JP6938015B2 - キャスター及び移動体 - Google Patents
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Description
このキャスターに使用されるスラストベアリングは、上側基板と下側基板との間に保持器を介して、あるいは、保持器を介さずに多数のボールが保持された構造を有し、上側基板と下側基板とボールは、機械的強度があり安価な金属製のものが使用されることが多い。
この金属製の上側基板と下側基板とボールからなるスラストベアリングを使用したキャスターにおいては、車輪を支持するフレームの旋回を円滑に行うため、スラストベアリングにグリース等の潤滑剤を注入する必要がある。
ところで、キャスターを備えた台車等の移動体は種々の環境で使用され、水中等の水にさらされる環境や頻繁に洗浄される環境で使用される台車等の移動体にあっては、キャスターのスラストベアリングに注入された潤滑剤が短時間でなくなり、キャスターが旋回しなくなるという問題が生じる。
このため、水にさらされる環境においても長時間使用可能なスラストベアリングを使用した種々のキャスターが提案されている。
例えば、特開平10−181302号公報(特許文献1)には、旋回軸を二段のスラストベアリングで支持し、該スラストベアリングを繊維材で強化した樹脂製の上下レースとセラミック製等の回転体(ボール)と樹脂製の保持器とで構成することにより、発錆と荷重の偏りを防止し長期にわたり旋回軸の円滑な動きを保持する旋回軸支持装置が提案されている。
また、特開2000−85308号公報(特許文献2)には、台車等の運搬体に固着される固定部と、この固定部と連通して形成される軸挿通孔に挿入される軸と、この軸により支持されベアリングボールを介して旋回自在な車輪支持部とからなるキャスター旋回装置において、固定部と車輪支持部間に形成される間隙の一部に円環状シールを挟着してなるキャスター旋回装置が提案されている。
次に、特許文献2のキャスター旋回装置においては、固定部と車輪支持部が金属やプラスチック等で形成され、その間にステンレス等の合金やセラミックス等からなるベアリングボールが収納され、固定部と車輪支持部間に形成される間隙の一部に円環状シールが挟着されているが、その間隙を完全に密封することができず、特に、洗剤等を使用して台車等の移動体を洗浄する場合、間隙内に充填されたグリスが洗浄液によって洗い流され、洗浄する毎に潤滑剤を補給しなければならないという問題が生ずる。
ところで、特許文献1や特許文献2のスラストベアリングには、セラミック製等のボールが使用されるが、セラミック製のボールはきわめて高価であり、一般に低価格が要求される台車等の移動体のキャスターのスラストベアリングには使用できない。
この点、特許文献1には、回転体(ボール)の材質としてセラミック以外にステンレス鋼や軸受鋼を使用することが記載され、特許文献2においても、ベアリングボールの材質としてセラミック以外にステンレス等の合金を使用することが記載されている。
しかしながら、保持器のないスラストベアリングにおいては、ステンレスや鋼等の金属製のボールを使用した場合、金属製のボール同士の転がり抵抗(転がり摩擦係数)が大きいために、金属製のボール同士が接触しながら円滑に転がるためには、潤滑剤が不可欠となり、洗剤等を使用して頻繁に洗浄されるような台車のキャスターにおいては、洗浄する毎に潤滑剤が洗い流され、潤滑剤の補給が必要となり、多大の労力を要するという問題がある。
この場合、金属製のボールより転がり抵抗(転がり摩擦係数)が小さく、潤滑剤なしで接触しながら転がる樹脂製のボールを使用することも考えられるが、樹脂製のボールは、金属製のボールが比べて硬度や圧縮強度が劣り、樹脂製のボールが台車等の移動体の重量によって押しつぶされて変形し、樹脂製のボールが円滑に転がらず、キャスターの旋回性能が悪くなるという問題が生ずる。
本発明のキャスターの実施形態について説明する。
図1は、本発明のキャスターの正面図、図2は、図1に示すキャスターの左側面図、図3は、図1に示すキャスターの平面図、図4は、図2のY−Y断面図である。
図中、1はキャスター、10は車輪、11は車軸、12は支持フレーム、13は旋回軸、13aは頭部、13bはカシメ部、14は取付板、14aは凹部、14bは長穴、20はスラストベアリング、21は上側基板、22は下側基板、23は転動体となるボールである。
図に示すようキャスター1は、車輪10、車軸11、支持フレーム12、旋回軸13、取付板14等から構成されている。
そして、車輪10が挿入された車軸11の両端は、支持フレーム12の側面部に取り付けられ、これにより車輪10が支持フレーム12に回転自在に支持されている。
また、図4に示すように、支持フレーム12の上面部に設けられた穴と、上側基板21と下側基板22とボール23とからなるスラストベアリグ20の軸穴と、取付板14の凹部14aの中央部に設けられた穴には、旋回軸13が挿入され、これにより支持フレーム12と取付板14がスラストベアリグ20を介して連結され、支持フレーム12が取付板14に対して旋回自在となっている。
この場合、旋回軸13の頭部13aが凹部14aの穴の周囲部分を押さえ、旋回軸13のカシメ部13bが支持フレーム12の上面部に設けられた穴の周囲を押さえている。
さらに、取付板14の四隅に設けられた長穴14aには、ボルトのネジ部が挿入され、このネジ部に螺合するナットにより、取付板14が台車等の移動体の底部に取り付けられる。
次に、キャスター1に使用されるスラストベアリグ20について説明する。
図5は、図1に示すスラストベアリグ20からボール23の一部を省略したものの正面図、図6は、図1に示すスラストベアリグ20からボール23を省略したものの縦断面図、図7は、図1に示すスラストベアリグ20から上側基板21を外したものの平面図である。
図中、21a、22aは軸穴、21b、22bはボール溝、21c、22cはボール溝面、23sは金属ボール、23pは樹脂ボールある。
図5、図6に示すように、上側基板21においては、中央部に軸穴21aが設けられ、軸穴21aと外周面の間に、断面形状が半円形で環状のボール溝21bが設けられており、下側基板22においても、同様に軸穴22a、ボール溝22bが設けられている。
そして、上側基板21と下側基板22のボール溝21b、22bには、多数のボール23が配置され、隣接するボール23同士が接触しながらボール溝面21c、22c上を転がるようになっている。
上側基板21と下側基板22には、ステンレス等の合金製や鋼製等の金属製のもの、あるいは、硬度や圧縮強度が高く耐摩耗性や耐薬品性に優れたフェノール樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン4フッ化エチレン樹脂)、UHMW(超高分子量ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、カーボン等の樹脂製のものが使用される。
この場合、上側基板21と下側基板22の両方を金属製のものとすると、基板自体の硬度や圧縮強度、耐摩耗性や耐薬品性等の点では優れているが、後述するようにボール23の一部に金属製のボールを使用することから、金属製のボール23と上側基板21や下側基板22の転がり抵抗(転がり摩擦係数)が大きくなり、スラストベアリング20の回転が悪くなり、摩耗も大きくなる。
また、上側基板21と下側基板22の両方を樹脂製のものとすると、キャスター1が取り付けられた台車等の移動体の荷重によって、上側基板21と下側基板22のボール23に当たる部分が凹み、ボール23が転がりにくくなり、スラストベアリング20の回転が悪くなる。
このため、上側基板21と下側基板22の一方を金属製とし、他方と樹脂製とし、スラストベアリング20の回転が悪くならないようにすることが望ましい。
金属ボール23sには、ステンレス等の合金や鋼等からなる金属製のボールが使用される。
樹脂ボール23pには、硬度や圧縮強度が高く耐摩耗性や耐薬品性に優れたジュラコン(POM:ポリオキシメチレン)、66ナイロン、PE(ポリエチレン)、PP、ポリスチレン、ポリカードネート、テフロン(登録商標)、アクリル、塩化ビニール、ABS等からなる樹脂製のボールが使用される。
上述のようにボール23は、ボール溝21c、22cにほぼ隙間なく配置され、隣接するボール23同士が接触しながらボール溝面21c、22c上を転がるようになっている。
図7において、薄墨で表したボールは金属ボール23sであり、網点で表したボールは樹脂ボール23pであり、金属ボール23s同士が隣接して接触しないように、金属ボール23sと樹脂ボール23pが交互に配置され、金属ボール23sと樹脂ボール23pはそれぞれ8個ずつ合計16個配置されている。
このようにボール23を金属ボール23sと樹脂ボール23pを混在させたものとし、金属ボール23s同士が隣接して接触しないようにすることにより、以下の(1)〜(3)のような効果がある。
(1)金属ボール23sは必ず樹脂ボール23pと転がり接触し、金属ボール23s同士が転がり接触する場合に比べて、転がり抵抗(転がり摩擦係数)が小さく、潤滑剤なしでスラストベアリング20を円滑に回転させることができる。
(2)主に金属ボール23sでキャスターが取り付けられた移動体の荷重を支え、樹脂ボール23pにかかる荷重を小さくしてその変形を小さくし、樹脂ボール23pが大きく変形してスラストベアリング20の回転が悪くなるのを防止できる。
(3)上側基板21または下側基板22に金属製のものを使用しても、上側基板21または下側基板22に接する金属ボール23sの数をボール23全体の半分以下として、ボール23全体と上側基板21または下側基板22の転がり抵抗が大きくなること防止し、スラストベアリング20の回転が悪くなるのを防止できる。
この場合、上記(1)、(2)の効果の点で、金属ボール23s同士を隣接させずにできるだけ多くの金属ボール23sを配置すること、すなわち、図7に示すように金属ボール23sと樹脂ボール23pを交互に配置し、金属ボール23sと樹脂ボール23pの割合を同じにすることが望ましいが、スラストベアリング20にかかる荷重がそれほど大きくない場合は、樹脂ボール23pの割合を大きくして、ボール23全体の転がり抵抗を小さくし、スラストベアリング20をより円滑に回転させるようにしてもよい。
図8は、樹脂ボール23pの割合を大きくしたスラストベアリグ20から上側基板21を外したものの平面図である。図8では、ボール23を2つ置きに金属ボール23sとして、5個の金属ボール23sと10個の樹脂ボール23pが配置されている。
図9は、転動体にローラを使用したスラストベアリグからローラの一部を省略したものの正面図、図10は、図9に示すスラストベアリグからローラを省略したものの縦断面図、図11は、図9に示すスラストベアリグから上側基板を外したものの平面図である。
図中、30はスラストベアリング、31は上側基板、32は下側基板、33は転動体となるローラで、31a、32aは軸穴、31b、32bはローラ溝、31c、32cはローラ溝面、33sは金属ローラ、33pは樹脂ローラある。
図9、図10に示すように、スラストベアリング30の上側基板31においては、中央部に軸穴31aが設けられ、軸穴31aと外周面の間に、断面形状が台形で環状のローラ溝31bが設けられており、下側基板32においても、同様に軸穴32a、ローラ溝32bが設けられている。
そして、上側基板31と下側基板32のローラ溝31b、32bには、多数の円錐台形状のローラ33が配置され、隣接するローラ23同士が接触しながらローラ溝面31c、32c上を転がるようになっている。
上側基板31と下側基板32には、図5〜図8に示すスラストベアリング20の上側基板21と下側基板22と同様の金属製のもの、あるいは、樹脂製のものが使用される。
図11に示すように、ローラ33は、金属ローラ33sと樹脂ローラ33pとからなる。
金属ローラ33sには、金属ボール23sと同じ金属製のローラが使用され、樹脂ローラ33pには、樹脂ボール23pと同じ樹脂製のローラが使用される。
上述のようにローラ33は、ローラ溝31c、32cにほぼ隙間なく配置され、隣接するローラ33同士が接触しながらローラ溝面31c、32c上を転がるようになっている。
図11において、薄墨で表したローラは金属ローラ33sであり、網点で表したローラは樹脂ローラ33pであり、金属ローラ33s同士が隣接して接触しないように、金属ローラ33sと樹脂ローラ33pが交互に配置され、金属ローラ33sと樹脂ローラ33pはそれぞれ8個ずつ合計16個配置されている。
スラストベアリング30のローラ33は、スラストベアリング20のボール23に比べて、荷重による変形が小さいため、移動体の重量が大きく、キャスターのスラストベアリングにかかる荷重が大きき場合に、ローラ33を転動体としたスラストベアリング30を使用するのが望ましい。
次に、キャスター1が取り付けられた台車等の移動体について説明する。
図12は、キャスター1が取り付けられた台車の正面図、図13は、図12に示す台車の左側面図、図13は、図12に示す台車の平面図である。
図中、40は台車、41は荷台、41aは荷台41の底板、42はボルトであり、同じものには同一の符号を付す。
図に示すように台車40は、荷台41と荷台41の底板41aの四隅に取り付けられたキャスター1を備えている。
荷台41は、上面が開放された浅い箱状のものであり、例えば、食品が入った食品容器等を積載できるようになっている。
荷台41の底板41aの四隅には、キャスター1の取付板14の長穴14aに対応する位置に、ボルト穴が設けられ、このボルト穴と長穴14aにボルト42を通し、ナット(図示せず)をボルト42のネジ部に螺合させて締め付けることにより、キャスター1の取付板14が荷台41の底板41aに取り付けられる。
台車40は、コンビニ等で食品が入った食品容器等の重量物の運搬用に使用され、運搬中に食品等がこぼれて汚れるため、頻繁に洗剤を使用して洗浄される。
この場合、台車40には、金属ボール23sと樹脂ボール23pを混在させたスラストベアリング20を使用したキャスター1が取り付けられているため、潤滑剤なしでスラストベアリング20が円滑に回転して車輪10が旋回し、洗浄する毎に潤滑剤を注入する必要がなくなる。
また、台車40で、食品容器等の重量物を運搬しても、主にスラストベアリング20の金属ボール23sが、スラストベアリング20にかかる荷重を支えるため、樹脂ボール23pが変形してスラストベアリング20の回転が悪くなり、車輪10が旋回しにくくなることが防止される。
なお、本発明の移動体としては、上述のような台車の他に、テーブル、椅子、机等の家具やOA機器、キャリーバッグ等が挙げられる。
10 車輪
11 車軸
12 支持フレーム
13 旋回軸
13a 頭部
13b カシメ部
14 取付板
14a 凹部
14b 長穴
20 スラストベアリング
21 上側基板
21a 軸穴
21b ボール溝
21c ボール溝面
22 下側基板
22a 軸穴
22b ボール溝
22c ボール溝面
23 ボール
23s 金属ボール
23p 樹脂ボール
30 スラストベアリング
31 上側基板
31a 軸穴
31b ローラ溝
31c ローラ溝面
32 下側基板
32a 軸穴
32b ローラ溝
32c ローラ溝面
33 ローラ
33s 金属ローラ
33p 樹脂ローラ
40 台車
41 荷台
41a 底板
42 ボルト
Claims (6)
- 車輪と、該車輪を回転自在に支持する支持フレームと、旋回軸と、該旋回軸に取り付けられて前記支持フレームを旋回自在にするスラストベアリングを備えたキャスターであって、
前記スラストベアリングは、上側基板と、下側基板と、該上側基板と該下側基板の間に保持器なしで保持された多数の転動体を備え、
前記多数の転動体は、金属製の転動体と樹脂製の転動体からなり、
前記多数の転動体は、前記上側基板のボール溝と前記下側基板のボール溝にほぼ隙間なく、隣接する転動体同士が潤滑剤なしで接触しながら前記上側基板のボール溝面上と前記下側基板のボール溝面上を転がるように配置され、かつ、前記金属製の転動体が隣接しないように、前記金属製の転動体と前記樹脂製の転動体が配置されていること
を特徴とするキャスター。 - 前記金属製の転動体と前記樹脂製の転動体が交互に配置されていることを特徴とする請求項1記載のキャスター。
- 前記転動体は、ボールまたはローラであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のキャスター。
- 前記上側基板と前記下側基板の一方は金属製であり、他方は樹脂製であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載したキャスター。
- 前記請求項1乃至請求項4のいずれかに記載したキャスターを備えたことを特徴とする移動体。
- 前記移動体は、台車であることを特徴する請求項5記載の移動体。
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