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JP6916082B2 - ピストンの支持構造 - Google Patents
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JP6916082B2 - ピストンの支持構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ピストンの支持構造に関する。
レシプロ式のエンジンにおいて、シリンダー内を上下動するピストンは、ピストンピンによってコンロッドの小端部に連結されている。ピストンピンは、ピストンに形成された一対のピン支持孔とコンロッドの小端部に形成されたピン挿通孔とに挿通されており、ピストンは、ピストンピンの外周面とピン挿通孔の内周面とを摺動させながら、シリンダー内を上下動する。そのため、例えば特許文献1のように、ピストンピンの外周面とピン挿通孔の内周面とが摺動する摺動部にオイルを供給することにより、コンロッドとピストンピンとの焼き付きを抑制している。
ところで、ピストンには、シリンダー内の圧力に基づく筒内圧荷重とピストンの上下動にともなう慣性力とが作用する。筒内圧荷重は、ピストンを下動方向側へ押し下げる押下力として作用する。一方、慣性力は、ピストンがストローク中央よりも下死点側に位置しているときは押下力として作用し、ピストンがストローク中央よりも上死点側に位置しているときはピストンを上動方向側へ押し上げる押上力として作用する。そして、排気上死点付近において筒内圧荷重に基づく押下力よりも慣性力に基づく押上力が大きくなり、ピストンピンがピン挿通孔内をピストンの上動方向側へ変位する。これにより、ピストンの下動方向側の摺動部である下側摺動部に新たなオイルが供給されることで下側摺動部における焼き付きが抑えられる。
特開2014−202216号公報
一方、近年では、エンジンのダウンサイジング等によってシリンダー内の圧力が全行程において高まる傾向にある。そのため、筒内圧荷重の増大にともなって下側摺動部に対してオイルが供給されにくくなってきており、下側摺動部においてピストンピンとコンロッドとが焼き付いてしまうおそれがあった。
本発明は、ピストンピンとコンロッドとの焼き付きを抑制するピストンの支持構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するピストンの支持構造は、互いに対向する一対のピン支持孔を有するピストンと、前記一対のピン支持孔の間に位置するピン挿通孔を有するコンロッドと、前記一対のピン支持孔および前記ピン挿通孔に挿通されて前記ピストンと前記コンロッドとを連結するとともに、前記ピン挿通孔の内周面との間の隙間にオイルが供給されるピストンピンと、前記コンロッドに対して前記ピストンピンを前記ピストンの上動方向へ付勢するばね部材を有する付勢部とを備え、前記ばね部材は、前記ピストンの外側に配設されており、前記コンロッドに対して連結されているとともに前記ピストンピンに対して回動可能に連結されている。
上記構成によれば、ばね部材によってピストンの上動方向へとピストンピンが付勢される分だけピストンの押上力を高めることができる。これにより、ピストンの下動方向側の摺動部である下側摺動部に対して新たなオイルが供給されやすくなる。その結果、ピストンピンとコンロッドとの焼き付きを抑制することができる。そのうえ、ばね部材がピストンの外側に配設されていることでピストンとコンロッドとを連結させたあとでばね部材の組み付け作業を行うことができる。
上記構成のピストンの支持構造において、前記付勢部は、前記ばね部材を一対有し、前記一対のばね部材は、前記ピストンピンの延在方向における前記コンロッドの両側に配設されていることが好ましい。
上記構成によれば、所定の付勢力を得るうえで1つのばね部材に求められるばね定数を小さくすることができる。その結果、ばね部材の組み付け作業をより容易に行うことができる。また、ピストンピンは、上動方向への付勢力を両端部で受けることから、下側摺動部に対して新たなオイルがさらに供給されやすくなる。
上記構成のピストンの支持構造において、前記ピストンピンは、前記ピストンピンの軸方向に延びる軸孔が形成された円筒状の形状を有し、前記軸孔は、前記ピストンピンの両端部に位置する一対の大径部と前記一対の大径部を連通する小径部とを有し、前記付勢部は、前記軸孔に挿通されて前記ピストンピンの両端部から突出するインナーシャフトと、前記大径部の各々に配設されて前記ピストンピンに対して回動可能に前記インナーシャフトを支持するボールベアリングとを有し、前記ばね部材は、前記インナーシャフトのうちで前記ピストンピンから突出する部分に連結されることにより前記ピストンピンに対して回動可能に連結されていることが好ましい。
上記構成によれば、ばね部材とピストンピンとの間にボールベアリングが介在していることから、ピストンピンに対してばね部材が回動する際に生じる摩擦を低減することができる。
上記構成のピストンの支持構造において、前記ばね部材が前記コンロッドに対して回動不能に連結されていることが好ましい。
上記構成によれば、付勢部において生じる回動動作を低減することができる。
上記構成のピストンの支持構造において、前記ばね部材と前記コンロッドとが複数の締結部材によって締結されていることが好ましい。
上記構成によれば、ばね部材とコンロッドとの連結作業を容易にしつつ、ばね部材とコンロッドとを回動不能に連結することができる。また、締結部材の緩みをより確実に抑えることができる。
ピストンの支持構造の一実施形態の概略構成を示す概略構成図であって、ピストンが上死点に位置している状態を示す図。 (a)自由状態にあるばね部材の正面構造を示す正面図、(b)自由状態にあるばね部材の側面構造を示す側面図。 クランク角とピストンに作用する力との関係の一例を示すグラフ。 (a)所定の付勢力を発生させるばね部材の寸法条件の一例を示すグラフ、(b)ばね部材の寸法条件と圧力比との関係の一例を示したグラフ。
図1〜図4を参照して、ピストンの支持構造の一実施形態について説明する。
図1に示すように、シリンダーブロック11に形成されたシリンダー12には、シリンダー12の延在方向に沿って上死点と下死点との間で上下動可能なピストン13が収容されている。ピストン13は、例えば鋳鉄といった鉄を主成分とする鉄鋼製の基材に各種機械加工が施されることにより作製される。
ピストン13は、各種ピストンリング14が装着されるリングベルト部13Aと、リングベルト部13Aよりもピストン13の下動方向側にリングベルト部13Aよりも小さな外径を有するピン連結部13Bを有している。ピストン13は、リングベルト部13Aとピン連結部13Bとの径差に基づく段差によって形成される空間である段差空間15を有している。ピストン13は、ピストン13の上動方向へ窪んだ形状の裏面13Cを有し、また、この裏面13Cとピン連結部13Bの外側面とに開口して互いに対向する一対のピン支持孔17を有している。ピストン13は、裏面13Cが形成する凹部にコンロッド20の小端部21が配設された状態でピストンピン23が一対のピン支持孔17および小端部21のピン挿通孔24に挿通されることによりコンロッド20に連結される。
ピストンピン23は、例えばクロム鋼(Cr鋼)といった鉄を主成分とする鉄鋼製の基材に対して各種機械加工が施されることにより作製され、軸方向に延びる軸孔25が形成された円筒形状を有している。ピストンピン23は、ピン支持孔17においてピン連結部13Bに装着される図示されないスナップリングにより軸方向における移動が規制されている。軸孔25は、ピストンピン23の両端部に位置する一対の大径部26と、一対の大径部26を連通する小径部27とを有している。ピストンピン23は、後述するコンロッド20に形成されたオイル導出口36に対向可能な位置に開口を有して、軸孔25内にオイルを導入可能に構成されたオイル導入路38が形成されている。
コンロッド20は、例えば炭素鋼といった鉄を主成分とする鉄鋼製の基材に対して各種機械加工が施されることにより作製され、ピストン13と図示されないクランクシャフトとを連結する。コンロッド20は、ピストン13の上下動にともなって、ピン挿通孔24の内周面をピストンピン23の外周面に摺動させながらピストンピン23を軸として揺動する。なお、ピン挿通孔24の内周面とピストンピン23の外周面とが摺動する摺動部のうち、ピストン13の下動方向側の部分を下側摺動部30、ピストン13の上動方向側の部分を上側摺動部31という。
また、コンロッド20は、クランクシャフトの内部に形成されたオイル供給通路に連通するオイル通路35を有している。オイル通路35は、コンロッド20の延在方向に沿って延びており、ピン挿通孔24の内周面に対する開口であるオイル導出口36を有している。オイル通路35には、クランクシャフトに形成されたオイル供給通路を通じて、例えばエンジンを動力源とするオイルポンプが圧送する所定圧力のオイルが導入される。オイル通路35に導入されたオイルは、オイル導出口36から下側摺動部30へと導出され、ピストンピン23とコンロッド20との間を潤滑するとともにこれらピストンピン23とコンロッド20とを冷却する。下側摺動部30にオイルが供給されやすくなるように、ピストンピン23が付勢部40によりコンロッド20に対してピストン13の上動方向へ付勢されている。
付勢部40は、一対のボールベアリング41と、インナーシャフト44と、一対のばね部材45とを有している。
ボールベアリング41は、ピストンピン23の軸孔25の一部である大径部26に配設されており、大径部26においてピストンピン23に装着されるスナップリング42によって大径部26からの脱落が防止されている。各ボールベアリング41は、ピストンピン23の軸孔25の小径部27よりも小さい内径を有している。
インナーシャフト44は、ボールベアリング41の内径よりもわずかに小さい径の円柱形状を有しており、たとえば炭素鋼やステンレス鋼といった鉄を主成分とする鉄鋼製の基材に対して各種機械加工が施されることにより作製される。インナーシャフト44は、各ボールベアリング41に挿通されており、一対のボールベアリング41を介してピストンピン23に対して回動可能に支持されている。インナーシャフト44は、インナーシャフト44の長さは、ピストン13のピン連結部13Bの幅よりも大きく、かつ、ピストン13のリングベルト部13Aの直径よりも小さい。インナーシャフト44は、シリンダー12の径方向におけるピストン13のリングベルト部13Aよりも内側の領域に配設されており、その両端部がピストン13のピン連結部13Bから突出している。また、ピストンピン23の軸孔25においてインナーシャフト44とピストンピン23との間には、隙間44Aが形成されている。
ばね部材45は、コンロッド20に対してピストンピン23をピストン13の上動方向へ付勢する。ばね部材45は、ピストンピン23の延在方向におけるコンロッド20の両側にてピストン13の外側の空間を通るように配設されている。ピストン13の外側の空間とは、シリンダー12の径方向においてはシリンダー12とピストン13との間の空間であり、シリンダー12の軸方向においてはピストン13に対するピストン13の下動方向側の空間である。ばね部材45は、たとえばJISG4801に規定されるばね鋼鋼材に準拠する部材からなり、荷重に対する弾性変形領域が大きくなるように降伏応力が高い材料で作製されることが好ましい。ばね部材45は、クランク状に屈曲した屈曲形状を有しており、締結部材46によってコンロッド20に連結される第1連結部47と、インナーシャフト44およびボールベアリング41を介してピストンピン23に対して回動可能に連結される第2連結部48とを有している。また、ばね部材45は、第1連結部47に対して第2連結部48をピストンピン23の端部近傍へオフセットするオフセット部49を有している。第1連結部47は、コンロッド20の延在方向に沿うように配設され、第2連結部48は、ピストン13におけるリングベルト部13Aとピン連結部13Bとの径差に基づく段差空間15をピン連結部13Bに沿うように配設される。また、オフセット部49は、ピストン13に対する下動方向側の空間を通じて第2連結部48を第1連結部47に対してオフセットする。
図2(a)および図2(b)に示すように、ばね部材45は、幅b、厚さhを有する板状の基材をプレス加工等によって屈曲させることにより作製される。
第1連結部47は、コンロッド20の延在方向に沿って配置される複数の締結孔51を有している。第1連結部47は、これらの締結孔51を通じてコンロッド20に締結部材46が締結されることによりコンロッド20に固定され、ばね部材45とコンロッド20とを回動不能に連結する。
第2連結部48は、第1連結部47に対して略平行に延びる部位であり、その先端部にインナーシャフト44が挿通されるシャフト挿通孔52を有している。第2連結部48は、シャフト挿通孔52にインナーシャフト44の端部が挿通された状態でインナーシャフト44にスナップリング55(図1参照)が装着されることにより、ばね部材45をインナーシャフト44に連結する。これにより、ばね部材45は、インナーシャフト44およびボールベアリング41を介してピストンピン23に対して回動可能に連結される。なお、ばね部材45は、インナーシャフト44に対して回動可能に連結されてもよいし、インナーシャフト44に対して回動不能に連結されてもよい。
オフセット部49は、所定寸法のR部を介して第1連結部47および第2連結部48に一体的に連結されている。オフセット部49は、ばね部材45が自由状態にあるときに第1および第2連結部47,48に対して斜め方向に延在している。これにより、オフセット部49は、第1連結部47の延在方向に沿って第1連結部47と第2連結部48とをセットアップ量xだけずれた位置に配置する。ばね部材45は、図1に示すようにコンロッド20およびピストンピン23に組み付けられた状態では第1連結部47および第2連結部48に直交するように弾性変形した状態にある。なお、以下では、ばね部材45の幅b、厚さh、および、セットアップ量xをばね部材45の寸法条件という。
上述したピストンの支持構造においては、コンロッド20とピストン13とがピストンピン23で連結されたのち、付勢部40が次のような順序で組み付けられる。
まず、ボールベアリング41がピストンピン23に装着される。ボールベアリング41は、ピストンピン23の大径部26に配設されたのち、当該大径部26にスナップリング42が装着されることによりピストンピン23に装着される。続いて、インナーシャフト44がボールベアリング41に挿通される。このとき、インナーシャフト44の両端部は、ピストン13のピン連結部13Bから突出する状態に保持される。次に、ばね部材45の第1連結部47がコンロッド20に連結されたのち、ばね部材45を弾性変形させた状態でインナーシャフト44を第2連結部48のシャフト挿通孔52に挿通させる。そして、インナーシャフト44のうちでシャフト挿通孔52から突出している部分にスナップリング55が装着される。こうしたばね部材45の装着がピストンピン23の一端部側とピストンピン23の他端部側で行われる。こうして組み付けられた付勢部40においては、コンロッド20を支点とするばね部材45の弾性力がインナーシャフト44、ボールベアリング41を介してピストンピン23の両端部に作用する。これにより、ピストンピン23は、コンロッド20に対してピストン13の上動方向へと付勢される。
ところで、ピストン13には、下動方向側への押下力と上動方向側への押上力とが作用する。ピストン13には、シリンダー12内の圧力である筒内圧とシリンダー12のボア面積との乗算値に基づく筒内圧荷重が押下力の1つとして作用する。この筒内圧荷重は、筒内圧が低くなるエンジンの低負荷状態において小さくなり、筒内圧が高くなるエンジンの高負荷状態において大きくなる。また、ピストン13には、ピストン13とピストンピン23との総重量、および、ピストン13の加速度に基づく慣性力が作用する。この慣性力は、ピストン13がストローク中央よりも上死点側に位置しているときに押上力の1つとして作用し、ピストン13がストローク中央よりも下死点側に位置しているときに押下力の1つとして作用する。慣性力は、エンジン回転数が高速であるほど大きくなり、エンジン回転数が低速であるほど小さくなる。また、ピストン13には、各ばね部材45のばね定数とばね部材45のセットアップ量xとに基づく付勢力の合計が押上力の1つとして作用する。
図3は、ばね部材45の寸法条件や材質などの特性を設定するために行ったシミュレーションの結果の一例を示すグラフである。このシミュレーションでは、エンジンの運転状態を低速高負荷状態に設定し、クランク角とピストン13に作用する力との関係についてシミュレートした。
図3においては、ピストン13が圧縮上死点にあるときのクランク角を0°CAとして表示しているとともに、ピストン13に作用する力として、筒内圧荷重PS、慣性力Wa、および、慣性力Waと付勢部40による付勢力Fとの合力F+Waを示している。また、筒内圧荷重PSは、縦軸のプラス領域において押下力として作用する。一方、慣性力Waおよび合力F+Waは、縦軸のプラス領域において押上力として作用し、縦軸のマイナス領域において押下力として作用する。
図3に示すように、このシミュレーションにおいては、慣性力Waが筒内圧荷重PSを上回ることがない。そこで、筒内圧荷重PSに基づく押下力が最も小さく、かつ、慣性力Waに基づく押上力が最も大きくなるクランク角360°CA付近にて、合力F+Waが筒内圧荷重PSを上回るようにばね部材45の特性を設定する。すなわち、筒内圧荷重PSに基づく押下力と慣性力Waに基づく押上力との差の最小値よりも大きな付勢力Fが生じるようにばね部材45の特性を設定する。このようにしてばね部材45の特性が設定されることにより、押上力が押下力を上回る期間Aを形成することができる。また、ばね部材45の特性が低速高負荷状態を基準として設定されることによって、他の運転状態においても上記期間Aが形成されやすくなる。押上力が押下力よりも大きい期間Aでは、ピン挿通孔24におけるピストン13の上動方向側へとピストンピン23が変位する。このとき、下側摺動部30に対してオイル導出口36から新たなオイルが供給される。
図4を参照して、ばね部材45の寸法条件について行ったシミュレーションの結果について説明する。
このシミュレーションでは、付勢部40が所定の付勢力をピストン13に付与するという条件のもとでばね部材45の寸法条件(厚さh、幅b、および、セットアップ量x)を算出し、その寸法条件のもとでの推定焼付筒内圧力を算出した。推定焼付筒内圧力は、ピストン13とピストンピン23とが下側摺動部30において焼付いてしまう筒内圧力である。そして、付勢部40がある場合の推定焼付筒内圧力P1と付勢部40がない場合の推定焼付筒内圧力P2との比である圧力比R(=P1/P2)を算出した。すなわち、この圧力比Rが1より大きいほど焼き付きが生じにくくなるという結果が得られることとなる。なお、ばね部材45の材質は、SUP7(JISG4801)とした。
図4(a)は、付勢部40が所定の付勢力をピストン13に付与する場合のばね部材45の寸法条件の一例を示すグラフである。図4(b)は、各寸法条件と圧力比Rとの関係の一例を示したグラフである。
図4(a)に示すように、たとえ同じ断面積であっても厚さhが大きい場合のほうが所定の付勢力をピストン13に付与するうえでセットアップ量xが小さいことが認められた。また、厚さhが大きいほうが、幅bの減少量に対するセットアップ量xの増大量が小さいことが認められた。すなわち、厚さhが大きいほうが幅bの変化に対するセットアップ量xの変化が小さいことが認められた。
図4(b)に示すように、たとえ同じ断面積であっても厚さhが大きいほうが圧力比Rが大きくなることが認められた。また、厚さhが大きいほうが幅bの増大量に対する圧力比Rの増大量が大きいことが認められた。
これらのことから、ばね部材45の寸法条件は、推定焼付筒内圧力を効果的に高めるうえで、所定の付勢力を付与する際の厚さhおよび幅bが大きいことが好ましい。また、ばね部材45の寸法条件は、断面積が同じであれば、厚さhが大きいほうが好ましい。
上記実施形態のピストンの支持構造によれば、以下に列挙する作用効果が得られる。
(1)ばね部材45を有する付勢部40がピストン13に付与する付勢力の分だけ押上力を高めることができる。これにより、下側摺動部30に対して新たなオイルが供給されやすくなることから、ピストンピン23とコンロッド20との焼き付きを抑制することができる。
(2)コンロッド20に対してピストン13の上動方向へ付勢する付勢部としては、たとえばコンロッド20の小端部21とピストン13の裏面13Cとの間にばね部材を配設する方法など、ピストン13の内側やコンロッド20の内部にばね部材を配設する方法が考えられる。しかしながら、こうした方法は、ピストン13とコンロッド20とをピストンピン23で組み付ける作業と、付勢部の組み付け作業とを同時進行で行う必要がある。しかも、所望の付勢力を得るうえでばね部材に要求されるばね定数が過度に大きくなること、組み付け作業の工程が過度に複雑になること、組み付け作業に必要となる治具などに多大なコストがかかることなどが想定される。
この点、ばね部材45は、ピストン13の外側の空間を通るように配設されている。こうした構成によれば、コンロッド20とピストン13とをピストンピン23で組み付けてから付勢部40の組み付けを行うこと、すなわち、コンロッド20とピストン13との組付け作業と付勢部40の組み付け作業とを別工程として行うことができる。その結果、付勢部40の組み付け作業を容易なものとすることができる。
(3)付勢部40は、一対のばね部材45を有しており、これら一対のばね部材45がピストンピン23の延在方向におけるコンロッド20の両側に配設されている。具体的には、一対のばね部材45の一方がコンロッド20に対するピストンピン23の一端部側の領域に配設されてピストンピン23の一端部に対して回動可能に連結されている。また、一対のばね部材45の他方がコンロッド20に対するピストンピン23の他端部側の領域に配設されてピストンピン23の他端部に回動可能に連結されている。
こうした構成によれば、所定の付勢力を得るうえで、1つのばね部材45に要求されるばね定数を小さくすることができる。その結果、ばね部材45の組み付け作業をより容易に行うことができる。また、ピストンピン23は、その両端部において上動方向への付勢力を受けることでピストンピン23全体を上動方向へ変位させることができる。その結果、下側摺動部30において隙間が形成されやすくなり、下側摺動部30に新たなオイルがより供給されやすくなる。
(4)ばね部材45は、インナーシャフト44およびボールベアリング41を介してピストンピン23に回動可能に連結されている。こうした構成によれば、ボールベアリング41に対してインナーシャフト44が回動することにより、ピストンピン23に対してばね部材45が回動する。これにより、ピストンピン23に対してばね部材45が回動する際に生じる摩擦を低減することができる。
(5)また、インナーシャフト44とピストンピン23との間に隙間44Aが形成されていることにより、上記(4)に記載した効果がより顕著なものとなる。
(6)ばね部材45がコンロッド20に対して回動不能に連結されていることで、コンロッド20に対してばね部材45が回動することがない。これにより、一連のピストン13の上下動動作において付勢部40に必要となる回動動作がピストンピン23に対するばね部材45の回動動作のみとなる。このように回動動作が必要とされる箇所が低減されることで回動動作に起因した機械的なトラブルが付勢部40に生じにくくなる。
また、ばね部材45がインナーシャフト44およびボールベアリング41を介してピストンピン23に回動可能に連結される構成では、ピストンピン23に対するばね部材45の回動がボールベアリング41において集中的に行われる。その結果、ピストンピン23に対するばね部材45の回動によって生じる摩擦を効果的に低減することができる。こうした効果は、インナーシャフト44に対してばね部材45が回動不能に連結されることで顕著なものとなる。
(7)ばね部材45とコンロッド20とが複数の締結部材46によって締結されている。このように締結部材46による締結によってばね部材45がコンロッド20に対して回動不能に連結されることにより、例えば溶接等の金属接合でこれらが連結される場合に比べて連結作業が容易になるとともに連結部分におけるコンロッド20およびばね部材45の機械的性質の変化を抑えることができる。また、締結部材46による締結位置が複数あることにより、コンロッド20に対するばね部材45の回動を防止しつつ、締結部材46の緩みを抑えることができる。また、締結部材46による締結位置がコンロッド20の延在方向に沿って並んでいることにより、コンロッド20の延在方向に沿った方向の荷重に対する締結部材46の耐久性を高めることができる。
(8)ピストンピン23は、軸孔25内にオイルを導入可能に構成されたオイル導入路38が形成されている。これにより、ボールベアリング41によるインナーシャフト44の支持部分やボールベアリング41の転動部分などにオイルを供給することができる。その結果、ピストンピン23に対するばね部材45の回動を円滑に行うことができるとともにボールベアリング41およびインナーシャフト44の冷却を行うことができる。
上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・ばね部材45とコンロッド20とは、1つの締結部材による締結によって連結されていてもよいし、たとえば溶接等の金属接合によって連結されていてもよい。
・ばね部材45は、インナーシャフト44およびボールベアリング41を介してピストンピン23に対して回動可能に連結されている。これに限らず、ばね部材45は、ピストンピン23に対して回動可能に連結されていればよく、たとえば、ボールベアリング41を割愛し、インナーシャフト44のみを介してばね部材45がピストンピン23に回動可能に連結される構成であってもよい。またたとえば、ボールベアリング41とインナーシャフト44とを割愛し、ピストンピン23の端部をピン連結部13Bから突出させ、その突出部分がばね部材45のシャフト挿通孔52に挿通させる構成であってもよい。
・付勢部40は、一対のばね部材45の一方のみを有する構成であってもよい。
・コンロッド20に対してばね部材45が回動可能に連結されてもよい。たとえば、ばね部材45とコンロッド20とは、コンロッド20に形成された断面円形の差し込み孔に対して、ばね部材45に形成された断面円形の差し込みピンが差し込まされることにより連結される構成であってもよい。
・ばね部材45は、たとえば、コンロッド20あるいはピストンピン23に対する連結部にリブを有する構成であってもよい。こうした構成によれば、連結部における機械的な強度を高めることができる。
・ばね部材45は、幅b、厚さhを有する板状の基材を加工することにより形成される構成に限られない。たとえば、ばね部材45は、第1連結部47および第2連結部48にて板状の形状を有し、オフセット部49にて線状の形状を有するものであってもよい。なお、こうした構成では、オフセット部49がクランク状の形状を有していてもよい。
・ピン挿通孔24の内周面とピストンピン23の外周面との摺動部にオイルを供給する方法は、コンロッド20に形成されたオイル通路35を用いる方法に限らず、たとえば、ピストン13の裏面13Cに向けてオイルを噴射するオイルジェットであってもよい。
11…シリンダーブロック、12…シリンダー、13…ピストン、13A…リングベルト部、13B…ピン連結部、13C…裏面、14…ピストンリング、15…段差部、17…ピン支持孔、20…コンロッド、21…小端部、23…ピストンピン、24…ピン挿通孔、25…軸孔、26…大径部、27…小径部、30…下側摺動部30…上側摺動部、35…オイル通路、36…オイル導出口、38…オイル導入路、40…付勢部、41…ボールベアリング、42…スナップリング、44…インナーシャフト、44A…隙間、45…ばね部材、46…締結部材、47…第1連結部、48…第2連結部、49…オフセット部、51…締結孔、52…シャフト挿通孔、55…スナップリング。

Claims (5)

  1. 互いに対向する一対のピン支持孔を有するピストンと、
    前記一対のピン支持孔の間に位置するピン挿通孔を有するコンロッドと、
    前記一対のピン支持孔および前記ピン挿通孔に挿通されて前記ピストンと前記コンロッドとを連結するとともに、前記ピン挿通孔の内周面との間の隙間にオイルが供給されるピストンピンと、
    前記コンロッドに対して前記ピストンピンを前記ピストンの上動方向へ付勢するばね部材を有する付勢部とを備え、
    前記ばね部材は、前記ピストンの外側に配設されており、前記コンロッドに対して連結されているとともに前記ピストンピンに対して回動可能に連結されている
    ピストンの支持構造。
  2. 前記付勢部は、前記ばね部材を一対有し、
    前記一対のばね部材は、前記ピストンピンの延在方向における前記コンロッドの両側に配設されている
    請求項1に記載のピストンの支持構造。
  3. 前記ピストンピンは、前記ピストンピンの軸方向に延びる軸孔が形成された円筒状の形状を有し、
    前記軸孔は、前記ピストンピンの両端部に位置する一対の大径部と前記一対の大径部を連通する小径部とを有し、
    前記付勢部は、前記軸孔に挿通されて前記ピストンピンの両端部から突出するインナーシャフトと、前記大径部の各々に配設されて前記ピストンピンに対して回動可能に前記インナーシャフトを支持するボールベアリングとを有し、
    前記ばね部材は、前記インナーシャフトのうちで前記ピストンピンから突出する部分に連結されることにより前記ピストンピンに対して回動可能に連結されている
    請求項2に記載のピストンの支持構造。
  4. 前記ばね部材が前記コンロッドに対して回動不能に連結されている
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のピストンピンの支持構造。
  5. 前記ばね部材と前記コンロッドとが複数の締結部材によって締結されている
    請求項4に記載のピストンの支持構造。
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