JP6932343B2 - 体表に適用する非架橋ゼラチン、これを含む化粧料用または医薬用ゼラチン、ゼラチン混合体の製造方法、および化粧料用または医薬用ゼラチンの製造方法 - Google Patents
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Description
(i)パギイ法による融点が31℃以上である。
(ii)32℃で3時間以上ゲル状態を維持する。
(iii)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。
(iv)前記パギイ法による融点が30℃以上である。
(v)32℃で1時間以上ゲル状態を維持する。
(vi)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。
本発明に係る化粧料用または医薬用ゼラチンは、上記非架橋ゼラチンを含むことが好ましい。
(5質量%水溶液)
本発明に係る非架橋ゼラチンは、5質量%水溶液が以下の特性(i)および(ii)を示す。
(i)パギイ法による融点が31℃以上である。
(ii)32℃で3時間以上ゲル状態を維持する。
(iii)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。
本発明に係る非架橋ゼラチンは、2質量%水溶液が以下の特性(iv)および(v)を示すことが好ましい。
(iv)パギイ法による融点が30℃以上である。
(v)32℃で1時間以上ゲル状態を維持する。
(vi)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。
本発明に係る非架橋ゼラチンは、腱由来コラーゲンに由来することが好ましい。たとえば牛、豚、鶏、ダチョウなどの動物の腱由来コラーゲンに由来することが好ましい。上述した(i)〜(vi)の特性を得やすいからである。
本発明に係る非架橋ゼラチンは、その側鎖となる原子団が化学修飾されているアミノ酸残基を含んでいてもよい。たとえば、非架橋ゼラチンの側鎖のカルボキシル基およびアミノ基が化学修飾されていてもよく、さらにペプチド鎖中のプロリンが化学修飾されていてもよい。カルボキシル基の化学修飾としては、たとえばアンモニア、アミン、グリシンメチルエステルなどによるアミド化が挙げられる。アミノ基の化学修飾としては、たとえばサクシニル化、フタル化、フマリル化、アセチル化などが挙げられる。プロリンは、たとえばゼラチンにプロリル4−ヒドロキシラーゼを作用させることにより、そのγ位の炭素原子にヒドロキシル基が導入されて水酸化される。これらの化学修飾に用いられる官能基のうち、アミノ基とカルボキシル基はコラーゲンの立体構造上、らせんの外側に向いているため、このらせん構造の部分回復現象であるゼラチンのゲル化現象がこれらの官能基修飾によって阻害されにくい。その結果、本発明に係る非架橋ゼラチンは、30℃を超える程度の比較的高い融点を有するという効果を損なわずに、その他の種々のゼラチン物性を変えることが可能である。
以上より、本発明に係る非架橋ゼラチンは、30℃を超える程度の比較的高い融点を有し、かつ生体温度付近でゾル−ゲル転移を起こすことができる。したがって、たとえば後述する化粧料用または医薬用ゼラチンなどとして、所望の化粧料、または医薬を非架橋ゼラチンに配合し、生体に適用することにより、該化粧料の有効成分、該医薬の有効成分の効果を長時間にわたって持続的に生体に付与することが可能となる。
本発明に係る非架橋ゼラチンは、牛、豚、鶏、ダチョウなどの動物から抽出されたコラーゲンを熱分解により調製することにより得ることができる。非架橋ゼラチンの製造には、上記のとおり上記動物の腱由来コラーゲンを用いることが好ましく、コラーゲンの種類としては、上記のとおりアテロコラーゲンを用いることが好ましく、もって腱由来のアテロコラーゲンを用いることがさらに好ましい。
本発明に係る化粧料用または医薬用ゼラチンは、上記非架橋ゼラチンを含むことが好ましい。化粧料用または医薬用ゼラチンは、上述した特徴を有する非架橋ゼラチンを含むため、所望の化粧料または医薬を非架橋ゼラチンに配合し、生体に適用した場合に、該化粧料の有効成分、該医薬の有効成分の効果を長時間にわたって持続的に生体に付与することが可能となる。
本発明に係るゼラチン混合体は、2種以上のゼラチンを含むゼラチン混合体であって、上記非架橋ゼラチンを少なくとも含む。たとえば、上述した特徴を有する少なくとも1種の非架橋ゼラチンと、少なくとも1種の従来公知のゼラチンとを含んだゼラチン混合体とすることができる。さらに、ゼラチン混合体に含まれる各ゼラチンの配合量を用途に応じて適宜調整することが好ましい。これにより、所望の水溶液濃度で所望の融点を有し、かつ所望の時間にわたってゲル化状態を維持することができるゼラチン混合体を提供することができ、非架橋ゼラチンの用途をさらに拡大することができる。
豚腱由来アテロコラーゲン(日本国産)を1N塩酸を用いて0.3質量%でpH3.0の水溶液に調製し、50℃で1時間、加熱処理した。その後、1N水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整し、凍結乾燥することにより非架橋ゼラチンを得た。
豚腱由来アテロコラーゲン(日本国産)を1N塩酸を用いて0.3質量%でpH3.0の水溶液に調製し、60℃で1時間、加熱処理した。その後、1N水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整し、凍結乾燥することにより非架橋ゼラチンを得た。
豚腱由来アテロコラーゲン(日本国産)を1N塩酸を用いて0.3質量%でpH7.0の水溶液に調製し、60℃で1時間、加熱処理した。その後、凍結乾燥することにより非架橋ゼラチンを得た。
ダチョウ皮膚由来アテロコラーゲン(日本国産)を用いること以外、実施例2と同様の方法により非架橋ゼラチンを得た。
比較例には、以下のような架橋ゼラチンを用いた。すなわち、牛骨アルカリ処理ゼラチン(新田ゼラチン株式会社製)を純水に溶解させ、5質量%ゼラチン溶液10mlに対し、25質量%グルタルアルデヒド水溶液(ナカライテスク株式会社製)を20μl添加した。次に、4℃で12時間架橋反応を行なった。その後、100mMグリシン溶液に室温で1時間浸漬し、さらに室温で30分間純水で洗浄することを5回繰り返すことにより、架橋ゼラチンを得た。
実施例1〜4における5質量%水溶液の融点は、上述のように上記パギイ(PAGI)法に準拠して測定した。各試料において所定の濃度の水溶液とするときの溶媒には、上述したJIS K 6503:2001に記載されているイオン交換水を用いた。「ゲル状態を維持する」と判断される基準についても上述のとおりとした。
(非架橋ゼラチンの準備)
実施例5においては、上記実施例3の非架橋ゼラチンを準備した。
実施例5では、実施例3の非架橋ゼラチンを用いて下記濃度を有する水溶液を市販のビーカー中でそれぞれ調製し、パギイ法で用いる融点測定管に注ぎ込みこれらを氷中に入れて30分間冷却することにより、試料No.1、2のゲルを作製した。さらに、市販のゼラチンを用いて下記濃度を有する水溶液を市販のビーカー中でそれぞれ調製し、パギイ法で用いる融点測定管に注ぎ込みこれらを氷中に入れて30分間冷却することにより、試料No.3〜6のゲルを作製した。これにより試料No.1〜6のゲルに対し、その融点をそれぞれ測定した。続いて、試料No.1〜6の水溶液2mlを、直径35mmのディッシュにそれぞれ添加し、4℃で2時間静置し、その後室温で1時間保持することにより、28℃、32℃および37℃においてゲル状態を維持する時間の評価に用いるゲルを準備した。
試料No.2: 非架橋ゼラチン 2質量%水溶液、融点 30.5℃
試料No.3: G1890 5質量%水溶液、融点 29.5℃
試料No.4: G1890 2質量%水溶液、融点 24.1℃
試料No.5: GLS250 5質量%水溶液、融点 27.2℃
試料No.6: GLS250 2質量%水溶液、融点 22.9℃。
以上より、本実施例の非架橋ゼラチンは、5質量%水溶液が以下の特性(i)〜(iii)を示すことが分かる。
(i)融点が31℃以上である。
(ii)32℃で3時間以上ゲル状態を維持する。
(iii)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。
(iv)融点が30℃以上である。
(v)32℃で1時間以上ゲル状態を維持する。
(vi)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。
(体表でのゲル状態維持時間の測定)
実施例6では、実施例3の非架橋ゼラチンの5質量%水溶液を調製し、これらを4℃に冷却することにより、試料No.7、9のゲルを作製した。比較例としてG1890を調製することにより、5質量%水溶液とした試料No.8、10のゲルを作製した。
図1は、試料No.7のゲルおよび試料No.8のゲルを腰に付着させた場合のゲル状態を維持する時間を説明している図面代用写真である。図1において左右方向に並ぶ扁平な円盤状のものが、それぞれ試料No.7のゲルおよび試料No.8のゲルである。上下方向は、腰に付着させてからの経過時間(実施時間)を表している。図1に示すように、試料No.7のゲルは、生体の腰(体表温度、37℃付近)において30分以上安定的にゲル状態を維持した。その一方で、試料No.8のゲルは、腰において直ちにその形状が崩れ始め、2分経過時点では完全に融解して腰から溶け落ちた。
(体表での非架橋ゼラチンによる成分保持)
実施例7では、実施例3の非架橋ゼラチンの5質量%水溶液を調製し、この水溶液に対し5質量%となる量で化粧料としての香料(商品名:「オーデアロマ ラベンダーB」、一丸ファルコス株式会社製)を配合し、これを4℃に冷却することにより、試料No.11、12のゲルを作製した。試料No.11のゲルに上記香料を配合したものを健康な成人(31歳、男性)の手の甲(体表温度、32℃付近)に付着させ、その香りが保持される時間を官能評価した。比較例では、上記非架橋ゼラチンに配合することなく、上記香料を同じ人物の手の甲に直接付した。その結果を表7に示す。
以上より、試料No.11(実施例)のゲルは、生体の手の甲(体表温度、32℃付近)において5時間以上安定的に香料の香りを保持した。試料No.12(実施例)のゲルは、生体の頭皮(体表温度、37℃付近)において5時間以上安定的に香料の香りを保持した。さらに、試料No.12のゲルが付着した頭皮を40℃の温水で洗い流すと、ゲルは数秒で融解したので、容易に除去することができた。その一方で、手の甲に上記香料を直接付した例および頭皮に上記香料を直接付した例では、1時間経過時点ですでに、かすかに香りを感じる程度まで香料の効果が低下していた。
実施例8では、実施例3の非架橋ゼラチンの5質量%水溶液を調製し、これを40℃で10分間維持した。この水溶液1mLを健康な成人(31歳、男性)の手の甲(体表温度、32℃付近)に垂らした。比較例では、G1890の5質量%水溶液、GLS250の5質量%水溶液をそれぞれ作製し、実施例と同じ方法で手の甲に垂らした。
<ゼラチン混合体の融点およびゲル状態維持時間の測定>
実施例9では、実施例1の非架橋ゼラチンと、従来公知のゼラチン(G1890およびGLS250)とを、下記の配合比率で混合するとともに、所定の濃度の水溶液に調製することにより、以下の試料No.13〜20のゼラチン混合体を作製した。これらの試料の融点、ならびに28℃、32℃および37℃におけるゲル状態を維持する時間をそれぞれ測定した。ゼラチンの融点の測定方法、各試料の水溶液の溶媒、「ゲル状態を維持する」と判断される基準については実施例3と同じである。試料No.13〜20のゼラチン混合体を構成するゼラチンの種別、その配合比率および融点は、以下のとおりである。
試料No.14: 非架橋ゼラチン:50質量%、G1890:50質量%からなるゼラチン混合体の5質量%水溶液、融点32.6℃
試料No.15: 非架橋ゼラチン:80質量%、G1890:20質量%からなるゼラチン混合体の5質量%水溶液、融点34.6℃
試料No.16: 非架橋ゼラチン:20質量%、GLS250:80質量%からなるゼラチン混合体の2質量%水溶液、融点24.3℃
試料No.17: 非架橋ゼラチン:50質量%、GLS250:50質量%からなるゼラチン混合体の2質量%水溶液、融点26.9℃
試料No.18: 非架橋ゼラチン:80質量%、GLS250:20質量%からなるゼラチン混合体の2質量%水溶液、融点28.9℃
試料No.19: 非架橋ゼラチン:33質量%、G1890:33質量%、GLS250:33質量%からなるゼラチン混合体の5質量%水溶液、融点31.1℃
試料No.20: 非架橋ゼラチン:33質量%、G1890:33質量%、GLS250:33質量%からなるゼラチン混合体の2質量%水溶液、融点25.8℃。
Claims (7)
- 5質量%水溶液が以下の特性(i)、(ii)および(iii)を示す、体表に適用する非架橋ゼラチン。
(i)パギイ法による融点が31℃以上40℃以下である。
(ii)32℃で3時間以上ゲル状態を維持する。
(iii)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。 - 2質量%水溶液が以下の特性(iv)および(v)を示す、請求項1に記載の体表に適用する非架橋ゼラチン。
(iv)前記パギイ法による融点が30℃以上40℃以下である。
(v)32℃で1時間以上ゲル状態を維持する。 - 前記2質量%水溶液がさらに以下の特性(vi)を示す、請求項2に記載の体表に適用する非架橋ゼラチン。
(vi)37℃で15分以上ゲル状態を維持する。 - 前記非架橋ゼラチンは、腱由来コラーゲンに由来する、請求項1〜3のいずれかに記載の体表に適用する非架橋ゼラチン。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の体表に適用する非架橋ゼラチンを含む、化粧料用または医薬用ゼラチン。
- 2種以上のゼラチンを含むゼラチン混合体の製造方法であって、
請求項1〜4のいずれかに記載の体表に適用する非架橋ゼラチンと、前記非架橋ゼラチン以外のゼラチンとを混合することを含む、ゼラチン混合体の製造方法。 - 2種以上のゼラチンを含む化粧料用または医薬用ゼラチンの製造方法であって、
請求項6に記載のゼラチン混合体の製造方法を含む、化粧料用または医薬用ゼラチンの製造方法。
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