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JP6926060B2 - カニ殻エキス、カニ缶詰及びカニ殻エキスの製造方法 - Google Patents
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JP6926060B2 - カニ殻エキス、カニ缶詰及びカニ殻エキスの製造方法 - Google Patents

カニ殻エキス、カニ缶詰及びカニ殻エキスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カニ殻エキス、カニ缶詰及びカニ殻エキスの製造方法に関する。
近年、流通の発達によりカニの脚肉の販売形態は缶詰から冷凍、チルドへシフトしているため、カニ缶詰の市場においてはカニ肉フレーク缶詰の割合が高まっている。カニ肉フレーク缶詰の製造過程では、原料フレーク肉を大量の水で洗浄する必要があり、洗浄後のカニの香りと味に乏しいフレーク肉を使用せざるを得ない、という課題がある。
なお、大量の水による洗浄は、カニフレーク缶の原料となるフレーク肉が、カニの肩、爪、節肉等の部位から機械的に採取されるところ、これら機械的に採取されるフレーク肉にはカニ殻中に含まれる血液蛋白質であるヘモシアニンが混入しており、これらを除去する必要があるためである。カニ殻及びヘモシアニンが混入したカニ肉を缶詰製造に用いると、カニ殻により食感が低下し、またカニ殻のCaCOが溶出してpHが経時的に上昇し、アンモニア臭が発生する恐れがあるほか、缶詰の殺菌時に発生する硫黄化合物とヘモシアニンが結合してブルーミートが生じる恐れがある。
食品の香りは美味しさに寄与する重要な因子であり、カニ缶詰への香気成分の付与はカニ缶詰の品位向上に非常に重要である。
しかし、カニ缶詰においては、カニの味及び香りのうち、カニの香りを向上させることは特に難しいとされてきた。
これは特に、内容物充填後に缶詰を加圧加熱殺菌するという缶詰の製造工程によるもので、合成香料は耐熱性が弱く、加圧加熱殺菌により消失又は変性してしまう。また、カニ肉エキスは低温減圧濃縮して製造されるため、カニの香り自体が弱く、缶詰の加圧加熱殺菌後の香気は極めて弱い。またカニ肉エキスには、血液蛋白ヘモシアニンが含まれている場合、上述したブルーミート等の品質課題の発生が懸念されるという別の課題もある。
ブルーミートの懸念がカニ肉よりも少なく、且つ低コストなカニの風味源として、従来カニ殻を利用することがなされている。例えば、特許文献1には蟹殻を破砕機により砕き、原材料の蟹として煮込み容器に投入、原材料の蟹1に対して水4〜8を加え煮込む過程と煮込み汁が原材料の蟹1に対して2〜6になるまで煮込み濃縮すると原材料の蟹を取り出し、缶詰用の缶に均等に分散、さらに、煮込み汁を 10均等に加え蟹風味エキスの缶詰にした蟹風味エキス及びそれを用いた蟹風味麺の製造方法が記載されている。
また特許文献2には、カニ肉をカニ殻と一緒に充填したカニの缶詰が記載されている。
特開平6−303946号公報 特開平10−28559号公報
しかしながら、特許文献1に記載のエキスは生臭く、カニの香り付与効果が十分でない。特許文献2の缶詰のようにカニ殻そのものの添加は、ざらざらとした食感になりやすいほか、経時的なpH上昇による異臭の恐れがある。
本発明の課題は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得るカニ殻エキス及びカニ缶詰を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究したところ、特定の香気成分を特定量以上含有するカニ殻エキスをカニフレーク缶等のカニ缶詰原料に添加することで、当該原料が封入された缶詰の加圧加熱殺菌及び経時保管後に当該香気成分が残存し、カニの香り及び味が向上していることを見出した。
本発明は、前記知見に基づくものであり、液状のカニ殻エキスであって、
2−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか、
3−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか又は
ヘキサナールの相対換算濃度が0.01μg/L以上である、カニ殻エキスを提供するものである。
また本発明は、液状のカニ殻エキス及びカニ肉を含むカニ缶詰であって、以下の(1)又は(2)を満たす、カニ缶詰を提供するものである。
(1)内容物を固液分離し、得られた固形分の2−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか、3−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか、又はヘキサナールの相対換算濃度が6μg/L以上である。
(2)内容物を固液分離し、得られた液体分の2−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか、3−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか、又はヘキサナールの相対換算濃度が0.03μg/L以上である。
また本発明はカニ殻を焼成する工程と、焼成後のカニ殻を密閉容器内で水煮するか又は大気圧下に還流しながら水煮して、エキスを得る工程とを含むカニ殻エキスの製造方法を提供するものである。
本発明のカニ殻エキスは、カニ缶詰等の容器詰め食品に添加することで、カニの香り及び味を効果的に向上させることができる。また本発明のカニ缶詰は、カニの香り及び味に優れたものである。更に、本発明のカニ殻エキスの製造方法は、本発明のカニ殻エキスを効率よく製造することができる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明のカニ殻エキスは液状である。ここでいう液状とは25℃で液状であることを指す。
本発明のカニ殻エキスは、(A)2−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか、(B)3−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか、又は(C)ヘキサナールの相対換算濃度が0.01μg/L以上であることが好ましい。これら3成分はいずれもカニ殻の香気成分である。(A)〜(C)の成分量を有するカニ殻エキスをカニ缶詰に添加することで、その後の殺菌及び保管後にも、(A)〜(C)の成分がカニ缶詰に残存し、カニの香り及びカニの風味を向上させることができる。カニ缶詰に付与するカニの香りを更に一層高める観点から、前記ヘッドスペースにおいて、前記(A)又は(B)が満たされることがより好ましく、前記(A)及び(B)が満たされることが特に好ましい。また、前記(A)〜(C)の成分濃度条件のうち2つ以上が満たされることが好ましく、3つ全てが満たされることが最も好ましい。
本明細書中、相対換算濃度とは、以下のように測定する。
測定対象物質(具体的には、2−メチルブタナール、3−メチルブタナール又はヘキサナール)を0.83μg/L、8.33μg/L及び83.33μg/Lの各濃度となるように溶解させた水溶液を用意する。各濃度の水溶液6mLをそれぞれ20mLの容器に密閉し40℃雰囲気下におく。容器のヘッドスペース部分には、Twister PDMS(ガラス製撹拌子にPDMS(ポリジメチルシロキサン)をコーティングしたもの)(Gerstel社製)を2個配置しておく。ヘッドスペース中に飽和する測定対象物質を前記温度にてTwisterで1時間吸着させ、吸着した測定対象物質の量をガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS法)にて測定する。水溶液中の測定対象物質の濃度と、GC−MS法で得られた測定対象物質の吸着量(ピーク面積)とをプロットした検量線を得る。
検量線を得る場合と同様に、カニ殻エキス6mLを、ヘッドスペース部分にTwister PDMSを2個配置した20mLの容器に密閉し、40℃雰囲気下に1時間かけて、Twisterに気相を吸着させる。Twisterに吸着させた気相成分を、GC−MS法による測定対象成分の吸着量の測定に供する。前記の検量線から、エキスについて測定した測定対象成分の吸着量(ピーク面積)に相当する水溶液中の測定対象物質の濃度(μg/L)を求める。この水溶液中の測定対象物質の濃度(μg/L)は、エキス中に含まれていた測定対象成分の揮発量を示している。従ってこれを相対換算濃度と定義した。サンプル採取及びその測定方法は、具体的には後述の実施例に記載の方法により行うことができる。
カニ缶詰に付与するカニの香り及び味を一層高める観点から、カニ殻エキスの(A)2−メチルブタナールの相対換算濃度は5μg/L以上であることがより好ましく、10μg/L以上であることが特に好ましい。カニ殻エキスの2−メチルブタナールの相対換算濃度は、カニの香り及び味を程良いものにする点から、100μg/L以下であることが好ましく、40μg/L以下であることがより好ましい。
カニ缶詰に付与するカニの香り及び味を一層高める観点から、カニ殻エキスの(B)3−メチルブタナールの相対換算濃度は1μg/L以上であることがより好ましく、5μg/L以上であることが特に好ましい。カニ殻エキスの3−メチルブタナールの相対換算濃度は、カニの香り及び味を程良いものにする点から、100μg/L以下であることが好ましく、20μg/L以下であることがより好ましい。
カニ缶詰に付与するカニの香りを一層高める観点から、カニ殻エキスの(C)ヘキサナールの相対換算濃度は0.01μg/L以上であることが好ましく、0.05μg/L以上であることがより好ましく、0.1μg/L以上であることが特に好ましい。前記ヘキサナールの相対換算濃度は、カニの香り及び味を程良いものにする点から、10μg/L以下であることが好ましく、5μg/L以下であることがより好ましく、0.5μg/L以下であることが特に好ましい。
また、カニ殻エキスにおける3成分の量を前記の範囲にするためには、後述する好適なカニ殻エキスの製造方法において、焼成温度及び抽出温度やその時間を調整すればよい。
カニ殻エキスはカニ殻に含まれる成分を抽出したものである。カニ殻の由来となるカニとしては、タラバガニ属に属するカニとして、タラバガニ(Paralithodes camtschatica)、アブラガニ(Paralithodes platypus)、ハナサキガニ(Paralithodes brevipes)、イバラガニ(Lithodes turritus Ortmann)が挙げられ、ズワイガニ属に属するカニとして、ズワイガニ(Chionoecetes opilio)、オオズワイガニ(Chionoecetes bairdi)、ベニズワイガニ(Chionoecetes japonicus)が挙げられ、その他では、アサヒガニ(Ranina ranina)、アミメノコギリガザミ(Scylla serrata)、イバラガニ(Lithodes turritus Ortmann)、イバラガニモドキ(Lithodes aequispina Benedict)、ケガニ(Erimacrus isenbeckii(Brandt))、サワガニ(Geothelphusa dehaani (White))、ジャノメガザミ(Portunus sanguinolentus (Herbst))、タイワンガザミ(Portunus pelagicus (Linnaeus))、ダンジネスクラブ(Cancer magister Dana)、マルズワイガニ(Chaceon maritae (Manning & Holthuis))、ヨーロッパイチョウガニ(Cancer pagurus Linnaeus)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
中でも、香気の優れたカニ殻が得られる点等から、タラバガニ属、ズワイガニ属から選ばれるカニのカニ殻を用いることが好ましく、タラバガニ属又はズワイガニ属に属するカニのカニ殻を用いることが特に好ましい。
カニ殻の原料部位としては、肩、長節、腕節、前節、爪、鉗脚、頭胸甲等、限定なく用いることができる。
本発明のカニ殻エキスは、カニ殻を非含有であることが、カニ殻によるpH上昇によるアンモニア臭等の異臭の発生やブルーミートの防止ができる点から好ましい。カニ殻を非含有であるとは、カニ殻エキス中のカニ殻の含有量が0.5質量%以下であることを意味する。カニ殻エキス中のカニ殻の含有量が0.1質量%以下であることがより好ましく、0質量%であることが最も好ましい。
本発明のカニ殻エキスは、30℃のpHが9以下であることが、アンモニア臭等の異臭の防止やブルーミートの防止の観点で好ましく、5以上であることが風味や食感の低下防止の点で好ましい。この観点から、カニ殻エキスは、30℃で測定するpHが6以上8以下であることがより好ましい。
本発明のカニ殻エキスは、塩分濃度が0.01質量%以上2質量%以下であることが缶詰に添加したときの塩分濃度の上昇を防止する点、及びカニ殻エキスの製造しやすさの点で好ましい。この観点から、カニ殻エキスの塩分濃度は、0.05質量%以上1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下であることが特に好ましい。塩分濃度は後述する実施例に記載の方法で測定できる。
本発明のカニ殻エキスは、糖分濃度が0.01質量%以上20質量%以下であることが缶詰に添加したときの風味の良好さ、及びカニ殻エキスの製造しやすさの点で好ましい。この観点から、カニ殻エキスの糖分濃度は0.1質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以上1質量%以下であることが特に好ましい。糖分濃度は後述する実施例に記載の方法で測定できる。
またエキスの水分量としては、80質量%以上が挙げられ、90質量%以上が好ましい。水分量は後述する実施例に記載の方法で測定できる。
次いで、本発明のカニ缶詰について説明する。本発明のカニ缶詰は、液状のカニ殻エキス及びカニ肉を含むカニ缶詰であって、以下の(1)又は(2)を満たすことが好ましい。
(1)内容物を固液分離し、得られた固形分の(a1)2−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか、(b1)3−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか、又は(c1)ヘキサナールの相対換算濃度が6μg/L以上である。
(2)内容物を固液分離し、得られた液体分の(a2)2−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか、(b2)3−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか、又は(c2)ヘキサナールの相対換算濃度が0.03μg/L以上である。
カニ缶詰に付与するカニの香りを更に一層高める観点から、缶詰の固形分において、前記(a1)又は(b1)が満たされることがより好ましく、前記(a1)及び(b1)が満たされることが特に好ましい。また、前記(a1)〜(c1)の成分の濃度条件のうち2つ以上が満たされることがより好ましく、3つ全てが満たされることが最も好ましい。また本発明のカニ缶詰は、前記(1)及び(2)を両方満たすことが更に好ましい。
カニ缶詰のカニの香り及び味を更に一層高める観点から、缶詰の液体分において、前記(a2)又は(b2)が満たされることが好ましく、前記(a2)及び(b2)が満たされることが更に好ましい。また、前記(a2)〜(c2)の成分の濃度条件のうち2つ以上が満たされることがより好ましく、3つ全てが満たされることが最も好ましい。
カニ缶詰の固形分に係る前記相対換算濃度は、前記エキスの相対換算濃度において、エキス6mLを固形分6gに置き換える以外は、エキスにおける各成分の相対換算濃度と同様の方法にて測定できる。カニ缶詰の液体分に係る前記相対換算濃度は、前記エキスの相対換算濃度において、エキス6mLをカニ缶詰の液体分6mLに置き換える以外は、エキスにおける各成分の相対換算濃度と同様の方法にて測定できる。
カニ缶詰のカニの香り及び味を一層高める観点から、缶詰の固形分の(a1)2−メチルブタナールの相対換算濃度は1μg/L以上であることがより好ましく、5μg/L以上であることが特に好ましい。缶詰の固形分の2−メチルブタナールの相対換算濃度は、カニ缶詰のカニの香り及び味を程良いものにする観点から、300μg/L以下であることが好ましく、50μg/L以下であることがより好ましい。
カニ缶詰に付与するカニの香り及び味を一層高める観点から、缶詰の固形分の(b1)3−メチルブタナールの相対換算濃度は1.0μg/L以上であることがより好ましく、10μg/L以上であることが特に好ましい。缶詰の固形分の3−メチルブタナールの相対換算濃度は、カニ缶詰のカニの香り及び味を適度なものにする観点から、500μg/L以下であることが好ましく、100μg/L以下であることがより好ましい。
カニ缶詰に付与するカニの香りを一層高める観点から、缶詰の固形分の(c1)ヘキサナールの相対換算濃度は6μg/L以上であることがより好ましく、8μg/L以上であることが特に好ましい。缶詰の固形分の、ヘキサナールの相対換算濃度は、カニ缶詰のカニの香り及び味を程良いものにする観点から、100μg/L以下であることが好ましく、20μg/L以下であることがより好ましい。
カニ缶詰のカニの香り及び味を一層高める観点から、缶詰の液体分の(a2)2−メチルブタナールの相対換算濃度は0.5μg/L以上であることがより好ましく、1μg/L以上であることが特に好ましい。缶詰の液体分の2−メチルブタナールの相対換算濃度は、カニ缶詰のカニの香り及び味を程良いものにする観点から、20μg/L以下であることが好ましく、4μg/L以下であることがより好ましい。
カニ缶詰に付与するカニの香り及び味を一層高める観点から、缶詰の液体分の(b2)3−メチルブタナールの相対換算濃度は1μg/L以上であることが好ましく、5μg/L以上であることがより好ましく、10μg/L以上であることが特に好ましい。缶詰の液体分の3−メチルブタナールの相対換算濃度は、カニ缶詰のカニの香り及び味を程良いものにする観点から、400μg/L以下であることが好ましく、80μg/L以下であることがより好ましい。
カニ缶詰に付与するカニの香りを一層高める観点から、缶詰の液体分の(c2)ヘキサナールの相対換算濃度は0.1μg/L以上であることがより好ましく、0.3μg/L以上であることが特に好ましい。缶詰の液体分の、ヘキサナールの相対換算濃度は、カニ缶詰のカニの香り及び味を程良いものにする観点から、10μg/L以下であることが好ましく、2μg/L以下であることがより好ましい。
カニ缶詰における固液分離は、例えば遠心分離により行うことができる。その場合の例えば一缶あたりの内容物全てを、4℃以上25℃以下、6000rpm以上10000rpm以下、5分間以上30分間以下の条件で遠心分離する条件を採用することができる。
前記条件で固液分離した固形分と液体分の質量比は、前記条件の遠心分離において、固形分100質量部に対して液体分が20質量部以上100質量部以下であることが好ましく、50質量部以上70質量部以下であることがより好ましい。固形分はカニ肉からなる。
前記2−メチルブタナール、3−メチルブタナール及びヘキサナールの相対換算は、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS法)により測定される。また、ヘッドスペースのサンプルをガスクロマトグラフィー−質量分析法に供するには、Twisterを用いることが好ましい。サンプル採取及びその測定方法は、具体的には後述の実施例に記載の方法により行うことができる。
また、カニ缶詰における3成分の量を前記の範囲にするためには、後述する好適なカニ缶詰の製造方法において、上述する本発明のカニ殻エキスを添加し、その量を調整すればよい。
本発明のカニ缶詰は、液状のカニ殻エキスを含有する。カニ殻エキスの含有量は、前記遠心分離における液体分中0.1質量%以上100質量%以下であることがカニの香り及び味を一層好適なものとする点で好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。カニ殻エキスは上述した本発明のカニ殻エキスであることが好ましい。
カニ缶詰に含有されるカニ肉の原料カニの種類としては、カニ殻の原料カニの種類と同様のものが挙げられる。カニ缶詰に含有されるカニ肉の原料カニの種類と、カニ殻の原料カニの種類とは同一であってもよく、異なっていてもよい。
カニ缶詰に含有されるカニ肉は、棒肉(「脚肉」ともいわれる)等をほぐさずにそのままカニ肉を充填したものであっても、フレーク肉(砕肉)であってもよいが、フレーク肉であることが、本発明において、特定量以上の2−メチルブタナール、3−メチルブタナール又はヘキサナールを含有することによる香り及び味の向上効果が高いために好ましい。フレーク肉の原料部位としては、爪肉及び爪下肉、肩肉、ラッキョ、ナンバン、四足等が挙げられる。
本発明のカニ缶詰は、カニ殻を非含有であることが、カニ殻によるpH上昇によるアンモニア臭等の異臭の発生や食感の低下を防止できる点から好ましい。カニ殻を非含有であるとは、カニ缶詰内容物中のカニ殻の含有量が0.5質量%以下であることを意味する。カニ缶詰内容物中のカニ殻の含有量は0.1質量%以下であることがより好ましく、0質量%であることが最も好ましい。
カニ缶詰は、カニ殻エキス及びカニ肉以外に、調味料、酸味料、リン酸塩、増粘剤、亜硫酸塩等を適宜含有することができる。
本発明のカニ缶詰はその液体分の30℃のpHが9以下であることが、アンモニア臭等の異臭の防止やブルーミートの防止の観点で好ましく、5以上であることが風味や食感の低下防止の点で好ましい。この観点から、カニ缶詰の液体分は、30℃で測定するpHが6以上8以下であることがより好ましい。
本発明のカニ缶詰は、塩分濃度が1質量%以上5質量%以下であることが缶詰に添加したときの塩分濃度の上昇を防止する点、及びカニ缶詰の製造しやすさの点で好ましい。この観点から、カニ缶詰の塩分濃度は、1.5質量%以上4質量%以下であることがより好ましい。塩分濃度は後述する実施例に記載の方法で測定できる。
本発明のカニ缶詰は、糖分濃度が1質量%以上15質量%以下であることが缶詰に添加したときの風味の良好さ、及びカニ缶詰の製造しやすさの点で好ましい。この観点から、カニ缶詰の糖分濃度は5質量%以上12質量%以下であることがより好ましい。糖分濃度は後述する実施例に記載の方法で測定できる。
次いで、本発明のカニ殻エキスの好適な製造方法について説明する。
本製造方法は、カニ殻を焼成する工程(以下、焼成工程ともいう)と、焼成後のカニ殻を密閉容器内で水煮するか又は大気圧下に還流しながら水煮して、エキスを得る工程(以下、抽出工程ともいう)とを含む。
焼成前、カニ殻は、粉砕することが好ましい。粉砕により、抽出効率及び焼成効率を向上させることができ、製造時間を短縮できる。
カニ殻の粉砕サイズとしては、例えば、1片の最大長さが0.1cm以上10cm以下であることが、製造時間の短縮効果が高い点及び抽出工程後にカニ殻をエキスから除去しやすい点で好ましく、1cm以上2cm以下であることが更に好ましい。最大長さとは、カニ殻片を一方向からみた像を横断する最長線分が最も長くなる方向からみた像における該最長線分の長さをいう。
粉砕サイズは、任意の10個以上の平均値として求められる。
カニ殻の焼成は、例えば100℃以上200℃以下であると、カニ殻エキスにおける前記香気成分量を前記下限以上にしやすい点で好ましく、140℃以上160℃以下であることが更に好ましい。カニ殻の焼成は窒素雰囲気等の不活性雰囲気や真空雰囲気で行ってもよいが、大気雰囲気中で行うことが好ましい。焼成中の湿度は10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。
焼成時間は、例えば0.1時間以上1時間以下であることが好ましく、0.4時間以上0.6時間以下であることがより好ましい。ここでいう時間とは、焼成を2回以上に分けて行った場合はその合計の時間とする。
カニ殻の抽出工程は、焼成後のカニ殻を密閉容器内で水煮するか又は大気圧下で還流しながら水煮して、エキスを得る工程である。密閉容器内での水煮を行えば、水煮の過程で揮発した香気成分を逃さない。この場合において、蒸気と接触する容器の上部を冷却する等して蒸気を凝縮して容器内に還流させることが、容器内の蒸気圧を一定に保ちやすく、香気成分を前記下限以上含有するカニ殻エキスを効率よく製造できる点で好ましい。なお容器内で発生する蒸気のうち還流される蒸気の割合が一定以上であれば本発明のカニ殻エキスを製造できるため、本製造方法は、必ずしも密閉容器内で水煮することを必須とするものではなく、非密閉容器内において、大気圧下で還流しながら水煮を行ってもよい。この場合においても水煮は半密閉容器中で行うことが好ましい。半密閉容器とは、完全に密閉された容器ではないが、周りが囲まれていることにより、蒸気の移動が制限された容器を指す。非密閉容器内で行う還流方法は密閉容器内で行う還流方法として前記で例示した方法と同様の方法が挙げられる。容器の上部は容器と一体であっても蓋体として離間可能であってもよい。
抽出工程において、カニ殻1質量部に対して、水1質量部以上20質量部以下用いることが、香気成分が前記の量のカニ殻エキスが容易に得やすい点で好ましく、水5質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
抽出工程における蒸気圧は、例えば0MPa以上0.1MPa以下が好ましく、0MPa以上0.04MPa以下がより好ましい。
また、抽出工程における水煮の温度は50℃以上130℃以下が香気成分の量が前記下限以上のカニ殻エキスを得やすい点で好ましく、90℃以上100℃以下がより好ましい。更に容器の上部を冷却する場合、容器の上部の温度は10℃以上50℃以下が好ましく、10℃以上20℃以下がより好ましい。
前記温度における抽出時間は0.5時間以上2時間以下が好ましく、0.8時間以上1.2時間以下がより好ましい。
前記で抽出したカニ殻エキスは濾過してカニ殻を除去する。エキスは通常30℃でのpHが9〜10であり、酸を入れて前記好ましいpHに調整することが好ましい。pH調整に用いる酸は例えば、クエン酸や乳酸、リンゴ酸等が風味に影響しにくいため好ましい。
得られたカニ殻エキスは、カニ缶詰の香味付与の用途以外に、調味料、香料などとして各種の用途に用いることができる。
次いで、本発明のカニ缶詰の製造方法について説明する。
カニ缶詰は、原料カニ肉がフレーク肉の場合には上述のように水による洗浄を行った後に、水切りし、容器に充填し、また調味液を充填する。調味液の缶への充填とカニ肉の缶への充填はどちらを先に行ってもよい。またカニ肉を予め別の調味液に浸漬処理を施し、それを缶に充填してもよい。カニ殻エキスはいずれの段階で缶に充填されてもよいが、例えば、調味液に含有させることが缶詰の効率的な製造の点で好ましい。内容物を充填した後に缶は巻締され、洗浄されたのち、殺菌される。殺菌は例えば110℃以上130℃以下で7分以上80分、特に115℃以上130℃以下で7分以上30分以下、で行うことが、低温長時間殺菌と比べて肉色、肉質等を良好としながら、前記香気成分の量が前記下限以上のカニ缶詰を容易に得られるため好ましい。
本発明においてカニ殻エキス、カニ缶詰の固形分及び液体分中の2−メチルブタナール、3−メチルブタナール及びヘキサナールの量の測定方法は、上述した方法に限定されない。例えばカニ殻エキス、カニ缶詰の固形分及び液体分から2−メチルブタナール、3−メチルブタナール及びヘキサナールを溶媒で抽出して、抽出後の溶媒中のこれら測定対象成分の量を測定(例えばGC−MS法により測定)することによっても、本発明のカニ殻エキス、カニ缶詰中に存在する2−メチルブタナール、3−メチルブタナール及びヘキサナールの量を特定することが可能である。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]カニ殻エキスの製造
(カニ殻原料)
抽出用のカニ殻原料として、紅ズワイガニ(Chionoecetes japonicus)を用いた。カニ殻原料は、水煮缶詰を製造する際に用いられる採肉加工処理後の殻で、殻内にカニ肉が付着しない様に洗浄したものを用いた。カニ殻原料部位は特定せず、肩肉、棒肉(長節)、ラッキョ(腕節)及びナンバン(前節)殻を用いた。1度冷凍した紅ズワイガニ殻は、プラスチック籠に入れ、1晩自然解凍して、使用した。鮮度の悪い殻や色目が黒いもの等は、事前に選別して使用を控えた。自然解凍による原料歩留は、85〜90質量%程度であった。
(粉砕処理)
カニ殻原料の粉砕処理は、ロータリーカッター/SRC−2SUS(寺田製作所)を使用した。粉砕処理は、回転数150rpm、スクリーン(粉砕粒度調整器具)15mmφ目を用い、カニ殻の粉砕粒度を10〜20mm長/1片になるように調整した。
粉砕処理量は毎時40〜50kg、粉砕歩留は95〜97質量%であった。
(焼成処理)
粉砕後のカニ殻原料の焼成処理は、マルチクッカー/KEMG−2011T(北沢産業)を使用した。粉砕カニ殻の収納は、アルミ製の焼成パンにカニ殻10kgを計量し、ラックに20段収納した。焼成条件は、大気雰囲気中、事前の予備加熱として170℃5分、本条件として155℃、湿度0%で、30分で行った。ファンスピードは通常の50%の減速モードに設定し、カニ殻が庫内に飛び散らない様にした。カニ殻の焼成歩留は、50〜52%であった。
(熱水抽出処理)
熱水抽出装置は、300Lのジャケット式ライスボイラー(カジワラ製)を使用した。また、ライスボイラーに乗せる冷却専用蓋として、ステンレス製の円錐蓋(直径1000φ×300mmH)を使用した。そして、ライスボイラーと冷却蓋の密封性を確保する為に、シリコンチューブをライスボイラー縁部に装着した。熱水抽出を開始するにあたり、粉砕カニ殻15kg、水150kg、シリコン剤3g(信越シリコン)をライスボイラーに投入し、冷却蓋を乗せて、蒸気圧0.02MPaの条件で、加熱を開始した。この時、冷却蓋凹部には25kgの水を投入し、毎分4Lの水を連続注入して、蓋に付着した蒸気を凝縮させ、ライスボイラー内部に還流させた。ライスボイラーの中心液温度が97〜100℃達温後、この温度以下にならない様に、蒸気圧を0.00〜0.02MPaに微調整しながら、60分間の本抽出を行った。この間、冷却蓋の温度は10℃〜20℃であった。本抽出終了後は、ライスボイラージャケット内蒸気を排気し、毎分60Lの水をジャケットに連続注入しながら、抽出エキスの冷却処理を30℃迄で行った。冷却後の抽出エキスは、150メッシュの濾布を使用して濾過した。濾過直後の抽出エキスの30℃でのpHは9.0〜10、0、糖分濃度は0.3〜1.0質量%、塩分濃度は0.05〜0.10質量%であった。その後、抽出エキスにクエン酸を添加して30℃でのpH7前後に調整した。濾過後の抽出エキス歩留は、添加水比90〜92質量%であった。
なお、糖分濃度はポケットモデルS((株)アタゴ製)で測定した。また塩分濃度はデジタル塩分計ES−421((株)アタゴ製)で測定した。
エキスの水分量は99質量%以上であった。水分量はKett赤外線水分計FD−600で測定した。
[成分分析]
実施例1で得られた紅ズワイガニ殻エキスのヘッドスペース香気成分の定量検討を行った。
紅ズワイガニ殻エキス6mLを20mLバイアル(ガラス製)に加え、ヘッドスペース部分にTwister PDMS(ガラス製撹拌子にPDMS(ポリジメチルシロキサン)をコーティングしたもの、型番011222−001−00(Gerstel社製)を2個、瓶の外側から磁石で固定することで内包した。40℃で1時間、ヘッドスペースにおける香気成分を吸着させ、これを下記条件のGC−MS分析に供した。
具体的には、各測定対象物質(2−メチルブタナール、3−メチルブタナール、ヘキサナール)を各々0.83μg/L、8.33μg/L及び83.33μg/Lの濃度で前記のように段階的に水に希釈した水溶液を調製し、前記方法でヘッドスペースの香気成分の吸着量を測定し、エクセルのLINEST関数を用いて検量線を作成した。前記エキスに係るヘッドスペース中の香気成分の吸着量の測定を行い、得られた測定値(ピーク面積)を前記の検量線にあてはめた場合に相当する測定対象物質の水溶液の濃度を相対換算濃度と定義し、エキスから揮発される各成分量の定量値とした。
PDMSからの香気成分の脱着には、TDU(Thermal Desorption Unit: Gerstel社製)を用い下記TDU昇温条件による加熱により脱着した。TDUにおいて加熱脱着され気化した香気成分は、CIS4(CooledInjection system 4: Gerstel社製)を用い−100℃の冷却捕集により再濃縮した。その後下記CIS昇温条件によるプログラム昇温気化を用いGC−MSのカラムへ香気成分を導入した。ただし、香気成分の導入はスプリットレス法とした。
・TDU昇温条件: 40℃→260℃(720℃/分)、260℃3分間
・CIS昇温条件: −100℃→280℃(12℃/秒)、280℃10分間
<GC−MS分析の測定条件>
・GC−MS装置: Agilent Technologies社製7890B、5977A
・カラムの種類: InertCap Pure Wax、長さ60m、内直径0.25mm、カラム膜厚(df)0.25μm (ジーエルサイエンス社製)
・カラム昇温条件: 40℃10分間、40℃→230℃(5℃/分)、230℃20分間
・キャリアガス: ヘリウム
・流量条件:線速度28cm/秒、流量1.7181mL/分、圧力127.2kPa、コンスタントフローモード
表1に、解析対象とした化合物のデータを示す。各イオンクロマトグラムの抽出は、表1中に太字・下線で示すイオンにて取得した。またカニ殻エキスの香気成分定量結果を表2に示す。
Figure 0006926060
Figure 0006926060
[比較例1]マルズワイ缶詰の製造
(カニ原料)
ナミビアから輸入した、マルズワイガニ(アフリカオオエンコウガニ)の冷凍ボイル済みフレーク原料を使用した。冷凍原料は、40〜50℃の温水で自然解凍し、解凍後のフレーク温度を10℃以下に調整した。
(殻取・洗浄)
振子式多段洗浄機を使用して、フレーク内に混在する殻等の夾雑物を水洗除去した。その後、フレークは、プレス機を用いて、6kg/cm、10秒の条件で水切りを行った。
(浸漬処理)
水切り後のフレークを、その1.5質量倍の量の浸漬液にて、1晩以上浸漬タンク内で、浸漬処理(12〜24時間)を行った。浸漬液の配合は、亜硫酸ナトリウム0.06質量%、ピロリン酸4ナトリウム0.30質量%、ポリリン酸ナトリウム0.30質量%、酸性ピロリン酸0.15質量%、クエン酸ナトリウム0.25質量%、水98.94質量%で、浸漬後のフレークpHを7.2〜7.5に調整した。浸漬後のフレークは、ベルト式のプレス機を使用し、規定量の水分値になるように調整した。
(肉詰・調味液充填)
得られたフレークは、F3号RN缶に35g充填した。次いで、ソルビット4.30質量%、食塩2.79質量%、グルタミン酸ナトリウム1.00質量%、グリシン0.40質量%、オキアミ系調味料MT−3YM−1(大阪食品化学)0.23質量%、モナートガム0.28質量%、リポタイド(MCフードスペシャリティーズ)0.21質量%、DL−アラニン0.21質量%、水90.58質量%の混合溶液を36g注液充填した。
(巻締・殺菌)
注液充填後は、24N型シーマー(昭和工機)を使用し、0.06MPaの真空条件で2重巻締めを行い、真空密封した。次いで、静置式蒸気殺菌機(畑中機工)を使用して、内容物中心F0値5以上を目標に、カムアップ20分、120℃20分、0.097MPaの条件で加圧加熱殺菌した後、加圧冷却をしながら急冷却し、マルズワイ缶詰製品を得た。缶詰製品の糖分濃度は、9.6〜10.0質量%、塩分濃度は2.3〜3.3質量%、30℃でのpHは7.0〜7.4であった。
[実施例2]カニ殻エキス入りマルズワイ缶詰の製造
比較例1と同様の原料を使用した前処理(殻取・洗浄、浸漬等)済みフレークを、F3号RN缶に35g充填した。次いで、比較例1の混合溶液36g中、水90.58質量%を70.58質量%に変更し、実施例1に於いて得られた紅ズワイガニ殻の抽出エキス20.00質量%を加えた。その点以外は比較例1と同様にして、カニ殻エキス入りマルズワイカニ缶詰製品を得た。缶詰製品の糖分濃度は、9.6〜10.0質量%、塩分濃度は2.3〜3.3質量%、30℃でのpHは7.0〜7.4であった。
[実施例3]カニ殻エキス入りマルズワイ缶詰の製造
実施例2の混合溶液36g中、水の量を69.95質量%に変更し、食塩の量を2.33gに変更し、ソルビットの量を2.86質量%に変更し、グラニュー糖1質量%、キサンタンガム0.27質量%、アミノ酸2.4質量%、クエン酸0.24質量%、タンパク質分解物0.68質量%、核酸調味料0.27質量%を新たに添加した以外は実施例2と同様にした。缶詰製品の糖分濃度は、11.1〜11.5質量%、塩分濃度は2.3〜3.3質量%、30℃でのpHは7.0〜7.4であった。
[成分分析]
実施例2、3で得られた紅ズワイガニ殻エキス入りマルズワイ缶詰、及び比較例1で得られたエキスが添加されていないマルズワイ缶詰それぞれのヘッドスペース香気成分の定量検討を行った。
缶詰内容物(1缶, 71g)を、遠心分離した(6,000rpm, 20min, 4℃)。上清 22.79gと固形分 36.20gに分離し、それぞれ20mLバイアルに6mL(液体分)もしくは6g(固形分)加え、ヘッドスペース部分にポリジメチルシロキサン(PDMS)Twister(型番011222−001−00)を2個静置した。40℃で1時間気相の香気成分を吸着させ、これを前記記載の条件のGC−MS分析に供した。相対換算濃度の測定は前記記載のエキス同様に行った。得られた結果を表3に示す。
Figure 0006926060
前記の通り、缶詰のカニ肉固形分及び液体分のいずれにおいても、カニ殻エキスを添加することで、2−メチルブタナール、3−メチルブタナール、ヘキサナールの3種のヘッドスペースの成分量すなわち相対換算濃度が所定量以上となること、及び比較例1の缶詰のカニ肉固形分及び液体分では、2−メチルブタナール、3−メチルブタナール、ヘキサナールの3種のヘッドスペースの成分量が所定量以上とならないことが確認された。
比較例1と実施例2の比較
比較例1のマルズワイ缶詰と実施例2の缶詰の比較評価を実施した。健常な成人である6名のパネラーそれぞれに、比較例1及び実施例2のカニ缶詰を開缶させ、比較例1及び実施例2とでどちらが開缶時のカニの香りが高いか、及び、どちらが缶詰中のカニ肉を喫食した場合のカニの旨味に優れているかを評価させた。各パネラーごとに、比較例1及び実施例2のうち評価が高い方に○、評価が低い方に×を記入させた。結果を表4に示す。
Figure 0006926060

Claims (4)

  1. 液状のカニ殻エキス及びカニ肉を含むカニ缶詰であって、以下の(1)又は(2)を満たす、カニ缶詰。
    (1)内容物を固液分離し、得られた固形分の2−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか、3−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか、又はヘキサナールの相対換算濃度が6μg/L以上である。
    (2)内容物を固液分離し、得られた液体分の2−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか、3−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上であるか、又はヘキサナールの相対換算濃度が0.03μg/L以上である。
  2. 下記(3)又は(4)を満たす、請求項に記載のカニ缶詰。
    (3)内容物を固液分離して得られた固形分の2−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上300μg/L以下であるか、又は3−メチルブタナールの濃度が0.1μg/L以上500μg/L以下である。
    (4)内容物を固液分離して得られた液体分の2−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上20μg/L以下であるか、又は3−メチルブタナールの相対換算濃度が0.1μg/L以上400μg/L以下である。
  3. カニ肉がフレーク肉である、請求項又はに記載のカニ缶詰。
  4. カニ殻エキスの含有量が、液体分中0.1質量%以下100質量%以下である、請求項の何れか1項に記載のカニ缶詰。
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