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JP6914796B2 - コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物、それを用いたコンクリート表面被覆部材及びコンクリート表面被覆方法 - Google Patents
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JP6914796B2 - コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物、それを用いたコンクリート表面被覆部材及びコンクリート表面被覆方法 - Google Patents

コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物、それを用いたコンクリート表面被覆部材及びコンクリート表面被覆方法 Download PDF

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Description

本発明は、構造物の表面のコンクリートの保護のために使用されるコンクリート表面被覆部材に用いるシリコーンゴム組成物、その組成物を用いたコンクリート表面被覆部材、及びそれを用いたコンクリート表面被覆方法に関する。
従来、構造物を構成するコンクリートは、経年の老朽化によりひび割れが発生し、そのひび割れに水分等が侵入することで、さらなるコンクリートの劣化を招くことがあった。例えば、鉄筋コンクリートの表面のコンクリートにひび割れが生じると、ひび割れを通じて鉄筋コンクリートに水が浸入し、鉄筋に水が接触し、鉄筋の錆びの原因となることがあった。このようなコンクリートの劣化を防ぐため、コンクリートの表面を被覆する部材を設け、コンクリートの劣化の原因となる環境との接触を防ぎ、コンクリートのひび割れを塞ぎ、加えて、さらなるひび割れを防止する技術が開発されている。
特許文献1には、電気化学的防食工法でコンクリートを脱塩処理した後、表面保護材を塗布する前に、水性エポキシ樹脂やポリマーを混和したポリマーセメントモルタルを下地処理モルタルとして使用してなり、ポリマーセメントモルタルが、水性エポキシ樹脂をセメント100質量部に対して200〜30質量部、ポリマーとしてポリアクリル酸エステルをセメント100質量部に対して15〜0.01質量部配合したものである、コンクリート脱塩処理後の下地処理方法の技術が開示されている。この技術は、エポキシ樹脂等の表面保護材の塗布前のコンクリート表面に下地処理対策を行うことで表面保護材の変質、膨れ、剥がれなどの不具合をなくそうとするものである。
特許文献2には、土木構造物及び建築構造物の表面に貼付して使用される保護用シートであって、保護用シートが粘着剤層からなる土木構造物及び建築構造物の保護用シートの技術が開示されている。この技術は、土木構造物及び建築構造物に発生するひび割れを防止あるいは補修をすることができ、雨水などの漏水を防止できるとともに、粘着剤の持
つ柔軟性や応力緩和性によって、構造部材の耐久性を高めようとするものである。
特許第5868739号公報 特開2005−200958号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、下地処理剤及び表面保護材がともに液状の塗料であるため、コンクリート表面を保護する層の厚みが薄い。そのため、様々な外的環境に対するコンクリートの保護が十分でないことがあった。例えば、下地処理剤及び表面保護材を設けた後に、コンクリートに新たなひび割れが生じた際には、下地処理剤及び表面保護材がコンクリート面に伴ってひび割れることがある。したがって、この技術では一部のひび割れからコンクリートの充分な保護ができないことがあった。また、液状の塗料をコンクリート表面に塗布する際にはスプレー等を用いていたため、施工に時間と手間を要し、作業者によって下地処理剤及び表面保護材の設ける状態(施工の仕上がり)に差が生じることがあった。
特許文献2に記載されている技術では、保護用シートを粘着剤層を介してコンクリート表面に張付けるため、コンクリートを保護する層に厚みを持たせることができ、コンクリートに新たなひび割れが生じても保護用シートによって塞がれた状態を維持することができる。しかしながら、コンクリートのひび割れ又はコンクリート表面と保護用シートとの隙間を介して粘着剤層に水分が接触すると、粘着剤層が劣化し、保護用シートの粘着を保持できないことがあった。そのため、この技術では長期間に渡るコンクリート表面の保護が十分に行えないことがあった。
また、コンクリートの保護に塗料や粘着剤を使用する場合、塗料や粘着剤が硬化(非流動化)することでコンクリートが保護されるが、一般に塗料や粘着剤が硬化する時間を調節することは困難であり、作業性を高くできないことがあった。例えば、コンクリートの保護に水分の存在下で縮合架橋により硬化する化合物を用いる場合、高温又は多湿の環境においては化合物の硬化が早くなり、作業時間が延長できないことがあった。そのため、作業時間の調節、特に作業時間の延長が可能な技術が求められている。
本発明は上記のような事情を鑑みてなされたものであり、施工可能時間を延長でき、設置時の作業時間を調節することができ高温多湿の場所においても作業性が高く、設置の作業が容易で、構造物のコンクリート表面を保護することができるコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物、それを用いたコンクリート表面被覆部材及びコンクリート表面被覆方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、以下の態様を有する。
[1] 定形性と可塑性とを有するシリコーンゴム組成物であって、前記コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、シリコーンゴム及び吸湿性を有するゼオライトを含有し、構造物のコンクリート表面に貼付けて前記コンクリート表面を被覆するシリコーンゴムシートを備えたコンクリート表面被覆部材の、前記シリコーンゴムシートに用いる、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物。
[2] 前記ゼオライトの含有量が、前記コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物の全体質量100重量部あたり0.5〜10.0質量部である、[1]に記載のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物。
[3] 前記コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、JIS K 6249に基づきウイリアムス可塑度計で測定した初期ウイリアムス可塑度について、硬化前に測定した硬化開始前可塑度と、温度25℃、湿度50%の条件で45分放置した後に測定した硬化進捗可塑度との関係において、((硬化進捗可塑度−硬化開始前可塑度)/硬化開始前可塑度))×100で表される可塑度変化率(%)が10%以下である、[1]または[2]に記載のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物。
[4] 前記コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は縮合反応により硬化する、[1]から[3]のいずれかに記載のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物。
[5] 前記コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、硬化後においてモルタルとの間の接着力が3.0N以上である、[1]から[4]のいずれか1に記載のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物。
[6] [1]から[5]のいずれか1に記載のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物を用いたシリコーンゴムシートを備えた、コンクリート表面被覆部材。
[7] 前記シリコーンゴムシートの厚みが0.2〜10mmである、[6]に記載のコンクリート表面被覆部材。
[8] 構造物のコンクリート表面に、[6]又は[7]に記載のコンクリート表面被覆部材を貼付ける工程を有する、コンクリート表面被覆方法。
[9] 前記コンクリート表面被覆部材を貼付ける工程の前に、前記コンクリート表面を洗浄又は表層部分を除去する表面処理工程をさらに有する、[8]に記載のコンクリート表面被覆方法。
本発明によれば、施工可能時間を延長でき、設置時の作業時間を調節することができ高温多湿の場所においても作業性が高く、設置の作業が容易で、構造物のコンクリート表面を保護することができるコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物、それを用いたコンクリート表面被覆部材及びコンクリート表面被覆方法が得られる。
本発明の第1の実施形態に係るコンクリート表面被覆部材を示す断面模式図である。 図1のコンクリート表面被覆部材を用いたコンクリート表面被覆方法を示す断面模式図である。 本発明の実施例1〜4における可塑度の時間変化を示すグラフ図である。 本発明の実施例5〜7における可塑度の時間変化を示すグラフ図である。 本発明の実施例における表面状態の顕微鏡写真を示す図である。 本発明の実施例に係る引張り試験の試験片を説明する断面模式図である。 本発明の比較例1、実施例3に係るコンクリート表面被覆部材の硬化時間ごとの対モルタル接着力を示すグラフ図である。
以下、本発明のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物、コンクリート表面被覆部材及びコンクリート表面被覆方法について、実施形態を示して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[第1の実施形態]
本実施形態のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、図1に例示するように、構造物のコンクリート表面を被覆するためのコンクリート表面被覆部材10が備えるシリコーンゴムシート11に用いる。ここで構造物は土木構造物や建築構造物を広く指す。コンクリート表面とは、前記構造物がコンクリートからなる部位(例えば図2に示すコンクリート部位20)を含んでいる場合、その表面部分、屋内及び屋外の外気に触れている部分を広く指す。
本実施形態では、図1に示すように、コンクリート表面被覆部材10は、シリコーンゴムシート11と、フィルム12を含んで概略構成される。
本実施形態のシリコーンゴムシート11は、定形性と可塑性とを有するコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物を含む。
定形性とは、外力が加わらない限り形状が一定に保持される性質を指す。例えば、流動性のない状態であること等である。可塑性を有するとは、外力により形状を変化できることを指す。より具体的には、前記外力は指で押す程度の力であればよい。なお、本実施形態では、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は後述するように使用後(設置後)には各種反応により硬化するが、硬化前において定形性と可塑性とを有することを指す。
さらに具体的に、可塑性を有するとは、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物について、硬化前の25℃において、平行板可塑度計によって測定した可塑度が100〜200の範囲であることが好ましい。また、前記可塑度は100〜180の範囲であることがより好ましく、120〜160の範囲であることがさらに好ましく、130〜150の範囲であることが特に好ましい。平行板可塑度計によって測定した可塑度とは本実施形態では特に、JIS K 6249に基づきウイリアムス可塑度計で測定した初期ウイリアムス可塑度を指す、ただし、測定するシリコーンゴム組成物は、2gで球形とした。前記可塑度が100未満である場合には、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物が未硬化の状態において定形性を欠き、コンクリート表面被覆部材10が任意の形状を得ることが困難になる場合がある。コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物の可塑度が200を超える場合には、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物を設置する上で変形させる際に不都合が生じることがある。例えば、コンクリート表面被覆部材10を設置(例えば、構造物に貼着)する際、界面に残留した気泡を取り除くことが困難となる場合がある。さらに、可塑度が200を超えているコンクリート表面被覆部材10をコンクリート表面に設置すると、ひび割れや隙間等にコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物を押し込む等の操作の際に、これらの形状にコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物が変形して追従せず、コンクリート表面とコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物の間に気泡や空隙等が発生する可能性もある。なお、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は可塑性が前記の条件であることで、前記した定形性もより容易に発揮される。
また、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物の粘着性は、JISZ 0237の球転法に基づく粘着性の試験、すなわち傾斜式ボールタック試験で、転球装置傾斜角30°で測定したときの、ボールナンバーが3〜7の範囲であることが好ましい。コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物の粘着性がこの範囲であることによって、設置する際に構造物等に粘着させて適切に使用できる。粘着性が3以上であると、被着体に対する粘着力がより高まり、シリコーンゴムシート11と被着体の間で位置ずれや剥離が発生することをより抑制しやすくなる。粘着性が7以下であると、粘着性がより適度となりコンクリート表面被覆部材10の使用前の取り扱いがより容易になる。例えば、粘着性が高すぎると、コンクリート表面被覆部材10が後述するフィルム12等を備えている場合に、フィルム12をシリコーンゴムシート11から剥離する際に剥離性が著しく低下し、シリコーンゴムシート11の破損を招く可能性がある。
本実施形態のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、シリコーンゴム及び吸湿性を有するゼオライトを含有する。
シリコーンゴムとしては、例えば縮合反応により硬化が可能であるものを用いることができる。上記の縮合反応は、硬化前のシリコーン組成物が空気又は水分に接触することによって開始する反応であることが好ましい。このような縮合反応としては、例えばポリオルガノシロキサンの縮合反応を用いることができる。本実施形態では、縮合反応により硬化する樹脂としては、以下のポリオルガノシロキサン、架橋剤、硬化触媒、充填剤、及び接着性賦与成分を含有するものを用いる。
(ポリオルガノシロキサン)
本実施形態でのポリオルガノシロキサンは、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物の主剤成分であり、下記化学式(1)又は(2)で表されるジオルガノポリシロキサンを用いることが好ましい。
Figure 0006914796
(式中、Rはそれぞれ独立して置換又は非置換の一価炭化水素基、Xはそれぞれ独立して酸素原子又は炭素数1〜8の二価炭化水素基、nは1以上の数である)
Figure 0006914796
(式中、Yはそれぞれ独立して加水分解性基、Rはそれぞれ独立して置換又は非置換の一価炭化水素基、Xは酸素原子又は炭素数1〜8の二価炭化水素基、nは1以上の数である)
ここで、上記式(1)及び(2)におけるRは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルブチル基、オクチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基、若しくはシクロペンチル基等のシクロアルキル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、若しくはアリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、若しくはジフェニル基等のアリール基、ベンジル基、若しくはフェニルエチル基等のアラルキル基、又は、これらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換したクロロメチル基、トリフロロプロピル基、2−シアノエチル基、及び3−シアノプロピル基等から選択される、同一又は異種の非置換若しくは置換の好ましくは炭素数1〜12、特に1〜10の一価炭化水素基である。
上記式(1)及び(2)におけるXは酸素原子又は炭素数1〜8の二価炭化水素基であり、二価炭化水素基としては−(CH−(mは1〜8)で表されるものが好ましい。これらの中でも酸素原子、−CHCH−がより好ましい。
上記式(1)及び(2)におけるnは1以上の数であるが、以下のように選択されるのが好ましい。すなわち、式(1)及び(2)におけるジオルガノポリシロキサンの粘度は前記nに影響されるが、前記ジオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度が100〜1,000,000cs(mm/s)、好ましくは500〜500,000csとなるよう、nの値を選択するのが好ましい。
上記式(2)におけるYは加水分解性基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、若しくはブトキシ基等のアルコキシ基、ジメチルケトオキシム基、若しくはメチルエチルケトオキシム基等のケトオキシム基、アセトキシ基等のアシルオキシ基、又は、イソプロペニルオキシ基、若しくはイソブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基等を用いることができる。
このようなジオルガノポリシロキサンは、各種オルガノポリシロキサンの単量体である環状シロキサン若しくは線状オリゴマーを酸若しくは塩基触媒による平衡反応によって得る等の公知の方法により製造することができる。また、ジオルガノポリシロキサンに分岐構造を導入する場合、上記平衡化重合中にSiO3/2単位、及び/又はSiO4/2単位を含むシラン若しくはシロキサンをジオルガノポリシロキサンがゲル化しないレベルで添加するのが常法である。さらに、このジオルガノポリシロキサンは、ストリップや洗浄等により低分子シロキサンを除去しておくことが望ましい。このようなオルガノシロキサンを用いた場合、製造初期及び使用初期の汚れを低減することができる。
(架橋剤)
架橋剤としては、加水分解性の基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するシラン又はその部分加水分解縮合物を用いることができる。加水分解性の基としては、メトキシ基、エトキシ基、若しくはブトキシ基等のアルコキシ基、ジメチルケトオキシム基、若しくはメチルエチルケトオキシム基等のケトオキシム基、アセトキシ基等のアシルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、若しくはイソブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、又は、N−ブチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等のアミノ基、若しくはN−メチルアセトアミド基等のアミド基等があげられる。これらの中でも、アルコキシ基、ケトオキシム基、アシルオキシ基、又はアルケニルオキシ基が好ましい。架橋剤の配合量は、上記ジオルガノポリシロキサン100部(質量部、以下同様)に対して1〜50部、好ましくは2〜30部、より好ましくは5〜20部を用いることができる。1質量部以上であることで、硬化前には適度な定型性が得られ、硬化後には適度な硬度及び強度が得られる。50質量部以下であることで、硬化前にはある程度の可塑性を得ることができ、硬化後にも適度な弾性が維持されひび割れ等に対する強さが得られる。
(硬化触媒)
コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、硬化触媒を使用することにより硬化を促進することができる。この硬化触媒としては、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナ)チタン、若しくはチタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステル又はチタンキレート化合物、ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛−2−エチルオクトエート、鉄−2−エチルヘキソエート、コバルト−2−エチルヘキソエート、マンガン−2−エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、若しくはアルコキシアルミニウム化合物等の有機金属化合物、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノアルキル基置換アルコキシシラン、ヘキシルアミン、若しくはリン酸ドデシルアミン等のアミン化合物及びその塩、ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウム塩、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、若しくは蓚酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩、ジメチルヒドロキシルアミン、若しくはジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン、又は、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン、若しくはテトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等のグアニジル基を含有するシラン又はシロキサン等があげられる。これらは、1種に限定されず、2種若しくはそれ以上の混合物を用いても良い。
これら硬化触媒の配合量は、上記ジオルガノポリシロキサン100部に対して0〜20部、好ましくは0.001〜10部、より好ましくは0.01〜5部を用いても良い。0質量部以上であることで、硬化前には適度な定型性が得られ、硬化後には適度な硬度及び強度が得られる。20質量部以下であることで、硬化前にはある程度の可塑性を得ることができ、硬化後にも適度な弾性が維持されひび割れ等に対する強さが得られる。
(吸湿性を有するゼオライト)
本実施形態のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、吸湿性を有するゼオライトを含有する。
ゼオライトとしては、結晶性のゼオライトで、一般にMO・AlSiOO(ここで、Mは金属カチオン、nは原子価)の化学式で表されるものが使用できる。本実施形態では、後述する吸湿性の観点から、上記組成の結晶性のゼオライトを原料とする粒状物を用いることが好ましい。このような結晶性のゼオライトの粒状物は、モレキュラーシーブとも呼ばれる。
本実施形態では各種のモレキュラーシーブが使用でき、例えば、モレキュラーシーブ3A、4A、5A又は13A等を使用できる。モレキュラーシーブ3Aは例えばKNa12−n[(AlO12(SiO12Oの化学式で表される。モレキュラーシーブ4Aは例えばNa12[(AlO12(SiO12]・27HOの化学式で表される。本実施形態では、特に、モレキュラーシーブ3Aが好適に使用できる。これらのモレキュラーシーブを使用することで、ゼオライトの添加によりシリコーンゴムの硬化時間を長くすることができる。
上述のゼオライトは、平均粒子径が5〜20nmであるものが好ましく、7〜10nmであるものがより好ましい。ここで平均粒子径は、粒子の顕微鏡像から30個の粒子を無作為に選び、それぞれの粒子について、最小径および最大径を測定し、最小径と最大径との中央値を一粒子の粒子径とし、測定した30個の粒子の粒子径を算術平均して得た値である。この範囲の粒子径のゼオライトを用いることで、シリコーンゴムの硬化時間を長くする硬化が好適に得られる。
本実施形態のゼオライトは、吸湿性を有する。吸湿性とは、水分子を吸着する性質(水吸着性)である。また、本実施形態のゼオライト、例えばモレキュラーシーブでは、添加する時点で水分含有量が少なければ添加後について吸湿性を有する。具体的には、添加する時点で水分含有量が検出されないことが好ましい。水分含有量が少なく吸湿性を有するとは、具体的には、例えば株式会社チノー製 精密微量水分計「CZA-3100」で測定した時、水分量(率)が検出限界のものである。
本実施形態では、吸質性を有するゼオライトの添加により、水分により硬化反応が促進されるシリコーンゴムについて、吸湿性を有するゼオライトが水分を吸収することで硬化反応の進行が抑制されるので、シリコーンゴムの硬化時間を長くすることができる。
本実施形態の上述のゼオライトの含有量は、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物の全体質量100重量部あたり0.5〜10質量部である。上述のゼオライトの含有量は、2.5〜9.0質量部がさらに好ましく、5.0〜8.0質量部が特に好ましい。ゼオライトが0.5質量部以上であることで、ゼオライトの添加により硬化時間を長くすることのできる効果が充分に得られる。ゼオライトが10質量部以下であることで、コンクリート保護の目的が充分に可能なコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物の物理的性質が得られる。
(充填剤)
本実施形態のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物には、上記成分以外に補強等の目的で1種以上の充填剤を用いることができる。このような充填剤としては、例えば、上述した吸湿性を有するゼオライト以外のフィラーを添加することができる。充填剤の具体例としては、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、これらのシリカ表面を有機珪素化合物で疎水化処理したシリカ、石英粉末、カーボンブラック、タルク若しくはベントナイト等の補強剤、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維若しくは有機繊維等の繊維質充填剤、又は、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、若しくはセライト等の塩基性充填剤等が例示される。
これらの充填剤のうち、シリカ、又は炭酸カルシウム等が好ましく、特に表面を疎水化処理した煙霧質シリカ、又は炭酸カルシウムが最適である。充填剤の配合量は、目的や充填剤の種類により選択すれば良いが、前述のベースポリマーのジオルガノポリシロキサン成分100部に対して1〜500部、特に5〜100部が良い。1質量部以上であることで、硬化前には適度な定型性が得られ、硬化後には適度な硬度及び強度が得られる。500質量部以下であることで、硬化前にはある程度の可塑性を得ることができ、硬化後にも適度な弾性が維持されひび割れ等に対する強さが得られる。
(接着性賦与成分)
接着性賦与成分(接着促進剤)としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有オルガノアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有オルガノアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト含有オルガノアルコキシシラン、アミノ基含有オルガノアルコキシシランとエポキシ基含有オルガノアルコキシシランとの反応混合物が例示される。本成分の配合量は、通常、前述のジポリオルガノシロキサン成分100質量部に対して0.1〜5質量部である。0.1質量部以上であることで、硬化前には適度な定型性が得られ、硬化後には適度な硬度及び強度が得られる。また、コンクリート表面に対する良好な接着性が容易に得られる。5質量部以下であることで、硬化前にはある程度の可塑性を得ることができ、硬化後にも適度な弾性が維持されひび割れ等に対する強さが得られる。
(可塑度変化率)
本実施形態のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、JIS K 6249に基づきウイリアムス可塑度計で測定した初期ウイリアムス可塑度について、硬化前に測定した硬化開始前可塑度と、温度25℃、湿度50%の条件で45分放置した後に測定した硬化進捗可塑度との関係において((硬化進捗可塑度−硬化開始前可塑度)/硬化開始前可塑度))×100で表される可塑度変化率(%)が10%以下であることが好ましい。可塑度変化率は、3%以上10%以下であることがより好ましく、3%以上6%以下であることが特に好ましい。
可塑度変化率が一定の範囲内であることは、硬化反応の速度が一定の範囲内である(遅延している)ことを示す。具体的には、可塑度変化率が3%以上であることで、シリコーンゴムの硬化(縮合反応)が遅すぎたり、充分に進まないまま停止することがない。前記可塑度変化率が10%以下であることで、シリコーンゴムの硬化に充分に時間がかかるので、コンクリート保護における作業時間を長くとることができる。
(硬化後の物性)
コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、硬化後において、ゴム硬度がJIS A硬度で15〜50°Hsであることが好ましい。ゴム硬度が上記下限値以上であることで、コンクリート表面の保護が十分に行える。ゴム硬度が上記上限値以下であることで、設置後に生じたコンクリートのひび割れ等、コンクリート表面の状態が変化した際に追随することができる。
コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、硬化後において、JIS K6251ダンベル形状3号での引張り強さが0.4〜8.0N/mmであることが好ましい。ゴム硬度が上記下限値以上であることで、コンクリート表面の保護が十分に行える。ゴム硬度が上記上限値以下であることで、設置後に生じたコンクリートのひび割れ等、コンクリート表面の状態が変化した際に追随することができる。
コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、硬化後において、JIS K6252切込なしアングル形形状での引裂き強度が1.0〜18N/mmであることが好ましい。ゴム硬度が上記下限値以上であることで、コンクリート表面の保護が十分に行える。ゴム硬度が上記上限値以下であることで、設置後に生じたコンクリートのひび割れ等、コンクリート表面の状態が変化した際に追随することができる。
ゴム硬度が上記下限値以上であることで、コンクリート表面の保護が十分に行える。ゴム硬度が上記上限値以下であることで、設置後に生じたコンクリートのひび割れ等、コンクリート表面の状態が変化した際に追随することができる。
前記コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、硬化後において、モルタルとの間の接着力が3.0N以上であることが好ましい。接着力は、試験用モルタルであるISOモルタルに、PET樹脂シートで補強されたコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物を厚さ2mm幅10mm長さ120mmにし、PET樹脂シートで補強されていない側のシリコーンゴム組成物の表面の略全面を、ISOモルタルに貼付け、引張試験機で接着力が測定される値である。コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物がこのように構成されていることで、コンクリート表面被覆部材10がコンクリート表面に設けられた際に充分な強さで密着する。前記接着力の上限は特に限定されないが、100N以下であることが好ましい。
本実施形態のコンクリート表面被覆部材10の上述の物性は、ゼオライトの種類、粒径及び含有量、並びにシリコーンゴム組成物の種類を適宜設定することによって、得ることができる。
シリコーンゴム組成物の製造方法としては、例えば、シリコーンゴム(生ゴム)に対して、上述のゼオライト、及び充填剤等のその他の添加物を添加する。さらに、架橋剤を適量添加し、ロール又はボールミル等の混練手段によって充分に混練し、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物を得る。これらの工程は、シリコーンゴム組成物の硬化を防ぐため、低湿度(例えば常温であれば0〜10%)で行うことが好ましい。
(コンクリート表面被覆部材の構成)
本実施形態のコンクリート表面被覆部材10は、前記コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物を用いたシリコーンゴムシート11を備える。以下に述べるコンクリート表面被覆部材10の構成は、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物が硬化前の状態であっても、硬化後の状態であってもよい。コンクリートを被覆した状態においては硬化していることが好ましく、コンクリートを被覆する前の使用前の状態においては未硬化であることが好ましい。本実施形態では、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物をシート状とし、シリコーンゴムシート11を形成している。シート状とは、幅方向の寸法が厚み方向よりも大きく、長手方向の寸法が幅方向とほぼ同じ、又は大きい形状である。シート状の各寸法の大きさは限定されないが、このような大きさの目安として、厚み方向が0.2〜10.0mmである。厚みが0.2mm以上であることで、コンクリート表面被覆部材10をコンクリート表面に設けた際に、コンクリート表面を様々な外的環境から充分に保護することができる。シリコーンゴムシート11の幅方向及び長手方向の長さは限定されず、設ける対象となるコンクリート表面の大きさに対して適宜選択してよい。前記長さとしては、例えば、数百〜数千mmから適宜選択できる。
コンクリート表面被覆部材10は、離型用のフィルム12を備えていてもよい。フィルム12は、樹脂等を構成素材とする断面板形の薄い部材で、シリコーンゴムシート11の一面又は両面に剥離可能に貼着される。フィルム12の構成素材としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレン等のプラスチックフィルムが挙げられる。このフィルム12は、コンクリート表面被覆部材10を保持する役目を果たすが、この他にも、貼着状態でシリコーンゴムシート11にフィルム12の形状(平面等)を付加することによる作業性の向上、塵埃及び黴の付着防止、目地部の損傷防止、表面の平滑性、表面の硬度、自由な着色及び表面加工が可能等、意匠性に優れるという種々の機能も具備する。コンクリート表面被覆部材10の製造において、離型用のフィルム12は、上述のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物を混練した後、硬化する前に前記シート状に形成され、シートに貼着することによって設けられることが好ましい。
(コンクリート表面被覆方法)
次に、本実施形態の封止方法の具体的な工程について説明する。
まず、図2(a)に示す建造物のコンクリート部位20について、コンクリート表面21を洗浄又は表層部分22を除去する表面処理工程を行う。
表面処理工程は、コンクリート表面21を洗浄してもよいし、研磨を行ってよい。具体的には、高圧洗浄機で表面汚れや、風雨での劣化、物理的要因での破損部分等を、ケレン(研磨)機器によって除去操作を行う。図に示した例では、表面処理工程は研磨により表層部分22を除去する工程である。
この工程により、コンクリート表面21に付着した汚れ(例えば、泥、埃、黴又は苔など)を、洗浄によって、又はコンクリート表面21の表層部分22を除去することによって取り除くことで、コンクリート表面21とコンクリート表面被覆部材10の密着性を高めることができる。
ついで、図2(b)に示すように、構造物のコンクリート表面21に、本実施形態のコンクリート表面被覆部材10を貼付ける工程を行う。
本実施形態のコンクリート表面被覆部材10のうち、フィルム12が設けられていないシリコーンゴムシート11の表面の側を、建造物のコンクリート表面21に貼付ける。このとき、コンクリート表面被覆部材10をフィルム12側から軽く押し付ける等によって形状を整えながら設置してもよい。貼付け時のシリコーンゴムシート11に含まれるコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、硬化完了前の状態であるため、貼付けに必要な接着性を有する。また、定形性及び可塑性を有するため、貼付けた後のシート形状が充分に維持される。
必要に応じて、フィルム12側から、コンクリート表面被覆部材10をローラで押圧する等の操作を行うことができる。この操作によって、コンクリート表面の隙間やひび割れ部分を埋めるように形成することもできる。また、コンクリート表面被覆部材10のシリコーンゴムシート11がコンクリート表面の凹凸に入り込むため、コンクリート表面被覆部材10の密着力が高まる。また、必要に応じて、コンクリート表面被覆部材10の表面に対してへらで形状を整える等の操作を行ってもよい。本実施形態のシリコーンゴムシート11は、フィルム12を剥がすとコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物の硬化が始まるため、シリコーンゴムシート11の設置を行ってからフィルム12を剥がすのが好ましい。
図2(c)に示すようにフィルム12を剥がした後、コンクリート表面被覆部材10を常温で放置すると、未硬化のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物が硬化し、コンクリート表面とシリコーンゴムシート11が密着する。数時間放置することで、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物の表面が硬化し、シリコーンゴムシート11がコンクリート表面を保護する効果が得られる。
本実施形態のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、常温(18−30℃、主に22−26℃)で湿度が50%であれば、コンクリートに対する接着力を維持した時間(使用可能な時間、可使時間)を、30分をこえて保っている。そのため、作業時間を充分にとることができる。しかし、硬化を早めたい場合は、霧吹き等で水分を付与することで、シリコーンゴムの縮合反応による硬化を促進することができ、短時間で硬化させることもできる。
さらに、目安として1週間以上放置することでコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物が完全に硬化し、その後長期間に渡ってコンクリート表面が様々な外的環境から十分に保護される。
本実施形態のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物、コンクリート表面被覆部材10及びそれを用いたコンクリート表面被覆方法によれば、シリコーンゴム組成物が硬化する時間を長くすることができ、施工可能時間を延長できるため、作業時間を長くとることができ作業性が高い。シリコーンゴム組成物の硬化が早い高温多湿の場所でも作業時間を延長できるため高い作業性が得られる。ゼオライトの添加量によりシリコーンゴム組成物が硬化する時間を調整でき、作業の目的に応じて施工可能時間を調整できる。硬化後について、表面状態が変性するので、埃や水分による汚れが付着しにくい。
シリコーンゴムシート11が定形で、あらかじめシート状に賦形してあるため、従来の液状の保護材等に比すると、構造物の隙間部分への設置が容易で、短時間に行うことができる。シリコーンゴムシート11は、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物が硬化するまでは可塑性を有するため形状や設置範囲等を整えることが可能で、形状を整える操作も容易である。そのため、設置時間を短縮することができ、作業が容易で、作業者の個人差が出にくく、一定の仕上がりを得やすい。従来の保護用シート及び粘着剤層を有する保護用シートに比すると、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、粘着剤層よりもコンクリート表面に強く密着し、水分等の外的環境等による劣化が少ない。そのため、施工可能時間を延長でき、設置時の作業時間を調節することができ高温多湿の場所においても作業性が高く、設置の作業が容易で、コンクリート表面を様々な外的環境から長期間に渡って保護することができるコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物、コンクリート表面被覆部材、及びコンクリート表面被覆方法を提供することができる。
以下に、実施例を示して本実施形態を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4)
分子鎖両末端に水酸基を持つオルガノポリシロキサンを主成分とするシリコーン生ゴム:KE−76S(信越化学工業社製、商品名、平均重合度8,000)100質量部に、フュームドシリカ:アエロジルR−972(日本アエロジル社製、商品名)と平均粒子径15μmの煙霧質シリカを適量、吸湿性を有するゼオライトとして平均粒子径10μm以下で水分含有量が検出限界のモレキュラーシーブ3A(ユニオン昭和社製、商品名)を表1の実施例1〜4に示す添加量、及び湿潤剤としての両末端に水酸基を持つ重合度10のシリコーンオイル2質量部を添加配合し、シリコーンゴムコンパウンドを得た。
各調合したシリコーンゴムコンパウンドに、架橋剤としてのメチルトリメトキシシラン、テトラブチルチタネート、及びジブチルスズラウレートを架橋に必要な量を適宜添加して2本ロールで十分に混練し、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物を配合した。なお、配合時の温度は23℃、湿度は7%であった。上記配合物をアルミと樹脂で構成された真空用袋に空気を抜き密閉し、2週間23℃湿度50%環境下で保管した。
(比較例1〜3)
ゼオライトを添加しない(0質量部)他は実施例1と同様に調整し、比較例1のシリコーンゴム組成物とした。ゼオライトにかえて、温度23℃湿度50%環境下で一週間以上放置して水分含有を検出した(吸湿済)モレキュラーシーブ3Aを5.0質量部添加した他は実施例1と同様に調整し、比較例2のシリコーンゴム組成物とした。ゼオライトにかえて、シリカゲル60を5.0質量部添加した他は実施例1と同様に調整し、比較例3のシリコーンゴム組成物とした。
(可塑度の測定)
さらに、実施例1〜4及び比較例1〜3に対して、以下の測定を行った。実施例1〜4及び比較例1〜3と同様にして配合した、硬化前のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物を2g計量し、球形状にした後、株式会社博愛社製薬包紙「パラピン(中)」で挟み、23℃、湿度50%において、ウイリアムス可塑度計で表1に示す各養生時間(0、15、30、45、60分)後に各実施例及び比較例について測定した値を、表1に示す可塑度とした。
また、養生時間0分での可塑度を硬化開始前、各養生時間での表1の可塑度を硬化進捗後として、(硬化進捗後可塑度−硬化開始前可塑度)/硬化開始前可塑度))×100で表される可塑度変化率(%)を測定し、表2に示した。
表2をもとに、各ゼオライト添加量ごとの、養生時間に対する可塑度変化率を図3に示した。
Figure 0006914796
Figure 0006914796
吸湿性を有するゼオライトであるモレキュラーシーブ3Aを0.5〜10.0質量部添加した実施例1〜4のシリコーンゴム組成物は、表2に示すようにいずれも45分後において可塑度変化率が10%以下であり、図3に示すように可塑度の上昇が緩やかで、長時間で硬化することが示された。この結果により、本実施例のシリコーンゴム組成物は施工可能時間を延長でき、ゼオライト添加量により設置時の作業時間を調節することができることが示された。これに対して、ゼオライトを添加しない比較例1では養生時間45〜60分間に初期可塑度から10%以上変化していることと、可塑度200を超えると急速に接着力が低下する。吸湿済のモレキュラーシーブ3Aを添加した比較例2では、すでに硬化率が約50%以上進行しており、硬化開始前とは可塑度変化率についての正確な比較ができず、接着性を喪失した状態であった。またゼオライトにかえてシリカゲルを添加した比較例3では、すでに100%硬化していたため、可塑度の測定は不可能であった。
(モレキュラーシーブ種類ごとの可塑度変化率の試験)
(実施例5〜7)
ゼオライトをそれぞれモレキュラーシーブ4A、5A、13Aとした以外は実施例3と同様にして実施例5、6及び7を作成した。これらの実施例について、上記同様に可塑度の測定を行った。表3に示す各養生時間(0、15、30、45、60分)後に各実施例及び比較例について測定した値を、表3に示す可塑度とした。また、養生時間0分での可塑度を硬化開始前、各養生時間での表3の可塑度を硬化進捗後として、((硬化進捗可塑度−硬化前可塑度)/硬化開始前可塑度))×100で表される可塑度変化率(%)を測定し、表4に示した。表4をもとに、各モレキュラーシーブ種類ごとの、養生時間に対する可塑度変化率を図4に示した。
Figure 0006914796
Figure 0006914796
吸湿性を有するゼオライトであるモレキュラーシーブ4A、5A及び13Aを5質量部添加した実施例5〜7のシリコーンゴム組成物は、表4に示すようにいずれも45分後において可塑度変化率が10%以下であり、図4に示すようにモレキュラーシーブなし(比較例1)に比べると可塑度の上昇が緩やかで、長時間で硬化することが示された。この結果により、モレキュラーシーブ4A、5A及び13Aはモレキュラーシーブ3A同様に硬化時間の調節に使用できることが示された。
(表面構造観察試験)
前記ゼオライトを5質量部添加した実施例3のシリコーンゴム組成物について、養生期間2週間後に、養生時に外気に触れている側の表面を、キーエンス株式会社製マイクロスコープによって観察したものを図5(a)に示した。ゼオライトを添加していない比較例1について同様の条件で観察したものを図5(b)に示した。
図5(b)に示すようにゼオライトを添加していないものは表面がほぼ平滑である。これに対して、図5(a)に示すように実施例3のシリコーンゴム組成物は表面に数μmスケールの気泡が見られた。本実施形態のシリコーンゴム組成物は表面に気泡が発生し、表面の物理的性質に寄与していることが考えられる。
(モルタル接着力の測定)
株式会社テストピース社製 ISOモルタル(50mm×50mm×10mm)の表面を、#100の紙やすりで研磨して表面の白層を除去した。このモルタルを水洗い後エアーブローし、表面の水分を除去した。さらに、23℃ 50%の環境下で3日以上乾燥させ、モルタル試験体とした。
一方、PET樹脂シート(145×205×0.1mm)に、接着用プライマーを塗布し、およそ30分風乾させた。
ついで、上述の比較例1(ゼオライトが0質量部)及び実施例3(ゼオライトとして、モレキュラーシーブ3Aを5質量部添加)のシリコーンゴム組成物を調整し、それぞれ75〜85g計量し、ミキシングローラで厚さ3〜5mm程度に伸ばし、未硬化のシリコーンゴムシートとした。このシリコーンゴムシートを、前記PET樹脂シートのうちプライマーを塗布した側と、OPP樹脂(Oriented PolyPropylene)シートとの間で挟んだ。
ついで、このシリコーンゴムシートを、シートの両側から、厚さ2.2mmの金枠をセットした金型で、常温で5分間圧力をかけてプレスした。
金型から取り出した未硬化のシリコーンゴムシートを、幅10mm、長さ120mmにカットし、試験体とした。
前記PET樹脂シートは未硬化のシリコーンゴムシートの取り扱いを容易にする支持部材である。
この試験体を引張試験機に取り付ける工程について、図6(a)〜(c)に示した。図6(a)に示すように、試験体10AからOPP樹脂シート12Aを端11Abから30mmだけ剥がした。上述の比較例1及び実施例3のシリコーンゴムシートについて、OPP樹脂シート12Aを剥がした後に表5に示す各硬化時間の間静置し、その後にこの剥がした端11Abを含む部位(30×10mm)を、前記モルタル試験体21Aの研磨表面に対して、一方の端21Abから他方の端21Aaに向かって貼り付けた(モルタル試験体21Aの一部を試験体10Aで被覆した)。なお、モルタル試験体21Aの表面に試験体10Aを一部のみ貼り付けるのは、モルタル試験体21A、及び試験体10Aの貼り付いていない部位をそれぞれ引張試験時のチャックに挟み込む目的で使用するためである。1枚のモルタル試験体21Aにつき、3本の試験体10Aを貼り付けた(n=3)。
このモルタル試験体21Aに貼り付けた試験体10Aの、モルタル試験体21Aに貼り付けた面の逆側の表面に500gの荷重を加え、10分間養生させた。さらに、試験体10Aの、モルタル試験体21Aに貼り付けた側の面を下部にして、平面板に載せ恒温恒湿槽で、温度23℃湿度50%環境下で、7日間養生した。この7日間の養生後には、シリコーンゴムシート11を構成するコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物の硬化が完了した。
引張試験には、ミネベア株式会社製引張圧縮試験機「TGI−500N」を用いた。測定前の上部チャックと下部チャックのチャック間距離は50mmであった。
図6(c)に示すように、前記試験体10AのOPP樹脂シート12Aを全て剥がし、試験体10Aのモルタル試験体21Aに貼り付いていない側の端11Aaを180°曲げた(折ってはいない)。
前記下部チャックに、モルタル試験体21Aの、試験片10Aの張付いていない側の端21Aaから20mmを挟んだ。前記上部チャックに、試験体10Aの、前記曲げた側の端11Aaを挟み込んだ。
上部チャックと下部チャックを引張り、上部チャックと下部チャックを引張って離した距離(変位量)ごとに、モルタル試験体21Aと試験体10Aが剥がれるまでの力を測定することによってモルタル接着力を測定した。引張速度は、50mm/minで、常に測る試験片10Aをチャック中央の部位に設定した。
Figure 0006914796
モルタル接着力の試験の結果として、引張の変位量に対する接着力の強さ(単位:N)を表5に、グラフを図7に示した。図7において、幅10mmの試験片を引っ張ってモルタルから剥がした長さ(チャック同士を引っ張った距離)を変位量として横軸に、この剥がした際に測定された接着力を縦軸に示す。
シリコーンゴム組成物は硬化が進むにしたがって、接着対象に対する接着力は低下する。目安として、モルタル接着力が20N以上であれば、充分にコンクリートに対する接着力が得られる。比較例1では、硬化時間が30分までは接着力が20Nをこえていたが、45分では20Nよりも低下しており、硬化を開始してから使用可能な時間(可使時間)は30分である。これに対して、実施例3では60分まで接着力が20Nをこえており、可使時間が60分であった。この結果により、本願発明のシリコーンゴム組成物は可使時間が従来のおよそ2倍となり、長時間の作業が可能であることが示された。
(汚れの付着の試験)
モルタル接着力の測定で製作した時と同様に実施例1〜4及び比較例1のシリコーンゴムシートを製作した。ただし、このとき、片側はプライマー塗布されたPET樹脂ではなく、両面OPP樹脂とした。できたシートを50mm×50mmにカットして、ISOモルタルに接着させた。接着後、23℃湿度50%環境下で1週間養生後、屋外へ2週間放置した。放置後試験体を回収後エアーを吹き付け、表面の埃の除去程度を観察した。
(評価内容)
〇 … 埃付着なし、又は除去できる。
× … 埃付があり、除去できない。
Figure 0006914796
表6に示すように、実施例1〜4のシリコーンゴムシートは埃付着がなく、又は付着した埃もエアーにより容易に除去することができた。この結果から、本願発明のシリコーンゴム組成物は表面への埃などの汚れの強固な付着を防ぐことができることが示された。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
本発明によれば、施工可能時間を延長でき、設置時の作業時間を調節することができ高温多湿の場所においても作業性が高く、構造物のコンクリート表面を様々な外的環境から長期間に渡って保護することが可能であるコンクリート表面被覆部材及びそれを用いたコンクリート表面被覆方法が得られる。
10 コンクリート表面被覆部材
10A 試験体
11、11A シリコーンゴムシート
11Aa、11Ab 端
12 フィルム
12A OPP樹脂シート
20 コンクリート部位
21 コンクリート表面
21A モルタル試験体
21Aa、21Ab 端
22 表層部分

Claims (8)

  1. 定形性と可塑性とを有するコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物であって、
    前記コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、シリコーンゴム及び吸湿性を有するゼオライトを含有し、
    構造物のコンクリート表面に貼付けて前記コンクリート表面を被覆するシリコーンゴムシートを備えたコンクリート表面被覆部材の、前記シリコーンゴムシートに用い
    前記コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、JIS K 6249に基づきウイリアムス可塑度計で測定した初期ウイリアムス可塑度について、硬化前に測定した硬化開始前可塑度と、温度25℃、湿度50%の条件で45分放置した後に測定した硬化進捗可塑度との関係において((硬化進捗可塑度−硬化開始前可塑度)/硬化開始前可塑度))×100で表される可塑度変化率(%)が10%以下である、コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物。
  2. 前記ゼオライトの含有量が、前記コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物の全体質量100重量部あたり0.5〜10.0質量部である、請求項1に記載のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物。
  3. 前記コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は縮合反応により硬化する、請求項1又は2に記載のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物。
  4. 前記コンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物は、硬化後においてモルタルとの間の接着力が3.0N以上である、請求項1からのいずれか1項に記載のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載のコンクリート表面被覆部材用シリコーンゴム組成物を用いたシリコーンゴムシートを備えた、コンクリート表面被覆部材。
  6. 前記シリコーンゴムシートの厚みが0.2〜10mmである、請求項に記載のコンクリート表面被覆部材。
  7. 構造物のコンクリート表面に、請求項5又は6に記載のコンクリート表面被覆部材を貼付ける工程を有する、コンクリート表面被覆方法。
  8. 前記コンクリート表面被覆部材を貼付ける工程の前に、前記コンクリート表面を洗浄又は表層部分を除去する表面処理工程をさらに有する、請求項に記載のコンクリート表面被覆方法。
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