、53、73、53、205である。
図7(A)、図8(A)、図8(B)より、図5に示すように応力緩和材22を形成することで熱応力を低減できることが判明した。また、図7(B)、図8(A)より、熱応力を効果的に低減させるためには応力緩和材22の熱膨張係数は、基台14の熱膨張係数以下程度になると効果が大きくなることが分かった。また、図7(A)、図8(B)より、応力緩和材22のヤング率は1.9GPa以上であるときに効果が大きくなり、より効果的なのは3.9GPa以上であった。
(例4−6、比較例2)
本例は、図5に示す接合構造の信頼性を実験にて検討したものである。
<接合材の作製>
接合材を作製するに当たり、接合層21bにはガラス板(SCHOTT製D263)を用いた。このガラス板の上下に接合層21a、21c形成ペーストをスクリーン印刷を用いて塗布し、150℃にて30分乾燥した後、仮焼成を実施することで接合材を得た。なお、接合層21aには、V−P−TeO−Fe系ガラス(熱膨張係数α=6.0ppm/℃)、接合層21cにはV−P−TeO−BaO−KO系ガラス(熱膨張係数α=11.6ppm/℃)を用いた。
<接合体の試作>
被接合材として、裏面にTiとAlのメタライズ処理をした半導体素子15(160μm厚)とSUS630製基台14を用いた。半導体素子15と基台14の間に上述のようにして作製した接合層21を設置し、半導体素子15の上面から荷重を付加し、加熱することで接合体を作製した。このとき、加熱条件は400℃にて10分間保持した。
<応力緩和材22の形成>
応力緩和材22として、例1〜例3に記載の材料A、B、Cを用いて応力緩和材22を100〜160℃で1〜2h保持することで形成した。
<接合の信頼性評価>
接合体の信頼性評価として、4点曲げ試験を実施した。4点曲げ試験では、接合体が破壊する際の応力を計測することで接合強度を測定した。その結果を図7(C)に示す。
図7(C)に示す例4から例6は、応力緩和材の種類を材料Aから材料Cとした場合の例であり、比較例は応力緩和材を用いない場合を示す。例4では、平均接合強度は198、ワイブル係数mは5.1であった。例5では、平均接合強度は157、ワイブル係数mは6.6であった。例6では、平均接合強度は109、ワイブル係数mは4.5であった。応力緩和材を用いない比較例では、平均接合強度は100、ワイブル係数mは3.0である。平均接合強度(MPa)とは接合体が破壊する際の応力の平均である。 以上の結果より、図5に示す接合構造において、応力緩和材22を形成することで実際に接合体の接合強度が向上することが確認できた。また、接合強度のバラツキを示すワイブル係数も改善できることが判明した。
(例7、比較例3)
本例では、図4に示す接合構造の信頼性を実験した例について記載する。
接合層21a形成ペーストとしては、例4−6と同様のものを使用した。接合層21bの形成には、接合層21b形成ペーストを用いて形成した。接合層21b形成ペーストは、SiO−Al−BaO系ガラスペースト(熱膨張係数α=7.1ppm/℃)を用いた。接合層21bの形成は、スクリーン印刷を用いて基台上に接合層21b形成ペーストを印刷後、150℃で30min乾燥後、850℃にて10min焼成することで約20μmの接合層21bを形成した。この接合層21bの上面に、例4−6で作製した接合層21a形成ペーストを同様にスクリーン印刷にて塗布し、400℃にて30min保持することで仮焼成を実施して約20μmの接合層21aを形成した。その後、この接合層21aの上面に例4−6と同様に半導体素子15を設置して荷重を付加し、400℃にて10min保持することで接合体を作製した。作製した接合体に対し、例4で使用した応力緩和材22を同様に形成した。また、比較例3として応力緩和材22を形成しないものも作製した。
作製した接合体に対して、例4−6と同様に4点曲げ試験を実施した。結果は、例4−6と同様に接合強度向上およびバラツキが低減できることが分かった。以上の結果より、本発明は接合層21の構造に関わらず、接合時に発生する熱応力を緩和する効果があることが判明した。
(例8―10、比較例4)
本例では、図1に示す圧力センサの信頼性を検討した例について記載する。なお、接合構造は例4と同様のものとした。ただし、応力緩和材22の形態については、図7(D)に示すように、例8では、接合層の側面の一部を被覆したもの、例9では、接合層の側面全体を被覆したもの、例10では、接合層全体と半導体素子側面全体(図6相当)としたものを作製した。また、比較例4として応力緩和材22を形成しないものも作製した。
作製した圧力センサに対して、0〜20MPaの圧力レンジをフルスケール(F.S.)で0.5〜4.5Vと設定し、以下の信頼性試験を実施した。図7(D)に示す熱衝撃は、130℃〜−40℃での熱衝撃試験2000サイクルの信頼性試験である。図7(D)に示す−40℃放置は、−40℃での2000時間放置試験することによってセンサ出力値のドリフト特性を評価したものである。図7(D)に示す130℃放置は、130℃での2000時間放置試験することによってセンサ出力値のドリフト特性を評価したものである。評価結果は、試験前後で20℃での値の出力値の変化が2%F.S.未満のものを優、2%以上3%F.S.未満のものを良、3%以上4%未満F.S.のものを可とした。ただし、割れ等により評価できなかったものが存在した場合には不可とした。その結果、図7(D)に示すように、例10が最も優れた信頼性を示し、例9、例8も良好な信頼性を示した。
以上の結果より、応力緩和材22を形成することで、長期的な信頼性においても向上することが確認できた。ここで、接合層の全面が被覆されている場合と一部しか接触していない場合では、接合層の全面が被覆されている場合の方が出力値変化が小さい傾向にあった。したがって、応力緩和材は接合構造全体の応力を緩和できるため、被覆面積が大きい方が望ましいことが分かった。もっとも望ましくは、半導体素子の側面も全面接触することが良好である。
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)物理量測定装置100は、半導体素子15と、基台14と、半導体素子15と基台14とを接続する接合層21と、を有し、少なくとも接合層21の側面の一部が応力緩和材22と接触していることを特徴とする。これにより、物理量測定装置100の熱応力を十分に緩和することができ、長期的に信頼性の高い装置を提供することができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限り、本発明の技術思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。また、上述の実施形態を組み合わせた構成としてもよい。
10…金属筐体
11…圧力ポート
12…圧力導入部
12a…圧力導入口
12ha…圧力導入部
12hat…先端部
13…フランジ
14…基台
15…半導体素子
16…基板
17…コンデンサ
18…カバー
18a…閉塞板
19…コネクタ
20…ターミナル
21、 21a〜21c…接合層
22…応力緩和材
30a〜30c…歪抵抗ブリッジ
31a〜31c…アンプ
32a〜32c…A−D変換器
33…デジタル信号演算処理回路
34…不揮発性メモリ
35…電圧源
100…圧力測定装置

Claims (14)

  1. 半導体素子と、基台と、前記半導体素子と前記基台とを接続する接合層と、を有する物理量測定装置において、少なくとも前記接合層側面の一部が応力緩和材と接触し
    前記接合層は、少なくとも2層以上であり、かつ脆性材料で構成されていることを特徴とする物理量測定装置。
  2. 請求項1に記載の物理量測定装置において、
    前記接合層の側面全体が前記応力緩和材で被覆されていることを特徴とする物理量測定装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の物理量測定装置において、
    前記接合層全体が応力緩和層で被覆されていることを特徴とする物理量測定装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の物理量測定装置において、
    前記半導体素子の側面にも前記応力緩和材が接触していることを特徴とする物理量測定装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の物理量測定装置において、
    前記応力緩和材は、延性材料を含むことを特徴とする物理量測定装置。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の物理量測定装置において、
    前記応力緩和材は、樹脂材料を含むこと特徴とする物理量測定装置。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の物理量測定装置において、
    前記応力緩和材のガラス転移温度は、130℃以上であることを特徴とする物理量測定装置。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の物理量測定装置において、
    前記応力緩和材のヤング率は、1.9GPa以上であることを特徴とする物理量測定装置。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の物理量測定装置において、
    前記応力緩和材の熱膨張係数は、前記基台の熱膨張係数以下であることを特徴とする物理量測定装置。
  10. 請求項9に記載の物理量測定装置において、
    前記応力緩和材の熱膨張係数は、前記基台の熱膨張係数以下であり、かつ前記接合層の熱膨張係数以上であることを特徴とする物理量測定装置。
  11. 請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の物理量測定装置において、
    前記接合層は、3層で構成されていることを特徴とする物理量測定装置。
  12. 請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の物理量測定装置において、
    前記接合層は、少なくとも1層以上の絶縁層を有することを特徴とする物理量測定装置。
  13. 請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の物理量測定装置において、
    前記接合層の熱膨張係数は、前記基台の熱膨張係数以下と前記半導体素子の熱膨張係数以上の間の特性を有することを特徴とする物理量測定装置。
  14. 請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載の物理量測定装置において、
    前記接合層の接合温度は前記半導体素子の耐熱温度以下であることを特徴とする物理量測定装置。
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