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JP6909581B2 - コンクリート部材の施工方法 - Google Patents
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本発明は、コンクリート部材の施工方法に関する。
マスコンクリート等のように体積や部材厚が大きいコンクリート部材の施工では、セメントの水和熱による温度上昇によってひび割れが生じやすくなる。そのため、コンクリート部材の施工では、打設したコンクリートをパイプクーリングにより冷却することで、温度ひび割れの抑制を図る場合がある。
例えば、特許文献1には、コンクリート内に配管されたシース管内に、冷媒を通流させることで、コンクリートの温度上昇の抑制を図るコンクリートのクーリング工法が開示されている。シース管は、長さ10m程度の管材同士を溶接またはネジ式継手により接続することで、所定の延長を有している。
特開昭63−50378号公報
溶接により管材同士を接合すると、施工に時間がかかるとともに、作業が天候に左右されてしまう。また、ネジ式継手は、予め管材に加工しておく必要があるため、管材の加工に費用がかかる。また、コンクリート部材の形状やコンクリートに埋め込まれた埋設物等との関係により、シース管を任意の形状に配管する場合には、シース管(管材)に加工を施す必要があり、材料費が高価になる。
本発明は、前記の問題点を解決することを目的とするものであり、施工性および経済性に優れたコンクリート部材の施工方法を提案することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、型枠を組み立てるとともに前記型枠内にクーリングパイプを配管する準備工程と、前記型枠内にコンクリートを打設する打設工程と、前記コンクリートを養生する養生工程とを備えるコンクリート部材の施工方法であって、前記準備工程では前記クーリングパイプとして貯水槽から排水槽にまで延設された1本の内径50mm以下の波型硬質ポリエチレン管を配管し、前記養生工程では前記クーリングパイプ内に冷媒を通流させることを特徴としている。コンクリート内に補強材等の埋設物がある場合には、前記波型硬質ポリエチレン管を任意の線形に折り曲げつつ配管すればよい。
かかるコンクリート部材の施工方法によれば、束巻きされた状態で搬入が可能な波型硬質ポリエチレン管をクーリングパイプとして使用しているため、クーリングパイプの配管作業を簡易かつ安価に行うことができる。すなわち、1本の波型硬質ポリエチレン管により広範囲にクーリングパイプを配管することができるため、パイプ材同士を連結する手間や費用を削減することができるとともに、パイプの継手を形成するための費用も必要ない。また、波型硬質ポリエチレン管は、適宜任意の形状に折り曲げることができるため、クーリングパイプを任意の形状に加工する費用を削減することができる。さらに、波型硬質ポリエチレン管は、軽量で取扱いやすいため、作業性に優れている。
本発明のコンクリート部材の施工方法によれば、簡易かつ安価にコンクリート部材を高品質施工することができる。
(a)は地上LNGタンクを示す概要図、(b)は壁体の拡大断面図である。 (a)は図1(a)のA−A断面図、(b)は同B−B断面図である。 波型硬質ポリエチレン管の一部を示す図である。 (a)は第一ロットの施工状況を示す断面図、(b)は第二ロットの施工状況を示す断面図である。 解析モデルを示す断面図であって、(a)は実施例、(b)は比較例1、(c)は比較例2である。 各解析モデルの最高温度分布図であって、(a)は実施例、(b)は比較例1、(c)は比較例2である。 各解析モデルの最小ひび割れ指数分布図であって、(a)は実施例、(b)は比較例1、(c)は比較例2である。
本実施形態では、図1(a)に示す地上LNGタンクの防液堤を構成する平面視円筒状の壁体(コンクリート部材)Wを施工する場合について説明する。
壁体Wは、底版Bから立ち上がるプレストレストコンクリート構造の構造体であり、図1(b)に示すように、場所打ちコンクリートからなるコンクリート壁部1と、コンクリート壁部1の内側面に残置された残存型枠(内型枠)2とを備えている。壁体Wの下部(1〜2回目のロットWL1,WL2)は、その他の部分よりも壁厚が大きい。また、壁体Wの下部は、図2(a)に示すように、資材等搬入用の開口部Wを有した状態で平面視C字状に形成する。なお、開口部Wは、壁体Wのその他の部分(下部以外)の施工後に遮蔽する。本実施形態の壁体Wには、4つのピラスターWが壁体Wの周方向に対して等間隔に形成されている。なお、ピラスターWの数や配置は限定されるものではない。
コンクリート壁部1の内部には、図1(b)に示すように、壁筋11、周方向PC鋼材12や縦方向PC鋼材13などが埋設されている。壁筋11は、縦筋と横筋とを格子状に組み合わせたものである。周方向PC鋼材12は、一のピラスターから他のピラスターに至るPC鋼より線からなり、周方向に延在するシース(図示せず)に挿通されている。シースは、外周側(残存型枠2の反対側)の壁筋11に沿って配置されている。縦方向PC鋼材13は、コンクリート壁部1の下端部から上端部に至るPC鋼棒からなる。
また、コンクリート壁部1の下部には、クーリングパイプ3が配管されている。本実施形態のクーリングパイプ3は、内径30mmの波型硬質ポリエチレン管Pにより構成されている(図3参照)。なお、クーリングパイプ3の内径は、50mm以下であれば限定されるものではない。
残存型枠(内型枠)2は、複数のセグメント(図示せず)を周方向および上下方向に連結して形成したものである。セグメントは、正面視矩形状且つ平面視円弧状を呈するプレキャストコンクリート製品である。図示は省略するが、セグメントには、コンクリート壁部1側に開口する継手ボックスの他、外槽ライナープレート用のインサートナット、セパレータ用のインサートナット、コンクリート壁部1との一体化を図るためのせん断伝達部材などが埋設されている。
壁体Wの施工は、複数回のロット(WL1,WL2,…)に分けて数mずつ立ち上げる。壁体Wの施工方法は、準備工程と、打設工程と、養生工程とを備えている。
準備工程は、型枠(内型枠および外型枠)を組み立てるとともに型枠内に壁筋11、PC鋼材12,13およびクーリングパイプ3を配設する。まず、図4(a)に示すように、底版Bの上面で複数のセグメント21を周方向に連結して残存型枠(内型枠)2を形成する。下段のロット(例えば1〜2回目のロットWL1,WL2)部分の残存型枠2は、資材等搬入用の開口部22が形成されていることで平面視C字状を呈している(図2(a)参照)。なお、下段のロット以外のロット(例えば3回目以降のロット)部分では、図2(b)に示すように、残存型枠2を円環状(平面視リング状)に形成する。残存型枠2のセグメント21は、底版Bの上面に配設した後、隣り合う他のセグメント21と連結する。セグメント21同士は、各セグメント21に設けた継手ボックス(図示略)を利用して、ボルト接合する。
内型枠(残存型枠)2を形成したら、必要な壁筋11の配筋および周方向PC鋼材12や縦PC鋼材13の設置を行う(図1(b)参照)。壁筋11は、施工現場内の鉄筋加工場等において組み立てておいた鉄筋網あるいは鉄筋籠の状態で建て込むとよい。
下段のロット(本実施形態では、1〜2回目のロットWL1,WL2)部分では、壁筋11やPC鋼材12,13の配設に伴い、クーリングパイプ3の配管も行う。図1(a)に示すように、1回目のロットWL1では、クーリングパイプ3を壁体Wの内側と外側にそれぞれ上下1本ずつ(合計4本)配管する。なお、クーリングパイプ3の本数および配置は限定されるものではない。クーリングパイプ3は、壁筋11やPC鋼材12,13等の埋設物と干渉することがないように配管する。すなわち、クーリングパイプ3は、壁筋11やPC鋼材12,13等の埋設物をかわすように、波型硬質ポリエチレン管を任意の線形に折り曲げつつ配管する。本実施形態では、図2(a)に示すように、1本の波型硬質ポリエチレン管Pにより貯水槽から排水槽にまで延設された第一クーリングパイプ31と、2本の波型硬質ポリエチレン管P,Pを連結することにより貯水槽から排水槽にまで延設された第二クーリングパイプ32とを配管する。波型硬質ポリエチレン管は、最大で200mの長さで束巻きされたものを搬入する。第一クーリングパイプ31は、残存型枠2の外面に沿って、開口部Wから時計回りに2つめのピラスターW(以下「第二ピラスターWP2」という)に至るまで配管する。一方、第二クーリングパイプ32は、残存型枠2の外面に沿って、第二ピラスターWP2(開口部22から反時計回りに3つ目のピラスターW)に至るまで配管する。すなわち、壁体Wの下部では、クーリングパイプ3を壁体Wの全長にわたって配管する。なお、第二クーリングパイプ32は、波型硬質ポリエチレン管P同士を、第四ピラスターWP4と第三ピラスターWP3との間において、接合している。クーリングパイプ3の端部は、開口部Wおよび第二ピラスターWP2の位置において、壁体Wから突出している。
次に、図4(a)に示すように、内型枠2から隙間をあけて、内型枠2の外側に外型枠4を設置する。外型枠4は、セパレータ5,5を介して内型枠2に連結する。本実施形態では、上下2段のセパレータ5,5を配設するが、セパレータ5の段数や配設ピッチ等は限定されない。なお、外型枠4は、コンクリートCの側圧により変形することがない強度を有している。
打設工程では、内型枠2と外型枠3との間にコンクリートCを打設する。コンクリートCの打設は、コンクリート圧送管を利用して行う。
養生工程では、内型枠2と外型枠4との間に打設されたコンクリートCを養生する。このとき、クーリングパイプ3内に冷媒を通流させて、コンクリートCを冷却する。クーリングパイプ3の一端(開口部22側の端部)は水中ポンプを介して貯水槽に挿入(接続)されており、クーリングパイプ3の他端(ピラスター側の端部)は排水槽に接続されている。水中ポンプを駆動させると、貯水槽に貯留された水がクーリングパイプ3に供給される。なお、冷媒は水に限定されるものではなく、例えば、冷気であってもよい。また、クーリングパイプ3に冷媒を通流させるタイミングは限定されるものではなく、例えば、コンクリートCの打設開始と同時に開始してもよい。
1回目のロットWL1の施工が完了したら、2回目以降のロットWL2を形成する。2回目以降のロットは、図4(b)に示すように、内型枠2の上面で複数のセグメント21を周方向および上下方向に連結して上段内型枠を形成した後、壁筋11、PC鋼材12,13および必要に応じてクーリングパイプを配設する。なお、本実施形態では、2回目のロットでは、壁体Wの内面側と外面側とにそれぞれ3段(合計6本)のクーリングパイプを配管する。一方、3回目以降のロットではクーリングパイプは配管しないものとする。そして、上段内型枠22から隙間をあけて、上段内型枠22の外側に上段外型枠31を設置した後、上段内型枠と上段外型枠との間にコンクリートを打設する。
全てのロットが終了したら、周方向PC鋼材12および縦方向PC鋼材13に引張力を付与し、壁体Wにプレストレスを導入する。
本実施形態の壁体W(コンクリート部材)の施工方法によれば、クーリングパイプ3の配管作業を簡易かつ安価に行うことができる。クーリングパイプ3には、束巻きされた状態で搬入された波型硬質ポリエチレン管を使用しているため、1本の管材を広範囲に配管することができる。したがって、パイプの継手を形成するための費用も必要ない。また、管材同士の継手を無くす或いは少なくすることで、漏水の懸念がない。
また、波型硬質ポリエチレン管Pは、適宜任意の形状に折り曲げることができるため、クーリングパイプ3を任意の形状に加工する手間や費用を削減することができる。すなわち、シース管等によりクーリングパイプを配管する場合には、直管と折れ管を適宜接合しながら組み合わせる必要があるが、本実施形態では波型硬質ポリエチレン管Pを使用することでその手間を省略することができる。さらに、波型硬質ポリエチレン管Pは、軽量で取扱いやすいため、作業性に優れている。
また、本実施形態の壁体W(コンクリート部材)の施工方法によれば、クーリングパイプを2列配置することで、コンクリートをより効率的に冷却することができる。また、冷却水(冷媒)の通水流量も、従来のシース管等を使用したクーリングパイプに比べて少なくすることができる。そのため、冷却水の貯留するためのスペースや容器の縮小が可能となり、また、冷却水の冷却装置やポンプなどの圧送手段の省力化(小規模化)も可能となる
以下、本実施形態のコンクリート部材の施工方法によりコンクリート部材を構築した場合における温度分布やひび割れ指数分布を解析した結果を示す。本解析(実施例)では、図5(a)に示すように、壁厚t=140mmの残存型枠2の外面に設計基準強度f’ck=40N/mmの中庸熱ポルトランドセメントにより壁厚t=1360mm、第一ロット高h=1800mm、第二ロット高h=3000mmのコンクリート壁部1を形成するものとした。コンクリート壁部1には、第一ロットWL1に4本(2本×2段)のクーリングパイプ3が配管されていて、第二ロットWL2には6本(2本×3段)のクーリングパイプが配管されている。クーリングパイプ3には、φ30mmの波型硬質ポリエチレン管を使用した。なお、各クーリングパイプ3に通水される冷却水の温度は、第一ロットWL1は28℃、第二ロットWL2は24℃とし、冷却水の通水速度は60cm/secとした。
また、比較例1として、図5(b)に示すように、クーリングパイプを配管しない場合についても解析を行った。
さらに、比較例2として、図5(c)に示すように、φ90mmのシース管からなるクーリングパイプ3を第一ロットWL1に一列配置で5本配管し、第二ロットWL2に1列配置で9本配管した場合についても解析を行った。
図6(a)〜(c)に実施例および比較例1,2の最高温度分布、図7(a)〜(c)に最小ひび割れ指数分布を示す。図6(a)〜(c)に示すように、実施例(図6(a))では、第一ロットWL1における最高温度が48℃、第二ロットにおける最高温度が47℃になり、クーリングパイプを配管していない場合(図6(b)に比べて、第一ロットWL1で3℃、第二ロットWL2で6℃温度を低下できる結果となった。また、第一ロットWL1と第二ロットWL2の最高温度がそれぞれ49℃と46℃の比較例2(図6(c))と比較しても同等の冷却効果が得られる結果となった。
また、図7(a)に示すように、実施例の最小ひび割れ指数は、第一ロットWL1で2.76、第二ロットWL2で2.49となり、最小ひび割れ指数の目標値とされる1.85をクリアできる結果となった。なお、図7(b)に示すように、クーリングパイプを配管しない比較例1では、最小ひび割れ指数は、第一ロットWL1で1.75、第二ロットWL2で1.66となり、最小ひび割れ指数(1.85)をクリアすることができなかった。また、図7(c)に示すように、比較例2では、最小ひび割れ指数は、第一ロットWL1で2.75、第二ロットWL2で2.35となり、実施例と同程度の結果が得られた。
なお、実施例の通水流量が15m/時間であったの対し、比較例2の通水流量は215m/時間であった。したがって、実施例によれば、比較例2に比べて、少ない通水流量(10%以下の通水流量)により、コンクリートの冷却効果、ひび割れ抑制効果を得られることが実証された。
以上、本発明に係る実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
前記実施形態では、地上LNGタンクの防液堤の壁体Wを構築する場合について説明したが、本発明のコンクリート部材の施工方法により構築するコンクリート部材は限定されるものではない。
1 コンクリート壁部
2 残存型枠(内型枠)
3 クーリングパイプ
4 外型枠
B 底版
C コンクリート
W 壁体

Claims (2)

  1. 型枠を組み立てるとともに前記型枠内にクーリングパイプを配管する準備工程と、
    前記型枠内にコンクリートを打設する打設工程と、
    前記コンクリートを養生する養生工程と、を備えるコンクリート部材の施工方法であって、
    前記準備工程では、前記クーリングパイプとして貯水槽から排水槽にまで延設された1本の内径50mm以下の波型硬質ポリエチレン管を配管し、
    前記養生工程では、前記クーリングパイプ内に冷媒を通流させることを特徴とする、コンクリート部材の施工方法。
  2. 前記準備工程では、前記波型硬質ポリエチレン管を任意の線形に折り曲げつつ配管することを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート部材の施工方法。
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