JP6930892B2 - ナリンギン吸着剤 - Google Patents
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また、ナリンギンが、ある種の薬剤の活性を阻害することも知られており、ナリンギンを含む果汁と薬剤とを同時に服用したときに人体に及ぼす影響が問題ともなっており、このような観点から、果汁からナリンギンを除去することが必要となることもある。
さらに、ナリンギンは、血中脂肪酸を分解する働きや花粉症の症状を緩和する働きなどを有しており、このような効能を有する薬剤として、ナリンギンの合成や果汁からの抽出、精製などが求められており、特にローコストでナリンギンを取得する果汁からの抽出法などが注目されている。
また、上記のシリカ・マグネシア複合体は、シリカ粒子とマグネシア粒子とが一体複合化したシリカ・マグネシア複合粒子であり、特に、シリカ成分とマグネシア成分とを、下記式(1):
R=Sm/Mm (1)
式中、Smは、SiO2換算でのシリカ成分の含有量(質量%)であり、
Mmは、MgO換算でのマグネシア成分の含有量(質量%)である、
で表される質量比(R)が0.1≦R≦3.5となる割合で含有していることが好ましい。
従って、本発明によれば、果汁中に含まれるナリンギンを有効に吸着除去することができ、さらに、ナリンギンを吸着保持している吸着剤からナリンギンを放出させることにより、ナリンギンを取得することができ、ナリンギンが有する薬理効果を利用して、ナリンギンの有効利用を図ることができる。
以下、本発明のナリンギン吸着として使用される各種の含マグネシウム組成物について説明する。
本発明において、吸着剤として用いるスチブンサイトは、理想的には、下記式(1):
(X0.03Mg2.97)Si4O10(OH)2・nH2O (1)
式中、
Xは、Fe、Mn等の2価金属元素であり、
nは、正の整数である、
で表される化学組成を有している3八面体型スメクタイト系粘土であり、主骨格がSi−Mg系であり、Alを含んでいない点で、ナリンギン吸着性をほとんど示さない酸性白土等のモンモリロナイトと異なっている。即ち、モンモリロナイトは、2八面体型スメクタイト粘土鉱物であり、主骨格がSi−Al系である。さらに、モンモリロナイトは、X線回折測定において、面指数(06)に由来する回折ピークを2θ=62度(d=1.49〜1.50Å)付近に有しているが、スチブンサイトは、この領域には回折ピークを有しておらず、2θ=60〜61度(d=1.52〜1.54Å)の領域に面指数(06)に由来する回折ピークを有している。
即ち、モンモリロナイトとの構造上の相違から、ナリンギン吸着性は、マグネシウムの存在形態に大きく起因していると考えられるのである。
酸性白土等のモンモリロナイトは、基本層の間にNa等のカチオンを含む大きな層間を有しているため、水に対して高い膨潤性を示し、膨潤による体積膨張によって水に対する濾過性が低いと考える。しかるに、スチブンサイトは、このような大きな層間を有しておらず、水に対してモンモリロナイトのような膨潤性を示さず、この結果、水に対して高い濾過性を示す。即ち、このスチブンサイトを果汁中に添加して使用したとき、ナリンギンを吸着保持している使用済吸着剤(スチブンサイト)を、容易に濾過分離できる。
但し、ケイ酸ソーダのような含ナトリウム化合物を反応剤として得られる合成スチブンサイトのように、Na含量の多いものは、水に対する膨潤性が高まり、濾過性が損なわれるため、酸化物換算(Na2O)でのNa含量が5質量%以下に抑制されているスチブンサイトが好適に使用される。
I=D×1000/NA (2)
式中、
Dは、水で測定したダルシー係数を示し、
NAは、試料粉末(無水)1gあたりのナリンギン吸着能(mg)を示す、
で表される濾過・吸着バランス値Iが0.01〜1.15の範囲にある。即ち、濾過性とナリンギンに対する吸着性の両方が優れている。
ナリンギン吸着剤として使用されるシリカ・マグネシア複合体は、シリカ粒子とマグネシア粒子とが一体複合化したシリカ・マグネシア複合粒子であり、シリカ粒子とマグネシア粒子とが非常に微細なレベル(例えばナノレベル)で粒子同士が密着し、分離せずに一体化した構造を有している。
即ち、後述するケイ酸マグネシウムのように、シリカとマグネシアとの反応物ではなく、反応によって原子の組み換え等が生じているものではない。このことは、例えばXRD測定によりケイ酸マグネシウムに特有のピークが発現していないことや、アニオン性色素(オレンジII)に対する吸着量により確認することができる。
即ち、シリカ粒子とマグネシア粒子とが複合一体化している複合粒子では、シリカ粒子とマグネシア粒子との複合一体化により、シリカ粒子による物理的吸着性と同時に、マグネシア粒子がナリンギンのフェノール性水酸基に対して示す化学的吸着性とが相乗的に作用して、ナリンギンに対する優れた吸着性が発現しているのではないかと思われる。
R=Sm/Mm (1)
式中、Smは、SiO2換算でのシリカ成分の含有量(質量%)であり、
Mmは、MgO換算でのマグネシア成分の含有量(質量%)である、
で表される質量比(R)が0.1≦R≦3.5となる割合で含有していることが好適である。
即ち、シリカとマグネシアとが上記の量比で存在していることにより、複合一体化した状態が安定に保持される。例えば、上記の質量比(R)が3.5を超える場合或いは0.1未満の場合、シリカ或いはマグネシアの脱落を生じ易く、このため、ナリンギンに対する吸着性が不安定となり、バラツキを生じ易くなるからである。
尚、シリカ(A)とマグネシアもしくはその水和物(B)との量比は、前述した式(1)で表される質量比(R)が0.1〜3.5となるように設定すればよい。
また、マグネシアもしくはその水和物(B)としては、結晶子の小さく且つ経時による炭酸化が進んでいないものがよい。例えば、BET比表面積が2m2/g以上、好ましくは20m2/g以上、特に好ましくは50m2/g以上であるマグネシア粉末が使用される。
また、温度やスラリーの仕込み容量等によっても異なるが、少なくとも0.5時間かけて均質混合及び熟成を行うことが必要である。また、温度が高いほど、ナノ粒子の流動性が高くなり効率よく均質化するため、より短時間で行うことができる。一般には、1〜24時間、特に3〜10時間程度かけて混合及び熟成が行われる。
このようなシリカ・マグネシア複合粒子は、例えば水澤化学工業株式会社より、「ミズカライフF−1G」、「ミズカライフF−2G」の商品名で市販されている。
本発明において、ナリンギン吸着剤として使用されるケイ酸マグネシウムは、それ自体公知の方法にしたがい、二酸化ケイ素(シリカ)とマグネシア(或いは水酸化マグネシウム)との反応により得られるものであり、マグネシウム原子が塩の形で組み込まれているものである。
このようなケイ酸マグネシウムは、マグネシウム原子の存在割合が多いことから、ナリンギンに対して優れた吸着性を示すのであるが、前述したスチブンサイトやシリカ・マグネシア複合粒子とは、全く異なる挙動でナリンギン吸着性を示すものと、本発明者等は推定している。
かかる実験結果から理解されるように、ケイ酸マグネシウムでは、ナリンギンの吸着に際して発色物質が発生するという特有の現象が認められる。この発色物質は、極めて微量であるため、現段階では同定されていないが、おそらくナリンギンが分解してフラバノンが生成しているのではないかと推定している。
上述した各種の含マグネシウム組成物は、吸着に適した粒度に粒度調整され、ナリンギン吸着剤としての使用に供される。
この場合、スチブンサイト、シリカ・マグネシア複合粒子及びケイ酸マグネシウムは、それぞれ1種単独で使用することもできるし、2種以上を混合して使用することもできる。
また、本発明の含マグネシウム組成物は、例えば、電子レンジによる瞬間加熱や100℃〜1000℃の加熱処理に予め供することで、使用の前に吸着剤の付着水分などの含有水分を取り除き、疎水性を高めてから用いることが好ましい。
その使用量は特に制限されず、液中に含まれるナリンギンの濃度に応じて適宜の量を添加すればよく、例えば、果汁からのナリンギンの吸着除去に用いる場合には、果汁の濃縮度に応じて、吸着剤を添加すればよい。
また、ナリンギンが吸着保持されている吸着剤からは、溶媒抽出法等によりナリンギンを放出させることもできる。例えば純水中にナリンギンが吸着保持されている吸着剤を投入され、超音波振動等の撹拌操作に供することによりナリンギンを放出させ、濃縮または溶媒除去することによりナリンギンを回収することができる。
イオン交換水に吸着剤濃度が5質量%になるように吸着剤粉末を添加し、30分間撹拌した後、東亜ディーケーケー製pHメーターHM−30Rにて測定を行った。
(株)リガク製RINT―UltimaIV(X線=CuKα線)にて測定した。
本実施例におけるオレンジII吸着能は、10mmol/L濃度のオレンジII水溶液から、1gの試料が吸着できるオレンジIIのmmol数とし、下記の方法により測定し、算出した。
先ず、オレンジII(試薬特級、和光純薬工業(株)製)を水に溶かし、10mmol/L濃度のオレンジII水溶液を得る。この10mmol/L濃度のオレンジII水溶液20mlを50ml容の遠沈管に秤取し、試験粉末0.20gを加えて振とう機(ヤマト科学(株)製SA300、振とうスピード5)により7.5時間振とうする。振とう終了後、12時間以上静置する。次に遠心分離機((株)クボタ製 5200)により遠心加速度3000rpmで15分処理した液の上澄みを0.5mL採取し、これをイオン交換水により200倍に希釈した液の484nm波長光の吸光度を分光光度計(日本分光(株)製V−630)により測定した。そして、オレンジII水溶液のオレンジII含有量と484nm波長光の吸光度の関係を示す検量線を用いて試料液のオレンジII残存量を算出した。この値を、試料へのオレンジII添加量から差し引いた値をオレンジII吸着量とした。
ナリンギン吸着能は、1gの吸着剤(無水)が吸着できる量(mg)とし、下記の方法により測定し、算出した値を表1に示した。
先ず、ナリンギンを水に溶かし、濃度0.16g/Lのナリンギン水溶液を得た。この水溶液30gを50ml容量の遠沈管に秤取し、吸着剤0.1g(対液0.33質量%)を加えて水平振とう式振とう機(ヤマト科学(株)製SA300、振とうスピード5)により2.5時間振とうした。
次に遠心分離機((株)クボタ製 5200)により遠心加速度3000rpmで20分処理した液の上澄み液をイオン交換水により10倍に希釈し試料液を得た。試料液の波長285nmにおける吸光度を分光光度計(日本分光(株)製V−630)により測定した。予め作成した成分濃度と吸光度の関係を示す検量線を用いて試料液の成分残存量を算出し、吸着剤添加前の成分量から差し引いた値を吸着剤の成分吸着量とした。
その後、試料液の波長460nmにおける吸光度を測定し、吸着剤の影響による発色程度を比較した。
ビーカーにイオン交換水を200ml入れ、そこへ110℃で1時間乾燥した試料を5g投入し、攪拌機により5分間攪拌した。ステンレス製ブフナー漏斗(濾過面積38.5cm2)に濾紙(ADVANTEC製No.2)をセットし、真空ポンプのスイッチを入れた。試料分散液を漏斗に注ぎ入れ、吸引圧を20cmHgに調整し、濾液の量が100mlになったら、ストップウォッチをスタートした。濾過の間、吸引圧は20cmHgに保った。濾液の量が150mlになった時点でストップウォッチを止め、この時間を濾過時間とした。
濾過時間を測定後、濾液が濾過ケーキから落下する間隔が30秒を越えるまで濾過を継続した。落下間隔が30秒を越えたら、濾過ケーキの厚さを測定し、次式によりダルシー係数を算出した。
ダルシー係数=(ケーキ厚cm×濾過液量50ml×液粘度0.89mPa・s)
÷(濾過時間sec×濾過面積cm2×(吸引圧cmHg÷76))
その後、下記式(2):
I=D×1000/NA (2)
式中、Dは、イオン交換水で測定したダルシー係数を示し、
NAは、吸着剤(無水)1gあたりのナリンギン吸着能(mg)を示す、
より、濾過・吸着バランス値Iを計算した。
水澤化学工業(株)製のモンモリロナイトを主成分とする酸性白土ミズカエースNo.20(pH4.9、I=1.20)。
水澤化学工業(株)製のモンモリロナイトの酸処理物からなる活性白土ガレオンアースV2(pH3.5、I=11.00)。
水澤化学工業(株)製のセピオライトを主成分とする吸着剤エードプラスSP(pH8.9)。
水澤化学工業(株)製の二酸化ケイ素ミズカソーブC−6(pH6.5)。
宇部マテリアルズ(株)製の水酸化マグネシウム(pH10.1)。
神島化学工業(株)製の酸化マグネシウムスターマグU(pH10.9)。
スペイン産天然スチブンサイト(pH8.5、I=0.37)。
水澤化学工業(株)製の合成スチブンサイトからなる吸着剤イオナイト(pH10.0、I=0.17)。
セピオルサ製のスチブンサイトを主成分とする吸着剤SEPIGEL SUPREME 200RF(pH7.2、I=0.94)。
水澤化学工業(株)製の二酸化ケイ素と酸化マグネシウムを主成分とする複合吸着剤ミズカライフF−2G(pH8.9、R=1.9、アニオン吸着能55mmol/100g)をシリカ粒子とマグネシア粒子とが一体複合化したシリカ・マグネシア複合粒子として使用した。
水澤化学工業(株)製のケイ酸マグネシウムを主成分とする吸着剤ミズカライフP1(pH8.7、アニオン吸着能33mmol/100g)。
Claims (3)
- スチブンサイト、シリカ・マグネシア複合体及びケイ酸マグネシウムから選択される少なくとも1種の含マグネシウム組成物からなるナリンギン吸着剤。
- 前記含マグネシウム組成物が、スチブンサイトである請求項1に記載のナリンギン吸着剤。
- 前記含マグネシウム組成物が、シリカ・マグネシア複合体であり、シリカ粒子とマグネシア粒子とが一体複合化したシリカ・マグネシア複合粒子から成り、シリカ成分とマグネシア成分とを、下記式(1):
R=Sm/Mm (1)
式中、Smは、SiO2換算でのシリカ成分の含有量(質量%)であり、
Mmは、MgO換算でのマグネシア成分の含有量(質量%)である、
で表される質量比(R)が0.1≦R≦3.5となる割合で含有している、請求項1に記載のナリンギン吸着剤。
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