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JP6933151B2 - 銅電解スライムからのセレンの回収方法 - Google Patents
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JP6933151B2 - 銅電解スライムからのセレンの回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銅電解スライムから、白金族元素、特に白金の品位が低い高純度なセレンを回収する方法に関する。
銅電解スライムから有価金族を回収する処理については、乾式法及び湿式法のいずれも実用化されている。特に、湿式法については様々な方法があるが、そのひとつの例として特許文献1に記載された方法がある。
特許文献1に開示の方法では、銅電解スライムに水を加えてスラリー状とし、塩素ガスを吹き込むことにより、金、白金族元素、セレン、テルル等の有価金属を浸出する。得られた浸出液をビス(2−ブトキシエチル)エーテルと接触させて金を有機相に抽出分離した後、抽出残液を塩化トリオクチルメチルアンモニウム及びリン酸トリブチルと接触させて白金族元素を抽出する。そして、この抽出残液に二硫化硫黄を吹き込み、酸化還元電位(参照電極:Ag/AgCl)を400mV〜500mVに維持してセレンを選択的に還元し、次いで酸化還元電位を290mV〜380mVに維持することによりテルルを還元して回収する。
また、上記のごとく金を分離した抽出残液から白金族元素を回収する別の方法として、特許文献2には、金を分離した抽出残液をポリアミン型アニオン交換樹脂と接触することにより、白金族元素を吸着して分離する方法が提案されている。なお、このポリアミン型アニオン交換樹脂のような陰イオン交換樹脂により白金族元素を吸着した後の残液中に残るセレンやテルルは、上述した特許文献1に開示の方法と同様に、二硫化硫黄の吹き込みにより還元して回収することができる。
また、回収したセレンやテルルに不純物として残留する白金族元素、特にパラジウムを除去する方法として、特許文献3には、陰イオン交換樹脂により白金族元素を吸着した後の残液中に二硫化硫黄を吹き込む前に還元剤を添加(部分還元工程を追加)し、陰イオン交換樹脂で取りきれなかった白金族元素を沈殿物として除去する方法が開示されている。
具体的には、銅電解スライムのスラリーを塩素浸出し、その浸出液に有機溶媒を接触させて金を抽出し、抽出残液を陰イオン交換樹脂と接触させて白金族元素を吸着させた後、吸着後残液に二酸化硫黄を吹き込んでセレンを還元して回収する方法において、吸着後残液中の塩化物濃度を2.0mol/L〜2.5mol/Lの範囲に調整した後、その吸着後残液の温度を30℃〜50℃の範囲に調整しながら、吸着後残液にNaHSO換算で濃度35重量%〜36重量%の溶液とした亜硫酸水素ナトリウムをその吸着後残液の液量に対し1体積%〜3体積%添加して、生成した主にパラジウムを含む沈殿物を濾過して分離し、その後、得られた濾液に二酸化硫黄を吹き込むことを特徴とする方法である。
このような特許文献3に開示の方法は、それまでの方法を改良し、パラジウム品位の低いセレンを回収することができる有用な方法である。しかしながら、白金族元素のうちでも白金(Pt)を有効に分離回収して、白金品位の低い高純度なセレンを回収する方法については記載されていない。銅電解スライムには、所定の割合で白金が含まれており、しかも有価な金属であるため、その銅電解スライムから白金を効果的に分離して回収するとともに、高純度なセレンを回収する方法が求められている。
特開2001−207223号公報 特開2004−131745号公報 特開2012−126611号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、銅電解スライムを塩素浸出した浸出液から有価金属を回収する場合に、金を抽出分離した後の抽出残液を陰イオン交換樹脂により処理した後、その吸着後残液から、白金品位の低い高純度なセレンを回収する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、白金族元素のうちの特に白金(Pt)と、セレンの還元挙動について研究したところ、陰イオン交換樹脂と接触させて白金族元素を吸着させた後の吸着後残液に、アスコルビン酸を添加することによって、吸着後残液中に残った白金をセレンよりも優先的に還元して沈殿物化して分離できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、銅電解スライムのスラリーを塩素浸出し、その浸出液に有機溶媒を接触させて金を抽出し、抽出残液を陰イオン交換樹脂と接触させて白金族元素を吸着させた後、吸着後残液に二酸化硫黄を吹き込んでセレンを還元して回収する方法において、前記吸着後残液に二酸化硫黄を吹き込む前にアスコルビン酸を添加し、生成した白金を含む沈殿物を濾過して分離した後、得られた濾液に二酸化硫黄を吹き込むことによってセレンを回収する、銅電解スライムからのセレンの回収方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記アスコルビン酸の添加量を、前記吸着後残液中のパラジウム及び白金(Pd+Pt)のモル量の10倍量〜100倍量とする、銅電解スライムからのセレンの回収方法である。
本発明によれば、吸着後残液から、白金を還元して有効に回収することができるとともに、白金品位の低い高純度なセレンを回収することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
本実施の形態に係るセレンの回収方法は、銅電解スライムからのセレンの回収方法であって、具体的には、銅電解スライムのスラリーを塩素浸出し、その浸出液に有機溶媒を接触させて金を抽出し、抽出残液を陰イオン交換樹脂と接触させて白金族元素を吸着させた後、吸着後残液に二酸化硫黄を吹き込んでセレンを還元して回収する方法である。
そして、このセレンの回収方法においては、吸着後残液に二酸化硫黄を吹き込む前にアスコルビン酸を添加し、生成した白金を含む沈殿物を濾過して分離した後、得られた濾液に二酸化硫黄を吹き込むことによってセレンを回収することを特徴としている。ここで、吸着後残液には、陰イオン交換樹脂の吸着力(吸着率)にもよるが、白金やパラジウムといった白金族元素が残存している。
この方法では、吸着後残液にアスコルビン酸を添加することで、その吸着後残液中に残っている白金族元素である白金(Pt)をセレンよりも優先的に還元し、主に白金を含む沈殿物を生成させることができ、その生成した沈殿物を濾過することによって有効に分離除去することができる。そして、濾過して得られた濾液に二酸化硫黄を吹き込んでセレンを還元することによって、白金の品位が低い高純度なセレンを沈殿させて回収することができる。一方で、還元して沈殿物化した有価金属である白金についても、有効にかつ効率的に回収することができる。
なお、金の抽出に用いる有機溶媒や白金族元素の吸着に用いる陰イオン交換樹脂としては、従来から使用されているものでよい。例えば、金の抽出に用いる有機溶媒としては、ビス(2−ブトキシエチル)エーテルが好ましく、また、白金族元素の吸着に用いる陰イオン交換樹脂としては、ポリアミン型の陰イオン交換樹脂の使用が好ましい。
上述したように、吸着残液に残った白金を還元して回収するための工程(以下、「白金還元分離工程」ともいう)では、還元剤としてアスコルビン酸(NaC;L−アスコルビン酸ナトリウムともいう)を使用する。ここで、陰イオン交換樹脂による吸着処理後の吸着後残液に含まれる白金族元素は、非常に微量であるため、液の酸化還元電位だけを監視しながら例えば二酸化硫黄ガス等の還元剤の添加量を精度よくコントロールすることは容易でない。これに対して、アスコルビン酸を溶液で用いて添加する方法によれば、例えば定量ポンプを使う等の方法によって、添加時間、すなわち添加量を管理することができ、また、酸化還元電位の管理も容易となる。これにより、微量含有される白金等の白金族元素の還元を、容易にかつ精度よくコントロールすることができる。
アスコルビン酸の添加量は、NaC換算で濃度33重量%〜38重量%の溶液として、陰イオン交換樹脂での吸着後残液中のパラジウム及び白金(Pd+Pt)のモル量(合計モル量)の10倍量〜100倍量とすることが好ましい。
アスコルビン酸の添加量が多いほど、白金の還元量を増加させることができるが、アスコルビン酸は高価であるため、添加装置を追加する費用を含め、白金の回収量に見合う上限を設定することが好ましい。また、アスコルビン酸の添加量が多すぎると、還元により生成する沈殿物にセレンも巻き込まれて沈殿してしまうため、白金と分離した上でのセレンの回収量を増やすことができない可能性がある。一方で、アスコルビン酸の添加量が少ないと、吸着後残液に含まれる白金の還元量が減少する可能性があり、次工程でセレンを回収する際にセレンに分配する白金量(セレン中の白金の品位)が増えることがある。これらのことから、アスコルビン酸の添加量を(Pd+Pt)モル量の10倍量〜100倍量とすることで、白金をより効果的に分離回収するとともに、セレン中の白金品位をより低減させて、高品質なセレンを回収することができる。
ここで、吸着後残液に、アスコルビン酸を添加するに際しては、その還元剤を添加するに先立ち、酸濃度(塩化物イオン濃度)が1.7mol/L〜2.3mol/Lの範囲となるようにすることが好ましい。
一般に、塩化物溶液中の白金イオンはPtCl 2−で示される形態で存在するが、この形態では塩化物イオン濃度が高くなると塩化物錯体の安定度が増して還元し難くなり、セレンとの選択性が低下して白金を分離し難くなる。
このことから、アスコルビン酸を添加するに先立って、その吸着後残液中の酸濃度を調整しておくことが好ましく、具体的には、吸着後残液のpHを調整する等して、酸濃度を1.7mol/L〜2.3mol/Lの範囲とする。このように、好ましくは、酸濃度を1.7mol/L〜2.3mol/Lの範囲に調整することで、セレンとの選択性を確保し、白金を選択的に還元して沈殿させることがより容易となる。
吸着後残液の酸濃度が低いほどセレンとの選択性は向上するものの、酸濃度が1.7mol/L未満であると、濃度調整のためのpH調整剤等の使用量が増加してしまい、中和熱による液温上昇を抑えるために冷却水等の添加が必要となり、非効率となる。
酸濃度の調整方法としては、例えば、還元剤を添加する前の吸着後残液中の酸濃度が上述した範囲よりも低い場合には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩酸等の形で塩化物イオンを補充するか、あるいは吸着後残液を加熱して濃縮する等の方法により、調整することができる。一方で、酸濃度が上述した範囲よりも高い場合には、吸着後残液に水を加えて希釈すればよい。
また、吸着後残液にアスコルビン酸を添加して還元する際における吸着後残液の温度としては、30℃〜50℃の範囲に調整することが好ましい。この温度は、吸着後残液から白金を分離回収した後に、得られた濾液に二酸化硫黄を吹き込んでセレンを還元して回収する際も同様である。吸着後残液の温度が30℃未満であっても、白金を選択還元することはできるが、白金の還元速度が遅くなる。そのため、工業的な規模で実施する場合には、操作に手間と時間がかかるうえ、遅い還元速度と必要な処理量に見合った規模の反応槽が必要となる等の不利益が生じる。
一方で、吸着後残液の温度が50℃を超えると、生成するセレンが取り扱い難い性状となるため好ましくない。すなわち、セレンの形態は、還元温度が50℃以下では不定型の赤色セレン、50℃を超えて60℃程度までではガラス状のアモルファスセレン、70℃以上では結晶型のセレンへと変化する。ガラス状のアモルファスセレンは、団子状となって反応槽の内側や撹拌羽根に付着しやすいため、生成を避けることが望ましい。また、温度が50℃を超えて高い場合には、白金の再溶解が生じるため、白金の還元も進みに難くなる。これらの理由から、反応温度として50℃を上限とすることが好ましい。
白金還元分離工程により吸着後残液から白金を含む沈殿物を濾過して分離した後の濾液は、従来と同様の処理により、セレン及びテルルを順次還元して回収することができる。すなわち、セレンの還元工程では、二硫化硫黄を吹き込んで酸化還元電位(参照電極:Ag/AgCl)を400mV〜500mVに維持することによりセレンを選択的に還元する。また、次のテルルの還元工程では、酸化還元電位を290mV〜380mVに維持することによりテルルを還元して回収する。セレン及びテルルの還元に用いる還元剤としては、安価で取り扱いの容易な二酸化硫黄ガスが好ましい。
さて、本件出願人が提案した特許文献3に開示の方法においては、吸着後残液に還元剤である亜硫酸水素ナトリウムを添加し、これにより、吸着後残液に残存するパラジウムを還元して有効に分離除去している。ただし、その特許文献3には、白金族元素のうちの白金の分離除去については示されていない。金を分離した後の抽出残液に対して陰イオン交換樹脂を用いて白金族元素を吸着する際、その陰イオン交換樹脂による、特に白金の吸着率が低下する場合も考えられる。しかも、後述する実施例にて示すように、本実施の形態に係る方法にて吸着後残液に添加するアスコルビン酸では、吸着後残液に含まれるパラジウムよりも白金をより効果的に還元することができる。換言すると、特許文献3に開示されている亜硫酸水素ナトリウムのみを添加した場合では、吸着後残液中に残った白金を有効に分離除去できるか否かは不明であるといえる。
以下、本発明の実施例を示してより具体的について説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(吸着後残液について)
銅電解精製で生成した銅電解スライムに水を加え、スラリー濃度が200g/Lとなるように調整した。このスラリーに、ボンベから塩素ガスを吹き込むことによって浸出処理を施し、下記表1に示す組成の浸出液を得た。そして、得られた浸出液1.5リットルに対し、有機抽出剤として1.5リットルのビス(2−ブトキシエチル)エーテルを混合し、5分間振盪した後静置して、浸出液中に含まれる金を有機相中に抽出して分離した。
続いて、金を分離した後の抽出残液を、ポリアミン型陰イオン交換樹脂(ピュロライト社製、商品名:A830W型)100mlを充填したガラス製カラムに、流量がSV=2(200ml/hr)、液量がBV=15(1500ml)となる条件で通液し、抽出残液中に含まれている白金族元素を吸着させた。樹脂通過後の吸着後残液をひとつにまとめ、ICP分析装置を用いて分析した(但し、Cu、As、Sb、Biは除く)。下記表1に、得られた吸着後残液の組成を示す。
Figure 0006933151
なお、吸着後残液の酸濃度(塩化物イオン濃度)は、2.5mol/Lであった。
(還元剤の種類について)
以下の実施例等で使用した還元剤は、以下のとおりである。
還元剤1:アスコルビン酸ナトリウム(濃度35重量%溶液)
[実施例1]
1.5リットルの吸着後残液を容量3リットルの耐熱ガラス製ビーカーに入れ、加温して温度を50℃に調整し、スリーワンモーターで撹拌しながらアスコルビン酸溶液(NaH(CO(COO)換算で濃度35重量%)を添加した。添加量は、吸着後残液中に含まれる白金(Pt)とパラジウム(Pd)の合計(Pt+Pd)モル数に対する還元剤の理想的な必要量を1等量とし、10等量(10倍量)、30等量(30倍量)、100等量(100倍量)とした。
各添加量でアスコルビン酸を添加した後(白金還元分離工程後)、固液分離して得られた濾液(還元後液)中に含まれる白金及びパラジウムの濃度を、ICP分析装置を用いて分析した。下記表2に、濾液中に含まれるセレン濃度に対する白金、パラジウムのそれぞれの濃度比(ppm)を示し、それらを還元により回収するセレン中の白金品位、パラジウム品位とみなした。
Figure 0006933151
表2に示されるように、セレン中の白金(Pt)は、アスコルビン酸を添加して還元することで、有効に低減させることができた。特に、アスコルビン酸溶液を、吸着後液残液中の(Pt+Pd)モル量の30倍の添加量で添加して還元することで、無処理の場合と比べて10分の1以下にまで低減させることができた。
しかも、表2に示す白金とパラジウムとの結果から、吸着後残液にアスコルビン酸を添加することで、その吸着後液残液に含まれるパラジウムよりも白金に対する効果が高く、より選択的に分離除去できることが分かった。
以上の結果から、金を分離した後の抽出残液に対して陰イオン交換樹脂を用いて白金族元素を吸着させたとき、その陰イオン交換樹脂による、特に白金の吸着率が低下した場合であっても、吸着後残液にアスコルビン酸を添加することで、その白金を有効に還元させて分離除去することができ、白金の品位が低い高純度のセレンを回収できることが分かった。また、アスコルビン酸の添加量を特定の範囲とすることで、より効果的に白金を分離除去できることが分かった。

Claims (2)

  1. 銅電解スライムのスラリーを塩素浸出し、その浸出液に有機溶媒を接触させて金を抽出し、抽出残液を陰イオン交換樹脂と接触させて白金族元素を吸着させた後、吸着後残液に二酸化硫黄を吹き込んでセレンを還元して回収する方法において、
    前記吸着後残液に二酸化硫黄を吹き込む前にアスコルビン酸を添加し、
    生成した白金を含む沈殿物を濾過して分離した後、得られた濾液に二酸化硫黄を吹き込むことによってセレンを回収する
    銅電解スライムからのセレンの回収方法。
  2. 前記アスコルビン酸の添加量を、前記吸着後残液中のパラジウム及び白金(Pd+Pt)のモル量の10倍量〜100倍量とする
    請求項1に記載の銅電解スライムからのセレンの回収方法。
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