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JP6922603B2 - 信号処理装置、信号処理方法、及びプログラム - Google Patents
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JP6922603B2 - 信号処理装置、信号処理方法、及びプログラム - Google Patents

信号処理装置、信号処理方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、信号処理装置、信号処理方法、及びプログラムに関する。
特許文献1には、外耳道モデルの逆フィルタを作成する逆フィルタ生成手段を有する外耳道共鳴補正装置が開示されている。特許文献1に開示された装置では、イヤホン又はヘッドホンが音源信号を出力し、外耳道内に配置されたマイクが音声信号を収音している。そして、音声信号の周波数特性から得られた共鳴周波数に応じて、遅延器の遅延時間が求められている。遅延器の遅延時間に基づいて、外耳道モデルが作成されている。
特開2009−194769号公報
特許文献1のように、ユーザがヘッドホン、又はイヤホンを装着して音声信号を測定する場合、ユーザが、適切にヘッドホン、又はイヤホンを装着していることが重要となる。すなわち、ユーザが、ヘッドホン、又はイヤホンを適切に装着していない状態で測定を行うと、正確な測定ができないため、逆フィルタの作成に適した収音信号を取得できない。
特に、近年、スマートホンなどによる記憶装置の大容量化、小型化、高速化により、ユーザ自身に対する測定が自宅でも可能となっている。ユーザ自身が測定を行う場合、ヘッドホンやイヤホンを適切に装着しているか否かを客観的に判定することができない。このため、適切に装着しない状態で信号を測定してしまうおそれがある。したがって、ヘッドホン、又はイヤホンを装着した状態で、適切に信号を測定することが望まれる。
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、ユーザが装着したヘッドホン又はイヤホンからの信号を適切に測定することができる信号処理装置、信号処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
本実施形態にかかる信号処理装置は、第1の測定信号を生成して、ヘッドホン又はイヤホンに出力する測定信号生成部と、マイクが前記第1の測定信号を収音した第1の収音信号を取得する収音信号取得部と、前記第1の収音信号の周波数特性を算出する信号解析部と、所定の帯域における前記周波数特性の特性値を基準値と比較することによって、前記ヘッドホン又はイヤホンの装着状態を判定する装着状態判定部と、前記基準値に対する前記特性の割合に応じた段階的な前記判定の結果を出力する出力する出力部と、を備えたものである。
本実施形態にかかる信号処理方法は、第1の測定信号を生成して、ヘッドホン又はイヤホンに出力するステップと、前記マイクが前記第1の測定信号を収音した第1の収音信号を取得するステップと、前記第1の収音信号の周波数特性を算出するステップと、所定の帯域における前記周波数特性の特性値を基準値と比較することによって、前記ヘッドホン又はイヤホンの装着状態を判定するステップと、前記基準値に対する前記特性値の割合に応じた段階的な前記判定の結果を出力するステップと、を含むものである。
本実施形態にかかるプログラムは、コンピュータに、第1の測定信号を生成して、ヘッドホン又はイヤホンに出力するステップと、前記マイクが前記第1の測定信号を収音した第1の収音信号を取得するステップと、前記第1の収音信号の周波数特性を算出するステップと、所定の帯域における前記周波数特性の特性値を基準値と比較することによって、前記ヘッドホン又はイヤホンの装着状態を判定するステップと、前記基準値に対する前記特性値の割合に応じた段階的な前記判定の結果を出力するステップと、を実行させることを特徴とするものである。
本発明によれば、ユーザが装着したヘッドホン又はイヤホンからの信号を適切に測定することができる信号処理装置、信号処理方法、及びプログラムを提供することができる。
本実施の形態に係る頭外定位処理装置を示すブロック図である。 外耳道伝達特性を測定する測定装置の構成を示す図である。 信号処理装置の構成を示す制御ブロック図である。 信号処理装置における信号処理方法を示すフローチャートである。 初期設定の処理を示すフローチャートである。 初期設定における表示画面の1例を示す図である。 装着状態の判定処理を示すフローチャートである。 装着状態が良好の場合のキャリブレーション画面を示す図である。 装着状態が不良の場合のキャリブレーション画面を示す図である。 装着状態を示す表示画面を示す図である。
本実施の形態にかかる信号処理装置で生成したフィルタを用いた音像定位処理の概要について説明する。本実施形態にかかる頭外定位処理は、空間音響伝達特性と外耳道伝達特性を用いて頭外定位処理を行うものである。空間音響伝達特性は、スピーカなどの音源から外耳道までの伝達特性である。外耳道伝達特性は、外耳道入口から鼓膜までの伝達特性である。本実施形態では、ヘッドホン又はイヤホンを装着した状態での外耳道伝達特性を測定し、その測定データを用いて頭外定位処理を実現している。
本実施の形態にかかる頭外定位処理は、パーソナルコンピュータ、スマートホン、タブレットPCなどのユーザ端末で実行される。ユーザ端末は、プロセッサ等の処理手段、メモリやハードディスクなどの記憶手段、液晶モニタ等の表示手段、タッチパネル、ボタン、キーボード、マウスなどの入力手段を有する情報処理装置である。ユーザ端末は、データを送受信する通信機能を有している。さらに、ユーザ端末には、ヘッドホン又はイヤホンを有する出力手段(出力ユニット)が接続される。
(頭外定位処理装置)
本実施の形態にかかる音場再生装置の一例である頭外定位処理装置100を図1に示す。図1は、頭外定位処理装置100のブロック図である。頭外定位処理装置100は、ヘッドホン43を装着するユーザUに対して音場を再生する。そのため、頭外定位処理装置100は、LchとRchのステレオ入力信号XL、XRについて、音像定位処理を行う。LchとRchのステレオ入力信号XL、XRは、CD(Compact Disc)プレイヤーなどから出力されるアナログのオーディオ再生信号、又は、mp3(MPEG Audio Layer-3)等のデジタルオーディオデータである。なお、頭外定位処理装置100は、物理的に単一な装置に限られるものではなく、一部の処理が異なる装置で行われてもよい。例えば、一部の処理がパソコンなどにより行われ、残りの処理がヘッドホン43に内蔵されたDSP(Digital Signal Processor)などにより行われてもよい。
頭外定位処理装置100は、頭外定位処理部10、フィルタ部41、フィルタ部42、及びヘッドホン43を備えている。頭外定位処理部10、フィルタ部41、及びフィルタ部42は、具体的にはプロセッサ等により実現可能である。
頭外定位処理部10は、畳み込み演算部11〜12、21〜22、及び加算器24、25を備えている。畳み込み演算部11〜12、21〜22は、空間音響伝達特性を用いた畳み込み処理を行う。頭外定位処理部10には、CDプレイヤーなどからのステレオ入力信号XL、XRが入力される。頭外定位処理部10には、空間音響伝達特性が設定されている。頭外定位処理部10は、各chのステレオ入力信号XL、XRに対し、空間音響伝達特性のフィルタ(以下、空間音響フィルタとも称する)を畳み込む。空間音響伝達特性は被測定者の頭部や耳介で測定した頭部伝達関数HRTFでもよいし、ダミーヘッドまたは第三者の頭部伝達関数であってもよい。
4つの空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsを1セットとしたものを空間音響伝達関数とする。畳み込み演算部11、12、21、22で畳み込みに用いられるデータが空間音響フィルタとなる。空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsを所定のフィルタ長で切り出すことで、空間音響フィルタが生成される。
空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsのそれぞれは、インパルス応答測定などにより、事前に取得されている。例えば、ユーザUが左右の耳にマイクをそれぞれ装着する。ユーザUの前方に配置された左右のスピーカが、インパルス応答測定を行うための、インパルス音をそれぞれ出力する。そして、スピーカから出力されたインパルス音等の測定信号をマイクで収音する。マイクでの収音信号に基づいて、空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsが取得される。左スピーカと左マイクとの間の空間音響伝達特性Hls、左スピーカと右マイクとの間の空間音響伝達特性Hlo、右スピーカと左マイクとの間の空間音響伝達特性Hro、右スピーカと右マイクとの間の空間音響伝達特性Hrsが測定される。
そして、畳み込み演算部11は、Lchのステレオ入力信号XLに対して空間音響伝達特性Hlsに応じた空間音響フィルタを畳み込む。畳み込み演算部11は、畳み込み演算データを加算器24に出力する。畳み込み演算部21は、Rchのステレオ入力信号XRに対して空間音響伝達特性Hroに応じた空間音響フィルタを畳み込む。畳み込み演算部21は、畳み込み演算データを加算器24に出力する。加算器24は2つの畳み込み演算データを加算して、フィルタ部41に出力する。
畳み込み演算部12は、Lchのステレオ入力信号XLに対して空間音響伝達特性Hloに応じた空間音響フィルタを畳み込む。畳み込み演算部12は、畳み込み演算データを、加算器25に出力する。畳み込み演算部22は、Rchのステレオ入力信号XRに対して空間音響伝達特性Hrsに応じた空間音響フィルタを畳み込む。畳み込み演算部22は、畳み込み演算データを、加算器25に出力する。加算器25は2つの畳み込み演算データを加算して、フィルタ部42に出力する。
フィルタ部41、42にはヘッドホン特性(ヘッドホンの再生ユニットとマイク間の特性)をキャンセルする逆フィルタが設定されている。そして、頭外定位処理部10での処理が施された再生信号(畳み込み演算信号)に逆フィルタを畳み込む。フィルタ部41で加算器24からのLch信号に対して、Lch側のヘッドホン特性の逆フィルタを畳み込む。同様に、フィルタ部42は加算器25からのRch信号に対して、Rch側のヘッドホン特性の逆フィルタを畳み込む。逆フィルタは、ヘッドホン43を装着した場合に、ヘッドホンユニットからマイクまでの特性をキャンセルする。マイクは、外耳道入口から鼓膜までの間ならばどこに配置してもよい。空間音響伝達特性を測定した時の装着位置と同じ位置にマイクを配置することが好ましい。逆フィルタは、後述するように、ユーザU本人の特性の測定結果から算出されている。
フィルタ部41は、補正されたLch信号をヘッドホン43の左ユニット43Lに出力する。フィルタ部42は、補正されたRch信号をヘッドホン43の右ユニット43Rに出力する。ユーザUは、ヘッドホン43を装着している。ヘッドホン43は、Lch信号とRch信号をユーザUに向けて出力する。これにより、ユーザUの頭外に定位された音像を再生することができる。
このように、頭外定位処理装置100は、空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsに応じた空間音響フィルタと、ヘッドホン特性の逆フィルタを用いて、頭外定位処理を行っている。以下の説明において、空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsに応じた空間音響フィルタと、ヘッドホン特性の逆フィルタとをまとめて頭外定位処理フィルタとする。2chのステレオ再生信号の場合、頭外定位フィルタは、4つの空間音響フィルタと、2つの逆フィルタとから構成されている。そして、頭外定位処理装置100は、ステレオ再生信号に対して合計6個の頭外定位フィルタを用いて畳み込み演算処理を行うことで、頭外定位処理を実行する。
(外耳道伝達特性の測定装置)
次に、逆フィルタを生成するために、外耳道伝達特性を測定する測定装置200について、図2を用いて説明する。図2は、ユーザUに対して伝達特性を測定するための構成を示している。測定装置200は、マイクユニット2と、ヘッドホン43と、信号処理装置201と、を備えている。
信号処理装置201には、マイクユニット2と、ヘッドホン43と、が接続されている。なお、マイクユニット2は、ヘッドホン43に内蔵されていてもよい。マイクユニット2は、左マイク2Lと、右マイク2Rとを備えている。左マイク2Lは、ユーザUの左耳9Lに装着される。右マイク2Rは、ユーザUの右耳9Rに装着される。信号処理装置201は、頭外定位処理装置100と同じ処理装置であってもよく、異なる処理装置であってよい。また、ヘッドホン43の代わりにイヤホンを用いることも可能である。
ヘッドホン43は、ヘッドホンバンド43Bと、左ユニット43Lと、右ユニット43Rとを、有している。ヘッドホンバンド43Bは、左ユニット43Lと右ユニット43Rとを連結する。左ユニット43LはユーザUの左耳9Lに向かって音を出力する。右ユニット43RはユーザUの右耳9Rに向かって音を出力する。ヘッドホン43は密閉型、開放型、半開放型、または半密閉型等である、ヘッドホンの種類を問わない。マイクユニット2がユーザUに装着された状態で、ユーザUがヘッドホン43を装着する。すなわち、左マイク2L、右マイク2Rが装着された左耳9L、右耳9Rにヘッドホン43の左ユニット43L、右ユニット43Rがそれぞれ装着される。ヘッドホンバンド43Bは、左ユニット43Lと右ユニット43Rとをそれぞれ左耳9L、右耳9Rに押し付ける付勢力を発生する。
左マイク2Lは、ヘッドホン43の左ユニット43Lから出力された音を収音する。右マイク2Rは、ヘッドホン43の右ユニット43Rから出力された音を収音する。左マイク2L、及び右マイク2Rのマイク部は、外耳孔近傍の収音位置に配置される。左マイク2L、及び右マイク2Rは、ヘッドホン43に干渉しないように構成されている。すなわち、左マイク2L、及び右マイク2Rは左耳9L、右耳9Rの適切な位置に配置された状態で、ユーザUがヘッドホン43を装着することができる。
信号処理装置201は、ヘッドホン43に対して測定信号を出力する。これにより、ヘッドホン43はインパルス音などを発生する。具体的には、左ユニット43Lから出力されたインパルス音を左マイク2Lで測定する。右ユニット43Rから出力されたインパルス音を右マイク2Rで測定する。測定信号の出力時に、マイク2L、2Rが収音信号を取得することで、インパルス応答測定が実施される。
信号処理装置201は、インパルス応答測定に基づく収音信号をメモリなどに記憶する。これにより、左ユニット43Lと左マイク2Lとの間の伝達特性(すなわち、左耳の外耳道伝達特性)と、右ユニット43Rと右マイク2Rとの間の伝達特性(すなわち、右耳の外耳道伝達特性)が取得される。左マイク2Lで取得された左耳の外耳道伝達特性をLch(左ch)の外耳道伝達特性とし、右マイク2Rで取得された右耳の外耳道伝達特性をRch(右ch)の外耳道伝達特性とする。信号処理装置201が伝達特性の測定データを所定のフィルタ長で切り出すことで、フィルタ係数が求められる。
信号処理装置201は、伝達特性の測定データをそれぞれ記憶するメモリなどを有している。なお、信号処理装置201は、外耳道伝達特性を測定するための測定信号として、インパルス信号やTSP(Time Stretched Pulse)信号等を発生する。測定信号はインパルス音等の測定音を含んでいる。
さらに、信号処理装置201は、ヘッドホン43の装着状態が良好であるか否を判定している。そして、ヘッドホン43の装着状態が良好でない場合、信号処理装置201は、ヘッドホン43の調整を促すような表示を行う。これにより、適切な状態での信号を測定することができる。例えば、ヘッドホン43の密閉性が低い状態で測定が行われるのを防ぐことができる。あるいは、左右のバランスが悪い状態での測定が行われるのを防ぐことができる。よって、より精度の高い外耳道伝達特性を安定して測定することが可能になる。
次に、信号処理装置201における処理の詳細について、図3を用いて説明する。図3は、信号処理装置201の構成を示す制御ブロック図である。信号処理装置201は、メモリ211と、CPU(Central Processing Unit)212と、測定部220と、GUI(Graphical User Interface)230と、を備えている。
測定部220は、測定信号生成部221と、収音信号取得部222と、信号解析部223と、装着状態判定部224と、基準値設定部225と、左右比較部226と、を備えている。GUI230は、ユーザUに対する入出力インターフェースであり、表示部231と、入力操作部232とを備えている。
信号処理装置201は、パソコンやスマートホンなどの情報処理装置であり、メモリ211、及びCPU212を備えている。メモリ211は、処理プログラムや各種パラメータなどを記憶している。CPU212は、メモリ211に格納された処理プログラムを実行する。これにより、測定部220、及びGUI230における各処理が実施される。
測定部220の各ブロックにおける機能は、CPU212がコンピュータプログラムを実行することにより、実現される。すなわち、CPU212がメモリ211のプログラムを実行することで、測定信号生成部221、収音信号取得部222、信号解析部223、装着状態判定部224、基準値設定部225、及び左右比較部226が所定の処理を実行する。
測定信号生成部221は、測定信号を生成する。測定信号生成部221で生成された測定信号は、アンプ45L、45Rで増幅されて、ヘッドホン43に出力される。なお、アンプ45L、45Rは、信号処理装置201又はヘッドホン43に内蔵されていてもよい。左ユニット43Lと右ユニット43Rがそれぞれ伝達特性を測定するための測定信号を出力する。なお、LchとRchの測定は同じ測定信号を用いて、同様に行われる。
左マイク2L、右マイク2Rがそれぞれ測定信号を収音し、収音信号を信号処理装置201に出力する。収音信号取得部222は、左マイク2L、右マイク2Rからの収音信号を取得する。なお、収音信号取得部222は、A/D変換器、及びアンプなどを有しており、左マイク2L、右マイク2Rからの収音信号をA/D変換、増幅などしてもよい。また、収音信号取得部222は、複数回の測定により得られた信号を同期加算してもよい。
信号解析部223は、測定信号生成部221によって取得された収音信号を解析する。例えば、信号解析部223は、FFT(高速フーリエ変換)により時間領域の収音信号から周波数領域のスペクトルを算出する。これにより、収音信号の振幅特性(振幅スペクトル)と、位相特性(位相スペクトル)が生成される。なお、振幅スペクトルの代わりにパワースペクトルを生成してもよい。なお、信号解析部223は、離散フーリエ変換や離散コサイン変換により、収音信号を周波数領域のデータに変換することができる。
また、信号解析部223は、振幅特性から1又は2以上の特性値を抽出する。信号解析部223は、所定の周波数帯域における振幅値から特性値を求める。例えば、信号解析部223は、90Hz〜1kHzの帯域における振幅特性に基づいて、特性値を算出している。また、信号解析部223が、複数の特性値を設定する場合、それぞれ異なる周波数帯の振幅値が特性値を設定される。例えば、本実施の形態においては、3つの特性値が設定されている。第1の帯域における振幅値に基づいて、第1の特性値が設定され、第1の帯域と異なる第2の帯域における振幅値に基づいて、第2の特性値が設定される。第1,及び第2の帯域と異なる第3の帯域における振幅値に基づいて、第3の特性値が設定される。複数の特性値を用いることで、装着状態をより適切に判定することができる。また、特性値は所定の帯域における振幅値の平均値などであってもよく、特定の1周波数における振幅値であってもよい。
基準値設定部225は、初期設定で得られた振幅特性を基準特性として設定する。換言すると、後述する初期設定のステップは、基準特性を求めるための処理である。なお、基準特性から抽出された特性値を基準値とする。基準値設定部225は、基準特性、又は基準値をメモリ211等に記憶している。初期設定の処理については後述する。
装着状態判定部224は、ユーザUのヘッドホン43の装着状態を判定する。具体的には、装着状態判定部224は、ユーザ測定により得られた振幅特性の特性値と、基準値とを比較する。そして、装着状態判定部224は特性値と基準値との比較結果に基づいて、装着状態が良好となっているか、不良となっているかを判定する。具体的には、特性値が基準値を超えている場合、装着状態判定部224は、装着状態が良好であると判定する。一方、特性値が基準値以下の場合、装着状態判定部224は、装着状態が不良であると判定する。装着状態が良好であると判定されると、信号処理装置201は、外耳道伝達特性を求めるためのECTF測定を実施する。
左右比較部226は、Lchの外耳道伝達特性の測定データとRchの外耳道伝達特性の測定データを比較する。そして、左右比較部226は、左右chの比較結果に基づいて、マイク装着位置が適切か否かの判定(エラー判定)を行う。左右比較部226は、左右の伝達特性に一定の相違がある場合、マイク装着位置のエラーと判定する。エラーと判定された場合、マイク位置を調整して、再測定が実施される。
表示部231は、ディスプレイ等を有する出力部となる。表示部231は、装着状態判定部224での判定結果、及び左右比較部226でのエラー判定結果を表示する。表示部231は、基準値に対する特性値の割合に応じた段階的な判定の結果を出力する。さらに、装着状態が不良である場合、表示部231は、ヘッドホン43の再装着を促すように、表示を行う。このようにすることで、適切な装着状態で外耳道伝達特性を測定することができる。また、左右比較部226によるエラー判定がなされた場合、表示部231は、左マイク2L、右マイク2Rの位置調整を促すように、表示を行う。このようにすることで、左右のバランスがよい逆フィルタを作成することができる。
なお、判定結果等は、音や振動により出力されてもよい。すなわち、判定結果を出力する出力部は、アラーム音等による出力を行うヘッドホン43、イヤホン,スピーカなどを有していてもよく、振動による出力を行うアクチュエータを有していてもよい。
入力操作部232は、タッチパネル、キーボード、マウスなどの入力手段を備えており、ユーザUからの操作入力を受け付ける。
測定装置200による測定方法について、図4を用いて説明する。図4は、測定方法を示すフローチャートである。ユーザUが入力操作部232を操作して、測定を実施すると、測定装置200は初期設定を実施する(S11)。これにより、基準値設定部225に基準特性又は基準値が設定される。
基準特性を設定するための初期設定の詳細フローについて、図5を用いて、説明する。図5は、初期設定処理を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、ヘッドホン装着時の振幅特性を5回測定して、基準特性を求める例について説明する。
まず、測定信号生成部221が測定信号をヘッドホン43に出力して、ユーザUがヘッドホン43を装着していない状態の振幅特性ECTF_0を信号解析部223が取得する(S101)。すなわち、ユーザUがヘッドホン43を装着していない状態で、測定信号生成部221が測定信号(第3の測定信号ともいう)を生成する。第3の測定信号となる初期設定用の測定信号は、第1及び第2の測定信号と同様にインパルス信号やTSP信号とすることができる。すなわち、ヘッドホン43からは一定時間同じ音が出力されるような第3の測定信号を測定信号生成部221が生成する。
ヘッドホン43から出力される第3の測定信号を左マイク2L、右マイク2Rがそれぞれ収音する。第3の測定信号の出力時に左マイク2L、右マイク2Rがそれぞれ収音した収音信号(第3の収音信号ともいう)を、収音信号取得部222が取得する。信号解析部223は、第3の収音信号に対して、FFTを行って、周波数振幅特性を算出する。これにより、ヘッドホン未装着時の振幅特性ECTF_0が取得される。
そして、ヘッドホンの装着時の測定回数を示す値(0以上の整数)であるnを、n=0と初期化する(S102)。次に、ユーザUがヘッドホン43を装着する(S103)。例えば、ヘッドホン未装着時の振幅特性ECTF_0の取得が完了したことが表示部231に表示されると、ユーザUは、ヘッドホン43を装着する。
測定信号生成部221が測定信号をヘッドホン43に出力して、ユーザUがヘッドホン43を装着した状態の振幅特性ECTF_i(n)を信号解析部223が取得する(S104)。ユーザUがヘッドホン43を装着した状態で、測定信号生成部221が測定信号を生成する。ここでの測定信号は、第3の測定信号であり、第1及び第2の測定信号と同様に、インパルス信号やTSP信号とすることができる。
ヘッドホン43から出力される第3の測定信号を左マイク2L、右マイク2Rがそれぞれ収音する。第3の測定信号の出力時に左マイク2L、右マイク2Rがそれぞれ収音した収音信号(第3の収音信号ともいう)を、収音信号取得部222が取得する。信号解析部223は、第3の収音信号に対して、FFTを行って、周波数特性を算出する。これにより、ヘッドホン装着時の振幅特性ECTF_i(n)が取得される。ここでは、信号解析部223が、1フレーム毎に、振幅特性ECTF_i(n)を算出している。
次に、ユーザUがヘッドホン43を装着したことを検出するために、振幅特性ECTF_i(n)が変化していないかを信号解析部223が判定する(S105)。所定時間(例えば、3秒)以上、振幅特性ECTF_i(n)が変化していないと判定された場合、ユーザUがヘッドホン43を装着したことが検出される。信号解析部223が、所定時間におけるに対応する複数のフレームの振幅特性ECTF_i(n)を比較して、所定時間内における振幅特性ECTF_i(n)の変化を求める。複数のフレームの振幅特性ECTF_i(n)の差が一定値以下となれば、信号解析部223は、所定時間、振幅特性ECTF_i(n)が変化していないと判定する。
振幅特性ECTF_i(n)が変化していると判定された場合(S105のNO)、S104に戻る。すなわち、振幅特性ECTF_i(n)が変化しなくなるまで、振幅特性ECTF_i(n)を取得する。
所定時間以上、振幅特性ECTF_i(n)が変化していないと判定された場合(S105のYES)、n回目の測定が完了したことを表示する(S106)。そして、メモリ211が、振幅特性ECTF_i(n)を保持する。図6に、1回目の振幅特性ECTF_i(0)が完了したことを示す表示画面300の1例を示す。表示画面300には、振幅特性ECTF_i(0)の表示欄301と、「特性セット」の表示欄302と、測定回数の表示欄303とが含まれている。
表示欄301に表示される振幅特性ECTF_i(0)は、フレーム毎に変化してもよい。S105において、所定時間以上、振幅特性ECTF_i(n)が変化していないと判定された場合、表示欄302には、振幅特性ECTF_i(0)の取得が完了したことを示す「特性セット」が表示される。これにより、ユーザUは1回目の測定が完了したことを認識することができる。S105において、振幅特性ECTF_i(n)が変化していると判定された場合、表示欄302は、空欄となる。表示欄302によって、ユーザUは、n回目の測定が完了したことを速やかに認識することができる。5回の測定のうちの1回目の測定であるため、表示欄303には、1/5回目と表示されている。
ユーザUは、n回目の測定が完了したことを認識したら、ヘッドホン43を外す(S107)。そして、信号処理装置201は、ヘッドホン43が外されたことを検出する(S108)。例えば、振幅特性が未装着時の振幅特性ECTF_0の音圧レベルまで減衰したら、ヘッドホン43が外されたと見なすことができる。信号解析部223は、nをインクリメントする(S109)。
信号解析部223は、nが規定回数(ここでは5回)以上であるか否かを判定する(S110)。nが規定回数未満の場合(S110のNO)、S103からの処理を繰り返す。すなわち、ヘッドホン43をかけ直して、同様の測定を行う。これにより、振幅特性ECTF_i(1)〜ECTF_i(4)が順次測定される。
nが規定回数以上となると(S110のYES)、基準値設定部225が基準特性ETCF_dを設定する(S111)。例えば、メモリ211に保持された振幅特性ECTF_i(0)〜ECTF_i(4)の平均化した振幅特性ECTF_iaveが基準特性ETCF_dとして基準値設定部225に設定される。
このように、ユーザUがヘッドホン43の脱着を繰り返し行う。ユーザUがヘッドホンをかけ直す前後で、収音信号取得部222が第3の収音信号を取得する。このようにすることで、複数の振幅特性ECTF_i(0)〜ECTF_i(n)が取得される。すなわち、振幅特性ECTF_i(0)が取得されたら、ヘッドホン43をかけ直して、再度、振幅特性ECTF_i(1)を取得する。ヘッドホン43をかけ直す毎に、収音信号取得部222が収音信号を取得することで、複数の振幅特性ECTF_i(0)〜ECTF_i(n)が取得される。
基準値設定部225には、複数の振幅特性ECTF_i(0)〜ECTF_i(n)に基づいて、基準特性ETCF_dが設定されている。また、基準値設定部225には、基準特性ETCF_dに基づいた基準値が設定されている。基準特性ETCF_dの特性値である基準値は、例えば、90Hz〜1kHzにおける基準特性ETCF_dの振幅値に基づいて設定されている。
なお、上記の説明ではユーザUに対して実施された初期設定用測定によって、基準特性ETCF_dが取得されているが、基準特性ETCF_dはユーザU以外の受聴者やダミーヘッドに対して行われた初期設定用測定によって、取得されていてもよい。
図4の説明に戻る。初期設定(S11)の実施後、装着状態判定部224は、ヘッドホン43の装着状態を判定する(S12)。ヘッドホン43の装着状態の判定処理の詳細フローについて、図7を用いて説明する。なお、装着状態を判定するための処理をキャリブレーション処理とも称する。
まず、ユーザUがヘッドホン43を装着する(S201)。ユーザUは、入力操作部232を操作することで、測定ボタンを押下する(S202)。
次に、測定信号生成部221が測定信号を出力して、信号解析部223が振幅特性ECTF_cを取得する(S203)。ユーザUがヘッドホン43を装着した状態で、測定信号生成部221が測定信号を生成する。装着状態判定用の測定信号は、第1の測定信号である。また、装着状態判定用の第1の測定信号は、第3の測定信号と同じ信号とすることができる。
ヘッドホン43から出力される第1の測定信号を左マイク2L、右マイク2Rがそれぞれ収音する。第1の測定信号の出力時に左マイク2L、右マイク2Rがそれぞれ取得した収音信号(第1の収音信号ともいう)を、収音信号取得部222が取得する。信号解析部223は、第1の収音信号に対して、FFTを行って、周波数特性を算出する。これにより、キャリブレーション処理用の振幅特性ECTF_cが取得される。ここでは、信号解析部223が、1フレーム毎に、振幅特性ECTF_cを算出している。
表示部231が振幅特性ECTF_cの特性値と、基準値とを表示する(S204)。表示部231によるキャリブレーション画面の表示については後述する。
装着状態判定部224が振幅特性ECTF_cの特性値と、基準値とを比較して、装着状態の良否判定を行う(S205)。例えば、所定時間(例えば、3秒)以上、振幅特性ECTF_cの特性値が基準特性ETCF_dの基準値を超えている場合、装着状態判定部224は、装着状態が良好であると判定する。すなわち、所定時間に渡って連続する複数フレームにおいて、特性値が基準値を超えている場合、装着状態が良好であると判定される。振幅特性ECTF_cの特性値が基準特性ETCF_dの基準値を超えている時間が所定時間以上連続しない場合、装着状態判定部224は、装着状態が不良であると判定する。
装着状態が不良であると判定された場合(S205の不良)、表示部231が不良表示を行う(S206)。すなわち、装着状態が不良であることを示すキャリブレーション画面を表示部231が表示する。そして、S201からの処理を繰り返す。すなわち、ユーザUがヘッドホン43を再装着して、キャリブレーション処理が行われる。
装着状態が良好であると判定された場合(S205の良好)、表示部231が良好表示を行う(S207)すなわち、装着状態が良好であることを示すキャリブレーション画面を表示部231が表示する。ユーザUは、装着状態が良好と判定されるまで、ヘッドホン43をかけ直し、キャリブレーション操作を継続することが好ましい。
図8、及び図9に、キャリブレーション画面の表示例を示す。図8、及び図9は、キャリブレーション画面を示す図である。図8は、装着状態を判定中(キャリブレーション中)のキャリブレーション画面400と、装着状態が良好と判定された場合のキャリブレーション画面401を示している。図9は、装着状態を判定中(キャリブレーション中)のキャリブレーション画面400と、装着状態が不良と判定された場合のキャリブレーション画面402を示している。キャリブレーション画面400は、S205での表示画面である。キャリブレーション画面401は、S207における表示画面である。キャリブレーション画面402は、S206における表示画面である。
キャリブレーション画面400には、特性値を示すインジケータ411、412が示されている。インジケータ411は、Lchの特性値を示し、インジケータ412は、Rchの特性値を示している。ここでは、各chに3つの特性値が設定されているため、インジケータ411、412はそれぞれ、3つのインジケータバーが表示されている。インジケータバーは、特性値に応じて長さが変化する。3つのインジケータバーは、それぞれ異なる帯域における振幅値に対応している。特性値がフレーム毎に更新される場合、インジケータ411、412が、フレーム毎に特性値の表示を更新してもよい。
例えば、第1の帯域の振幅値に基づく第1の特性値が、1つ目のインジケータバーに表示される。同様に、第2の帯域の振幅値に基づく第2の特性値が、2つ目のインジケータバーに表示され、第3の帯域の振幅値に基づく第3の特性値が、3つ目のインジケータバーに表示される。
また、インジケータ411、412には、基準値が一点鎖線で示されている。特性値と同様に、それぞれのchに対して、3つの基準値が設定されている。インジケータ411、412は、基準値に対する特性値の割合をバーで表示している。ここでは、初期設定で取得した基準特性の各帯域における振幅値の80%を基準値としている。もちろん、基準値は、基準特性の各帯域における振幅値の80%に限らず、任意の割合や任意の値とすることが可能である。また、図8、及び図9では、各帯域において、特性値が基準値と一致する場合に、インジケータ411,412が最大となるように、表示部231がキャリブレーション画面400を表示している。なお、インジケータ411、412の最大が基準値となるように、表示部231がキャリブレーション画面400を表示してもよい。この場合、基準値を超えると、インジケータ411、412が最大の表示となる。各chにおいて、基準特性ETCF_dの第1〜第3の帯域の振幅値が、それぞれ第1〜第3の基準値として設定されている。ここでは、3つのインジケータバーにおいて、基準値が同じ位置に表示されている。また、キャリブレーション画面400には、ステータス表示欄413に、キャリブレーション中であることが表示されている。
特性値が基準値を越える時間が所定時間(例えば、3秒)以上継続した場合、図8に示すように、キャリブレーション画面401のステータス表示欄413には、装着OKと表示される。これにより、装着状態が良好であることをユーザUが認識することができる。
所定の測定時間(例えば、10秒)中に、特性値が基準値を越える時間が所定時間以上継続しない場合、図9に示すように、キャリブレーション画面402のステータス表示欄413には、装着NGと表示される。さらに、ヘッドホン43の調整を促すメッセージが、メッセージ表示欄415に表示される。メッセージ表示欄415の表示により、ユーザUがヘッドホン43の再装着を促される。これにより、装着状態が不良であることをユーザUが認識することができる。
なお、Lchの3つの特性値、及びRchの3つの特性値の1つでも、基準値を越える状態が所定時間以上継続できない場合、装着状態判定部224は、装着状態が不良であると判定する。すなわち、6つの特性値の全てが基準値を超える時間が所定時間以上となった場合に、装着状態判定部224は、装着状態が良好であると判定する。このように複数の特性値に基づいて、装着状態を判定することで、より適切な判定を行うことができる。例えば、左ユニット43Lと右ユニット43Rの一方では密閉度が低い場合でも適切に不良と判定することができる。
図4の説明に戻る。良好な装着状態において、測定装置200がECTF測定(外耳道伝達特性の測定)を実施する。信号処理装置201は、ユーザUの外耳道伝達特性の測定データを取得する。ユーザUがヘッドホン43を良好に装着した状態で、入力操作部232を操作して、外耳道伝達特性の測定ボタンを押下する。測定信号生成部221が測定信号を生成する。ECTF測定用の測定信号は、第2の測定信号であり、インパルス信号やTSP信号とすることができる。
ヘッドホン43から出力される第2の測定信号を左マイク2L、右マイク2Rがそれぞれ収音する。第2の測定信号の出力時に左マイク2L、右マイク2Rがそれぞれ取得した収音信号(第2の収音信号ともいう)を、収音信号取得部222が取得する。なお、収音信号取得部222は、第2の測定信号を複数フレームに渡って出力して同期加算を行うようにしてもよい。これにより、突発的なノイズを除去することができるため、高いS/N比での測定が可能となる。そして、信号解析部223は、左右の外耳道伝達特性の測定データを取得する。信号解析部223は、左右chの測定データを同じ時刻から所定のフィルタ長で切り出して、フィルタ係数を求める。信号解析部223は、フィルタ係数から、ヘッドホン特性を打ち消すような逆フィルタを算出する。
本実施の形態で、ヘッドホン43が良好に装着された状態で測定された測定データに基づいて、逆フィルタを生成することができる。ヘッドホン43が適切に装着されていない場合、密閉度が低下して、低域の音が抜けてしまうことがある。適切に装着されていない状態で測定を行うと、測定データにばらつきが生じてしまう。また、ユーザU自身が装着状態を客観的に判定することは困難である。本実施形態によれば、ヘッドホンの装着状態によって、低域が減衰してしまう影響を未然に防ぐことができる。ヘッドホンの装着による特性のばらつきを軽減することができる。頭外定位処理装置100が左右chのバランスの高い頭外定位処理を行うことができる。
そして、左右比較部226が、LchとRchの測定データを比較して、エラー判定を行う(S14)。左右chの測定データの差が小さい場合、左右の比較結果が良好と判定され(S14のOK)、処理を終了する。メモリ211がヘッドホン特性をキャンセルする逆フィルタを記憶して、処理を終了する。
左右chの測定データの差が大きい場合(S14のNG)、エラー判定となり、ユーザUが左マイク2L、右マイク2Rを調整する(S15)。すなわち、適切に測定データを取得することができない可能性が高いため、ユーザUがマイクユニット2の位置を調整する。マイク位置を調整したら、測定装置200がS11からの処理を繰り返す。
なお、左右chの測定データの比較では、位相特性やパワー比を用いて、判定を行うことができる。まず、位相特性を用いた比較方法について、説明する。
左右比較部226は、外耳道伝達特性の測定データに基づいて、左右chの位相差を求める。例えば、左右比較部226は、左ユニット43Lから左マイク2Lに直接到達する直接音と、右ユニット43Rから右マイク2Rに直接到達する直接音との到達時間差に基づいて位相差を求める。なお、直接音は、左ユニット43L、左ユニット43Rから外耳道内で反射せずに、左マイク2L、右マイク2Rに到達する音である。左右比較部226は、時間領域の測定データの立ち上がり位置から、直接音到達時間を求める。左右比較部226は、左右の直接音到達時間差から、左右chの位相差を求めることができる。何からの方法で事前に入力S/Nが分かっている場合、検出精度が高くなる。
あるいは、外耳道伝達特性の周波数特性で個人特性の影響の少ない帯域をバンドパスフィルタで抽出して、抽出された帯域の相関計算により位相差を算出してもよい。なお、位相差は以下の通りとなる。
位相差=音速*(左右の時間差サンプル数)/(サンプリング周波数)
位相差が5cm以上ある場合は、左右比較部226は、エラーとして判定する。したがって、マイク位置を調整して再測定を実施する。
次に、パワー比を用いた比較方法について、説明する。左右比較部226は、外耳道伝達特性のセグメンタルパワーをそれぞれ算出する。外耳道伝達特性の振幅スペクトルをそれぞれhpL、hpRとすると、左右chのセグメンタルパワーsegP_L、segP_Rは以下の式(1)、(2)により求めることができる。
Figure 0006922603
n=0<file_sizeである。左右chのセグメンタルパワーの比率が2倍以上の場合、左右比較部226は、エラーとして判定する。左右chのセグメンタルパワーの比率が2倍未満の場合、左右比較部226は、エラー無しと判定する。
segP_Rate=segP_L/segP_Rとすると、segP_Rateが0.5〜2の場合、エラー無しと判定される。一方、segP_Rateが0.5以下、又は2以上の場合、エラーと判定される。エラーと判定された場合、マイク位置を調整して、再測定を行う。
このように、左右比較部226は、左右chの外耳道伝達特性を比較することで、マイク位置のエラー判定を行う。左右chの外耳道伝達特性の差が大きい場合、エラーと判定して、表示部231がマイク位置の調整を促す表示を行う。したがって、適切なマイク位置で測定した外耳道伝達特性の測定データに基づいて、逆フィルタを生成することができる。
マイク位置により極端に精度の悪い伝達特性や、左右のバランスが悪い伝達特性を取得してしまった場合に、マイク位置を調整した上で、再測定を促すことができる。よって、適切な逆フィルタを生成することができるため、頭外定位処理の精度を向上させることができる。なお、位相特性とパワー比との両方によりエラー判定を行ってもよいし、いずれか一方のみを行ってもよい。
以下、信号解析部223において、特性値を求めるための帯域について説明する。発明者が、外耳道伝達特性の周波数特性で個人特性による影響の少ない帯域を調べた結果、このような帯域は、2kHz〜3kHzであることが分かった。すなわち、同じヘッドホン43をユーザUがかけ直しても、2kHz〜3kHzでは、振幅値の変化が小さい。また、異なる複数のヘッドホン43を用いた場合でも、2kHz〜3kHzでは、振幅値の変化が小さい。一方、2kHz〜3kHzよりも低い90Hz〜1kHzでは、装着状態による振幅値の変動が大きい。よって、90Hz〜1kHzの振幅特性に基づいて、装着状態を判定することが好ましい。90Hz〜1kHzを第1〜第3の帯域の3つの帯域に分割している。以下、90Hz〜1kHzの帯域を3つに分割する例について説明する。
(特性値の分割例1)
分割例1では、90Hz〜1kHzにおけるFFT分解能の点数を3分割する。収音信号のサンプリング周波数Fs=48000kHzとし、サンプル長(sample_length)を1024sampleとする例を説明する。
周波数Freqは以下の式(3)で求めることができる。
Freq[Hz] = (FS[Hz]/sample_length[sample] * 2) * sample ・・・(3)
式(3)より、90Hzのサンプル数は以下の通りとなる。
sample = 90 / ( 48000 / 1024*2 ) = 3.84 ≒ 4 (整数型に四捨五入)
同様に、1kHzのサンプル数は、以下の通りとなる。
sample = 1000 / ( 48000 / 1024*2 ) = 42.6667 ≒ 43 (整数型に四捨五入)
よって、90Hz〜1kHzまでの周波数分解能のサンプル数は43−4=39となる。39を3分割すると、1つの帯域あたり13サンプルが含まれる。第1の帯域は、4〜16(=4+13−1)sampleとなる。つまり、第1の帯域は、93.75Hz〜375Hzとなる。第2の帯域は、17〜29(=17+13−1)sampleとなる。つまり、第2の帯域は、398.4375Hz〜679.6875Hzとなる。第3の帯域は、30〜43sampleとなる。つまり、第3の帯域は、703.125Hz〜1007.8125Hzとなる。それぞれの帯域に含まれる振幅値の平均値等を特性値、及び基準値とすることができる。
(分割例2)
分割例2では、聴覚フィルタを構成する24個の帯域通過フィルタの周波数帯域(臨界帯域という)のうち、90Hz〜1kHzに対応する帯域バンドを抽出して3分割している。臨界帯域のバーク尺度を用いることで、周波数の違いによって音量の感じ方が異なるのを、聴感と同じように感じるように周波数帯域を分割することができる。
90Hz〜1kHzに対応するバーク尺度は、次の範囲となる。
100、200、300、400、510、630、770、920、1080
等しく3分割する場合は、以下のように分割される。
100、200、300 / 400、510、630 / 770、920、1080
中・低域の分解能に幅を持たせる場合は、以下のように分割される。
100、200、300、400/ 510、630、770 / 920、1080
なお、3つの特性値を求めるための帯域の分割方法は、上記の例に限られるものではない。さらに、特性値の数は3つに限られるものではない。特性値は1つ又は2つでもよく、4つ以上でもよい。そして、求める特性値の数に応じて,帯域を分割すればよい。さらに、特性値を求めるための帯域は、90Hz〜1kHzに限られるものではない。
(表示例)
次に、特性値に応じて表示を変える例を図10に示す。図10では、3つの表示例が示されており、基準値に対する特性値の割合(進捗割合とも称する)に応じて表示が段階的に変わっていく。具体的には、表示濃度を変える表示例1と、グラデーションを変える表示例2と、輪郭線が変形する表示例3とをそれぞれ示している。図10は、GUIとして、ヘッドホンの図形を模式的に表示している。進捗割合が高くなるほど、特性値が大きくなり、進捗割合が100%となると特性値と基準値が一致する。
表示例1では、進捗割合が高くなるほど、徐々に濃くなっていく。表示例2では、進捗割合が高くなっていくと、イラスト上のグラデーションの変わり目が下から上方向に変化する。表示例3では、進捗割合が低いとイラストの輪郭(点線)の解像度が粗く表示される。進捗割合が高くなっていくと、輪郭線の解像度が上がり、ヘッドホンのイラストが現れる。進捗割合が100%になると、輪郭線が実線になる。
このように、表示を変えていくことで、ユーザUが、進捗割合を視覚的に認識することができる。よって、ユーザUがヘッドホン43を適切かつ速やかに装着することができる。もちろん、進捗割合を示す表示例は、図10に示す表示例1〜3に限られるものではなく、色、大きさ、形状、太さ、濃淡などの一つ以上を変えて、進捗割合を示してもよい。
また、図10の表示例1〜3をリアルタイムで更新することで、ユーザがヘッドホン43の調整が適切であるか否かを認識することができる。すなわち、進捗割合が100%に近づくように、表示が変わっていれば、ユーザUは、ヘッドホン43が適切な方向に調整されていることを認識することができる。例えば、サンプル長が1024サンプルとし、サンプリング周波数FS=48kHzとすると、1フレームが(1024/48000)secとなる。そして、フレーム毎に進捗割合を求めて、表示部231が表示をフレーム毎に更新する。これにより、進捗割合の変化をユーザUが直感的に認識することができる。
上記処理のうちの一部又は全部は、コンピュータプログラムによって実行されてもよい。上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
U ユーザ
2 マイクユニット
2L 左マイク
2R 右マイク
9L 左耳
9R 右耳
10 頭外定位処理部
11 畳み込み演算部
12 畳み込み演算部
21 畳み込み演算部
22 畳み込み演算部
24 加算器
25 加算器
41 フィルタ部
42 フィルタ部
43 ヘッドホン
43L 左ユニット
43R 右ユニット
200 測定装置
201 信号処理装置
211 メモリ
212 CPU
220 測定部
221 測定信号生成部
222 収音信号取得部
223 信号解析部
224 装着状態判定部
225 基準値設定部
226 左右比較部
230 GUI
231 表示部
232 入力操作部

Claims (5)

  1. 第1の測定信号を生成して、ヘッドホン又はイヤホンに出力する測定信号生成部と、
    マイクが前記第1の測定信号を収音した第1の収音信号を取得する収音信号取得部と、
    前記第1の収音信号の周波数特性を算出する信号解析部と、
    所定の帯域における前記周波数特性の特性値を基準値と比較することによって、前記ヘッドホン又はイヤホンの装着状態を判定する装着状態判定部と、
    前記基準値に対する前記特性値の割合に応じた段階的な前記判定の結果を出力する出力部と、を備えた信号処理装置。
  2. 前記装着状態判定部において装着状態が良好と判定された場合に、前記測定信号生成部は、第2の測定信号を生成し、
    前記マイクが第2の測定信号を収音した第2の収音信号を前記収音信号取得部が取得し、
    前記第2の収音信号に基づいて、前記ヘッドホン又はイヤホンを用いて頭外定位処理を行うためのフィルタを生成する請求項1に記載の信号処理装置。
  3. 前記測定信号生成部が、第3の測定信号を生成し、
    ヘッドホン又はイヤホンをかけ直す毎に、前記マイクが第3の測定信号を収音した第3の収音信号を前記収音信号取得部が取得することで、複数の前記第3の収音信号が取得され、
    前記複数の第3の収音信号に基づいて前記基準値が設定される請求項1、又は2に記載の信号処理装置。
  4. 第1の測定信号を生成して、ヘッドホン又はイヤホンに出力するステップと、
    マイクが前記第1の測定信号を収音した第1の収音信号を取得するステップと、
    前記第1の収音信号の周波数特性を算出するステップと、
    所定の帯域における前記周波数特性の特性値を基準値と比較することによって、前記ヘッドホン又はイヤホンの装着状態を判定するステップと、
    前記基準値に対する前記特性値の割合に応じた段階的な前記判定の結果を出力するステップと、を含む信号処理方法。
  5. コンピュータに、
    第1の測定信号を生成して、ヘッドホン又はイヤホンに出力するステップと、
    マイクが前記第1の測定信号を収音した第1の収音信号を取得するステップと、
    前記第1の収音信号の周波数特性を算出するステップと、
    所定の帯域における前記周波数特性の特性値を基準値と比較することによって、前記ヘッドホン又はイヤホンの装着状態を判定するステップと、
    前記基準値に対する前記特性値の割合に応じた段階的な前記判定の結果を出力するステップと、を実行させることを特徴とするプログラム。
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