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JP6930892B2 - ナリンギン吸着剤 - Google Patents
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JP6930892B2 - ナリンギン吸着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、グレープフルーツやオレンジ等の柑橘類に含まれるナリンギンの吸着に用いる吸着剤に関する。
ナリンギンは、フラバノン配糖体であり、下記式で表される。
Figure 0006930892
このナリンギンは、グレープフルーツやオレンジ等の柑橘類に含まれており、これら柑橘類の苦み成分であることが知られている。従って、ナリンギンを多く含む果汁は、風味の点で問題があり、風味改善のために、果汁からナリンギンを除去することが必要な場合がある。
また、ナリンギンが、ある種の薬剤の活性を阻害することも知られており、ナリンギンを含む果汁と薬剤とを同時に服用したときに人体に及ぼす影響が問題ともなっており、このような観点から、果汁からナリンギンを除去することが必要となることもある。
さらに、ナリンギンは、血中脂肪酸を分解する働きや花粉症の症状を緩和する働きなどを有しており、このような効能を有する薬剤として、ナリンギンの合成や果汁からの抽出、精製などが求められており、特にローコストでナリンギンを取得する果汁からの抽出法などが注目されている。
特許文献1〜3には、果汁からナリンギンを抽出するために使用される吸着剤として、イオン交換樹脂や多孔質構造を有する樹脂、或いはシリカゲルなどが提案されている。
しかしながら、イオン交換樹脂や多孔質構造を有する樹脂は、非常に高価であるという問題がある。また、シリカゲル等のシリカは、安価であるが、ナリンギンに対する吸着性能が高くないという致命的な問題がある。
特開昭58−56663号公報 特開平9−182575号公報 特開2005−211818号公報
従って、本発明の目的は、果汁中に含まれるナリンギンを効果的に吸着し、果汁からナリンギンを除去することが可能なナリンギン吸着剤を提供することにある。
本発明者等は、ナリンギンに対する吸着性能について多くの実験を行い検討した結果、マグネシウム成分を含むある種の組成物が、その吸着性能に優れていることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、スチブンサイト、シリカ・マグネシア複合体及びケイ酸マグネシウムから選択される少なくとも1種の含マグネシウム組成物からなるナリンギン吸着剤が提供される。
本発明のナリンギン吸着剤においては、前記含マグネシウム組成物の中でも、スチブンサイト及びシリカ・マグネシア複合体が好適である。
また、上記のシリカ・マグネシア複合体は、シリカ粒子とマグネシア粒子とが一体複合化したシリカ・マグネシア複合粒子であり、特に、シリカ成分とマグネシア成分とを、下記式(1):
R=Sm/Mm (1)
式中、Smは、SiO換算でのシリカ成分の含有量(質量%)であり、
Mmは、MgO換算でのマグネシア成分の含有量(質量%)である、
で表される質量比(R)が0.1≦R≦3.5となる割合で含有していることが好ましい。
本発明の特定の含マグネシウム組成物からなるナリンギン吸着剤は、前述したイオン交換樹脂や多孔質樹脂と比較して著しく安価であり、しかも後述する実施例に示されているように、シリカやシリカ分を含む各種の粘土鉱物などと比較して、ナリンギンに対する吸着性が極めて高い。
従って、本発明によれば、果汁中に含まれるナリンギンを有効に吸着除去することができ、さらに、ナリンギンを吸着保持している吸着剤からナリンギンを放出させることにより、ナリンギンを取得することができ、ナリンギンが有する薬理効果を利用して、ナリンギンの有効利用を図ることができる。
ナリンギン吸着剤として用いるスチブンサイト(実施例1)及び比較のためのモンモリロナイト(酸性白土、比較例1)の面指数(06)に由来するX線回折チャート。
本発明のナリンギン吸着剤は、スチブンサイト、シリカ・マグネシア複合体及びケイ酸マグネシウムから選択される少なくとも1種の含マグネシウム組成物からなり、ナリンギンに対する優れた吸着性能は、これらの組成物中に存在するマグネシウムによるものと思われるが、興味深いことは、マグネシウム成分を含むマグネシウム化合物であったとしても、水酸化マグネシウムや酸化マグネシウムなどでは、ナリンギンに対する吸着性能を全く示さず、さらに、マグネシウムを含んでいるが、その含有量が例えばスチブンサイトよりも少ない白土等の粘土鉱物もまた、ナリンギン吸着性は著しく低い。即ち、上記の特定の含マグネシウム組成物のみが優れたナリンギン吸着性を示すことから、ある以上のマグネシウムが特定の形態で存在していることにより、ナリンギンの分子中に存在しているフェノール性水酸基との親和性が高くなり、この結果として、優れたナリンギン吸着性が発現するものと本発明者等は考えている。
以下、本発明のナリンギン吸着として使用される各種の含マグネシウム組成物について説明する。
<スチブンサイト>
本発明において、吸着剤として用いるスチブンサイトは、理想的には、下記式(1):
(X0.03Mg2.97)Si10(OH)・nHO (1)
式中、
Xは、Fe、Mn等の2価金属元素であり、
nは、正の整数である、
で表される化学組成を有している3八面体型スメクタイト系粘土であり、主骨格がSi−Mg系であり、Alを含んでいない点で、ナリンギン吸着性をほとんど示さない酸性白土等のモンモリロナイトと異なっている。即ち、モンモリロナイトは、2八面体型スメクタイト粘土鉱物であり、主骨格がSi−Al系である。さらに、モンモリロナイトは、X線回折測定において、面指数(06)に由来する回折ピークを2θ=62度(d=1.49〜1.50Å)付近に有しているが、スチブンサイトは、この領域には回折ピークを有しておらず、2θ=60〜61度(d=1.52〜1.54Å)の領域に面指数(06)に由来する回折ピークを有している。
即ち、モンモリロナイトとの構造上の相違から、ナリンギン吸着性は、マグネシウムの存在形態に大きく起因していると考えられるのである。
また、上記の化学組成等から理解されるように、構成元素としてAlを含んでおらず、Alを含んでいたとしても、不純物として微量のAlが混入する程度である。このため、ナリンギン吸着剤としてスチブンサイトを果汁中に添加した時、食品用途では嫌われるAlの溶出という問題を生じないという利点がある。
さらに、スチブンサイトは濾過性が高いという利点も有している。
酸性白土等のモンモリロナイトは、基本層の間にNa等のカチオンを含む大きな層間を有しているため、水に対して高い膨潤性を示し、膨潤による体積膨張によって水に対する濾過性が低いと考える。しかるに、スチブンサイトは、このような大きな層間を有しておらず、水に対してモンモリロナイトのような膨潤性を示さず、この結果、水に対して高い濾過性を示す。即ち、このスチブンサイトを果汁中に添加して使用したとき、ナリンギンを吸着保持している使用済吸着剤(スチブンサイト)を、容易に濾過分離できる。
尚、本発明でナリンギン吸着剤として使用されるスチブンサイトは、理想的には、前述した式で表される化学組成を有しているが、勿論、このような化学組成に限定されるものではなく、その特有の構造が保持されている限り(例えば、前述したX線回折ピークを示す限り)、多少の組成変動が生じていてもよく、さらに、Na等の金属元素やケロライト、長石等の不純物が混入しているものでもよく、この範囲内で天然或いは合成のスチブンサイトを使用することができ、例えば特開昭63−190705号等に開示されている合成スチブンサイトも使用することができる。市販品としては、例えば、水澤化学工業株式会社製イオナイト、セピオルサ製SEPIGEL NATURAL 200RF、セピオルサ製SEPIGEL SUPREME 200RF、セピオルサ製SEPIGEL ACTIVE 220RFなどを使用することができる。
但し、ケイ酸ソーダのような含ナトリウム化合物を反応剤として得られる合成スチブンサイトのように、Na含量の多いものは、水に対する膨潤性が高まり、濾過性が損なわれるため、酸化物換算(NaO)でのNa含量が5質量%以下に抑制されているスチブンサイトが好適に使用される。
上記のようにNa含量が少ない範囲に抑制されているスチブンサイトは、下記式(2):
I=D×1000/NA (2)
式中、
Dは、水で測定したダルシー係数を示し、
NAは、試料粉末(無水)1gあたりのナリンギン吸着能(mg)を示す、
で表される濾過・吸着バランス値Iが0.01〜1.15の範囲にある。即ち、濾過性とナリンギンに対する吸着性の両方が優れている。
<シリカ・マグネシア複合体>
ナリンギン吸着剤として使用されるシリカ・マグネシア複合体は、シリカ粒子とマグネシア粒子とが一体複合化したシリカ・マグネシア複合粒子であり、シリカ粒子とマグネシア粒子とが非常に微細なレベル(例えばナノレベル)で粒子同士が密着し、分離せずに一体化した構造を有している。
即ち、後述するケイ酸マグネシウムのように、シリカとマグネシアとの反応物ではなく、反応によって原子の組み換え等が生じているものではない。このことは、例えばXRD測定によりケイ酸マグネシウムに特有のピークが発現していないことや、アニオン性色素(オレンジII)に対する吸着量により確認することができる。
本発明において、吸着剤として使用されるシリカ・マグネシア複合粒子は、後述する実施例で示す方法により測定されるオレンジII吸着量が、18〜74mmol/100gの範囲にある。このようなオレンジII吸着量は、マグネシアに特有のアニオン吸着性に由来するものであり、シリカは、このようなアニオン吸着性は示さず、従って、オレンジII吸着量が上記範囲にあるということは、この複合粒子は、シリカ粒子とマグネシア粒子とが反応せずに複合化していることを意味する。
シリカとマグネシアとが反応して得られるケイ酸マグネシウムでは、オレンジII吸着量は上記範囲と比べて同等以下の値となり、このシリカ・マグネシア複合粒子と同程度に優れたナリンギン吸着性を示すが、その吸着時の挙動は、シリカ・マグネシア複合粒子とは異なっている。この挙動については、後述する。
また、シリカ粒子とマグネシア粒子とが複合一体化しておらず、単なる混合物として存在している場合には、オレンジII吸着量は、上記範囲よりも高い値を示すか、或いは大きくばらついてしまう。アニオン吸着性を示さないシリカ粒子と、アニオン吸着性を示すマグネシア粒子とが独立して存在していることとなるからである。しかも、シリカ粒子及びマグネシア粒子の何れもナリンギン吸着性を殆ど示さないことからも理解されるように、このような混合物も、ナリンギン吸着性を殆ど示さない。
即ち、シリカ粒子とマグネシア粒子とが複合一体化している複合粒子では、シリカ粒子とマグネシア粒子との複合一体化により、シリカ粒子による物理的吸着性と同時に、マグネシア粒子がナリンギンのフェノール性水酸基に対して示す化学的吸着性とが相乗的に作用して、ナリンギンに対する優れた吸着性が発現しているのではないかと思われる。
また、上記の複合粒子においては、シリカ成分とマグネシア成分とが、下記式(1):
R=Sm/Mm (1)
式中、Smは、SiO換算でのシリカ成分の含有量(質量%)であり、
Mmは、MgO換算でのマグネシア成分の含有量(質量%)である、
で表される質量比(R)が0.1≦R≦3.5となる割合で含有していることが好適である。
即ち、シリカとマグネシアとが上記の量比で存在していることにより、複合一体化した状態が安定に保持される。例えば、上記の質量比(R)が3.5を超える場合或いは0.1未満の場合、シリカ或いはマグネシアの脱落を生じ易く、このため、ナリンギンに対する吸着性が不安定となり、バラツキを生じ易くなるからである。
さらに、かかるシリカ・マグネシア複合粒子では、シリカ成分とマグネシア成分が互いに遊離しておらず、緊密に複合化しているために、通常、その5質量%濃度の懸濁液のpH(25℃)は6.0〜10.0の範囲にある。
本発明において、ナリンギン吸着剤として使用される上記のシリカ・マグネシア複合粒子は、シリカ(A)とマグネシアもしくはその水和物(B)とを、水分の存在下で均質に混合して水性スラリーとし(均質混合)、次いで熟成を行い、さらに、水分を除去することにより製造することができる。
尚、シリカ(A)とマグネシアもしくはその水和物(B)との量比は、前述した式(1)で表される質量比(R)が0.1〜3.5となるように設定すればよい。
原料のシリカ(A)としては非晶質の含水タイプのものが好適であり、ゲル法或いは沈降法の何れで製造されたものであってもよいが、一次粒子の小さいものが好適であり、BET比表面積が40m/g以上、特に140m/g以上であるものが好適である。
また、マグネシアもしくはその水和物(B)としては、結晶子の小さく且つ経時による炭酸化が進んでいないものがよい。例えば、BET比表面積が2m/g以上、好ましくは20m/g以上、特に好ましくは50m/g以上であるマグネシア粉末が使用される。
上記のシリカ(A)とマグネシアもしくはその水和物(B)との水分の存在下、例えば水中での均質混合では、原料の一つであるシリカ(二酸化ケイ素)がコロイド粒子乃至微細凝集粒子(1次乃至2次粒子)まで解れる。他方のマグネシア(酸化マグネシウム)も、水中に投入されて撹拌もしくは粉砕されると、溶解は殆ど起こらないが、マグネシア粒子表面の部分的な水和により、その結晶(もしくは新たに生成した水和物の結晶)の一部分或いは全部が崩壊もしくは剥離して、マグネシア(酸化マグネシウム)及び/又は酸化マグネシウム水和物からなる微細な粒子となって水中に分散される。
上記のような水分存在下での水性スラリーの調製では、各原料(A)、(B)や水の投入順序等に制限はないが、凝集やゲル化現象(増粘)が起こると、前述した微細粒子化(ナノ粒子化)や一体複合化の進行が妨げられる虞がある。このため、水性スラリーの固形分濃度は低い方が好ましい。一方で、生産性や経済性の見地からは固形分濃度は高い方がよい。従って、固形分濃度は3〜15質量%、特に8〜13質量%であることが好ましい。
熟成工程では、これらの微細粒子が均質に分散したスラリーから水分が除去され、固形分濃度が上昇していくと、シリカの粒子(A)とマグネシアの粒子(B)とが徐々に或いは急激に接近し、原子の交換や組み換えを伴うような化学結合を伴うことなく、一体複合化した形態に至り(一体複合化完了)、目的とするシリカ・マグネシア複合粒子が得られる。
上記のような均質混合及び熟成は、100℃以下で行い、50〜97℃で行うことが好ましく、50〜79℃で行うことが、ゲル化を有効に防止し且つ短時間で複合一体化を行う上で好適である。
尚、均質混合及び熟成は、攪拌翼を備えた攪拌槽中で攪拌下に行うのが一般的であるが、湿式ボールミルやコロイドミルによる粉砕もしくは分散下で行うこともできる。
また、温度やスラリーの仕込み容量等によっても異なるが、少なくとも0.5時間かけて均質混合及び熟成を行うことが必要である。また、温度が高いほど、ナノ粒子の流動性が高くなり効率よく均質化するため、より短時間で行うことができる。一般には、1〜24時間、特に3〜10時間程度かけて混合及び熟成が行われる。
熟成後には、スプレー乾燥機やスラリー乾燥機等を用いての蒸発乾燥により水分を除去するが、ろ過や遠心分離等の手段によりある程度の脱水を行った後に、箱形乾燥機、バンド乾燥機、流動層乾燥機等を用いて乾燥を行ってもよい。このとき、原料(B)の水和が少なくとも一部乃至は全部解消される。
上記のようにして、例えば水分含有率が10質量%以下であり、脱水により原料粒子である二酸化ケイ素(シリカ)粒子とマグネシア粒子とが緊密に複合化したシリカ・マグネシア複合粒子が、顆粒状、粉状、ケーキ状或いは団塊状で得られる。これらは、必要により、粉砕・分級、或いは成形を行い、吸着に好適な粒子形状として使用に供される。
このようなシリカ・マグネシア複合粒子は、例えば水澤化学工業株式会社より、「ミズカライフF−1G」、「ミズカライフF−2G」の商品名で市販されている。
<ケイ酸マグネシウム>
本発明において、ナリンギン吸着剤として使用されるケイ酸マグネシウムは、それ自体公知の方法にしたがい、二酸化ケイ素(シリカ)とマグネシア(或いは水酸化マグネシウム)との反応により得られるものであり、マグネシウム原子が塩の形で組み込まれているものである。
このようなケイ酸マグネシウムは、マグネシウム原子の存在割合が多いことから、ナリンギンに対して優れた吸着性を示すのであるが、前述したスチブンサイトやシリカ・マグネシア複合粒子とは、全く異なる挙動でナリンギン吸着性を示すものと、本発明者等は推定している。
即ち、後述する実施例に示されているように、ナリンギンの水溶液に、スチブンサイト、シリカ・マグネシア複合粒子、或いはケイ酸マグネシウムを添加したとき、何れも、ナリンギンを有効に吸着し得るのであるが、ケイ酸マグネシウムを添加した場合だけ、水溶液が黄色く着色する現象が観察される。例えば、ナリンギン水溶液は、透明な水溶液であり、その可視光に対する吸光度は実質上ゼロであるが、ケイ酸マグネシウムを添加した場合には、ナリンギンの吸着にかかわらず、直ちに水溶液が黄色く着色し、可視光に対する吸光度が増大し、この着色状態がそのまま維持される。
かかる実験結果から理解されるように、ケイ酸マグネシウムでは、ナリンギンの吸着に際して発色物質が発生するという特有の現象が認められる。この発色物質は、極めて微量であるため、現段階では同定されていないが、おそらくナリンギンが分解してフラバノンが生成しているのではないかと推定している。
<吸着剤としての使用>
上述した各種の含マグネシウム組成物は、吸着に適した粒度に粒度調整され、ナリンギン吸着剤としての使用に供される。
この場合、スチブンサイト、シリカ・マグネシア複合粒子及びケイ酸マグネシウムは、それぞれ1種単独で使用することもできるし、2種以上を混合して使用することもできる。
また、本発明の含マグネシウム組成物は、例えば、電子レンジによる瞬間加熱や100℃〜1000℃の加熱処理に予め供することで、使用の前に吸着剤の付着水分などの含有水分を取り除き、疎水性を高めてから用いることが好ましい。
また、上記の吸着剤は、通常、グレープフルーツやオレンジなどの柑橘類の果汁、即ち、ナリンギンを含む果汁に添加し、撹拌混合して果汁中からナリンギンを吸着除去する用途に使用されるが、ナリンギンの合成過程で生成するナリンギンの水溶液或いは有機溶媒溶液に添加し、撹拌混合してのナリンギンの捕捉にも適用することができる。
その使用量は特に制限されず、液中に含まれるナリンギンの濃度に応じて適宜の量を添加すればよく、例えば、果汁からのナリンギンの吸着除去に用いる場合には、果汁の濃縮度に応じて、吸着剤を添加すればよい。
本発明において、上述したスチブンサイト、シリカ・マグネシア複合粒子及びケイ酸マグネシウムは、何れもナリンギンに対して同程度に優れた吸着性能を示すが、ケイ酸マグネシウムは、吸着に際して発色物が生成することを考慮すると、果汁からのナリンギンの吸着には、スチブンサイト及びシリカ・マグネシア複合粒子が、好適に使用される。
ナリンギンの吸着後は、公知の手段によりろ過を行い、ナリンギンが吸着されている吸着剤を単離することができる。
また、ナリンギンが吸着保持されている吸着剤からは、溶媒抽出法等によりナリンギンを放出させることもできる。例えば純水中にナリンギンが吸着保持されている吸着剤を投入され、超音波振動等の撹拌操作に供することによりナリンギンを放出させ、濃縮または溶媒除去することによりナリンギンを回収することができる。
本発明の優れた効果を、次の実験例により説明する。
(1)pH
イオン交換水に吸着剤濃度が5質量%になるように吸着剤粉末を添加し、30分間撹拌した後、東亜ディーケーケー製pHメーターHM−30Rにて測定を行った。
(2)X線回折
(株)リガク製RINT―UltimaIV(X線=CuKα線)にて測定した。
(3)オレンジII吸着量
本実施例におけるオレンジII吸着能は、10mmol/L濃度のオレンジII水溶液から、1gの試料が吸着できるオレンジIIのmmol数とし、下記の方法により測定し、算出した。
先ず、オレンジII(試薬特級、和光純薬工業(株)製)を水に溶かし、10mmol/L濃度のオレンジII水溶液を得る。この10mmol/L濃度のオレンジII水溶液20mlを50ml容の遠沈管に秤取し、試験粉末0.20gを加えて振とう機(ヤマト科学(株)製SA300、振とうスピード5)により7.5時間振とうする。振とう終了後、12時間以上静置する。次に遠心分離機((株)クボタ製 5200)により遠心加速度3000rpmで15分処理した液の上澄みを0.5mL採取し、これをイオン交換水により200倍に希釈した液の484nm波長光の吸光度を分光光度計(日本分光(株)製V−630)により測定した。そして、オレンジII水溶液のオレンジII含有量と484nm波長光の吸光度の関係を示す検量線を用いて試料液のオレンジII残存量を算出した。この値を、試料へのオレンジII添加量から差し引いた値をオレンジII吸着量とした。
(4)吸着試験
ナリンギン吸着能は、1gの吸着剤(無水)が吸着できる量(mg)とし、下記の方法により測定し、算出した値を表1に示した。
先ず、ナリンギンを水に溶かし、濃度0.16g/Lのナリンギン水溶液を得た。この水溶液30gを50ml容量の遠沈管に秤取し、吸着剤0.1g(対液0.33質量%)を加えて水平振とう式振とう機(ヤマト科学(株)製SA300、振とうスピード5)により2.5時間振とうした。
次に遠心分離機((株)クボタ製 5200)により遠心加速度3000rpmで20分処理した液の上澄み液をイオン交換水により10倍に希釈し試料液を得た。試料液の波長285nmにおける吸光度を分光光度計(日本分光(株)製V−630)により測定した。予め作成した成分濃度と吸光度の関係を示す検量線を用いて試料液の成分残存量を算出し、吸着剤添加前の成分量から差し引いた値を吸着剤の成分吸着量とした。
その後、試料液の波長460nmにおける吸光度を測定し、吸着剤の影響による発色程度を比較した。
(5)濾過・吸着バランス値(I値)の算出
ビーカーにイオン交換水を200ml入れ、そこへ110℃で1時間乾燥した試料を5g投入し、攪拌機により5分間攪拌した。ステンレス製ブフナー漏斗(濾過面積38.5cm)に濾紙(ADVANTEC製No.2)をセットし、真空ポンプのスイッチを入れた。試料分散液を漏斗に注ぎ入れ、吸引圧を20cmHgに調整し、濾液の量が100mlになったら、ストップウォッチをスタートした。濾過の間、吸引圧は20cmHgに保った。濾液の量が150mlになった時点でストップウォッチを止め、この時間を濾過時間とした。
濾過時間を測定後、濾液が濾過ケーキから落下する間隔が30秒を越えるまで濾過を継続した。落下間隔が30秒を越えたら、濾過ケーキの厚さを測定し、次式によりダルシー係数を算出した。
ダルシー係数=(ケーキ厚cm×濾過液量50ml×液粘度0.89mPa・s)
÷(濾過時間sec×濾過面積cm×(吸引圧cmHg÷76))
その後、下記式(2):
I=D×1000/NA (2)
式中、Dは、イオン交換水で測定したダルシー係数を示し、
NAは、吸着剤(無水)1gあたりのナリンギン吸着能(mg)を示す、
より、濾過・吸着バランス値Iを計算した。
下記の実施例および比較例に示す吸着剤粉末について、吸着試験の結果を表2に示す。
(比較例1)
水澤化学工業(株)製のモンモリロナイトを主成分とする酸性白土ミズカエースNo.20(pH4.9、I=1.20)。
(比較例2)
水澤化学工業(株)製のモンモリロナイトの酸処理物からなる活性白土ガレオンアースV2(pH3.5、I=11.00)。
(比較例3)
水澤化学工業(株)製のセピオライトを主成分とする吸着剤エードプラスSP(pH8.9)。
(比較例3)
水澤化学工業(株)製の二酸化ケイ素ミズカソーブC−6(pH6.5)。
(比較例4)
宇部マテリアルズ(株)製の水酸化マグネシウム(pH10.1)。
(比較例5)
神島化学工業(株)製の酸化マグネシウムスターマグU(pH10.9)。
(実施例1)
スペイン産天然スチブンサイト(pH8.5、I=0.37)。
(実施例2)
水澤化学工業(株)製の合成スチブンサイトからなる吸着剤イオナイト(pH10.0、I=0.17)。
(実施例3)
セピオルサ製のスチブンサイトを主成分とする吸着剤SEPIGEL SUPREME 200RF(pH7.2、I=0.94)。
(実施例4)
水澤化学工業(株)製の二酸化ケイ素と酸化マグネシウムを主成分とする複合吸着剤ミズカライフF−2G(pH8.9、R=1.9、アニオン吸着能55mmol/100g)をシリカ粒子とマグネシア粒子とが一体複合化したシリカ・マグネシア複合粒子として使用した。
(実施例5)
水澤化学工業(株)製のケイ酸マグネシウムを主成分とする吸着剤ミズカライフP1(pH8.7、アニオン吸着能33mmol/100g)。
Figure 0006930892

Claims (3)

  1. スチブンサイト、シリカ・マグネシア複合体及びケイ酸マグネシウムから選択される少なくとも1種の含マグネシウム組成物からなるナリンギン吸着剤。
  2. 前記含マグネシウム組成物が、スチブンサイトである請求項1に記載のナリンギン吸着剤。
  3. 前記含マグネシウム組成物が、シリカ・マグネシア複合体であり、シリカ粒子とマグネシア粒子とが一体複合化したシリカ・マグネシア複合粒子から成り、シリカ成分とマグネシア成分とを、下記式(1):
    R=Sm/Mm (1)
    式中、Smは、SiO換算でのシリカ成分の含有量(質量%)であり、
    Mmは、MgO換算でのマグネシア成分の含有量(質量%)である、
    で表される質量比(R)が0.1≦R≦3.5となる割合で含有している、請求項1に記載のナリンギン吸着剤。
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