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JP6935653B2 - 脱窒用硫黄資材 - Google Patents
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JP6935653B2 - 脱窒用硫黄資材 - Google Patents

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Description

本発明は、養豚排水等に含まれる硝酸性窒素および亜硝酸性窒素を除去するための脱窒用硫黄資材、ならびにこれを用いた脱窒処理装置および脱窒処理方法等に関する。
排水中に含まれる硝酸性窒素(NO −N)は、人の健康および環境汚染(主に地下水汚染)に影響をもたらすことが知られている。硝酸性窒素による健康被害として、メトヘモグロビン血症等が知られている。
1999年に地下水および公共用水域の水質汚濁に係る人の健康保護に関する環境基準項目として、NO −Nおよび亜硝酸性窒素(NO −N)の合計の基準値が10mg/Lに設定された。しかし、この地下水における環境基準の超過率は依然として高い状況にある。地下水汚染の原因には、過剰施肥や家畜排せつ物の不適正処理、未処理生活排水の地下浸透などが挙げられており、家畜排せつ物由来による汚染は、過剰施肥に次いで高い結果となっている。
このような背景をふまえ、畜産において排水中に含まれる「アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物および硝酸化合物」の排水基準が水質汚濁防止法で定められた。この項目の一般基準値は100mg/Lであるが、畜産の場合これまでの処理技術では達成が困難なことから、2001年に1500mg/Lの暫定基準値が設けられた。その後、2004年に900mg/L、2013年に700mg/L、2016年に600mg/Lまで引き下げられており、今後は畜産でも一般基準値を目標とした汚水処理に取り組むことが求められている。なお、本明細書においては、「アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物および硝酸化合物」のことを「硝酸性窒素等」と記載し、またNO −NとNO −Nを総称して「NOx−N」と記載する。
畜産のうち、特に養豚排水については、これまで硫黄脱窒法を活用した窒素低減技術が開発されてきた。硫黄脱窒法とは、Thiobacillus denitrificansなどの独立栄養細菌の一種である硫黄酸化脱窒細菌が、無酸素条件下で硫黄を酸化しながらNO −NおよびNO −Nを窒素ガスに還元する働きを利用した方法であり、この方法においては硫黄資材が用いられる。
しかしながら、硫黄脱窒法において、硫黄資材として粉末硫黄を利用する場合は、そのままでは撥水性を有するため排水処理に利用できず、水中に粉末硫黄を投入した後に家庭用中性洗剤等の界面活性剤を添加し、撹拌することで親水化させる必要があり、この作業が多大な労力を有するという問題があった。一方、粉末硫黄の代わりに工業用原料として流通している粗砕硫黄(粒径40mm程度の粗粒を含む)を用いるとそのまま水中に沈降するため親水化処理は不要であるが、単位重量あたりの接触面積が小さいため粉末硫黄に比べて脱窒活性が低いという問題があった。
また、硫黄脱窒法においては、脱窒活性の進行に伴い増加する硫酸イオン(SO 2−)による処理水のpH低下の防止対策と脱窒活性とに必要なアルカリ度の補給が求められるが、アルカリ度の補給のために添加装置を設けるとシステムが複雑になるおそれがあった。
特許文献1には、別途のアルカリ度の補給を必要としない硫黄資材として、加熱溶融した硫黄に、炭酸カルシウムを均一に攪拌混合させて冷却固化し、この冷却で得られる固化物を破砕し、炭酸カルシウムと硫黄とを単一の粒子内に共存させた粒状または塊状の固形物とした組成物が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の組成物は、特殊な成型加工にコストを要し、また、粉末硫黄に比較して単位重量あたりの接触面積が小さいという問題があり、さらなる改善が求められていた。
特許3430364号公報
本発明は、上記実情に鑑み、親水性とアルカリ度補給機能を兼ね備え、簡便に使用でき、脱窒性能が高く、かつ製造方法が容易である脱窒用硫黄資材を提供することを目的とする。
本発明の一態様は下記の事項に関する。
1. 粉末硫黄、アルカリ剤、および界面活性剤を含む、脱窒用硫黄資材。
2. 前記アルカリ剤が炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムを含む、上記1に記載の脱窒用硫黄資材。
3. 前記アルカリ剤が、天然マグネサイトおよび/または合成マグネサイトを含む、上記1または2に記載の脱窒用硫黄資材。
4. 前記界面活性剤がノニオン系界面活性剤を含む、上記1〜3のいずれかに記載の脱窒用硫黄資材。
5. 脱窒用硫黄資材の総重量に対して、前記粉末硫黄の含有量が30〜69.5重量%であり、前記アルカリ剤の含有量が30〜69.5重量%であり、かつ前記界面活性剤の含有量が0.5〜5重量%である、上記1〜4のいずれかに記載の脱窒用硫黄資材。
6. 前記アルカリ剤が炭酸カルシウムを含み、炭酸カルシウムの総重量に対する60メッシュパスの炭酸カルシウムの粒子の含有量が10重量%以下である、上記1〜5のいずれかに記載の脱窒用硫黄資材。
7. 粉末硫黄、アルカリ剤、および界面活性剤を、混練する工程を含む、脱窒用硫黄資材の製造方法。
8. 上記1〜6のいずれかに記載の脱窒用硫黄資材と、排水とを接触させる工程を含む、排水の脱窒処理方法。
9. 上記1〜6のいずれかに記載の脱窒用硫黄資材を含む脱窒処理装置。
10. 液体を収容可能な槽と、
前記槽内で、鉛直方向の隔壁により区画され、前記隔壁の直下の通液空間により連通された第1区画および第2区画と、
第1区画内の下部、第2区画内の下部および前記通液空間に、上記1〜6のいずれかに記載の脱窒用硫黄資材が通液空間より上方の高さまで堆積された硫黄資材層と、
前記通液空間近傍に連通し、第1区画の硫黄資材層および第2区画の硫黄資材層に加圧空気を供給する加圧空気供給管と、
を有する、上記8に記載の脱窒処理装置。
11. 液体を収容可能な槽と、
前記槽内で、鉛直方向の隔壁により区画され、前記隔壁の直下の通液空間により連通された第1区画および第2区画と、
第1区画内の下部、第2区画内の下部および前記通液空間に、上記1〜6のいずれか一項に記載の脱窒用硫黄資材が通液空間より上方の高さまで堆積された硫黄資材層と、
前記槽の外面および/または硫黄資材層内に設置された振動子と、
を有する、上記9に記載の脱窒処理装置。
12. 液体を収容可能な槽と、
前記槽内の下部に上記1〜6のいずれかに記載の脱窒用硫黄資材が堆積された硫黄資材層と、
前記槽外から硫黄資材層内に液体を供給する手段と、
を有し、
供給された液体は、層内底部で反転して上向流となる、上記9に記載の脱窒処理装置。
本発明の一態様によると、養豚排水処理施設等における硫黄脱窒法において、簡便に使用でき、脱窒性能が高く、かつ製造方法が容易である脱窒用硫黄資材を提供することができる。
脱窒処理装置の一態様を示す模式図である。 脱窒処理装置の別の一態様を示す模式図である。 脱窒処理装置の別の一態様を示す模式図である。 T字部材の模式図である。 実施例で用いた脱窒処理装置の模式図である。 実施例における、試験期間中の原水流入量と水理学的滞留時間(HRT)の推移を示すグラフである。 実施例における、試験期間中の原水および処理水のNO −N、NO −Nの濃度の推移を示すグラフである。 実施例における、試験期間中のリアクター内水温とNOx−N負荷量の推移を示すグラフである。 実施例における、試験開始21日目以降のNOx−N負荷量とNOx−N除去率の関係を示すグラフである。 実施例における、試験開始21日目以降のリアクター内水温とNOx−N除去率の関係を示すグラフである。 実施例における、ΔSO 2−とΔNOx−Nの関係を示すグラフである。 実施例における、試験期間中の原水および処理水のpHの推移を示すグラフである。 実施例(例B)における、アルカリ剤の種類を変更した場合の、脱窒処理日数に対するNO −Nの濃度の推移を示すグラフである。
<脱窒用硫黄資材>
本実施形態の脱窒用硫黄資材(単に「硫黄資材」とも記載する。)は、粉末硫黄と、アルカリ剤と、界面活性剤と、を含む。本実施形態の脱窒用硫黄資材は、粉末状であるため単位重量あたりの接触面積が大きく、高い脱窒効果を得られる。また、本実施形態の脱窒用硫黄資材は、粉末硫黄が界面活性剤で被覆されていて親水性が高いため排水になじみやすく、排水に投入するだけで脱窒処理に使用できる。さらに、本実施形態の脱窒用硫黄資材は、あらかじめアルカリ剤を含むため、アルカリ度の補給を別途行う必要がない。よって本実施形態の脱窒用硫黄資材は、非常に簡便に排水の脱窒処理に使用できる。加えて、本実施形態の脱窒用硫黄資材は、製造方法が非常に簡便である。
また、通常、純粋硫黄は消防法における危険物(可燃物)に該当し、運搬、保管などは法的に定められた条件を遵守する必要が生ずるが、本実施形態の脱窒用硫黄資材は、界面活性剤およびアルカリ剤が共存することにより、不燃性となり(すなわち消防法に於ける非危険物扱いとなる)、取り扱いが純粋硫黄に比べて容易である。
以下、本実施形態の脱窒用硫黄資材に含まれる原料等について詳細に説明する。なお、本明細書においては、NOx−Nを除去する脱窒処理を行う前の排水を「原水」と記載し、脱窒処理後の排水を「処理水」と記載する。
(粉末硫黄)
本実施形態の脱窒用硫黄資材に含まれる粉末硫黄の粒径は、粉末硫黄の少なくとも90重量%以上、好ましくは100重量%が150メッシュパスであることが好ましく、下限は特に限定されないが、例えば50重量%以上が500メッシュオンであるのが好ましい。粉末硫黄の粒径が150メッシュパスであることにより、硫黄資材の単位重量あたりの接触面積が大きくなり、高い脱窒効果を得ることができる。なお、本明細書における「粒径」は、JIS K6222−1に準拠した測定結果である。
脱窒用硫黄資材の総重量に対する粉末硫黄の含有量は、30重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましく、また、70重量%以下が好ましく、69.5重量%以下がより好ましく、60重量%以下がさらに好ましい。粉末硫黄の含有量が該範囲内にあることにより、十分な脱窒効果が得られ、かつ、アルカリ剤による効果とのバランスに優れた脱窒用硫黄資材を得ることができる。
(アルカリ剤)
本実施形態の脱窒用硫黄資材はアルカリ剤を含む。アルカリ剤は、脱窒活性の進行により増加する硫酸イオン(SO 2−)と反応して、処理水のpHの低下を防止し、脱窒活性の低下を抑制する。アルカリ剤としては、弱アルカリ粉末が好ましい。アルカリ剤としては、処理水のpHを、好ましくは6.5〜8.5、より好ましくは7.0〜8.5、さらに好ましくは7.2〜8.5に保持できるものが好ましい。
アルカリ剤としては、特に限定されないが、例えば、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、炭酸カルシウム(CaCO)、および炭酸マグネシウム(MgCO)が挙げられる。これらのうち、pH低下の防止に加え、硫黄酸化脱窒細菌の増殖及び脱窒反応に必要な炭酸イオンの供給ができるという観点から、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムが好ましく、一態様として低コストであるという観点から炭酸カルシウムがより好ましい。
本発明の一態様として、アルカリ剤として、炭酸マグネシウムを用いるのが好ましい。炭酸カルシウム等のカルシウムを含むアルカリ剤を用いると、脱窒反応において、不溶性の硫酸カルシウム(石膏)が形成され脱窒処理装置(脱窒リアクター)内に不溶性成分が沈積し、硫黄資材の長期使用により、資材層が固化し、脱窒能力が低下する等の問題が生じる場合がある。一方、炭酸マグネシウムは、脱窒反応前は水に不溶であるため排水処理上好ましく、さらに脱窒反応により形成される硫酸マグネシウムは水にとけやすくて不溶性成分が生じにくい。よって、炭酸マグネシウムを用いると、炭酸カルシウムを用いる場合に比べて、資材層が固化する問題が生じにくく、好適な場合がある。
炭酸マグネシウムとしては、高純度の炭酸マグネシウム、または、炭酸マグネシウムを主成分として含むマグネサイトが好ましい。例えば、マグネサイト中のMgCOの含有量は、50重量%以上であるのが好ましく、70重量%以上であるのがより好ましく、90重量%以上であるのがさらに好ましい。マグネサイトは、天然マグネサイト(鉱物)であっても合成マグネサイトであってもよい。アルカリ剤としてマグネサイトを含む硫黄資材を用いると、脱窒反応が進みやすいpHに保持できる。
ただし、後述の実施例で示すように、炭酸マグネシウムとして塩基性炭酸マグネシウム(一般的に、mMgCO・Mg(OH)・nHO(式中、m=3〜5、n=3〜8)で表される)のように、ヒドロキシ基を有する炭酸マグネシウム化合物を用いると、脱窒反応が進みにくくなり好ましくない場合がある。アルカリ剤中、ヒドロキシ基を有する炭酸マグネシウム化合物の含有量は5重量%以下が好ましく、0重量%であってもよい。
これらアルカリ剤は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
アルカリ剤の形状は粉末状または粒状であることが好ましい。アルカリ剤(特に炭酸カルシウム)の平均粒径は特に限定されないが、60メッシュオンかつ5メッシュパスが好ましく、50メッシュオンかつ5メッシュパスがより好ましい。
また、アルカリ剤として粒径が小さい微細粒子の含有量が多すぎると処理水に於いて白濁が生じ排水に問題を生じる場合があり、処理水を排出する前に沈殿させる工程が別途必要になる場合がある。アルカリ剤の好ましい粒径は、アルカリ剤の種類によって決めることができる。例えば、アルカリ剤(特に炭酸カルシウム)中、粒径60メッシュパスの微細粒子の含有量が多すぎると処理水に於いて白濁が生じ排水に問題を生じる場合があるため、処理水を排出する前に沈殿させる工程が別途必要になる場合がある。よってアルカリ剤(特に炭酸カルシウム)全重量のうち、60メッシュパスの粒子の重量割合は10重量%以下であることが好ましく、5重量%未満であることがより好ましく、0重量%であってもよい。
アルカリ剤の配合量は、特に限定されないが、脱窒用硫黄資材の総重量に対して、30重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましく、また、70重量%以下が好ましく、69.5重量%以下がより好ましく、60重量%以下がさらに好ましい。
また、脱窒用硫黄資材中の粉末硫黄とアルカリ剤の配合比(重量比)は、特に限定されないが、比率(粉末硫黄:アルカリ剤)は、好ましくは3:7〜7:3であり、より好ましくは4:6〜6:4であり、さらに好ましくは5:5である。配合比が該範囲内にあることにより、脱窒活性と、pH低下の抑制とのバランスに優れる。
(界面活性剤)
本実施形態の脱窒用硫黄資材は界面活性剤を含む。界面活性剤を含むことにより粉末硫黄に親水性が付与され、硫黄資材が粉末状であっても養豚排水等の排水に硫黄資材がなじみやすくなるため、この硫黄資材を排水中に投入するのみで簡便に使用できる。
界面活性剤は特に限定されず、ノニオン系、アニオン系、カチオン系および両性のうちいずれであってもよいが、主成分(界面活性剤の総重量に対して好ましくは50重量%以上であり、100重量%であってもよい)がノニオン系界面活性剤であるのが好ましい。ノニオン系であると泡立ちが少なく処理水中のpHや温度変化の影響を受けにくく、硫黄資材が扱いやすくなる。界面活性剤のHLB値は、特に限定されないが、10〜13程度が好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、アセチレングリコールが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、{(モノ、ジ、トリ)アルキル}ナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩、或いはピリジニウム塩などが挙げられ、具体的には、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルジメチルエチルアンモニウム塩、オクタデシルジメチルエチルアンモニウム塩、ジメチルベンジルラウリルアンモニウム塩、セチルジメチルベンジルアンモニウム塩、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、トリエチルベンジルアンモニウム塩、ジメチルジフェニルアンモニウム塩、ベンジルジメチルフェニルアンモニウム塩、ヘキサデシルピリジニウム塩、ラウリルピリジニウム塩、ドデシルピリジニウム塩、ステアリルアミンアセテート、ラウリルアミンアセテート、オクタデシルアミンアセテートなどが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。
これら界面活性剤は、一種を単独で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤と他の原料を混合するときは、界面活性剤を水等の溶媒で希釈して用いてもよいし、溶媒等で希釈せずにそのまま用いてもよい。
界面活性剤の含有量は、脱窒用硫黄資材の総重量に対して、0.5〜5重量%が好ましく、1〜3重量%がより好ましい。
本実施形態の脱窒用硫黄資材は、粉末状、又は粉末状と粒状との混合形態であるのが好ましく、一態様として、150メッシュパスの粉末状硫黄と、60メッシュオンかつ5メッシュパスの粉末状および/または粒状のアルカリ剤(特に炭酸カルシウム)との混合物であるのがより好ましい。本実施形態の脱窒用硫黄資材は、粗砕状またはペレット状の従来の硫黄資材に比べて、単位重量あたりの接触面積が大きく、高い脱窒効果を達成できる。
<脱窒用硫黄資材の製造方法>
本実施形態の脱窒用硫黄資材の製造方法は、粉末硫黄と、界面活性剤と、アルカリ剤とを混練する工程(以下、単に「混練工程」ともいう)を含む。混練工程は、公知のリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、タンブラーブレンダー、2軸撹拌機等を用いて行うことができる。混練工程において、原料の混合順序は限定されず、すべての原料を同時に混合してもよいし、段階的に混合しながら混練してもよい。混練工程は、特に限定はされないが、好ましくは、常温・常圧条件下で行う。なお、本明細書において、常温とは20℃±20℃(0℃〜40℃)のことをいい、常圧とは特に加圧も減圧も行っていない圧力のことをいい、通常大気圧に等しい圧力(約1atm)のことをいう。また、混練工程は、水等の溶媒を用いて行ってもよい。本実施形態の脱窒用硫黄資材の製造方法は、特許文献1に記載されているような特殊な成型工程を含まず、簡便な方法である。
<脱窒処理方法>
本実施形態の脱窒用硫黄資材は、例えば、畜産業、農業、水産業(養殖業、魚の飼育業等を含む)等の排水から硝酸性窒素等を除去するのに用いることができ、特に、養豚排水等の畜産業の分野の排水からの硝酸性窒素等の除去に好適に用いられる。ここで養豚排水とは、豚舎の糞尿や洗浄水を含む排水を意味する。養豚排水には、硫黄脱窒反応(硫黄を利用して硝酸性窒素等を窒素ガスに還元すると同時に硫酸イオンを生成する反応)を行う硫黄酸化脱窒細菌が存在する。本実施形態の脱窒用硫黄資材を用いると、養豚排水中の硫黄酸化細菌が資材表面で増殖し、その代謝反応により硝酸性窒素等が窒素ガスへと変換され、窒素を系外へ放出することができる。また、本実施形態の脱窒用硫黄資材は、水族館等の魚飼育水等の排水処理において硝酸性窒素等を除去する際にも用いることができる。
本実施形態の脱窒処理方法においては、脱窒用硫黄資材と、養豚排水等の硝酸性窒素等を含む排水とを接触させる工程を含む。液体を収容可能な槽内で、脱窒用硫黄資材と、硝酸性窒素等を含む排水とを接触させ、脱窒反応させるのが好ましい。
本発明の一態様として、脱窒用硫黄資材を使用して排水等の脱窒処理を行う際には、脱窒処理装置(「脱窒リアクター」とも記載する)を用いるのが好ましい。脱窒処理装置は、例えば、養豚排水処理施設の後段に設置され、当該施設の放流水(養豚排水)を対象として脱窒処理を行う。
脱窒処理装置の一態様は、液体を収容可能な槽と;槽内で、鉛直方向の隔壁により区画され、隔壁の直下の通液空間により連通された第1区画および第2区画と;第1区画内の下部、第2区画内の下部および通液空間に、脱窒用硫黄資材が通液空間より上方の高さまで堆積された硫黄資材層とを有するのが好ましい。脱窒処理装置として、好ましくは、土木工事用土砂沈殿分離タンク(ノッチタンク)を用いることができる。
図1に、脱窒処理装置の一例の模式図を示す。脱窒処理装置10は、鉛直方向の隔壁12aおよび12bにより3つの区画(第1区画10a、第2区画10b、第3区画10c)に区画されており、隔壁12aの直下の通液空間により第1区画10aおよび第2区画10bが連通している。第1区画10a内の下部、第2区画10b内の下部および通液空間には、本実施形態の脱窒用硫黄資材が、通液空間より上方の高さまで堆積された硫黄資材層11が存在する。なお、本実施形態の脱窒用硫黄資材は粉末状であるが、あらかじめ界面活性剤を含み親水性であるので、別途親水化処理を行うことなく直接脱窒処理装置10の中に投入することができる。脱窒用硫黄資材11は、特に限定されないが、例えば、有効容積500Lのノッチタンク当たり100〜250kgが投入される。
脱窒処理においては、第1区画10aに養豚排水等の原水1を流入し、第3区画10cまで自然流下させる。液は、流下中に、硫黄資材層11中を通過し、この際硫黄脱窒反応により硝酸性窒素等が窒素ガスに変化し、系外へ排出される。
原水は、例えば流入量100〜1500mL/分、水有効容積当たりの水理学的滞留時間(HRT)0.2〜3.5日で連続投入される。槽内の硫黄資材層11中の脱窒用硫黄資材の表面には、硫黄酸化脱窒細菌が増殖し、硫黄を利用した脱窒が進行する。硫黄酸化脱窒細菌は、硫黄を利用して硝酸性窒素等を窒素ガスに還元すると同時に硫酸イオンを生成する。ここで、本実施形態の脱窒用硫黄資材はアルカリ剤を含むため、別途炭酸カルシウム等のアルカリ剤を投入しなくても処理水のpHが低下するのを防止することができる。必要に応じて、さらに炭酸カルシウム等のアルカリ剤が、脱窒リアクター内の第1区画10a、第2区画10b及び第3区画10cから選ばれる少なくとも1区画に投入されてもよく、複数区画に投入されてもよい。
なお、隔壁で仕切られた硫黄資材投入区画の数は、図1では第1区画10aと第2区画10bの2区画である態様を示しているが、さらに区画数を増やして、好ましくは3区画、より好ましくは4区画以上に多段化すると処理性能を向上させることができる。
脱窒処理装置(例えば底部に排水流下用間隙を有する隔壁(バッフル)によって複数区画に仕切られた上部開放型水槽)の下部の脱窒用硫黄資材層は、圧密によって徐々に通液抵抗が増大し、上流区画(第1区画10a)の水位が上昇し、ついには隔壁12aの上部を越流するようになる場合がある。越流が生じると原水は硫黄資材層11を通過せずに脱窒処理装置の槽から流出するようになり、脱窒効果は大幅に低下してしまう。この問題を解決するための一態様として、上流区画10aと下流区画の水位差を大きくする(好ましくは25cm、より好ましくは50cm、さらに好ましくは75cm)ことで、通水抵抗の高まった資材層を液が浸透・通過できるようにするのが好ましい。また、脱窒処理装置への硫黄資材の投入量を調整して、設定水位差以上に水位が上昇して処理対象液が隔壁12aを越流してしまうことのないように硫黄資材層11の層厚を調整するのも好ましい。
脱窒処理装置内で原水が隔壁12aの上部を越流してしまうのを防ぐための別の一態様として、硫黄資材層の圧密を定期的に解除することが好ましく、例えば、有孔管(例えば有孔塩ビ管)を底面全体に配置しブロアーで送気する方法が挙げられるが、隔壁12aの直下は硫黄資材の圧密が強く進行する傾向があり、このブロアーで送気する方法のみでは圧密の解除および越流の防止には不十分であった。そこで、本発明者らは、この問題を解決すべく鋭意検討を行い、脱窒処理装置が、液体を収容可能な槽と;槽内で、鉛直方向の隔壁により区画され、隔壁の直下の通液空間により連通された第1区画および第2区画と;第1区画内の下部、第2区画内の下部および通液空間に、脱窒用硫黄資材が通液空間より上方の高さまで堆積された硫黄資材層と;通液空間近傍に連通し、第1区画の硫黄資材層および第2区画の硫黄資材層に加圧空気を供給する加圧空気供給管とを有することにより、硫黄資材層11の圧密を解除できることを見出した。
硫黄資材層の圧密の解除に優れた脱窒処理装置の一例の模式図を図2Aに示す。
脱窒処理装置20は上述の図1の脱窒処理装置10の構成に、さらに、コンプレッサー21と加圧空気導入管23を備える。加圧空気導入管23は、隔壁12aの直下の通液空間近傍に連通しており、その末端が通液空間近傍で空気吹き出し部材であるT字部材24と結合している。脱窒処理装置20は、さらに加圧空気導入管23上に電磁弁22を備え、コンプレッサー21からの加圧空気の流入を調整してもよい。
T字部材24は、図3に示すように、横棒部24aとその中央部に垂直に連結した縦棒部24bを有し、3末端は開放されていて内部は連続した空間となっている。T字部材24の縦棒部24bは加圧空気導入管23と連結され、T字部材24の横棒部24aはその両末端のうち、一方の末端が第1区画10a内、他方の末端が第2区画10b内に位置し、横棒部24aの長さ方向が隔壁12aの壁面とほぼ垂直になるように脱窒リアクター20の底部近くに固定されるのが好ましい。T字部材24の大きさは、特に限定されないが、例えば、脱窒処理装置の総容量が2m程度の場合、横棒部および縦棒部の長さが、それぞれ3〜10cmで、内部の穴の直径は3〜10mm程度であるのが好ましい。
脱窒処理装置20においては、コンプレッサー21で加圧された空気が、加圧空気導入管23を通ってT字部材24の横棒部24aの両末端から、第1区画内と第2区画内の硫黄資材層中に噴射され(噴出空気4)、硫黄資材層の圧密が解除される。この加圧空気の噴射の噴射時間および頻度は、特に限定されないが、例えば1回あたり3〜6秒で、回数は1日1〜4回に設定してもよく、加圧空気導入管23中に設置された電磁弁22をタイマーで制御してもよい。
脱窒処理装置20は、コンプレッサー21、電磁弁22、加圧空気導入管23およびT字部材24のいずれかを、必要に応じて2個以上備えてもよく、少なくともT字部材24を2個以上備えるのが好ましい。T字部材24を2つ設置する場合、例えば、T字状に分岐した加圧空気導入管の2末端にそれぞれT字部材24を接続し、2つのT字部材24をそれぞれ脱窒リアクター20の底部近くに固定してもよい。
さらに、脱窒処理装置は、上記の圧力空気による圧密解除に代わるかまたは併用する解除法の別の態様として、硫黄資材層底部高さに撹拌翼を位置させた攪拌機を設置し、定期的にまたは連続的に緩速撹拌してもよい。
さらに別の態様として、脱窒処理装置は、最終区画(第3区画10c)の水面下に水中ポンプを設置し、吸揚した液を導入管で隔壁下部の資材層付近に吐出することでも資材層の圧密を軽減できる。この際、硫黄資材層に短絡流の流路が形成されてしまうと原水の脱窒処理が不十分となってしまうため、液の吐出位置、吐出方向および吐出流量が適正となるように調整するのが好ましい。
脱窒処理装置20は、さらに、有孔管(例えば有孔塩ビ管)を底面全体に配置しブロアーで送気する手段を備えて硫黄資材層の圧密を解除してもよい。
本実施形態においては、脱窒処理装置中の圧密を解除するために上述の方法のうち複数の方法を併用してもよい。
一方、上記のように硫黄資材層の圧密解除を実施した際に、空気流量が高すぎると隔壁12a下部の通液空間の資材層にトンネル状の空隙が生じ、液が資材層を浸透することなく流下するようになり脱窒性能が低下してしまう場合がある。これを防ぐための一態様として、該隔壁12a下部の通液空間から離れた位置の底部にも空気吹き出し部材を設置し、定期的に硫黄資材を該隔壁下部に吹き戻してもよい。
図2Bに、硫黄資材層の圧密解除を行う際、通液空間の資材層にトンネル状の空隙が形成されるのを防ぐことができる脱窒処理装置の一態様を示す。図2Bの脱窒処理装置30は、図2Aの脱窒処理装置の底面に2つの勾配31を設けたものである。脱窒処理処置30中の隔壁12a下部の左右(第1区画10aおよび第2区画10b)の槽底面を隔壁12aの直下が凹部の最深部になるように勾配31を設けることにより、T字部材24からの通気で舞い上がった硫黄資材が勾配31によって誘導されながら沈降し隔壁下部への堆積状態に自然に戻ることができる。
脱窒処理装置は、振動子(不図示)を備えてもよい。振動子は、脱窒用硫黄資材の表面から発生した窒素気泡が硫黄資材層中に埋封され硫黄資材と原水との接触を阻害するのを防ぐため常時又は定期的に硫黄資材層を振動させ脱泡することができると共に硫黄資材層の圧密の解除や短絡流の流路形成防止にもなる。振動子は、例えば空気圧式もしくは電動式等の、バイブレーター又はノッカー等でノッチタンク等の脱窒処理装置の外面および/又は硫黄資材層内に配置される。
脱窒処理装置は、さらに硫黄資材含有槽内(第1区画10aおよび第2区画10b)の液温を加温する手段(加温手段)を備えてもよく、これにより低温期の硫黄酸化脱窒細菌による脱窒活性の低下を抑制して通年にわたり養豚排水から脱窒を行うことができる。脱窒リアクターの槽内の液温は硫黄酸化脱窒細菌の活動できる10〜40℃であるのが好ましく、30〜40℃であるのがより好ましい。
上記加温手段を備える脱窒処理装置の一態様を以下説明する。脱窒処理装置の最終区画(最下流区画)内に循環ポンプとして水中ポンプを設置し、最終区画内の液の一部(循環液)を最初の区画(最上流区画)内に返送する循環ラインを設け、この循環ライン上に加温手段を設ける。例えば、図1の脱窒処理装置において、第3区画10c内に水中ポンプを設置し、この水中ポンプに接続された循環ラインが、加温手段を経て末端の液排出口から第1区画10a内に循環液を排出できるように設置される。これにより、第3区画10c内の液の一部が加温された状態で第1区画内10a内に供給され、脱窒活性の低下を抑制することができる。
加温手段としては、例えば、既存の養豚排水処理施設は、養豚排水を活性汚泥法に供するための曝気槽を備えているが、この曝気槽内の液の熱を利用する方法が好ましい。曝気槽内では、ブロアーの熱及び地中温によって通年で高い水温(例えば、冬期でも15℃以上)が維持されている場合が多い。一態様として、循環ラインの一部を、例えば、長さ5〜10m(好ましくは10m)程度の水道用ステンレス製フレキシブル管とし、曝気槽内の液中にコイル状に巻いて浸漬させて循環液を加温するのが好ましい。これにより、曝気槽内の液温を脱窒装置に移行させることができ、冬期でも一定の水温維持が可能となる。また、この循環ラインの液排出口を、脱窒処理装置の最初の区画内(図1の装置の場合は第1区画10a内)における通液空間近傍に設置すると、加温と同時に、硫黄資材層の圧密の解除も行うことができ好ましい。
本実施形態の一態様として、図1、図2A、または図2Bに示すような脱窒リアクターを2個以上直列または並列に配置してもよい。
脱窒処理装置の別の一態様として、液体を収容可能な槽と;該槽内の下部に脱窒用硫黄資材が堆積された硫黄資材層と;該槽外から硫黄資材層内に液体を供給する手段とを有する、上向流方式の脱窒処理装置(脱窒リアクター)が好ましい。上向流方式の脱窒処理装置の一例の模式図を図4に示す。
図4の脱窒処理装置は、液体を収容可能な円塔型の槽41と、槽41中の下部に硫黄資材が堆積された硫黄資材層42と、硫黄資材層42中に槽外から原水を供給する原水供給管43とを備える。原水供給管43の一末端が硫黄資材層42中に配置されるのが好ましく、硫黄資材層中の原水供給管43の末端が、底部近く、例えば、槽41の底面から硫黄資材層42の高さの好ましくは1/2以下、より好ましくは1/4以下までの位置に配置される。脱窒処理装置の槽41の形状は円筒型に限らず、例えば底面が矩形の角型であってもよい。また、槽41のサイズは図4に記載の数字に限らず、例えば、円筒型である場合、実際の排水処理施設等では、底面の直径が50cm〜4m程度であってもよく、高さは、150cm〜3m程度であってもよい。硫黄資材の量は、特に限定されないが、例えば槽41の容積1Lあたり200g〜600g投入される。
原水供給管43は、複数本備えられてもよい。また、原水供給管43の原水が流入する側の末端および/または原水が放出される側の末端が分岐していてもよい。
図4の脱窒処理装置においては、原水が原水供給管43により連続的に下向流で供給される。原水の供給方法は、特に限定されないが、ポンプで供給してもよいし、水頭差を利用してもよい。硫黄資材層42中に放出された原水は、槽41の底部で反転して上向流となり、原水が硫黄資材層42中を通過する間に硫黄脱窒反応により原水中の硝酸性窒素等が窒素ガスに変化し、処理水として系外へ排出される。ここで、この脱窒処理装置において、短絡流の流路が形成されてしまうと原水の脱窒処理が不十分となってしまうため、必要に応じて、例えば、原水供給管43から加圧空気を硫黄資材層42中に挿入し、硫黄資材層を均一化させるのも好ましい。
本実施形態の一態様として、図4に示すような上向流方式の脱窒処理装置を2個以上直列または並列に配置してもよい。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<例A>
(1)脱窒用硫黄資材
硫黄粉末(硫黄99.5%、150メッシュパス)をベースに、炭酸カルシウム(30メッシュパスかつ50メッシュオン)、および粘度調整をしたノニオン系界面活性剤(親油基の炭素数22でHLB値12.8)を、リボンブレンダーや2軸攪拌機を使用して混練し、脱窒用硫黄資材1(以下、単に「硫黄資材1」とも記載する)を製造した。各原料の配合割合は、粉末硫黄48.5重量%、炭酸カルシウム48.5重量%、ノニオン系界面活性剤3重量%であり、硫黄資材1は150メッシュパスの硫黄と30メッシュパスかつ50メッシュオンの炭酸カルシウムを含む粉末状であった。
(2)実験装置
脱窒リアクターとして、図4に示す液部有効容積2.23Lの円筒型プラスチックカラム(約8cmφ×約48cm H)を用いた。この脱窒リアクターに、開発した硫黄資材1を1kg(見かけ容積1.12L、層厚22.7cm)投入した。試験の原水には、養豚農家の汚水処理施設から排出される活性汚泥処理水を用いた。ただし、試験開始23日目以降は、防疫面の問題が生じ農場に立ち入ることができなくなったため、千葉県畜産総合研究センターの活性汚泥処理水に硝酸ナトリウムを2.0g/L添加して試験の原水とした。原水は原水貯留槽に移し、そこからダイアフラム定量ポンプにより流入量1.0〜6.5mL/分、液部有効容積あたりの水理学的滞留時間(HRT)0.2〜1.5日でリアクターの下部から連続注入した(図5)。原水流入量の調整により、NO−N負荷量を変動させることで脱窒活性への影響を検討した。注入した原水はリアクター底面に沈積した硫黄資材層を通過後、リアクター上部から処理水として排出した。なお、原水の水温を一定に維持するため、試験開始7日目以降は原水貯留槽に水中ヒーターを投入して水温を20℃程度に調整した。硫黄酸化脱窒細菌の植種は行わなかった。リアクターの運転は、2015年11月18日から2016年1月19日までの62日間行った。
(3)分析方法
pHはガラス電極法によって測定した。NO −N、NO −N、アンモニウム性窒素(NH −N)、SO 2−は、それぞれクロモトロープ酸法、ジアゾ化法、サリチル酸法、硫酸バリウム/比濁法により、吸光度式多項目水質測定器(PhotoFlex STD;セントラル科学、東京)により測定した。M−アルカリ度はドロップテストM−アルカリ度(WAD−AL−M;共立理化学研究所、東京)により測定した。
表1に原水と処理水の水質の性状を示す。なお、表1の水質は、脱窒リアクターで処理した期間中の平均値を表す。
Figure 0006935653
硫黄資材1を液で満たした脱窒リアクター内に投入したところ、全量が速やかに沈降することを確認した。沈降直後はリアクター内の液中に白濁が見られたものの、時間経過と
ともに徐々に薄れていった。試験期間中の原水のNO −Nは207.7±53.1mg/L(平均±標準偏差)であり、NO −NおよびNH −Nはほとんど検出されなかった(表1)。
処理水のNO −Nは試験開始16日目以降に低減し始め、19日目に水質汚濁防止法の硝酸性窒素等の一般基準値である100mg/L以下まで低減した(図6)。23日目以降は処理水にNO −Nは検出限界以下であった。その後、試験終了となる62日目まで100mg/L以下を維持することができた。試験期間中の水温は12.6〜22.7℃の範囲で推移し、その平均は18.6℃だった(図7)。また、NOx−N負荷量は0.28〜1.95kg−N/ton−資材・日の範囲で変動した(図7)。特に、脱窒活性発現後の21日目以降はNOx−N負荷量を0.28〜0.91kg−N/ton−資材・日の範囲で、経過日数に伴い徐々に上昇させた。その結果、62日目のNOx−N負荷量0.91kg−N/ton−資材・日では、処理水のNO −Nは44.4mg/Lまで上昇したが、NOx−N除去率は83.1%と負荷量が上昇しても高い脱窒効果が維持された。また、21日目以降のNOx−N負荷量とNOx−N除去率の関係では、負荷量が低いほど除去率は高まる傾向が示された(図8)。純粋粉末硫黄を利用してNOx−N負荷量0.55kg−N/ton−資材・日の条件で80%程度の除去率が得られたことが報告されているが(長谷川輝明、田中康男(2015)簡易加温システムを備えた土砂沈殿分離タンク転用リアクターによる養豚排水用硫黄脱窒処理技術の開発:日本畜産環境学会会誌:14(1):47−55.)、本試験においては0.57kg−N/ton−資材・日以下でも100%近い除去率が得られた。21日目以降の水温とNOx−N除去率の関係では、水温が高いほど除去率も高くなる傾向が示された(図9)。よって、水温が高くなるにつれて脱窒活性が高まるものと推察される。
硫黄脱窒処理では、脱窒に伴い硫黄酸化脱窒細菌により硫黄が酸化されSO 2−が生成される。SO 2−生成量(△SO 2−)と窒素除去量(△NOx−N)との関係では、除去量が多くなるにつれて△SO 2−も増加する傾向がみられ、高い相関が示された(R=0.9825、P<0.01)(図10)。
通常、△SO 2−が増加すると処理水のpHは酸性に偏る。SO 2−−Sが1000mg/L程度に達すると処理水のpHは5.8付近まで低下することが知られている。今回の試験では、原水のpHが7.5〜8.3であったのに対して、処理水のpHは6.8〜7.9の範囲で推移した(表1、図11)。△SO 2−が大幅に増加したにも関わらず、処理水のpHはほぼ中性に維持されることが示された。この中和効果は脱窒用硫黄資材に配合した炭酸カルシウムが硫酸イオンと結合して硫酸カルシウムを形成することも寄与したと推察される。
また、硫黄脱窒処理で脱窒活性を維持するのにアルカリ度は重要な要素である。試験期間中の処理水のM−アルカリ度は160±38.4mg/Lであったが(表1)、十分な脱窒活性が発現したことから炭酸カルシウムの配合量は十分であったといえる。
上記結果から、本実施形態の脱窒用硫黄資材は、資材の取り扱いが容易で、かつ硫黄脱窒に必要なアルカリ度の供給と中和機能に有効であることが示された。
なお、千葉県内養豚汚水処理施設の硝酸性窒素等の実態調査では、活性汚泥処理水のNO −Nは平均184mg/Lであったことが報告されている。一方、今回の試験では試験開始後21日目以降にはNOx−Nがおよそ200mg/L低減した。このことから、現場の硝酸性窒素等低減対策に期待できると考えられる。
<例B>
次に、硫黄資材に用いるアルカリ剤について検討した。
(実施例B1)
養豚農家の活性汚泥処理水を試験の原水として、1L容量のビーカー内に900mL投入し、それに対して上記硫黄資材1(アルカリ剤として炭酸カルシウムを使用)を450g充填した。ガラス撹拌棒で原水と硫黄資材1とを撹拌混合した後、静置させた。以降、経過日数に伴うpHおよびNO −N濃度について、上記例Aの分析方法により測定した。試験期間は2017年9月1日から10月25日までの54日間実施した。経過日数に伴う処理水のpHを表2に示し、NO −N濃度を図12に示す。
(実施例B2)
アルカリ剤として炭酸カルシウムに代えて、天然マグネサイト(粒径:60メッシュパス、200メッシュオン)を用いた以外は、硫黄資材1の製造方法と同様にして硫黄資材2を調製した。硫黄資材1に代えて硫黄資材2を用いた以外は実施例B1と同様にして原水を処理し、pHおよびNO −N濃度を測定した。結果を表2および図12に示す。
(実施例B3)
アルカリ剤として炭酸カルシウムに代えて、合成マグネサイト(粒径:150メッシュパス)を用いた以外は、硫黄資材1の製造方法と同様にして硫黄資材3を調製した。硫黄資材1に代えて硫黄資材3を用いた以外は実施例B1と同様にして原水を処理し、pHおよびNO −N濃度を測定した。結果を表2および図12に示す。
(参考例B4)
アルカリ剤として炭酸カルシウムに代えて、塩基性炭酸マグネシウム(粒径:200メッシュパス)を用いた以外は、硫黄資材1の製造方法と同様にして硫黄資材4を調製した。硫黄資材1に代えて硫黄資材4を用いた以外は実施例B1と同様にして原水を処理し、pHおよびNO −N濃度を測定した。結果を表2および図12に示す。
(参考例B5)
アルカリ剤として炭酸カルシウムに代えて、顆粒状の塩基性炭酸マグネシウムを用いた以外は、硫黄資材1の製造方法と同様にして硫黄資材5を調製した。硫黄資材1に代えて硫黄資材5を用いた以外は実施例B1と同様にして原水を処理し、pHおよびNO −N濃度を測定した。結果を表2および図12に示す。
上記実施例B1〜B3および参考例B4,B5において、各脱窒処理日数における、pHを表2に示す。
Figure 0006935653
上記実施例B1〜B3および参考例B4,B5において、各脱窒処理日数における、NO −Nの濃度を図12に示す。
図12に示したとおり、原水(脱窒処理前)のNO −Nの濃度は236.8mg/Lであった。試験開始以降、各実施例および参考例においてNO −Nの濃度は低減し、54日目におけるNO −Nの濃度および除去率は以下のとおりであった。
実施例B1:7.2mg/L(除去率97%)
実施例B2:5.4mg/L(除去率97.7%)
実施例B3:60.4mg/L(除去率74.5%)
参考例B4:145.6mg/L(除去率38.5%)
参考例B5:221.6mg/L(除去率6.4%)
実施例B1〜B3より、アルカリ剤として天然マグネサイトまたは合成マグネサイトを用いた硫黄資材も、炭酸カルシウムを用いた場合と同様、NO −Nの除去率が高いことが示された。一方、塩基性炭酸マグネシウムを用いた硫黄資材では、NO −Nの除去率が低かった。この理由は定かではないが、天然マグネサイトまたは合成マグネサイトを含む硫黄資材を用いると、脱窒反応が進みやすいpHを保持できたためと推察される。
炭酸カルシウムを含む硫黄資材を用いる場合は、脱窒反応により形成される不溶性成分(硫酸カルシウム)が沈積し、脱窒処理の妨げになる場合がある。一方、実施例B2およびB3のように、マグネサイトを含む硫黄資材を用いると、マグネサイトは主成分が炭酸マグネシウムであり、脱窒反応により形成される硫酸マグネシウムは水に溶けやすいため、炭酸カルシウムを用いる場合のような不溶性成分の沈積の問題が起こりにくい。
よって、アルカリ剤として天然マグネサイトまたは合成マグネサイトを含む硫黄資材は、脱窒効果が高く、かつ、不溶性成分が生じにくいという観点で好ましいといえる。
本発明は、養豚排水処理施設等における硝酸性窒素等の除去に用いることができる。
1:原水
2:処理水
3:加圧空気
4:噴出空気
10:脱窒処理装置
10a:第1区画
10b:第2区画
10c:第3区画
11:硫黄資材層
12a:隔壁
12b:隔壁
20:脱窒処理装置
21:コンプレッサー
22:電磁弁
23:加圧空気導入管
24:T字部材
24a:横棒部
24b:縦棒部
30:脱窒処理装置
31:勾配
41:槽
42:硫黄資材層
43:原水供給管

Claims (16)

  1. 粉末硫黄、マグネサイトを含むアルカリ剤、および界面活性剤を含む、脱窒用硫黄資材(ただし、水不溶性又は難溶性のバインダーで一体化された脱窒用硫黄資材を除く)。
  2. 前記マグネサイトが、天然マグネサイトを含む、請求項1に記載の脱窒用硫黄資材。
  3. 前記界面活性剤がノニオン系界面活性剤を含む、請求項1または2に記載の脱窒用硫黄資材。
  4. 脱窒用硫黄資材の総重量に対して、前記粉末硫黄の含有量が30〜69.5重量%であり、前記アルカリ剤の含有量が30〜69.5重量%であり、かつ前記界面活性剤の含有量が0.5〜5重量%である、請求項1〜のいずれか一項に記載の脱窒用硫黄資材。
  5. 前記アルカリ剤の平均粒径が200メッシュオンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の脱窒用硫黄資材。
  6. 粉末硫黄、マグネサイトを含むアルカリ剤、および界面活性剤を、混練する工程を含む、脱窒用硫黄資材の製造方法(ただし、粉末硫黄とアルカリ剤を水不溶性又は難溶性のバインダーで一体化する工程を含まない)。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の脱窒用硫黄資材と、排水とを接触させる工程を含む、排水の脱窒処理方法。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の脱窒用硫黄資材を含む脱窒処理装置。
  9. 液体を収容可能な槽と、
    前記槽内で、鉛直方向の隔壁により区画され、前記隔壁の直下の通液空間により連通された第1区画および第2区画と、
    第1区画内の下部、第2区画内の下部および前記通液空間に、脱窒用硫黄資材が通液空間より上方の高さまで堆積された硫黄資材層と、
    前記通液空間近傍に連通し、第1区画の硫黄資材層および第2区画の硫黄資材層に加圧空気を供給する加圧空気供給管と、
    を有し、
    前記脱窒用硫黄資材が、粉末硫黄、アルカリ剤、および界面活性剤を含む、脱窒処理装置。
  10. 液体を収容可能な槽と、
    前記槽内で、鉛直方向の隔壁により区画され、前記隔壁の直下の通液空間により連通された第1区画および第2区画と、
    第1区画内の下部、第2区画内の下部および前記通液空間に、脱窒用硫黄資材が通液空間より上方の高さまで堆積された硫黄資材層と、
    前記槽の外面および/または硫黄資材層内に設置された振動子と、
    を有し、
    前記脱窒用硫黄資材が、粉末硫黄、アルカリ剤、および界面活性剤を含む、脱窒処理装置。
  11. 前記アルカリ剤が炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムを含む、請求項9または10に記載の脱窒処理装置。
  12. 前記アルカリ剤が、天然マグネサイトおよび/または合成マグネサイトを含む、請求9〜11のいずれか一項に記載の脱窒処理装置。
  13. 前記界面活性剤がノニオン系界面活性剤を含む、請求項9〜12のいずれか一項に記載の脱窒処理装置。
  14. 脱窒用硫黄資材の総重量に対して、前記粉末硫黄の含有量が30〜69.5重量%であり、前記アルカリ剤の含有量が30〜69.5重量%であり、かつ前記界面活性剤の含有量が0.5〜5重量%である、請求項9〜13のいずれか一項に記載の脱窒処理装置。
  15. 前記アルカリ剤が炭酸カルシウムを含み、炭酸カルシウムの総重量に対する、60メッシュパスの炭酸カルシウムの粒子の含有量が10重量%以下である、請求項9〜14のいずれか一項に記載の脱窒処理装置。
  16. 前記アルカリ剤の平均粒径が60メッシュオンかつ5メッシュパスである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の脱窒用硫黄資材。
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