JP6909892B2 - 組織中への流体の拡散を標準化するための材料および方法 - Google Patents
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Description
2015年2月9日に出願した、参照によりその内容全体が組み込まれている米国仮特許出願第62/113,787号の利益がこれにより主張される。
of Clinical Oncology:ASCO)によれば、免疫組織化学によって組織のHER2を試験するためには、中性緩衝ホルマリン溶液中で、少なくとも6時間で、かつ、72時間以内にわたって固定されなければならない。このプロトコルは、乳房試料に対してはフォローされても、このプロトコルは幅が広くて役に立たず、最良の実践の解釈のための余地を残している。さらに、このような固定プロトコルは、タンパク質の加リン酸反応などの固定された組織の重要な分子特徴の保存にしばしば失敗している。
(a)複数の異なるタイプの同様のサイズの組織試料の各々を一定の体積の流体中に浸すステップと、
(b)組織試料を通過した音波の飛行時間(TOF)を測定することによって、個々の複数の異なるタイプの組織試料中への流体の動きを監視するステップと、
(c)複数の異なるタイプの組織試料の各々に対する少なくとも崩壊定数に到達するまでの時間(τ)を決定するステップと、
(d)(c)で決定された最も長いτに基づく時間に対応する、標準化されたプロトコルのための標準化された拡散時間(τslowest)を選択するステップと
を含む。
一例示的実施形態では、標準化されたプロトコルは液浸固定プロトコルである。液浸固定は、固定剤を組織中に拡散させるのに十分な時間期間の間、組織試料を液体固定剤溶液中に浸すことによって組織試料を保存するための技法である。それとは対照的に、潅流固定として知られている技法は、固定剤を組織全体に分散させるために主として組織の血管系に頼っている。別の例示的実施形態では、液浸固定プロトコルは、潅流固定ステップを含んでいない。別の例示的実施形態では、液浸固定プロトコルは、グルタルアルデヒド系溶液および/またはホルマリン系溶液などのアルデヒド系固定剤溶液を使用する。別の例示的実施形態では、標準化されたプロトコルは、固定剤拡散組織試料を得るために、固定剤を組織中に拡散させるのに十分な時間期間の間、未固定状態の組織試料を一定の体積の冷たいアルデヒド系固定剤中に浸すステップ、およびそれに引き続く、交差結合を生じさせるのに十分な時間期間の間、より高い温度の一定の体積のアルデヒド系固定剤の存在下で固定剤拡散組織試料を培養するステップを含む(以下、「2温度液浸固定」)。2温度液浸固定方法は、実質的な化学的交差結合が生じる前に、組織中への固定剤の完全な浸透
を保証することにより、標準単一温度固定方法およびマイクロ波固定方法に対する改善を示し、これは、許容可能な固定が生じる速度を改善し、かつ、特定のターゲット分析物(加リン酸反応したタンパク質など)をより良好に保存する。液浸固定のために頻繁に使用されるアルデヒドの例は、
・ホルムアルデヒド(特定の組織に対しては、20%ホルマリン程度の高い濃度が使用されているが、ほとんどの組織に対しては、5〜10%ホルマリンの標準動作濃度)
・グリオキサル(17mMから86mMの標準動作濃度)
・グルタルアルデヒド(200mMの標準動作濃度)
を含む。
約27.5%ホルマリン以上の濃度、約30%ホルマリン以上の濃度、約25%から約50%ホルマリンまでの濃度、約27.5%から約50%ホルマリンまでの濃度、約30%から約50%ホルマリンまでの濃度、約25%から約40%ホルマリンまでの濃度、約27.5%から約40%ホルマリンまでの濃度、および約30%から約40%ホルマリンまでの濃度から選択される。この文脈で使用されているように、「約」という用語は、BauerらのDynamic Subnanosecond Time−of−Flight Detection for Ultra−precise Diffusion Monitoring and Optimization of Biomarker
Preservation, Proceedings of SPIE, Vol.
9040, 90400B−1 (2014−Mar−20)によって測定される、4℃での拡散において統計的に重要な差をもたらさない濃度を包含するものとする。
標準化されたプロトコルを生成するためのこの方法における液浸条件は、標準化されたプロトコルに使用されるであろう条件に匹敵しなければならない。したがって標準化されたプロトコルが特定の温度、流体体積、大気圧、等々を使用する場合、この方法の液浸ステップは、同じ条件を使用しなければならない。したがって例えば標準化されたプロトコルが2温度液浸固定プロトコルである場合、標準化されたプロトコルに使用されるであろう固定剤体積および温度と同じ固定剤体積および温度が使用されなければならない。
房組織、脳組織、扁桃腺組織、肝臓組織、皮膚組織、脾臓組織および脂肪組織からなるグループから選択される組織タイプのうちの少なくとも1つを含む。
(a)複数の異なるタイプの同様のサイズの組織試料の各々を、20℃未満、15℃未満、12℃未満、10℃未満、0℃から10℃までの範囲、0℃から12℃までの範囲、0℃から15℃までの範囲、2℃から10℃までの範囲、2℃から12℃までの範囲、2℃から15℃までの範囲、5℃から10℃までの範囲、5℃から12℃までの範囲、5℃から15℃までの範囲から選択される温度の一定の体積のアルデヒド系固定剤中に浸すステップと、
(b)組織試料を通過した音波の飛行時間(TOF)を測定することによって、個々の複数の異なるタイプの組織試料中への固定剤の動きを監視するステップと、
(c)複数の異なるタイプの組織試料の各々に対する少なくとも第1の定義済み崩壊定
数に到達するまでの時間(τ)を決定するステップと、
(d)(c)で決定された最も長いτの少なくとも定義済み百分率の長さである時間に対応する、標準化されたプロトコルのための標準化された拡散時間を選択するステップと、
(e)固定剤拡散組織試料を得るために、複数の異なるタイプの同様のサイズの組織試料の各々を、(d)で選択された標準化された拡散時間の間、(c)で使用された温度と同じ温度の、(c)で使用された一定の体積のアルデヒド系固定剤に浸すステップと、
(f)固定剤拡散組織試料の各々を一定の体積のアルデヒド系固定剤中に浸し、かつ、複数の時間点における固定の妥当性を評価するステップであって、アルデヒド系固定剤の温度が20℃から55℃までの範囲であるステップと、
(g)適切に固定された組織試料を得るために、個々の固定剤拡散組織試料を選択された温度に加熱するのに必要な最短時間(最短固定時間)を決定するステップと、
(h)少なくとも最も長い最短固定時間の長さである標準化された固定時間を選択するステップと
を含み、標準化された液浸固定プロトコルは、(1)固定剤拡散被検体組織試料を得るために、被検体組織試料を、(d)で選択された標準化された拡散時間の間、(c)で使用された温度と同じ温度の、(c)で使用された一定の体積のアルデヒド系固定剤に浸すステップを含む拡散ステップと、(2)固定剤拡散組織試料を、標準化された固定時間の間、(h)で使用された温度と同じ温度の一定の体積の、(f)で使用されたアルデヒド系固定剤と同じアルデヒド系固定剤の存在下で浸すステップとを含む。いくつかの実施形態では、標準化された液浸固定プロトコルは、強度が高い超音波への被検体組織試料の露出を含んでいない。
(a)固定剤拡散組織試料を得るために、組織試料を0℃から15℃までの温度のアルデヒド系固定剤に浸し、かつ、5時間を超える時間の間、冷たい固定剤を組織中に拡散させるステップと、
(b)交差結合を許容する十分な長さの時間の間、20℃から55℃までの温度のアルデヒド系固定剤の存在下で固定剤拡散組織試料を加熱するステップと
を含む方法が識別された。
なくとも崩壊定数に到達するまでの時間の決定、標準化された拡散時間の選択、標準化された拡散時間および最短固定時間を使用した固定プロトコルの実行、訓練を目的とした品質相関の実施、データベースへの標準化された拡散時間および他の結果の記憶を含む操作の実施、および定量的または図形的結果の出力をユーザ操作コンピュータ101に潜在的にもたらす他の操作の実施を可能にするための非一時的論理コンピュータ可読命令を含み得る。したがって図1には示されていないが、コンピュータ101は、キーボード、マウス、スタイラスおよびディスプレイ/タッチスクリーンなどのユーザ入力デバイスおよび出力デバイスを同じく含み得る。
定するための方法を示したものである。方法は、システムを訓練するために使用され得る組織試料のホルマリン拡散S201で始まる。ソークすると、タイマが起動され(S202)、組織試料の拡散が監視される(S203)。組織が十分に拡散されたか否かについての決定がなされる(S203)。この決定は、ホルマリン拡散と単一指数傾向との相関に基づくことができ、傾向の時間遷移は、崩壊定数によって完全に特性化され得る。例えば組織試料からの基準補償済みToFトレースは、形態
TOF(x,y,t)=C(x,y)+Ae−t/τ(x,y)
の単一指数曲線と高度に相関されるよう、経験的事実に基づいて決定され得る。上式で、Cはナノ秒(ns)単位の定オフセットであり、Aはナノ秒(ns)単位の崩壊の振幅であり、τは時間単位の崩壊定数であり、また、空間依存性(x,y)は明確に記述されている。信号振幅は拡散の大きさを表し、したがって流体交換の量に正比例する。崩壊定数は振幅が63%小さくなる時間を表し、組織中へのホルマリン拡散の速度に反比例する(すなわち大きい崩壊定数=ゆっくり拡散する)。これらのメトリクスを計算するために、非線形回帰を使用してToF拡散傾向が上の式に当てはめられ得る。さらに、音響システムの走査機能は、組織試料のうちの拡散が最も遅い空間体積の計算および追跡を可能にしている。この崩壊定数は、組織が十分に拡散された場合の制限係数を表し、最も遅い崩壊定数(τslowest)と呼ばれている。
上式で、tdoneは、冷たいホルマリン中で必要な拡散時間であり、また、τslowestは、組織の最も遅い拡散体積の崩壊定数を表している。したがってこのプロトコルは、試料が最も適切に染色されたことを予測するための分析に基づいて、試料が最適に拡散されたことをより良好に予測することができ、あるいはいくつかのToF拡散曲線を記録し、かつ、それらを使用して、試料に依存する最適固定時間を予測することができる。
法は、組織試料のホルマリン拡散(S401)で始まる。ソークすると、タイマが起動され(S402)、組織試料の拡散の閾値拡散が監視される(S403)。組織が十分に拡散されたか否かについての決定がなされる(S403)。これは、時間データベース414に記憶されている1つまたは複数の閾値拡散定数に基づき得る。例えば図2の訓練実施形態を使用して、データベース414中への閾値を準備することができ、同様の特性(組織タイプ、年齢、等々)を有する後続する組織試料は、データベース414中に準備されている崩壊定数または時間期間を使用して処理され得る。したがって閾値は、崩壊定数閾値または時間期間閾値のいずれかを含み得る。
IIなどの商用ディップ・アンド・ダンク組織プロセッサであってもよい。標準試薬カニスタの周囲に篏合して標準試薬カニスタを密閉するために、Solidworks(登録商標)ソフトウェアを使用して機械式ヘッドが設計された。密閉されると、外部真空システムが、バルク試薬、ならびに組織を含むカセットの内容のガス抜きを開始することになる。実験中、組織を安全に保持して試料のすべりを防止する標準サイズの組織学的カセットと共に使用するためのカセットホルダが設計された。固定に引き続いて、個々のランからの6個の扁桃腺核が縦に分割され、かつ、切断面を下にしてモールド中に埋め込まれた。この多重ブロック配置により、6個の核の各々が同時に染色され得る。これらの試料を使用して良好な組織形態学が観察された。
、いくつかの異なるタイプの組織に対する染色を使用して検証された。この研究は、冷たいホルマリン中での6時間のプロトコル(S501)は、標準室温固定と比較すると、7mmまでの厚さのすべてのタイプの組織にわたる組織処理を標準化し、かつ、最適化することができ、また、高速プロトコルを使用して理想的なバイオマーカおよび形態学的構造の保存を保証することができることを示している。言い換えると、任意の所与の組織タイプに対して、6時間コールドにわたる4度10%の中性緩衝液ホルマリンソーク(S501)、それに引き続く1時間のワームソーク(S502)は、より正確な診断における品質の高い染色結果を保証する。例示的実施形態では、拡散ステップ(S501)は、20℃未満、15℃未満、12℃未満、10℃未満、0℃から10℃までの範囲、0℃から12℃までの範囲、0℃から15℃までの範囲、2℃から10℃までの範囲、2℃から12℃までの範囲、2℃から15℃までの範囲、5℃から10℃までの範囲、5℃から12℃までの範囲、または5℃から15℃までの範囲のいずれかである固定剤溶液中で実施される。拡散ステップで使用される冷たい温度は、組織の周囲における過度の交差結合(これは、組織中への固定剤の拡散を禁止する)を禁止することによって拡散の速度を速くする利点、および組織中における酵素活性を小さくし、それにより組織(加リン酸反応タンパク質など)の分子詳細をより正確に保存する利点の二重利点を有している。
この一般式から、ほぼ1崩壊定数まで拡散した試料は、適切に染色するための十分な交差結合薬品を全体に有することになることが結論付けられ得る。組織を十分に満たすために必要な時間は拡散の速度の尺度であるため、この一般基本規則は、すべての異なるタイプの組織に適用され得る。言い換えると、ゆっくり拡散する組織は、必然的により長い拡散時間を必要とし、一方、より速く拡散する組織は、ホルマリン中における必要な時間がより短い。さらに、優れた下流側バイオマーカ保存を得るために試料を10%のNBF中
でのコールド拡散にさらすのに必要な時間の長さを決定するべく、図6Aに示されている累積組織データベースからの崩壊定数が分析された。図6Bに確率密度関数(PDF)がプロットされている。試料のほとんどは、約2時間の最も遅い崩壊定数を有している。平均崩壊定数は2時間35分であった。有意な部分は、ほぼ4時間までの値を表示し、他の値からかけ離れた値は、さらに長い崩壊定数を有していることが分かる。さらに、図6Cは、図6Bの積分である累積密度関数(CDF)を示したものである。CDFから、試料の52.5%が2時間未満の最も遅い崩壊定数を有していることが観察される。同様に、試料の84.8%は4時間未満の崩壊定数を有し、また、92.8%は6時間未満である。扁桃腺に基づく実験から、また、経験的事実に基づいて決定された時間式から、データは、組織試料には、それらの最も遅い崩壊定数にほぼ等しい長さの時間の間、冷たいホルマリン中に置く必要があることを示唆している。したがって図6Cは、6時間にわたって10%のNBF中でコールドソークされた試料のほぼ93%が、下流の評価分析できれいに染色することになることを予測していることになる。
I.方法
A.組織収集
承認されたプロトコルとの契約合意の下で、地方のTucson病院から、新しい未固定のヒト扁桃腺組織が獲得された。外科から扁桃腺全体が、バイオハザードバッグ中のウェットアイス上でVentana Medical Systems Inc.(VMSI)へ輸送された。直径4mmまたは6mmのいずれかの組織パンチ(Miltex #33−36など)を使用することにより、正確なサイズの扁桃腺組織の試料が得られた。コールド+ワーム固定の場合、6mmの扁桃腺核が、3時間または5時間のいずれかにわたって予め4℃に冷やされた10%のNBF(100mMリン酸緩衝液を使用してpH6.8〜7.2に緩衝された、Fisher Scientific, Houston,
TXからの飽和水性ホルムアルデヒド)中に置かれた。次に試料が除去され、交差結合を開始するためにさらに1時間の間、45℃のNBF中に置かれた。固定後、試料は、商用組織プロセッサセット中で、一晩にわたってさらに処理され、ワックス中に埋め込まれた。
固定後、個々のランからの6個の扁桃腺核が縦に分割され、かつ、切断面を下にしてモールド中に埋め込まれた。この多重ブロック配置により、6個の核の各々を同時に染色することができた。試料は、最初にキシレンを使用して、次にグレード化エタノールを使用して試料からワックスを除去し、かつ、消イオン化水中に浸すことによって手動で染色された。スライドのラックを3分間にわたってGill IIヘマトキシリン(Leica
Microsystems)に浸け、引き続いて消イオン化水中で広範囲にわたって洗浄することによってヘマトキシリンが加えられた。次に、スライドが1分間にわたってScottのOriginal Tap Water(Leica Microsystems)中に浸され、かつ、消イオン化水中で広範囲にわたって洗浄された。Eosinへ移行させるために、スライドのラックが最初に70%のエタノール中に浸され、次に、2分間にわたってEosin Y(Leica Microsystems)中に浸された。スライドは、少なくとも4倍の100%エタノール中で広範囲にわたって洗浄され、キシレンに平衡化され、かつ、コンバースリップされた。
4MHz集束変換器(TA0040104−10,CNIRHurricane Tech (Shenzhen) Co., Ltd.)の対が空間的に整列され、かつ、試料がそれらの共通の焦点に置かれた。トランスミッタとして指定された1つの変換器は、結合流体(すなわちホルマリン)および組織を横切って、受取り変換器によって検出される音響パルスを送り出す。最初に、数百マイクロ秒にわたって正弦波を伝達するために、波形発生器(AD5930, Analog Devices)を使用して伝達変換器がプログラムされた。そのパルス列は、次に、流体および組織を横切った後、受取り変換器によって検出された。受け取られた超音波正弦波と伝達された正弦波が、デジタル位相比
較器(AD8302, Analog Devices)を使用して電子的に比較された。位相比較器の出力は、一時的な領域が伝達されたパルスと受け取られたパルスの間で重畳している間、有効な読値をもたらした。位相比較器の出力は、その出力がマイクロコントローラ(ATmega2560, Atmel)上の統合されたアナログ−デジタル変換器に照会される前に安定させることができる。プロセスは、次に、周波数範囲全体にわたる入力正弦波と出力正弦波の間の位相関係を構築するために、変換器の帯域幅全体にわたって複数の音響周波数で反復された。この音響位相−周波数掃引は、次に、音響干渉法と同様の、サブナノ秒の精度で通過時間を検出することができる後処理アルゴリズムを使用してTOFを計算するために直接使用された。
カセットの中央の3つの小区分のうちの1つの個々の走査を可能にした。次に、2つの組織核が個々の列に置かれ、1つは一番上に、もう1つは一番下に置かれた。このセットアップにより、6個の試料(2行×3列)からのTOFトレースを同時に獲得することができ、ラン毎の変化を著しく小さくし、また、処理能力を高くすることができる。このプロセスは、実験の進行中、組織が浸透平衡に到達して、それ以上の拡散が生じなくなり、一時的に平らなTOF信号がもたらされるまで、数時間にわたって反復された。1つの位置におけるほぼ実時間のデータ収集が可能であるが、すべての空間位置における1つの完全な収集には約90秒を要する(Δt<1秒)。
既に言及したように、流体中のTOFは、バルク媒体内の熱変動に高度に依存する。これらの逸脱を補償するために、組織およびホルマリンを介して獲得されたTOF値から基準TOF値が控除され、疑似信号を伴うことなく、組織から位相遅延を隔離された。直交基準センサを使用する場合、スケーリングファクタを使用して、これらの2つのセンサと走査センサの対との間のわずかな幾何学的相違が調整された。以下、単純にTOFと呼ばれる、組織からの基準補償済みToFトレースは、経験的事実に基づいて、式1の形態の単一指数曲線と高度に相関されるように決定された。
TOF(x,y,t)=C(x,y)+Ae−t/τ(x,y)
上式で、Cはns単位の定オフセットであり、Aはns単位の崩壊の振幅であり、τは時間単位の崩壊定数であり、また、空間依存性(x,y)は明確に記述されている。信号振幅は拡散の大きさを表し、したがって流体交換の量に正比例する。崩壊定数は振幅が63%小さくなる時間を表し、組織中へのホルマリン拡散の速度に反比例する(すなわち大きい崩壊定数=ゆっくり拡散する)。これらのメトリクスを計算するために、非線形回帰を使用してToF拡散傾向が上の式に当てはめられた。さらに、本出願人らのシステムの走査機能のため、本出願人らは、組織のうちの拡散が最も遅い空間体積を計算し、かつ、追跡することができる。この崩壊定数は、組織が十分に拡散された場合の制限係数を表し、最も遅い崩壊定数(τslowest)と呼ばれている。例えば図9Bに緑色の破線で示されている試料からのすべてのTOF信号は、図3にグラフ化されている。崩壊速度と空間変化信号の振幅の両方に大きい可変性があることが分かる。基準補償済みTOFデータ中の疑似白色雑音を小さくするために、第3次バターワースフィルタが利用された。このフィルタは、指数拡散崩壊の低周波成分を保存し、その一方で高周波雑音を除去した。単一指数崩壊を参照すると、フィルタリングされていないTOFデータは、約1ナノ秒の典型的な平均二乗誤差を有しており、フィルタリング後、この平均二乗誤差が200〜300ピコ秒に低減された。
E1.組織学的保護バンド化拡散時間
NBFを使用したコールド+ワーム固定プロトコルは、活性状態の組織形態学ならびにタンパク質の保存に有利であったことは既に示された。Chafin et al, Rapid two−temperature formalin fixation, PloS One 8, e54138 (2013)。室温固定からのこの逸脱は、4℃および45℃のNBF中への、4mmまでの厚さの組織の2時間の連続する液浸のため、最初は2+2プロトコルと呼ばれた。この高速プロトコルの基礎をなしている科学的主要素は、交差結合(ワームステップ)を開始する前の拡散(コールドステップ)の間に、十分なホルムアルデヒドをすべての組織中に拡散させる能力である。初期の報告では、これは、拡散時間および温度を変え、かつ、組織形態学染色および免疫組織化学染色の品質を調査することによって、ただ単に経験に基づいて達成された。プロトコルを微調整するために、本出願人らは、超音波拡散に基づく検出を使用して、冷たいNBFの拡散を実時間で監視する方法を開発した。
6mmの扁桃腺に対する必要な拡散時間を特性化すると、本出願人らは、次に、これらの結果を、本出願人らのTOFベース拡散監視技術を使用して検出される標本全体にわたって、交差結合薬品の必要な量と相関させることを模索した。冷たい(7±0.5℃)10%のNBF中のTOFを使用して、合計39個の6mmのヒト扁桃腺試料が画像化された。39個の試料のうちの15個が3時間にわたって監視され、残りの24個の試料は、5時間にわたって走査された。試料毎の最も遅い空間崩壊定数が図11にプロットされた。3時間および5時間にわたって監視された試料は、それぞれ4時間16分および4時間38分の平均拡散崩壊定数を有していた。22分の拡散時間の差は比較的小さく(<10%)、また、統計的には取るに足らないものであり(p=0.45)、2つのデータセットは同じ分散からのものであることを示しており、また、同じ物理的現象を測定している。これは、本出願人らの検出機構が走査時間を少なくとも3時間まで間違いなく短縮することを証明している。累積データセットに対する平均に関しては、個々の組織の最も遅い拡散領域の平均崩壊時間は4.5時間であった。
次に、様々な他の組織試料の数百個の試料の特性が本出願人らのTOF組織監視デバイスを使用して記録された。個々の試料の最も遅い拡散部分の崩壊定数をプロットしているデータは、図12に表示されている。生物学的組織の33個の異なる器官およびタイプを表す合計236個の試料が監視された。この研究では、5〜7mmの厚さの試料のみが考察された。組織は、その性質が本来的にゼラチン状であり、したがって正確な厚さに切断することが困難であるため、この範囲の組織厚さが必要であった。試料化されたすべての組織タイプから信頼性の高い傾向が記録され、本出願人らの拡散監視技術が異なる組織タイプの類別と両立することを示した。ホルマリン拡散の速度には、個々の組織タイプ内においてさえ極端な量の可変性が存在しており、いくつかの組織は、数時間の最大−最小差を示している。組織は、高度に不均質であることが知られているため、これは期待されたことであった。さらに、個々のそれぞれのグループからの平均崩壊定数も著しく変化しており、拡散速度は、異なる器官およびタイプの組織全体にわたって著しく異なることを示している。
願人らのToF拡散監視システムは、ゆっくり拡散する組織のASCO/CAPガイドラインを確証した。
本出願人らは、既に節E1で、6mmのヒト扁桃腺試料には、4.5時間の最適時間を有するために必要な、10%のNBF中におけるコールド拡散時間はせいぜい5時間であることを詳細に説明した。したがって本出願人らは、冷たいホルマリン中で必要な、経験的事実に基づいて決定された時間を式2として生成する。
tdone(すべての組織タイプ)≦6時間、(式3)
を明瞭に示す。このtdoneは、5〜7mmの厚さの試料から排他的に計算されたことに留意することは重要である。しかしながら、拡散時間は組織の厚さの二乗の尺度である
ため、5mmより薄い試料は、より厚い組織よりも著しく速く拡散することになる。冷たいホルマリン中における追加時間は、癌バイオマーカまたは組織の形態学的状態に対して悪影響を及ぼさないため、示されているtdoneは、7mmまでの厚さのすべての試料中の癌バイオマーカおよび形態学を良好に保存することになる。いくつかを挙げると、試料組成、厚さ、温度、カセット中における配向および事前分析組織取扱いを始めとする多くの要因が、交差結合薬品ホルマリンが組織を満たすことになる速度に影響を及ぼすことになる。冷たいホルマリン中で必要な示されている時間は、これらの要因のすべてが考慮されるため、とりわけ有力である。さらに、本出願人らの研究で監視された極めて多数の試料、および本出願人らのシステムの走査機能は、冷たいホルマリン中における6時間により、異なるタイプの組織による可変性(試料間の変化)ならびに組織不均質による寄与(試料内変化)にもかかわらず、組織が理想的に保存されることを保証している。さらに、拡散が最も遅い組織(脂肪、脳、等々)がこの研究に含まれていたため、本出願人らは、排他的に監視されなかった他のタイプの組織は、潜在的プロトコルの制限要因ではないであろうことを確信している。したがって7mmまでの厚さのすべての試料は、冷たいホルマリン中における6時間の後、適切に染色することになる。
静的6+1固定プロトコルが汎用組織学ワークフローのために使用され得ることを検証するために、いくつかの組織タイプの組織形態学が調査された。組織は、遅いカテゴリ、中間カテゴリおよび速いカテゴリを包含するために、可用性および相対TOF拡散速度に基づいて選択された(図6Aを参照されたい)。ヒト皮膚+脂肪、扁桃腺、結腸および腎臓のいくつかの6mmの核が、静的6+1プロトコルおよび比較として24時間室温プロトコルを使用して固定され、かつ、組織形態学の品質が分析された(図13)。6+1プロトコルを使用して固定されたすべての試料は、ゴールドスタンダード方法を使用して固定された同じ試料と比較して同じ組織形態学を有していた。このささやかな試験的研究は、飛行時間原理に基づく分析技法を使用してNBFの相対拡散を実時間で監視し、かつ、結果を最適化することができることを証明している。
組織処理および保存におけるこの最新技術は、個別化医療ワークフローにおける標本取扱いのために準備されていないフリーサイズワークフローである。この方法は、組織全体にわたる、個々の組織によって取り込まれるホルマリンの可変速度によって支配されるホルマリンの濃度に、試料特化変化を考慮することはできない。この研究は、活性試薬が拡散している間に、NBFと間質性流体の交換によって生成されるサブナノ秒の音響飛行時間差に基づく実時間拡散監視システムを詳細に説明した。理想的な染色を保証するために必要な交差結合薬品の必要な量を予測するために、拡散傾向が、形態学的染色結果に基づいて、経験的事実に基づいて必要な拡散時間と相関された。拡散監視は、次に、200個超の個々の試料および33個の異なるヒト器官を含む広範囲にわたる組織収集研究に使用された。結果は合体され、7mmまでの厚さのすべての組織タイプが、冷たい10%のNBF中における6時間の後に、試料全体にわたって診断可能な染色をもたらすこと、および冷たいホルマリン中におけるこの時間の後、圧倒的多数の試料(≒93%)が理想的な染色を有することを示している。6時間のコールド拡散時間は品質の高い染色をもたらすことになるという観察は、次に、6+1プロトコルを使用して処理されたいくつかのタイプの組織を染色することによって確証された。総合すると、この研究は、単純な6+1プロトコルは、標準室温固定と比較して高速のプロトコルを使用して、7mmまでの厚さのすべてのタイプの組織全体にわたる組織処理を標準化し、かつ、最適化し、また、理想的なバイオマーカおよび形態学的構造の保存を保証することができることを示している。
Claims (5)
- 7mmまでの厚さの組織試料を固定するための方法であって、
(a)固定剤拡散組織試料を得るために、前記組織試料を0℃から15℃までの温度の冷たいアルデヒド系固定剤に浸し、かつ、5時間を超える時間の間、前記冷たいアルデヒド系固定剤を前記組織中に拡散させるステップと、
(b)交差結合を許容する十分な長さの時間の間、20℃から55℃までの温度のアルデヒド系固定剤の存在下で前記固定剤拡散組織試料を加熱するステップと、
0.5W/cm 2 以下の強度の超音波を用いて前記組織試料を介した前記冷たいアルデヒド系固定剤の拡散を監視するステップと、
を含む方法。 - 前記組織試料が厚さ4mm超である、請求項1に記載の方法。
- 前記冷たい固定剤が5℃から12℃までの温度である、請求項1または請求項2に記載の方法。
- (a)および(b)を組み合わせた時間が8時間以内である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載の方法によって獲得された固定済み組織試料。
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