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JP6936751B2 - 地盤情報の取得方法及び装置 - Google Patents
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本発明は、地盤情報の取得方法及び装置に係り、特に、既存の空港の滑走路下のように、地盤改良のために薬液が注入された地盤の地盤情報を取得する際に用いるのに好適な、地盤情報の取得方法及び装置に関する。なお、地盤情報とは地盤の固さ、地層構造、地層分類、地盤改良範囲、地下空洞や地中障害物、岩盤中の亀裂、礫層や転石、地中ガス等を指す。
音響トモグラフィを用いて鉛直に配設した2孔間のトモグラフィにより地盤情報を取得する方法を、出願人の一人の前身が特許文献1や2で提案している。
これは図1(地中の断面図)及び図2(地中の斜視図)に例示する如く、地盤10の表面に対して垂直に複数の鉛直ボーリング孔(以下、単に鉛直孔と称する)20を設け、その一部に圧電素子等の孔内発振器30を配設し、残りの鉛直孔20内にハイドロフォン等の受信器32を複数配設して受信器アレイとし、2孔間の音響トモグラフィにより、地盤情報を取得するものである。図において、10Aは地表付近の乱れた地層、12は例えば薬液注入による地盤改良体(以下、改良体と称する)である。
一方、地震による地盤の液状化対策のための地盤改良方法として、薬液注入工法が知られている。既設構造物の直下などを改良する場合、直線削孔では対応できない箇所があるため、出願人の一人が特許文献3で提案したような曲がり削孔工法が開発されている。
特公平8−20438号公報 特許第2862171号公報 特開2016−196805号公報
松岡俊文他「地震波干渉法を利用した坑井間物理探査法」地盤工学会誌57−5(616)8−11頁(2009年5月)
しかしながら、鉛直に配設した2孔間の音響トモグラフィは、水平方向に調査範囲を広げるには、計測用の鉛直孔を増やす必要があり、ボーリング費用がかかる。又、測線数が多く、発振回数が多いため、現場作業時間が長くなる。また、水平方向の精度が十分でない場合があるという課題もある。
一方、図3に例示する如く、例えば曲がり削孔工法により形成された水平ボーリング孔(以下、単に水平孔と称する)22、24内に孔内発振器30及び受信器32を配設することも考えられる。この場合には調査範囲が広くなっても水平ボーリングを長くするだけで対応でき、測線数も減るが、発振回数が多いためデータ取得のための現場作業時間が長くなる。
又、鉛直孔20、水平孔22、24のいずれの場合も、孔内発振器30は寸法に制約があり出力が限定され、調査範囲が狭い場合がある等の問題を有する。
一方、図4に例示する如く、地上に発振器(地上発振器とも称する)40を配設して、水平孔22内に受信器を複数配設した受信器アレイ32R1、32R2、32R3で受信することが考えられる。この場合調査範囲が広くなっても水平ボーリングを長くするだけで対応できる。又、測線数と発振数が減り、データ取得のための現場作業時間を短くできる。更に、地表に配設する地上発振器40は寸法に制約が無いため、出力が大きい物を用いることができ、調査範囲を広くできる等の利点を有するが、地表付近は地盤が乱れていることが多く、不均一な地表面の影響を受けて発振エネルギーが不均一になり、発振音圧を一定にできないため、減衰率の計算が難しいという問題点を有していた。
非特許文献1に記載された地震波干渉法を用いると、図5(A)に示す如く、複数の受信器が配設された受信器アレイ42R1の受信器32R1で受信した振動波R1(t)と、受信器アレイ42R2の受信器32R2で受信した振動波R2(t)の相関関数C1*2(t)=R1(t)*R2(t)は、図5(B)に示す如く、あたかも受信器アレイ42R1の受信器32R1から発振され、受信器アレイ42R2の受信器32R2で受信された振動波R’2(t)に等しいという結果を得ることができる。この地震波干渉法は、自然地震や工事のノイズなどを仮想の発振源として利用することもできる。
本発明は、この地震波干渉法を利用したもので、図6(A)に例示する如く、この地震波干渉法を深さ方向に例えば2段の水平孔22、24で用いると、地表に配設した発振器40を用いて発振点Sから振動波を発振し、受信器アレイ44R1の各受信器で受信した振動波R1(t)と受信器アレイ44R2の各受信器で受信した振動波R2-1(t)、R2-2(t)、R2-3(t)の相関関数C1*2-1(t)、C1*2-2(t)、C1*2-3(t)が、図6(B)に示す如く、受信器アレイ44R1の受信点から発振し、受信器アレイ44R2の各受信器で受信した振動波R’2-1(t)、R’2-2(t)、R’2-3(t)と等しくなる。これを式(1)〜式(3)に示す。
1*2-1(t)=R1(t)*R2-1(t)=R’2-1(t) …(1)
1*2-2(t)=R1(t)*R2-2(t)=R’2-2(t) …(2)
1*2-3(t)=R1(t)*R2-3(t)=R’2-3(t) …(3)
本発明はこの計測原理を利用したもので、図7(A)に例示する如く、受信器アレイ44R1の複数(図では4つ)の受信器32R1-1、32R1-2、32R1-3、32R1-4で受信した振動波R1-1(t)、R1-2(t)、R1-3(t)、R1-4(t)と、受信器アレイ44R2の例えば3つの受信器32R2-1、32R2-2、32R2-3で受信した振動波R2-1(t)、R2-2(t)、R2-3(t)の相関関数C(1〜4)*(2-1〜2-3)(t)を求めると、図7(B)に示す如く、受信器アレイ44R1の複数の点S1〜S4から発振し、受信器アレイ44R2の各受信器32R2-1、32R2-2、32R2-3で受信した振動波R’2-1(t)、R’2-2(t)、R’2-3(t)と等しくなる。
本発明は上記点に着目してなされたもので、地中の深さ方向に設けられた深さが異なる複数段の水平孔に、複数の受信器が配設された受信器アレイをそれぞれ配設し、地表に配設した発振器により振動波を発振した時に各受信器アレイで受信される振動波を検出し、該受信器アレイ間の相関係数を計算することで、地中における振動波の速度分布又は減衰率分布を得ることにより、前記課題を解決するものである。
本発明は、又、地中の深さ方向に設けられた深さが異なる複数段の水平孔に、それぞれ配設される、複数の受信器が配設された受信器アレイと、地表に配設した発振器と、該発振器により振動波を発振した時に各受信器アレイで受信される振動波を検出し、該受信器アレイ間の相関係数を計算することで、地中における振動波の速度分布又は減衰率分布を得る演算制御手段と、を備えたことを特徴とする地盤情報の取得装置により、同様に前記課題を解決するものである。
ここで、前記水平孔を、地中に地盤改良用の薬液を注入するために、曲がり削孔により形成されたものとすることができる。
又、鉛直孔にも複数の受信器が配設された受信器アレイを配設して、該鉛直孔中の受信器アレイによって検出される振動波も利用することができる。
本発明によれば、以下の点について従来技術の問題を解決することができる。
(i)鉛直ボーリングを必要としないので、調査範囲が広くなってもボーリング本数は変わらない。水平ボーリングを用いた地盤改良工事に適用する場合には、注入用のボーリング孔を用いることができるため、新たにボーリングをする必要がなくなる。
(ii)地表の1点から発振するだけで、地中の複数の点から発振するのと同じ情報を得ることができるため、データ取得のための作業時間を短縮できる。
(iii)発振器をボーリング孔内に配設する必要がなく寸法の制約を受けないため、大きなエネルギーを持つ発振器、例えばバイブレータを使用でき、調査範囲を広げることができる。
出願人の一人が提案した、鉛直孔を用いた2孔間の音響トモグラフィ技術を模式的に示す地中の断面図 同じく地中の斜視図 水平ボーリング孔内に発振器及び受信器を配置した比較例を示す地中の斜視図 地上発振器と水平孔内に配設した受信器を用いた比較例を示す地中の斜視図 鉛直孔を用いた地震波干渉法の原理を示す地中の断面図 本発明の計測原理を受信器アレイの1点について示す地中の断面図 同じく受信器アレイの全ての点について示す地中の断面図 本発明の第1実施形態を示す地中の斜視図 図8の矢視IX方向から見た地中の縦断面図 図8の矢視X方向から見た地中の横断面図 本発明の第2実施形態を示す地中の斜視図
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
本発明の第1実施形態は、図8(地中の斜視図)、図9(図8の矢視IX方向から見た地中の縦断面図)、図10(図8の矢視X方向から見た地中の横断面図)に示す如く、地中に設けられた深さ方向に2段、水平方向に3列の水平孔22、24に、複数の受信器が配設された受信器アレイ44R1〜R6をそれぞれ配設し、演算制御手段であるコンピュータ50の指令により、地表に配設した地上発振器40により振動波を発振した時に各受信器アレイ44R1〜R6で受信される振動波を検出し、該受信器アレイ44R1〜R6間の相関係数を計算することで、各受信器アレイ間の振動波の速度分布及び減衰率分布を得るようにしたものである。
前記水平孔22としては、地中に地盤改良用の薬液を注入するために、曲がり削孔により形成されたものを用いることができる。この場合には、計測孔を新たに作る必要は無い。
前記地上発振器40としては、例えばバイブレータを用いることができる。
前記受信器アレイ44R1〜R6の各受信器としては、例えばハイドロフォンを用いることができる。
前記地上発振器40からは、例えば特許文献1や2に記載されたような疑似ランダムコードに従った振動波を発生させることができる。
前記受信器アレイ44R1〜R6の各受信器は、受信した振動波から、コンピュータ50での相関計算により、対応する振動波を特定して、その伝播時間から振動波の速度を計算すると共に、発生した振動波と受信した振動波の音圧の比から各受信器アレイ間の減衰率を計算することができる。
具体的には、例えば、受信点R1の受信記録R1(t)と受信点R2-1の受信記録R2-1(t)の相関関数C1*2-1は、受信点R1から発振し、受信点R2-1で受信した受信波形と等しくなるので、計算結果C1*2-1(t)から振動波の到達時間tと受信音圧Aを読み取り、速度Vは次の式(4)により計算することができる。
V=d/t …(4)
又、媒質の減衰特性を表す無次元量Q値の逆数である減衰率Q-1は、次式(5)と式(6)から式(7)と式(8)を得て計算することができる。
Figure 0006936751
ここで、dは伝播距離、tは到達時間、Aは受信音圧、AOは発振音圧、fは発振周波数、αは減衰定数である。なお、式(7)の減衰定数αは自然対数で表される減衰定数(neper)であり、式(8)の減衰定数αは音圧レベル(dB)で表される定数である。
従って、計算された振動波の速度や減衰率を用いて、地中における振動波の速度分布や減衰率分布をコンピュータ50等により求めて表示することができる。
本実施形態によれば、図9のように、1つの発振点で3次元的に複数の受信器を用いた計測を行うことができるため、測線数も発振回数も大幅に削減でき、データ取得のための現場作業時間を大幅に短縮できる。例えば本実施形態のように、6本の受信器アレイ44R1〜R6を用いて測線を計測した場合、図10に示す如く、9測線の計測を1回で行うことができるため、作業時間は1/9になる。なお、図9に示したように、地上発振器40の位置を移動させて測定を繰返し行うことにより、精度を高めることもできる。
なお、第1実施形態においては、水平孔22、24内に配置した受信器アレイ44R1〜R6のみを用いて地盤情報を取得していたが、図11に示す第2実施形態のように、鉛直孔20も設けて、該鉛直孔20内に配設した受信器アレイ42R1〜R6で検出される振動波も利用して、鉛直方向の解像度を向上することも可能である。
なお、前記実施形態においては、本発明が、薬液が注入された空港の地盤に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、浅い所の障害物及び/又は空洞の調査や、地表近くのトンネルの検査等、他の地盤にも同様に適用できる。
水平孔の種類も曲がり削孔工法により形成されたものに限定されない。水平孔の深さ方向段数や水平方向の列数も2段3列に限定されず、例えば2段1列であっても良い。
鉛直孔や水平孔は、利用できる孔があれば新たにボーリングにより形成する必要はない。
10…地盤
12…改良体
20…鉛直(ボーリング)孔
22、24…水平(ボーリング)孔
32、32R1、32R2、32R1-1、32R1-2、32R1-3、32R1-4、32R2-1、32R2-2、32R2-3…受信器
40…地上発振器
42R1〜R6、44R1〜R6…受信器アレイ
50…コンピュータ

Claims (6)

  1. 地中の深さ方向に設けられた深さが異なる複数段の水平孔に、複数の受信器が配設された受信器アレイをそれぞれ配設し、
    地表に配設した発振器により振動波を発振した時に各受信器アレイで受信される振動波を検出し、
    該受信器アレイ間の相関係数を計算することで、地中における振動波の速度分布又は減衰率分布を得ることを特徴とする地盤情報の取得方法。
  2. 前記水平孔が、地中に地盤改良用の薬液を注入するために、曲がり削孔により形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の地盤情報の取得方法。
  3. 鉛直孔にも複数の受信器が配設された受信器アレイを配設して、該鉛直孔中の受信器アレイによって検出される振動波も利用することを特徴とする請求項1又は2に記載の地盤情報の取得方法。
  4. 地中の深さ方向に設けられた深さが異なる複数段の水平孔に、それぞれ配設される、複数の受信器が配設された受信器アレイと、
    地表に配設した発振器と、
    該発振器により振動波を発振した時に各受信器アレイで受信される振動波を検出し、該受信器アレイ間の相関係数を計算することで、地中における振動波の速度分布又は減衰率分布を得る演算制御手段と、
    を備えたことを特徴とする地盤情報の取得装置。
  5. 前記水平孔が、地中に地盤改良用の薬液を注入するために、曲がり削孔により形成されたものであることを特徴とする請求項4に記載の地盤情報の取得装置。
  6. 鉛直孔にも複数の受信器が配設された受信器アレイを配設して、該鉛直孔中の受信器アレイによって検出される振動波も利用することを特徴とする請求項4又は5に記載の地盤情報の取得装置。
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