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JP6936718B2 - コンクリートの均し作業可能時期の予測方法、予測装置およびコンクリートの施工方法 - Google Patents
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JP6936718B2 - コンクリートの均し作業可能時期の予測方法、予測装置およびコンクリートの施工方法 - Google Patents

コンクリートの均し作業可能時期の予測方法、予測装置およびコンクリートの施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えばコンクリートスラブなどのコンクリートの均し作業可能時期の予測方法、予測装置およびコンクリートの施工方法に関するものである。
従来、コンクリートスラブを施工する際には、プラントからミキサーで運ばれたフレッシュコンクリートを型枠上に打設した後、全体を決められた高さになるように均していく作業が行われている(例えば、特許文献1を参照)。コンクリートは時間の経過とともに硬化が進み、作業者が上に乗ることができる硬さになってから、ブリーディング水や端部の処理などを行い、手押しトロウェルや鏝などで表面を繰返し押えていく。
この繰返しの押え作業は、コンクリート表面の平滑化、緻密化に必要な作業であり、スラブの良し悪しに大きな影響を与える。ところが、この押えタイミングは、作業者がコンクリート表面を指で触った硬さ、見た目の色、ブリーディング水の発生具合などで判断している。したがって、スラブの平滑性などの仕上がりの良さ、表面の緻密さなどの品質は、特に施工が難しい環境条件では作業者の経験に左右されやすい。
コンクリートスラブの打設計画においては、施工当日の気温、打設面積、打設速度などの条件を考慮して、作業者の人数や配置、作業機械の数などを決定する。この決定は、作業者の経験的な判断に任されており、打設速度によってコンクリートの打設位置が大まかに決められている。その後の押え作業のタイミングは、施工当日のコンクリートの硬化具合を作業者が指触や目視で判断し、成り行きで進められていく。したがって、コンクリートの打設計画においては、コンクリートの硬化具合に応じた作業員数や施工手順を計画しない。押え開始時刻や終了時刻は、施工当日の成り行き次第であり、施工計画としては曖昧な部分が多い。
コンクリートの硬化具合を把握する方法としては、JISの貫入抵抗試験(JIS A 1147:2007)がある。これは、コンクリートから粗骨材を除去したモルタルを試験体とし、規定の貫入針を垂直に刺した際の貫入抵抗値を求める方法である。この方法によれば、図1の測定例に示すように、測定結果をプロットしてコンクリートの始発時間(貫入抵抗値が例えば3.4N/mmになるまでの時間)、終結時間(貫入抵抗値が例えば28.0N/mmになるまでの時間)と、これらプロットの近似曲線から傾きAと切片Bおよび近似式を求めることができる。作業者は、経験的に貫入抵抗値0.5(N/mm)あたりの、網下駄を履いて少し足が沈む程度の硬さになってからコンクリートの上に乗ってブリーディング水の除去などの作業の前準備を始め、始発時間から押え作業を開始し、終結時間で作業を終えている。
ところが、この貫入抵抗値は硬化が進むコンクリートをその都度、リアルタイムに測定して得られるものであるため、この方法で予め押えタイミング(押え作業を開始できる時間)を予測することはできない。また、試験作業も手間が掛かり、現場での施工管理に使用するケースはほとんどなく、貫入抵抗試験はデータの取得が主目的となっている、といった問題がある。
特開2015−203204号公報
このため、コンクリート表面の均し作業(押え作業)を始める前に、均し作業を適正に行うことが可能な時期(均し作業可能時期)を容易に把握することのできる技術が求められていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コンクリート表面の均し作業を始める前に、均し作業可能時期を容易に把握することのできるコンクリートの均し作業可能時期の予測方法、予測装置およびコンクリートの施工方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測方法は、施工中のコンクリートの表面に対する均し作業を実施する前に、均し作業を行うのに好適な均し作業可能時期を予測するための方法であって、施工時間帯の気温とコンクリートの温度が相関関係にあるとみなして、施工時間帯に予想される予想気温を、予め把握された所定の貫入抵抗試験により得られる貫入抵抗値と経過時間の関係を表す近似式の傾き情報と、コンクリートの温度の関係に当てはめることで、予想気温に対応する傾き情報を求めるステップと、求めた傾き情報を、予め把握されたフレッシュコンクリートを作製する際の注水時刻からコンクリートの導電率低下時刻までの時間と、傾き情報の関係に当てはめることで、求めた傾き情報に対応する導電率低下時刻を推定するステップと、求めた傾き情報に対応する貫入抵抗値と経過時間の関係を推定するステップと、推定した貫入抵抗値と経過時間の関係と、推定した導電率低下時刻から、コンクリートの均し作業可能時期を予測するステップとを備えることを特徴とする。
また、本発明に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測装置は、施工中のコンクリートの表面に対する均し作業を実施する前に、均し作業を行うのに好適な均し作業可能時期を予測するための装置であって、施工時間帯の気温とコンクリートの温度が相関関係にあるとみなして、施工時間帯に予想される予想気温を、予め把握された所定の貫入抵抗試験により得られる貫入抵抗値と経過時間の関係を表す近似式の傾き情報と、コンクリートの温度の関係に当てはめることで、予想気温に対応する傾き情報を求める手段と、求めた傾き情報を、予め把握されたフレッシュコンクリートを作製する際の注水時刻からコンクリートの導電率低下時刻までの時間と、傾き情報の関係に当てはめることで、求めた傾き情報に対応する導電率低下時刻を推定する手段と、求めた傾き情報に対応する貫入抵抗値と経過時間の関係を推定する手段と、推定した貫入抵抗値と経過時間の関係と、推定した導電率低下時刻から、コンクリートの均し作業可能時期を予測する手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係るコンクリートの施工方法は、上述したコンクリートの均し作業可能時期の予測方法を用いて均し作業可能時期を予測するステップと、コンクリートを打設するステップと、予測した均し作業可能時期に基づいて、コンクリートの表面に対する均し作業を実施するステップとを備えることを特徴とする。
本発明に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測方法によれば、施工中のコンクリートの表面に対する均し作業を実施する前に、均し作業を行うのに好適な均し作業可能時期を予測するための方法であって、施工時間帯の気温とコンクリートの温度が相関関係にあるとみなして、施工時間帯に予想される予想気温を、予め把握された所定の貫入抵抗試験により得られる貫入抵抗値と経過時間の関係を表す近似式の傾き情報と、コンクリートの温度の関係に当てはめることで、予想気温に対応する傾き情報を求めるステップと、求めた傾き情報を、予め把握されたフレッシュコンクリートを作製する際の注水時刻からコンクリートの導電率低下時刻までの時間と、傾き情報の関係に当てはめることで、求めた傾き情報に対応する導電率低下時刻を推定するステップと、求めた傾き情報に対応する貫入抵抗値と経過時間の関係を推定するステップと、推定した貫入抵抗値と経過時間の関係と、推定した導電率低下時刻から、コンクリートの均し作業可能時期を予測するステップとを備えるので、コンクリート表面の均し作業を始める前に、均し作業可能時期を容易に把握することができるという効果を奏する。
また、本発明に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測装置によれば、施工中のコンクリートの表面に対する均し作業を実施する前に、均し作業を行うのに好適な均し作業可能時期を予測するための装置であって、施工時間帯の気温とコンクリートの温度が相関関係にあるとみなして、施工時間帯に予想される予想気温を、予め把握された所定の貫入抵抗試験により得られる貫入抵抗値と経過時間の関係を表す近似式の傾き情報と、コンクリートの温度の関係に当てはめることで、予想気温に対応する傾き情報を求める手段と、求めた傾き情報を、予め把握されたフレッシュコンクリートを作製する際の注水時刻からコンクリートの導電率低下時刻までの時間と、傾き情報の関係に当てはめることで、求めた傾き情報に対応する導電率低下時刻を推定する手段と、求めた傾き情報に対応する貫入抵抗値と経過時間の関係を推定する手段と、推定した貫入抵抗値と経過時間の関係と、推定した導電率低下時刻から、コンクリートの均し作業可能時期を予測する手段とを備えるので、コンクリート表面の均し作業を始める前に、均し作業可能時期を容易に把握することができるという効果を奏する。
また、本発明に係るコンクリートの施工方法によれば、上述したコンクリートの均し作業可能時期の予測方法を用いて均し作業可能時期を予測するステップと、コンクリートを打設するステップと、予測した均し作業可能時期に基づいて、コンクリートの表面に対する均し作業を実施するステップとを備えるので、予測した均し作業可能時期に基づいて均し作業を適正に行うことが可能となり、安定した品質のコンクリートを施工することができるという効果を奏する。
図1は、JISによる貫入抵抗試験の測定例を示す図である。 図2は、コンクリートの温度Tと傾きAとの関係を示す図である。 図3は、導電率の時間変化の一例を示す図である。 図4は、注水時刻から導電率低下時刻までの時間tと傾きAの関係を示す図である。 図5は、傾きAが56.9である場合の貫入抵抗値と経過時間の関係を示す図である。 図6は、本発明に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測方法の実施の形態を示すフローチャート図である。 図7は、本発明に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測装置の実施の形態を示す入出力画面図である。 図8は、貫入抵抗値における経過時間と各作業時刻の算出例を示す図である。 図9は、「予想気温」と「注水予定時刻」による予測装置の表示例を示す図である。 図10は、他のコンクリートの均し作業可能時期の予測装置の一例を示す入出力画面図である。 図11は、「注水時刻」と「導電率低下時刻」による予測装置の表示例を示す図である。
以下に、本発明に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測方法、予測装置およびコンクリートの施工方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
[コンクリートの均し作業可能時期の予測方法]
まず、本発明に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測方法の実施の形態について説明する。
(基本原理)
まず、本発明の基本原理について説明する。
一般に、凝結過程にあるコンクリートについて、例えばJIS A 1147に記載の貫入抵抗試験を行い、経過時間ごとに貫入抵抗値をプロットすると、図1に示すような散布図が得られる。これらのプロットから、貫入抵抗値Pと経過時間tの関係は、t=A×Ln(P)+Bという対数近似式で表すことができる。ここで、Aは傾き(傾き情報)、Bは切片である。
図2は、コンクリートの温度Tと傾きAの関係を例示したものである。この図に示すように、コンクリートの温度Tは、傾きAと相関が高いことがわかる。したがって、施工当日(施工時間帯)の予想気温が得られれば、コンクリートの温度と大きく異ならないことを前提として、この図から傾きAを求めることができる。
一方、コンクリートに導電率計の電極を設置し、導電率を測定すると、図3に示すように導電率は徐々に上昇していくが、ある時刻から低下を開始する(図の例では12:50頃)。この導電率が低下を開始する時刻を導電率低下時刻というものとする。この導電率低下時刻は、コンクリート中のセメントの反応に関係しており、0.1(N/mm)の貫入抵抗値が発現する時刻と一致することがわかっている。
図4は、注水時刻から導電率低下時刻までの時間tと傾きAの関係を示す図である。この図に示すように、コンクリートの注水時刻(フレッシュコンクリート作製の際にプラントでセメントと水を混ぜた時間)から導電率低下時刻までの時間tは、傾きAと相関が高いことがわかる。すなわち、傾きAがわかれば、注水時刻から導電率低下時刻までの時間tが求められる。
例えば、コンクリート施工当日の予想気温を20℃とすると、傾きAは、図2の近似式にT=20を代入してA=56.9と求められる。この傾きA=56.9から図4の近似式より、注水時刻から導電率低下時刻までの時間tは188分と求められる。したがって、例えば、注水時刻を9:00と設定した場合、導電率低下時刻は188分後の12:08と求めることができる。
図5は、傾きA=56.9の場合の貫入抵抗値と経過時間の関係を示したものである。上述したように、導電率低下時刻は、貫入抵抗値0.1(N/mm)となる時刻と一致するため、この図においては、この時刻を原点(0分)としている。この図より、貫入抵抗値が0.5(N/mm)に達するのは導電率低下時刻の12:08から92分後であるから13:40であり、始発時間の貫入抵抗値3.4(N/mm)に達するのは201分後の15:29であり、終結時間の貫入抵抗値28.0(N/mm)に達するのは321分後の17:29であるとして求めることができる。
(具体的な予測手順)
次に、本実施の形態に係る予測方法により、コンクリートスラブ施工時の押えタイミングを予測する場合の手順について説明する。
図6に示すように、まず、施工当日の予想気温から、図2を用いて傾きAを算出する(ステップS1)。次に、傾きAから、図4を用いて注水時刻から導電率低下時刻までの時間を算出する(ステップS2)。次に、注水時刻を設定して導電率低下時刻を算出するとともに(ステップS3)、傾きAを用いて貫入抵抗値と経過時間の関係を算出する(ステップS4)。
次に、算出した貫入抵抗値と経過時間の関係を用い、導電率低下時刻に経過時間を加算することで、各貫入抵抗値における時刻を算出する(ステップS5)。これにより、以下の作業時刻(均し作業可能時期)および時間を施工前に予測することが可能となる(ステップS6)。
すなわち、コンクリートスラブ表面に人が乗れる時刻、押え開始時刻、押え終了時刻といった作業時刻を予測することが可能となる。人が乗れる時刻から押え開始時刻までの時間は、ブリーディング水除去、コンクリートスラブ端部の直しなどの前準備が可能な時間である。押え開始時刻から押え終了時刻までの時間は、押え作業が可能な時間である。
このように、本実施の形態の予測方法によれば、施工当日の予想気温などを用いて、コンクリートスラブの押えタイミングを施工前に容易に予測することができる。これにより、施工に適切な作業者や施工機械の数、配置を計画することが可能となり、さらに、施工準備および施工管理に活かすことが可能となる。このため、安定した品質のコンクリートスラブを施工することができる。
[コンクリートの均し作業可能時期の予測装置]
次に、本発明に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測装置の実施の形態について説明する。
本実施の形態に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測装置は、上述したコンクリートの均し作業可能時期の予測方法を装置として具現化したものであり、例えば入力部、出力部、演算部、表示部とからなる。この予測装置は、例えばCPUを有するコンピュータ、メモリ、ディスプレイ等のハードウェア、これらハードウェア上で稼働するコンピュータプログラム等のソフトウェアにより構成することができる。
図7は、本実施の形態に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測装置の入出力画面の一例である。ディスプレイ等の表示部には、図のような画面が表示される。この画面には、入力部(INPUT)と、出力部(OUTPUT)が配置される。
入力部(INPUT)は、施工当日の「予想気温」を入力するための欄と、フレッシュコンクリート作製時のセメントと水を混ぜる「注水予定時刻」を入力するための欄からなる。各欄に対する入力値は、演算部の演算処理に使用される。
出力部(OUTPUT)は、中間出力項目である「傾きA」と「導電率低下時刻」を出力するための欄と、最終出力項目である「人が乗れる時刻」、「押え作業開始時刻」、「押え作業終了時刻」、「作業開始までの時間」、「押え作業可能時間」を出力するための欄からなる。各欄には、演算部の演算処理によって算出された算出値が出力される。
入力部の「予想気温」と「注水予定時刻」の2つの項目を入力すると、演算部の演算処理により、傾きAが算出されるとともに、導電率低下時刻が算出される。そして、これらの算出値から「人が乗れる時刻」、「押え作業開始時刻」、「押え作業終了時刻」、「作業開始までの時間」、「押え作業可能時間」が算出される。これらの算出値は出力部の各欄に瞬時に出力表示される。したがって、この予測装置の利用者は、この入出力画面を通じて、上記の作業時刻および時間を容易に把握することができる。なお、図の例では、予想気温に20℃、注水予定時刻に9:00を入力した場合の出力結果を示している。
(傾きAの算出方法)
次に、演算部による傾きAの算出方法について説明する。
演算部は、入力された施工当日の予想気温を用いて、図2に示す近似式から傾きAを求める。ただし、コンクリートの温度Tは、極端に予想気温と異ならないことが前提である。例えば、予想気温を20℃とした場合、図2の近似式にT=20が代入され、傾きAとして56.9が算出される。
(注水時間から導電率低下時刻までの時間の算出方法)
次に、演算部による注水時刻から導電率低下時刻までの時間の算出方法について説明する。
演算部は、入力された注水予定時刻を注水時刻として設定し、設定した注水時刻から導電率低下時刻までの時間を、図4に示す近似式から求める。例えば、上記のように傾きAとして56.9が算出された場合、図2の近似式にA=56.9が代入され、注水時刻から導電率低下時刻までの時間tとして、188分が算出される。
(各作業時刻の算出方法)
次に、演算部による各作業時刻の算出方法について説明する。
演算部は、各作業時刻を、貫入抵抗値Pと経過時間tの関係を表す近似式(t=A×Ln(P)+B)から求める。ここで、上述したように、貫入抵抗値P=0.1(N/mm)は導電率低下時刻の貫入抵抗値に一致することから、この時刻を0分とするため、切片Bについては、P=0.1のときt=0となる値を採用する。この場合、上記の近似式は、t=A×(Ln(P)−log(0.1))=A×(Ln(P)+2.3)のように表すことができる。
演算部は、上記の近似式を使用して貫入抵抗値Pにおける経過時間tおよびそれぞれの時刻を算出し、例えば図8に示すようなテーブルを作成する。例えば傾きA=56.9の場合には、近似式はt=56.9×(Ln(P)+2.3)となる。図8に示すように、この近似式に貫入抵抗値P=x(例えば、x=0.1,0.2,・・・,30.0)を代入して、各貫入抵抗値xに対応する経過時間tを算出する。
そして、既に算出した注水時刻から導電率低下時刻までの時間t=188分を注水時刻9:00に加算することで、導電率低下時刻12:08を算出する。この導電率低下時刻が経過時間0分に相当する。算出した導電率低下時刻に、近似式から算出した経過時間tを加算することで、各貫入抵抗値xに対応する時刻を算出する。このようにすることで、図8のようなテーブルを作成することができる。
この図より、導電率低下時刻(経過時間0分)が12:08であるから、貫入抵抗値が0.5(N/mm)に達するのは91分後の13:40であり、始発時間の貫入抵抗値3.4(N/mm)に達するのは201分後の15:29、終結時間の貫入抵抗値28.0(N/mm)に達するのは321分後の17:29であることがわかる。演算部は、こうした時刻を算出値として出力部に出力する。また、演算部は、それぞれの対象となる時刻の差から作業開始までの時間、押え作業可能時間を算出して出力部に出力する。
上記の構成によれば、「予想気温」と「注水予定時刻」の2つの項目を入力するだけで、コンクリートスラブの施工前に、「人が乗れる時刻」、「押え作業開始時刻」、「押え作業終了時刻」、「作業開始までの時間」、「押え作業可能時間」を瞬時に得ることができる。
また、コンクリートスラブ施工日より前に、施工準備や押え作業が可能な時間を把握することができる。これにより、作業者や施工機械の数や配置準備を具体的に計画でき、作業終了時刻を把握することができる。また、これを施工管理に活かすことで、安定した品質のコンクリートスラブを施工することが可能となる。
(予測装置の変形例1)
次に、本発明に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測装置の実施の形態の変形例について説明する。
上記の実施の形態に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測装置は、図7の入出力画面に示したように「予想気温」と「注水予定時刻」を基にして、均し作業に関する時刻および時間を施工日よりも前に予測することができる。
ところが、この画面表示では、多くのミキサー車がコンクリートを搬入し、スラブとして打設していく施工現場においては、スラブのどの位置のコンクリートについての時刻なのかを把握しにくくなるおそれがある。
そこで、本変形例1では、こうした問題を解決し、予測装置を現場管理ツールとして活用するために、図7のように得られる均し作業に関する時刻を、視覚的に分かりやすく表示する。この本変形例1について以下に説明する。
本変形例1では、図9の入出力画面に示すように、コンクリートを打設する現場の施工範囲に対してミキサー車1台ごとにNo.1、No.2、・・・のように番号を割り当ててメッシュを区切り、各メッシュについて「予想気温」と「注水予定時刻(図では注水時刻と表示)」を入力可能なようにする。メッシュの数は、例えば以下の手順で設定することができる。
(1)ミキサー車1台に積むコンクリートの体積を、計画しているコンクリートの厚さで割ることで、1台のミキサー車で打設可能な面積を求める。
(2)上記(1)で求めた打設可能な面積をコンクリートの打設幅で割ることで、ミキサー車1台における打設長さを求める。コンクリートの打設幅は作業者の施工と管理のしやすさの観点からおおよそ2mであり、ミキサー車1台の積載量は通常4.25mであるので、例えばコンクリートの厚さが0.25mの場合は、打設長さは8.5mとなる。
(3)コンクリートを打設する現場の1辺長さを、ミキサー車1台における打設長さで割ることで、メッシュの数を設定する。図10の例では、平面視で矩形状の施工範囲を横方向に4個のメッシュに分割した場合を示している。
さて、各メッシュに「予想気温」と「注水予定時刻」を入力すると、演算部の演算処理と出力部の出力表示処理により、そのメッシュの「押え作業開始時刻」、「押え作業終了時刻」および「押え作業可能時間」が出力表示される。なお、図9の例では、「注水予定時刻」を「注水時刻」と表示し、「押え作業開始時刻」、「押え作業終了時刻」および「押え作業可能時間」をそれぞれ「開始時刻」、「終了時刻」および「作業時間」として表示する場合を示している。また、画面上部には、左から順に「INPUT」キー1、「+10min」キー2、「OUTPUT」キー3、「OUTPUT」キー4が配置されている。「INPUT」キー1は各メッシュの「予想気温」、「注水時刻」を入力する際の操作キー、「+10min」キー2は後続メッシュの注水時刻を自動的に10分加算する際の操作キー、「OUTPUT」キー3は各メッシュの「開始時刻」、「終了時刻」を出力表示する際の操作キー、「OUTPUT」キー4は各メッシュの「作業時間」を出力表示する際の操作キーである。
また、時間の経過とともに気温の変化(例えば25℃→28℃)が考えられる場合は、該当するメッシュ番号(例えば途中のメッシュNo.12)において予想気温(28℃)を入力する。これにより、最新の予想気温に応じた各時刻と作業時間が表示される。
また、注水時刻を用いれば、コンクリートの打設計画に応じて時間あたりのミキサー車の台数を決めることができる。例えば、図9において時間あたり6台のミキサー車を現場に入れる計画とした場合、No.1の注水時刻を8:30とすれば、No.2〜No.11までは自動的に注水時刻に10分間隔が加算されて各メッシュに各時刻および作業時間が表示される。
このように、本変形例1によれば、図9に示すような入出力画面で「予想気温」と「注水時刻(注水予定時刻)」を入力することで、各時刻と作業時間をメッシュごとに予測することができる。このため、多くのミキサー車がコンクリートを搬入し、スラブとして打設していく施工現場において、スラブのどの位置のコンクリートについての「押え作業開始時刻」、「押え作業終了時刻」、「押え作業可能時間」であるのかを視覚的に分かりやすく把握できるようになるので、現場の施工管理を容易に行うことができる。
(予測装置の変形例2)
上記の変形例1は、類似の入出力画面の予測装置を視覚的に分かりやすく表示する場合にも適用可能である。
類似の入出力画面の予測装置としては、例えば、本発明に関連して本特許出願人が特願2017−200254号(現時点で未公開)で提案した「コンクリートの均し作業可能時期の予測装置」が挙げられる。この予測装置は、施工中のコンクリートの導電率を測定し、コンクリートの導電率が低下する導電率低下時刻を求める手段と、求めた導電率低下時刻を、予め把握されたフレッシュコンクリートを作製する際のセメントと水を混ぜる注水時刻からコンクリートの導電率低下時刻までの時間と、所定の貫入抵抗試験により得られる貫入抵抗値と経過時間の関係を表す近似式の傾き情報の関係に当てはめることで、求めた導電率低下時刻に対応する傾き情報を求める手段と、求めた傾き情報に対応する貫入抵抗値と経過時間の関係を推定する手段と、推定した貫入抵抗値と経過時間の関係と、求めた導電率低下時刻から、コンクリートの均し作業可能時期を予測する手段とを備えるものである。
より具体的な予測手順としては、コンクリートサンプルを採取して注水時刻を記録するとともに、導電率の測定を開始する。その後、注水時刻から導電率低下時刻までの時間を算出し、所定の近似式から傾きAを算出して、傾きAを用いて貫入抵抗値と経過時間の関係を算出する。算出した貫入抵抗値と経過時間の関係を用いて、導電率低下時刻に経過時間を加算することで、各貫入抵抗値における時刻を算出する。これにより、「押え作業開始時刻」、「押え作業終了時刻」、「押え作業可能時間」を施工前に予測することが可能となる。
図10は、この予測装置の入出力画面の例である。図7とよく似た表示形態である。図10に示すように、この予測装置では、「注水時刻」と「導電率低下時刻」を基にして、均し作業に関する時刻と作業時間を均し作業の開始前に予測する。この画面表示の場合も、多くのミキサー車がコンクリートを搬入する施工現場では、スラブのどの位置のコンクリートについての時刻なのかを把握しにくくなるおそれがある。そこで、本変形例2では、上記の変形例1と同様に、均し作業に関する時刻を、視覚的に分かりやすく表示する。
本変形例2では、図11の入出力画面に示すように、コンクリートを打設する現場の施工範囲に対してミキサー車1台ごとにNo.1、No.2、・・・のように番号を割り当ててメッシュを区切る。そして、ミキサー車からコンクリートサンプルを採取したメッシュに「注水時刻」と「導電率低下時刻」を入力可能なようにする。メッシュの数は、上記の変形例1と同様の方法で設定することができる。
サンプルを採取するミキサー車は任意であるが、通常は1台目(図11のNo.1)から採取する方が分かりやすい。No.2以降は、ミキサー車の時間あたりの台数に応じて、開始時刻(押え作業開始時刻)と終了時刻(押え作業終了時刻)に自動的に加算する。図11には、注水時刻を10分ずつ自動的に加算した結果をNo.2〜No.4まで表示している。一方、例えば途中のNo.3からサンプルを採取する場合は、No.1とNo.2の各作業時間から10分引いて表示することができる。
また、打設途中でサンプルを再度採取して導電率低下時刻を測定することができる場合(例えばNo.5からサンプル採取)は、図11のNo.6以降は改めて10分加算した各作業時刻を表示することができる。
なお、図11の例では、画面上部に左から順に「INPUT」キー1、「+10min」キー2、「OUTPUT」キー3、「OUTPUT」キー4が配置されている。「INPUT」キー1は各メッシュの「注水時刻」、「導電率低下時刻」を入力する際の操作キー、「+10min」キー2は後続メッシュの注水時刻を自動的に10分加算する際の操作キー、「OUTPUT」キー3は各メッシュの「開始時刻」、「終了時刻」を出力表示する際の操作キー、「OUTPUT」キー4は各メッシュの「作業時間」を出力表示する際の操作キーである。
このように、本変形例2によれば、図11に示すような入出力画面で「注水時刻」と「導電率低下時刻」を入力することで、各時刻と作業時間をメッシュごとに予測することができる。このため、多くのミキサー車がコンクリートを搬入し、スラブとして打設していく施工現場において、スラブのどの位置のコンクリートについての「押え作業開始時刻」、「押え作業終了時刻」、「押え作業可能時間」であるのかを視覚的に分かりやすく把握できるようになるので、現場の施工管理を容易に行うことができる。
[コンクリートの施工方法]
次に、本発明に係るコンクリートの施工方法の実施の形態について、コンクリートスラブを施工する場合を例にとり説明する。
まず、コンクリートスラブを施工する前に、上述したコンクリートの均し作業可能時期の予測方法を用いて均し作業可能時期を予測する。これにより、施工前に「人が乗れる時刻」、「押え作業開始時刻」、「押え作業終了時刻」、「作業開始までの時間」、「押え作業可能時間」を把握することが可能となる。
次に、フレッシュコンクリートを型枠上に打設してコンクリートスラブを施工する。そして、「人が乗れる時刻」になったら、作業員が硬化中のコンクリートスラブ上に乗り、ブリーディング水や端部の処理などの作業を行う。この作業は、「作業開始までの時間」内に終えるように計画的に実施する。その後、「押え作業開始時刻」になったら、手押しトロウェルや鏝などで表面を繰返し押えていく。この作業は「押え作業可能時間」内に終えるように計画的に実施し、「押え作業終了時刻」で作業を終了する。
このように、本実施の形態によれば、施工前に予測した均し作業可能時期に基づいて、コンクリートスラブの表面に対する均し作業を適正に行うことが可能となる。これにより、安定した品質のコンクリートスラブを施工することができる。
以上説明したように、本発明に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測方法によれば、施工中のコンクリートの表面に対する均し作業を実施する前に、均し作業を行うのに好適な均し作業可能時期を予測するための方法であって、施工時間帯の気温とコンクリートの温度が相関関係にあるとみなして、施工時間帯に予想される予想気温を、予め把握された所定の貫入抵抗試験により得られる貫入抵抗値と経過時間の関係を表す近似式の傾き情報と、コンクリートの温度の関係に当てはめることで、予想気温に対応する傾き情報を求めるステップと、求めた傾き情報を、予め把握されたフレッシュコンクリートを作製する際の注水時刻からコンクリートの導電率低下時刻までの時間と、傾き情報の関係に当てはめることで、求めた傾き情報に対応する導電率低下時刻を推定するステップと、求めた傾き情報に対応する貫入抵抗値と経過時間の関係を推定するステップと、推定した貫入抵抗値と経過時間の関係と、推定した導電率低下時刻から、コンクリートの均し作業可能時期を予測するステップとを備えるので、コンクリート表面の均し作業を始める前に、均し作業可能時期を容易に把握することができる。
また、本発明に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測装置によれば、施工中のコンクリートの表面に対する均し作業を実施する前に、均し作業を行うのに好適な均し作業可能時期を予測するための装置であって、施工時間帯の気温とコンクリートの温度が相関関係にあるとみなして、施工時間帯に予想される予想気温を、予め把握された所定の貫入抵抗試験により得られる貫入抵抗値と経過時間の関係を表す近似式の傾き情報と、コンクリートの温度の関係に当てはめることで、予想気温に対応する傾き情報を求める手段と、求めた傾き情報を、予め把握されたフレッシュコンクリートを作製する際の注水時刻からコンクリートの導電率低下時刻までの時間と、傾き情報の関係に当てはめることで、求めた傾き情報に対応する導電率低下時刻を推定する手段と、求めた傾き情報に対応する貫入抵抗値と経過時間の関係を推定する手段と、推定した貫入抵抗値と経過時間の関係と、推定した導電率低下時刻から、コンクリートの均し作業可能時期を予測する手段とを備えるので、コンクリート表面の均し作業を始める前に、均し作業可能時期を容易に把握することができる。
また、本発明に係るコンクリートの施工方法によれば、上述したコンクリートの均し作業可能時期の予測方法を用いて均し作業可能時期を予測するステップと、コンクリートを打設するステップと、予測した均し作業可能時期に基づいて、コンクリートの表面に対する均し作業を実施するステップとを備えるので、予測した均し作業可能時期に基づいて均し作業を適正に行うことが可能となり、安定した品質のコンクリートを施工することができる。
以上のように、本発明に係るコンクリートの均し作業可能時期の予測方法、予測装置およびコンクリートの施工方法は、コンクリートスラブの施工に有用であり、特に、コンクリートスラブの均し作業の開始タイミングを予測するのに適している。

Claims (3)

  1. 施工中のコンクリートの表面に対する均し作業を実施する前に、均し作業を行うのに好適な均し作業可能時期を予測するための方法であって、
    施工時間帯の気温とコンクリートの温度が相関関係にあるとみなして、施工時間帯に予想される予想気温を、予め把握された所定の貫入抵抗試験により得られる貫入抵抗値と経過時間の関係を表す近似式の傾き情報と、コンクリートの温度の関係に当てはめることで、予想気温に対応する傾き情報を求めるステップと、
    求めた傾き情報を、予め把握されたフレッシュコンクリートを作製する際の注水時刻からコンクリートの導電率低下時刻までの時間と、傾き情報の関係に当てはめることで、求めた傾き情報に対応する導電率低下時刻を推定するステップと、
    求めた傾き情報に対応する貫入抵抗値と経過時間の関係を推定するステップと、
    推定した貫入抵抗値と経過時間の関係と、推定した導電率低下時刻から、コンクリートの均し作業可能時期を予測するステップとを備えることを特徴とするコンクリートの均し作業可能時期の予測方法。
  2. 施工中のコンクリートの表面に対する均し作業を実施する前に、均し作業を行うのに好適な均し作業可能時期を予測するための装置であって、
    施工時間帯の気温とコンクリートの温度が相関関係にあるとみなして、施工時間帯に予想される予想気温を、予め把握された所定の貫入抵抗試験により得られる貫入抵抗値と経過時間の関係を表す近似式の傾き情報と、コンクリートの温度の関係に当てはめることで、予想気温に対応する傾き情報を求める手段と、
    求めた傾き情報を、予め把握されたフレッシュコンクリートを作製する際の注水時刻からコンクリートの導電率低下時刻までの時間と、傾き情報の関係に当てはめることで、求めた傾き情報に対応する導電率低下時刻を推定する手段と、
    求めた傾き情報に対応する貫入抵抗値と経過時間の関係を推定する手段と、
    推定した貫入抵抗値と経過時間の関係と、推定した導電率低下時刻から、コンクリートの均し作業可能時期を予測する手段とを備えることを特徴とするコンクリートの均し作業可能時期の予測装置。
  3. 請求項1に記載のコンクリートの均し作業可能時期の予測方法を用いて均し作業可能時期を予測するステップと、
    コンクリートを打設するステップと、
    予測した均し作業可能時期に基づいて、コンクリートの表面に対する均し作業を実施するステップとを備えることを特徴とするコンクリートの施工方法。
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