〔走行作業機の基本構成〕
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここでは、本発明の走行作業機の一例として乗用型田植機を例に挙げて説明する。なお、図1及び図2に示されているように、本実施形態では、矢印Fが走行機体Cの機体前部側、矢印Bが走行機体Cの機体後部側、矢印Lが走行機体Cの機体左側、矢印Rが走行機体Cの機体右側である。
図1及び図2に示されているように、乗用型田植機には、左右一対の操舵車輪10と、左右一対の後車輪11とを有する走行機体Cと、圃場に対する苗の植え付けが可能な作業装置としての苗植付装置Wと、が備えられている。左右一対の操舵車輪10は、走行機体Cの機体前側に設けられて走行機体Cの向きを変更操作自在なように構成され、左右一対の後車輪11は、走行機体Cの機体後側に設けられている。苗植付装置Wは、昇降用油圧シリンダ20の伸縮作動により昇降作動するリンク機構21を介して、走行機体Cの後端に昇降自在に連結されている。
走行機体Cの前部には、開閉式のボンネット12が備えられている。ボンネット12の先端位置には、マーカ装置33によって圃場に描かれる指標ライン(不図示)に沿って走行するための目安となる棒状のセンターマスコット14が備えられている。走行機体Cには、前後方向に沿って延びる機体フレーム15が備えられ、機体フレーム15の前部には支持支柱フレーム16が立設されている。
ボンネット12内には、エンジン13が備えられている。詳述はしないが、エンジン13の動力が、機体に備えられた変速装置を介して操舵車輪10及び後車輪11に伝達され、変速後の動力が電動モータ駆動式の植付クラッチ(不図示)を介して苗植付装置Wに伝達される。
図1及び図2に示されているように、苗植付装置Wに、複数(例えば四個)の伝動ケース22と、複数(例えば八個)の回転ケース23と、整地フロート25と、苗載せ台26と、マーカ装置33と、が備えられている。回転ケース23は、各伝動ケース22の後部の左側部及び右側部に、夫々回転自在に支持されている。夫々の回転ケース23の両端部に、一対のロータリ式の植付アーム24が備えられている。整地フロート25は、圃場の田面を整地するものであり、苗植付装置Wに複数備えられている。苗載せ台26に、植え付け用のマット状苗が載置される。マーカ装置33は、苗植付装置Wの左右側部に備えられ、圃場の田面に指標ライン(不図示)を形成する。
苗植付装置Wは、苗載せ台26を左右に往復横送り駆動しながら、伝動ケース22から伝達される動力により各回転ケース23を回転駆動して、苗載せ台26の下部から各植付アーム24により交互に苗を取り出して圃場の田面に植え付けるようになっている。図示はしないが、苗植付装置Wは、複数の回転ケース23に備えられた植付アーム24により苗を植え付けるように構成されている。回転ケース23が四個の場合は四条植え型式であり、回転ケース23が六個の場合は六条植え型式であり、回転ケース23が八個の場合は八条植え型式であり、回転ケース23が十個の場合は十条植え型式である。
詳述はしないが、マーカ装置33は、作用姿勢と格納姿勢とに切換え可能なように構成されている。作用姿勢の状態で、マーカ装置33は、走行機体Cの走行に伴って圃場の田面に接地して次回の作業行程に対応する田面に指標ライン(不図示)を形成する。格納姿勢の状態で、マーカ装置33は圃場の田面から上方に離れる。マーカ装置33の姿勢切換えは電動モータ(不図示)により行われる。
苗植付装置Wの一部として施肥装置34が備えられ、施肥装置34は圃場に植え付けられた苗に肥料を供給する。施肥装置34に、ホッパー34Aと、繰り出し部34Bと、ホース34Cと、作溝器34Dと、ブロア34Eと、が設けられている。ホッパー34Aは肥料を貯留する。ホッパー34Aに貯留された肥料は、繰り出し部34Bによって繰り出され、ブロア34Eの送風によってホース34Cを介して作溝器34Dに送られる。作溝器34Dによって圃場の田面に溝が形成され、作溝器34Dに送られた肥料は、田面の溝に供給される。
苗載せ台26の後方に、苗植付装置Wの一部として第一薬剤散布装置35が備えられている。第一薬剤散布装置35に、本体ケース35Aと、本体ケース35Aの上部に連結され、除草剤等の薬剤を貯留する薬剤ホッパー35Bと、が備えられている。第一薬剤散布装置35の本体ケース35Aは、苗植付装置Wに支持されている。本体ケース35Aの内部には、薬剤ホッパー35Bに貯留された薬剤を繰り出す繰出機構35Cと、繰出機構35Cで繰り出された薬剤を斜め後ろ下方に向けて左右方向に拡散させながら薬剤の散布を実現する拡散機構35Dと、が備えられている。
繰出機構35C及び拡散機構35Dは不図示の電動モータによって駆動される。繰出機構35Cは、作動毎に設定量の薬剤を繰り出すように構成されている。拡散機構35Dに拡散板が備えられている。第一薬剤散布装置35は、苗植付装置Wによって設定数の株が植え付けられる毎に、繰出機構35Cと拡散機構35Dとを設定時間だけ駆動して薬剤を散布するように制御される。
苗載せ台26に載置されたマット状苗に粉粒状の薬剤(苗の病気防止用)を散布する第二薬剤散布装置36について説明する。図1に示されているように、苗載せ台26に備えられた複数の支柱36Aに、レール36Bが苗載せ台26の左右方向に亘って支持されている。薬剤を貯留するホッパー36C、ホッパー36Cの薬剤を繰り出す繰り出し部36D、繰り出し部36Dからの薬剤をマット状苗に散布するパイプ36Eが備えられており、ホッパー36C、繰り出し部36D及びパイプ36Eが一体でレール36Bに沿って往復移動するように構成されている。このように、レール36B、ホッパー36C、繰り出し部36D及びパイプ36E等により、第二薬剤散布装置36が構成されている。
走行機体Cが設定距離だけ前進して苗の植え付けが行われると、ホッパー36C、繰り出し部36D及びパイプ36Eがレール36Bに沿って苗載せ台26の一方の端部から他方の端部に移動する。この間にホッパー36Cの薬剤が繰り出し部36Dから繰り出されて、パイプ36Eから苗載せ台26のマット状苗に散布される。走行機体Cが設定距離だけ前進して苗の植え付けが行われる毎に、この作業が繰り返される。これにより、苗載せ台26のマット状苗に対して殺菌や除菌が行われる。
図1及び図2に示されているように、走行機体Cにおけるボンネット12の左右側部には、複数(例えば四個)の通常予備苗台28と、予備苗台29と、が備えられている。通常予備苗台28は、苗植付装置Wに補給するための予備苗を載置可能なように構成されている。予備苗台29は、苗植付装置Wに補給するための予備苗を載置可能なレール式に構成されている。走行機体Cにおけるボンネット12の左右側部には、各通常予備苗台28と予備苗台29とを支持する背高のフレーム部材としての左右一対の予備苗フレーム30が備えられ、左右の予備苗フレーム30の上部同士が連結フレーム31にて連結されている。
図1及び図2に示されているように、走行機体Cの中央部には、各種の運転操作が行われる搭乗部40が備えられている。搭乗部40には、運転座席41と、操向操舵ユニットUに設けられた操向ハンドル43と、主変速レバー44(変速操作具)と、操作レバー45と、が備えられている。運転座席41は、走行機体Cの中央部に備えられ、搭乗者が着席可能なように構成されている。また、運転座席41に着席センサ41A(第一検知手段)が備えられている。着席センサ41Aは、例えばコラム型のロードセルであり、搭乗者が運転座席41に着席した状態で、運転座席41に掛かる荷重を検知することによって、搭乗者の着席を検知するように構成されている。操向ハンドル43は、人為操作によって操舵車輪10の操向操作を可能なように構成されている。主変速レバー44は、前後進の切換え操作や走行速度の変更操作が可能なように構成されている。苗植付装置Wの昇降操作と、左右のマーカ装置33の切換えと、が操作レバー45によって行われる。操向ハンドル43、主変速レバー44、操作レバー45等は、運転座席41の機体前部側に位置する操縦塔42の上部に備えられている。搭乗部40の足元部位には、搭乗ステップ46が設けられている。搭乗ステップ46はボンネット12の左右両側にも延びている。
主変速レバー44は、操縦塔42における操向ハンドル43の一側方に設けられている。図3に示されるように、操縦塔42にガイド溝44Bが開口し、主変速レバー44は、ガイド溝44Bに挿入された状態で、操縦塔42に設けられている。
ガイド溝44Bは、主変速レバー44の位置を前進位置FPと中立位置NPと後進位置RPとに亘って案内可能に構成されている。すなわち、ガイド溝44Bは、前進位置FPに対応する位置と、中立位置NPに対応する位置と、後進位置RPに対応する位置と、を経由する1つの溝状に形成されている。
図示はしないが、操舵車輪10若しくは後車輪11、又はその両方に、エンジン13の動力を伝達するための変速機構として、公知のHST(Hydraulic Static Transmission)が備えられている。主変速レバー44は、前後進の切換え操作や走行速度の変更操作が可能なように構成されている。主変速レバー44が前進位置FPに操作されると、HSTにおける斜板の角度が変更され、走行機体Cが前進走行する。また、主変速レバー44が後進位置RPに操作されると、HSTが操作されて走行機体Cが後進走行する。そして、主変速レバー44が中立位置NPに在る状態で、HSTがいわゆるニュートラル状態となり、エンジン13の動力が遮断された状態となる。
図示はしないが、HSTの斜板角度は、サーボ油圧制御機器を搭載した油圧ユニットによって制御される。サーボ油圧制御機器に、公知の油圧ポンプや油圧モータ等が用いられる。また、主変速レバー44に不図示のデテント機構が備えられ、主変速レバー44がデテント機構と係合することによって、変速操作に変速段数を持たせることができる。主変速レバー44を中立位置NPから前進位置FPの位置する側に操作すると、例えば七段の変速段数でHSTの変速操作ができるように構成されている。また、主変速レバー44を中立位置NPから後進位置RPの位置する側に操作すると、例えば十段の変速段数でHSTの変速操作ができるように構成されている。なお、主変速レバー44の変速段数は、適宜変更可能である。また、主変速レバー44に変速モータ58(図4参照)が備えられ、変速モータ58は主変速レバー44を自動的に操作可能なように構成されている。
操作レバー45を上昇位置に操作すると、植付クラッチ(不図示)が切り操作されて苗植付装置Wに対する伝動が遮断され、昇降用油圧シリンダ20を作動して苗植付装置Wが上昇し、左右のマーカ装置33(図1参照)が格納姿勢に操作される。操作レバー45を下降位置に操作すると、苗植付装置Wが下降して田面に接地して停止した状態となる。この下降状態で操作レバー45を右マーカ位置に操作すると、右のマーカ装置33が格納姿勢から作用姿勢になる。操作レバー45を左マーカ位置に操作すると、左のマーカ装置33が格納姿勢から作用姿勢になる。
搭乗者は、田植え作業を開始するときは、操作レバー45を操作して苗植付装置Wを下降させると共に、苗植付装置Wに対する伝動を開始させて田植え作業を開始する。そして、田植え作業を停止するときは、操作レバー45を操作して苗植付装置Wを上昇させると共に、苗植付装置Wに対する伝動を遮断する。
搭乗部40の操縦塔42の上部に不図示の操作パネルが設けられ、操作パネルに、種々の情報を表示可能な表示部48(図4参照)が備えられている。表示部48は、例えばタッチパネル式の液晶表示器であっても良い。また、表示部48の左右一端側には、押し操作式の始点設定スイッチ49A(図4参照)が備えられ、表示部48の左右他端側には、押し操作式の終点設定スイッチ49Bが備えられている。始点設定スイッチ49A及び終点設定スイッチ49B(図4参照)の機能については後述する。
主変速レバー44の握り部には、押し操作式の自動走行スイッチ50(操作具)が備えられている。自動走行スイッチ50は、自動復帰型に設けられ、搭乗者が自動走行スイッチ50を押し操作することによって操作信号が出力され、自動走行制御の入り切りの切換えを指令する。自動走行スイッチ50は、主変速レバー44の握り部を手で握った状態で、例えば、親指で押すことができる位置に配置されている。
操向操舵ユニットUの自動操向を行う場合には、操向モータ57(図4参照)を駆動して、操向モータ57の駆動力によりステアリング操作軸(不図示)を回動操作し、操舵車輪10の操向角度を変更するようになっている。自動操向を行わない場合には、操向操舵ユニットUは、操向ハンドル43の人為操作により回動操作することができる。
〔自動走行制御の構成〕
次に、自動走行制御を行うための構成について説明する。
走行機体Cに、衛星からの電波を受信して機体の位置を検出する衛星測位用システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一例として、周知の技術であるGPS(Global Positioning System)を利用して、機体の位置を求める衛星測位ユニット70が備えられている。本実施形態では、衛星測位ユニット70は、DGPS(Differential GPS:相対測位方式)を利用したものであるが、RTK−GPS(Real Time Kinematic GPS:干渉測位方式)を用いることも可能である。
具体的には、位置検出手段として、衛星測位ユニット70が測位を行う対象(走行機体C)に備えられている。衛星測位ユニット70は、地球の上空を周回する複数の航法衛星から発信される電波を受信するアンテナ71付きの受信装置72を有する。航法衛星から受信する電波の情報に基づいて、受信装置72すなわち衛星測位ユニット70の位置が測位される。
図1及び図2に示されているように、衛星測位ユニット70は、走行機体Cの前部に位置する状態で、板状の支持プレート73を介して連結フレーム31に取り付けられている。図1及び図2に示されているように、受信装置72が、連結フレーム31と予備苗フレーム30とによって、高い箇所に支持されるものとなる。これにより、受信装置72に受信障害が生じるおそれが少なく、受信装置72における電波の受信感度を高めることができる。
衛星測位ユニット70の他に、走行機体Cの方位を検出する方位検出手段として、例えばIMU(Inertial Measurement Unit)74Aを有する慣性計測ユニット74が、走行機体Cに備えられている。慣性計測ユニット74は、IMU74Aに代えてジャイロセンサや加速度センサを有する構成であっても良い。図示はしないが、慣性計測ユニット74は、例えば、運転座席41の後側下方位置であって走行機体Cの横幅方向中央の低い位置に設けられている。慣性計測ユニット74は、走行機体Cの旋回角度の角速度を検出可能であり、角速度を積分することで機体の方位変化角を求めることができる。従って、慣性計測ユニット74により計測される計測情報には走行機体Cの方位情報が含まれている。詳述はしないが、慣性計測ユニット74は、走行機体Cの旋回角度の角速度の他、走行機体Cの左右傾斜角度、走行機体Cの前後傾斜角度の角速度等も計測可能である。
図4に示されているように、走行機体Cに制御装置75が備えられている。制御装置75は、自動走行制御が実行される自動走行モードと、自動走行制御が実行されない手動走行モードと、に切換え可能なように構成されている。
制御装置75は、経路設定部76と、方位算定部77と、自動走行制御部78と、距離算定部79と、を有する。経路設定部76は、走行機体Cが走行すべき目標移動経路LM(図5参照)を設定する。方位算定部77の詳細は後述する。走行機体Cの測位データは衛星測位ユニット70によって計測され、走行機体Cの方位情報は慣性計測ユニット74によって計測される。自動走行制御部78は、走行機体Cの測位データ及び方位情報に基づいて、走行機体Cが目標移動経路LMに沿って走行するように、操向モータ57を制御するための操作量を出力する。具体的には、制御装置75は、マイクロコンピュータを備えており、経路設定部76と方位算定部77と自動走行制御部78と距離算定部79とが制御プログラムにて構成されている。
自動走行制御に用いる目標移動経路LMをティーチング処理によって設定するための設定スイッチ49が備えられている。設定スイッチ49には、始点位置Tsを設定する始点設定スイッチ49Aと、終点位置Tfを設定する終点設定スイッチ49Bと、が備えられている。上述したように、始点設定スイッチ49Aは表示部48の左右一端側に備えられ、終点設定スイッチ49Bは表示部48の左右他端側に備えられている。
制御装置75に、衛星測位ユニット70、慣性計測ユニット74、自動走行スイッチ50、始点設定スイッチ49A、終点設定スイッチ49B、操向角センサ60、主変速レバー位置センサ61、車速センサ62、障害物検知部63(第二検知手段)等の情報が入力される。車速センサ62は、例えば、後車輪11に対する伝動機構中の伝動軸の回転速度により車速を検出するように構成されている。障害物検知部63は、走行機体Cの前部及び左右両側部に備えられ、例えば、光波測距式の距離センサであったり、画像センサであったりして、圃場の畦際や圃場内の鉄塔等を検知可能なように構成されている。また、障害物検知部63の検知信号は距離算定部79に入力され、走行機体Cと障害物との距離が算出される。障害物検知部63によって障害物が検知されると、例えばブザーや音声案内である報知部59によって搭乗者に検知状態が報知される。制御装置75は報知部59と接続され、報知部59は、例えば車速やエンジン回転数等の状態を報知するように構成されている。報知部59は、表示部48に表示される構成であったりしても良いし、センターマスコット14に備えられたLED照明の点滅パターンが変わる構成であったりしても良い。
始点設定スイッチ49A及び終点設定スイッチ49Bの操作に基づくティーチング処理によって、自動走行すべき目標経路に対応するティーチング経路が、経路設定部76によって設定される。
主変速レバー位置センサ61は、主変速レバー44の位置が、前進位置FPであるか中立位置NPであるか、又は、後進位置RPであるかを検出可能なように構成されている。また、制御装置75は、主変速レバー位置センサ61によって検出された主変速レバー44の現在の位置、即ち変速段数を取得可能に構成されている。
方位算定部77は、慣性計測ユニット74にて検出される走行機体Cの検出方位と、目標移動経路LMにおける目標方位LAと、の角度偏差、即ち方位ずれを算定する。そして、制御装置75の走行モードが自動走行モードに設定されているとき、自動走行制御部78は、角度偏差が小さくなるように、操向モータ57に操作量を出力する。即ち、衛星測位ユニット70及び慣性計測ユニット74によって検出される走行機体Cの検出位置が、目標移動経路LM上の位置になるように、操向モータ57が操作される。
〔目標移動経路〕
水田において田植機は、直線状の条植付けの経路に沿って田植え作業を伴う作業走行と、畦際付近で次の条植付けの経路に移動するための畦際旋回走行と、を交互に繰り返す。図6に、ティーチング経路LTに沿って並列する複数の目標移動経路LMが示されている。本実施形態では、夫々の目標移動経路LM(1)〜LM(6)は、経路設定部76によって、以下の手順で設定される。
まず、搭乗者は、走行機体Cを圃場内の畦際付近の始点位置Tsに位置させ、始点設定スイッチ49Aを操作する。このとき、制御装置75の走行モードは手動走行モードに設定されている。そして、搭乗者が手動操縦しながら、始点位置Tsから側部側の畦際の直線形状に沿って走行機体Cを走行させ、反対側の畦際近くの終点位置Tfまで移動させてから終点設定スイッチ49Bを操作する。これにより、ティーチング処理が実行される。
始点位置Tsの位置座標と、終点位置Tfの位置座標と、は衛星測位ユニット70によって測位される測位データに基づいて取得される。つまり、始点位置Tsの位置座標と、終点位置Tfの位置座標と、から始点位置Tsと終点位置Tfとを結ぶティーチング経路LTが設定される。このティーチング経路LTに沿う方向が基準となる目標方位LAとして設定される。なお、終点位置Tfにおける位置座標は、衛星測位ユニット70による測位データのみならず、車速センサ62に基づく始点位置Tsからの距離と、慣性計測ユニット74に基づく走行機体Cの方位情報と、に基づいて算出される構成であっても良い。また、始点位置Tsと終点位置Tfとに亘る走行機体Cの走行は、田植え作業を伴う作業走行であっても良いし、非作業状態の走行であっても良い。
ティーチング経路LTの設定完了後、ティーチング経路LTに隣接する条植付けの経路に移動するための畦際旋回走行が行われ、本実施形態では、始点位置Ls(1)に走行機体Cが移動する。畦際旋回走行は、搭乗者が手動で操向ハンドル43を操作することによって行われるものであっても良いし、制御装置75による自動旋回制御によって行われるものであっても良い。このとき、制御装置75は、走行機体Cの検出方位が反転することにより、走行機体Cの旋回が行われたことを判別できる。走行機体Cの検出方位の反転は、衛星測位ユニット70や慣性計測ユニット74によって検知可能である。
走行機体Cの旋回は、走行機体Cの検出方位の反転以外に、各種機器の動作によって判別されるものであっても良い。各種機器の動作として、例えば、苗植付装置W、整地ロータ(不図示)、整地フロート25等の上昇動作であったり、サイドクラッチ(不図示)が切られることであったり、苗植付装置Wに対する伝動の遮断であったりしても良い。また、走行機体Cの始点位置Ls(1)への到達が、衛星測位ユニット70によって判別されるものであっても良い。
走行機体Cの旋回完了が判別された後、制御装置75の手動走行モードは継続し、人為操作による走行が継続する。この間、制御装置75は、方位算定部77によって算定される走行機体Cの検出方位の方位ずれや、操舵車輪10の向き、操向ハンドル43の操舵角等の判別条件を確認し、自動走行モードに切換え可能な状態であるかどうかを判定する。そして、自動走行モードに切換え可能な状態であれば、人為操作によって、又は、自動的に、経路設定部76によって目標移動経路LM(1)が設定され、制御装置75の走行モードが手動走行モードから自動走行モードに切換えられる。そして、目標移動経路LM(1)に沿う自動走行制御が開始される。目標移動経路LM(1)は、ティーチング経路LTに隣接した状態で、目標方位LAの方位に沿って設定され、ティーチング処理後に走行機体Cが最初に作業走行を行う目標移動経路LMである。
自動走行制御は、目標移動経路LM(1)の始点位置Ls(1)の位置する側の反対側にある終点位置Lf(1)の付近まで継続する。そして、障害物検知部63による畦際の検知に基づいて自動走行制御が終了する。なお、苗植付装置Wの上昇や走行機体Cの畦際旋回が検知されることによって自動走行制御が終了する構成であっても良い。
走行機体Cが目標移動経路LM(1)の終点位置Lf(1)に到達すると、目標移動経路LM(1)の未作業領域側に隣接する目標移動経路LM(2)が設定される。そして、搭乗者は、目標移動経路LM(1)の未作業領域側に操向ハンドル43を操作して畦際旋回走行を行い、走行機体Cは始点位置Ls(2)に移動する。なお、当該畦際旋回走行は、制御装置75による自動旋回制御によって行われるものであっても良い。
以後、前回の目標移動経路LM(1)と同様に、旋回後に判別条件が成立したのちに、人為操作によって、又は、自動的に、目標移動経路LM(2)に沿って自動走行制御が開始され、走行機体Cが作業走行する。走行機体Cが目標移動経路LM(2)の終点位置Lf(2)に到達した後、目標移動経路LM(3),LM(4),LM(5),LM(6)の順番で、畦際旋回走行後の目標移動経路LMの設定と、作業走行と、が繰り返される。つまり、夫々の目標移動経路LMは、一つずつ設定される。更に、全ての目標移動経路LMに沿った作業走行が完了すると、圃場の畦際に沿って周回走行しながら田植え作業が行われ、一つの圃場における田植え作業が完了する。
第一薬剤散布装置35による薬剤の散布と、第二薬剤散布装置36による薬剤の散布と、は走行機体Cが圃場の畦際に沿って周回走行する間だけ行われる構成であっても良い。圃場の領域のうち、圃場の畦際に沿う外周側寄りの領域と、その領域における既植苗と、にこれらの薬剤が散布されることによって、圃場外側からの害虫の侵入を効果的に防止できる。また、これらの薬剤は、圃場の外周側の領域にのみ散布されるため、圃場全体に薬剤を散布する場合と比較して薬剤の使用量を削減でき、薬剤に掛かるコストを低減できる。
〔自動走行制御〕
苗植付装置Wが田植え作業を行いつつ、走行機体Cが目標移動経路LMに沿って前進走行することで自動走行制御による作業走行が行われる。自動走行制御中において搭乗者は運転座席41に着席して、前方の畦際を確認すると共に、後方の苗の植付け状況を確認する。しかし、搭乗者が、運転座席41に着席した状態で後方の苗を確認し難い等の理由によって、搭乗者が運転座席41から立ち上がる場合がある。搭乗者が運転座席41から立ち上がった際に、走行機体Cの横揺れや振動等による搭乗者が不快感を受ける虞がある。また、搭乗者が走行機体Cや圃場の監視をしない状態で自動走行制御が継続すると、搭乗者が意図した通りの自動走行制御とならないまま、自動走行制御が継続する虞がある。このような不都合を回避するため、図6に示されるような処理が実行される。
搭乗者が運転座席41に着席した状態で、着席センサ41Aに荷重が掛かることによって、搭乗者の着席状態が検知される。搭乗者が運転座席41に着席していない状態では、着席センサ41Aの荷重が開放されるため、この状態は搭乗者が検知されない状態となる(ステップ#1:Yes)。
本実施形態では、着席センサ41Aの検知状態が一定時間以上連続して検知されるかどうかを判定するための非検知タイマt1が設けられている。図6において、着席センサ41Aによる検知で搭乗者が検知される状態であれば(ステップ#1:No)、非検知タイマt1はクリアされる。一方、着席センサ41Aによる検知で搭乗者が検知されない状態であれば(ステップ#1:Yes)、非検知タイマt1がカウントされている状態であるかどうかが判定される(ステップ#2)。搭乗者が検知される状態から搭乗者が検知されない状態に切換ったタイミングでは、非検知タイマt1がカウントされていない状態となるため(ステップ#2:No)、非検知タイマt1のカウントが開始される(ステップ#3)。
制御装置75は、走行機体Cの減速処理が完了したかどうかを確認する(ステップ#4)。具体的に、主変速レバー44の変速段数が、予め設定された設定変速段数N以下となっているかどうかが制御装置75によって確認される。主変速レバー44の変速段数は、主変速レバー位置センサ61によって検知可能なように構成されている。主変速レバー44の変速段数が、予め設定された設定変速段数N以下となっていれば(ステップ#4:Yes)、走行機体Cの減速処理の完了が判定され、ステップ#10に処理が移行する。なお、設定変速段数Nは、例えば三段目であり、適宜変更可能である。
走行機体Cの減速処理が完了していなければ(ステップ#4:No)、図6で示されたステップ#5からステップ#9までの減速処理が行われる。走行機体Cの減速処理は、主変速レバー44の変速段数を、一定の時間間隔毎に一段ずつ下げることによって行われる。このため、主変速レバー44の操作タイミングを一定の時間間隔以上に保つための減速タイマt2が設けられている。減速タイマt2がカウントされていない状態であれば(ステップ#5:Yes)、減速タイマt2のカウントが開始され(ステップ#6)、減速タイマt2は予め設定された時間Tiに亘ってカウントする。時間Tiは、例えば一秒程度に設定される。なお、時間Tiは一秒程度の時間に限定されず、適宜変更可能である。
減速タイマt2のカウントが終了したかどうかが判定され(ステップ#7)、減速タイマt2のカウントが終了していなければ(ステップ#7:No)、ステップ#10に処理が移行する。減速タイマt2のカウントが終了していれば(ステップ#7:Yes)、変速モータ58が動作して主変速レバー44の変速段数が一段下げられ(ステップ#8)、減速動作が行われる。主変速レバー44は、ガイド溝44Bにおける前進位置FPと中立位置NPとの間のうち、中立位置NPの位置する側寄りに移動する。これにより、搭乗者は主変速レバー44を目視で確認することによって、変速段数の変化を確認できる。減速動作の以後に、減速タイマt2はクリアされる(ステップ#9)。なお、図示はされていないが、搭乗者が検知される状態となった場合にも(ステップ#1:No)、減速タイマt2はクリアされる。
ステップ#10では、予め設定された第一設定時間T1以上の時間に亘って非検知タイマt1がカウントしたかどうかが判定される。ここで、第一設定時間T1は、例えば五秒程度である。非検知タイマt1のカウント時間が第一設定時間T1を経過していなければ(ステップ#10:No)、ステップ#12の処理に移行する。非検知タイマt1のカウント時間が第一設定時間T1以上に達していれば(ステップ#10:Yes)、非運転状態が判定される(ステップ#11)。非運転状態とは、搭乗者が走行機体Cの運転作業を行っておらず、他の作業を行っている可能性がある状態である。非運転状態が判定される前に、着席センサ41Aによって搭乗者が検知される状態に復帰すれば、搭乗者が運転座席41に座り直したものと判定され、例えば走行機体Cの車速が減速前の車速に回復する処理が行われる構成であっても良い。
ステップ#12では、第二設定時間T2以上の時間に亘って非検知タイマt1がカウントしたかどうかが判定される。第二設定時間T2は、第一設定時間T1以上の値であり、かつ、減速タイマt2に用いられる時間Tiよりも十分に大きな値であり、例えば十秒程度である。非検知タイマt1のカウント時間が第二設定時間T2を経過していなければ(ステップ#12:No)、ステップ#1の処理に戻る。非検知タイマt1のカウント時間が第二設定時間T2以上に達していれば(ステップ#12:Yes)、報知部59による報知が行われる(ステップ#13)。非検知タイマt1のカウント時間が第二設定時間T2以上に達している間、報知部59による報知は継続して行われる。
報知部59による報知は、ブザー等の音声であっても良いし、センターマスコット14に備えられたLED照明の点灯や点滅であっても良いし、表示部48に表示されるものであっても良い。また、報知部59による報知は、一時的に報知される構成あっても良いし、常時報知される構成であっても良い。
非検知タイマt1のカウント時間が、第二設定時間T2よりも長い第三設定時間T3以上に達していれば(ステップ#14:Yes)、走行機体Cの停止制御が行われる(ステップ#15)。走行機体Cの停止制御は、エンジン13の停止であっても良いし、不図示のブレーキの操作であっても良いし、変速モータ58が動作して、主変速レバー44がガイド溝44Bにおける中立位置NPに操作されるものであっても良い。もちろん、制御装置75の走行モードは自動走行モードから手動走行モードに切換えられる。
上述した減速動作と報知と停止制御とを図7に示されるロジックグラフに基づいて説明する。まず、着席センサ41Aによる検知で、搭乗者が検知される状態から搭乗者が検知されない状態に切換わり(搭乗者が検知されない状態:ON)、時間Tiが経過すると最初の減速動作が行われる(減速動作:ON)。減速動作は時間Tiの間隔で行われ、主変速レバー44の変速段数が、予め設定された設定変速段数N以下になるまで、主変速レバー44の変速段数が一段下げられる。図7では、設定変速段数Nが三段目に設定され、主変速レバー44が七段目から三段目まで下げられている様子が示されている。これにより、HSTの減速比が徐々に変更され、走行機体Cの車速が徐々に減速する。
搭乗者が検知される状態から搭乗者が検知されない状態が第一設定時間T1に亘って継続すると、搭乗者の非運転状態が判定される。また、搭乗者が検知される状態から搭乗者が検知されない状態が第二設定時間T2に亘って継続すると、報知部59による報知が行われる。更に、搭乗者が検知される状態から搭乗者が検知されない状態が第三設定時間T3に亘って継続すると、制御装置75の走行モードが自動走行モードから手動走行モードに切換えられ、自動走行制御が終了する。
このように、着席センサ41Aによる検知で、搭乗者が検知されない状態であると、走行機体Cの車速が徐々に減速し、最後には停止する。これにより、例えば、通常予備苗台28や予備苗台29に載置されたマット状苗を苗載せ台26に補給する作業を行うために、搭乗者が運転座席41から離席する場合であっても、走行機体Cの振動が緩和され、走行機体Cの急停止等が発生し難くなる。その結果、搭乗者の不快感が軽減される。苗の補給以外に、施肥装置34に肥料を補給する場合や、第一薬剤散布装置35や第二薬剤散布装置36に薬剤を補給する場合にも、同様の構成であれば、搭乗者の不快感が軽減される。
更に、苗載せ台26に載置されたマット状苗の残量を検知する検知手段が、苗植付装置Wに備えられる構成であっても良い。この構成に基づいて、マット状苗の減少が検知手段によって検知され、苗の補給を搭乗者に促すために、報知部59による報知や、上述したような走行機体Cの車速の減速が行われる構成であっても良い。これにより、搭乗者は、速やかに走行機体Cを停止してマット状苗を苗載せ台26に補給できる。苗の補給以外に、施肥装置34に肥料を補給する場合や、第一薬剤散布装置35や第二薬剤散布装置36に薬剤を補給する場合にも、同様の構成であっても良い。
〔苗植付装置の操作パネル〕
図8に示されているように、本実施形態における走行作業機に、苗植付装置Wの各種機器を操作するための操作パネル100が備えられている。操作パネル100は走行機体Cに対して着脱自在なように構成され、かつ、有線通信や無線通信によって苗植付装置Wの各種機器を遠隔操作できるように構成されている。図示はしないが、苗植付装置Wに、整地フロート25を上下動作させるための植付深さ調整アクチュエータと、植付アーム24の苗取り量を調整するための苗取り量調整アクチュエータと、が備えられている。植付深さ調整アクチュエータ及び苗取り量調整アクチュエータは、電動モータで動くように構成されている。また、苗植付装置Wに、圃場の田面の凹凸を検知可能なフロートセンサ(不図示)が設けられ、苗植付装置Wは、フロートセンサが検知した田面の凹凸に対応して上下揺動することによって、苗の植付深さを一定に保持可能なように構成されている。
調整つまみ101は、植付深さ調整アクチュエータを介して整地フロート25を上下動作させ、植付深さを調整するためのボリューム調整つまみである。調整つまみ102は、苗取り量調整アクチュエータを介して、植付アーム24の苗取り量を調整するためのボリューム調整つまみである。調整つまみ103は、フロートセンサの感度を調整するためのボリューム調整つまみである。なお、夫々の調整つまみ101,102,103の上述した用途は例示であり、夫々の調整つまみ101,102,103は、上述した用途に限定されない。
スイッチ104は、第一薬剤散布装置35の作動と停止とを切換えるためのスイッチである。スイッチ105は、第二薬剤散布装置36の作動と停止とを切換えるためのスイッチである。また、スイッチ104が第二薬剤散布装置36の作動と停止とを切換えるスイッチであって、スイッチ105が第一薬剤散布装置35の作動と停止とを切換えるためのスイッチであっても良い。スイッチ106は、不図示の整地ロータの上昇と下降とを切換えるためのスイッチである。なお、夫々のスイッチ104,105,106の上述した用途は例示であり、夫々のスイッチ104,105,106は、上述した用途に限定されない。例えば、夫々のスイッチ104,105,106の何れかが、施肥装置34の作動と停止とを切換えるためのスイッチであっても良い。また、スイッチ104,105,106は、OFF機能も兼ねたボリューム調整つまみであっても良く、第一薬剤散布装置35の散布量がスイッチ104によって調整され、第二薬剤散布装置36の散布量がスイッチ105によって調整されるように構成されていても良い。
このように、苗植付装置Wにおける苗取り量や植付深さが電動モータで調整可能なように構成され、かつ、これらの調整が操作パネル100の操作によって調整可能なように構成される。これにより、搭乗者が、走行機体Cを停止しした上で、植付アーム24の位置する箇所に移動して植付深さや苗取り量を調整したり、第一薬剤散布装置35や第二薬剤散布装置36の位置する箇所に移動して散布量の調整等を行ったりする必要が無くなり、搭乗者の煩わしさが軽減される。つまり、搭乗者は運転座席41に着席した状態で走行機体Cの作業走行を継続したまま、苗植付装置Wの各種機器を操作可能となる。また、操作パネル100の調整つまみ101,102,103やスイッチ104,105,106は、タッチパネル式の液晶表示画面と比較して、搭乗者の手が圃場の作業で汚れている場合であっても操作が容易である。
走行機体Cは全ての目標移動経路LMに沿った作業走行を完了した後、圃場の畦際に沿って周回走行しながら田植え作業を行う。例えば、スイッチ104及びスイッチ105は、走行機体Cが圃場の畦際に沿って周回走行する間だけ、ONとなる設定であっても良い。この構成であれば、第一薬剤散布装置35による薬剤の散布と、第二薬剤散布装置36による薬剤の散布と、は走行機体Cが圃場の畦際に沿って周回走行する間だけ行われ、圃場の畦際に沿う外周側寄りの領域と、その領域における既植苗と、にのみ薬剤が散布される。これにより、圃場外側からの害虫の侵入を効果的に防止できると共に、圃場全体に薬剤を散布する場合と比較して薬剤の使用量を削減でき、薬剤に掛かるコストを低減できる。なお、走行機体Cが圃場の畦際に沿って周回走行する場合に、搭乗者がスイッチ104及びスイッチ105を手動でONに設定するものであっても良いし、走行機体Cが圃場の畦際に沿って周回走行する場合に、スイッチ104及びスイッチ105が自動的にONに設定される構成であっても良い。
〔別実施形態〕
本発明は、上述した実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
〔1〕上述した実施形態において、搭乗者が検知されない状態は、着席センサ41Aによる検知で判定される構成となっているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、主変速レバー44に、主変速レバー44の把持を検出するセンサが備えられ、搭乗者が主変速レバー44を離すことによって、搭乗者が検知されない状態となる構成であっても良い。この場合、図7において搭乗者が検知されない状態は、主変速レバー44の把持を検出するセンサが、主変速レバー44の把持を検出しない状態である。
着席センサ41Aと、主変速レバー44の把持を検出するセンサと、が併用されても良い。例えば、着席センサ41Aの検知で、搭乗者が検知されない状態となった場合、主変速レバー44の把持を検出するセンサで搭乗者が検知される状態であっても、主変速レバー44の増速方向への操作がロックされるように構成されていても良い。
搭乗者の検知手段として、例えば、搭乗ステップ46にセンサが設けられていたり、搭乗部40に専用の手摺やアームレストが備えられ、かつ、専用の手摺やアームレストにセンサが設けられていたりしても良い。更に、予備苗台29の上部に、搭乗者が起立した場合に搭乗者を検知可能なセンサが設けられていたり、操向ハンドル43やシートベルト(不図示)にセンサが設けられていたりしても良い。加えて、搭乗者の顔を認識可能なカメラであったり、搭乗者の体調を検知可能なセンサであったりしても良い。あるいは、搭乗者と運転座席41とがベルト(不図示)で繋げられ、搭乗者が運転座席41から離れてベルトに一定負荷以上が掛かるとベルトが外れてセンサで検知される構成であっても良い。要するに、搭乗者が運転座席41に着席した状態で自動走行制御を監視していることが、センサによって検知できれば良い。
〔2〕上述した実施形態において、着席センサ41Aによる検知で搭乗者が検知されない場合、走行機体Cの車速が減速するように構成されているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、図9に示されているように、目標移動経路LMの終点位置Lfの位置する側の畦際から設定距離L1だけ離間した位置P1が設定され、走行機体Cが位置P1に到達するまでは走行機体Cの車速が維持される構成であっても良い。図9において、作業走行領域A1と枕地領域A2との境界に位置する終点位置Lfに向けて走行機体Cが走行する状態が示されている。作業走行領域A1は走行機体Cが作業走行を行う領域であり、枕地領域A2は走行機体Cが畦際で旋回走行を行う領域である。目標移動経路LMは、走行機体Cが位置P1に到達する前の経路lm1と、走行機体Cが位置P1に到達した後のlm2と、によって構成されている。搭乗者が検知されない場合であっても、走行機体Cが経路lm1上を走行する間は、走行機体Cの車速が維持され、走行機体Cが経路lm1から経路lm2に移動してから、走行機体Cの車速が減速するように構成されても良い。位置P1は、障害物検知部63による畦際検知に基づいて、畦際と走行機体Cとの離間距離から算出され、この離間距離が設定距離L1である箇所が位置P1となる。また、障害物検知部63は、常に圃場の畦際を検知するように構成されていても良いし、搭乗者が検知されない場合に圃場の畦際を検知するように構成されていても良い。更に、走行機体Cが位置P1に到達する前であれば、報知部59による報知が行われない構成であっても良い。
〔3〕上述した実施形態において、着席センサ41Aによる検知で搭乗者が検知されない場合、予め設定された設定変速段数以下になるまで、主変速レバー44の変速段数が一段ずつ下げられる構成となっているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、主変速レバー44が無段階で変速する構成である場合、主変速レバー44が、中立位置NPと前進位置FPとの間の位置で、一定時間内に所定の位置に設定され、走行機体Cが所定の車速まで減速する構成であっても良い。また、主変速レバー44及びHSTが操作されることによる減速に限定されず、例えばエンジン13の回転数の低下による減速であったり、不図示のブレーキの操作による減速であったりしても良い。
〔4〕上述した実施形態において、図6に示されているように、非検知タイマt1のカウント時間が第一設定時間T1以上に達していれば非運転状態が判定される構成となっているが、非運転状態が判定されない構成であっても良い。例えば、非検知タイマt1のカウント時間が第一設定時間T1以上に達していれば、そのまま報知部59による報知が行われたり、そのまま上述の走行機体Cの停止制御が行われたりする構成であっても良い。
〔5〕上述した実施形態において、目標移動経路LMは直線状に形成されているが、目標移動経路LMは曲線状に形成されていても良い。また、目標移動経路LMが曲線状の場合に搭乗者を検知する検知手段が機能し、目標移動経路LMが直線状の場合に搭乗者を検知する検知手段が機能しない構成であっても良い。更に、目標移動経路LMに沿う実際の作業履歴が、遠隔の管理コンピュータ等に記憶され、制御装置75と遠隔の管理コンピュータとの通信手段を介して過去の作業履歴が制御装置75に読み出される構成であっても良い。そして、圃場において過去に大きな振動が記憶された箇所において、搭乗者を検知する検知手段の感度が高くなる構成であっても良い。圃場の走行における振動は、慣性計測ユニット74によって検出可能なように構成されている。
〔6〕上述した田植機のみならず、本発明は、直播機等を含むその他の直播系作業機に適用可能である。また、直播系作業機以外に、トラクタやコンバイン等の農作業機にも、本発明は適用可能である。