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JP6939466B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、吸音材による吸音効果を得ながら、吸音材の貼付けによる蓄熱を緩和して高速耐久性の悪化を抑制することを可能にした空気入りタイヤに関する。
タイヤ騒音を発生させる原因の一つにタイヤ空洞部に充填された空気の振動による空洞共鳴音がある。この空洞共鳴音は、車両走行時に路面と接地するタイヤのトレッド部が路面の凹凸によって振動し、この振動がタイヤ空洞部内の空気を振動させることによって生じる。この空洞共鳴音の中でも特定の周波数帯域の音が騒音として知覚されるので、その周波数帯域の音圧レベル(騒音レベル)を低下させることが空洞共鳴音を低減するうえで重要である。
このような空洞共鳴現象による騒音を低減させる方法として、タイヤ内面にスポンジ等の多孔質材料からなる吸音材を弾性固定バンドによりトレッド部の内周面に装着することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、吸音材の固定を弾性固定バンドに依存した場合、高速走行時において弾性固定バンドが変形してしまうという問題がある。
これに対して、吸音材をタイヤ内面に直接接着して固定する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この場合、タイヤ内面に吸音材が直貼りされているためトレッド部に蓄熱が生じ、その蓄熱により高速耐久性が悪化するという問題がある。
特許4281874号公報 特許5267288号公報
本発明の目的は、吸音材による吸音効果を得ながら、吸音材の貼付けによる蓄熱を緩和して高速耐久性の悪化を抑制することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、車両に対する装着方向が指定された空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部の内面にタイヤ周方向に沿って接着層を介して吸音材が固定され、前記吸音材の幅方向の中心位置が車両外側に配置され、前記トレッド部に配置されてタイヤ周方向に延びる少なくとも2本の周方向溝と、前記トレッド部のショルダー領域に配置されてタイヤ幅方向に延びるラグ溝とを有し、タイヤ赤道から前記トレッド部の接地端までの距離に対するタイヤ赤道から前記吸音材の幅方向の中心位置までの距離の比をオフセット量CRとし、車両内側の前記ラグ溝の最も深い部位の溝深さと車両内側の前記周方向溝の溝深さとの平均値を車両内側の平均溝深さGDinとし、車両外側の前記ラグ溝の最も深い部位の溝深さと車両外側の前記周方向溝の溝深さとの平均値を車両外側の平均溝深さGDoutとするとき、前記車両外側の平均溝深さGDoutが前記車両内側の平均溝深さGDinより小さく、前記オフセット量CRと、前記車両内側の平均溝深さGDinと、前記車両外側の平均溝深さGDoutとが下記式(1)を満たすことを特徴とする。
0.05<CR<(GDout/GDin)×0.5 (1)
本発明では、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、車両に対する装着方向が指定された空気入りタイヤにおいて、トレッド部の内面にタイヤ周方向に沿って接着層を介して吸音材が固定され、吸音材の幅方向の中心位置が車両外側に配置されているので、吸音材による吸音効果を得ながら、空気入りタイヤの高速耐久性の悪化を抑制することが可能になる。
一般に、高荷重、ハイパワーの車両は、ネガティブキャンバー角を設定していることから、車両外側の接地圧が低くなる傾向があるので、トレッド部の蓄熱は車両内側よりも車両外側の方が生じにくい。そのため、吸音材をタイヤ内面に配置する際には車両外側寄りに配置する方がトレッド部の蓄熱を助長させることがないので、上述のように吸音材を車両外側にオフセットさせて配置することにより、吸音材の貼付けに起因する蓄熱を緩和することができ、高速耐久性の悪化を抑制することが可能になるのである。
上記空気入りタイヤでは、トレッド部に配置されてタイヤ周方向に延びる少なくとも2本の周方向溝と、トレッド部のショルダー領域に配置されてタイヤ幅方向に延びるラグ溝とを有し、タイヤ赤道からトレッド部の接地端までの距離に対するタイヤ赤道から吸音材の幅方向の中心位置までの距離の比をオフセット量CRとし、車両内側のラグ溝の最も深い部位の溝深さと車両内側の周方向溝の溝深さとの平均値を車両内側の平均溝深さGDinとし、車両外側のラグ溝の最も深い部位の溝深さと車両外側の周方向溝の溝深さとの平均値を車両外側の平均溝深さGDoutとするとき、車両外側の平均溝深さGDoutが車両内側の平均溝深さGDinより小さく、オフセット量CRと、車両内側の平均溝深さGDinと、車両外側の平均溝深さGDoutとが下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.05<CR<(GDout/GDin)×0.5 (1)
また、上記空気入りタイヤでは、車両装着時のネガティブキャンバー角度CAが1°〜4°であることが想定される空気入りタイヤであって、ネガティブキャンバー角度CAと、オフセット量CRと、車両内側の平均溝深さGDinと、車両外側の平均溝深さGDoutとが下記式(2)を満たすことが好ましい。
0.2/CA<CR<(GDout/GDin)×0.5 (2)
更に、上記空気入りタイヤでは、車両内側の周方向溝及びラグ溝における溝下ゲージの平均値を車両内側の平均溝下ゲージUGinとし、車両外側の周方向溝及びラグ溝における溝下ゲージの平均値を車両外側の平均溝下ゲージUGoutとするとき、車両内側の平均溝深さGDinと、車両外側の平均溝深さGDoutと、車両内側の平均溝下ゲージUGinと、車両外側の平均溝下ゲージUGoutとが下記式(3)を満たすことが好ましい。
1.0<(GDin−GDout)/(UGout−UGin)<1.3 (3)
一般に、非対称パターンを有する空気入りタイヤでは、車両外側に配置された溝の溝深さを減らして車両外側の溝体積を相対的に少なくすることで、ドライ路面での操縦安定性の向上とウエット路面での操縦安定性の向上とを両立させている。しかしながら、溝体積が少ないとゴム量が多くなるので蓄熱し易くなり、更に、そのような溝体積が少ない部位に対して過剰に吸音材を配置してしまうと蓄熱を助長し、高速耐久性を悪化させてしまう。そこで、高速耐久性を改善するためには、キャンバー角度やトレッド部の溝深さに対して吸音材のオフセット量を適度に設定することが有効である。そこで、上記式(1)〜(3)を満たすように吸音材を配置することにより、高速耐久性の悪化を効果的に抑制することが可能になるのである。
本発明では、吸音材の断面積はタイヤの内腔断面積に対して10%〜30%であることが好ましい。これにより、吸音材の吸音効果を十分に確保することでき、静穏性の向上に繋がる。タイヤの内腔断面積は、タイヤを正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態でタイヤとリムとの間に形成される空洞部の断面積である。但し、タイヤが新車装着タイヤの場合には、このタイヤが組まれた純正ホイールを用いて空洞部の断面積を求めることとする。
本発明では、吸音材の幅方向の端部はトレッド部の接地端よりもタイヤ赤道側にあることが好ましい。これにより、吸音材の剥離を効果的に抑制することができる。
本発明では、接着層は両面接着テープからなり、接着層の総厚さは10μm〜150μmであることが好ましい。これにより、成形時の変形に対する追従性を確保することができる。
本発明では、吸音材はタイヤ周方向の少なくとも一箇所に欠落部を有することが好ましい。これにより、タイヤのインフレートによる膨張や、接地転動に起因する接着面のせん断ひずみに長期間耐えることが可能になる。
本発明において、トレッド部の接地領域は、タイヤを正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態で平面上に垂直に置いて正規荷重を加えたときに測定されるタイヤ軸方向の接地幅に基づいて特定される。接地端は、接地領域のタイヤ軸方向の最外側位置である。「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、或いはETRTOであれば“Measuring Rim”とする。「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”であるが、タイヤが新車装着タイヤの場合には車両に表示された空気圧とし、タイヤが乗用車である場合には180kPaとする。「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”であるが、タイヤが新車装着タイヤの場合には車両の車検証記載の前後軸重をそれぞれ2で割って求めた輪荷重とし、タイヤが乗用車である場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す斜視断面図である。 本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す赤道線断面図である。 本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜3は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。図1及び図3において、INは車両装着時の車両内側であり、OUTは車両装着時の車両外側である。
図1,2において、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。
上記空気入りタイヤにおいて、タイヤ内面4のトレッド部1に対応する領域には、タイヤ周方向に沿って接着層5を介して吸音材6が固定されている。吸音材6は、連続気泡を有する多孔質材料から構成され、その多孔質構造に基づく所定の吸音特性を有している。吸音材6の多孔質材料としては発泡ポリウレタンを用いると良い。一方、接着層5としては、特に限定されるものではなく、例えば、接着剤や両面接着テープを使用することができる。
図3に示すように、一対のビード部3,3間には少なくとも1層のカーカス層10が装架されている。このカーカス層10はタイヤ径方向に配向する複数本のカーカスコードを含んでおり、カーカスコードとして有機繊維コードが好ましく使用される。カーカス層10は各ビード部3に配置されたビードコア11の廻りにタイヤ内側から外側に巻き上げられている。各ビードコア11のタイヤ外周側には断面三角形状のビードフィラー12が配置されている。そして、タイヤ内表面における一対のビード部3,3間の領域にはインナーライナー層13が配置されている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層10のタイヤ外周側にはベルト層14が埋設されている。ベルト層14はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層14において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層14の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層14のタイヤ外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層15が配置されている。ベルトカバー層15は少なくとも1本の補強コードを引き揃えてゴム被覆してなるストリップ材をタイヤ周方向に連続的に巻回したジョイントレス構造とすることが望ましい。また、ベルトカバー層15はベルト層14の幅方向の全域を覆うように配置しても良く、或いは、ベルト層14の幅方向外側のエッジ部のみを覆うように配置しても良い。ベルトカバー層15の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
トレッド部1には、タイヤ赤道CLの両側でタイヤ周方向に延びる少なくとも2本の周方向溝20と、ショルダー領域にタイヤ幅方向に延びるラグ溝21とが形成されている。周方向溝20は周方向主溝22と周方向細溝23とを含んでいる。周方向溝20の構成は、特に限定されるものではないが、図3に示す態様では、トレッド部1においてタイヤ赤道CLの両側で非対称パターンを有しており、車両内側には2本の周方向主溝22が形成され、車両外側には1本の周方向主溝22と1本の周方向細溝23が形成された例を示している。
上記の空気入りタイヤにおいて、吸音材6は、車両外側にオフセットして配置されている。即ち、吸音材6の幅方向の中心位置Pは、タイヤ赤道CLよりも車両外側にある。また、吸音材6の幅方向の端部は、吸音材6の剥離の抑制のため、トレッド部1の接地端Eよりもタイヤ赤道CL側に配置されているとよい。即ち、吸音材6の両端部が接地幅内にあるとよい。
上記空気入りタイヤでは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備え、トレッド部1の内面にタイヤ周方向に沿って接着層5を介して吸音材6が固定され、車両に対する装着方向が指定された空気入りタイヤにおいて、吸音材6の幅方向の中心位置Pが車両外側に配置されているので、吸音材6による吸音効果を得ながら、空気入りタイヤの高速耐久性の悪化を抑制することが可能になる。
上記の空気入りタイヤにおいて、図3に示すように、タイヤ赤道CLからトレッド部1の接地端Eまでの距離を距離D1とし、タイヤ赤道CLから吸音材6の幅方向の中心位置Pまでの距離を距離D2とし、距離D1に対する距離D2の比D2/D1をオフセット量CRとする。更に、車両内側のラグ溝21の最も深い部位の溝深さd1と車両内側の周方向溝20の溝深さd2との平均値を車両内側の平均溝深さGDinとし、車両外側のラグ溝21の最も深い部位の溝深さd1と車両外側の周方向溝20の溝深さd2との平均値を車両外側の平均溝深さGDoutとする。なお、ラグ溝21の溝深さd1及び周方向溝20の溝深さd2は、いずれもトレッド面の法線方向に測定される溝深さである。
このとき、車両外側の平均溝深さGDoutが車両内側の平均溝深さGDinより小さくなるように構成されると共に、オフセット量CRと、車両内側の平均溝深さGDinと、車両外側の平均溝深さGDoutとが下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.05<CR<(GDout/GDin)×0.5 (1)
特に、車両装着時のネガティブキャンバー角度CAが1°〜4°であることが想定される空気入りタイヤであって、ネガティブキャンバー角度CAと、オフセット量CRと、車両内側の平均溝深さGDinと、車両外側の平均溝深さGDoutとが下記式(2)を満たすことが好ましい。つまり、ネガティブキャンバー角度CAを小さく設定した場合には、オフセット量CRを大きくし、ネガティブキャンバー角度CAを大きく設定した場合には、オフセット量CRを小さくするようにしている。
0.2/CA<CR<(GDout/GDin)×0.5 (2)
更に、車両内側の周方向溝20及びラグ溝21における溝下ゲージの平均値を車両内側の平均溝下ゲージUGinとし、車両外側の周方向溝20及びラグ溝21における溝下ゲージの平均値を車両外側の平均溝下ゲージUGoutとする。このとき、車両内側の平均溝深さGDinと、車両外側の平均溝深さGDoutと、車両内側の平均溝下ゲージUGinと、車両外側の平均溝下ゲージUGoutとが下記式(3)を満たすことが好ましい。つまり、車両外側の平均溝深さGDoutを相対的に小さくしながら、車両内側の平均溝下ゲージUGinと車両外側の平均溝下ゲージUGoutとの差が過度に大きくならないようにしている。このように(GDin−GDout)/(UGout−UGin)を1.0より大きくすることで、車両内側と車両外側の接地圧に過度な偏りを回避しながら、吸音材6をより車両外側にオフセットさせて配置することができる。但し、(GDin−GDout)/(UGout−UGin)を1.3以上にすると、接地形状の著しい不均一が生じ、操縦安定性及び静粛性の悪化を招くので好ましくない。なお、溝下ゲージは、タイヤ子午線断面において、溝の溝底よりタイヤ径方向内側にあるトレッドゴムの厚さである。
1.0<(GDin−GDout)/(UGout−UGin)<1.3 (3)
一般に、非対称パターンを有する空気入りタイヤでは、車両外側に配置された溝の溝深さを減らして車両外側の溝体積を相対的に少なくすることで、ドライ路面での操縦安定性の向上とウエット路面での操縦安定性の向上とを両立させている。しかしながら、溝体積が少ないとゴム量が多くなるので蓄熱し易くなり、更に、そのような溝体積が少ない部位に対して過剰に吸音材を配置してしまうと蓄熱を助長し、高速耐久性を悪化させてしまう。そこで、高速耐久性を改善するためには、キャンバー角度やトレッド部の溝深さに対して吸音材のオフセット量を適度に設定することが有効である。そのため、上記式(1)〜(3)を満たすようにオフセット量CR又は(GDin−GDout)/(UGout−UGin)を適度に設定することにより、高速耐久性の悪化を効果的に抑制することが可能になる。
上記空気入りタイヤにおいて、接着層5は両面接着テープからなり、接着層5の総厚さは10μm〜150μmであることが好ましい。このように接着層5を構成することで、成形時の変形に対する追従性を確保することができる。ここで、接着層5の総厚さが10μm未満であると両面接着テープの強度が不足して吸音材6との接着性が十分に確保できず、接着層5の総厚さが150μmを超えると高速走行時に放熱を阻害するため高速耐久性が悪化し易い。
上記空気入りタイヤにおいて、吸音材6の断面積はタイヤの内腔断面積に対して10%〜30%であることが好ましい。また、吸音材6の幅がタイヤ接地幅に対して30%〜90%であることがより好ましい。これにより、吸音材6の吸音効果を十分に確保することでき、静穏性の向上に繋がる。ここで、吸音材6の断面積がタイヤの内腔断面積に対して10%を下回ると吸音効果を適切に得ることができない。また、吸音材6の断面積がタイヤの内腔断面積に対して30%を超えると空洞共鳴現象による騒音の低減効果が一定となり、より一層の低減効果が望めなくなる。
図2に示すように、吸音材6はタイヤ周方向の少なくとも1箇所に欠落部8を有することが好ましい。欠落部8とはタイヤ周上で吸音材6が存在しない部分である。吸音材6に欠落部8を設けることにより、タイヤのインフレートによる膨張や接地転動に起因する接着面のせん断ひずみに長時間耐えることができ、吸音材6の接着面に生じるせん断歪みを効果的に緩和することが可能になる。このような欠落部8はタイヤ周上で1箇所又は3〜5箇所設けるのが良い。つまり、欠落部8をタイヤ周上の2箇所に設けると質量アンバランスに起因してタイヤユニフォミティの悪化が顕著になり、欠落部8をタイヤ周上の6箇所以上に設けると製造コストの増大が顕著になる。
なお、欠落部8をタイヤ周上の2箇所以上に設ける場合、吸音材6がタイヤ周方向に途切れることになるが、そのような場合であっても、例えば、両面接着テープからなる接着層5のような他の積層物で複数の吸音材6を互いに連結するようにすれば、これら吸音材6を一体的な部材として取り扱うことができるため、タイヤ内面4への貼り付け作業を容易に行うことができる。
タイヤサイズ275/35ZR20で、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、車両に対する装着方向が指定された空気入りタイヤにおいて、トレッド部の内面にタイヤ周方向に沿って接着層を介して吸音材を固定し、吸音材を車両外側にオフセットさせて配置した実施例1〜5のタイヤを製作した。
実施例1〜5において、オフセット量CR、GDout/GDin、(GDin−GDout)/(UGout−UGin)及び吸音材の断面積比を表1のように設定した。なお、吸音材の断面積比は、タイヤの内腔断面積に対する吸音材の断面積の比である。
比較のため、吸音材をタイヤ内面に貼り付けない比較例1のタイヤを用意した。また、吸音材をオフセットさせないで配置したこと以外は実施例1と同じ構造を有する比較例2のタイヤ、吸音材をオフセットさせた方向が異なること以外は実施例1と同じ構造を有する比較例3のタイヤを用意した。更に、オフセット量CRが異なること以外は実施例1と同じ構造を有する比較例4のタイヤ、オフセット量CR及び(GDin−GDout)/(UGout−UGin)が異なること以外は実施例1と同じ構造を有する比較例5のタイヤを用意した。
これら試験タイヤについて、下記試験方法により、キャンバー角付きの高速耐久性及び共鳴音レベルを評価し、その結果を表1に併せて示した。
キャンバー角度付きの高速耐久性:
各試験タイヤをそれぞれリムサイズ20×9 1/2Jのホイールに組み付け、空気圧340kPa、荷重5kN、ネガティブキャンバー角度3°の条件でドラム試験機にて走行試験を実施した。具体的には、初期速度250km/hとし、20分毎に10km/hずつ速度を増加させ、タイヤに故障が発生するまで走行させ、その到達ステップ(速度)を測定した。この到達ステップ(速度)が大きいほど、キャンバー角度付きの高速耐久性が優れていることを意味する。
共鳴音レベル:
各試験タイヤをそれぞれリムサイズ20×9 1/2Jのホイールに組み付け、空気圧を250kPaとして試験車両に装着し、平滑路面において速度100km/hで走行し、テストドライバーによる官能評価を行った。評価結果は、比較例2を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど、テストドライバーが感じる空洞共鳴音の騒音レベルが低く、騒音低減効果が大きいことを意味する。
Figure 0006939466
この表1から判るように、比較例2との対比において、実施例1〜5の空気入りタイヤは共鳴音レベルを維持しながら、キャンバー角度付きの高速耐久性が改善されていた。
比較例1においては、吸音材を貼り付けなかったため、共鳴音レベルが悪化した。比較例3においては、吸音材を車両内側にオフセットさせて貼り付けたため、キャンバー角度付きの高速耐久性が悪化した。比較例4においては、吸音材のオフセット量CRを大きく設定したため、キャンバー角度付きの高速耐久性が悪化した。比較例5においては、吸音材のオフセット量CR及び(GDin−GDout)/(UGout−UGin)を大きく設定したため、共鳴音レベルが悪化した。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 タイヤ内面
5 接着層
6 吸音材
7 空洞部
8 欠落部
20 周方向溝
21 周方向主溝
22 周方向細溝
CL タイヤ赤道
E 接地端
P 吸音材の幅方向の中心位置

Claims (7)

  1. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、車両に対する装着方向が指定された空気入りタイヤにおいて、
    前記トレッド部の内面にタイヤ周方向に沿って接着層を介して吸音材が固定され、前記吸音材の幅方向の中心位置が車両外側に配置され
    前記トレッド部に配置されてタイヤ周方向に延びる少なくとも2本の周方向溝と、前記トレッド部のショルダー領域に配置されてタイヤ幅方向に延びるラグ溝とを有し、タイヤ赤道から前記トレッド部の接地端までの距離に対するタイヤ赤道から前記吸音材の幅方向の中心位置までの距離の比をオフセット量CRとし、車両内側の前記ラグ溝の最も深い部位の溝深さと車両内側の前記周方向溝の溝深さとの平均値を車両内側の平均溝深さGDinとし、車両外側の前記ラグ溝の最も深い部位の溝深さと車両外側の前記周方向溝の溝深さとの平均値を車両外側の平均溝深さGDoutとするとき、前記車両外側の平均溝深さGDoutが前記車両内側の平均溝深さGDinより小さく、前記オフセット量CRと、前記車両内側の平均溝深さGDinと、前記車両外側の平均溝深さGDoutとが下記式(1)を満たすことを特徴とする空気入りタイヤ。
    0.05<CR<(GDout/GDin)×0.5 (1)
  2. 車両装着時のネガティブキャンバー角度CAが1°〜4°であることが想定される空気入りタイヤであって、前記ネガティブキャンバー角度CAと、前記オフセット量CRと、前記車両内側の平均溝深さGDinと、前記車両外側の平均溝深さGDoutとが下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項に記載の空気入りタイヤ。
    0.2/CA<CR<(GDout/GDin)×0.5 (2)
  3. 車両内側の前記周方向溝及び前記ラグ溝における溝下ゲージの平均値を車両内側の平均溝下ゲージUGinとし、車両外側の前記周方向溝及び前記ラグ溝における溝下ゲージの平均値を車両外側の平均溝下ゲージUGoutとするとき、前記車両内側の平均溝深さGDinと、前記車両外側の平均溝深さGDoutと、前記車両内側の平均溝下ゲージUGinと、前記車両外側の平均溝下ゲージUGoutとが下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項又はに記載の空気入りタイヤ。
    1.0<(GDin−GDout)/(UGout−UGin)<1.3 (3)
  4. 前記吸音材の断面積が前記タイヤの内腔断面積に対して10%〜30%であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記吸音材の幅方向の端部が前記トレッド部の接地端よりもタイヤ赤道側にあることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記接着層が両面接着テープからなり、前記接着層の総厚さが10μm〜150μmであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記吸音材がタイヤ周方向の少なくとも一箇所に欠落部を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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