図1は、本発明の一の実施の形態に係る男性用軽失禁パッド1を広げた状態で示す平面図である。男性用軽失禁パッド1(以下、単に「軽失禁パッド1」という。)は、着用者が着用する下着の内側(すなわち、着用者側)に取り付けられて着用者からの尿等の排泄物を受ける吸収性物品である。男性用軽失禁パッド1は、着用者が着用する使い捨ておむつ等の内側に取り付けられてもよい。図1では、着用時に着用者に接触する側の面を手前にして軽失禁パッド1を描いている。
図2および図3はそれぞれ、軽失禁パッド1を図1中に示すII−IIの位置およびIII−IIIの位置で長手方向(すなわち、図1中における上下方向)に垂直な面で切断した断面図である。図2および図3では、図示の都合上、軽失禁パッド1の各構成を厚さ方向に離して描いている。
図1ないし図3に示すように、軽失禁パッド1は、長手方向に延びるシート状の本体部2と、本体部2の両側部(すなわち、長手方向に垂直な幅方向の両側)上に配置される一対のサイドシート3とを備える。本体部2は、透液性のトップシート21と、撥水性または不透液性のバックシート23と、シート状の吸収コア22と、吸水紙24とを備える。吸収コア22は、トップシート21とバックシート23との間に配置される。吸水紙24は、吸収コア22とバックシート23との間に配置される。図1では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を示す破線を、吸水紙24の輪郭を示す破線よりも太くしている。軽失禁パッド1を平面視した図1では、吸水紙24の全体が本体部2の外周縁よりも内側に位置し、吸収コア22の全体が吸水紙24の外周縁よりも内側に位置する。
図2および図3に示すように、トップシート21は、吸収コア22の着用者側の主面を覆う。吸水紙24は、吸収コア22のもう一方の主面、すなわち、着用者とは反対側の主面を覆う。バックシート23は、吸水紙24における吸収コア22とは反対側の面、すなわち、着用者とは反対側の面を覆う。トップシート21は、吸収コア22の周りにおいてホットメルト接着剤等により吸水紙24に接合される。
トップシート21は透液性のシート部材であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。吸収コア22は、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。吸水紙24は、吸収コア22を通過した水分を吸収する。バックシート23は、バックシート23に到達した水分が、本体部2の外側にしみ出すことを防止する。吸収コア22および吸水紙24の詳細については後述する。
軽失禁パッド1では、トップシート21、サイドシート3およびバックシート23により、本体部2の外形を規定するシート積層体20が形成される。シート積層体20は、本体部2と同様に長手方向に延びた形状である。後述するように、着用者が軽失禁パッド1を着用した状態では、長手方向におけるシート積層体20の一方の端部(図1では上側の端部)が、前方端部11として着用者の下腹部に接触する。また、シート積層体20の他方の端部(図1では下側の端部)が、股下端部12として着用者の股間部に対向する。実際には、長手方向におけるシート積層体20の前方端部11側の部位、すなわち、シート積層体20を長手方向におよそ二等分した場合における前方端部11を含む部分が、着用者の男性器に接触する前方部110となる。なお、軽失禁パッド1の構造によっては、サイドシート3が省略され、シート積層体20がトップシート21およびバックシート23により形成されてもよい。
幅方向におけるシート積層体20の幅は長手方向に沿って変化し、前方端部11は、シート積層体20の幅が最大となる部位を含む。シート積層体20の幅は、前方端部11から股下端部12に向かって漸次減少する。例えば、前方端部11と股下端部12との間におけるシート積層体20の各側縁は直線状であり、シート積層体20の幅は、前方端部11から股下端部12に向かって線形に減少する。このように、シート積層体20では、幅方向における股下端部12の幅が、前方端部11の幅(最大幅)よりも小さくなる。シート積層体20の形状は、略三角形と捉えることも可能である。
図1ないし図3に示すように、一対のサイドシート3は、本体部2の両側部上において長手方向における本体部2のおよそ全長に亘る。各サイドシート3は、サイドシート本体31と、側壁部弾性部材32とを備える。図2および図3に示すように、サイドシート本体31は、長手方向の全長に亘る折曲線39にて折り曲げられる。サイドシート本体31のうち、折曲線39の一方側の部位を「側壁固定部33」といい、折曲線39の他方側の部位を「側壁部34」という。
側壁固定部33は、本体部2の側部上において長手方向のおよそ全長に亘って配置され、本体部2の着用者側の面(トップシート21、吸水紙24、バックシート23)にホットメルト接着剤等により接合される。図1に示すように、側壁固定部33における折曲線39以外の縁は、本体部2の縁(シート積層体20の縁)と重なっており、本体部2の側部の全体が側壁固定部33により覆われる。すなわち、軽失禁パッド1の側部における着用者側の表面は、サイドシート本体31の面である。
側壁部34は、折曲線39にて側壁固定部33から連続する部位であり、本体部2の当該側部上において本体部2の長手方向のおよそ全長に亘って延びる。長手方向における側壁部34の各端部341(以下、「側壁端部341」という。)では、図2に示すように、側壁部34が2つ折りにされて側壁固定部33に重ねられる。側壁部34の互いに重なる部位は、ホットメルト接着剤等により互いに接合され、これらの部位は、ホットメルト接着剤等により側壁固定部33に接合される。図1では、各側壁端部341に平行斜線を付している。2つの側壁端部341は、シート積層体20の前方端部11および股下端部12にそれぞれ重なる。
図1および図3に示すように、側壁部34の先端部(自由端)には、長手方向に延びる側壁部弾性部材32がホットメルト接着剤等により伸張状態で接合される。側壁部弾性部材32が収縮することにより、2つの側壁端部341の間において、側壁部34が本体部2から着用者に向かってZ字状に起立して(側壁部34の先端部が本体部2から着用者側に離間して)、立体ギャザーとなる。一対の立体ギャザーにより、軽失禁パッド1の両側部からの尿の漏出が抑制される。
上述のホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、ゴム系、酢酸ビニル系等のものが利用される。トップシート21と吸水紙24およびバックシート23との接合、サイドシート3と本体部2との接合は、他の接合手法(例えば、熱融着接合や超音波接合等)により行われてもよい。ホットメルト接着剤を用いて接合を行う他の部分において同様である。
トップシート21としては、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布が利用される。当該不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布である。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、いずれかの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。軽失禁パッド1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、バックシート23にて利用されるプラスチックフィルムは、透湿性(通気性)を有するものが好ましい。
サイドシート本体31としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布等)が利用される。側壁部弾性部材32としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用され、図1に示す軽失禁パッド1では、ポリウレタン糸が利用される。
次に、吸収コア22および吸水紙24の詳細について説明する。図2および図3に示すように、吸収コア22は、複数の吸収シート220を備える。軽失禁パッド1の一例では、同じ構造の2つの吸収シート220が設けられ、厚さ方向(図2および図3の上下方向)に正確に重ねられる。後述するように、各吸収シート220の外形は矩形である。図1のように軽失禁パッド1を平面視した場合に、吸収コア22の外形は、吸収シート220の外形と一致しており、矩形である。以下の説明では、図2および図3に示す2つの吸収シート220を区別する場合に、トップシート21と接触する吸収シート220を「上側吸収シート220」と呼び、吸水紙24と接触する吸収シート220を「下側吸収シート220」と呼ぶ。吸収コア22では、1つの吸収シート220のみが設けられてもよい。
各吸収シート220は、透液性の上層シート221と、透液性の下層シート222と、高吸収性材料層223とを備える。上層シート221は、トップシート21と下層シート222との間に配置される。下層シート222は、上層シート221とバックシート23との間に配置される。高吸収性材料層223は、高吸収性材料224により構成される層である。図2および図3では、高吸収性材料224を白い丸にて抽象的に示す。高吸収性材料層223は、上層シート221と下層シート222との間に配置され、ホットメルト接着剤等により一方または両方に固定される。高吸収性材料層223は、上層シート221と下層シート222との間にて両者に接触する(接着剤を介して接触する場合を含む。)。上層シート221および下層シート222は、高吸収性材料224が存在しない領域において互いに重ねられて接合される。好ましい吸収シート220では、上層シート221と下層シート222との間には、接着剤を除き、原則として高吸収性材料224のみが存在する。
図4は、吸収シート220を示す平面図である。各吸収シート220の外形は、長手方向に長い矩形(長方形)である。上層シート221および下層シート222は、同様に長手方向に延びた形状である。吸収シート220では、複数の材料存在領域225と、複数の材料不存在領域226とが設けられる。各材料存在領域225では、高吸収性材料224が上層シート221と下層シート222との間に配置される。すなわち、複数の材料存在領域225には、高吸収性材料224が固定される。図4では、材料存在領域225に平行斜線を付している。
複数の材料存在領域225は、それぞれが長手方向に略平行に延びる帯状であり、幅方向に互いに離間しつつ配列される。すなわち、吸収シート220では、長手方向に延びるストライプ状に配置された複数の材料存在領域225が設けられる。図4の例では、複数の材料存在領域225の幅(幅方向における幅)は、互いに等しい。例えば、複数の材料存在領域225における高吸収性材料224の坪量(目付)は、およそ等しい。
複数の材料不存在領域226は、吸収シート220における、複数の材料存在領域225を除く領域である。複数の材料不存在領域226は、それぞれが長手方向に沿って延びる帯状である。図4の例では、幅方向における各材料不存在領域226の幅は、材料存在領域225の幅よりも小さい。また、複数の材料不存在領域226の幅は、互いに等しい。複数の材料不存在領域226と複数の材料存在領域225とは、幅方向に交互に配列される。
各材料不存在領域226では、上層シート221と下層シート222との間に、高吸収性材料が存在しない。材料不存在領域226では、上層シート221と下層シート222とが、熱融着接合や、エンボス加工による接合等、接着剤を用いない接合手法により互いに接合されることが好ましい。材料不存在領域226では、上層シート221と下層シート222とが部分的に非接合状態であってもよい。材料不存在領域226が、高吸収性材料を僅かに含む領域、すなわち、材料存在領域225よりも高吸収性材料224の密度が低い領域(材料低密度領域)であってもよい。
吸収シート220の上層シート221および下層シート222としては、例えば、トップシート21と同様に、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布が利用される。当該不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布である。また、上層シート221および下層シート222として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。上層シート221および下層シート222として、ティッシュや複数の開口を有するプラスチックフィルム等が利用されてもよい。
高吸収性材料224としては、例えば、粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))、または、繊維状の高吸収性ファイバー(SAF(Super Absorbent Fiber))が利用される。高吸収性材料224は、原則、ポリマーにより形成され、パルプは含まれない。
好ましい吸収コア22は、1つまたは複数の吸収シート220のみを含み、パルプ繊維等が集合した吸水用の繊維集合層を含まない。すなわち、好ましい軽失禁パッド1では、パルプレスの吸収コア22(いわゆる、ポリマーシート)が用いられる。このような吸収コア22の厚さは、例えば、5ミリメートル(mm)以下であり、1mm以上である。なお、上側吸収シート220および下側吸収シート220では、互いに構造が相違してもよい。例えば、幅方向における複数の材料存在領域225の位置が、上側吸収シート220と下側吸収シート220とで相違してもよい。
ここで、図1のように軽失禁パッド1を平面視した場合に、シート積層体20における吸収コア22の周囲の領域を、「吸収コア22の不存在領域」または「コア不存在領域」と呼ぶ。既述のように、吸収コア22は矩形であり、前方端部11は、シート積層体20の幅が最大となる部位を含む。したがって、前方端部11の両側部には、比較的大きなコア不存在領域が存在する。
吸水紙24は、下側吸収シート220の下層シート222とバックシート23との間に配置され、吸収コア22をバックシート23側から覆う(図2および図3参照)。図1に示すように、吸水紙24は、前方端部11から股下端部12に亘って長手方向に延び、長手方向における吸水紙24の長さは、吸収コア22の長さよりも大きい。幅方向における吸水紙24の幅は、長手方向のいずれの位置においても吸収コア22の幅よりも大きく、吸収コア22の全体が、吸水紙24によりバックシート23側から覆われる。
吸水紙24は、幅方向における幅が一定となる部位241と、当該部位241よりも幅が大きい部位242とを備える。以下、これらの部位241,242をそれぞれ「幅狭部241」および「幅広部242」という。幅広部242は、シート積層体20の前方端部11に重なり、幅狭部241は、股下端部12に重なる。すなわち、股下端部12における吸水紙24の幅は、前方端部11における吸水紙24の幅よりも小さい。吸水紙24の幅は、前方端部11において最大となる。既述のように、前方端部11の両側部には、比較的大きなコア不存在領域が位置し、当該コア不存在領域に、吸水紙24の幅広部242が重なる。
吸水紙24の幅が最大となる長手方向の位置は、シート積層体20の幅が最大となる位置とほぼ同じである。既述のように、シート積層体20の幅は、前方端部11から股下端部12に向かって線形に減少する。吸水紙24では、幅が最大となる長手方向の位置から幅狭部241に向かって、幅広部242の幅が漸次減少し、その減少量は、シート積層体20の幅の減少量よりも大きい。したがって、幅広部242における幅狭部241側の部位では、長手方向において幅狭部241に近づくに従って、その側縁とシート積層体20の側縁との間の距離が漸次増大する。
ここで、シート積層体20の各側部において、シート積層体20の側縁と吸水紙24の側縁との間の領域201は、吸収コア22および吸水紙24の双方が配置されないため、非吸収性領域として捉えることができる。また、非吸収性領域201は、トップシート21も配置されず、サイドシート3およびバックシート23の積層体からなることが好ましい。幅方向における非吸収性領域201の幅は、シート積層体20および吸水紙24の幅が最大となる長手方向の位置から、幅広部242と幅狭部241との境界位置に向かって漸次増大し、当該境界位置において最大となる。非吸収性領域201の幅が最大となる位置における幅の大きさは、15mm以上であれば摘まみ易くて好ましい。
吸水紙24は、例えば、パルプ繊維等により形成される。吸水紙24の坪量は、トップシート21およびバックシート23を構成する不織布の坪量よりも大きい。吸水紙24の坪量は、例えば20g/m2以上かつ45g/m2以下であり、好ましくは30g/m2以上かつ40g/m2以下である。20g/m2以上であれば吸水量と剛性を得ることができ、一方で、45g/m2以下であれば吸水紙24からのトップシート21への尿のウェットバックを抑えることができる。吸水紙24の厚さは、吸収コア22の厚さよりも小さい。
図5は、折り畳まれた状態の軽失禁パッド1を示す図である。軽失禁パッド1は、折り畳まれた状態で所定の包装袋91(図5中に破線にて示す。)に収容される。軽失禁パッド1を折り畳む際には、長手方向に垂直な2つの折曲線F1,F2(図1中に一点鎖線にて示す。)で、軽失禁パッド1がトップシート21側に、すなわち、トップシート21が内側となるように折り曲げられる。一方の折曲線F1は、前方部110において幅広部242と幅狭部241との境界位置近傍に設けられ、他方の折曲線F2は、折曲線F1から股下端部12側に向かって離れた位置に設けられる。
好ましい軽失禁パッド1では、バックシート23におけるトップシート21とは反対側の面に、粘着剤が塗布されており、バックシート23の当該面には、バックシート23のおよそ全体を覆う帯状のフィルムが貼付される。軽失禁パッド1は、当該フィルムが貼付された状態で2つの折曲線F1,F2でトップシート21側に折り畳まれる。軽失禁パッド1と共に3つ折りされたフィルムの各側部を、所定の接合手法にて接合することにより、当該フィルムにより形成される包装袋91内に、軽失禁パッド1が収容される。なお、予め袋状に形成された包装袋91内に、フィルムと共に折り畳まれた軽失禁パッド1が収容されてもよい。軽失禁パッド1は、粘着テープ(両面粘着テープ)のテープ片等により、下着に止着可能とされてもよい。
着用者が軽失禁パッド1を着用する際には、包装袋91から軽失禁パッド1が取り出され、バックシート23に貼付されたフィルムが剥がされる。続いて、着用者が着用する下着を下方(つま先側)にずらした状態で、軽失禁パッド1が、バックシート23の粘着剤により、当該下着の内面に取り付けられる。このとき、下着において、着用時に着用者の男性器に対向する位置に、前方部110が配置され、着用者の股間部に対向する位置に、股下端部12が配置される。そして、着用者に対して当該下着を上方に引き上げることにより、着用者において軽失禁パッド1が着用される(すなわち、軽失禁パッド1を取り付けた下着が着用される。)。
軽失禁パッド1の吸収コア22では、上層シート221と下層シート222との間において、高吸収性材料224により構成される高吸収性材料層223が設けられ、パルプ繊維等が集合した吸水用の繊維集合層は設けられない。これにより、吸収コア22の薄型化を図ることができ、衣類を身につけた着用者の外見において、当該着用者が軽失禁パッド1を着用していることを判りにくくすることができる。また、着用者において、男性器の周囲に軽失禁パッド1による違和感が生じることを抑制することができる。
前方端部11の両側部が、吸収コア22の不存在領域であることにより、当該両側部が嵩高い、または、ごわついた状態となることを防止して、着用者の外見において、軽失禁パッド1を着用していることをさらに判りにくくすることができる。また、後述するように、吸収コア22の高吸収性材料224が、着用者により排泄された尿を吸収して膨潤した状態であっても、着用者の下腹部への、膨潤した吸収コア22による圧迫を抑制することができる。
軽失禁パッド1では、包装袋91に収容する際における、一方の折曲線F1が前方部110に設けられ、当該折曲線F1において軽失禁パッド1がバックシート23側に突出するように癖付けされている。したがって、着用者が軽失禁パッド1を着用した状態において、着用者の男性器に対向する本体部2の部位が、着用者とは反対側に突出する。これにより、着用者において、男性器の周囲に軽失禁パッド1による違和感が生じることをさらに抑制することができる。シート積層体20では、幅方向における股下端部12の幅が、前方端部11の幅よりも小さいことにより、着用者において、股間部に軽失禁パッド1による違和感が生じることを抑制することができる。
着用者の男性器から尿が排泄されると、当該尿は、原則として前方部110において受けられ、トップシート21を通過して吸収コア22に到達する。尿は、複数の材料存在領域225の高吸収性材料224により吸収され、高吸収性材料224が膨潤する。このとき、尿は、材料不存在領域226を介して長手方向にある程度拡散するため、前方部110における広範囲の高吸収性材料224を尿の吸収に利用することができる。
ある程度の量の尿が着用者により排泄されて、前方部110の高吸収性材料224が膨潤した後には、互いに隣接する材料存在領域225の間の材料不存在領域226において長手方向に延びる溝部が形成される。その後、着用者により尿がさらに排泄される場合に、当該尿は、当該溝部を介して長手方向に(主として、股下端部12側に)効率よく拡散され、軽失禁パッド1における広範囲の高吸収性材料224を尿の吸収に利用することができる(材料低密度領域が設けられる場合において同様)。
軽失禁パッド1では、長手方向における前方端部11と股下端部12との間の所定位置において、非吸収性領域201の幅が最大となる。したがって、軽失禁パッド1の使用後には、着用者(または介護者)が、当該所定位置において非吸収性領域201を摘まんで(尿を含む吸収コア22や吸水紙24の部分を摘まむことなく)、軽失禁パッド1を下着から容易に取り外すことができる。なお、吸水紙24の側縁に沿って非吸収性領域201をトップシート21側へと曲げることにより、非吸収性領域201を簡易的な側壁部として利用することも可能である。
軽失禁パッド1では、吸水紙24を省略することも可能である。この場合、前方端部11の両側部における吸収コア22の不存在領域の部位が、サイドシート本体31、トップシート21およびバックシート23のみにより形成される。その結果、当該部位の剛性が低くなり、当該部位が不必要に折れ曲がることにより、着用者において違和感が生じる可能性がある。
一方、好ましい軽失禁パッド1では、吸収コア22とバックシート23との間に吸水紙24が設けられ、前方端部11の両側部における吸収コア22の不存在領域に、吸水紙24の一部が重なる。これにより、前方端部11の各側部において、ある程度の剛性を確保することができ、前方端部11を幅方向に適切に広げた状態を維持することができる。その結果、当該領域の部位の折れ曲がりにより着用者において違和感が生じることを抑制することができる。
上記軽失禁パッド1では様々な変形が可能である。
図6に示すように、吸収コア22において、複数の吸収シート220が重ねて設けられる領域A1と、領域A1よりも少ない個数の吸収シート220が設けられる領域A2とが設定されてもよい。好ましくは、領域A1は、シート積層体20の前方部110と重なり、領域A2は、シート積層体20の他の部位と重なる。このように、大きな吸収量が求められる前方部110においてのみ、他の部位よりも多くの吸収シート220を重ねることにより、軽失禁パッド1の製造コストを削減することができる。
軽失禁パッド1の設計によっては、吸収コア22が矩形以外の形状であってもよい。また、軽失禁パッド1において求められる尿の吸収量によっては、前方部110のみに吸収コア22が設けられてもよい。吸収シート220において、材料存在領域225のパターンは適宜変更されてよい。
図7に示すように、軽失禁パッド1では、一対のサイドシート3の構造が変更されてもよい。図7の軽失禁パッド1では、折曲線39(図2参照)でのサイドシート本体31の折り曲げが省略される。また、側壁端部341の形成に係る側壁部34の2つ折りも省略され、側壁端部341に対応するサイドシート本体31の部位が、延びた状態で本体部2に接合される。サイドシート本体31では、上記部位および側壁固定部33が、外側縁部35として本体部2に接合される。本体部2の周縁部29を「本体周縁部29」と呼ぶと、幅方向における本体周縁部29の片側の部位に、各サイドシート本体31の外側縁部35が接合される。図7では、外側縁部35に対して、平行斜線(後述の接合部361よりも間隔が広い平行斜線)を付している。
各サイドシート本体31の周縁部のうち外側縁部35を除く部位36を「内側縁部36」と呼ぶと、一対のサイドシート本体31の内側縁部36は、長手方向に沿って互いに重なる。これらの内側縁部36のうち、前方部110と重なる部位は、互いに非接合であり、これらの部位の間に開口部38が形成される。内側縁部36のうち残りの部位は、接合部361として互いに接合され、一対のサイドシート本体31と本体部2との間に袋状部37が形成される。図7では、接合部361に対して、外側縁部35よりも間隔が狭い平行斜線を付している。
上記構造により、本体部2のトップシート21側の面を覆うカバー部30が、一対のサイドシート3により実現される。カバー部30では、長手方向における一方側の部位(前方端部11側の部位)に開口部38が形成され、他方側の部位(股下端部12側の部位)に袋状部37が形成される。図7の軽失禁パッド1では、開口部38に男性器を挿入することにより、排泄された尿の軽失禁パッド1外への漏れを防止することができる。また、多量の尿が排泄された場合でも、袋状部37により当該尿が保持されることにより、尿が着用者側に戻ることを防止することができる。カバー部30における開口部38の位置および形状は、任意に変更されてよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。