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JP6926272B2 - 電源装置 - Google Patents
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JP6926272B2 - 電源装置 - Google Patents

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本発明の実施形態は、例えば、冷凍サイクルを有する空気調和機や熱源機等に搭載される電源装置に関する。
冷凍サイクルを有する空気調和機や熱源機等に搭載される電源装置は、交流電源の電圧を整流する全波整流回路、この全波整流回路の出力電圧を昇圧する昇圧回路、この昇圧回路の出力電圧を所定周波数の交流電圧に変換して圧縮機モータに供給するインバータなどを含む。昇圧回路は、全波整流回路の出力端に接続されるリアクタおよびスイッチ素子の直列回路、負荷とスイッチ素子との間の通電路に設けた逆流防止用のダイオード、上記負荷の両端間に接続したコンデンサを含み、スイッチ素子のオン,オフにより全波整流回路の出力電圧を昇圧する。
昇圧回路中の逆流防止用のダイオードは、順方向に流れる電流に対して小さいながらも電圧降下を有する。この電圧降下は、昇圧回路の電力損失につながり、省エネルギー性の面で無視できない。
対策として、逆流防止用のダイオードよりも電力損失が少ない、すなわちオン抵抗値が小さいスイッチ素子(第2スイッチ素子という)をダイオードに並列接続し、この第2スイッチ素子をリアクタ側のスイッチ素子(第1スイッチ素子という)のオン時にオフしてオフ時にオンする、すなわち第1および第2スイッチ素子を相補的に動作させることにより、逆流防止用のダイオードに順方向電流が流れる期間を縮小してダイオードによる電力損失を低減することが考えられる。第1および第2スイッチ素子としては、MOSFETが用いられる。この場合、両スイッチ素子が同時にオンすると逆流防止用のダイオードをバイパスする経路でコンデンサから両スイッチ素子を通して短絡電流が流れてしまうため、いずれかのスイッチ素子をオフからオンに変化させる際には両スイッチが共にオフ状態となるいわゆるデッドタイムを確保するようにしている。したがって、このごく短時間のデッドタイムの期間の間にのみ逆流防止用のダイオードに電流が流れることになる。
特開2009−38875号公報
リアクタに流れる電流(リアクタ電流という)は、スイッチ素子のオン,オフに伴い脈動となる。また、冷凍サイクルの負荷状態の急変や圧縮機の回転数の激減等で急激に負荷が軽くなり、負荷に流れる電流が減少すると、リアクタ電流のレベルは、“0(零)”またはその付近まで下降する。
ここで、リアクタ電流のレベルが“0”またはその付近に下降している状態で第2スイッチ素子がオフからオンに切換わったとき、全波整流回路のダイオード素子に逆回復電流が生じ、これに伴い、リアクタ電流Iaが負側(マイナス側)に振れる場合があることが見いだされた。具体的には、リアクタ電流のレベルが“0”またはその付近に下降している状態で第2スイッチ素子がオンすると、第2スイッチ素子がオン時に両方向に電流を流すことのできるMOSFETであることから、昇圧されたコンデンサ電圧が第2スイッチ素子を通じて全波整流回路のダイオード素子に逆方向電圧が加わる。通常、ダイオード素子は逆方向に電流を流すことはないが、順方向に電流が流れていたダイオード素子に逆方向電圧が加わると、短期間であるがダイオード素子に逆方向の電流(逆回復電流という)が流れる。この逆回復電流がピーク値に達した後、負のリアクタ電流−Iaの時間的変化率(di/dt)がマイナスからプラスに急激に変化する。このとき、リアクタに大きな
逆起電力が発生し、その逆起電力に起因する過大なサージ電圧がリアクタの両端に生じる。このサージ電圧とコンデンサ電圧とを合わせた過大な電圧が全波整流回路の出力端に加わると、全波整流回路のダイオード素子が破壊されてしまうことがある。
本発明の実施形態の目的は、サージ電圧による素子の破壊を防ぐことができる電源装置を提供することである。
請求項の電源装置は、整流回路、昇圧回路、前記整流回路の出力端に接続されたコンデンサまたはバリスタを備える。整流回路は、交流電圧を整流する。昇圧回路は、前記整流回路の出力端に接続されるリアクタおよび逆並列接続されたダイオードを有する第1スイッチ素子の直列回路、負荷と前記第1スイッチ素子との間の通電路に設けた逆流防止用ダイオード、この逆流防止用ダイオードに並列接続した第2スイッチ素子、前記負荷に並列に接続したコンデンサを含み、前記第1スイッチ素子のオン,オフとこの第1スイッチ素子のオン,オフとは逆位相の前記第2スイッチ素子のオン,オフにより前記整流回路の出力電圧を昇圧する。前記整流回路の出力端に接続されたコンデンサまたはバリスタは、前記整流回路のダイオード素子に生じた逆回復電流によって引き起こされるサージ電圧を吸収する。
第1実施形態の構成を示すブロック図。 第1実施形態の保護制御がない場合のリアクタ電流の波形を示す図。 図2の波形の一部を拡大して示す図。 第1実施形態の保護制御を示すフローチャート。 第1実施形態におけるリアクタ電流の波形を示す図。 第2実施形態の構成を示すブロック図。 第2実施形態の変形例の要部の構成を示す図。 第2実施形態の別の変形例の要部の構成を示す図。 各実施形態のさらに別の変形例の要部の構成を示す図。
[1]第1実施形態
第1実施形態として、冷凍サイクルを有する空気調和機に搭載される電源装置を例に説
明する。
図1に示すように、三相交流電源1にダイオードブリッジの全波整流回路2(以下、全波整流回路という)が接続され、その全波整流回路2の出力端に昇圧回路10が接続されている。全波整流回路2は、三相交流電圧を整流する。
昇圧回路10は、全波整流回路2の出力端に接続されるリアクタ11およびスイッチ素子(第1スイッチ素子)SW1の直列回路、負荷であるインバータ20と第1スイッチ素子SW1との間の通電路に設けた逆流防止用ダイオードD2、この逆流防止用ダイオードD2に並列接続したスイッチ素子(第2スイッチ)SW2、上記負荷に並列に接続したコンデンサ(電解コンデンサ)12を含み、スイッチ素子SW1のオン,オフ(断続オン)とこのスイッチ素子SW1のオン,オフとは逆位相のスイッチ素子SW2のオン,オフ(断続オン)により全波整流回路2の出力電圧(直流電圧)を昇圧する昇圧モード、およびスイッチ素子SW1のオフ(オフの継続)とスイッチ素子SW2のオン(オンの継続)により全波整流回路2の出力電圧を昇圧せずに出力する非昇圧モードを有する。スイッチ素子SW1を下相側スイッチ素子、スイッチ素子SW2を上相側スイッチ素子ともいう。
スイッチ素子SW1は、スイッチ素子本体と逆並列接続された寄生ダイオードD1を含むオン抵抗の小さい半導体スイッチ素子たとえばスーパージャンクションMOSFETであり、コントローラ30から供給される駆動信号S1によってオン,オフ駆動される。スイッチ素子SW2は、スイッチ素子本体と逆並列接続された寄生ダイオードD2を含み、オン時にドレイン・ソース間の双方向に電流が流れる双方向性を有し、かつオン時の電力損失が寄生ダイオードD2の順方向の電圧降下による電力損失より小さくなる半導体スイッチ素子、たとえばスイッチ素子SW1と同様に、オン抵抗の小さいスーパージャンクションMOSFETであり、コントローラ30から供給される駆動信号S2によってスイッチ素子SW1のオン,オフとは逆位相でオン,オフ駆動される。このスイッチ素子SW2の寄生ダイオードD2が、そのまま上記逆流防止用ダイオードD2として用いられている。
昇圧回路10の出力端に、負荷であるインバータ20が接続されている。インバータ20は、昇圧回路10の出力電圧をスイッチングにより交流電圧に変換し、それをモータ21への駆動電力として出力する。モータ21は、圧縮機22の駆動用モータであって、誘導性負荷であるところの例えばブラシレスDCモータであり、インバータ20の出力により動作する。
圧縮機22は、冷媒を吸込んで圧縮し吐出する。この圧縮機22の冷媒吐出口に四方弁23を介して室外熱交換器24の一端が接続され、その室外熱交換器24の他端が膨張弁25を介して室内熱交換器26の一端に接続される。室内熱交換器26の他端は、四方弁23を介して圧縮機22の冷媒吸込口に接続される。これら圧縮機22、四方弁23、室外熱交換器24、膨張弁25、室内熱交換器26により、空気調和機のヒートポンプ式冷凍サイクルが構成されている。図1中の矢印は、冷房時の冷媒の流れを示し、圧縮機から吐出した高温冷媒は、室内熱交換器26で吸熱して室内を冷却し、室外熱交換器24で放熱する。すなわち、室内熱交換器26は吸熱器となり、室外熱交換器24は放熱器となる。四方弁23を反転すれば、冷媒の流れが反対となり暖房運転ができる。この場合、室内熱交換器26で放熱して室内を暖め、室外熱交換器24で吸熱することになる。
全波整流回路2の正側出力端と昇圧回路10のリアクタ11との間の通電路に、リアクタ11に流れる電流(瞬時値;リアクタ電流という)Iaを検知する電流センサ13が配置されている。インバータ20とモータ21との間の通電路に、モータ21に流れる電流(相巻線電流)を検知する電流センサ27が配置されている。これら電流センサ13,27の検知結果がコントローラ30に供給されるとともに、昇圧回路10の出力電圧(コンデンサ12の両端間電圧)Vdcがコントローラ30で検出される。
コントローラ30は、昇圧制御部40、インバータ制御部50、目標値設定部51を含む。
昇圧制御部40は、昇圧回路10の出力電圧Vdcが目標値Vdcrefとなるように、かつ昇圧回路10への入力電流(リアクタ電流)Iaが一定となるように、昇圧回路10のスイッチングをパルス幅変調(PWM)制御するもので、減算部41、PI制御器42、減算部43、PI制御器44、PWM信号生成部45、キャリア発生部46、スイッチ駆動制御部(制御手段)47,48を含む。
減算部41は、昇圧回路10の出力電圧Vdcと目標値Vdcrefとの偏差ΔVdcを求める。PI制御器42は、減算部41で得た偏差ΔVdcを入力とする比例・積分演算により、昇圧回路10への入力電流(リアクタ電流)Iaに対する電流指令値Irefを得る。減算部43は、PI制御器42で得た電流指令値Irefと昇圧回路10への入力電流(電流センサ13の検知電流)Iaとの偏差ΔIaを求める。PI制御器44は、減算部43で得た偏差ΔIaを入力とする比例・積分演算により、パルス幅変調用の電圧指令値Vrefを得る。キャリア発生部46は、所定周波数の三角波状のキャリア信号電圧Vcを発する。PWM信号生成部45は、キャリア発生部46が発するキャリア信号電圧VcをPI制御器44で得た電圧指令値Vrefでパルス幅変調(電圧比較)することにより、昇圧回路10のスイッチング素子SW1,W2に対するスイッチング用のパルス状のPWM信号S0を生成する。
スイッチ駆動制御部47は、目標値設定部51で設定される目標値Vdcrefが所定値以上(高・中負荷時)の場合に、PWM信号生成部45で生成されたPWM信号S0と同じ位相の駆動信号S1をスイッチ素子SW1の駆動用として生成し出力する。スイッチ駆動制御部48は、目標値設定部51で設定される目標値Vdcrefが所定値以上(高・中負荷時)の場合に、PWM信号生成部45で生成されたPWM信号S0と逆位相の駆動信号S2をスイッチ素子SW2の駆動用として生成し出力する。これら駆動信号S1,SW2の出力により、昇圧回路10が昇圧モードで動作する。
また、スイッチ駆動制御部47は、目標値設定部51で設定される目標値Vdcrefが所定値未満(低負荷時)の場合、スイッチ素子SW1を継続的にオフさせるための駆動信号S1を生成し出力する。スイッチ駆動制御部48は、目標値設定部51で設定される目標値Vdcrefが所定値未満(低負荷時)の場合、スイッチ素子SW2を継続的にオンさせるための駆動信号S2を生成し出力する。これら駆動信号S1,SW2の出力により、スイッチ素子SW1が継続的にオフされるため、昇圧は行われず、昇圧回路10が非昇圧モードとなる。
とくに、スイッチ駆動制御部47,48は、スイッチ素子SW1がオフからオンに切換わる前にスイッチ素子SW2がオンからオフに切換わるように、つまりスイッチ素子SW1がオフからオンに切換わるタイミングとスイッチ素子SW2がオンからオフに切換わるタイミングとの間に両スイッチ素子SW1,SW2が共にオフ状態となるいわゆるデッドタイムが確保されるように、かつスイッチ素子SW1がオンからオフに切換わった後でスイッチ素子SW2がオフからオンに切換わるように、つまりスイッチ素子SW1がオンからオフに切換わるタイミングとスイッチ素子SW2がオフからオンに切換わるタイミングとの間に両スイッチ素子SW1,SW2が共にオフ状態となるいわゆるデッドタイムが確保されるように、駆動信号S1,S2を生成する。
さらに、スイッチ駆動制御部47,48は、以下の方式で昇圧モードと非昇圧モードの切替えを行う。スイッチ駆動制御部47,48は、非昇圧モード中にリアクタ電流Iaの実効値Iamが設定値Iams以上になると昇圧モードに切替わる。さらに昇圧モード中にリアクタ電流Iaの実効値Iamが設定値“Iams-α“以下に低下すると非昇圧モードに切替わる。これは、電流実効値が小さい状態では、もともと圧縮機を駆動するインバータには、昇圧が不必要であり、逆に昇圧することでスイッチ素子SW2のオン・オフに伴うスイッチング損失が増加してしまうためである。
さらに、スイッチ駆動制御部47,48は、昇圧モード中に、リアクタ電流(瞬時値)Iaが設定値Ias以下への低下が検出された場合に、昇圧回路10の昇圧モードを禁止して昇圧回路10を非昇圧モードとする保護制御手段を含む。リアクタ電流Iaの実効値Iamは、交流電源の数周期分の瞬時電流値から計算により求める。設定値Iamsは例えば12Aであり、設定値Iasは例えば3Aである。また、“α”は頻繁な昇圧モードと非昇圧モードの切替えを防止するためのヒステリシスとして機能するよう予め設定されている設定値であり、例えば、設定値Iasの50%=6A程度の大きな値が設定される。減算部41およびPI制御器42が電圧制御系として機能する。減算部43およびPI制御器44が電流制御系として機能する。この電圧制御系および電流制御系により、昇圧回路10の出力電圧Vdcが目標値Vdcrefとなるように、かつ昇圧回路10への入力電流(リアクタ電流)Iaが一定となるように、昇圧回路10のスイッチングがPWM制
御される。
インバータ制御部50は、電流センサ27の検知電流(モータ電流)からモータ21の速度(回転速度)を推定し、その推定速度が負荷(冷凍負荷)の大きさに対応する目標速度となるようにインバータ20のスイッチングをPWM制御する。目標値設定部51は、インバータ20の出力電圧が上記目標速度を得るのに必要な最低限の昇圧回路10の出力電圧Vdcを目標値Vdcrefとして設定する。すなわち、目標値Vdcrefは、冷凍サイクルの負荷によって決定され、圧縮機22(モータ21)が低回転状態である低負荷の場合は低く設定され、圧縮機22が高回転(高負荷)になるほど大きな値が設定される。
上記全波整流回路2、昇圧回路10、電流センサ13、インバータ20、電流センサ27、およびコントローラ30などにより、本実施形態の電源装置が構成されている。
つぎに、コントローラ30が実行する制御について説明する。
モータ21が高・中速度で回転する高・中負荷時、スイッチ素子SW1がオン,オフし、かつそのスイッチ素子SW1のオン,オフとは逆位相でスイッチ素子SW2がオン,オフする。これにより、全波整流回路2の出力電圧が昇圧回路10で昇圧されてインバータ20に供給される。モータ21が低速度で回転する低負荷時は、スイッチ素子SW1が継続的にオフしてスイッチ素子SW2が継続的にオンする。これにより、全波整流回路2の出力電圧は、リアクタ11およびスイッチ素子SW2を通り、昇圧されることなくコンデンサ12を介してインバータ20に供給される。
スイッチ駆動制御部47,48の保護制御手段がないと仮定した場合のリアクタ電流Iaの波形を図2に示し、この波形の一部を拡大して図3に示している。
すなわち、リアクタ電流Iaのレベルは、昇圧回路10の負荷の急激な減少に伴い、“0”またはその付近まで下降する。リアクタ電流Iaのレベルが“0”またはその付近に下降している状態でスイッチ素子SW2がオンしたとき、上述のスイッチ駆動制御部47,48の保護制御手段がないと仮定すると、スイッチ素子SW2がMOSFETであるため、コンデンサ12から交流電源1の方向に電流が流れることがある。
全波整流回路2の各ダイオード素子には、通常は順方向にのみ電流が流れる。しかしながら、オン時にスイッチ素子本体の両方向に電流を流すことができるMOSFETをスイッチ素子SW2として使用していること、および平滑用のコンデンサ12の電圧Vdcが電源電圧以上に昇圧された状態にあることが原因で、リアクタ電流Iaのレベルが“0”付近でスイッチ素子SW2がオンすると、スイッチ素子SW2がオン時に両方向に電流を流すことのできるMOSFETであることから、昇圧されたコンデンサ12の電圧Vdcがスイッチ素子SW2を通じて全波整流回路2の各ダイオード素子に逆方向電圧が加わる。この結果、図1に破線矢印で示すように、それまで順方向に電流が流れていた全波整流回路2のダイオード素子に、短期間であるが逆回復電流Irが流れ始める。逆回復電流Irが流れ終わると、全波整流回路2のダイオード素子は逆回復電流Irの流れを遮断する。
なお、全波整流回路2のダイオード素子に逆回復電流Irが流れている状態でスイッチ素子SW2がオフに切換わっても、逆回復電流Ir電流は、全波整流回路2の負側出力端からスイッチ素子SW1の寄生ダイオードD1を順方向に通って全波整流回路2の正側出力端へと流れる(還流電流)。
そして、逆回復電流がピーク値に達した後、負のリアクタ電流−Iaの時間的変化率(di/dt)がマイナスからプラスに急激に変化する。このとき、リアクタ11に大きな逆起電力が発生し、その逆起電力に起因する過大なサージ電圧がリアクタ11の両端に生じる。このサージ電圧とコンデンサ12の電圧Vdcとを合わせた過大な電圧が全波整流回路2の出力端に加わると、全波整流回路2のダイオード素子が破壊されてしまうことがある。
この問題に対処するため、スイッチ駆動制御部47,48は、図4のフローチャートに示す制御を実行する。スイッチ駆動制御部47,48は、リアクタ電流Iaの実効値Iamが設定値Iamsより大きい場合に(ステップS1のNO)、昇圧回路10の昇圧運転(昇圧モードの動作)を実行する(ステップS2)。この昇圧運転の実行に伴い、スイッチ駆動制御部47,48は、リアクタ電流(瞬時値)Iaが設定値Ias以下でないことを条件に(ステップS3のNO)、ステップS1の判定に戻る。
リアクタ電流Iaの実効値Iamが設定値Iams以下に下降した場合(ステップS1のYES)、スイッチ駆動制御部47,48は、昇圧回路10が昇圧運転中かどうかを判定する(ステップS4)。昇圧運転中であれば(ステップS4のYES)、スイッチ駆動制御部47,48は、実効値Iamと設定値“Iams−α”とを比較する(ステップS5)。実効値Iamが設定値“Iams−α”以下でなければ(ステップS5のNO)、スイッチ駆動制御部47,48は、昇圧運転を続ける(ステップS2)。ただし、実効値Iamが設定値“Iams−α”以下まで下降していれば(ステップS5のYES)、スイッチ駆動制御部47,48は、昇圧回路10の昇圧運転を禁止して昇圧回路10を非昇圧モードに切替える(ステップS6)。そして、スイッチ駆動制御部47,48は、最初のステップS1からの処理を繰り返す。
具体的な動きとしては、冷凍サイクルの運転中、空調もしくは冷凍負荷が増加した場合、インバータ20の出力電圧の周波数が高くなり、すなわち圧縮機22の回転数が高まり、リアクタ電流Iaの実効値Iamが増加して設定値Iamsを超えたところで、昇圧運転が開始される。その後、冷凍サイクルの運転により、空調もしくは冷凍負荷が低下し、インバータ20の出力する周波数が低くなってリアクタ電流Iaの実効値Iamが低下し、設定値“Iams−α”以下まで下降したところで昇圧運転が終了し、非昇圧モードとなる。ここでの昇圧モードと非昇圧モードの切替えは、効率向上を目的としている。なお、設定値“Iams−α”のαは、ヒステリシス値であり、例えば設定値Imsの50%程度のかなり大きな値とするのが望ましい。このヒステリシス値αの確保により、昇圧モードと非昇圧モードの頻繁な入り切りの発生を防止している。
一方、例えば、冷凍サイクルの四方弁23が反転する除霜運転への移行によって負荷が急減した場合、インバータ20側で消費する電力が減少し、リアクタ電流Iaが下降する。そこで、昇圧運転中に、圧縮機22の負荷の急減によってリアクタ電流(瞬時値)Iaが設定値Ias以下に下降した場合(ステップS3のYES)、スイッチ駆動制御部47,48は、昇圧回路10の昇圧モードを禁止して昇圧回路10を非昇圧モードとする(ステップS6)。
このように、リアクタ電流Iaが設定値Ias以下に下降した時点で昇圧用のスイッチングを禁止することにより、図5に示すように、その後のリアクタ電流Iaの下降は“0”レベルで収まり、リアクタ電流Iaが負側に振れることはない。
負のリアクタ−Iaが流れないので、スイッチ素子SW2がオフからオンに切換わっても、昇圧されたコンデンサ12の電圧Vdcがスイッチ素子SW2を通じて全波整流回路2の各ダイオード素子に逆方向電圧が加わる事態を防ぐことができる。したがって、全波整流回路2のダイオード素子に逆回復電流Irが流れることもなく、逆回復電流Irに起因するサージ電圧の発生を防ぐことができる。つまり、サージ電圧とコンデンサ12の電圧Vdcとを合わせた過大な電圧が全波整流回路2の出力端に加わることはなく、全波整流回路2におけるダイオード素子の破壊を防ぐことができる。
なお、上述のとおり、効率向上のために昇圧モード中にリアクタ電流Iaの実効値Iamが設定値“Iams-α“以下に低下した時点で非昇圧モードに切替えるモード切替制御が存在するが、この制御はあくまで効率向上を目的として定常時における昇圧モードと非昇圧モードの切替えを行うもので、このリアクタ電流Iaの実効値Iamの検出(更新)には、交流電源の数周期の時間が必要となる。このため、通常のモード切替制御では、上述のような負荷の急激な減少に伴うリアクタ電流(瞬時値)Iaの“0”またはその付近への急激な下降に対して応答することはできず、昇圧モードから非昇圧モードへの切替えを行うことはできない。そこで、ステップS3において、リアクタ電流Iaの瞬時値に基づき昇圧モードと非昇圧モードとを切り替える(ステップS6)ようにしている。
また、本実施形態において、非昇圧モードではスイッチ素子SW2をオン継続するようにして、逆流防止用ダイオードD2に極力電流を流さないようにして効率を向上させている。しかしながら、逆流防止用ダイオードD2に定格の大きい素子を採用し、ある程度の大きさの電流を流すことを可能とすれば、昇圧モード中にリアクタ電流(瞬時値)Iaが設定値Ias以下に下降した時(ステップS3のYES)における非昇圧モード(ステップS6)の場合に限り、スイッチ素子SW2をオフ継続して、逆流防止用ダイオードD2に電流を流すようにして、リアクタ11の逆電流発生を完全に阻止するようにしても良い。すなわち、逆流防止用ダイオードD2の定格によっては、少なくともスイッチ素子SW1のオフを継続させれば、スイッチ素子SW2の動作はオンでもオフでも良いことになる。
[2]第2実施形態
第2実施形態では、第1実施形態におけるスイッチ駆動制御部47,48の保護制御に代えて、図6に示すように、全波整流回路2の出力端にコンデンサ61が接続される。他の構成は第1実施形態と同じである。
負のリアクタ電流−Idが流れたときに発生するサージ電圧は、負のリアクタ電流−Idの行き場がなくなることによって発生する。そこで、全波整流回路2の出力端にコンデンサ61を接続し、負のリアクタ電流−Idが流れたときに発生するサージ電圧のエネルギーをコンデンサ61で吸収するようにしている。したがって、過大な電圧が全波整流回路2の出力端に加わることはなく、よって全波整流回路2の素子の破壊を防ぐことができる。
コンデンサ61の容量は、負のリアクタ電流−Idによって発生するサージ電圧の吸収量を考慮し、また基板や回路内の寄生インダクタンスとの間で共振が生じないよう、選定する必要がある。具体的には、コンデンサ61の容量が大きいと、スイッチ素子SW1との間の寄生インダクタンスや寄生ダイオードD1とのLC共振が発生し、スイッチ素子SW1がスイッチングするタイミングで共振電流が流れてスイッチ素子SW1の損失が増大する。許容できる損失は半導体スイッチ素子の特性や組込むシステムの放熱構造によって変わるため、それらを考慮した上で最適な容量のコンデンサ61を選定する必要がある。以下、この選定について説明する。
リアクタ11に電流が流れた際にリアクタ11に蓄積されるエネルギーEは、下式(1)で表わされる。Lはリアクタ11のインダクタンス、iはリアクタ11に流れる逆電流(負のリアクタ電流−Id)である。
=1/2×L×i ……式(1)
このエネルギーEとコンデンサ61に蓄積されるエネルギーとが釣り合うようにコンデンサ61の容量Cを決定すればよいことになる。
サージ電圧の吸収前にコンデンサ61に蓄積される初期エネルギーEc0は、下式(2)で表わされる。サージ電圧の吸収後にコンデンサ61に蓄積されるエネルギーEc1は、下式(3)で表わされる。Vはコンデンサ61の初期電圧、ΔVはサージ電圧発生時の電圧跳ね上がり許容量である。
Ec0=1/2×C×V……式(2)
Ec1=1/2×C×(V+ΔV)
=1/2×C×V+C×V×ΔV+1/2×C×ΔV……式(3)
コンデンサ61の充電エネルギーEc=は、下式(4)で表わされる。
Ec=Ec1−Ec0=C×V×ΔV+1/2×C×ΔV……式(4)
リアクタ11に蓄積されたエネルギーEの全てがコンデンサ61に充電されると仮定すると、式(1)=式(4)となり、これは下式(5)に置き換えることができる。
1/2×L×i =C×V×ΔV+1/2×C×ΔV……式(5)
例えば、リアクタ11のインダクタンスLを0.5mH、リアクタ11に流れる逆電流を4A、コンデンサ61の初期電圧Vを400V、サージ電圧発生時の電圧跳ね上がり許容量ΔVを100Vとし、これらを式(5)の左辺に当て嵌めると下式(6)が得られる。
1/2×L×i =1/2×0.5×10-3×4=4.00[ml]……式(6)
この式(6)に基づいて式(5)の右辺を展開すると、下式(7)のようにコンデンサ61の容量Cとして0.1μFを求めることができる。
C=(4.00×10-3)/(V×ΔV+1/2×ΔV)
=(4.00×10-3)/(400×100+100)≒0.1[μF]……式(7)
[3]第2実施形態の変形例
図7に要部を示すように、第2実施形態において、全波整流回路2とコンデンサ61との間の通電路に抵抗器62を挿入接続する構成としてもよい。第2実施形態のように最適な容量のコンデンサ60を選定することに加え、コンデンサ60と抵抗器62との直列接続によるRCスナバ(Snubber)回路を形成することにより、仮に共振が生じた場合でもEMI(Electro Magnetic Interference)ノイズの増加を抑制することができる。
図8に要部を示すように、第2実施形態において、全波整流回路2とコンデンサ61との間の通電路に抵抗器62を挿入接続し、その抵抗器62にダイオード63を並列接続する構成としてもよい。コンデンサ60、抵抗器62、およびダイオード63によってRDCスナバ回路が形成される。この構成により、抵抗器62の電力損失を低減することができる。
第2実施形態では、負のリアクタ電流−Iaに起因するサージ電圧を吸収するためのコンデンサ61を全波整流回路2の出力端に接続したが、コンデンサ61に代えて、サージ電圧を吸収するためのバリスタを接続してもよい。負のリアクタ電流−Iaにより逆回復電流が生じ、その逆回復電流Irに起因するサージ電圧がリアクタ11の両端に生じても、そのサージ電圧とコンデンサ12の電圧Vdcとを合わせた過大な電圧はバリスタに吸収されて全波整流回路2の出力端に加わらない。したがって、全波整流回路2におけるダイオード素子の破壊を防ぐことができる。
また、より高効率を得るために、図9に示すように、上記各実施形態のスイッチ素子SW2に代えて、スイッチ素子(前段スイッチ素子)SW2とスイッチ素子(後段スイッチ素子)SW3との直列回路を設け、その直列回路に逆流防止用のダイオードD4を並列接続する構成としてもよい。スイッチ素子SW2,SW3は駆動信号S2により互いに同期してオン,オフ動作する。スイッチ素子SW2,SW3の直列回路は、スイッチ素子SW2,SW3を互いに逆方向に直列接続したもので、スイッチ素子SW3の寄生ダイオードD3の逆回復電流を抑制する高効率スイッチング回路を逆流防止用のダイオードD4と共に形成している。高効率スイッチング回路は、特開2015-156795号公報に記載されている半導体スイッチ回路に相当するもので、スイッチ素子SW3の寄生ダイオード(還流ダイオードともいう)D3の逆回復電流を効果的に抑制することで、損失の低減およびスイッチング速度の高速化を実現する。この高効率スイッチング回路を採用することにより、上記各実施形態よりもより高い効率を得ることができる。
上記各実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…3相交流電源、2…全波整流回路、10…昇圧回路、11…リアクタ、12…コンデンサ、13…電流センサ、D2…逆流阻止用ダイオード、SW1…スイッチ素子(第1スイッチ素子)、SW2…スイッチ素子(第2スイッチ素子)、20…インバータ、30…コントローラ、40…昇圧制御部、45…PWM信号生成部、47,48…スイッチ駆動制御部、50…インバータ制御部、51…目標値設定部

Claims (6)

  1. ダイオード素子からなり、交流電圧を整流する整流回路と、
    前記整流回路の出力端に接続されるリアクタおよび逆並列接続されたダイオードを有する第1スイッチ素子の直列回路、負荷と前記第1スイッチ素子との間の通電路に設けた逆流防止用ダイオード、この逆流防止用ダイオードに並列接続した第2スイッチ素子、前記負荷に並列に接続した電解コンデンサを含み、前記第1スイッチ素子のオン,オフとこの第1スイッチ素子のオン,オフとは逆位相の前記第2スイッチ素子のオン,オフにより前記整流回路の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、
    前記整流回路の出力端に接続されたコンデンサまたはバリスタと、
    を備え、
    前記コンデンサまたは前記バリスタは、前記整流回路のダイオード素子に生じた逆回復電流によって引き起こされるサージ電圧を吸収する、
    ことを特徴とする電源装置。
  2. 前記整流回路と前記コンデンサと間の通電路に挿入接続された抵抗器をさらに備えることを特徴とする請求項に記載に電源装置。
  3. 前記抵抗器に並列接続されたダイオードをさらに備えることを特徴とする請求項に記載に電源装置。
  4. 前記第2スイッチ素子は、寄生ダイオードを含むMOSFETであり、オン時の電力損失が前記寄生ダイオードの順方向の電圧降下による電力損失より小さい、
    前記逆流防止用ダイオードは、前記第2スイッチ素子の寄生ダイオードである、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の電源装置。
  5. 前記負荷は、誘導性負荷であることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の電源装置。
  6. 前記誘導性負荷は、前記昇圧回路の出力端に接続されるインバータおよびこのインバータの出力により動作する圧縮機駆動用のDCブラシレスモータであることを特徴とする請求項に記載の電源装置。
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