以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1乃至図12を用いて、本発明の実施の形態における冷却装置について説明する。本実施の形態における冷却装置は、電気製品等の冷却対象体(発熱体)の筐体の外面に取り付けられて、冷却媒体を用いて冷却対象体の熱を当該筐体から回収して、冷却対象体を冷却するための装置である。本実施の形態における冷却装置は、平面視で矩形状に形成されている。
図1および図2に示すように、冷却装置1は、冷却対象体Dから熱を受ける受熱フィルム部材10と、受熱フィルム部材10の一方の側に設けられた第1フィルム部材20と、第1フィルム部材20の受熱フィルム部材10の側とは反対側に設けられた第2フィルム部材30と、を備えている。すなわち、受熱フィルム部材10と第2フィルム部材30との間に第1フィルム部材20が介在されており、図2に示す断面視では、受熱フィルム部材10の下方に第1フィルム部材20が設けられ、第1フィルム部材20の下方に第2フィルム部材30が設けられている。後述するように、受熱フィルム部材10と第1フィルム部材20は、互いにヒートシールされるとともに、第1フィルム部材20と第2フィルム部材30は、互いにヒートシールされている。受熱フィルム部材10、第1フィルム部材20および第2フィルム部材30は、いずれも矩形状に形成されている。
図2に示すように、受熱フィルム部材10は、金属箔11と、金属箔11の一方の面(第1フィルム部材20の側の面)に設けられた、熱融着層12と、を有している。すなわち、受熱フィルム部材10は、金属箔11と熱融着層12とが積層された積層体として構成されている。受熱フィルム部材10は、可撓性を有していることが好適である。例えば、受熱フィルム部材10の厚さは、可撓性を有するとともに機械的強度を確保するために、30μm〜500μmであることが好適である。また、100μm以下にすることにより、受熱フィルム部材10が、冷却対象体Dから収納室40(後述)内の作動液45に伝わる熱に対する熱抵抗として作用することを回避することができる。
金属箔11は、機械的強度を確保するとともに、冷却対象体Dから受ける熱をヒートパイプ構成部44(後述)に効率良く伝導させるための部材である。このような金属箔11には、熱伝導率が良好な材料が用いられることが好適であるが、例えば、アルミニウム、ステンレス、ニッケルなどを用いることができる。金属箔11の厚さは、可撓性および機械的強度を確保するとともに、外気が受熱フィルム部材10を透過して収納室40に侵入することを防止するために、例えば10μm〜480μmとすることが好適である。
熱融着層12は、受熱フィルム部材10を第1フィルム部材20にヒートシールして接合させるための層である。このような熱融着層12には、ヒートシール性が良好な熱融着性樹脂材料が用いられることが好適である。例えば、熱融着性樹脂材料としては、ポリエチレンなどを用いることができる。熱融着層12の厚さは、ヒートシール性を確保するために、10μm〜200μmとすることが好適である。
ところで、図2に示すように、受熱フィルム部材10は、作動液45が蒸発して蒸気を生成する蒸発部15を有している。この蒸発部15は、受熱フィルム部材10に取り付けられる冷却対象体Dから熱を受けて、後述する収納室40内の作動液45が蒸発する部分である。このため、蒸発部15という用語は、冷却対象体Dに重なっている部分に限られる概念ではなく、冷却対象体Dに重なっていなくても作動液45が蒸発可能な部分をも含む概念として用いている。ここで、蒸発部15は、受熱フィルム部材10の任意の場所に設けることができるが、図2に示す形態では、受熱フィルム部材10の中央部が冷却対象体Dに取り付けられている例が示されており、この場合、当該中央部(更にはその周辺近傍の部分)が、蒸発部15に相当する。なお、冷却対象体Dが、空間である場合(例えば、冷蔵庫の庫内空間)には、受熱フィルム部材10が冷却対象体Dとなる空間に接し、当該空間を画定する壁面に第2フィルム部材30が取り付けられるようになる。
図2に示すように、第1フィルム部材20は、金属箔21と、金属箔21の両面に設けられた熱融着層22、23と、を有している。すなわち、第1フィルム部材20は、熱融着層22と金属箔21と熱融着層23とが積層された積層体として構成されている。第1フィルム部材20は、可撓性を有していることが好適である。例えば、第1フィルム部材20の厚さは、可撓性を有するとともに機械的強度を確保するために、30μm〜500μmであることが好適である。また、100μm以下にすることにより、第1フィルム部材20が、収納室40内の作動液45の蒸気から、後述する冷却室42を流れる冷却媒体Cに伝わる熱に対する熱抵抗として作用することを回避することができる。なお、金属箔21は、上述した受熱フィルム部材10の金属箔21と同様の材料を同様の厚さで用いることができる。また、熱融着層22、23は、上述した受熱フィルム部材10の熱融着層12と同様の材料を同様の厚さで用いることができる。
また、第2フィルム部材30は、金属箔31と、金属箔31の一方の面(第1フィルム部材20の側の面)に設けられた熱融着層32と、を有している。すなわち、第2フィルム部材30は、金属箔31と熱融着層32とが積層された積層体として構成されている。第2フィルム部材30は、可撓性を有していることが好適である。例えば、第2フィルム部材30の厚さは、可撓性を有するとともに機械的強度を確保するために、30μm〜500μmであることが好適である。なお、金属箔31は、上述した受熱フィルム部材10の金属箔31や第1フィルム部材20の金属箔31と同様の材料を同様の厚さで用いることができる。また、熱融着層32は、上述した受熱フィルム部材10の熱融着層12や第1フィルム部材20の熱融着層22、23と同様の材料を同様の厚さで用いることができる。
図2に示すように、受熱フィルム部材10と第1フィルム部材20との間には、収納室40が画定されている。収納室40の周囲には、受熱フィルム部材10と第1フィルム部材20とをヒートシール(接合)する第1ヒートシール部41が設けられている。第1ヒートシール部41は、受熱フィルム部材10の熱融着層12と、第1フィルム部材20の熱融着層22とが溶融して互いに熱融着することで形成されている。図1に示す形態では、平面視で、収納室40は矩形状に形成されており、第1ヒートシール部41は、矩形枠状に形成されて、収納室40の周囲に連続状に形成されている。この第1ヒートシール部41によって、収納室40の周縁が画定されて、収納室40が密封されている。
図2に示すように、第1フィルム部材20と第2フィルム部材30との間には、冷却室42が画定されている。冷却室42の周囲には、第1フィルム部材20と第2フィルム部材30とをヒートシール(接合)する第2ヒートシール部43が設けられている。第2ヒートシール部43は、第1フィルム部材20の熱融着層23と、第2フィルム部材30の熱融着層32とが溶融して互いに熱融着することで形成されている。図1に示す形態では、平面視で、冷却室42は矩形状に形成されており、第2ヒートシール部43は、矩形枠状に形成されて、冷却室42の周囲に連続状に形成されている。この第2ヒートシール部43によって、冷却室42の周縁が画定されて、冷却室42が密封されている。
図1および図2に示すように、平面視において、第2ヒートシール部43は、第1ヒートシール部41よりも外側に配置されている。すなわち、冷却室42の容積は、収納室40の容積よりも大きくなっている。そして、平面視で、収納室40の周囲に、第1フィルム部材20が露出された部分が形成されている。
図2に示すように、収納室40には、ヒートパイプ構成部44が収納されている。ヒートパイプ構成部44は、作動液45と、作動液45に毛細管作用を発揮させるウィック部材46aと、を含んでいる。このうち作動液45としては、冷却対象体Dの熱を受けて蒸発し、受けた熱を放熱することで凝縮することができれば、任意の液体を用いることができる。例えば、純水、アンモニア、エタノール、メタノール、アセトン等が挙げられる。
ウィック部材46aは、収納室40に収納されている。ウィック部材46aは、可撓性を有していることが好適であり、細線状の部材を不定形状に圧接したメッシュ状の構成や、スポンジなどのような多孔質体、微粒子などの構成とすることができる。例えば、グラスウール、不織布、多孔質プラスチックなどを、ウィック部材46aとして用いることができる。
収納室40には、作動液45の蒸気が通る蒸気流路を形成する蒸気流路形成部材46bが収納されている。この蒸気流路形成部材46bは、細線状の部材を不定形状または定形状に圧接したメッシュ状の構成とすることができる。そして、蒸気流路形成部材46bは、可撓性を有しているが、ウィック部材46aよりも剛性を有していることが好ましい。このことにより、収納室40が減圧された場合であっても、蒸気流路形成部材46bのメッシュの開口が潰されることを抑制し、作動液45の蒸気の流路断面積を確保することができる。
本実施の形態では、図2に示すように、収納室40の高さ方向(冷却装置1の厚さ方向)における中間位置に、蒸気流路形成部材46bが配置されている例が示されている。すなわち、蒸気流路形成部材46bの受熱フィルム部材10の側にウィック部材46aが配置されるとともに、蒸気流路形成部材46bの第1フィルム部材20の側に他のウィック部材46aが配置されており、2つのウィック部材46aの間に蒸気流路形成部材46bが介在されている。この場合、冷却装置1の姿勢が、冷却装置1の動作の安定化に影響を及ぼすことを抑制できる。
収納室40の圧力は、冷却対象体Dから熱を受けていない状態(例えば、室温時)では、大気圧よりも低くなっており、収納室40が真空状態であることが好適である。このことにより、収納室40内の作動液45の蒸発温度を下げて、冷却対象体Dから熱を受けた作動液45を効率良く蒸発させることができる。収納室40の圧力としては、作動液45を効率良く蒸発させるとともに、収納室40の真空破壊を防止することが可能な程度の圧力であることが好適である。なお、本明細書においては、「真空状態」という用語は、空気等が全く存在しない状態を意味しているのではなく、圧力が大気圧よりも低い状態を表わす用語として用いる。
図2に示すように、冷却室42には、冷却室42に冷却媒体Cを流入させる流入口47と、冷却室42から冷却媒体Cを流出させる流出口48と、が設けられている。このことにより、冷却室42は、流入口47から流出口48に向かって冷却媒体Cが通流するように構成されている。ここで、冷却室42は、収納室40に第1フィルム部材20を介して併設されている。すなわち、収納室40に収納されたヒートパイプ構成部44に対して、冷却室42が併設されるように構成されている。なお、図1および図2に示す形態では、流入口47および流出口48は、それぞれ1つずつ設けられている例が示されているが、流入口47および流出口48の個数は、それぞれ任意である。また、冷却媒体Cとしては、水等の液体や、空気等の気体など、任意の流体を用いることができる。
流入口47は、第2ヒートシール部43を貫通した円筒状の流入口パイプ部材47aによって構成されている。また、流入口パイプ部材47aには、第1フィルム部材20の熱融着層23がヒートシールされているとともに、第2フィルム部材30の熱融着層32がヒートシールされている。このことにより、流入口パイプ部材47aが第1フィルム部材20および第2フィルム部材30に密着し、流入口パイプ部材47aと第1フィルム部材20との間に、冷却媒体Cが漏出するような隙間が形成されないとともに、流入口パイプ部材47aと第2フィルム部材30との間に、冷却媒体Cが漏出するような隙間が形成されないようになっている。
流出口48は、第2ヒートシール部43を貫通した円筒状の流出口パイプ部材48aによって構成されている。また、流出口パイプ部材48aには、第1フィルム部材20の熱融着層23がヒートシールされているとともに、第2フィルム部材30の熱融着層32がヒートシールされている。このことにより、流出口パイプ部材48aが第1フィルム部材20および第2フィルム部材30に密着し、流出口パイプ部材48aと第1フィルム部材20との間に、冷却媒体Cが漏出するような隙間が形成されないとともに、流出口パイプ部材48aと第2フィルム部材30との間に、冷却媒体Cが漏出するような隙間が形成されないようになっている。
流入口パイプ部材47aおよび流出口パイプ部材48aは、冷却媒体Cを通流させることができれば、任意の材料により形成することができる。好適には、硬質のプラスチック材料(例えば、ポリプロピレン)を用いることができる。また、流入口パイプ部材47aおよび流出口パイプ部材48aの直径は、各パイプ部材47a、48aと熱融着層23、32との密着性を確保することができるとともに、冷却装置1の厚さが厚くなることを抑制することが可能な程度の直径であることが好適である。なお、各パイプ部材47a、48aは、可撓性を有するように形成されていてもよい。
次に、このような構成からなる冷却装置1の製造方法について説明する。ここでは、まず、ヒートパイプ構成部44が収納される収納室40が形成され、その後、冷却媒体Cが通流する冷却室42が形成される場合の製造方法について説明する。
まず、第1位置合わせ工程として、図3に示すように、受熱フィルム部材10と第1フィルム部材20とが位置合わせされる。
続いて、収納室形成工程として、図4に示すように、受熱フィルム部材10と第1フィルム部材20とがヒートシールされる。ここでは、第1ヒートシール部41の一部が形成され、第1ヒートシール部41が形成されない部分には、収納室40の開口部49が形成される。例えば、収納室形成工程では、図1に示すように矩形枠状に形成される第1ヒートシール部41のうちの3辺でヒートシールが行われて、残りの1辺でヒートシールが行われないようにしてもよい。この残りの1辺に、開口部49が形成される。
次に、ウィック収納工程として、図5に示すように、収納室40にウィック部材46aおよび蒸気流路形成部材46bが収納される。この場合、収納室40の開口部49から、ウィック部材46aおよび蒸気流路形成部材46bが収納室40に収納される。
続いて、注入工程として、図6に示すように、収納室40に作動液45が注入される。この場合、収納室40の開口部49から、作動液45が収納室40に注入される。
次に、収納室密封工程として、図7に示すように、受熱フィルム部材10と第1フィルム部材20とが、開口部49が形成されている部分においてヒートシールされる。このことにより、矩形枠状の第1ヒートシール部41が形成され、収納室40の周囲に連続状に第1ヒートシール部41が形成される。このため、収納室40が密封される。収納室密封工程では、収納室40を減圧しながら、受熱フィルム部材10と第1フィルム部材20とがヒートシールされる。このことにより、収納室40は、真空状態で密封される。
次に、第2位置合わせ工程として、図8に示すように、第1フィルム部材20と第2フィルム部材30とが位置合わせされる。この際、流入口パイプ部材47aおよび流出口パイプ部材48aが、第2フィルム部材30上の所望の位置に配置される。
続いて、冷却室形成工程として、図9に示すように、第1フィルム部材20と第2フィルム部材30とが、ヒートシールされる。このことにより、矩形枠状の第2ヒートシール部43が形成され、冷却室42の周囲に連続状に第2ヒートシール部43が形成される。このため、冷却室42が密封される。また、冷却室形成工程では、流入口パイプ部材47aおよび流出口パイプ部材48aが、第1フィルム部材20および第2フィルム部材30に、それぞれヒートシールされる。このことにより、流入口パイプ部材47aが第1フィルム部材20および第2フィルム部材30に密着するとともに、流出口パイプ部材48aが、第1フィルム部材20および第2フィルム部材30に密着する。
このようにして、本実施の形態による冷却装置1が得られる。
上述のようにして得られた冷却装置1は、冷却対象体Dの筐体の外面に取り付けられる。この場合、受熱フィルム部材10は、図2に示すように筐体の外面に密着させ、第1フィルム部材20のうち受熱フィルム部材10の外側の部分と第2フィルム部材30とは、外気に曝される。冷却装置1を筐体の外面に取り付ける方法としては、例えば、伝熱性接着剤が挙げられる。なお、冷却装置1の姿勢は、図2に示すように水平姿勢でもよいが、これに限られることはなく、垂直姿勢でも、傾斜姿勢でもよい。
次に、冷却装置1の作動方法、すなわち、冷却対象体Dの冷却方法について説明する。ここでは、冷却装置1が水平姿勢である場合について説明する。このため、受熱フィルム部材10が鉛直上方に配置され、第2フィルム部材30が鉛直下方に配置され、収納室40に封入された作動液45は、その表面張力でウィック部材46aに付着する。
この状態で冷却対象体Dが発熱すると、ウィック部材46aに付着した作動液45のうち、受熱フィルム部材10の蒸発部15の近傍に存在する作動液45が、冷却対象体Dから熱を受ける。受けた熱は潜熱として吸収されて作動液45が蒸発(気化)し、作動液45の蒸気が生成される。生成された蒸気は、主として収納室40の蒸気流路形成部材46bによって形成された蒸気流路内を拡散し、比較的温度の低い収納室40の下部、すなわち、第1フィルム部材20の上面に向かって輸送される(図2の実線矢印参照)。
第1フィルム部材20の上面の近傍に達した作動液45の蒸気は、第1フィルム部材20に放熱して冷却される。一方、冷却室42には、流入口パイプ部材47aから冷却媒体Cが流入し、流入した冷却媒体Cは、冷却室42を流入口パイプ部材47aから流出口パイプ部材48aに向かって流れ、流出口パイプ部材48aから流出される。このため、第1フィルム部材20が受けた熱は、冷却室42を通流する冷却媒体Cに伝達され、熱を受けた冷却媒体Cは、流出口パイプ部材48aから流出される。このようにして、熱が冷却装置1の外部に放出される。
作動液45の蒸気は、第1フィルム部材20に放熱することにより、冷却対象体Dから受けた潜熱を失って凝縮する。第1フィルム部材20の上面の近傍において液状になった作動液45は、その表面張力によって再びウィック部材46aに付着する。
受熱フィルム部材10の蒸発部15の近傍では、冷却対象体Dからの熱を受けて、ウィック部材46aに付着した作動液45が蒸発し続けているため、ウィック部材46aに付着した作動液45は、蒸発部15に向かって輸送される。この際、ウィック部材46aの毛細管作用により、作動液45は、蒸発部15に向かう推進力を得て、スムースに輸送される。
受熱フィルム部材10の蒸発部15の近傍において、冷却対象体Dから熱を受けた作動液45は、再び蒸発する。このようにして、作動液45が、相変化、すなわち蒸発と凝縮とを繰り返しながら収納室40内を還流して冷却対象体Dの熱を移動させて放出する。この結果、冷却対象体Dが冷却される。
なお、上述した冷却装置1の作動方法の説明では、冷却装置1が水平姿勢である場合について説明した。しかしながら、冷却装置1が垂直姿勢や傾斜姿勢でも、ウィック部材46aの毛細管作用によって、水平姿勢の場合と同様にして冷却対象体Dを冷却することができる。すなわち、冷却装置1の収納室40にはウィック部材46aが収納されているため、蒸気から凝縮した液状の作動液45は、ウィック部材46aの毛細管作用によって、蒸発部15に向かう任意の方向に輸送することができる。このため、作動液45が、収納室40内を還流することができ、冷却対象体Dの熱を移動させて放出させることができる。
このように本実施の形態によれば、ヒートパイプ構成部44を収納した収納室40が、受熱フィルム部材10と第1フィルム部材20とによって画定されている。また、冷却媒体Cが通流する冷却室42が、第1フィルム部材20と第2フィルム部材30とによって画定されている。このことにより、冷却装置1を、可撓性を有する部材で構成することができる。このため、冷却装置1を平坦な面だけではなく、湾曲した面にも密着させて取り付けることができ、冷却装置1の配置の自由度を高めて汎用性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、上述したように、受熱フィルム部材10と第1フィルム部材20と第2フィルム部材30とによって冷却装置1が構成されている。この場合、受熱フィルム部材10、第1フィルム部材20および第2フィルム部材30自体の厚さを薄くすることができ、冷却装置1の全容積に対する収納室40の容積および冷却室42の容積の比率を高めることができる。また、冷却装置1の全体厚さを薄くすることができるとともに、冷却装置1の軽量化を図ることもできる。
また、本実施の形態によれば、ヒートパイプ構成部44を収納した収納室40は、冷却室42の側において、第1フィルム部材20によって画定され、冷却媒体Cが通流する冷却室42は、収納室40の側において、第1フィルム部材20によって画定されている。すなわち、収納室40と冷却室42との間に介在されている部材は、第1フィルム部材20だけになっている。このことにより、収納室40と冷却室42との間の熱抵抗を低減することができ、冷却対象体Dの熱を効率良く回収することができる。また、冷却装置1の構成を簡素化することができ、冷却装置1の製造工程が複雑化することを防止できる。
また、本実施の形態によれば、ヒートパイプ構成部44を収納した収納室40が、第1ヒートシール部41によって画定され、冷却媒体Cが通流する冷却室42が、第2ヒートシール部43によって画定されている。このことにより、収納室40および冷却室42を簡便な方法で形成することができ、製造コストを低減することができる。
また、本実施の形態によれば、第2ヒートシール部43が、平面視において、第1ヒートシール部41よりも外側に配置されている。このことにより、第1ヒートシール部41と、第2ヒートシール部43とを、別々の工程で形成することができる。このため、第1ヒートシール部41および第2ヒートシール部43の信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、冷却室42に冷却媒体Cを流入する流入口47が、流入口パイプ部材47aによって構成されるとともに、冷却室42から冷却媒体Cを流出する流出口48が、流出口パイプ部材48aによって構成されている。このことにより、流入口47および流出口48の構成を簡素化することができる。また、流入口47および流出口48を起点として、第1フィルム部材20および第2フィルム部材30に亀裂が発生することを防止できる。
また、本実施の形態によれば、ヒートパイプ構成部44は、作動液45と、作動液45に毛細管作用を発揮させるウィック部材46aと、を含んでいる。このことにより、収納室40において、作動液45が、相変化、すなわち蒸発と凝縮とを繰り返しながら収納室40内を還流して冷却対象体Dの熱を移動させて放出させることができる。このため、冷却対象体Dの熱を効率良く回収することができ、熱輸送効率を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、第1フィルム部材20は、金属箔21と、金属箔21の両面に設けられた熱融着層22、23と、を有している。このことにより、第1フィルム部材20は、一方の側に設けられた受熱フィルム部材10とヒートシールすることができるとともに、他方の側に設けられた第2フィルム部材30とヒートシールすることができる。このため、収納室40と冷却室42との間に介在されている部材を、第1フィルム部材20だけで構成することができる。この結果、冷却装置1の構成を簡素化することができ、冷却装置1の製造工程が複雑化することを防止できる。
なお、上述した本実施の形態においては、ヒートパイプ構成部44が収納される収納室40が形成され、その後に、冷却媒体Cが通流する冷却室42が形成される場合の製造方法の例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、冷却室42が形成された後に、収納室40を形成するようにしてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、受熱フィルム部材10が、金属箔11と熱融着層12とを有している例について説明した。しかしながら、受熱フィルム部材10の構成は、これに限られることはなく、熱伝導性、可撓性および機械的強度等を満足することができれば、任意である。第1フィルム部材20および第2フィルム部材30についても同様である。
また、上述した本実施の形態においては、流入口47が、第2ヒートシール部43を貫通した流入口パイプ部材47aによって構成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、流入口47は、第1フィルム部材20または第2フィルム部材30に設けられた開口(図示せず)であってもよい。流出口48についても同様である。
また、上述した本実施の形態においては、第2ヒートシール部43が、平面視において、第1ヒートシール部41よりも外側に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、第1の変形例として図10および図11に示すように、第2ヒートシール部43は、平面視において、第1ヒートシール部41に重なって配置されていてもよい。この場合、第1フィルム部材20が、収納室40内の作動液45から熱を受ける領域を増やすことができ、作動液45の放熱効率を向上させることができる。また、受熱フィルム部材10、第1フィルム部材20および第2フィルム部材30を一度にヒートシールして、第1ヒートシール部41と第2ヒートシール部43とを同時に形成することができ、冷却装置1の製造工程を簡略化することができる。
また、上述した本実施の形態においては、冷却室42の一方の側に、ヒートパイプ構成部44が収納された収納室40が併設されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、第2の変形例として図12に示すように、冷却室42の他方の側に、第2のヒートパイプ構成部72が収納された第2の収納室70が併設されるようにしてもよい。
すなわち、図12に示す第2の変形例においては、第2フィルム部材30の第1フィルム部材20の側とは反対側に第2の受熱フィルム部材60が設けられている。図12に示す断面視では、第2フィルム部材30の下方に第2の受熱フィルム部材60が設けられている。第2の受熱フィルム部材60は、矩形状に形成されており、第2フィルム部材30とヒートシールされている。
第2の受熱フィルム部材60は、受熱フィルム部材10と同様に、金属箔61と、金属箔61の一方の面(第2フィルム部材30の側の面)に設けられた、熱融着層62と、を有している。すなわち、第2の受熱フィルム部材60は、金属箔61と熱融着層62とが積層された積層体として構成され、受熱フィルム部材10と同様の構成を有している。図12に示す第2の変形例では、第2フィルム部材30は、金属箔31と、金属箔31の両面に設けられた熱融着層32、33とを有し、第1フィルム部材20と同様の構成を有している。
また、第2の受熱フィルム部材60は、作動液45が蒸発して蒸気を生成する蒸発部65を有している。この蒸発部65は、受熱フィルム部材10の蒸発部15と同様に、第2の受熱フィルム部材60に取り付けられる第2の冷却対象体D’から熱を受けて、第2の収納室70内の作動液45が蒸発する部分である。ここで、蒸発部65は、第2の受熱フィルム部材60の任意の場所に設けることができるが、図12に示す形態では、第2の受熱フィルム部材60の中央部が第2の冷却対象体D’に取り付けられている例が示されており、この場合、当該中央部(更にはその周辺近傍の部分)が、蒸発部65に相当する。
第2フィルム部材30と第2の受熱フィルム部材60との間には、第2の収納室70が画定されている。第2の収納室70の周囲には、第2フィルム部材30と第2の受熱フィルム部材60とをヒートシールする第3ヒートシール部71が設けられている。第3ヒートシール部71は、第2フィルム部材30の熱融着層33と、第2の受熱フィルム部材60の熱融着層62とが溶融して互いに熱融着することで形成されている。図12に示す形態では、平面視で、第2の収納室70は矩形状に形成されており、第3ヒートシール部71は、矩形枠状に形成されて、第2の収納室70の周囲に連続状に形成されている。この第3ヒートシール部71によって、第2の収納室70の周縁が画定されて、第2の収納室70が密封されている。
第3ヒートシール部71は、平面視において、第1ヒートシール部41に重なって配置されている。言い換えると、第2ヒートシール部43が、平面視において、第1ヒートシール部41および第3ヒートシール部71よりも外側に配置されている。冷却室42の容積は、第2の収納室70の容積よりも大きくなっており、第2の収納室70の容積は、収納室40の容積に等しくなっている。そして、平面視で、第2の収納室70の周囲に、第2フィルム部材30が露出された部分が形成されている。なお、第3ヒートシール部71の平面配置は、図12に示す形態に限られることはなく、第2ヒートシール部43に重なるように配置してもよく、あるいは、第1ヒートシール部41および第2ヒートシール部43のいずれにも重ならないように配置してもよい。
図12に示すように、第2の収納室70に、第2のヒートパイプ構成部72が収納されている。この第2のヒートパイプ構成部72は、収納室40に収納されたヒートパイプ構成部44と同様の構成を有している。また、第2の収納室70の圧力は、収納室40と同様に大気圧よりも低くなっている。
図12に示す第2の変形例によれば、上述した冷却対象体Dの熱は、ヒートパイプ構成部44を介して冷却媒体Cに回収されるが、これと同様にして、第2の冷却対象体D’の熱は、第2のヒートパイプ構成部72を介して冷却媒体Cに回収することができる。このため、冷却対象体Dと、第2の冷却対象体D’とを同時に冷却することができる。そして、2つの冷却対象体D、D’を冷却することができる冷却装置1を、受熱フィルム部材10、第1フィルム部材20、第2フィルム部材30および第2の受熱フィルム部材60によって構成することができる。このことにより、冷却装置1を、可撓性を有する部材で構成することができる。このため、冷却装置1を平坦な面だけではなく、湾曲した面にも密着させて取り付けることができ、冷却装置1の配置の自由度を高めて汎用性を向上させることができる。
また、上述した本実施の形態においては、収納室40において2つのウィック部材46aの間に蒸気流路形成部材46bが介在されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、収納室40におけるウィック部材46aと蒸気流路形成部材46bの個数や配置は、任意である。更に言えば、ウィック部材46a内のメッシュや多孔質体等の微小な開口を通って、作動液45の蒸気が拡散することができれば、蒸気流路形成部材46bは、収納室40に収納されていなくてもよい。
本発明は上記実施の形態および変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。