以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本明細書においては半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は、重力方向または半導体装置の実装時における方向を指すものではない。
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する。直交座標軸は、構成要素の相対位置を特定するに過ぎず、特定の方向を限定するものではない。例えば、Z軸は地面に対する高さ方向を限定して示すものではない。なお、+Z軸方向と−Z軸方向とは互いに逆向きの方向である。正負を記載せず、Z軸方向と記載した場合、+Z軸および−Z軸に平行な方向を意味する。
各実施例においては、第1導電型をN型、第2導電型をP型とした例を示しているが、第1導電型をP型、第2導電型をN型としてもよい。この場合、各実施例における基板、層、領域等の導電型は、それぞれ逆の極性となる。
図1は、本発明の一つの実施形態に係る半導体装置100の一例を示す断面図である。半導体装置100は、活性部80およびエッジ部70が形成された半導体基板10を備える。本例では、半導体基板10の上面と平行な面をXY面とし、半導体基板10の深さ方向をZ軸とする。図1は、活性部80の一部分と、活性部80の当該部分および半導体基板10の端部の間のエッジ部70とを含む部分的な断面図を示している。一例として活性部80は、X軸方向およびY軸方向においてエッジ部70よりも大きな幅を有しており、且つ、XY面においてエッジ部70に囲まれている。
半導体基板10は、シリコン、炭化シリコンまたは窒化ガリウム等の半導体材料で形成された基板である。半導体基板10は、エピタキシャル成長等により形成された部分を含んでよい。半導体基板10は、第1導電型(本例ではN−型)のドリフト領域18を有する。
本例の活性部80には、IGBTが形成されている。半導体基板10において、ベース領域14が形成されている領域を活性部80としてよく、トレンチ部30が周期的に形成されている領域を活性部80としてもよい。また、ウェル領域42よりも半導体基板10の中心側の領域を活性部80としてもよい。図1の例では、ウェル領域42の端部とベース領域14との境界を、活性部80とエッジ部70との境界としている。
活性部80における半導体基板10には、第2導電型(本例ではP−型)のベース領域14、第2導電型(本例ではP+型)のコレクタ領域28、ドリフト領域18よりもドーピング濃度の高い第1導電型(本例ではN+型)の第1バッファ領域20、および、1つ以上のトレンチ部30が形成されている。それぞれのトレンチ部30は、Y軸方向に延伸して形成されている。ベース領域14は、ドリフト領域18の上方に形成されている。ベース領域14は、少なくとも一部が半導体基板10の上面に露出してよい。また、ドリフト領域18の上方には、N+型のエミッタ領域も形成されるが、図1の断面にはあらわれていない。ベース領域14は、エミッタ領域とドリフト領域18との間に形成された部分を有する。
コレクタ領域28は、ドリフト領域18の下方に形成されている。本例のコレクタ領域28は、少なくとも一部が半導体基板10の下面に露出する。本例では、半導体基板10の主面のうち、ベース領域14側の面を上面とし、コレクタ領域28側の面を下面とする。
図1の例では、コレクタ領域28は、半導体基板10の下面と隣接する領域全体に形成されている。他の例では、コレクタ領域28は、半導体基板10の下面と隣接する領域に選択的に形成されてよい。例えばエッジ部70の少なくとも一部の領域には、コレクタ領域28が形成されていなくともよい。
トレンチ部30は、半導体基板10の上面からドリフト領域18に達する深さまで形成されている。トレンチ部30の側壁は、エミッタ領域およびベース領域14に接している。少なくとも一部のトレンチ部30の内部には、熱酸化膜等の絶縁膜を介して、ゲート電圧が印加されるゲート電極が形成されている。ゲート電極は、一例として不純物がドープされたポリシリコンである。所定のゲート電圧をトレンチ部30に印加することで、エミッタ領域およびドリフト領域18との間のベース領域14における、トレンチ部30との界面近傍にチャネルが形成される。
活性部80における半導体基板10の上面には、エミッタ電極52が形成される。エミッタ電極52は、ベース領域14およびエミッタ領域に接触する。ベース領域14の上面近傍には、ベース領域14よりも高濃度のP+型であり、エミッタ電極52と接触するコンタクト領域が更に形成されていてもよい。
半導体基板10の上面には、エミッタ電極52とトレンチ部30とを絶縁する層間絶縁膜53が設けられる。なお、トレンチ部30の一部は、エミッタ電極52と電気的に接続されていてもよい。
半導体基板10の下面には、コレクタ電極54が設けられる。エミッタ電極52およびコレクタ電極54は、アルミニウム等の金属材料で形成される。コレクタ電極54は、コレクタ領域28と接触している。コレクタ電極54は、エッジ部70にも設けられてよい。
第1バッファ領域20は、少なくともドリフト領域18の一部よりも下方であって、且つ、コレクタ領域28の上方に形成される。第1バッファ領域20は、ベース領域14から広がる空乏層が、コレクタ領域28に到達することを防ぐフィールドストップ領域として機能してよい。第1バッファ領域20は、ベース領域14とは離れて形成されている。また、後述するトレンチ部30の下端、および、ウェル領域42の下端のいずれよりも下方に形成される。一例として第1バッファ領域20は、半導体基板10の上面からみて、半導体基板10の厚みの1/4以上深い位置に形成されてよく、半導体基板10の厚みの1/2以上深い位置に形成されてよく、3/4以上深い位置に形成されてよい。図1の例の第1バッファ領域20は、上端がドリフト領域18に接し、下端がコレクタ領域28に接する連続した領域である。
エッジ部70は、半導体基板10の上面と平行な面において、活性部80を囲んで形成される。エッジ部70は、活性部80と、半導体基板10の端部との間の領域を指してよい。エッジ部70の半導体基板10には、1つ以上のウェル領域42が設けられる。ウェル領域42は、第2導電型の領域である。ウェル領域42は、半導体基板10の上面から見て、ベース領域14の下端よりも深い位置まで形成されていてよい。ウェル領域42は、トレンチ部30の下端よりも深い位置まで形成されていてもよい。ウェル領域42は、ベース領域14よりもドーピング濃度が高くてよい。
ウェル領域42は、半導体基板10の上面と平行な面において、活性部80を囲んで形成されている。複数のウェル領域42が、互いに離間して設けられてよい。少なくとも一つのウェル領域42は、活性部80から離れた位置で空乏層を終端させるガードリングとして機能してよい。上述したように、複数のウェル領域42のうち、最も活性部80側のウェル領域42−1の、活性部80側の端部(ウェル領域42−1とベース領域14との境界)を、活性部80とエッジ部70との境界の位置X1とする。ウェル領域42−1とベース領域14は離れているよりも接していてよい。ウェル領域42−1またはベース領域14とドリフト領域18とのpn接合から、ドリフト領域18に広がる空乏層の端面の形状が、凸凹が小さく平坦に近いことが良い。
エッジ部70における半導体基板10は、ドリフト領域18の下方に形成され、ドリフト領域18よりもドーピング濃度の高いN+型の第2バッファ領域22を有する。第2バッファ領域22は、後述するトレンチ部30の下端、および、ウェル領域42の下端のいずれよりも下方に形成される。一例として第1バッファ領域20は、半導体基板10の上面からみて、半導体基板10の厚みの1/4以上深い位置に形成されてよく、半導体基板10の厚みの1/2以上深い位置に形成されてよく、3/4以上深い位置に形成されてよい。第2バッファ領域22は、第1バッファ領域20の一部と同一の深さ位置に形成されてよい。本例の第2バッファ領域22は、上端がドリフト領域18に接し、下端がコレクタ領域28に接する連続した領域である。
半導体基板10の深さ方向において、第1バッファ領域20の厚さT1は、第2バッファ領域22の厚さT2よりも大きい。各バッファ領域の厚さとは、上述した所定の深さ範囲において、ドリフト領域18よりもドーピング濃度の高いN+型の領域の厚みである。また、ドリフト領域18とバッファ領域との境界が不明瞭な場合には、ドリフト領域18の平均のドーピング濃度に対して、2倍のドーピング濃度となる点をバッファ領域の端点としてよく、5倍のドーピング濃度となる点をバッファ領域の端点としてもよい。また、バッファ領域が深さ方向において離散的に複数設けられている場合、バッファ領域の厚さは、深さ方向に離散的に設けられた複数のバッファ領域の厚みの総和となる。
第1バッファ領域20の厚みT1は、XY面における活性部80の中央における第1バッファ領域20の厚みを用いてよい。また、第1バッファ領域20は、XY面において均一な厚みを有してよい。
第2バッファ領域22の厚みT2は、活性部80とエッジ部70との境界の位置X1から、半導体基板10の端部までの間の中央位置における厚みを用いてよい。また、第2バッファ領域22は、XY面において均一な厚みを有してよい。
第1バッファ領域20が、第2バッファ領域22よりも厚く形成されることで、活性部80における耐圧を下げることができる。ここで耐圧とは、半導体装置がオフ状態のときに、ベース領域14とドリフト領域18とのpn接合に対して逆バイアスとなる電圧を半導体装置に印加した状態で、pn接合がアバランシェ降伏を起こすときの電圧値を意味する。これにより、エッジ部70よりも先に活性部80をアバランシェ降伏させることができる。活性部80には、エミッタ電極52と接触するベース領域14またはP+型のコンタクト領域が全体的に形成されている。このため、アバランシェ降伏時のホール電流を活性部80の広い面積に均一に引き抜くことができるので、エッジ部70よりも活性部80でアバランシェ降伏させれば、アバランシェ耐量を維持しやすくなるここでエッジ部70でアバランシェ降伏させると、発生するホール電流をエミッタ電極52を有するエミッタ領域の引き抜き部に集中しやすくなり、その結果アバランシェ耐量が低下する。第1バッファ領域20の厚みT1は、第2バッファ領域22の厚みT2の1.5倍以上であってよく、2倍以上であってよく、3倍以上であってもよい。
特に、半導体装置100を微細化して、トレンチ部30のピッチを小さくすると、活性部80の耐圧が上昇する。この場合、相対的にコスト低下によりエッジ部70の面積を小さくする、もしくは、特性を上げるために、半導体基板10の厚みを薄くする等を行うと、エッジ部70の耐圧が低くなるので、エッジ部70でアバランシェ降伏が生じやすくなり、半導体装置100のアバランシェ耐量が低下する。これに対して、図1の半導体装置100では、半導体基板10の厚みを薄くする、および、エッジ部70の面積を小さくしても活性部80の耐圧が低くなることから、アバランシェ耐量を向上させることができる。ここでアバランシェ耐量とは、アバランシェ降伏を生じたときのアバランシェ電流、及びアバランシェ降伏時の半導体装置100に流れる電流が所定電流(例えば定格電流以上、あるいは飽和電流)まで流れたときに、半導体装置が破壊する直前までのエネルギー値(印加電圧と電流の積)を意味する。
第1バッファ領域20のエッジ部70側の端部の位置X2は、ウェル領域42−1の端部の位置X1よりも活性部80側に設けられることが好ましい。つまり、第1バッファ領域20は、エッジ部70には設けられていないことが好ましい。これにより、エッジ部70が先にアバランシェ降伏することを抑制できる。第1バッファ領域20の端部の位置X2は、例えばバッファ領域を活性部80からエッジ部70に向けて観察した場合に、厚みが減少し始める点であってよい。
エッジ部70における半導体基板10の上面には、1つ以上の金属膜58が形成されている。金属膜58は、ウェル領域42の上方に設けられてよい。少なくとも一つの金属膜58はフィールドプレートとして機能してよい。
金属膜58と半導体基板10との間には、ポリシリコン等で形成された接続部44が設けられてよい。接続部44は、絶縁膜46により覆われてよい。絶縁膜46には、金属膜58と接続部44とを接続するためのコンタクトホールが設けられる。
半導体基板10の端部には、チャネルストッパ48が形成されてよい。チャネルストッパ48は、N+型またはP+型の領域である。チャネルストッパ48の上方には、絶縁膜46を介して金属膜58が形成されてよい。金属膜58は、絶縁膜46に設けられたコンタクトホールを介してチャネルストッパ48と接触する。
また、半導体基板10の上方には、金属膜58、絶縁膜46およびエミッタ電極52を覆う保護膜56が設けられてよい。エミッタ電極52の一部の領域は、ワイヤ等と接続するべく、保護膜56から露出していてよい。
図2は、エッジ部70および活性部80の境界近傍を拡大した断面図である。第1バッファ領域20の上面側の端(上端)が、第2バッファ領域22の上端よりも半導体基板10の上面側に設けられていてよい。本例では、第1バッファ領域20の上端から、トレンチ部30の下端までのドリフト領域18の厚みT3は、第2バッファ領域22の上端から、ウェル領域42−1の下端までのドリフト領域18の厚みよりも小さい。このような構造により、活性部80の耐圧をエッジ部70の耐圧よりも小さくして、アバランシェ耐量を向上させることができる。
トレンチ部30の下端と、ウェル領域42−1の下端との深さ方向における位置の差分をD1とする。また、第1バッファ領域20の厚みと、第2バッファ領域22の厚みとの差分をD2とする。差分D1よりも差分D2の方が大きくてよい。これにより、活性部80の耐圧をエッジ部70の耐圧よりも小さくすることが容易となる。
半導体基板10は、活性部80とエッジ部70とで同一の厚みを有してよい。他の例では、活性部80における半導体基板10の厚みが、エッジ部70における半導体基板10の厚みよりも小さくてよい。これにより、活性部80の耐圧を更に調整することができる。また、活性部80における半導体基板10の厚みが、エッジ部70における半導体基板10の厚みよりも大きくてもよい。この場合、厚みT3が厚みT4よりも十分小さくなるように、バッファ領域の厚みの差分D2を、活性部80およびエッジ部70における半導体基板10の厚みの差分よりも大きくする。
図3は、アバランシェ降伏時においてエッジ部70に伸びる空乏層の概略を示す図である。点線90は、第1バッファ領域20の厚みを、第2バッファ領域22よりも大きくした場合の空乏層の端部を示しており、鎖線92は、第1バッファ領域20の厚みを第2バッファ領域22と同一にした場合の空乏層の端部を示している。
図3に示すように、第1バッファ領域20の厚みを大きくすることで、空乏層のX軸方向における広がりを抑制するが、エッジ部70の下の第2バッファ領域22と同一の厚みにすることで、X軸方向における空乏層を伸ばすことができる。このため、エッジ部70の耐圧を上げることができる。
図4は、半導体装置100の断面の他の例を示す図である。本例においては、活性部80に近いウェル領域42ほど、X軸方向において大きな幅を有している。例えば、ウェル領域42−2の幅W1は、ウェル領域42−2よりも外側に配置されたウェル領域42−3の幅W2よりも大きい。一部のウェル領域42は、同一の幅を有していてもよい。最も活性部80に近いウェル領域42−1が、最も大きい幅を有してよい。
図5Aは、複数の第1バッファ領域20を備える半導体装置100の一例を示す断面図である。半導体基板10は、活性部80において深さ方向において離間して設けられた2つ以上の複数の第1バッファ領域20を備える。それぞれの第1バッファ領域20は、深さ方向のドーピング濃度分布が、ガウス分布等のようにピークを有してよい。それぞれの第1バッファ領域20のエッジ部70側の端は、図5Aの点線で示すように下面側に湾曲していてよい。
それぞれの第1バッファ領域20の間には、ドリフト領域18が設けられてよい。つまり、それぞれの第1バッファ領域20の各ピーク間には、ドリフト領域18と同一のドーピング濃度の領域が存在する。他の例では、それぞれの第1バッファ領域20が連続して設けられてもよい。つまり、それぞれの第1バッファ領域20の各ピーク間の領域は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度の高い領域であってよい。
本例の複数の第1バッファ領域20は、ベース領域14の下端と、コレクタ領域28の上端との間に配置されてよい。複数の第1バッファ領域20は、トレンチ部30の下端およびウェル領域42の下端のいずれよりも下側に設けられることが好ましい。複数の第1バッファ領域20は、半導体基板10の深さ方向における中央と、半導体基板10の下面との間に配置されてもよい。それぞれの第1バッファ領域20のドーピング濃度は、同一であってよく、異なっていてもよい。一例として、半導体基板10の下面に近い第1バッファ領域20ほど、ドーピング濃度のピーク値が高くてよい。
半導体基板10は、エッジ部70においても1つまたは複数の第2バッファ領域22を備えてよい。ただし、深さ方向に設けられた第1バッファ領域20の個数は、深さ方向に設けられた第2バッファ領域22の個数よりも多い。これにより、第1バッファ領域20の総厚みを、第2バッファ領域22の総厚みよりも容易に大きくできる。
図5Aの例では、第2バッファ領域22の個数は一つである。第2バッファ領域22は、複数の第1バッファ領域20のうち、半導体基板10の下面に最も近い第1バッファ領域20と同一の深さ位置に設けられてよい。他の例では、第2バッファ領域22は、半導体基板10の下面に最も近い第1バッファ領域20以外の第1バッファ領域20と同一の深さ位置に設けられてもよい。第2バッファ領域22は、半導体基板10の上面に最も近い第1バッファ領域20以外の第1バッファ領域20と同一の深さ位置に設けられてよい。第2バッファ領域22は、深さ位置が同一の第1バッファ領域20と同一のドーピング濃度を有してよい。
図5Bは、複数の第1バッファ領域20を備える半導体装置100の他の一例を示す断面図である。図5Aに示した半導体装置100との相違点は、1つ以上の第3バッファ領域24を更に備える点である。他の構造は、図5Aに示した半導体装置100と同一である。図5Bに示した半導体装置100は、第3バッファ領域24−3および第3バッファ領域24−4を備える。
第3バッファ領域24−3および24−4は、第1バッファ領域20よりも半導体基板10の外周側に設けられる。それぞれの第3バッファ領域24の少なくとも一部分は、エッジ部70に設けられる。また、第3バッファ領域24−3は第1バッファ領域20−3と連続して形成され、第3バッファ領域24−4は第1バッファ領域20−4と連続して設けられる。第3バッファ領域24−3は、対応する第1バッファ領域20−3よりも浅く形成されており、第3バッファ領域24−4は、対応する第1バッファ領域20−4よりも浅く形成されている。
例えばプロトンを半導体基板10に注入して第1バッファ領域20を形成するときに、第3バッファ領域24に対応する領域を覆うレジストマスクの厚さを図5Aの例よりも所定量だけ厚くすることでプロトンのエネルギーを吸収し、プロトンの濃度分布のピーク位置を浅くする。これにより、第1バッファ領域20よりも浅い位置に第3バッファ領域24を形成できる。本例では、第1バッファ領域20−2に相当する第3バッファ領域24は形成されていない。プロトンが、第3バッファ領域24を覆うレジストマスク内に停止することで半導体基板10の内部にプロトンが入らない。
特に、プロトンの加速エネルギーに対するレジストマスクの遮蔽効果を奏する厚さは、加速エネルギーに依存する。そのため、レジスト端部のだれにより、最も深い第1バッファ領域20−4と第3バッファ領域24−4との境界部分は、これより浅い第1バッファ領域20−3と第3バッファ領域24−3との境界部分よりも、レジストマスク側(チップの外周側、X軸方向の負の向き)に位置してよい。また、レジストマスクの端部のだれ方によって、第1バッファ領域20と第3バッファ領域24との境界部分は、浅い第3バッファ領域24の方で角部を有する場合と、深い第1バッファ領域20の方で滑らかな湾曲状である場合と、の少なくともどちらか一方であってよい。第3バッファ領域24の深さ方向の個数を第1バッファ領域20より増減させることは、適宜行えばよい。これにより、図5Aの構成と同様の効果を奏する。
図6Aは、複数の第1バッファ領域20を備える半導体装置100の他の例を示す断面図である。本例では、隣接する第1バッファ領域20の深さ方向における間隔のうち、いずれか1つ以上の間隔が、他の間隔よりも大きい。当該いずれか1つ以上の間隔は、他の間隔の5倍以上であってよく、10倍以上であってもよい。
図6Aの例では、最もコレクタ領域28に近い第1バッファ領域20−1と、次の第1バッファ領域20−2との間隔P1が、第1バッファ領域20−2と、次の第1バッファ領域20−3との間隔P2より大きい。間隔P1が、間隔P2の5倍以上であってよく、10倍以上であってもよい。バッファ領域の間隔とは、各バッファ領域における深さ方向のドーピング濃度分布のピーク位置の間隔であってよい。このような構造により、活性部80の耐圧をより低下させることができる。
図6Bは、複数の第1バッファ領域20を備える半導体装置100の他の一例を示す断面図である。図6Aに示した半導体装置100との相違点は、1つ以上の第3バッファ領域24を更に備える点である。他の構造は、図6Aに示した半導体装置100と同一である。図6Bに示した半導体装置100は、第3バッファ領域24−2、第3バッファ領域24−3および第3バッファ領域24−4を備える。
第3バッファ領域24−2、第3バッファ領域24−3および24−4は、第1バッファ領域20よりも半導体基板10の外周側に設けられる。それぞれの第3バッファ領域24の少なくとも一部分は、エッジ部70に設けられる。また、第3バッファ領域24−2は第1バッファ領域20−2と連続して形成され、第3バッファ領域24−3は第1バッファ領域20−3と連続して形成され、第3バッファ領域24−4は第1バッファ領域20−4と連続して設けられる。第3バッファ領域24−2は、対応する第1バッファ領域20−2よりも浅く形成されており、第3バッファ領域24−3は、対応する第1バッファ領域20−3よりも浅く形成されており、第3バッファ領域24−4は、対応する第1バッファ領域20−4よりも浅く形成されている。
例えばプロトンを半導体基板10に注入して第1バッファ領域20を形成するときに、第3バッファ領域24に対応する領域を覆うレジストマスクの厚さを図6Aの例よりも所定量だけ厚くすることでプロトンのエネルギーを吸収し、プロトンの濃度分布のピーク位置を浅くする。これにより、第1バッファ領域20よりも浅い位置に第3バッファ領域24を形成できる。
また、レジスト端部のだれの影響により、最も深い第1バッファ領域20−4と第3バッファ領域24−4との境界部分は、これより浅い第1バッファ領域20−3と第3バッファ領域24−3との境界部分よりも、レジストマスク側(チップの外周側、X軸方向の負の向き)に位置してよい。また、レジストマスクの端部のだれ方によって、第1バッファ領域20と第3バッファ領域24との境界部分は、浅い第3バッファ領域24の方で角部を有する場合と、深い第1バッファ領域20の方で滑らかな湾曲状である場合と、の少なくともどちらか一方であってよい。第3バッファ領域24の深さ方向の個数を第1バッファ領域20より増減させることは、適宜行えばよい。これにより、図6Aの構成と同様の効果を奏する。
図7は、半導体装置100の他の例を示す断面図である。本例の半導体装置100は、ベース領域14の下方に、ドリフト領域18よりもドーピング濃度の高いN+型の蓄積領域16を有する。また、ベース領域14の上方に、ドリフト領域18よりもドーピング濃度の高いN+型のエミッタ領域12を有する。エミッタ領域12および蓄積領域16は、トレンチ部30に挟まれた領域において、トレンチ部30の下端よりも上側に設けられる。エミッタ領域12および蓄積領域16以外の構造は、図1から図6Bにおいて説明したいずれかの態様の半導体装置100と同一である。
蓄積領域16を設けることで、蓄積領域16の下方におけるキャリア濃度を上昇させて、オン電圧を低下させることができる。また、蓄積領域16を設けることで、活性部80の耐圧がさらに下がっても良い。X軸方向において、第1バッファ領域20の端部は、蓄積領域16の端部と同一位置に設けられてよく、エッジ部70側に設けられてよく、活性部80の中央側に設けられてもよい。第1バッファ領域20は、図5A、図5B、図6Aおよび図6Bの例と同様に、複数個形成されていてよい。
図8は、半導体装置100の他の例を示す断面図である。本例の半導体装置100は、図1から図7において説明したいずれかの態様の半導体装置100の構造において、コレクタ領域28の一部に代えて、N+型の高濃度領域29を有する。高濃度領域29は、エッジ部70の全体に形成されてよい。高濃度領域29は、活性部80の一部にも設けられてよい。図8の例では、高濃度領域29は、活性部80のうち、エッジ部70に隣接する領域にも設けられている。
第1バッファ領域20は、コレクタ領域28よりもエッジ部70側まで形成されている。X軸方向における、高濃度領域29と、コレクタ領域28との境界の位置をX3とすると、第1バッファ領域20の端部の位置X2は、位置X3よりもエッジ部70側に配置されている。この高濃度領域29を形成することにより、エッジ部70で発生する相対的なホール電流を抑制することができるため、エミッタ領域12への電流集中を防ぐことができる。その結果、アバランシェ耐量をさらに高めることができる。
また、第1バッファ領域20および第2バッファ領域22の間には、厚みが徐々に変化し、且つ、ドリフト領域18よりもドーピング濃度が高い接続バッファ領域21が設けられている。接続バッファ領域21のドーピング濃度は、第1バッファ領域20および第2バッファ領域22の少なくとも一方と同一であってよい。
コレクタ領域28のエッジ部70側の端部と対向する位置X3から、最も活性部80側に設けられたウェル領域42−1のエッジ部70側の端部に対向する位置X6までの間に、接続バッファ領域21が配置されてよい。つまり、接続バッファ領域21と第1バッファ領域20との境界位置X2と、接続バッファ領域21と第2バッファ領域22との境界位置X4の双方が、位置X3から位置X6の間に配置されている。
また、最も活性部80側のウェル領域42−1の、活性部80側の端部に対向する位置X1に、第2バッファ領域22または接続バッファ領域21が設けられていてよい。つまり、位置X1には、第1バッファ領域20よりも厚みの小さいバッファ領域が設けられていてよい。これにより、ウェル領域42−1と、バッファ領域との距離を保ち、エッジ部70において耐圧を上昇させることができ、先に活性部80でアバランシェ降伏しやすくなるため、アバランシェ耐量を維持することができる。
ウェル領域42−1の当該端部に対向する位置X1には、接続バッファ領域21が設けられておらず、第2バッファ領域22が設けられていてよい。つまり、第2バッファ領域22と接続バッファ領域21との境界の位置X4は、ウェル領域42−1の端部の位置X1よりも活性部80側に配置されることが好ましい。
また、当該断面において、少なくとも一つのトレンチ部30は、最も活性部80側のウェル領域42−1の内部に設けられてよい。当該トレンチ部30と対向する位置X5に、第2バッファ領域22または接続バッファ領域21が設けられてよい。図8の例では、位置X5には第2バッファ領域22が設けられている。このような構造によっても、エッジ部70におけるアバランシェ降伏を抑制できる。
接続バッファ領域21は、X軸方向において、活性部80からエッジ部70にまたがって形成されていてもよい。つまり、ウェル領域42−1の端部と対向する位置X1には、接続バッファ領域21が設けられていてもよい。接続バッファ領域21のX軸方向における幅は、ウェル領域42−1の幅の半分より大きくてよく、ウェル領域42−1の幅より大きくてもよい。接続バッファ領域21を広範囲に設けることで、バッファ領域の厚みの変動を緩やかにできる。なお、接続バッファ領域21の形状は、第1バッファ領域20を形成するべく不純物を注入する際に用いるマスクの形状で調整できる。当該マスクは、端部において厚みが徐々に減少する形状を有する。半導体基板10に注入される不純物の飛程は、マスクの厚みにより変化するので、マスクの端部部分の形状を調整することで、接続バッファ領域21の形状を調整できる。
なお、高濃度領域29の上面全体が、いずれかのバッファ領域で覆われていることが好ましい。これにより、半導体基板10の下面側に傷等が生じても、当該傷をバッファ領域で覆うことができる。これにより、空乏層がコレクタ電極54に達することを抑制できる。
図9は、半導体基板10の上面における、ウェル領域42と、第1バッファ領域20との位置関係の一例を示す図である。図9においては、半導体基板10の上面の一部における、ウェル領域42および第1バッファ領域20を示している。
上述したように、最も活性部80型のウェル領域42−1は、活性部80を囲んで設けられる。一例として活性部80は複数の直線部93と、複数のコーナー部94とを有する矩形形状である。コーナー部94は、曲線状であってよい。図9では、1つのコーナー部94と、当該コーナー部94に接続される2つの直線部93を部分的に示している。
図9では、第1バッファ領域20のエッジ部70側の端部の位置X2を点線で示している。直線部93においては、第1バッファ領域20は、ウェル領域42−1と対向する位置には設けられていない。直線部93においては、第1バッファ領域20の端部の位置X2は、ウェル領域42−1の端部と平行に配置されてよい。
一方で、コーナー部94においては、第1バッファ領域20は、ウェル領域42−1と対向する位置まで形成されている。コーナー部94における第1バッファ領域20の端部の位置X2は、直線部93における直線状の位置X2を延長した線よりも、半導体基板10の端部側に突出している。
第1バッファ領域20は、コーナー部94のウェル領域42−1の曲線部分のうち、半分以上の長さに渡って、ウェル領域42−1と重なるように形成されてよく、3/4以上の長さに渡って、ウェル領域42−1と重なるように形成されてよい。ウェル領域42−1の長さとは、ウェル領域42−1の活性部80側の端部の長さを指してよい。このような構造により、電界が比較的に集中しやすいコーナー部94を保護することができる。このため、半導体装置100の耐量を向上させることができる。
図10は、半導体装置100の製造方法の一例を示す図である。まず、ステップS200において、半導体基板10の下面に、レジストマスク110を形成する。レジストマスク110は、エッジ部70となる領域を覆ってよい。そして、レジストマスク110に覆われていない領域に、半導体基板10の下面側から不純物を注入する。図10から図13においては、注入された不純物の位置を×印で模式的に示す場合がある。当該不純物は、例えばSe(セレン)である。当該不純物は、第2バッファ領域22が形成される領域よりも深い位置に注入される。不純物の注入後、レジストマスク110を除去する。
次に、ステップS202において、半導体基板10の下面側から不純物を注入する。当該不純物は、例えばP(リン)またはH+(プロトン)である。当該不純物は、エッジ部70および活性部80の両方において、第2バッファ領域22が形成される領域と同程度の深さに注入される。また、コレクタ領域28を形成すべき領域に、B(ボロン)等の不純物を注入する。
次に、ステップS204において、熱処理を行い、それぞれの不純物を拡散させる。これにより、第1バッファ領域20、第2バッファ領域22およびコレクタ領域28を形成できる。
また、ステップS200の後に、900℃程度の熱処理を行ってもよい。これにより、第1バッファ領域20のうち、比較的に深い領域を形成する。そして、コレクタ領域28を形成すべき領域に、B(ボロン)等の不純物を注入して、レーザー等によりアニールする。これにより、コレクタ領域28が形成できる。更に、半導体基板10の下面全体に対して、第2バッファ領域22が形成される領域と同程度の深さにプロトンを注入する。そして、300℃〜500℃程度で熱処理を行うことで、第1バッファ領域20の浅い部分と、第2バッファ領域22とが形成できる。
図11は、半導体装置100の製造方法の他の例を示す図である。本例では、図6Aに示したように、深さ方向において複数の第1バッファ領域20を形成する。まず、ステップS210において、半導体基板10の下面にメタルマスク120を形成する。メタルマスク120は、エッジ部70となる領域を覆ってよい。そして、メタルマスク120に覆われていない領域に、半導体基板10の下面側から不純物を注入する。当該不純物は、例えばプロトンである。当該不純物は、飛程を変更して複数回注入される。当該不純物は、複数の第1バッファ領域20のうち、最もコレクタ領域28に近い第1バッファ領域20−1以外の第1バッファ領域20に対応する深さ位置に注入されてよい。不純物の注入後、メタルマスク120を除去する。メタルマスク120を、レジストマスクとしてもよい。レジストマスクの場合、端の形状が点線のように厚さが薄くなる場合がある。この場合、エッジ部70側にも不純物が注入され、かつ飛程が浅くなってよい。
次に、ステップS212において、半導体基板10の下面側からボロン等の不純物を注入してレーザーアニールすることで、コレクタ領域28を形成する。そして、半導体基板10の下面側からプロトン等の不純物を注入する。当該不純物は、エッジ部70および活性部80の両方において、第2バッファ領域22が形成される領域と同程度の深さに注入される。
次に、ステップS214において、300℃〜500℃程度で熱処理を行い、プロトン等の不純物を拡散させる。これにより、第1バッファ領域20および第2バッファ領域22を形成できる。
図12は、半導体装置100の製造方法の他の例を示す図である。本例では、図7に示したように、半導体基板10の比較的に深い位置に、1つ以上の第1バッファ領域20を形成する。まず、ステップS220において、半導体基板10の下面にメタルマスク120を形成する。メタルマスク120は、エッジ部70となる領域を覆ってよい。そして、メタルマスク120に覆われていない領域に、半導体基板10の下面側から不純物を注入する。当該不純物は、例えばプロトンである。当該不純物は、飛程を変更して複数回注入される。当該不純物は、複数の第1バッファ領域20のうち、最もコレクタ領域28に近い第1バッファ領域20−1以外の第1バッファ領域20に対応する深さ位置に注入されてよい。不純物の注入後、メタルマスク120を除去する。
次に、ステップS212およびステップS214と同様の、ステップS222およびステップS224を行う。これにより、コレクタ領域28、第1バッファ領域20および第2バッファ領域22を形成できる。メタルマスク120を、レジストマスクとしてもよい。レジストマスクの場合、端の形状が点線のように厚さが薄くなる場合がある。この場合、エッジ部70側にも不純物が注入され、かつ飛程が浅くなってよい。
図13は、半導体装置100の製造方法の他の例を示す図である。まずステップS230において、仮基板131の上面にN−型のエピタキシャル層11を形成する。仮基板131およびエピタキシャル層11は、半導体基板10と同一の材料で形成されてよい。そして、エピタキシャル層11の上面に、レジストマスク130を形成する。レジストマスク130は、エッジ部70となる領域を覆ってよい。そして、レジストマスク130に覆われていない領域に、エピタキシャル層11の上面側からリン等の不純物を注入する。不純物を注入した後に、900℃程度の熱処理を行うことで、第1バッファ領域20の一部の領域が形成される。不純物を注入した後、レジストマスク130を除去する。
次に、ステップS232において、エピタキシャル層11の上面に更にエピタキシャル層を形成して、ドリフト領域18を形成する。ドリフト領域18を形成した後に、仮基板131の下面側を研磨する。仮基板131を研磨する前に、トレンチ部30等の上面側の構造をドリフト領域18に形成してよい。
次に、ステップS234において、研磨された仮基板131の下面側から、エッジ部70および活性部80の両方に対して、ボロン等の不純物を注入して熱処理を行う。これによりコレクタ領域28を形成する。また、エッジ部70および活性部80の両方に対して、リンまたはプロトン等の不純物を注入して熱処理を行う。これにより、第1バッファ領域20および第2バッファ領域22を形成する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。