以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る差動信号伝送装置の一例である差動信号伝送回路10の回路図である。差動信号伝送回路10は、差動ドライバ1、ツイストペア電線2、第1の差動レシーバ3、第2の差動レシーバ4、第1のラッチ5、第2のラッチ6、排他的論理和演算回路7及び第3のラッチ8を備える。排他的論理和演算回路7を、以下の説明では「演算回路7」と記すこととする。
差動ドライバ1は、入力信号であるロジック信号Sinを差動信号Sp,Sm(正論理の信号、負論理の信号)に変換し、第1の差動レシーバ3と第2の差動レシーバ4へ出力する出力手段である。ツイストペア電線2は、差動信号Sp,Smを伝送する伝送手段であり、ここでは、シールドで覆われている電線が用いられているものとする。差動信号Sp,Smは、第1の差動レシーバ3(第1の受信手段)と第2の差動レシーバ4(第2の受信手段)がそれぞれ備える非反転入力(正入力)と反転入力(負入力)に入力される。このとき、第1の差動レシーバ3と第2の差動レシーバ4とでは、差動信号Sp,Smの非反転入力と反転入力への入力が正負逆とされている。第1の差動レシーバ3は、差動信号Sp,Smの差と閾値Thとの比較結果である信号S1(第1の信号)を出力し、第2の差動レシーバ4は、差動信号Sp,Smの差と閾値Thとの比較結果である信号S2(第2の信号)を出力する。また、送信側の差動ドライバ1は、受信側の第1の差動レシーバ3及び第2の差動レシーバ4とは異なるユニットに含まれており、送信側と受信側との間はツイストペア電線2で接続されている。差動ドライバ1への入力信号であるロジック信号Sinには、例えば、位置検出用のロータリエンコーダの出力信号等が想定される。差動ドライバ1はアクチュエータと一体のユニット内に設けられ、第1の差動レシーバ3及び第2の差動レシーバ4はアクチュエータの制御用ドライバユニットに設けられる。
第1のラッチ5と第2のラッチ6はそれぞれ、公知のDラッチである。第1のラッチ5は、信号S1を受信側ユニットに設けられた不図示のクロック信号生成回路からのクロック信号CLKのタイミングで入力し、信号D1(第3の信号)を出力する。同様に、第2のラッチ6は、信号S2を不図示のクロック信号生成回路からのクロック信号CLKのタイミングで信号S1と同じタイミングで入力し、信号D2(第4の信号)を出力する。演算回路7は、信号D1と信号D2の排他的論理和を演算し、信号EN1として、信号D1と信号D2が同じ論理値の場合には論理値0(ゼロ)を出力し、違う論理値の場合には論理値1を出力する。第3のラッチ8は、信号EN1が論理値0のときには保存されている値を更新せずに保持し、論理値1のときには信号D1の論理値をCLK信号のタイミングで入力し、出力信号Sout1に更新して出力する。ここで、不図示のクロック信号は、差動ドライバ1と第1の差動レシーバ3と第2の差動レシーバ4との間で伝送される差動信号の周波数に対して、最低でも2倍以上、通常は10倍以上の周波数に設定されている。且つ、不図示のクロック信号は、信号S1と信号S2を同一のタイミングで(同時に)第1のラッチ5及び第2のラッチ6に入力している。クロック信号の周波数を差動信号の最大周波数の10倍以上の適切な周波数を選択すれば、信号S1及び信号S2のパルス幅や周波数の情報を目的に応じた分解能で信号D1及び信号D2に伝達することができる。なお、クロック信号の周波数は、固定であってもよいし可変であってもよい。
図2は、差動信号伝送回路10を構成する各部の信号波形を示すタイミングチャートである。なお、図2の下部に示す「EN2」と「Sout2」は、図3を参照して後述する差動信号伝送回路10aに関するものであるが、差動信号伝送回路10との比較のために図2に示している。
差動ドライバ1は、ロジック信号Sinに対して正論理の信号を差動信号Spとして出力し、負論理の信号を差動信号Smとして出力する。第1の差動レシーバ3では、差動信号Spが正入力に入力され、差動信号Smが負入力に入力されるため、その出力である信号S1はロジック信号Sinと同じ論理の信号となる。同様に第2の差動レシーバ4では、差動信号Sp,Smの入力が第1の差動レシーバ3とは正負逆となっているため、出力される信号S2はロジック信号Sinが反転した信号となる。なお、後述するように、信号S1,S2は共に、ロジック信号Sinに対して、若干、遅延した信号となっている。
ここで、第1の差動レシーバ3と第2の差動レシーバ4の動作について詳しく説明する。第1の差動レシーバ3は、正入力の差動信号Spから負入力の差動信号Smを差し引いた信号Sp−Smを求め、これを所定の閾値Thと比較して信号S1を出力する。第2の差動レシーバ4は、第1の差動レシーバ3とは逆に、差動信号Smから差動信号Spを差し引いた信号Sm−Spを求め、これを所定の閾値Thと比較して信号S2を出力する。このように第1の差動レシーバ3と第2の差動レシーバ4は閾値Thとの比較を同様に行っているので、差動信号Sm,Spの差が0Vとなるときには、第1の差動レシーバ3も第2の差動レシーバ4も論理値0を出力する。この機能は、差動レシーバを使用する上で有用である。なぜなら、送信側が通電されていないときやケーブルが接続されていないときに閾値を0Vとすると出力が不安定になってしまうが、閾値Thを設定して一定のオフセットを与えることで出力信号が不安定になることを防止することができるからである。
一方、差動レシーバには、信号の差を閾値Thと比較することで、単なる差動バッファのような論理素子として扱うことができないという注意すべき特徴がある。それは、閾値Thが0Vからオフセットしているため、入力の論理を上記の通りに入れ替えると、出力信号の遅延時間が変化することである。図2には、信号Sp−Smと信号Sm−Spと閾値Thとの関係が示されており、信号Sp−Smと信号Sm−Spとでは、変化するタイミングから閾値Thを超えるまでの時間が異なっていることがわかる。よって、信号S1と信号S2には、時間的なずれが発生している。
続いて、演算回路7の動作について説明する。演算回路7は、信号S1と信号S2が異なる論理値であること(正常な状態)と、同じ論理値であること(ツイストペア電線2へのノイズ侵入や断線、各回路の通電オフ(動作停止)等の異常発生状態)とを、信号D1,D2により判別する。ここで、上述したように、差動信号Sp,Smがクロスするタイミングでの信号S1と信号S2の遅延時間が異なるため、演算回路7から出力される信号EN1には、パルスPl−1,Pl−2のようなスパイク性のパルスが発生する。そこで、本実施形態では、演算回路7から出力される信号EN1が論理値1の場合には信号D1を第3のラッチ8に入力し、パルスPl−1やパルスPl−2のような論理値0の信号が発生している間は信号D1を第3のラッチ8に取り込まない構成としている。したがって、第3のラッチ8からの出力信号Sout1には、信号S1が変化する不安定な領域の状態は出力されず、安定な時間領域の状態のみが出力される。
次に、ツイストペア電線2に強い電磁パルスが照射され、差動信号Sp,Smに大きなコモンモードノイズ(図2に「Noise」と記す)が重畳された場合の動作について説明する。差動信号伝送方式は、コモンモードノイズに耐性の高い技術であり、小さなノイズであれば、差動信号の相方が同様に変化するために差動信号間の電位差は変わらず、差動レシーバはノイズに影響されずに差動信号を受信することができる。しかし、差動レシーバの電源電圧を超える大きなコモンモードノイズが入力されると、保護回路によって入力電圧が制限され、差動信号の差が0Vになってしまうことがある。この場合でも、差動信号伝送回路10では、第1の差動レシーバ3と第2の差動レシーバ4は共に論理値0を出力するため、演算回路7から出力される信号EN1も論理値0を出力する。したがって、第3のラッチ8には、コモンモードノイズが入力されている間は、信号D1は入力されず、第3のラッチ8の出力信号Sout1にはこのようなノイズが出力されることはない。
以上のコモンモードノイズに関する説明では、第1のラッチ5及び第2のラッチ6による信号入力動作についての説明を省略したが、これらのラッチによる信号入力動作は、ノイズを侵入させないための重要な役割を担っている。そこで、続いて、第1のラッチ5及び第2のラッチ6による信号入力動作について説明する。
図3は、図1に示した差動信号伝送回路10の回路構成から第1のラッチ5及び第2のラッチ6を除いた構成を有する差動信号伝送回路10aの回路図である。差動信号伝送回路10aでの演算回路7から出力される信号EN2と第3のラッチ8の出力信号Sout2が、図2の最下段に示されている。
出力信号Sout2には、出力信号Sout1にはないパルスPl−3が、コモンモードノイズの最初のエッジ近傍に発生している。これは、第1のラッチ5及び第2のラッチ6による信号入力動作がないために発生したものであり、主な原因は演算回路7の入出力の遅延時間である。つまり、信号EN2は信号S1に対して一定の時間遅延しているため、差動信号伝送回路10aでは第3のラッチ8のD入力とEN入力の信号に時間のずれが生じてしまう。そのため、CLK信号のタイミングが信号S1の信号エッジに近い場合に、間違ったタイミングの信号S1が第3のラッチ8に入力されることがある。
これに対し、第1のラッチ5及び第2のラッチ6を用いた差動信号伝送回路10では、信号D1が変化してから信号EN1が変化するまでの演算回路7の遅延時間より長い周期のCLK信号を用いている。これにより、演算回路7の遅延時間の影響を無くして、常に正しい組み合わせの信号によって第3のラッチ8が動作可能となる。
なお、本実施形態では演算回路7を用いた構成について説明したが、同じ機能を持つものであれば、複数の論理演算回路(論理演算素子)を組み合わせて構成されていてもよい。また、本実施形態では、差動信号伝送回路10の終端に抵抗を設けていないが、第1の差動レシーバ3又は第2の差動レシーバ4のいずれか一方に終端抵抗を設けてもよい。
次に、本発明の実施形態に係る振動型アクチュエータの駆動制御(駆動対象物の位置制御)について説明する。図4は、振動型駆動装置20の概略構成を示すブロック図である。振動型駆動装置20は、振動型アクチュエータ30と、振動型アクチュエータ30を駆動する駆動制御装置40とを有する。図5は、振動型アクチュエータ30の概略構成を示す側面図である。図6(a)は、振動型アクチュエータ30が有する圧電素子33の電極構造を説明する平面図であり、図6(b)は、圧電素子33に印加される交流駆動電圧の波形を示す図である。ここでは、最初に、図5及び図6を参照して、振動型アクチュエータ30の構成について説明し、その後、主に図4を参照して、不図示の駆動対象物の位置を制御するための駆動制御装置40による振動型アクチュエータ30の駆動制御について説明する。
図5に示すように、振動型アクチュエータ30は、弾性体31、ロータ32、圧電素子33、光学スケール34、回転軸35及び基台36を備える。電気−機械エネルギ変換素子である圧電素子33は、板状で円環状の圧電セラミックスの表面(一方の面)に、図6(a)に示すように、円周に沿って24個の電極が設けられた構造を有する。これら24個のうち23個の電極は、周方向において3つおきに接続されることで、4つの電極群33a,33b,33c,33dに分かれている。残る1個の電極33eは、振動検出用の電極であり、圧電素子33に振動が励起されたときに圧電効果によって発生する電圧の検出に用いられる。圧電セラミックスの不図示の裏面(他方の面)には、裏面全体に1つの共通電極(全面電極)が形成されている。
円環状の弾性体31は、金属又はセラミックで形成されている。圧電素子33の裏面は接着剤により弾性体31の平滑面に接着されており、圧電素子33と弾性体31により振動体が構成される。なお、振動体は、圧電素子のみによって構成されていてもよい。電極群33a,33b,33c,33dと共通電極との間にはそれぞれ、図6(b)に示すような位相が90度ずつずれた交流駆動電圧A1,B1,A2,B2が印加される。これにより、圧電素子33に生じる変形にしたがって、弾性体31の凹凸面(平滑面の反対側の面)には、周方向に略等間隔に6つの波からなる進行性の振動波(以下「進行波」という)が励起される。弾性体31は、進行波の励起が阻害されないように、不図示の支持機構を用いて基台36に支持されている。なお、弾性体31の凹凸面は、励起される進行波(振動)の振幅を拡大させる機能を有する。また、圧電素子33に代えて、電歪素子により弾性体31に進行波を励起してもよい。
回転軸35は、ロータ32の中心を通るようにロータ32に接合されると共に振動体の中心孔を振動体と接触しないように貫通しており、更に不図示のベアリング等を介して回転可能に基台36に支持されている。ロータ32は、不図示の加圧手段によって弾性体31の凹凸面に加圧接触しており、弾性体31に励起された進行波によって摩擦駆動されることによって回転軸35を中心として回転する被駆動体である。ロータ32の回転運動に伴って回転軸35も回転するため、回転軸35を介して回転運動を外部に出力することができる。よって、回転軸35に不図示の駆動対象物を取り付けることにより、駆動対象物を駆動することができる。駆動対象物は、回転軸35に直接的に取り付けられていてもよいし、ギア等を介して間接的に取り付けられていてもよい。また、駆動対象物は、回転軸35の回転に伴って回転するものであってもよいし、ギア等を介して直進運動を行うものであってもよい。
振動型アクチュエータ30の用途は、特に限定されるものではない。振動型アクチュエータ30は、例えば、多関節ロボットアームの回転駆動手段、デジタルカメラ等の撮像装置のレンズ駆動手段やミラー駆動手段、複写機等の感光ドラム等の駆動手段等、位置決めが必要な部材を備える各種の電子機器に広く用いることができる。
光学スケール34は、回転軸35の回転角度を検出するための光学的な目盛が形成された板状の部材であり、回転軸35に固定されている。光センサ基板47は、基台36に保持されており、光学スケール34に光を照射して光学スケール34からの反射光に基づいて光学スケール34に設けられた目盛情報を読み取る光センサIC47aを有する。光学スケール34に設けられた目盛情報を読み取ることで、ロータ32の回転角度(回転量)を検出し、ロータ32の振動体に対する相対位置を検出することができる。つまり、ロータ32及び回転軸35の位置決めを行うことができる。また、駆動対象物の位置はロータ32の位置と関連付けすることが可能であり、よって、ロータ32の振動体に対する相対的な位置と回転角度を検出することにより、駆動対象物の位置と移動量を検出して、駆動対象物を所定位置に位置決めすることができる。
ところで、振動型アクチュエータ30では、弾性体31とロータ32とが加圧接触しているため、弾性体31での進行波の励起を停止している状態ではロータ32は回転しない。そこで、駆動制御装置40に上述した差動信号伝送回路10を適用し、ロータ32の位置を検出するための信号を差動信号とする。これにより、ロータ32の位置検出手段(光センサ基板47と光センサIC47a)への電源供給(以下「給電」という)を停止しても、ロータ32の停止位置を示す位置信号を自動的に保持することができる。つまり、駆動制御装置40は、振動型アクチュエータ30の駆動と連携してロータ32の位置検出手段への給電を制御し、これにより、振動型アクチュエータ30の停止時の消費電力をより小さく抑えることを可能とする。このような機能を実現するために、駆動制御装置40は、大略的に、振動型アクチュエータ30の駆動部、ロータ32の位置検出部及びタイミング調整部48と、これらの各部を制御するCPU46を備える。以下、駆動制御装置40の構成と機能について、図4を参照して説明する。
CPU46は、ここでは、各種の演算処理を行うプロセッサ(CPU)だけでなく、プロセッサが実行するプログラムを格納したROM、ROMから読み出したプログラムを展開するRAMを有し、また、必要に応じて各種の電気素子を有するものとする。
駆動制御装置40内の駆動部は、振動型アクチュエータ30を駆動するための発振部41と増幅部42を有する。発振部41は、CPU46からの指令にしたがって、所定の周波数、電圧振幅及び位相差の2相の交流信号WA,WBを生成し、増幅部42へ出力する。増幅部42は、交流信号WA,WBを増幅して、位相が180度異なる交流駆動電圧A1,A2と、位相が180度異なる交流駆動電圧B1,B2を出力する。図6(b)を参照して説明したように、交流駆動電圧A1,B1の位相差は90度に設定されており、交流駆動電圧A2,B2の位相差も90度に設定されている。よって、図6(a)に示したように、隣り合う電極群33a,33b,33c,33dには位相差が90度ずつずれた交流駆動電圧が印加されることで、振動型アクチュエータ30は駆動される。
駆動制御装置40内の位置検出部は、光センサ基板47、光センサIC47a、差動信号送信部43、差動信号受信部44及び位置カウンタ45を有する。光センサ基板47へは、CPU46による指令によってタイミング調整部48で発生させた電源電圧Vdd2が供給され、光センサ基板47は、ロータ32の回転位置に応じた位置信号PA1,PB1を出力する。なお、光センサIC47aは、光センサ基板47へ供給された電源電圧Vdd2により動作する。位置信号PA1,PB1の波形については後述する。
差動信号送信部43は、入力信号である位置信号PA1,PB1を差動位置信号PA2,PB2に変換する。差動信号送信部43へは、光センサ基板47と同様に、CPU46による指令によってタイミング調整部48で発生させた電源電圧Vdd1が供給されている。なお、差動信号送信部43とタイミング調整部48は、光センサ基板47に実装されるか又は光センサ基板47に付随してその近くに配置される。
差動位置信号PA2,PB2は、伝送手段であるツイストペア電線2(差動信号伝送回路10のツイストペア電線2に対応する)を介して、差動信号送信部43から差動信号受信部44へ入力される。差動信号受信部44は、位置信号PA3,PB3を出力すると共に、差動位置信号PA2,PB2の状態を監視して、差動位置信号PA2,PB2の状態がアクティブか否かを示すイネーブル信号(EN信号)を出力している。差動位置信号PA2,PB2と位置信号PA3,PB3についての詳細は後述する。
位置カウンタ45は、位置信号PA3,PB3をカウントして位置を検出する。位置カウンタ45ではEN信号に応じてカウント動作の可否が決定され、CPU46は位置カウンタ45からカウント情報POSを取得し、振動型アクチュエータ30の動作を制御する。タイミング調整部48は、CPU46から供給される電源電圧Vddを用いて、光センサ基板47に電源電圧Vdd2と供給し、差動信号送信部43に電源電圧Vdd1を供給する給電手段である。電源電圧Vdd1,Vdd2の供給タイミングについては、後述する。なお、電源電圧Vddの送電線は、ツイストペア電線2と共に束ねられて、1本のシールドされたケーブルとなっている。
次に、差動信号送信部43と差動信号受信部44の動作について詳細に説明する。図7は、差動信号送信部43と差動信号受信部44の回路構成の一例を示す回路図である。なお、図7の回路構成は、図1の差動信号伝送回路10の回路を2つ組み合わせて、論理積回路59を加えた構成となっているため、主に差動信号伝送回路10との相違点について重点的に説明することとする。
差動信号送信部43は、差動ドライバ1に相当する差動ドライバ43a,43bを有する。図7の回路図における差動ドライバ43a,43b以外の部分は、差動信号受信部44の回路となっている。差動信号送信部43は、ツイストペア電線2を通じて差動信号受信部44と接続されている。第1の差動レシーバ3と第2の差動レシーバ4に相当する差動レシーバ23,24に対して、差動位置信号PA2の論理は正負逆に接続されている。同様に、第1の差動レシーバ3と第2の差動レシーバ4に相当する差動レシーバ25,26に対して、差動位置信号PB2の論理は正負逆に接続されている。
第1のラッチ5と第2のラッチ6に相当するラッチ53,54は、差動レシーバ23,24の出力信号をCLK信号のタイミングでサンプリングしている。同様に、第1のラッチ5と第2のラッチ6に相当するラッチ55,56は、差動レシーバ25,26の出力信号をCLK信号のタイミングでサンプリングしている。排他的論理和の演算回路7に相当する演算回路51は、差動位置信号PA2の状態が取り込み可能な状態か否かを判定する。また、排他的論理和の演算回路7に相当する演算回路52は、差動位置信号PB2の状態が取り込み可能な状態か否かを判定する。
第3のラッチ8に相当するラッチ57は、差動位置信号PA2の状態が取り込み可能な状態であると演算回路51が判定した場合に、ラッチ53の出力信号をラッチして位置信号PA3を出力する。同様に、第3のラッチ8に相当するラッチ58は、差動位置信号PB2の状態が取り込み可能な状態であると演算回路52が判定した場合に、ラッチ55の出力信号をラッチして位置信号PB3を出力する。演算回路51,52からの出力信号は、論理積回路59に入力される。論理積回路59は、演算回路51,52の両方からの出力信号を取り込み可能と判定した場合に、EN信号(イネーブル信号)に論理値「1」を出力し、位置カウンタ15に位置信号PA3,PB3のカウント動作を許可する。
図8は、駆動制御装置40内で伝送される各種の信号の波形を示す図である。CPU46からタイミング調整部48へ電源電圧Vddが供給され、タイミング調整部48から差動信号送信部43へ電源電圧Vdd1が供給され、タイミング調整部48から光センサ基板47へ電源電圧Vdd2が供給される。初期状態では、位置カウンタ45の出力するカウント情報POSの値は0(ゼロ)となっている。また、電源電圧Vdd,Vdd1,Vdd2も0Vとなっているため、光センサ基板47が出力する位置信号PA1,PB1と差動信号送信部43が出力する差動位置信号PA2,PB2は、共に0Vとなっている。差動信号受信部44が出力する位置信号PA3,PB3には、初期状態として論理値0が出力されており、EN信号には、差動位置信号PA2,PB2がアクティブになっていないために論理値0が出力されている。なお、初期状態では振動型アクチュエータ30は停止しているものとする。
まず、電源電圧Vdd,Vdd1,Vdd2のタイミングについて説明する。電源電圧Vdd1は、電源電圧Vddとは、電圧の立下りのタイミングは同じであるが、立ち上がりのタイミングに若干の遅れを持っている。電源電圧Vdd2は、電源電圧Vddとは、電圧の立ち上がりのタイミングは同じであるが、立下りのタイミングに若干の遅れを持っている。これは、差動信号送信部43が動作可能な状態になる前に、光センサ基板47の動作を可能とすると共に、光センサ基板47の動作が可能なときに差動信号送信部43の動作を停止するためである。これにより、光センサ基板47が不安定な状態のときの信号は、差動位置信号PA2,PB2へ出力されなくなる。
電源電圧Vdd2が光センサ基板47及び差動信号送信部43の電源レベルに到達すると、光センサ基板47の光センサIC47aに電源が供給され、位置信号PA1,PB1が位置情報に応じた論理値を出力し始める安定な状態となる。これにより、電源電圧Vdd1が差動ドライバ43a,43bに供給され、位置信号PA1,PB1に応じた差動位置信号PA2,PB2の出力が開始される。すると、差動信号受信部44は、位置信号PA1、PB1に応じた論理値の位置信号PA3,PB3を出力すると共に、差動位置信号PA2,PB2が取り込み可能であると判定してEN信号に論理値1を出力し、また、位置カウンタ45はカウント動作を開始する。
続いて振動型アクチュエータ30の駆動が開始されると、ロータ32(回転軸35,光学スケール34)の回転に応じたパルス信号である位置信号PA1,PB1の出力が開始される。そして、位置信号PA3,PB3にも、若干の遅延を持ちながら、位置信号PA1,PB1と同様の信号が出力される。このとき、EN信号には位置信号PA3,PB3が変化するタイミングで細いパルスが出力されるが、位置カウンタ45はこれには反応せず、カウント動作を正常に続けている。
そして、CPU46は、振動型アクチュエータ30の駆動を停止した後に電源電圧Vddを0Vにする。すると、差動信号送信部43の電源電圧Vdd1が最初に供給停止となるため、差動位置信号PA2,PB2が0Vになる。これによりEN信号が論理値0となり、ラッチ57,58はそれ以前の信号を保持し、位置信号PA3、PB3には何の変化も起こらない。次いで電源電圧Vdd2が供給停止となり、光センサ基板47の位置信号PA1,PB1が0Vになる。
再度、CPU46がタイミング調整部48への電源電圧Vddの供給を開始すると、まず、電源電圧Vdd2が光センサ基板47に供給されて、位置信号PA1,PB1が出力される安定状態となる。続いて、電源電圧Vdd1が差動信号送信部43に供給され、これにより、差動位置信号PA,PB2が給電停止前の状態に復帰する。すると、EN信号が論理値1となり、ラッチ57,58は、復帰した差動位置信号PA2、PB2を継続的に取り込むようになる。この場合、差動位置信号PA2,PB2は給電停止前の状態に復帰するだけなので、位置信号PA3,PB3には何の変化も起こらない。
このように、CPU46は、光センサ基板47と差動信号送信部43への電源電圧の供給と連動して変化するEN信号を監視し、EN信号が論理値1になったことを確認してから振動型アクチュエータ30の駆動を制御する。これにより、振動型アクチュエータ30が停止中の状態にあるときの消費電力を少なくすることができる。なお、これと連動して、増幅部42等の消費電力の大きい他の回路の電源のオン/オフを制御するようにすることで、更に消費電力を低減させることができる。
上記の駆動制御装置40では、光センサ基板47から出力される位置信号PA1,PB1は、位置的に位相のずれた2相のパルス信号であるとしたが、光センサ基板47から出力される位置信号は2相の正弦波であってもよい。この場合、公知の抵抗分割を用いてパルス数を逓倍する逓倍手段によって正弦波をパルス信号に変換して差動信号伝送を行えばよい。
図9は、光センサ基板47から出力される位置信号が正弦波である場合の位置検出部の回路構成の一例を示す図である。なお、図9では、駆動制御装置40の位置検出部の構成と共通する部分については同じ符号を付しており、以下の説明では共通する説明を省略する。図9に示す位置検出部は、差動信号送信部43、差動信号受信部44、位置カウンタ45、CPU46、タイミング調整部60、ロータリエンコーダ61、逓倍回路62,63を有する。
ロータリエンコーダ61は、ロータ32の回転角度に応じて2相の正弦波の位置信号DA0,DB0を出力する。逓倍回路62,63はそれぞれ、周知の方法で、正弦波の位置信号DA0,DB0をパルス波の位置信号DA1,DB1に変換して、差動信号送信部43へ出力する。タイミング調整部60は、差動信号送信部43に供給する電源電圧Vdd1、逓倍回路62,63に供給する電源電圧Vdd2、ロータリエンコーダ61へ供給する電源電圧Vdd3のタイミングを調整する。電源電圧Vdd1をオンするタイミングは、基本的に、電源電圧Vdd2,Vdd3より遅く、ロータリエンコーダ61及び逓倍回路62,63が動作可能な状態になってからオンされる。また、電源電圧Vdd1をオフするタイミングは、基本的に、電源電圧Vdd2,Vdd3より早く、ロータリエンコーダ61及び逓倍回路62,63が安定動作しているうちにオフされる。
位置信号DA1,DB1は、差動信号送信部43によって差動位置信号DA2,DB2に変換され、ツイストペア電線2を通じて差動信号受信部44に伝送される。差動信号受信部44は、差動位置信号DA2,DB2を元の位置信号DA1,DB1と同等の位置信号DA3,DB3に変換している。位置カウンタ45は、EN信号に応じて位置信号DA3,DB3をカウントし、カウント情報POSをCPU46に入力している。このような構成としても、駆動制御装置40と同等の効果を得ることができる。
次に、本発明の実施形態に係る別の振動型駆動装置について説明する。図10(a)は、振動型駆動装置20Aの概略構成を示すブロック図である。振動型駆動装置20Aは、整流回路65を備える駆動制御装置40Aを備えている点で、振動型駆動装置20と異なっている。そのため、以下の説明では、駆動制御装置40Aにおける整流回路65の構成と機能等を中心に説明することとし、振動型駆動装置20と共通する説明を省略する。
図4に示した駆動制御装置40では、CPU46から光センサ基板47と差動信号送信部43へ給電を行っている。これに対して、図10(a)に示すように、駆動制御装置40Aでは、振動型アクチュエータ30の交流駆動電圧A1を整流回路65で整流して、光センサ基板47と差動信号送信部43へ電源電圧を供給している。
図10(b)は、整流回路65の回路構成を一例を示す図である。整流回路65は、入力される交流駆動電圧A1をインダクタ素子L1,L2で分圧した後に、ダイオードを介して平滑コンデンサで直流電圧に変換することで、電源電圧Vddを出力する。インダクタ素子L1,L2による分圧は、振動型アクチュエータ30の交流駆動電圧A1,B1,A2,B2は、光センサIC47a等の電源電圧と比較して大きな電圧となる場合が多いことを考慮したものである。電源電圧Vddは、タイミング調整部48で供給タイミングを調整された電源電圧Vdd1,Vdd2に変換され、電源電圧Vdd1は差動信号送信部43に供給され、電源電圧Vdd2は光センサ基板47に供給される。なお、整流回路65による整流後の電圧は変動するため、電源電圧Vdd1,Vdd2の電圧を電圧レギュレータIC等によって安定化させてから、光センサ基板47や差動信号送信部43に供給するようにしてもよい。
図10(c)は、振動型アクチュエータ30に印加する交流駆動電圧の周波数とロータ32の回転速度との関係を示す図である。図中、周波数Fsは、ロータ32が回転しない周波数を示している。周波数Frは、弾性体31(振動体)の6次の曲げ振動の共振周波数である。速度指令Spd0は、ロータの回転速度を指令する不図示の指令手段からの速度指令値であり、ロータ32の回転速度が速度指令Spd0に達すると、概ね、交流駆動電圧の周波数は周波数F0に制御される。なお、周波数F1については後述する。
図11は、振動型駆動装置20AでのCPU46の動作を示すフローチャートである。図11のフローチャートの各処理は、CPU46のプロセッサが自身のROMに格納されたプログラムを自身のRAMに展開して、振動型駆動装置20Aを構成する各部の動作を制御することにより実現される。
図11のフローチャートの処理は、タイミング調整部48に電源電圧Vddを供給する処理と、振動型アクチュエータ30でのロータ32の回転速度を制御する処理に大別することができる。ステップS1においてCPU46は、ロータ32が回転しない条件を満たす交流駆動電圧を振動型アクチュエータ30(圧電素子33)に供給する。具体的には、CPU46からの指令により、発振部41は、交流駆動電圧の周波数Fに、例えば、図10(c)に示した周波数Fsを設定する。また、発振部41は、交流駆動電圧の電圧振幅に、ロータ32を回転駆動する際の電圧振幅V1より若干低い値である電圧値V0を設定し、交流駆動電圧の位相差に、ロータ32が回転しない位相差である0度を設定する。すると、整流回路65を介してタイミング調整部48に電源電圧Vddが供給され、所定のタイミングで、差動信号送信部43に電源電圧Vdd1が供給されると共に光センサ基板47に電源電圧Vdd2が供給される。
差動信号受信部44への差動位置信号PA2,PB2が正常な信号になる(光センサ基板47及び差動信号送信部43が動作可能になる)とEN信号は論理値1となる。そこでステップS2においてCPU46は、EN信号が論理値1になったか否かを判定する。CPU46は、EN信号が論理値1になるまで待機し(S2でNO)、EN信号が論理値1になったと判定した場合(S2でYES)、処理をステップS3へ進める。ステップS3においてCPU46は、発振部41に指令して、ロータ32を回転させる条件を満たす交流駆動電圧を振動型アクチュエータ30(圧電素子33)に供給する。具体的には、交流駆動電圧の電圧振幅に電圧振幅V1を設定し、交流駆動電圧の位相差を90度に設定し、交流駆動電圧の周波数を制御することで、ロータ32の回転速度を制御する。周波数Fsでは振動体に進行波は励起されないため、交流駆動電圧の周波数制御は、最初は周波数Fsから低周波数側へ周波数を掃引することによって行われる。
ステップS4においてCPU46は、ロータ32を停止させるか否かを判定する。CPU46は、ロータ32を停止させると判定した場合(S4でYES)、処理をステップS6へ進める。ステップS6においてCPU46は、交流駆動電圧の電圧振幅を0Vに設定する。これにより、ロータ32は停止し、本処理は終了となる。一方、CPU46は、ロータを停止させないと判定させた場合(S4でNO)、処理をステップS6へ進める。
ステップS6においてCPU46は、ロータ32の現在の回転速度Spdを位置信号PA3の周期を計測することによって求める。続くステップS7においてCPU46は、ロータ32の現在の回転速度Spdが目標速度(=速度指令Spd0)より遅いか否かを判定する。CPU46は、Spd≧Spd0であると判定した場合(S7でNO)、処理をステップS8へ進める。ステップS8においてCPU46は、現在の交流駆動電圧の周波数Fが周波数F0より小さいか否かを判定する。CPU46は、F<F0であると判定した場合(S8でYES)、処理をステップS9へ進め、F0≧Fであると判定した場合(S8でNO)、処理をステップS4へ戻す。ステップS9においてCPU46は、現在の交流駆動電圧の周波数Fに所定値dFを加算することで共振周波数Frから離すように制御し、その後、処理をステップS4へ戻す。
CPU46は、ステップS7においてSpd<Spd0であると判定した場合(S7でNO)、処理をステップS10へ進める。ステップS10においてCPU46は、現在の交流駆動電圧の周波数Fが周波数F1より大きいか否かを判定する。CPU46は、F>F1であると判定した場合(S10でYES)、処理をステップS11へ進める。ステップS11においてCPU46は、現在の交流駆動電圧の周波数Fから所定値dFを減算することで共振周波数Frに近付けるように制御し、その後、処理をステップS4へ戻す。CPU46は、F1≧Fであると判定した場合(S10でNO)、処理をステップS12へ進める。ステップS12においてCPU46は、交流駆動電圧の電圧振幅を0Vに設定する。ステップS12が実行される場合には、負荷が大き過ぎて交流駆動電圧の周波数が周波数F1に達してしまう場合であり、振動型アクチュエータ30の駆動制御はエラーにより終了となる。図11のフローチャートに従う処理を実行することで、交流駆動電圧の周波数を概ね周波数F0の近傍に制御することができる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
例えば、上記実施形態では、1つのCPU46が各部の動作を制御する構成について説明したが、複数のCPUが処理を分担することによって同様の制御が実現される構成であっても構わない。また、CPU46の機能は、例えば、各部の処理の全部又は一部を論理回路により実現するASIC等の専用プロセッサと、専用プロセッサにより動作が制御される電気回路によって構成されていてもよい。駆動制御装置40を構成する各部は、ソフトウェア(プログラム)による実装、ハードウェアによる実装及びソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによる実装のいずれの態様であってもよい。本発明は、上述した実施形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
また、上記実施形態では、振動型駆動装置を構成する振動型アクチュエータとして、円環状の振動体の周方向に進行波を励起するものを取り上げたが、振動型アクチュエータはこのような構成のものに限定されない。例えば、駆動制御装置40等による駆動が可能な振動型アクチュエータは、加圧接触する振動体と被駆動体とが、振動体に励起された所定の振動モードの振動によって直線的に相対移動するリニア駆動型の振動型アクチュエータであってもよい。また、振動型アクチュエータは、他の振動モードによって回転出力を生じさせる周知の振動型アクチュエータであってもよい。更に、振動型アクチュエータは、磁歪素子を用いた振動体を有し、振動体と被駆動体とを相対的に移動させるものであってもよい。この場合には、磁歪素子に磁界を与える電磁コイルに流す電流を制御することによって、振動型アクチュエータの駆動を制御することができる。