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JP6920161B2 - 弾性波デバイスおよび複合基板 - Google Patents
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JP6920161B2 - 弾性波デバイスおよび複合基板 - Google Patents

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Description

本発明は、弾性波デバイスおよび複合基板に関する。
タンタル酸リチウム等の圧電基板を用いた弾性波デバイスが知られている。しかしながら、このタンタル酸リチウム基板は、周波数温度特性が―36ppm/℃であり、例えば2GHz帯のデバイスであれば―30〜+85℃の温度範囲で±4.3MHzも変動してしまい、近年の厳しい仕様を満たすことが困難な場合がある。そして、弾性波デバイスの温度変動は、これを使用する機器に影響を与えるため、温度に対する周波数変動が少ない、つまり温度特性が良好な弾性波デバイスが望まれていた。
そこで、圧電基板に熱膨張係数が異なる支持基板(Si基板等)を接着剤等で接合することで、圧電基板の熱膨張・熱収縮を抑制し、圧電基板の温度に対する周波数特性を安定化させた技術が知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
特開2005−347295号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、貼り合せた基板に反りが発生する虞があった。一般に弾性波デバイスを作製するための製造工程および実装工程には300℃近くまで昇温される熱履歴を伴う。この熱履歴により、貼り合せ基板の反りはさらに大きくなり、この反りにより割れやクラックが発生し、その結果、生産性が低下するという課題があった。
本願はかかる事情のもと勘案されたものであり、その目的は、温度特性が良好であり、かつ生産性の高い弾性波デバイスを提供することにある。
本開示の一態様としての弾性波デバイスは、厚み方向で対向する第1面と第2面とを備える第1支持体と、前記第1面に接合された、前記第1支持体よりも線膨張係数の大きい圧電基板と、前記第2面に接合された、前記第1支持体よりも線膨張係数の大きい第2支持体と、を備える。前記圧電基板の弾性率をE1、厚みをT1とし、前記第1支持体の弾性率をE2、厚みをT2とすると、1≦(E2×T2)/(E1×T1)≦9の関係を満たしている。
本開示の一態様としての複合基板は、厚み方向で対向する第1面と第2面とを備える第1支持体と、前記第1面に接合された、前記第1支持体よりも線膨張係数の大きい圧電基板と、前記第2面に接合された、前記第1支持体よりも線膨張係数の大きい第2支持体と、を備える。前記圧電基板の弾性率をE1、厚みをT1とし、前記第1支持体の弾性率をE2、厚みをT2とすると、1≦(E2×T2)/(E1×T1)≦9の関係を満たしている。そして、前記第1支持体は、樹脂材料中に前記第1支持体の面方向に延びる繊維を含み、面方向において、中央より外周側で前記繊維の単位体積あたりの割合が多くなっている。
本開示によれば、温度特性が良好であり、かつ生産性の高い弾性波デバイスを提供することができる。また、温度特性が良好であり、かつ生産性の高い弾性波デバイスを提供できる複合基板を提供することができる。
本開示の実施形態に係る弾性波デバイスの断面図である。 温度補償応力と圧電基板および第1支持体の弾性率および厚みとの相関を示す線図である。 抗折強度と破壊確率との相関を示す線図である。 (a),(b)はそれぞれ、圧電基板の残留応力と圧電基板および第1支持体の弾性率および厚みとの相関を示す線図である。 図1に示す弾性波デバイスの変形例を示す断面図である。 (a)は本開示の複合基板の上面図であり、(b)は、(a)のVI−VI線断面図である。 図5に示す弾性波デバイスにおいて第1支持体の外周領域における組成と複合基板の撓み量との関係を示す線図である。 (a),(b)はそれぞれ、温度補償応力と圧電基板、第1支持体および第2支持体の厚みとの相関を示す線図である。
<弾性波デバイスの構造>
図1は、本発明の実施形態に係る弾性波デバイス1の断面図である。弾性波デバイス1は、圧電基板10と第1支持体20と第2支持体30とを備える。ここで、便宜的にD1方向、D2方向、D3方向を定義し、D3方向を厚み方向とする。圧電基板の10の厚みをT1、線膨張係数をα1、弾性率(ヤング率)をE1とする。同様に、第1支持体20の厚みをT2、線膨張係数をα2、弾性率をE2とし、第2支持体30の厚みをT3、線膨張係数をα3、弾性率をE3とする。なお、以下、特に断りのない場合には線膨張係数の単位はppm/℃とし、弾性率の単位はGPaとする。
圧電基板10は、圧電性を有する基板である。例えば、圧電基板10は、タンタル酸リチウム単結晶(LiTaO:以下LTとする),ニオブ酸リチウム単結晶(LiNbO),水晶などの圧電性を有する直方体状の単結晶基板である。具体的には、例えば、圧電基板10は、36°〜48°Y−XカットのLT基板によって構成されている。このような圧電基板10のα1は16.1であり、E1は213である。
圧電基板10の平面形状は適宜に設定されてよいが、例えば、所定方向(D2方向)を長手方向とする矩形である。圧電基板10の大きさは適宜に設定されてよいが、例えば、厚さT1は0.3μm〜100μm、1辺の長さは0.5mm〜2mmである。
圧電基板10の主面10aには、図示しない励振電極、接続配線、パッド電極といった各種電極および配線が設けられている。励振電極はSAWを発生させるためのものである。励振電極は、複数の電極指を有する櫛歯状の複数のIDT電極と複数のIDT電極の両端に配置された反射器電極とを含んでもよい。このような励振電極により、例えば、ラダー型フィルタや2重モードSAW共振器フィルタなどが構成されている。なお、励振電極、接続線、パッド電極等は、例えばAl−Cu合金などのAl合金によって形成されている。
そして、これらの端子として機能するパッド電極のいずれかを介して信号の入力がなされる。入力された信号は、励振電極等によりフィルタリングされる。そして、フィルタリ
ングした信号を端子として機能するパッド電極のいずれかを介して出力する。
第1支持体20は、一様な厚みT2を有し、第1面20aを圧電基板10に、第2面20bを後述の第2支持体30にそれぞれ接合させる。厚みT2は、圧電基板10を支持するために、厚みT1よりも厚くなっている。
このような第1支持体20は、線膨張係数α2が圧電結晶10のα1よりも小さく、弾性率E2の材料からなる。そして、(E2×T2)/(E1×T1)が1以上9以下の関係を満たしている。具体的には、E2は10GPa以上、40Gpa以下とすればよい。弾性率E2をこの範囲とすることで、E1に比べ小さくすることができ、その結果、(E2×T2)/(E1×T1)を小さくすることができる。また、α2は2以上4以下としてもよい。この場合には、(E2×T2)/(E1×T1)を小さくすることができる。また、α2が2よりも小さくなると、熱履歴に伴う残留応力が増大し、割れや剥離を発生させる可能性がある。α2が4よりも大きくなると、効率よく温度補償を行なうことができない虞がある。
本開示では、このような関係を満たす材料として、第1支持体20は、樹脂材料21と繊維22とを備える構成の例を示す。樹脂材料21は、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等種々の材料を用いることができる。樹脂材料21は、圧電基板10や第2支持体30との接合を実現する接合材料としても機能する。また、樹脂材料21自体の線膨張係数は圧電基板10の線膨張係数よりも大きい。
そして繊維22は、第1支持体20の面方向に伸びる多数の細長い線状体で構成される。繊維22の線膨張係数αは樹脂材料21よりも小さく、弾性率Eは樹脂材料21よりも大きい。例えば繊維22はガラス繊維を用いればよい。
このような構成とすることにより、圧電基板10と第1支持体20の材料が異なることに起因する変形を抑制しつつ、割れの発生も抑制することができる。図2に、(E2×T2)/(E1×T1)の大きさと、温度が125℃変化したときの温度補償応力(単位:MPa)との相関を示す。ここで、α1は16.1で一定とし、α2は2,3,4としたときの線図を示している。
この図からも明らかなように、(E2×T2)/(E1×T1)が1.0を下回ると温度補償応力が急激に悪化する。
このことから、温度変化による周波数特性変化を抑制するためには、(E2×T2)/(E1×T1)を1以上とすればよい。
一方で、(E2×T2)/(E1×T1)が大きすぎると、圧電基板10に応力がかかりすぎてクラックが発生する。図3に、LT基板の抗折強度(単位:MPa)に対する圧電基板10の割れの発生率を示す。一般的に割れの発生率が5%を未満にすることで信頼性を確保することができる。この図からも明らかなように、5%に相当する抗折強度は270GPaである。ここで、図4(a)に125℃に昇温後冷却した際の圧電基板10の残留応力と(E2×T2)/(E1×T1)との関係を示す線図を示す。この線図はα2=4の場合を示している。この図からも明らかなように、応力を270GPaとするための(E2×T2)/(E1×T1)は9である。すなわち、圧電基板10の割れを防ぐためには、(E2×T2)/(E1×T1)を9以下とすればよい。
すなわち、第1支持体20は、熱履歴による応力がかかったときに圧電基板10に割れが発生しないような柔らかさと、圧電基板10が変形しないように拘束可能な堅さとを併
せ持つ必要がある。第1支持体20は、このような相反する特性を、樹脂材料21と繊維22とで実現している。具体的には、樹脂材料21により弾性率Eを低くして圧電基板10の割れを抑制し、繊維22により線膨張係数αを小さくして樹脂材料21の変形を抑制し圧電基板10を拘束することで温度補償効果を奏する。
なお、α2を変化させると、図4(a)の線図の傾き等が変化する。α2を小さくして、さらに温度補償能力を高める場合には(E2×T2)/(E1×T1)の上限値を低くしてもよい。具体的には、α2の下限値である2とする場合には、図4(b)に示すように、(E2×T2)/(E1×T1)を6以下、より好ましくは、3.5以下とすればよい。
また、図2から(E2×T2)/(E1×T1)を5以下としても温度補償応力に大きな改善は認められないことが分かる。温度補償応力と信頼性の確保との両面から考えると、(E2×T2)/(E1×T1)は5以下としてもよい。
以上より、(E2×T2)/(E1×T1)は1以上9以下とすればよいが、より好ましくは1以上3.5以下とすればよい。
そして、第1支持体20の第2面20bには、第2支持体30が接合されている。第2支持体30は、第1支持体20よりも線膨張係数が大きい材料からなる。具体的には、セラミック基板、有機基板、Si等の半導体基板、サファイア、タンタル酸リチウム,ニオブ酸リチウム,水晶等の単結晶基板等種々の材料を用いることができる。
そして、第2支持体30の厚みは、圧電基板10,第1支持体20に応じて適宜設定することができる。すなわち、第2支持体30は、圧電基板1および第2支持体30により生じる第1支持体20の第1面20a側と第2面20b側との応力モーメントの差を減少させるように、適宜その厚みT3と線膨張係数α3と弾性率E3とを設定すればよい。例えば、第1支持体20の第1面20a側と第2面20b側との応力モーメントが釣り合うように設定すればよい。この例では、圧電基板10と同じ材料、同じ厚みを有するLT基板とした。この場合には、温度変化が生じたときの弾性波デバイス1全体の反りを抑制することができる。
弾性波デバイス1は、上述のように、第1支持体20および第2支持体30により、反りや割れの発生を抑制しつつ温度補償効果も奏するものとすることができる。
なお、圧電基板10,第1支持体20の線膨張係数α1,α2が変化すると、図2,図3、図4に示す線図においてその特性プロットの絶対値は変化するが傾向は変化しない。このため、線膨張係数α1,α2が変化しても、上述の構成とすることで、反りや割れの発生を抑制しつつ温度補償効果も奏する弾性波デバイス1を提供することができる。
また、図2,図3、図4において、第2支持体30の線膨張係数α3、厚みT3、ヤング率E3は圧電基板10と同等とした場合について示している。これに対し、第2支持体30の線膨張係数α3、厚みT3、ヤング率E3を変化させた場合には、図2,図3、図4に示す線図においてその特性プロットの絶対値は変化するが傾向は変化しない。このため、第2支持体30を適宜変更した場合であっても、上述の構成とすることで、反りや割れの発生を抑制しつつ温度補償効果も奏する弾性波デバイス1を提供することができる。
<弾性波デバイス1の他の構造:第1支持体10>
上述の例では、第1支持体20中の繊維22の分布状態については言及していなかったが、図5に示す弾性波デバイス1Aのように厚み方向に分布の差を持たせてもよい。
図5に示すように、弾性波デバイス1Aの第1支持体20は、厚みの中央付近は第1面20a近傍および第2面20b近傍よりも単位体積あたりの繊維22の割合が多くなっている。このような構成とすることで、第1面20a近傍および第2面20b近傍が応力緩和領域として機能し、圧電基板10や第2支持体30の割れを抑制することができる。また、温度履歴による応力が加わる前の圧電基板10や第2支持体30の反り等を吸収することができる。さらに、樹脂材料21の割合が多くなることで、圧電基板10や第2支持体30との接着強度を高めることができる。
上述の第1面20a近傍の領域とは、第1面20aから厚み方向に1μm〜10μm程度の領域をさすものとする。この領域は繊維22が存在せずに樹脂材料21のみで構成されていてもよい。また、この領域の繊維22の太さを厚みの中央付近における繊維22の太さに比べて細くすることで、単位体積あたりの繊維22の割合を変えてもよい。第2面20b近傍の領域も同様である。
上述の第1面20a近傍の領域および第2面20b近傍の領域の厚みは圧電基板10よりも厚くてもよい。
<弾性波デバイス1の他の構造:第1支持体20>
上述の例では、第1支持体20中の繊維22の面方向の分布状態については言及していなかったが、面方向の互いに交差する第1方向と第2方向とを定義すると、この繊維22は、第1方向に伸びるものと第2方向に伸びるものとが互いに交差しメッシュ状としてもよい。このような構成とすることで、面内における応力分布の発生を抑制することができ、弾性波デバイス1の特性を安定化することができる。
なお、メッシュの格子間隔を500μm以下とすることで、面内における応力分布を弾性波デバイス1の特性に影響のないレベルに抑制できることを確認している。
また、圧電基板10の線膨張係数は面方向において異方性を有している場合には、繊維22のメッシュ形状(第1方向と第2方向とでなす角度)や、第1方向に伸びる繊維22の本数と第2方向に伸びる繊維22の本数とに差を設けることで、圧電基板10の線膨張係数の異方性と同様の異方性を備える第1支持体20を実現することができる。
<弾性波デバイス1の他の構造:第1支持体20>
上述の例では、第1支持体20は樹脂材料21中に繊維22が介在している例を説明したが、繊維22に代えて無機フィラー23を樹脂材料21中に分散保持させてもよい。無機フィラー23は、樹脂材料21、圧電基板10よりも線膨張係数の小さい材料からなるものであり、例えば石英フィラーを用いることができる。このような無機フィラー23の粒径は1〜10μm程度とすればよい。
このような構成により、第1支持体20の弾性率E2を低く、線膨張係数を小さくすることができるので、圧電基板10の反りや割れの発生を抑制しつつ温度補償効果も奏するものとすることができる弾性波デバイス1を提供することができる。
<弾性波デバイス1の他の構造:第2支持体30>
上述の例では、第2支持体30として、材料・厚み共に適宜選択できるものとし、一例として圧電基板10と同じ材料を用い、かつ、同じ厚み備える構成を例に説明したが、この構成に限定されない。
例えば、第2支持体30を圧電基板10と同じ材料で構成した上で、厚みT3をT1よ
りも大きく、T2よりも小さくしてもよい。すなわち、T1<T3<T2を満たしていてもよい。
図8(a)にT1に対するT3の大きさと弾性波デバイスの温度補償応力との関係を、図8(b)にT2に対するT3の大きさと弾性波デバイスの温度補償応力との関係をそれぞれ示す。図8において、シミュレーションの基本モデルは以下の通りとした。
圧電基板10:α1…16.1ppm/℃、E1…213GPa
第1支持体20:α2…2.8ppm/℃、E2…24GPa
第2支持体30:α3…16.1ppm/℃、E3…213GPa
図8からも明らかなように、T3/T1を1よりも大きくするにつれて温度補償応力は大きくなり、T3/T2が1より大きくなると、温度補償応力がT1=T3の場合よりも小さくなる。すなわち、T3を厚くする効果が小さくなる。このことから、T3/T1>1かつT3/T2<1とすることで温度補償応力を高めることができる。
また、T2/T1の大きさを大きくすることで温度補償応力を高めることができる。温度変化による周波数変動を抑制するためには、目安として300MPaを超える圧縮応力を圧電基板10に下面に加えることが望まれる。このことから、T2/T1≧25とすることで目安となる応力を実現することができる。さらに、T2/T1≧37とする場合にはどのようなT3の値をとった場合であっても目安となる応力を実現することができる。
また、0.2<T3/T2<0.75とする場合には、さらに温度補償応力を高めることができる。ただし、比較的厚みの厚い第1および第2支持体20、30の総厚みを薄くするためには、T3/T2<0.5としてもよい。さらに、仮にT2/T1≧25を満たす場合には、圧縮応力が特に大きくなる0.3<T3/T2<0.4の関係を満たすようにしてもよい。
なお、上述の関係は、E1=E3>E2、α1=α3>α2を満たす場合には同様の傾向を示すことを確認している。
<弾性波デバイス1の他の構造:第2支持体30>
上述の例では、第2支持体30として、圧電基板10と同じ材料を用いる例について説明したが、第2支持体30として水晶を用いてもよい。
第2支持体30として水晶を用いた場合には、平面方向の線膨張係数を調整可能であるため、圧電基板10の線膨張係数の平面方向における異方性と合わせることができ、弾性波デバイス1の反りを抑制することができる。さらに、圧電基板10をLiTaO基板とする場合には、第2支持体30は線膨張係数、弾性率が圧電基板10と第1支持体20との間の特性を備えるものとなり、弾性波を伝搬させる圧電基板10の機能および熱履歴により生じる応力の緩和および圧電基板10の拘束という第1支持体20の機能の双方に悪影響を及ぼすことがないため、電気特性にすぐれ、かつ信頼性の高い弾性波デバイス1を提供することができる。
<複合基板>
次に、上述の弾性波デバイス1を提供するための複合基板100について説明する。図6(a)は複合基板100の上面図である。複合基板100は、ウエハ状の圧電基板11、第1支持体120、第2支持体130がこの順に積層されている。なお、圧電基板110,第1支持体120、第2支持体130はそれぞれ、圧電基板10,第1支持体20、第2支持体30と同様の構成を備えている。以下、異なる点のみを説明し、重複する説明を割愛する。
弾性波デバイス1の複合基板100は、図6(a)に破線で示すように複数の区画に区分され、その一区分それぞれが弾性波デバイス1となる。具体的には、複合基板100を各区画ごとに、圧電基板110の上面に弾性波を励振するための電極が形成されており、その一区分を切り出し個片化して弾性波デバイス1とする。
図6(b)は、図6(a)のVI−VI線における断面図である。図6(b)に示すように、第1支持体120は、樹脂材料121をそなえており、樹脂材料121中に繊維122を備えている。そして、面方向における中央領域125(面中央領域ともいう)に比べ外周領域126は、単位体積当たりの繊維122の割合が多くなっている。複合基板100に熱応力等が加わったときに、外周領域126における応力は面中央領域125に比べて大きくなるが、このような構成とすることで、外周領域126の強度を高めているため複合基板100の反りを抑制することができる。
なお、このような外周領域126は、全体の長さの1/3未満とすることが望ましい。例えば、6インチウェハを用いる場合には、外周に幅20mm未満のリング状の外周領域126を備えればよい。
なお、圧電基板11、第1支持体120、第2支持体130がこの順に重ねて押圧の上接合して複合基板100を得る場合には、面中央領域125に比べて外周領域126に大きな力が加わり、その結果、複合基板100が、外周の厚みが中央に比べ薄い樽状の形状となる虞があった。これに対して、本開示では、外周領域126での強度を確保することで複合基板100の厚みを面内で一定にすることができる。
なお、上述の例では繊維122の分布を面内で異ならせた例を用いて説明したが、繊維122に代えて無機フィラーを樹脂材料121に分散させ、無機フィラーの分布を外周領域126で密にしてもよい。
また、樹脂材料121中に繊維122と無機フィラーとを両方分散させてもよい。外周領域126における強度を面中央領域125に比べて大きくできれば、特にその方法は限定されない。
さらに、上述の複合基板100では、面方向における繊維22の分布状態について説明したが、この構成に加え、図5に示すように、厚み方向における分布を備えてもよい。すなわち、厚み方向の中央付近において上述の面方向の分布を持たせてもよい。
<弾性波デバイス>
次に、本開示の構成による効果を検証するために、図1に示す構成の弾性波デバイス1を製造した。基本構成は下記の通りである。
[基本構成]
[圧電基板10]
材料 :42°YカットX伝搬LiTaO基板
厚みT1 :10μm
弾性率E1:213GPa
[励振電極]
材料:Al−Cu合金
厚さ(Al−Cu合金層):131.5nm
IDT電極の電極指32:
(本数)200本
(ピッチ)0.791μm
(デューティー)0.65
(交差幅)20λ (λ=2×ピッチ)
[第1支持体20]
樹脂材料21:エポキシ系樹脂
繊維22 :ガラスクロス
[第2支持体30]
材料 :42°YカットX伝搬LiTaO基板
厚みT3 :10μm
弾性率E3:213GPa
このような基本構成に対して、第1支持体10の弾性率E2を35GPa、厚みT2を100μm、線膨張係数α2を2.1ppm/℃とした実施例1を製造した。実施例1にかかる(E2×T2)/(E1×T1)は1.60だった。
また比較例1として、第1支持体の構成を変えて、(E2×T2)/(E1×T1)を26.5とした。具体的には、サファイア基板からなり、その弾性率は、470GPa、厚みは、300μm、線膨張係数を7ppm/℃とした。その他の構成(圧電基板および第2支持体)は実施例と同様とした。
実施例1、比較例1の温度補償応力を確認したところどちらも210GPa程度であったが、実施例1は圧電基板10の剥離、クラック、割れ等は発生しなかったのに対して、比較例1はクラックが発生した。以上より、同等の温度補償応力を発現しても、(E2×T2)/(E1×T1)を満たすことにより初めてクラック等の発生を抑制し、信頼性の高い弾性波デバイスを提供できることが分かった。
なお、比較例2として、第1支持体に代えて、サファイア基板(弾性率470GP、厚み300μm、線膨張係数7ppm/℃)とした構成を製造した。比較例1は、第2支持体は備えていない。
比較例2は熱履歴により、実施例1に比べ大きい反りが発生した。
以上より、実施例1に係る弾性波デバイスによれば、反りを抑制し、圧電基板10の剥離、クラック、割れ等の発生を抑制するとともに、十分な温度補償応力を備えることが確認された。
以上より、本開示の構成とすることで、温度補償能力にも優れ、かつ、割れの発生しない信頼性の高い弾性波デバイスを提供できることを確認した。
<複合基板100>
次に、図6に示す構成の複合基板100を作製した。複合基板のサイズは3インチとした。また、圧電基板110、第1支持体120、第2支持体130の基本構成は以下の通りである。
圧電基板110:
材料 :42°YカットX伝搬LiTaO3基板
厚みT1 :10μm
弾性率E1:213GPa
熱膨張係数α1:16.1ppm/K
ポアソン比:0.3
第1支持体120
樹脂材料121:弾性率9GPa,線膨張係数17.5ppm/K,ポアソン比0.

繊維122 :弾性率23GPa,線膨張係数2ppm/K,ポアソン比0.3
第2支持体130
材料 :42°YカットX伝搬LiTaO3基板
厚みT3 :20μm
弾性率E3:213GPa
熱膨張係数α3:16.1ppm/K
ポアソン比:0.3
ここで、中央領域125は、複合基板100の中心から半径63μmの領域であり、外周領域126は、中央領域125の外周に位置し14.2μmの幅のリング状の形状とした。さらに第1支持体120の中央領域125では、樹脂材料121の割合を80%、繊維122の割合を20%としており、中央領域125のヤング率(弾性率)はその合成値である13とした。そして、外周領域126における樹脂材料121と繊維122との比率を異ならせモデルを作製した。具体的には、繊維122の割合を20%〜80%まで変えたモデルを作製した。
このようなモデルに対して、100℃昇温したのちに降温させたときの複合基板100の撓みの大きさをシミュレーションした。その結果、図7に示すように、繊維122の割合を増やしていくに従い撓み量が小さくなっていく様子を確認した。
<弾性波デバイス1Aから抽出される他の実施形態>
弾性波デバイス1Aにおいては、1≦(E2×T2)/(E1×T1)≦9を満たす第1支持体20において、第1面20a近傍の領域、第2面20b近傍の領域を設ける構成について説明したが、1≦(E2×T2)/(E1×T1)≦9を満たさない第1支持体において第1面20a近傍の領域、第2面20b近傍の領域を設ける構成としてもよい。
この場合には、第1面20a近傍の領域、第2面20b近傍の領域の樹脂材料が応力調整層として機能するので、接合界面における剥離を抑制することができる。
具体的には、第1支持体20は、Siやサファイア基板等の圧電基板10より線膨張係数の小さい材料が厚みの中央に配置し、その上下面を、第1面20a近傍の領域、第2面20b近傍の領域として別体の樹脂層で挟む構成であってもよい。すなわち、第1支持体20を、Siやサファイア等の中央部とその上下に位置する樹脂部との積層構造としてもよい。そして、各樹脂部の厚みは、圧電基板10の厚みよりも厚い。より好ましくは、圧電基板10の厚みの3〜4倍としてもよい。
第1支持体20を上述の構成とし、樹脂部の線膨張係数を中央部の材料および圧電基板10の線膨張係数の間の値をとることで、圧電基板10に応力を調整しつつ加えることが可能となる。これにより、圧電基板10に圧縮応力を加えて音速を調整することができ、結果として温度補償することができる。さらに、弾性率を中央部および圧電基板10よりも小さくすることで、各構成要素の割れ、剥離等を抑制することができる。
上述の第1支持基板20を備える弾性波デバイスの一構成として、例えば、圧電基板10と第2支持体30とをLT基板で構成し、第1支持体20として、Siからなる中央部とその厚み方向の上下に位置する樹脂部との積層構造で構成するものがある。この場合には、第2支持体30により、圧電基板10と第1支持体20と第2支持体30の積層構造の反りを抑制することができる。
1・・・弾性波デバイス
10,110・・・圧電基板
20,120・・・第1支持体
21・・・樹脂材料
22・・・繊維
30,130・・・第2支持体
100・・複合基板

Claims (8)

  1. 厚み方向で対向する第1面と第2面とを備える第1支持体と、
    前記第1面に接合された、前記第1支持体よりも線膨張係数の大きい圧電基板と、
    前記第2面に接合された、前記第1支持体よりも線膨張係数の大きい第2支持体と、を備え、
    前記圧電基板の弾性率をE1、厚みをT1とし、前記第1支持体の弾性率をE2、厚みをT2とすると、1≦(E2×T2)/(E1×T1)≦9の関係を満たし
    前記第1支持体は樹脂材料を含み、
    前記第1支持体は、前記樹脂材料中に前記第1支持体の面方向に延びる繊維を備え、
    前記樹脂材料は、前記圧電基板に比べ線膨張係数が大きく、
    前記繊維は、前記樹脂材料に比べ線膨張係数が小さく、弾性率は大きい、
    弾性波デバイス。
  2. 厚み方向で対向する第1面と第2面とを備える第1支持体と、
    前記第1面に接合された、前記第1支持体よりも線膨張係数の大きい圧電基板と、
    前記第2面に接合された、前記第1支持体よりも線膨張係数の大きい第2支持体と、を備え、
    前記圧電基板の弾性率をE1、厚みをT1とし、前記第1支持体の弾性率をE2、厚みをT2とすると、1≦(E2×T2)/(E1×T1)≦9の関係を満たし
    前記第1支持体は樹脂材料を含み、
    前記第1支持体は、前記樹脂材料中に前記第1支持体の面方向に延びる繊維を備え、
    前記第1支持体は、
    厚み方向において、前記第1面の側と前記第2面の側との領域は厚み中央領域に比べて前記繊維の単位体積あたりの割合が少ない、
    弾性波デバイス。
  3. 前記第1支持体の弾性率E2は、10GPa以上40GPa以下である、請求項1又は2に記載の弾性波デバイス。
  4. 前記第1支持体は、前記樹脂材料中に無機フィラーを備える、請求項1又は2に記載の弾性波デバイス。
  5. 前記第2支持体が、前記圧電基板と同一材料からなる、請求項1乃至のいずれかに記載
    の弾性波デバイス。
  6. 前記圧電基板がタンタル酸リチウム基板からなり、前記第2支持体が、水晶からなる、請求項1乃至のいずれかに記載の弾性波デバイス。
  7. 前記第2支持体の厚みをT3としたときに、前記圧電基板と前記第1支持体と前記第2支持体との厚みは、T1<T3<T2の関係を満たす、請求項5又は6に記載の弾性波デバイス。
  8. 厚み方向で対向する第1面と第2面とを備える第1支持体と、
    前記第1面に接合された、前記第1支持体よりも線膨張係数の大きい圧電基板と、
    前記第2面に接合された、前記第1支持体よりも線膨張係数の大きい第2支持体と、を備え、
    前記圧電基板の弾性率をE1、厚みをT1とし、前記第1支持体の弾性率をE2、厚みをT2とすると、1≦(E2×T2)/(E1×T1)≦9の関係を満たし、
    前記第1支持体は、樹脂材料中に前記第1支持体の面方向に延びる繊維を含み、面方向において、中央より外周側で前記繊維の単位体積あたりの割合が多い、複合基板。
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