以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1は、一実施形態に係るプリントアンドカット装置の斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係るプリントアンドカット装置1は、媒体200に対して印刷およびカッティングが可能な装置である。図示は省略するが、媒体200は、例えば、台紙と、台紙上に積層されかつ粘着剤が塗布された剥離紙とからなるシール材である。ただし、媒体200は印刷およびカッティングが可能な媒体であれば足り、特に限定されない。媒体200は、記録紙、樹脂製のシート等であってもよい。本明細書において「カッティング」、「切断」とは、媒体200の厚み方向の全体を切断する場合(例えば、シール材の台紙および剥離紙の両方を切断する場合)と、媒体200の厚み方向の一部を切断する場合(例えば、シール材の台紙は切断せず、剥離紙のみを切断する場合)とが含まれる。
プリントアンドカット装置1は、媒体200を支持するプラテン2と、プラテン2に支持された媒体200を切断するカッティングヘッド31と、プラテン2に支持された媒体200に対し印刷を行うプリントヘッド41とを備えている。カッティングヘッド31は、第1キャリッジ30に搭載されている。プリントヘッド41は、第2キャリッジ40に搭載されている。カッティングヘッド31は、「第1ヘッド」の一例である。プリントヘッド41は、「第2ヘッド」の一例である。詳細は後述するが、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40は、図示Y方向に移動可能に構成されている。以下では、Y方向を主走査方向または左右方向といい、Y方向に対して垂直な方向であるX方向を副走査方向または前後方向という。また主走査方向Yのうち、右方に一致する方向を第1主走査方向Y1、左方に一致する方向を第2主走査方向Y2とも呼ぶ。なお、主走査方向は媒体200の幅方向に対応し、副走査方向は媒体200の長手方向に対応する。図1の符号U、D、F、Rr、L、Rは、それぞれ上、下、前、後、左、右を表している。
プラテン2には、グリットローラ11が設けられている。グリットローラ11は、フィードモータ13(図1では図示せず。図5参照)に駆動されることによって回転する。プラテン2の上方には、ガイドレール21が設けられている。ガイドレール21は左右方向に延びている。ガイドレール21の下部には、ピンチローラ12が設けられている。ピンチローラ12は、グリットローラ11の上方に配置されている。ピンチローラ12は、グリットローラ11に対し接近および離反が可能なように、上下に揺動自在に構成されている。媒体200がピンチローラ12とグリットローラ11との間に挟み込まれた状態でグリットローラ11が回転すると、媒体200は前方または後方に搬送される。なお、図1では、3つのグリットローラ11および2つのピンチローラ12しか図示されていないが、実際にはより多くのグリットローラ11およびピンチローラ12がそれぞれ主走査方向に配列されている。グリットローラ11、ピンチローラ12、およびフィードモータ13は、媒体200をカッティングヘッド31およびプリントヘッド41に対し副走査方向Xに相対的に移動させる副走査方向移動機構10を構成している。
図2は、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の正面図である。図2に示すように、カッティングヘッド31は、第1キャリッジ30を介してガイドレール21に支持されている。プリントヘッド41は第2キャリッジ40を介してガイドレール21に支持されている。第1キャリッジ30および第2キャリッジ40は、ガイドレール21に対し、左右方向に移動自在に係合している。
図2に示すように、カッティングヘッド31には、ソレノイド32を介してカッター33が取り付けられている。ソレノイド32は、制御装置100(図1参照)によって制御される。ソレノイド32がON/OFFされると、カッター33は上下方向に移動して媒体200に接触し、あるいは媒体200から離反する。第1キャリッジ30の右側面には、永久磁石によって構成される第1連結部材51が固定されている。また、第1キャリッジ30には、平板状の遮光板73が固定されている。
第1キャリッジ30の背面上部には、左右方向に延びるベルト22が固定されている。ベルト22は、スキャンモータ23(図5参照)に接続されている。スキャンモータ23が回転すると、ベルト22が左右方向に走行する。これにより、第1キャリッジ30は左右方向に移動する。スキャンモータ23は制御装置100によって制御される。ガイドレール21、ベルト22、およびスキャンモータ23は、第1キャリッジ30を主走査方向Yに移動させる主走査方向移動機構20を構成している。
第2キャリッジ40のプリントヘッド41は、インクを吐出する複数のノズル(図示せず)を有する記録ヘッド42を備えている。ここでは、プリントヘッド41は、5つの記録ヘッド42を備えている。5つの記録ヘッド42は、互いに異なる5つの色、例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインク、ホワイトインクを吐出する。ただし、記録ヘッド42の個数は5個に限定されない。また、記録ヘッド42が吐出するインクの色も何ら限定されない。
なお、本実施形態では、プリントヘッド41は、インクを吐出するインクジェットヘッドによって構成されているが、プリントヘッド41の印刷方式はインクジェット方式に限らず、プリントヘッド41はインクジェットヘッドに限定されない。プリントヘッド41は、例えばドットインパクト方式の印刷を行うプリントヘッド等であってもよい。
第2キャリッジ40の左側部分には、例えば鉄製の平板によって構成される第2連結部材52が設けられている。この第2連結部材52は、第1キャリッジ30の第1連結部材51に対し、着脱自在に連結する。第1連結部材51および第2連結部材52は、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40とを着脱自在に連結する連結機構50を構成している。本実施形態では、連結機構50は、磁力を利用するものである。ただし、連結機構50は磁力を利用するものに限られず、係合部材等の他の構成を備えたものであってもよい。第2キャリッジ40の右側部分には、第2キャリッジ40を摺動不能に固定するロック機構60のうちの第1ロック部材60Lが設けられている。
プラテン2の左右両端部には、サイドフレーム3L、3Rが配置されている。ガイドレール21は、両サイドフレーム3L、3Rに支持されている。右側のサイドフレーム3Rには、ロック機構60のうちの第2ロック部材60Rが設けられている。この第2ロック部材60Rと第2キャリッジ40の第1ロック部材60Lとが連結されることにより、ロック機構60は、第2キャリッジ40を右側のサイドフレーム3Rに固定する。
図3は、図2のIII−III断面図であって、第1ロック部材60Lの内部構造を示す模式図である。図3では、第1ロック部材60Lだけを図示し、その他の部材の図示は省略している。図3に示すように、第1ロック部材60Lは、カバー61と、スライド部材62とを備えている。カバー61は、第2キャリッジ40の右側面に固定されている。スライド部材62は、カバー61の内部に収容されている。カバー61の前後方向の幅は、スライド部材62の前後方向の幅よりも大きく、スライド部材62はカバー61内部で前後方向に移動できるようになっている。カバー61内部の天面には、左右方向に延びる溝61Aおよび溝61Bが形成されている。スライド部材62の天面には、バネによって上方に付勢され上下方向に移動可能なボール62Aが取り付けられている。また、スライド部材62の底面からはピン63が突出している。ピン63は、バネによって下方に付勢され、上下方向に移動可能に構成されている。カバー61の底面には穴61Cが設けられている。ピン63は、穴61Cから外部に飛び出している。そこで、ピン63に後ろ向きの力が加わると、スライド部材62はカバー61内の後方側の位置を取り、ボール62Aが後ろ側の溝61Aに係合する。また、ピン63に前向きの力が加わると、スライド部材62はカバー61内の前方側の位置を取り、ボール62Aが前側の溝61Bに係合する。
図4は、第2ロック部材60Rの斜視図である。第2ロック部材60Rは、斜面や段差などが形成された平板状の部材である。第2キャリッジ40が右方に移動し、第1ロック部材60Lと第2ロック部材60Rとが接触するときには、まず第1ロック部材60Lのピン63が、第2ロック部材60Rの傾斜面64に乗り上げる。このときスライド部材62は、カバー61内において前方側の位置を取っている。ピン63は上下方向に伸縮するため、傾斜面64を乗り越え、段部65の隅65Aに到達する。段部65は、傾斜面64の最も上方部分よりも低くなっている。そこで、ピン63が隅65Aに到達した状態では、第2キャリッジ40を左方に移動させるようにスキャンモータ23を駆動させても、ピン63が段差に突き当たって第2キャリッジ40は移動しない。これが、ロック機構60が第2キャリッジ40を固定しているロック状態である。
ロック状態から第2キャリッジ40を右方に移動させると、ピン63は、第1誘導面66に接触する。第1誘導面66は、左前方から右後方に向かって延びる鉛直面である。第1誘導面66に接触すると、ピン63には後ろ向きの力が加わる。そこで、スライド部材62は、カバー61内部の後方側の位置に移動する。この状態が、ロック状態からさらに第2キャリッジ40を右方に押し込むことで固定が解除されたアンロック状態である。アンロック状態から第2キャリッジ40を左方に移動させるようにスキャンモータ23を駆動させると、第1ロック部材60Lは、第2キャリッジ40の移動とともに第2ロック部材60Rから抜ける。その際、ピン63は第2誘導面67に接触して前向きの力を受ける。スライド部材62は、その前向きの力によってカバー61内部の前方側の位置に復帰する。
このように、ロック機構60は、第2キャリッジ40を所定のロック位置まで移動させるとロック状態となり、第2キャリッジ40を固定する。このロック位置には、ピン63の左右方向の長さと、図4の長さL1との差におよそ相当する「遊び」があり、この範囲では、ロック状態のまま第2キャリッジ40を動かすことができる。即ち、第2キャリッジ40の位置決め精度の面から言えば、ピン63を長さL1の間に入れることができる精度で第2キャリッジ40を位置決めすれば、ロック状態が達成できる。このロック位置の幅は、例えば、2mm程度である。
また、ロック位置からさらに第2キャリッジ40を右方に移動させると、ロック機構60は、アンロック状態となり、第2キャリッジ40の固定を解除する。このアンロック位置にも「遊び」があり、第2キャリッジ40は、アンロック状態のまま、ピン63が図4の鉛直面68に突き当たるまで動くことができる。即ち、ロック機構60がアンロックされてからピン63が鉛直面68に突き当たるまでに第2キャリッジ40が移動できる距離がアンロック位置の幅であり、これも例えば、2mm程度である。
図2に示されるように、第2キャリッジ40の下方にはキャップ81が設けられている。キャップ81は、記録ヘッド42のノズル内のインクが乾燥して固着するのを防ぐ部材である。キャップ81は、ゴム等で形成されている。キャップ81はキャップ移動機構82に支持されている。キャップ81は、キャップ移動機構82の駆動によって下方から記録ヘッド42のノズル面に装着され、または離間される。キャップ移動機構82の構成は限定されないが、例えばモータを備えている。キャップ81を記録ヘッド42のノズル面に装着可能な位置、即ちキャップ81の真上の位置が、第2キャリッジ40の待機位置である。第2キャリッジ40は、印刷実行時以外は原則としてこの待機位置に待機している。待機位置において、第2キャリッジ40は、ロック機構60によって固定されている。待機位置は、ロック機構60のロック位置の中の1つの位置である。なお、第1キャリッジ30の待機位置は、待機位置にある第2キャリッジ40に連結されているときの位置であり、第1キャリッジ30も、印刷実行時以外は原則としてこの待機位置に待機している。
キャップ81には、チューブ等を介して吸引ポンプ83が接続されている。吸引ポンプ83は、キャップ81が記録ヘッド42に装着された状態において、記録ヘッド42のノズル内のインクを吸引する。キャップ81、キャップ移動機構82、および吸引ポンプ83は、キャッピング装置80を構成している。キャッピング装置80のキャップ移動機構82、吸引ポンプ83は、制御装置100に通信可能に接続され、制御装置100によって制御されている。
待機位置における第1キャリッジ30と第2キャリッジ40との間の位置には、原点センサ70が設けられている。原点センサ70は、本実施形態では光電センサである。ただし、原点センサ70の種類等は限定されない。原点センサ70は、物体検出用の検出光を照射する投光器71と、投光器71からの検出光を受ける受光器72と、図示しない本体から構成されている。投光器71は、検出光を発する投光面を上に向けて設置され、上方に向かって検出光を照射している。受光器72は、検出光を受ける受光面が投光器71の投光面に対面するように設置されている。投光器71と受光器72との間に遮蔽物がないとき、受光器72は投光器71が発する検出光を受光している。投光器71と受光器72との間に遮蔽物が存在するとき、投光器71が発する検出光は遮蔽物によって遮られ、受光器72は検出光を受光しない。原点センサ70の本体は、受光器72が検出光を受光しないときに信号を送信(ON)するように設定されている。受光器72が検出光を受光しているときには、原点センサ70の出力はOFFである。原点センサ70は、制御装置100に電気的に接続され、制御装置100に信号を送信している。
図2に示すように、遮光板73は、投光器71の投光面と受光器72の受光面との間の高さに設置されている。また、図示は省略するが、遮光板73は、投光器71および受光器72と同じ前後位置に設置されている。原点センサ70は、遮光板73による検出光の遮蔽の有無によって第1キャリッジ30の位置を検出している。原点センサ70において検出光が遮蔽されているとき、第1キャリッジ30は原点センサ70の近傍に位置している。検出光が受光されているとき、第1キャリッジ30は原点センサ70の近傍以外の場所に位置している。言い換えれば、第1キャリッジ30が原点センサ70の近傍に位置するとき、制御装置100は原点センサ70からの信号を受信し、第1キャリッジ30が原点センサ70の近傍以外の場所に位置するとき、制御装置100は原点センサ70からの信号を受信しない。詳しくは後述するが、原点センサ70が第1キャリッジ30の存在を検知する範囲のうち最も左方の位置が、第1キャリッジ30の原点位置である。
図2に示されるように、第1キャリッジ30が待機位置にあるとき、遮光板73は投光器71からの検出光を遮っている。そこで、第1キャリッジ30が待機位置にあるとき、原点センサ70はONである。また、正確に待機位置でなくとも、少なくとも第1キャリッジ30と第2キャリッジ40とが連結され、かつ第2キャリッジ40がロック位置またはアンロック位置にあるとき、原点センサ70はONである。しかし、原点センサ70がONであるという状況からは第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の位置および連結状態を確定することはできず、様々な場合があり得る。また、原点センサがOFFのとき、第1キャリッジ30は原点センサ70から左方に離れており、少なくとも第2キャリッジ40を介して右側サイドフレーム3Rに固定された状態ではない。しかし、それ以外の状態は、原点センサ70の信号からは不明であり、やはり様々な場合があり得る。
図1に示すように、プリントアンドカット装置1は、上側の筐体を構成する上カバー4を備えている。サイドフレーム3Lの左側、サイドフレーム3Rの右側には、サイドカバー5L、5Rがそれぞれ設けられている。右側のサイドカバー5Rの前面には、ボタンおよびディスプレイを有する操作パネル110が配置されている。プラテン2の下方には、キャスター付きのスタンド6が設けられている。
図示は省略するが、プリントアンドカット装置1は、印刷前の媒体200が巻かれた供給ローラを備えている。供給ローラはプラテン2の後斜め下方に配置されている。印刷時には、供給ローラに巻かれた媒体200は、プラテン2上を経由して前方に搬送される。
図1に示すように、プリントアンドカット装置1の右端付近には、プリントアンドカット装置1の各種の動作を制御する制御装置100が収容されている。図5は、本実施形態に係るプリントアンドカット装置1のブロック図である。図5に示すように、制御装置100は、フィードモータ13、スキャンモータ23、記録ヘッド42、ソレノイド32、キャップ移動機構82、吸引ポンプ83と、それぞれ通信可能に接続されており、それらを制御可能に構成されている。また、制御装置100は、原点センサ70と電気的に接続され、原点センサ70からの信号を受信している。制御装置100は、印刷制御部101と、カッティング制御部102と、連結制御部103と、キャッピング制御部107とを備えている。
制御装置100の構成は特に限定されない。制御装置100は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から印刷データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置とを備えている。なお、制御装置100は必ずしもプリントアンドカット装置1の内部に設けられている必要はなく、例えば、プリントアンドカット装置1の外部に設置され、有線または無線を介してプリントアンドカット装置1と通信可能に接続されたコンピュータ等であってもよい。
印刷制御部101は印刷を実行する。印刷制御部101は、スキャンモータ23を駆動することにより第1キャリッジ30を主走査方向Yに移動させつつ、プリントヘッド41の各記録ヘッド42からインクを吐出させる。このとき、プリントヘッド41を搭載した第2キャリッジ40は、第1キャリッジ30に連結されている。従って、スキャンモータ23の駆動によってプリントヘッド41は、主走査方向Yに移動される。これにより、一走査ラインの印刷が行われる。プリントヘッド41の主走査方向Yの移動が済むと、フィードモータ13を駆動することにより、次の走査ラインの位置まで媒体200を副走査方向Xに搬送する。媒体200の副走査方向Xの搬送が済むと、再びスキャンモータ23を駆動すると共に記録ヘッド42を駆動し、次の走査ラインの印刷を行う。以下、印刷の終了まで同様の動作を繰り返す。
カッティング制御部102はカッティングを実行する。カッティング制御部102は、スキャンモータ23を駆動すると共にフィードモータ13を駆動することにより、媒体200に対し第1キャリッジ30を2次元的に相対移動させる。このとき、第1キャリッジ30は、第2キャリッジ40から分離され、単独で移動する。ソレノイド32をONすると、カッター33を媒体200に押し当てることができる。カッター33を媒体200に押し当てたままカッティングヘッド31を媒体200に対し相対移動させることにより、媒体200を任意のカット線に沿って切断することができる。
このように、印刷およびカッティング時においては、第1キャリッジ30の主走査方向Yの位置、および媒体200の副走査方向Xの位置が把握され、制御されている。スキャンモータ23およびフィードモータ13は、例えばサーボモータであり、図5に示すように、それぞれモータの回転角を計測するエンコーダ23Aおよび13Aを内部に備えている。エンコーダ23Aおよび13Aは、それぞれ例えばモータ1回転ごとにパルス信号を送信する。エンコーダ23Aおよび13Aは制御装置100に接続され、制御装置100はエンコーダ23Aおよび13Aからのパルス信号を受信している。モータ1回転に係る移動距離はスキャンモータ23、フィードモータ13でそれぞれ決まっていることから、制御装置100は、第1キャリッジ30および媒体200の移動距離を認識することができる。それによって、制御装置100は、第1キャリッジ30および媒体200の位置を把握することができ、また、位置を制御することができる。
連結制御部103は、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40との連結動作、および第2キャリッジの右側サイドフレーム3Rへの固定動作を制御する。連結制御部103は、第1連結制御部104、第2連結制御部105、および第3連結制御部106を備えている。第1連結制御部104は、スキャンモータ23を制御して、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40を後述する待機状態にさせる。待機状態において、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40とは連結され、第2キャリッジ40はロック機構60によって右側サイドフレーム3Rに固定されている。第2連結制御部105は、待機状態からロック機構60による固定を解除し、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40を印刷実行可能な状態に移行させる。第3連結制御部106は、待機状態から連結機構50による連結を解除して第1キャリッジ30を第2キャリッジ40から分離し、第1キャリッジ30をカッティング実行可能な状態に移行させる。
キャッピング制御部107は、待機状態にある第2キャリッジ40に搭載されたプリントヘッド41にキャッピングを施す。キャッピング制御部107は、キャップ移動機構82を駆動させてキャップ81を記録ヘッド42に装着させる。また、キャッピング制御部107は、吸引ポンプ83を駆動させて定期的に、または適宜、ノズル内のインクを吸引させる。
上記から分かるように、第2連結制御部105の制御に係る「印刷可能状態」、および第3連結制御部106の制御に係る「カッティング可能状態」は、いずれも第1連結制御部104の制御に係る「待機状態」から出発する。また、キャッピング装置80の制御に係る記録ヘッド42へのキャップ81の装着も、「待機状態」において実行される。即ち、上記いずれの場合にも、まず「待機状態」が構成されることを要する。これは、第2キャリッジ40の位置を計測する手段、および第2キャリッジ40を単独で移動させる手段がないことによる。また、第1キャリッジ30を第2キャリッジ40から分離する手段がロック機構60であることによる。
さらに、「印刷可能状態」に移行させるにしろ「カッティング可能状態」に移行させるにしろ、一度「待機状態」を構成しておかなければ、その動作の確実性が担保できない。例えば、電源を切り第1キャリッジ30および第2キャリッジ40を人手で移動させた場合などには現状を把握する手段がないので、次の動作のためには、いったん「待機状態」を作り出す必要がある。しかしながら、第2キャリッジ40を単独で移動させ、その位置を計測する手段を備えることはコストアップを招く。
本実施形態に係るプリントアンドカット装置1は、上記したような事情に鑑み、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40を待機状態に移行させるプロセスにおいて、その所要時間を節約できるように構成されたプリントアンドカット装置である。そこで、まず比較のために、従来のプリントアンドカット装置による待機状態への移行プロセスについて説明する。なお、以下の説明に係る従来のプリントアンドカット装置は、待機状態への移行動作を除いて本実施形態に係るプリントアンドカット装置1と同じであり、同じ構成を備える。そこで、従来のプリントアンドカット装置による待機状態への移行プロセスの説明においても、本実施形態に係るプリントアンドカット装置1と同じ符号を用いるものとする。
図6は、従来のプリントアンドカット装置1による待機状態への移行プロセスを示すフローチャートである。図6に示すように、従来のプリントアンドカット装置1による待機状態への移行プロセスの最初のステップは、第1キャリッジ30を仮原点位置に移動させるステップS10である。ステップS10は、その中にステップS11、S11A、S12、およびS13の4つのステップを含んでいる。ステップS11においては、原点センサ70のON/OFF状態が確認される。ステップS11において原点センサ70がONのとき(ステップS11が「YES」のとき)ステップはステップS12に進む。ステップS11において原点センサ70がOFFのとき(ステップS11が「NO」のとき)ステップはステップS11Aに進んだ後、ステップS12に進む。ステップS11Aは、ステップS11が「YES」の場合と同じ状況を作り出すために、原点センサ70を一度ONにするステップである。
ステップS11Aでは、第1キャリッジ30は第1主走査方向Y1(右方)に走行され、原点センサ70がOFFからONになったタイミングで減速され、停止される。
ステップS12では、第1キャリッジ30は第2主走査方向Y2(左方)に走行され、原点センサ70がONからOFFになったタイミングで減速され、停止される。図7A〜図10Bは、ステップS12における第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の位置を示す正面図である。詳しくは後述するが、図7A〜図10Bは、ステップS12の開始時において、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40が取り得る4つの連結状態をそれぞれ示している。また、図7B、図8B、図9B、図10Bは、それぞれ、図7A、図8A、図9A、図10Aの状態からステップS12を開始した場合のステップS12終了後の状態を示している。図7B、図8B、図9B、図10Bに示されるように、第1キャリッジ30は、ステップS12において、原点センサ70のON範囲の左端P0よりも左方の位置P1に停止する。なお、上記した第1キャリッジ30の位置の記載は遮光板73の右端を基準とするものであり、位置を表す以後の記載においても同様である。また、位置を符号によって図示するときも遮光板73の右端がある位置を指す。
ステップS12において、制御装置100は、エンコーダ23Aの信号を受け、第1キャリッジ30の仮原点位置TP0を記憶する。より具体的には、制御装置100は、仮原点位置TP0として、遮光板73が原点センサ70のON範囲の左端P0を通過して原点センサ70の出力がOFFになった位置におけるエンコーダ23Aの出力値を記憶する。仮原点位置TP0は、理論的には位置P0と同じ位置である。
ステップS12の開始時において、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の連結状態は、図7A、図8A、図9A、図10Aに図示された4つのパターンのうちのいずれかである。第1のパターンでは、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40とは連結され、第2キャリッジ40はロック機構60によって固定されている。この状態は、図7Aに示されている。この図7Aに示された状態を、以下では第1状態と称する。第2のパターンは、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40とが連結され、ロック機構60は第2キャリッジ40を固定していないパターンである。この状態は、図8Aに示されている。この図8Aに示された状態を、以下では第2状態と称する。第3のパターンは、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40とは連結解除され、ロック機構60は第2キャリッジ40を固定しているパターンである。この状態は、図9Aに示されている。この図9Aに示された状態を、以下では第3状態と称する。第4のパターンは、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40とは連結解除され、ロック機構60も第2キャリッジ40を固定してないパターンである。この状態は、図10Aに示されている。この図10Aに示された状態を、以下では第4状態と称する。第4状態は、プリントアンドカット装置1の動作によっては起こり得ないが、人手を介するなどすれば起こり得る状態である。
ステップS12では、第1キャリッジ30は、図7A、図8A、図9A、および図10Aに示された各状態から第2主走査方向Y2(左方)に移動し、原点センサ70がOFFする位置のわずかに左方の位置P1で停止する。この移動の際、スキャンモータ23は、第1キャリッジ30を第2キャリッジ40から分離させる駆動力で駆動させる。これは、ステップS12の開始時の連結状態が第1状態であっても、第1キャリッジ30を第2キャリッジ40から切り離して位置P1に移動させるためである。ステップS12開始時点の状態が第1状態であった場合、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40の連結が切り離され、第1キャリッジ30だけが位置P1に移動する(図7B)。また、ステップS12開始時点の状態が第2状態であった場合、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40とは一体のまま位置P1に移動する(図8B)。ステップS12開始時点の状態が第3状態であった場合には、第1キャリッジ30だけが位置P1に移動する(図9B)。ステップS12開始時点の状態が第4状態であった場合にも、第1キャリッジ30だけが位置P1に移動する(図10B)。従来のプリントアンドカット装置1は、ステップS12後の第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の状態が図7B、図8B、図9B、図10Bのいずれの状態になったのか把握しないまま、ステップS12を完了する。
ステップS12に続いては、ステップS13が実行される。ステップS13では、第1キャリッジ30が第1主走査方向Y1(右方)に移動され、制御装置100が記憶した仮原点位置TP0で停止する。ステップS13においては、仮原点位置TP0の位置精度を一定の精度に担保するため、スキャンモータ23は精度に見合った低速(例えば10mm/sec程度)で駆動される。このときの仮原点位置TP0の位置決め精度は、例えば±0.2mm程度である。
ステップS10(ステップS11〜S13)によって第1キャリッジ30が仮原点位置TP0にセットされた後、ステップはステップS20に進む。図11は、ステップS20終了後の第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の状態を示す正面図である。ステップS20では、ロック機構60のアンロック位置ULPまで第1キャリッジ30を第1主走査方向Y1に走行させる。第1キャリッジ30が仮原点位置TP0からアンロック位置ULPまで移動したどうかは、スキャンモータ23のエンコーダ23Aによる移動距離の計測結果に基づいて確認される。様々な初期状態から開始された第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の連結状況は、ステップS20において第2状態に揃う。即ち、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40とが連結され、第2キャリッジ40がロック機構60によって固定されていない状況に揃う。第1キャリッジ30と第2キャリッジ40とは、ステップS20の開始時点において分離されていても移動中のどこかの時点で接触し連結機構50の磁力によって連結される。また、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40とが連結状態でアンロック位置ULPに移動されることにより、第2キャリッジ40の固定は解除されている。なお、ステップS20の途中では、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40は停止されないものの、ロック位置LP(第1状態)を経由している。
ステップS30では、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40との連結体が第2主走査方向Y2に移動され、原点センサ70のON領域の左端P0よりもわずかに左方(例えば、図8Bなどに示された位置P1)において停止する。続くステップS40では、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40との連結体が第1主走査方向Y1に移動され、原点センサ70のONした時点で停止する。続いて、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40との連結体は、ステップS13におけるものよりもさらに低速(例えば、1mm/sec)で第2主走査方向Y2(左方)に移動され、原点センサ70がOFFした時点で停止される。この地点が、第1キャリッジ30の原点位置FP0であり、制御装置100は原点位置FP0におけるエンコーダ23Aの出力値を記憶する。原点位置FP0は、仮原点位置TP0と理論的には同じ位置である。ただし、実際には、仮原点位置TP0とは、求められる位置精度が異なる。原点位置FP0の位置精度は、仮原点位置TP0の位置精度よりも高い精度であり、例えば±0.02mm程度である。この仮原点位置TP0と原点位置FP0との精度の差は、位置決め時における第1キャリッジ30の移動速度の差によって生じる。位置決め時における第1キャリッジ30の移動速度が低速であるほど、位置決め精度は向上する。
続くステップS50では、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40との連結体が第1主走査方向Y1に移動され、待機位置WPで停止する。前述したように、待機位置WPにおいて、第2キャリッジ40はロック機構60によってロックされている。待機位置WPは、ロック位置LPの幅の中の1つの位置である。また、待機位置WPの位置精度は、原点位置FP0の位置精度と同等であり、±0.02mm程度である。なお、ステップS50においても、一度第1キャリッジ30を待機位置WPよりも若干(例えば1mm程度)行き過ぎさせてから、低速で戻してもよい。従来のプリントアンドカット装置1による待機状態への移行プロセスは、例えば上記のようなものである。
上記から分かるように、従来の方法におけるステップS10、ステップS20は、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の連結状態を初期状態によらず一定の状態にするためのステップである。そこで逆に言えば、初期における第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の連結状態を知ることができれば、ステップS10、ステップS20は、場合により省略することができる。
(待機状態への移行プロセス:本実施形態の場合)
本実施形態に係るプリントアンドカット装置1は、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の連結状態が第1状態にあるかどうかを知ることができるように構成されている。図5に示すように、本実施形態に係るプリントアンドカット装置1の第1連結制御部104は、連結判定部104Aと、連結指示部104Bと、待機指示部104Cとを備えている。連結判定部104Aは、待機状態への移行開始時点における第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の連結状態が第1状態にあるかどうかを判定する。第1状態は、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40とが連結され、かつ、第2キャリッジ40が固定された状態である。連結指示部104Bは、連結判定部104Aが連結状態を第1状態以外の状態であると判定したときに、スキャンモータ23を制御して、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40を第1状態にさせる。待機指示部104Cは、スキャンモータ23を制御して、第1状態にある第1キャリッジ30および第2キャリッジ40を待機位置に移動させる。以下では、本実施形態に係るプリントアンドカット装置1による待機状態への移行プロセスについて説明する。
図12は、本実施形態に係るプリントアンドカット装置1による待機状態への移行プロセスを示すフローチャートである。図12に示すように、本実施形態に係るプリントアンドカット装置1による待機状態への移行は、初期状態を判定するステップS01から出発する。ステップS01では、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40が第1状態にあるかどうかが判定される。第1キャリッジ30および第2キャリッジ40が第1状態にあり、ステップS01の結果が「YES」であった場合、ステップはステップS02に進む。ステップS02では、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40との連結体がわずかに第1主走査方向Y1に移動され、ロック機構60のアンロック位置で停止する。この時点において、図6におけるステップS20終了後と同じ状況が達成される。この後、ステップはステップS30、S40、S50と進行する。ステップS30〜S50は、図6に示した従来のプリントアンドカット装置の場合と同じである。
図12に示すように、ステップS01において第1キャリッジ30および第2キャリッジ40が第1状態以外の状態にあり、ステップS01の結果が「NO」であった場合には、ステップはステップS10へと進む。この後ステップS20へと進む流れは図6と同じであり、ステップS30において、ステップS01が「YES」であった場合と合流する。ステップS01の結果が「NO」であった場合のプロセスは、従来の場合と同じである。
上記のように、本実施形態に係るプリントアンドカット装置1は、待機状態への移行開始時点において第1キャリッジ30および第2キャリッジ40が第1状態にあると判定された場合には、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40を第1状態にする作業(ここでは、ステップS10およびS20)を省略し、それ以外の場合には第1キャリッジ30および第2キャリッジ40を第1状態にする作業を実行する。
ステップS01において第1キャリッジ30および第2キャリッジ40が第1状態にあるかどうかを判定する方法は、以下のようなものである。ステップS01において、連結判定部104Aはまず、第1キャリッジ30を第2主走査方向Y2に所定の距離Dc(移動距離指示値、図14B参照。)だけ移動させるようにスキャンモータ23を制御する。この移動距離指示値Dcは、例えば5mm程度である。また、このときスキャンモータ23を駆動させる駆動力は、連結機構50による第1キャリッジ30と第2キャリッジ40との連結力(ここでは第1連結部材51と第2連結部材52との間の磁力)よりも弱い駆動力である。そこで、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40とが連結機構50によって連結されていた場合には、スキャンモータ23は、第1キャリッジ30を第2キャリッジ40から分離させることができない。
図13A、図13Bは、連結状態の判定において初期状態が第1状態の場合の第1キャリッジ30および第2キャリッジ40を示す正面図である。図13Aは、初期状態を示し、図13Bは判定後の状態を示している。図14A、図14Bは、連結状態の判定において初期状態が第2状態の場合の第1キャリッジ30および第2キャリッジ40を示す正面図である。第2状態は、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40とが連結され、かつ、第2キャリッジ40が固定されていない状態である。図14Aは、初期状態を示し、図14Bは判定後の状態を示している。図13A、図13Bに示すように、初期状態が第1状態であった第1キャリッジ30は、位置SP1から移動を開始して距離Dpだけ移動する。つまり、第1キャリッジ30は、スキャンモータ23が第2主走査方向Y2に移動距離指示値Dc(図14B参照)だけ移動させようとしたにも関わらず、距離Dpしか移動していない(Dp<Dc)。これは、スキャンモータ23の駆動力が連結機構50の連結力より弱く、第1キャリッジ30を第2キャリッジ40から引き離せないためである。第1状態では、第2キャリッジ40はロック機構60によって固定されており摺動不能である。第1キャリッジ30が移動する距離は、最大でもロック機構60のロック位置の幅分であり、距離Dpはそれ以下である。ここでは、ロック機構60のロック位置の幅は2mm程度であり、スキャンモータ23が移動させようとしている移動距離指示値Dc(ここでは5mm)よりも小さい。
一方、初期状態が第2状態の場合には、図14A、図14Bに示すように、第1キャリッジ30は、位置SP2から移動を開始して、連結判定部104Aが指令した移動距離指示値Dcと同じ距離だけ第2主走査方向Y2に移動している(Dp=Dc)。スキャンモータ23の駆動力は、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40との連結体とガイドレール21との間の摩擦力よりは大きく、第1キャリッジ30と第2キャリッジ40との連結体を移動させることができる。図13A〜図14Bに示されているように、初期状態が第1状態である場合には連結判定部104Aが指令した第1キャリッジ30の移動距離指示値と実際の移動距離との間に不一致が発生し、第2状態である場合には発生しない。図示は省略するが、初期状態が第3状態の場合および第4状態の場合も、第2状態の場合と同様に、連結判定部104Aが指令した第1キャリッジ30の移動移動距離指示値と実際の移動距離とは一致する。つまり、初期状態が第1状態である場合にのみ、連結判定部104Aが指令した第1キャリッジ30の移動距離指示値と実際の移動距離との間に不一致が発生する。実際の移動距離は、スキャンモータ23のエンコーダ23Aによって計測されている。
連結判定部104Aには、ステップS01の判定における閾値が記憶されている。この閾値は、上記した場合では、例えば移動距離指示値5mmに対して3mmに設定されている。連結判定部104Aは、第1キャリッジ30の実際の移動距離が閾値を下回る場合には、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の連結状態を第1状態であると判定する。反対に、連結判定部104Aは、第1キャリッジ30の実際の移動距離が閾値以上である場合には、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の連結状態を第1状態以外の状態であると判定する。ステップS01における連結状態の判定のフローチャートを図15に示す。図15に示されるように、最初のステップS01Aでは、スキャンモータ23の駆動指令が発せられる。続くステップS01Bでは、エンコーダ23Aからの信号に基づいて第1キャリッジ30の実際の移動距離が把握される。ステップS01Cでは、第1キャリッジ30の実際の移動距離と予め設定されている閾値とが比較される。ステップS01Cにおいて第1キャリッジ30の実際の移動距離が閾値を下回る場合(「YES」の場合)、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の初期状態は、第1状態であると判定される。このとき、ステップS01の結果は「YES」である。ステップS01Cにおいて第1キャリッジ30の実際の移動距離が閾値以上である場合(「NO」の場合)、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の初期状態は、第1状態以外の状態であると判定される。このとき、ステップS01の結果は「NO」である。
なお、上記では、閾値は第1キャリッジ30の移動距離に設定されていたが、移動距離指示値と実際の移動距離との偏差に設定されてもよい。移動距離指示値と実際の移動距離との偏差が閾値を上回る場合、連結状態は第1状態であると判定される。移動距離指示値と実際の移動距離との偏差が閾値以下である場合、連結状態は第1状態以外の状態であると判定される。上記例と同様に、移動距離指示値が5mmであり、初期状態が第1状態の場合の移動距離が最大2mmであったとした場合、閾値は例えば2mmに設定される。この場合、連結状態が第1状態であれば、移動距離指示値と実際の移動距離との偏差は3mm〜5mmの間であり、閾値2mmよりも大きい。連結状態が第1状態以外の状態であれば、移動距離指示値と実際の移動距離との偏差はほぼ0mmであり、閾値2mmよりも小さい。
(本実施形態の効果)
以上のように、本実施形態に係るプリントアンドカット装置1は連結判定部104Aを備え、連結状態が第1状態であるか、それ以外の状態であるかを判定する。具体的には、連結機構の連結力よりも弱い駆動力でスキャンモータ23を駆動させるとともに、スキャンモータ23のエンコーダ23Aの信号を取り込んで実際の第1キャリッジ30の移動距離を計測し、移動距離が所定値を下回る場合には、連結状態を第1状態であると判定する。逆に、移動距離が所定値以上である場合には、連結状態を第1状態以外の状態であると判定する。本実施形態に係るプリントアンドカット装置1によれば、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の連結状態を確認することができる。
さらに、本実施形態に係るプリントアンドカット装置1は連結指示部104Bを備え、連結判定部104Aが連結状態を第1状態以外と判定した場合に、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の連結状態を第1状態にさせる。逆に言えば、連結指示部104Bは、連結判定部104Aが連結状態を第1状態と判定した場合には、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の連結状態を第1状態にさせるプロセスを省略する。そこで、本実施形態に係るプリントアンドカット装置1によれば、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40の連結状態を第1状態にするのに要していた時間を短縮することができる。
上記時間短縮の効果は、本実施形態に係るプリントアンドカット装置1のように、第1状態への移行のために一度第1キャリッジ30の位置出しをするプリントアンドカット装置において特に顕著である。第1キャリッジ30の位置出しには、必要な精度を達成するだけの時間を要し、本実施形態に係るプリントアンドカット装置1によれば、多くの場合にその時間を節約できる。
本実施形態に係るプリントアンドカット装置1では、連結機構50による第1キャリッジ30と第2キャリッジ40との連結に磁力を利用しているが、この方式によれば第1キャリッジ30と第2キャリッジ40との連結および分離の制御が容易かつ確実である。連結時には第1キャリッジ30を第2キャリッジ40側に移動させて接触させればよく、分離時には連結状態を第1状態にした上で、磁力による結合力よりも強い駆動力でスキャンモータ23を駆動させればよい。また、磁力による結合力よりも弱い駆動力でスキャンモータ23を駆動させれば連結は解除されず、連結状態の判定ステップの実現も容易である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
例えば上記した実施形態では、ロック機構60は、ロック位置からさらに押し込むとロック解除されるように構成されていたが、そのような機構でなくともよい。ロック機構は、例えば、ソレノイドを備え、係合部材がソレノイドのON/OFFによって第2キャリッジ40に係合し、また係合解除されるような機構でもよい。あるいは、例えば、ONしたときに連結機構50よりも強い連結力で第2キャリッジ40を引き付けるソレノイドを備えていてもよい。ロック機構の機構は限定されない。連結機構の機構もまた限定されない。連結機構は、スキャンモータ23の駆動力によって第1キャリッジ30と第2キャリッジ40とを分離させることができる機構であればよく、磁石を備えたものに限定されない。
上記した実施形態では、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40は、図12に示されるようなプロセスで待機位置に移動されたが、図12のプロセスは一例に過ぎない。第1キャリッジ30および第2キャリッジ40を待機位置に配置するプロセスは、連結機構50およびロック機構60の構成、原点センサ70の配置、待機位置に求められる位置精度などを勘案して適切に設定されてよい。それは、必ずしも原点位置を確認する工程を含まなくともよく、原点位置を確認する場合のセンサも各種のセンサが適切に利用されてよい。また、連結状態および原点位置の確認は、第2キャリッジ40を待機位置に位置させるためだけでなく、必要であれば随時行ってもよい。
また、上記した実施形態では、連結状態の判定は、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40を第1状態に移行させるステップの前ステップとして説明されたが、それに限られない。連結状態の判定は、必要に応じて随時実施されてよい。例えば、連結状態の判定は、経年劣化などによりロック機構60の遊びが多くなってきたときに、第1状態における遊びの量を確認する工程などにも利用することができる。
上記した実施形態では、プリントアンドカット装置1は、カッティングヘッド31およびプリントヘッド41を主走査方向Yに移動させ、媒体200を副走査方向Xに搬送するように構成されていた。しかし、カッティングヘッド31およびプリントヘッド41は、主走査方向Yだけでなく副走査方向Xにも移動可能なように構成されていてもよい。その場合、媒体200は不動であってもよい。また、上記した実施形態では、第1キャリッジ30にカッティングヘッド31が搭載され、第2キャリッジ40にプリントヘッド41が搭載されていたが、逆でもよい。即ち、プリントヘッド41が主動であり、カッティングヘッド31が従動であってもよい。
本発明は、上記したようなプリントアンドカット装置以外にも適用できる。第1キャリッジ30および第2キャリッジ40に搭載されるヘッドは、カッティングヘッドおよびプリントヘッドに限定されない。例えば、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40に搭載されるヘッドはともにプリントヘッドまたはカッティングヘッドであってもよい。また、本発明は、例えば、第1キャリッジ30および第2キャリッジ40のいずれか一方のキャリッジに切削ツールを備えた切削ヘッドを搭載し、他方のキャリッジに箔押しヘッドを搭載した三次元加工装置などにも適用できる。複数のキャリッジに搭載されるヘッドの種類は何ら限定されない。また、キャリッジおよびヘッドの数も2個に限定されず、3個以上であってもよい。