JP6918522B2 - リチウムイオン電池スクラップの処理方法 - Google Patents
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Description
かかる状況の下では、大量に廃棄されるリチウムイオン電池スクラップから、上記のニッケルおよびコバルト等の有価金属を、再利用するべく比較的低コストで容易に回収することが望まれる。
次いで、前工程により得られる粉末状の正極材を酸浸出し、そこに含まれ得るリチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウム等を溶液中に溶解させて、浸出後液を得る浸出工程を行う。
一方、有価金属をアルミニウム箔から剥がしやすくするには、燃焼温度が上昇し難いリチウムイオンポリマー電池を長時間にわたって加熱することが必要になり、処理時間及びコストが増大するという問題がある。
これに対し、上述したように、ポリマー非含有電解質電池を、ポリマー含有電解質電池とともに加熱することにより、ポリマー含有電解質電池の難燃性の電解質によってポリマー非含有電解質電池の燃焼温度の上昇が抑制される結果として、昇温速度および最高到達温度を適切な範囲に制御できて、両電池を有効に加熱処理することができると考えられる。
なお、前記リチウムイオン電池スクラップの加熱処理には、定置炉を用いることができる。
その結果として、ポリマー含有電解質電池を単独で加熱する場合に比して、有価金属の回収率を向上させつつ、処理時間の短縮化及びコストの低減を実現することができる。
この発明の一の実施形態に係るリチウムイオン電池スクラップの処理方法は、リチウムイオン電池スクラップを加熱して処理する方法であって、前記リチウムイオン電池スクラップが、ポリマーを含む電解質を有するポリマー含有電解質電池、及び、ポリマーを含まない電解質を有するポリマー非含有電解質電池を含み、前記ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池とを混合させて加熱する。
この発明で対象とするリチウムイオン電池スクラップは、携帯電話その他の種々の電子機器等で使用され得るリチウムイオン電池の廃棄物等である。より具体的には、電池製品の寿命や製造不良またはその他の理由によって廃棄されたものであり、このようなリチウムイオン電池スクラップを対象とすることにより、資源の有効活用を図ることができる。
この発明の実施形態では、リチウムイオン電池スクラップとして具体的に、ポリマーを含む電解質を有するポリマー含有電解質電池と、ポリマーを含まない電解質を有するポリマー非含有電解質電池とを用いる。これら以外の種類のリチウムイオン電池をさらに用いてもよい。
ポリマー非含有電解質電池の電解質は一般に、リチウム塩を有機溶媒に溶解させた溶液である。リチウム塩としては、たとえば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、Li[PF3(C2CF5)3]等を挙げることができ、また有機溶媒としては、たとえば、propylene carbonate(PC)、ethylene carbonate(EC)、diethyl carbonate(DEC)、dimethyl carbonate(DMC)、ethyl methyl carbonate(EMC)等を挙げることができる。
ポリマー非含有電解質電池の筐体としては、たとえば、アルミニウムのみからなるものや、アルミニウム及び鉄、アルミラミネート等を含むものがある。
なお、最近ではラミネート技術を利用したポリマー含有電解質電池も製造されるようになってきているため、ポリマー含有電解質電池もまた、ポリマー非含有電解質電池と同様に、周囲がアルミニウムを含む筐体で包み込まれたラミネート型のものであることが一般的であるが、これに限らず、缶型等のものであってもよい。
加熱工程では、先に述べたポリマー非含有電解質電池およびポリマー含有電解質電池を混合させて加熱する。
一方、ポリマー含有電解質電池だけを燃焼させると、その電解質が難燃性であることによって、燃焼温度が上昇し難く、燃焼が不十分となる。この場合、コバルト等の有価金属がアルミニウム箔から十分に剥がれず、後述の回収工程でのコバルト等の分配率が低下する。
一方、ポリマー非含有電解質電池の比率が多すぎると、燃焼温度が急上昇して、アルミニウムの脆化等による微細化に起因して、その後の有価金属の回収でアルミニウムの除去が問題となることが懸念される。それ故に、リチウムイオン電池スクラップ中のポリマー非含有電解質電池の比率ないし割合は、重量比で、70%以下とすることが好適である。
但し、このような焼却炉内で、上述したような筐体を有するポリマー非含有電解質電池およびポリマー含有電解質電池の筐体に火炎を直接的に当てて、ポリマー非含有電解質電池およびポリマー含有電解質電池を加熱すると、筺体およびアルミニウム箔、銅箔が酸化・脆化する。この場合、加熱工程後にポリマー非含有電解質電池およびポリマー含有電解質電池を破砕する際に、脆化した筺体、箔もまた細かく粉砕されやすくなるので、篩下に回収される粉末状の正極材に、筺体等に含まれるアルミニウムが多く混入する。それにより、後にアルミニウムを回収する作業及びコストが増大する。
それにより、加熱用容器により、その内部に配置されたポリマー非含有電解質電池およびポリマー含有電解質電池の筺体に、火炎が当たることを防ぐことができるので、ポリマー非含有電解質電池およびポリマー含有電解質電池の筺体、箔の酸化が防止されて、ポリマー非含有電解質電池およびポリマー含有電解質電池を有効に焙焼することができる。その結果として、加熱工程の終了まで、筐体でポリマー非含有電解質電池およびポリマー含有電解質電池のそれぞれの周囲が包み込まれた状態が維持されることから、破砕・篩別時に筐体、箔の細粒化を防止して、篩上にこれらを取り除くことを容易かつ確実に行うことができる。
加熱に伴ってポリマー非含有電解質電池等からは、液体状の電解質の気化に起因するガスが発生するところ、このガスが加熱用容器から外部に排出されることができなければ、ガスによる爆発のおそれがある。それ故に、加熱用容器は密閉しないことが望ましい。加熱用容器に、ガス抜きのための隙間を設けることもできる。
一方、昇温速度が遅すぎると、加熱処理時間が長くなり、実際処理時のボトルネックとなり得る。したがって、上記の温度範囲は、たとえば200℃以上、好ましくは250℃以上とすることができる。
なおここで、「急上昇」とは、50℃/sec以上の温度上昇速度とすることができる。
上記の加熱工程の後、所要に応じて破砕及び篩別することにより、アルミニウムが十分に除去された粒状ないし粉状等の正極材を含む篩別物を得ることができる。
その後、この粒状ないし粉状の正極材を含む篩別物を、硫酸等の酸性溶液に添加して浸出させて得た浸出後液から、浸出後液中に溶解しているニッケル、コバルト、マンガン等を回収する。具体的には、たとえば、溶媒抽出又は中和により、はじめにマンガンを分離させて回収し、次いでコバルトを、その後にニッケルを順次に分離させて回収し、最後に水相にリチウムを残す。
また、上述した加熱工程ならびに破砕及び篩別により、アルミニウム箔からコバルト等が十分に剥離されるので、回収工程でのコバルト等の分配率を大きく高めることができる。
下記の実施例1〜3および比較例1のように、ポリマー非含有電解質電池とポリマー含有電解質電池との混合比率を変化させた試料を準備し、これらを加熱して破砕した後に篩別する試験を行い、篩下におけるアルミニウム品位、アルミニウムに対するリチウムの比および、コバルト分配率をそれぞれ求めた。
試料として、ポリマー含有電解質電池を101.5g、ポリマー非含有電解質電池を128.4g準備した。ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池との混合比率は、44:56である。これらを混合させて焼却炉内で加熱した。その際の試料温度及び炉内温度を図1に示す。その後、篩別を行って篩下を確認したところ、ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池のそれぞれの篩下の各金属の品位は、篩別サイズに応じて、表1、2のそれぞれに示すとおりであった。
ポリマー含有電解質電池(ポリマー)とポリマー非含有電解質電池(ラミネート)のそれぞれの、篩下におけるアルミニウム品位、アルミニウムに対するリチウムの比および、コバルト分配率を、図2に示す。
試料として、ポリマー含有電解質電池を126.4g、ポリマー非含有電解質電池を85.6準備した。ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池との混合比率は、60:40である。これらを混合させて焼却炉内で加熱した。その際の試料温度及び炉内温度を図3に示す。その後、篩別を行って篩下を確認したところ、ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池のそれぞれの篩下の各金属の品位は、篩別サイズに応じて、表3、4のそれぞれに示すとおりであった。
ポリマー含有電解質電池(ポリマー)とポリマー非含有電解質電池(ラミネート)のそれぞれの、篩下におけるアルミニウム品位、アルミニウムに対するリチウムの比および、コバルト分配率を、図4に示す。
試料として、ポリマー含有電解質電池を150.0g、ポリマー非含有電解質電池を42.5g準備した。ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池との混合比率は、78:22である。これらを混合させて焼却炉内で加熱した。その際の試料温度及び炉内温度を図5に示す。その後、篩別を行って篩下を確認したところ、ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池のそれぞれの篩下の各金属の品位は、篩別サイズに応じて、表5、6のそれぞれに示すとおりであった。
ポリマー含有電解質電池(ポリマー)とポリマー非含有電解質電池(ラミネート)のそれぞれの、篩下におけるアルミニウム品位、アルミニウムに対するリチウムの比および、コバルト分配率を、図6に示す。
試料として、ポリマー含有電解質電池のみを準備した。ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池との混合比率は、100:0である。これを焼却炉内で加熱した。その際の試料温度及び炉内温度を図7に示す。その後、篩別を行って篩下を確認したところ、篩下の各金属の品位は、篩別サイズに応じて、表7に示すとおりであった。
篩下におけるアルミニウム品位、アルミニウムに対するリチウムの比および、コバルト分配率を、図8に示す。
よって、この発明によれば、処理時間及びコストの増大を有効に抑制できることが解かった。
Claims (6)
- リチウムイオン電池スクラップを加熱して処理する方法であって、
前記リチウムイオン電池スクラップが、ポリマーを含む電解質を有するポリマー含有電解質電池、及び、ポリマーを含まない電解質を有するポリマー非含有電解質電池を含み、
前記リチウムイオン電池スクラップ中の前記ポリマー非含有電解質電池の比率を、重量比で、20%以上70%以下として、前記ポリマー含有電解質電池をポリマー非含有電解質電池とともに加熱し、
加熱時に、前記ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池とを交互に重ねて、互いに接触した状態で配置する、リチウムイオン電池スクラップの処理方法。 - 前記リチウムイオン電池スクラップ中のポリマー非含有電解質電池の比率を、重量比で、30%以上とする、請求項1に記載のリチウムイオン電池スクラップの処理方法。
- 加熱時に、前記ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池を加熱用容器内に配置することにより、ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池の筐体に火炎が直接的に当たることを防ぎながら、ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池を加熱する、請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池スクラップの処理方法。
- 50℃/sec以上の昇温速度での前記ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池の温度の上昇範囲が300℃以下となるように、ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池を加熱する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池スクラップの処理方法。
- 50℃/sec以上の昇温速度での前記ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池の温度の上昇範囲が200℃以下となるように、ポリマー含有電解質電池とポリマー非含有電解質電池を加熱する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池スクラップの処理方法。
- 前記リチウムイオン電池スクラップの加熱処理に定置炉を用いる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池スクラップの処理方法。
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