JP6935806B2 - ガラス板およびその成形方法 - Google Patents
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Description
第1面と、
前記第1面と対向する第2面と、を有し、
前記第1面を凹面、前記第2面を凸面として、第1軸の周りに湾曲し、
前記第1軸に垂直な平面での断面視において、
前記第2面の少なくとも両端部は化学強化され、前記両端部における前記第2面のイオン交換により生じる圧縮応力が、前記両端部における前記第1面のイオン交換により生じる圧縮応力よりも大きく、
前記第2面の断面上のいずれかの端点と、前記端点と最も離れた前記第2面の断面上の点とを結ぶ線分を含む線をX軸とし、
前記線分の中心点を通り、前記X軸に垂直な線をY軸とし、
前記X軸と前記Y軸との交点を原点とし、
前記Y軸のうち、前記第1面側から前記第2面側に向かう方向を、前記Y軸の正方向とした場合、
前記第2面の断面のうち、前記Y軸の値が正の領域内における部分がなす部分形状の軌跡に対する二階微分値を二次曲線に近似した際に、前記二次曲線の二次係数が負である。
ガラス板を軟化点未満に加熱する加熱工程と、
前記加熱工程中、前記ガラス板の第1面及び前記第1面に対向する第2面のうち、前記第1面よりも前記第2面の圧縮応力が大きくなるように、前記第2面の互いに対向する2つの端部を化学強化する化学強化工程と、
前記化学強化工程中に、前記2つの端部を、可動な状態で、互いに近づく方向に付勢しながら支持する支持工程と、
を備える。
なお、図2では、後述する成形方法の手段2及び手段3で作製できる、両端部が十分に曲がり、かつガラス板の断面の全体形状が円弧であるガラス板を示す。しかし本発明に係るガラス板は、必ずしもガラス板の全体形状が円弧であることに限定されず、両端部が十分に曲がっていればよい。
本実施形態において、第2面20の断面のうち、Y軸の値が正の領域内における部分がなす部分形状の軌跡に対する二階微分値を二次曲線に近似した際に、前記二次曲線の二次係数が負である。すなわち、両端部が十分曲げ成形されたガラス板を得ることができる。詳しくは後述する。
第2実施形態は、図2(b)に示す。ここで、第1点21は、第2面20の断面上の一方の端点であり、他の端点は第3点23と新たに定義する。第2点22は、第1点21と最も離れた第2面20の断面上の点であり、ガラス板1の形状を円弧とすると原点Oは該円弧の中心となる。第2実施形態は、第2面の断面の両端点である第1点21及び第3点23と、原点Oとを結んだ扇形の中心角θが180度より大きいガラス板1である。本願の発明者らは、化学強化時間を長くすることで中心角が180度以上までガラス板が成形可能であることを実験にて確認した。
(i)モル%で表示した組成で、SiO2を63〜73%、Al2O3を0.1〜5.2%、Na2Oを10〜16%、K2Oを0〜1.5%、MgOを5〜13%及びCaOを4〜10%を含むガラス。
(ii)モル%で表示した組成で、SiO2を50〜74%、Al2O3を1〜10%、Na2Oを6〜14%、K2Oを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrO2を0〜5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が75%以下、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス。
(iii)モル%で表示した組成で、SiO2を68〜80%、Al2O3を4〜10%、Na2Oを5〜15%、K2Oを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrO2を0〜1%含有するガラス。
(iv)モル%で表示した組成で、SiO2を67〜75%、Al2O3を0〜4%、Na2Oを7〜15%、K2Oを1〜9%、MgOを6〜14%およびZrO2を0〜1.5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が71〜75%、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス。
(v)モル%で表示した組成で、SiO2を60〜72%、Al2O3を8〜16%、Na2Oを8〜18%、K2Oを0〜3%、MgOを0〜10%およびZrO2を0〜5%含有し、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス。
(vi)モル%で表示した組成で、SiO2を56〜73%、Al2O3を10〜24%、B2O3を0〜6%、P2O5を0〜6%、Li2Oを2〜7%、Na2Oを3〜11%、K2Oを0〜2%、MgOを0〜8%、CaOを0〜2%、SrOを0〜5%、BaOを0〜5%、ZnOを0〜5%、TiO2を0〜2%、ZrO2を0〜4%含有するガラス。
平板状のガラス板1aの両端部を基台(支持部材ともいう)30に載置し、軟化点未満でガラス板1を加熱する(図3(a)、(b)参照)。
加熱工程の温度が軟化点未満であるため、ガラス板1aは流動性を伴わない。したがって、一般的にガラス板を軟化点以上に加熱して行う成形よりも、光学品質が優れる。成形時の意図しない変形によってガラス板に歪などが生じるおそれが低減されるためである。加熱工程の温度は、好ましくは徐冷点未満、さらに好ましくは歪点未満である。ガラス板に歪などが生じるおそれがさらに低減される。
加熱工程を行う前に、ガラス板1aの第2面20に、例えば、組成がKNO3:K2SO4=1:1(質量比)の混合粉末から作製した溶融塩25aを、第2面20の2つの端部に均一に塗布しておくことで(図3(a)参照)、加熱工程と平行して、その熱を利用しながら両端部の化学強化が行われる。両端部の化学強化が行われると、化学強化処理層25が生じ、化学強化処理層25が膨張する(図3(b)参照)。その化学強化処理層25の膨張を原動力として、第1軸Tの周りに、第1面10を凹面、第2面20を凸面とする変形が進行する。これにより、図3(c)で示すように、ガラス板1aは湾曲形状に成形される。
具体的には、図3(a)、(b)の支持点Pにおいて、ガラスはそれぞれ矢印Cで示す力を基台30から受けていている。この力は、対向する2つの端部を互いに近づく方向に付勢する成分を有している。さらに端部が可動な状態のため、その後、化学強化処理層25の膨張を原動力として、湾曲形状に成形されると、ガラス板1aの対向する辺はめくりあがり、対向する辺間の距離Bは狭まる。そして角部から離れていく支持点Pを徐々にガラス板1aの重心側にずらしながら、ガラス板の全体形状は、湾曲形状へと成形される(図3(c))。
なお、手段1の場合、2つの端部が可能であるためには、支持点Pにおけるガラス板と斜辺31との摩擦力が、化学強化による凸面の膨張する力よりも小さいことが必要である。第2面の両端部自身の変形を阻害せず、両端部が十分に湾曲することが可能となる。
なお、加熱工程前に約400℃で約5分間の仮焼成を行い、化学強化工程で用いる粉末を溶融させてもよい。
第2面20の断面が原点Oを中心とする円弧となるために、加熱は、例えば約450℃で10分以上行われることが好ましい。
なお、図2では、基台30を2つ対面させた構成であるが、これに限定されない。本支持工程のような支持ができれば、例えば、V字型の溝を有する1つの基台であってもよく、円弧よりも深いU字型の溝を有する1つの基台であってよい。
以下図4を参照しながら手段2を示す。なお、手段1と重複する部分については説明を省略する。
手段2においても、手段1と同様に加熱工程、化学強化工程、支持工程を備える。また、さらに弾性変形工程も備えている。
以下図5を参照しながら手段3を示す。なお、手段1と重複する部分については説明を省略する。
手段3においても、手段1と同様に加熱工程、化学強化工程、支持工程を備える。また、さらに弾性変形工程も備えている。
加熱工程を行いながら、第2面20の化学強化を行う(図5(b)、(c)参照)。
加熱工程と平行して、その熱を利用しながら第2面20の化学強化が行われる。第2面20の化学強化が行われると、化学強化処理層25が生じ、化学強化処理層25が膨張する。その化学強化処理層25の膨張を原動力として、第1軸Tの周りに、第1面10を凹面、第2面20を凸面とする変形が進行する。これにより、図5(c)で示すように、ガラス板1aは湾曲形状に成形される。
化学強化工程中、第2面20の互いに対向する2つの端部は、可動な状態で、互いに近づく方向に付勢されながら支持される。
なお、手段3では、第2面20全体を化学強化しているが、手段1のように両端部のみを化学強化する構成であってもよい。第2面20全体を化学強化することで、ガラス板の湾曲形状が円弧に近くなる。
なお、第2実施形態の場合、第1実施形態とは上下逆のため、第1軸Tは、基台30の下方に存在することになる(不図示)。
これに対して、特許文献1及び2で挙げた技術では、両端部が固定の状態で支持されているため、両端部を十分に成形できない。
また、さらに弾性変形工程を備えることで、ガラス板が円弧形状に成形されるメカニズムは以下のように考察できる。すなわち、ガラス板全体を予め第1軸Tの周りに湾曲したシリンドリカル形状に弾性変形することで、凸面全体の膨張による、ガラス板の変形方向を第1軸Xの周りの一方向に誘導できる。さらに、ガラス板全体、特に両端が拘束されることなく自由に変形可能であるため、第1実施形態においては斜辺31を接線とする円に沿うように、ガラス板が円弧形状に変形されていく。この理由は定かではないが、円弧形状が最も安定した状態であるためと考えられる。
第2面20が凸面で湾曲したガラス板1の両表面(第1面10および第2面20)には、何らかの圧縮方向の「表面圧縮応力」が生じている。本明細書において、「表面圧縮応力」とは、「イオン交換により生じる圧縮応力」と、弾性変形により生じる「曲げ圧縮応力」の2つを足し合わせたものとする。本実施形態では、化学強化工程中でのイオン交換によって膨張するため、第2面20に「イオン交換により生じる圧縮応力」が生じ、第1面10は、弾性変形により「曲げ圧縮応力」が生じる。これらを有するため、第1面10及び第2面20はキズが付き難くなる。
手段2の製法で作製した本実施形態のガラス板と、比較例サンプルとを作製した。そして、第2面20の断面のうち、Y軸の値が正の領域内における部分がなす部分形状の軌跡に対する二階微分値を二次曲線に近似した際に、二次曲線の二次係数を測定して、本願の効果を確認した。図6は実施例サンプル及び比較例サンプルの作製方法を示し、図7及び図8にてそれらの測定結果をまとめた。
なお、各サンプルの「−1」などの番号は、複数回実験を行った際のN数を示す。
湾曲したガラス板の形状は、GOM社3D測定システム「ATOS TripleScan」でガラス凸面全体を3D測定してポリゴン化し、ポリゴン化されたデータの曲げ方向中央断面を測定ピッチ0.1mmでデータ抽出した。なお、サンプルは上に凸の状態で斜面に置き、斜面の低い側の1辺を支持したが、測定の形態はその限りではない。また、測定装置についてもATOSに限定されず、レーザー変位計や接触式の測定装置などを使ってもよい。
図7の表の上段項目に記載された「形状」(表中一番左列のグラフ)は、ガラス板1の第2面20の断面を測定した生データそのものの軌跡である。この生データの1プロットは、ピッチ0.1mmで測定した値10点分(1mm分)の平均値を示している。
即ち、実施例サンプルの形状欄(一番左列のグラフ)に示される様に、本実施形態のガラス板1である湾曲部分の両端部が十分に曲げ成形されているものは、実は二階微分値の近似値で示される二次曲線の二次係数(二次方程式のa)が負であり、比較例のように両端部が十分に成形されていないものは、二次曲線の二次係数が正であることを見出した。詳述すると、Y軸の値が正の領域内(すなわち中心角θが180°以下)における部分がなす部分形状の軌跡に対する二階微分値を二次曲線に近似した際に、二次曲線の二次係数が負であると言える。
円弧であることの評価として、ガラス板の断面形状と対応して、曲率半径Rの仮想円弧を求め、仮想円弧から求められる値と指標値とで計算を行い、単位のない無次元化された値の範囲を決める方法を用いた。
基となる仮想円弧は、以下の手順で求めている。図10に基づいて手順を説明する。
成形された第2面20の任意の点と原点Oとの距離を測定し、平均値を求め、平均値と第2面20の任意の点との差の総和が最小となる値を最小二乗法で求め、曲率半径Rの仮想円弧を求める。
Δ/(L×(H/R)) ・・・(1)
M/(L×(H/R)) ・・・(2)
また、図9の表から、式(1)の比較例における最小値は、特許文献1の再現実験である比較例Eより、0.02であり、実施例は当該値よりも低いことが理解される結果、ガラス板1の第2面20の円弧は、式(1)により求められる値が、0.02未満であると、真円に近い円弧形状であるため望ましい。
また、仮想円弧の曲率半径Rは、270mm以下であれば第2面20は真円に近い円弧形状であると言える。小さい曲率半径Rまで曲げられることが可能であり、形状に対する多様な需要に応えられることができる。
1a 平板状のガラス板
10 第1面
20 第2面
21 第1点(端点)
22 第2点(端点)
23 第3点(端点)
25 化学強化処理層
30 基台
Claims (15)
- 第1面と、
前記第1面と対向する第2面と、を有し、
前記第1面を凹面、前記第2面を凸面として、第1軸の周りに湾曲し、
前記第1軸に垂直な平面での断面視において、
前記第2面の少なくとも両端部は化学強化され、前記両端部における前記第2面のイオン交換により生じる圧縮応力が、前記両端部における前記第1面のイオン交換により生じる圧縮応力よりも大きく、
前記第2面の断面上のいずれかの端点と、前記端点と最も離れた前記第2面の断面上の点とを結ぶ線分を含む線をX軸とし、
前記線分の中心点を通り、前記X軸に垂直な線をY軸とし、
前記X軸と前記Y軸との交点を原点とし、
前記Y軸のうち、前記第1面側から前記第2面側に向かう方向を、前記Y軸の正方向とした場合、
前記第2面の断面のうち、前記Y軸の値が正の領域内における部分がなす部分形状の軌跡に対する二階微分値を二次曲線に近似した際に、前記二次曲線の二次係数が負である、
ガラス板。 - 前記第1面は、曲げ圧縮応力を備える、請求項1に記載のガラス板。
- 前記第2面の表面圧縮応力は、前記第1面の表面圧縮応力よりも大きい、請求項1又は2に記載のガラス板。
- 前記第2面全体が化学強化され、
前記第2面の断面を、最小二乗法を用いて、前記原点を中心とする円弧に近似させたものを仮想円弧とし、
前記第2面の断面を前記仮想円弧と比較した場合、前記原点から前記仮想円弧に向かう半径方向において、前記第2面の断面上の各点と、前記仮想円弧上の各点との差の絶対値の平均値をΔとして、以下の式(1)により求められる値が、0.02未満である、請求項1から3のいずれか1項に記載のガラス板。
Δ/(L×(H/R)) ・・・(1)
R:前記仮想円弧の曲率半径
H:前記仮想円弧の矢高
L:前記仮想円弧の弦長 - 前記第2面全体が化学強化され、
前記第2面の断面を、最小二乗法を用いて、前記原点を中心とする円弧に近似させたものを仮想円弧とし、
前記第2面は、前記原点からの距離が最も遠い第1点と、前記原点からの距離が最も近い第2点とを有し、
前記原点から前記第1点までの距離と、前記原点から前記第2点までの距離との差をMとして、以下の式(2)により求められる値が、0.121未満である、
請求項1から3のいずれか1項に記載のガラス板。
M/(L×(H/R)) ・・・(2)
R:前記仮想円弧の曲率半径
H:前記仮想円弧の矢高
L:前記仮想円弧の弧長 - 前記第2面の断面の両端点と、前記原点とを結んだ扇形の中心角が、180度より大きい、請求項1から5のいずれか1項に記載のガラス板。
- 前記第2面の断面の両端点と、前記原点とを結んだ扇形の中心角が、180度である、請求項1から5のいずれか1項に記載のガラス板。
- 前記第2面の断面のうち、前記Y軸の値が正の領域内における部分の二階微分を二次曲線に近似した際に、前記二次曲線を示す二次式の、x2の係数の絶対値が、1×10−7以上である、請求項1から7のいずれか1項に記載のガラス板。
- 前記第2面の断面を、最小二乗法を用いて、円弧に近似させたとき、前記円弧の曲率半径は、270mm以下である、請求項1から8のいずれか1項に記載のガラス板。
- ガラス板を軟化点未満に加熱する加熱工程と、
前記加熱工程中、前記ガラス板の第1面及び前記第1面に対向する第2面のうち、前記第1面よりも前記第2面の圧縮応力が大きくなるように、前記第2面の互いに対向する2つの端部を化学強化する化学強化工程と、
前記化学強化工程中に、前記2つの端部を、可動な状態で、互いに近づく方向に付勢しながら支持する支持工程と、
を備えるガラス板成形方法。 - 前記支持工程は、前記第2面が凸面となるように、前記ガラス板を弾性変形させる弾性変形工程と、
をさらに備える請求項10に記載のガラス板成形方法。 - 前記弾性変形工程は、重力によって行われる請求項11に記載のガラス板成形方法。
- 前記支持工程は、第1支持状態後に、自動的に第2支持状態に遷移し、
前記第1支持状態は、前記2つの端部に支持部材を接触させた状態で支持し、
前記第2支持状態は、前記2つの端部に支持部材を接触させない状態で支持する請求項10から12のいずれか1項に記載のガラス板成形方法。 - 前記支持工程は、前記2つの端部に支持部材を接触させない状態で支持する請求項10から12のいずれか1項に記載のガラス板成形方法。
- 前記加熱工程は、前記ガラス板を歪点未満に加熱する請求項10から14のいずれか1項に記載のガラス板成形方法。
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