JP6923328B2 - 構造物の補強構造 - Google Patents
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Description
本発明は、補強板を構造物に確実に固定できるとともに、隣り合う補強板の端面同士を1つの線上に簡単に一致させることができ、隣り合う補強板の端面同士が1つの線上に揃った美観上にも優れた補強構造を提供する。
また、連結手段は、補強板位置決め部材に形成された注入口を介して補強板位置決め部材と固化した充填材との間に注入されて固化することにより補強板の端部を補強板位置決め部材に連結する連結用の充填材であるので、補強板の端部と補強板位置決め部材とをより強固に連結できる。
また、補強板は、セメントを用いて形成された2枚以上のフレキシブルボードと繊維シートとが積層されて、一方のフレキシブルボードと他方のフレキシブルボードとの間に繊維シートが挟み込まれて形成されたボードであって、繊維シートがボードの厚さ方向の中心位置から外れた位置である一方のボード面側に位置するように設けられた構成のボードであり、当該ボードの他方のボード面が構造体の表面と接触可能で構造体からの力を受けた場合に繊維シートが一方のボード面側に加わる引張力に抵抗するように当該ボードが構造体に固定されたので、ボードの一方のボード面側に引張力が加わった場合に、当該引張力に対して引張強度の大きい補強板を構成できる。
図1乃至図7を参照し、構造物の一例としてのブロック材積みトンネル覆工部の補強方法及び補強構造の実施形態1を説明する。
図1に示すように、ブロック材積みトンネル覆工部1は、トンネルの内面にレンガ2、コンクリートブロック、石等のブロック材2Aを積み重ねて形成されたトンネル覆工部である。
ブロック材積みトンネル覆工部1(以下、単に「覆工部1」という)の補強方法は、溝形成ステップと、補強板位置決め部材固定ステップと、補強板固定ステップとを備える。
溝形成ステップでは、覆工部1の内面3の上部側に、内面3のトンネル延長方向(トンネルの中心軸)と直交する内面3の周方向に沿って延長する半円弧状の溝4を、トンネル延長方向に沿って所定間隔隔てて複数形成する。
補強板位置決め部材固定ステップでは、溝形成ステップで形成された各溝4に内面3の周方向に沿って延長する補強板位置決め部材5を覆工部1に固定する。
補強板固定ステップでは、トンネル延長方向に沿って所定間隔隔てて固定された互いに隣り合う各補強板位置決め部材5;5の間の内面3を覆うように補強板6を設置して、覆工部1の内面3の上部側全体を覆うように補強板6を覆工部1に固定する。
当該覆工部1の補強構造によれば、トンネル延長方向に沿って所定間隔隔てて覆工部1に固定された互いに隣り合う各補強板位置決め部材5;5の間の内面3を覆うように補強板6が覆工部1に固定されるので、互いに隣り合うレンガ2とレンガ2との間の目地に充填された目地材が剥離して脱落する、所謂、目地やせ現象が生じた場合の、レンガ2の落下を防止できる。
具体的には、ボード60としては、図4に示すように、1枚の繊維シート61とボード厚さ寸法が同じ厚さの3枚のセメントボード62とを用い、繊維シート61が2枚のセメントボード62の間に挟まれて積層されるように3枚のセメントボード62と1枚の繊維シート61とが互いに面同士を重ねて積層されて互いに図外の接着剤で接合されて形成された厚さ1cm程度のボード60を用いる。あるいは、図示しないが、1枚の繊維シート61とボード厚さ寸法が異なる2枚のセメントボード62とを用い、繊維シート61が2枚のセメントボード62の間に挟まれて積層されるように2枚のセメントボード62と1枚の繊維シート61とが互いに面同士を重ねて積層されて互いに接着剤で接合されて形成された厚さ1cm程度のボード60を用いる。即ち、繊維シート61がボード60のボード厚さ方向の中心位置から外れた位置である一方のボード面63側に位置するように層状に挟み込まれた構成のボード60を用いる。言い換えれば、繊維シート61がボード60の一方のボード面63側に偏った位置(偏芯した位置)に配置された構成のボード60を用いる。
当該実施形態では、当該ボード60の他方のボード面64を覆工部1の内面3側に向け、当該ボード60の一方のボード面63をトンネル空洞部11(図1参照)側に向けるようにして、内面3を覆うように補強板6としての当該ボード60を覆工部1に固定することにより、山側から覆工部1に力が加わり、ボード60の一方のボード面63側に引張力が加わった場合に、当該引張力に対して引張強度の大きい補強板6を構成できる。
補強板位置決め部材両端部固定ステップでは、図5に示すように、各溝4における内面3の周方向の両端部に、補強板位置決め部材5を覆工部1に固定するための固定手段10を用いる。
当該固定手段10は、例えば、溝4における内面3の周方向の端部に位置される補強板位置決め部材5としてのH形鋼50の長手方向の一端部に溶接等で固定された部材側連結部12と、覆工部1に固定されて部材側連結部12と連結される溝側連結部13とを備える。
溝側連結部13は、溝4における内面3の周方向の端部において、溝4の終端面41と向かい合う第1面板部15と溝4の底面42と向かい合う第2面板部16とを有したアングル状連結板17と、第2面板部16を覆工部1に固定する固定用アンカー18と、第1面板部15に形成されたねじ孔19に締結されて当該第1面板部15に設けられたボルト20と、部材側連結部12に形成されたボルト通孔21に通されたボルト20に締結されて部材側連結部12と第1面板部15とを連結するナット22とを備える。
連結部材25は、例えば、隣り合う各補強板位置決め部材5;5の端部のフランジ51;52及びウェブ54に跨るように設けられる添設板26とこの添設板26を各補強板位置決め部材5;5の端部のフランジ及びウェブに固定するボルト及びナットのような固定手段27とにより構成される。
尚、1つ1つの溝4毎に、それぞれ、溝4における内面3の周方向の両端に跨る長さの半円弧状の1本のH形鋼50を補強板位置決め部材5として設置して覆工部1に固定してもよい。この場合、連結部材25は不要となる。
さらに、溝4の底面42とH形鋼50の他方のフランジ52との間には充填材79としてのモルタル等の裏込材を注入して、当該充填材79の固化を待つ。この充填材79は、覆工部1の山側から図外の注入路を形成し、当該注入路を介して注入する。
以上により、補強板位置決め部材5が充填材79;79により覆工部1に固定された構造となる。このように溝4が形成されている部分の覆工部1に固定された補強板位置決め部材5としてのH形鋼50のトンネル空洞部11側に位置される一方のフランジ51の裏面72と固化したモルタル7Aの表面71との間の距離は、補強板6の端部69が入り込めるように補強板6のボード厚さ寸法と同程度の寸法に形成される。
つまり、トンネル延長方向に沿って所定間隔隔てて設置された2つの補強板位置決め部材5;5の間に設けられる補強板6におけるトンネル延長方向の両方の端部69;69を、補強板位置決め部材5の一方のフランジ51の裏面72と固化したモルタル7Aの表面71との間に挿入する。この際、補強板6はフレキシブルなボード60であるので、ボード60を内面3の湾曲に合わせて撓ませてボード60の一方の端部69を一方の補強板位置決め部材5のフランジ51の裏面72と固化したモルタル7Aの表面71との間に挿入してボード60の一方の端部69の縁を一方の補強板位置決め部材5のウェブ54に突き当てるとともにボード60の他方の端部69側のボード面64を内面3に押し当てた状態で当該ボード60を他方の補強板位置決め部材5側に移動させて当該他方の補強板位置決め部材5の一方のフランジ51の裏面72と固化したモルタル7Aの表面71との間に挿入する。このようにして、ボード60の一方の端部69側が一方の補強板位置決め部材5の一方のフランジ51の裏面72と固化したモルタル7Aの表面71との間に位置されるとともにボード60の他方の端部69側が他方の補強板位置決め部材5の一方のフランジ51の裏面72と固化したモルタル7Aの表面71との間に位置される。即ち、補強板6の板の両方の端部69;69は、補強板位置決め部材5としてのH形鋼50の一方のフランジ51の裏面72である湾曲面と固化した充填材であるモルタル7Aとの間に位置される。
以上により、図6(a)に示すように、覆工部1の補強構造が完成する。
また、実施形態1によれば、固定手段10、固定用の充填材7、連結具80によって、補強板6を覆工部1に確実に固定できるとともに、補強板6のトンネル延長方向の両方の端部69;69がフランジ51の端部縁である1本の湾曲線状に見えるようになるので内面3の周方向に隣り合う補強板6の端面同士を1つの線上に簡単に一致させることができるので、美観上に優れた補強構造を提供できる。
図6(b)に示すように、連結手段として充填材8を用いた構成としてもよい。この場合、H形鋼50のトンネル空洞部11側に位置される一方のフランジ51には、フランジ51を貫通する貫通孔による注入口53が形成される。
例えば、図6(a)に示すように、連結具80により、補強板6をフランジ51に連結した状態で、図6(b)に示すように、注入口53より補強板位置決め部材5の一方のフランジ51の裏面72と吹き付けモルタル7Aの表面71との間に充填材8としてのモルタル8Aを注入して当該モルタル8Aが固化することにより、補強板6の端部69が補強板位置決め部材5の一方のフランジ51の裏面72と固化したモルタル7Aの表面71とに固定状態に強固に連結され、補強板6が内面3を覆うように覆工部1に強固に固定されることになる。即ち、補強板6の板の両方の端部69;69は、補強板位置決め部材5としてのH形鋼50の一方のフランジ51の裏面72である湾曲面と固化した充填材であるモルタル7Aとの間に位置される。
モルタル8Aが固化して補強板6が内面3を覆うように覆工部1に固定された後は、ボルト86を外して補強板押さえ板85を外す。
以上により、図6(b)に示すように、覆工部1の補強構造が完成する。
実施形態1;2では、補強板位置決め部材5としてH形鋼50を用いた例を示したが、補強板位置決め部材5として、実施形態1;2でのH形鋼50の他方のフランジ52を除去した図8に示すような断面T字形のT形鋼50Aを用いてもよい。即ち、一方のフランジ51の面が覆工部1の上部の内面3の周方向に沿った湾曲面に合致する湾曲面に形成されたT形鋼50Aを補強板位置決め部材5として用いる。
実施形態3の場合、補強板位置決め部材5としてのT形鋼50Aのウェブ54Aを溝4に挿入した後、溝内にモルタル7A等の充填材7を充填することによりT形鋼50Aを覆工部1に固定する。即ち、補強板6の板の両方の端部69;69が、補強板位置決め部材5としてのT形鋼50Aの一方のフランジ51の裏面72である湾曲面と固化した充填材であるモルタル7Aとの間に位置される。そして、実施形態1のように連結具80を用いて補強板6が覆工部1に固定されたり(図8(a)参照)、実施形態2のように充填材8を用いて補強板6が覆工部1に固定される(図8(b)参照)。
実施形態3によれば、覆工部1の山側から図外の注入路を介して充填材79としてのモルタル等の裏込材を注入する作業をなくすことができる。また、溝4の溝幅を小さくできるので、溝4を形成するための作業手間、作業効率を向上できる。
3 トンネル覆工部の内面(構造物の表面)、4 溝、5 補強板位置決め部材、
6 補強板、7 固定用の充填材、8 連結用の充填材(連結手段)、
7A;8A モルタル(充填材)、10 固定手段、
50 H形鋼(補強板位置決め部材)、50A T形鋼(補強板位置決め部材)、
60 ボード(補強板)、61 繊維シート、
62 フレキシブルボード、69 補強板の端部、80 連結具(連結手段)。
Claims (3)
- 構造体の表面に間隔を隔てて形成された複数の溝と、
複数の溝にそれぞれ設けられて固定手段及び溝内に充填された固定用の充填材によって構造体に固定された補強板位置決め部材と、
間隔を隔てて隣り合った各溝にそれぞれ設けられた補強板位置決め部材と補強板位置決め部材との間における構造体の表面を板面で覆うように設置され、板の両方の端部が補強板位置決め部材と固化した充填材との間に位置された補強板と、
補強板の端部と補強板位置決め部材とを連結した連結手段と、
を備え、
溝は、構造体としてのトンネル覆工部の上部の内面において当該内面の周方向に沿って形成されかつトンネル延長方向に沿って所定間隔隔てて複数形成され、
補強板位置決め部材は、トンネル覆工部の上部の内面の周方向に沿った湾曲面に合致する湾曲面を有した部材により構成され、
補強板の板の両方の端部は、補強板位置決め部材の湾曲面と固化した充填材との間に位置されたことを特徴とする構造物の補強構造。 - 連結手段は、補強板位置決め部材に形成された注入口を介して補強板位置決め部材と固化した充填材との間に注入されて固化することにより補強板の端部を補強板位置決め部材に連結する連結用の充填材であることを特徴とする請求項1に記載の構造物の補強構造。
- 補強板は、セメントを用いて形成された2枚以上のフレキシブルボードと繊維シートとが積層されて、一方のフレキシブルボードと他方のフレキシブルボードとの間に繊維シートが挟み込まれて形成されたボードであって、繊維シートがボードの厚さ方向の中心位置から外れた位置である一方のボード面側に位置するように設けられた構成のボードであり、当該ボードの他方のボード面が構造体の表面と接触可能で構造体からの力を受けた場合に繊維シートが一方のボード面側に加わる引張力に抵抗するように当該ボードが構造体に固定されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の構造物の補強構造。
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