以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
[第1実施形態]
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る蓄電素子としてのリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」という)1を示す。
[全体構成]
図1及び図2を参照すると、電池1は、電極体2、外装体4、正極及び負極の外部端子10,20、正負の集電体17,37、上側ガスケット14,28、下側ガスケット16,32、電流遮断用のダイヤフラム(反転膜)50並びに放電用端子24を備える。
外装体4は、上端が開口したケース本体5と、ケース本体5の上端開口を閉じる蓋6とを備える。本実施形態では、ケース本体5と蓋6は、アルミニウム又はアルミニウム合金製である。ケース本体5は長方形板状の底壁部5bと、底壁部5bの長辺から立ち上がる一対の長側壁部5c,5dと、底壁部5bの短辺から立ち上がる一対の短側壁部5e,5fとを備える。蓋6は概ね長方形板状である。蓋6には、ケース本体5内で発生したガスを外装体4の外側へ排出するためのガス排出弁8が設けられている。
図2に示すように、電極体2は、電解液が充填されたケース本体5内に収容されている。電極体2は絶縁シート(図示せず)で覆われてもよい。ケース本体5内には、下側ガスケット16,32及び集電体17,37も収容されている。
電極体2は、いずれも一定幅の長尺な帯状である正負の電極シート及び微多孔性樹脂シートからなる2枚のセパレータを重ね合わせて、概ね高扁平率の長楕円状に巻回したものである。電極体2の電極シート及びセパレータの巻回の軸線(巻回軸)は、図2において符号Xで概念的に示されている。電極体2は、巻回軸Xが概ね、ケース本体5の一対の短側壁部5e,5fが対向する方向(図2において左右方向)に延びる姿勢で、ケース本体5内に収容されている。
巻回軸Xの延びる方向における電極体2の一方(図2の右側)の端部には、負極の電極シートが正極の電極シート及びセパレータよりも突出しており、他方(図2の左側)の端部には、正極の電極シートが負極の電極シート及びセパレータよりも突出している。これらの電極シートの突出部分は、金属箔のいずれの面にも活物質層が設けられていない未塗工部とされている。これにより、巻回軸Xの延びる方向における電極体2の一方(図2の右側)の端部には、負極の電極シートの金属箔のみを積層してなる負極リード部2aが形成され、他方(図2の左側)の端部には、正極の電極シートの金属箔のみを積層してなる正極リード部2bが形成されている。
図1及び図2に加えて図3を参照すると、蓋6の一端側(図1及び図2において右側)に負極の外部端子10が配置され、他端側(図1及び図2において左側)に正極の外部端子20及び放電用端子24が配置されている。外部端子10,20及び放電用端子24は、蓋6の外側面(上側面)に配置される板状部11,22,25を備える。板状部11,22,25にはバスバーのような接続部材が溶接されて外部回路に接続される。
負極の外部端子10は、蓋6の外側面に配置される板状部11と、板状部11の下面から下方に突出する円柱状の軸部12を備える。軸部12は、板状部11とは別体のリベットで構成されている。本実施形態では、負極の外部端子10は、その板状部11がアルミニウム又はアルミニウム合金製であり、軸部12がメッキされた銅又は銅合金製である。
軸部12は、絶縁樹脂製の上側ガスケット14及び蓋6を貫通してケース本体5の内部に突出しており、ケース本体5の内部において絶縁樹脂製の下側ガスケット16及び負極の集電体17(後述のベース面部18)を更に貫通している。上側ガスケット14には、軸部12を挿通させるための筒状部14a(図3参照)が設けられ、蓋6、下側ガスケット16及び集電体17のベース面部18には、軸部12を挿通させるための貫通穴6a,16a,18a(図3参照)が設けられている。蓋6の貫通穴6aの内周面と軸部12の外周面との間には、上側ガスケット14の筒状部14aが介在される。
負極の外部端子10の軸部12の下端には、加締によって拡径部12a(図2参照)が形成され、それによって負極の外部端子10が蓋6に対して加締固定されている。具体的には、外部端子10の板状部11と拡径部12aとの間に、上側ガスケット14、蓋6、下側ガスケット16及び負極の集電体17のベース面部18が挟み込まれることで、負極の外部端子10と集電体17が蓋6に固定されている。蓋6の外側面(上側面)と外部端子10との間に上側ガスケット14が介装され、蓋6の内側面(下側面)と集電体17との間に、下側ガスケット16が介装されている。
正極の外部端子20は、蓋6から外側(上側)に膨出した中空の膨出部で構成されている。外部端子20は、蓋6と一体に設けられている。すなわち、本実施形態において、正極の外部端子20は、蓋6と同じく、アルミニウム又はアルミニウム合金製である。同電位である蓋6と外部端子20との間には絶縁部材を設ける必要がない。仮に、蓋6と外部端子20との間に絶縁部材を設ける場合、気密性を確保するために絶縁部材を蓋6と外部端子20に密着させるように取り付ける必要があるが、本実施形態では、蓋6と外部端子20が一体であるため、気密性を容易に確保することができる。
外部端子20は、蓋6から上方に突出した筒状の周壁部21と、周壁部21の上端開口を塞ぐ板状部22とを備えている。周壁部21は、下端側が開口した例えば円筒状とされ、板状部22は、例えば、周壁部21の外径と同じ径を有する円形とされている。板状部22の中央部には、後述する溶接作業用の治具の支持ピン201(図9参照)との干渉を回避するための開口部22aが設けられている。
放電用端子24は、例えば過充電によって外装体4の内圧が所定圧以上に上昇した緊急時に後述する電流遮断用のダイヤフラム50の反転によって正極の外部端子20と電極体2との間の通電が遮断された場合に、放電を行うために設けられている。
放電用端子24は、蓋6の長さ方向において正極の外部端子20よりも外側に配置されている。放電用端子24は、蓋6の外側面に配置される板状部25と、板状部25の下面から下方に突出する円柱状の軸部26を備える。軸部26は、板状部25と一体に成形されている。本実施形態では、放電用端子24は、アルミニウム又はアルミニウム合金製である。
軸部26は、絶縁樹脂製の上側ガスケット28及び蓋6を貫通してケース本体5の内部に突出しており、ケース本体5の内部において絶縁樹脂製の下側ガスケット32及び正極の集電体37(後述のベース面部38)を更に貫通している。上側ガスケット28には、軸部26を挿通させるための筒状部28a(図3参照)が設けられ、蓋6、下側ガスケット32及び集電体37のベース面部38には、軸部26を挿通させるための貫通穴6b,33b,38a(図3参照)が設けられている。蓋6の貫通穴6bの内周面と軸部26の外周面との間には、上側ガスケット28の筒状部28aが介在される。
放電用端子24の軸部26の下端には、加締によって拡径部26a(図2、図4及び図5参照)が形成されている。これによって、放電用端子24が蓋6に対して加締固定されている。具体的には、放電用端子24の板状部25と拡径部26aとの間に、上側ガスケット28、蓋6、下側ガスケット32及び正極の集電体37のベース面部38が挟み込まれることで、放電用端子24と集電体37が蓋6に固定されている。蓋6の外側面と放電用端子24との間に上側ガスケット28が介装され、蓋6の内側面と正極の集電体37との間に下側ガスケット32が介装されている。
負極の集電体17は、蓋6に固定されるベース面部18と、ベース面部18から下方に延びる一対の脚部19a,19bとを備える。負極の集電体17は銅又は銅合金製である。ベース面部18は、前述のように、負極の外部端子10の軸部12に形成された拡径部12aによって蓋6に対して加締固定されている。一対の脚部19a,19bは、電極体2の負極リード部2aを挟み込むように配置されている。各脚部19a,19bは、負極リード部2aに溶接されて、電気的かつ機械的に接続されている。これにより、負極の集電体17を介して、電極体2の負極リード部2aが負極の外部端子10に電気的に接続されている。
同様に、正極の集電体37は、蓋6に固定されるベース面部38と、ベース面部38から下方に延びる一対の脚部39a,39bとを備える。正極の集電体37は、アルミニウム又はアルミニウム合金製である。ベース面部38は、前述のように、放電用端子24の軸部26に形成された拡径部26aによって蓋6に対して加締固定されている。一対の脚部39a,39bは、電極体2の正極リード部2bを挟み込むように配置されている。各脚部39a,39bは、正極リード部2bに溶接されて、電気的かつ機械的に接続されている。
正極の集電体37は、後述する電流遮断用のダイヤフラム50と電極体2との間の導電経路に設けられた導電部材であり、ダイヤフラム50を介して正極の外部端子20に電気的に接続されている。
これにより、正極の外部端子20は、ダイヤフラム50及び集電体37を介して電極体2の正極リード部2bに電気的に接続されている。正極の外部端子20は、上記のように蓋6と一体であることにより、外装体4と同電位とされている。
なお、正極の外部端子20と同電位であるケース本体5が、負極の集電体17との間で通電したり、正極の集電体37との間で直接通電したりすることを防止するために、正負の各集電体17,37とケース本体5との間には、それぞれ絶縁材料からなるスペーサ(図示せず)を介装することが好ましい。
以下、ダイヤフラム50の構成、並びに、これに関連する正極の集電体37及び下側ガスケット32のより具体的な構成について説明する。
[電流遮断用のダイヤフラム及びこれに関連する構成]
図4〜図6に示すように、ダイヤフラム50は、正極の外部端子20の下方に対向配置されており、外周部において蓋6及び外部端子20の下端部に接合されている。該ダイヤフラム50によって、ケース本体5の内側の第1空間S1と、蓋6から外側(上側)に膨出した正極の外部端子20の内側の第2空間S2とが仕切られている。
ダイヤフラム50は、電極体2の正極リード部2bと正極の外部端子20との間の導電経路に設けられた導電部材である。ダイヤフラム50は、外部端子20には直接電気的に接続され、電極体2の正極リード部2bには集電体37を介して電気的に接続されている。ダイヤフラム50は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金製である。
ダイヤフラム50は、その外周を形成する外側環状部51と、外側環状部51の径方向内側端部から外部端子20の板状部22に向かって軸方向に延びる筒状部52と、筒状部52の先端に連なる拡径部53と、第1空間S1の内圧上昇によって第1空間S1から離反する方向へ所定位置まで変位可能な変位部55と、変位部55の外縁から径方向外側に拡がって拡径部53に連なるフレア部54とを備える。外側環状部51、筒状部52、拡径部53、フレア部54及び変位部55の輪郭は、例えば円形とされるが、これらの輪郭の形状は特に限定されるものでない。
外部端子20の周壁部21の下端部と蓋6とのコーナ部には、蓋6にダイヤフラム50を接合するための環状の切欠部6cが設けられている。切欠部6cは、第1空間S1及び第2空間S2に向かって開放した段状に形成されている。切欠部6cには、ダイヤフラム50の外側環状部51の外周部が嵌め込まれている。外側環状部51の内側面(下側面)は、蓋6の内側面と同一面上に配置されている。外側環状部51は、例えばレーザ溶接によって蓋6に接合される。レーザ溶接は、例えば、下方からのレーザ照射によって、外側環状部51の外縁に沿って全周に亘って行われる。これにより、ダイヤフラム50は、蓋6との機械的接続によって外装体4に保持されるとともに、蓋6と一体である正極の外部端子20に電気的に直接接続されている。
これにより、ダイヤフラム50を外部端子20に接続させるための専用部材を省略することができる。また、ダイヤフラム50と、これを保持する蓋6とを電気的に絶縁する必要がないため、ダイヤフラム50と蓋6との間に絶縁部材を介在させなくてもよい。よって、部品点数及び組立工数の低減を図ることができる。
ダイヤフラム50の筒状部52は、第1空間S1から離反する方向へ外側環状部51から突出している。筒状部52の先端(上端)は、蓋6の外側面(上側面)よりも内側(下側)に配置されている。
図6に示すように、ダイヤフラム50の拡径部53は、筒状部52の先端(上端)から径方向外側に延びる第1環状部53aと、第1環状部53aの外縁から板状部22に向かって軸方向に延びる筒状の連絡部53bと、連絡部53bの先端(上端)から径方向内側に延びる第2環状部53cとを備える。第1環状部53a、連絡部53b及び第2環状部53cの外径は、筒状部52の外径よりも大きく外部端子20の周壁部21の内径よりも小さい。第2環状部53cは、第1環状部53aの内縁よりも径方向内側に突出して配置されている。
第1空間S1の内圧が所定圧未満である通常時において、変位部55は、拡径部53よりも第1空間S1側(下側)に配置されており、変位部55の内側面(下側面)は、例えば、外側環状部51の内側面(下側面)と同一面上に配置されている。フレア部54は、変位部55の外縁と拡径部53の第2環状部53cの内縁とを繋いでいる。フレア部54は、径方向外側に向かって第1空間S1から離反する方向に傾斜して配置されている。
以上のように、ダイヤフラム50は蓋6に設けられており、ダイヤフラム50の外側環状部51、筒状部52、拡径部53、フレア部54及び変位部55は、いずれも、蓋6の厚み方向において蓋6の内側面(下側面)と外側面(上側面)との間に配置されている。すなわち、ダイヤフラム50は、蓋6と厚み方向にオーバラップして設けられている。このように、ダイヤフラム50の全体は、蓋6の内側面(下側面)よりも外側(上側)に配置されている。そのため、ダイヤフラム50が蓋6よりも内側の第1空間S1に配置される場合に比べて、第1空間S1における電極体2のレイアウトスペースを大きく確保することができ、電池1の高容量化を図ることができる。
なお、本実施形態では、ダイヤフラム50全体が蓋6の内側面よりも外側に配置されているが、ダイヤフラム50の一部が蓋6の内側面よりも外側に配置されてもよい。
続いて、図3〜図6を参照しながら、正極の集電体37及び下側ガスケット32に関して、ダイヤフラム50に関連するより具体的な構成を説明する。
下側ガスケット32は、蓋6と集電体37のベース面部38との間に挟み込まれるベース面部33を有する。ベース面部33の形状は、蓋6の長さ方向に長い長方形とされている。ベース面部33には、ダイヤフラム50に対応する位置に開口部33aが設けられている。開口部33aは、例えば、ダイヤフラム50の外側環状部51の内径と同じ径を有し、開口部33aの内周面は、外側環状部51の内周面と同一面上に配置されている(図6参照)。
下側ガスケット32は、ベース面部33の長辺から下方に突出した一対の長側面部34a,34bと、ケース本体5の短側壁部5eとは反対側の短辺から下方に突出した短側面部35とを更に備える。短側面部35の下端は、長側面部34a,34bの下端よりも上側に配置されている。
集電体37のベース面部38の形状は、蓋6の長さ方向に長い長方形とされている。集電体37のベース面部38は、第1空間S1において、下側ガスケット32のベース面部33の内側(下側)に重ねて配置されている。ベース面部38は、下側ガスケット32の開口部33aを通して、ダイヤフラム50の内側(下側)に対向配置されている。
集電体37は、ベース面部38の長辺から下方に突出した一対の長側面部44a,44bを更に備えている。ベース面部38の短辺方向において、各長側面部44a,44bは、下側ガスケット32の長側面部34a,34bの内側に対向配置されており、これにより、集電体37を前記短辺方向に位置決め可能とされている。また、ベース面部38の一方の短辺側の端面は下側ガスケット32の短側面部35に対向配置されており、これにより、集電体37をベース面部38の長辺方向に位置決め可能とされている。
ベース面部38におけるダイヤフラム50に対応する位置には、ダイヤフラム50に向かって突出した突出部40と、突出部40の先端に設けられた端面部42とが設けられている。突出部40は、ベース面部38から円錐状に突出している。端面部42は、円形とされており、ベース面部38に平行に配置されている。これにより、突出部40を側面とし、端面部42を上面とする円錐台が形成されている。突出部40は、下側ガスケット32の開口部33a内に配置されており、これにより、突出部40と下側ガスケット32との干渉が回避されている。端面部42の中央部には開口部43が設けられている。
図6に示すように、端面部42には、無端状の切断部45が設けられており、該切断部45で囲まれた部分は、集電体37から切り離し可能な切り離し部46とされている。切断部45は、例えば円形に形成されている。切断部45には切り込みが形成されており、これにより、切断部45では、端面部42における切断部45以外の部分に比べて破断しやすくなっている。切断部45は、全周に亘って連続するハーフカットの切り込みが形成されることで薄肉部とされている。切断部45の切り込みは、端面部42の内側面(下面)に形成されることが好ましい。なお、切断部45の切り込みは、端面部42を厚み方向に貫通するフルカットであってもよく、この場合、フルカットは、周方向に断続的にミシン目状に設けられる。
端面部42の外側面(上面)は、下側ガスケット32のベース面部33の外側面(上面)と同一面上に配置されている。端面部42は、切り離し部46においてダイヤフラム50の変位部55に接合されている。切り離し部46は、端面部42における開口部43の外側且つ切断部45の内側の環状部分である。切り離し部46は、例えば開口部43の周縁に沿って行われる溶接によって変位部55の外周部に接合されている。
変位部55における切り離し部46との接合部よりも径方向内側の部分は、端面部42の開口部43を通じて第1空間S1に臨んでいる。これにより、変位部55は、常に第1空間S1の内圧を直接受けているが、第1空間S1の内圧が所定圧未満である通常時において、変位部55は、集電体37の切り離し部46との接合により図6に示す位置に保持されている。
過充電によって電極体2が発熱してガスが発生することで第1空間S1の内圧が所定圧以上に上昇すると、図7に示すように、ダイヤフラム50が反転するように変形し、第1空間S1の内圧を受けた変位部55は、外装体4の外側に向かって所定位置まで変位する。このとき、変位部55と、変位部55に接合された集電体37の切り離し部46は、外装体4の外側に向かって、集電体37のベース面部38から離反する方向(外部端子20の板状部22に接近する方向)に変位して、切り離し部46は、切断部45に沿って集電体37の残りの部分から切り離される。
このとき、変位部55は、第1環状部53aよりも第1空間S1側に突出した位置から、第1環状部53a及び筒状部52よりも反第1空間S1側に突出した位置へ変位する。また、このようにダイヤフラム50が反転されるとき、ダイヤフラム50の拡径部53は、第2環状部53cが第1環状部53aに平行に配置された形状から、第2環状部53cがその内縁側を第1空間S1から離反する方向へ突出させるように傾斜した形状に変形される。さらに、このとき、ダイヤフラム50のフレア部54は、その外縁から内縁にかけての第1空間S1側への傾斜角度が低減される。
集電体37の突出部40は、初めからベース面部38に対してダイヤフラム50側(反第1空間S1側)へ突出しているため、上記のように集電体37から切り離し部46が切り離されて反第1空間S1側へ変位しようとするとき、切り離し部46によって突出部40がダイヤフラム50側へ引っ張られても、ダイヤフラム50側へ更に突出するような突出部40の変形が生じ難い。そのため、集電体37全体がダイヤフラム50よりも下側(反板状部22側)に位置する状態を維持でき、上記のように反転されたダイヤフラム50に集電体37が接触することを確実に防止できる。これにより、ダイヤフラム50の反転後において、ダイヤフラム50と集電体37との間の通電、ひいては、正極の外部端子20と電極体2の正極リード部2bとの間の通電を確実に遮断でき、電池1の電流遮断性能が高められる。したがって、電池1の更なる充電が回避されることで、更なる電極体2の発熱及びガスの発生を抑制しやすくなり、これにより、ガス排出弁8を通じたガスの放出を回避しやすくなる。
前述のように蓋6から外側(上側)に膨出した外部端子20の内部に形成された第2空間S2は、上記のように反転されたダイヤフラム50の変位部55を収容する収容空間として機能する。このように、外部端子20の内部に形成された第2空間S2を利用して、変形後のダイヤフラム50の変位部55が収容されることで、変形後のダイヤフラム50を収容するためのスペースを、ケース本体5内の第1空間S1に確保する必要がない。そのため、第1空間S1における電極体2のレイアウトスペースを大きく確保することができ、これによって、電池1の高容量化を図ることができる。
なお、図6に示すようにダイヤフラム50が反転されていないことによりダイヤフラム50と集電体37との間が通電可能である状態で、外部短絡等によってダイヤフラム50から集電体37へ大電流が流れ込むと、集電体37の端面部42が切断部45で溶断される。この場合も、ダイヤフラム50と集電体37とが非接触となることで、正極の外部端子20と電極体2の正極リード部2bとの間の導電経路が遮断されて、これにより、電池1が保護される。
図8の模式図を参照しながら、ダイヤフラム50及び集電体37の各部の寸法について説明する。なお、図8における二点鎖線は、反転した状態のダイヤフラム50を示している。
集電体37の突出部40の厚みL2は、端面部42の厚みL1よりも大きいことが好ましい。これにより、比較的薄肉の端面部42が切断部45で破断及び溶断されやすくなるとともに、比較的厚肉の突出部40の剛性が確保される。突出部40が比較的高い剛性を有するため、ダイヤフラム50の反転によって端面部42の切り離し部46がダイヤフラム50に引っ張られるとき、突出部40の変形が抑制されやすくなる。このとき、ダイヤフラム50に固定された端面部42の内周部は反第1空間S1側へ変位するのに対して、突出部40の先端に連なる端面部42の外周部の変位は抑制されるため、端面部42の切断部45に応力が集中しやすくなり、これにより、切断部45において端面部42が破断されやすくなる。
集電体37のベース面部38の厚みL3は、突出部40の厚みL2以上であることが好ましい。これにより、ベース面部38の剛性が良好に確保される。そのため、ダイヤフラム50の反転時に集電体37から切り離される切り離し部46によって突出部40がダイヤフラム50側へ引っ張られるとき、突出部40がダイヤフラム50に接近するようなベース面部38の変形を抑制することができ、これにより、反転後のダイヤフラム50と突出部40との接触を確実に防止でき、電池1の電流遮断性能を良好に発揮できる。
集電体37におけるベース面部38からの突出部40の突出量L4は、1mm以上5mm以下であることが好ましい。突出部40が元々1mm以上の突出量L4を有していることにより、ダイヤフラム50の反転時に切り離し部46によって突出部40が引っ張られるとき、突出部40の突出量L4が更に増大するような集電体37の変形を効果的に抑制できる。また、突出部40の突出量L4が5mm以下であることにより、第1空間S1での集電体37の占有スペースを上下方向に効果的に縮小でき、これにより、電池1の高容量化を図ることができる。
集電体37の突出部40の内周面と端面部42とのコーナ部から切断部45までの径方向寸法L5は、ダイヤフラム50の変位部55の通常時の位置から反転後の位置までの変位量L6よりも小さいことが好ましい。これにより、集電体37から切り離し部46が切り離されてダイヤフラム50の変位部55と共に変位するとき、端面部42における切断部45よりも外側に残された外周部47がダイヤフラム50の変位部55側へ引っ張られることで、外周部47がダイヤフラム50側へ突出するように変形した場合でも、該外周部47がダイヤフラム50に接触することを抑制できる。
図9の断面図を参照しながら、ダイヤフラム50と集電体37との溶接作業の一例について説明する。
図9に示す例において、ダイヤフラム50と集電体37の溶接は、蓋6にダイヤフラム50が接合され、且つ、下側ガスケット32及び集電体37が放電用端子24及び上側ガスケット28(図4及び図5参照)と共に蓋6に加締固定された状態で行われる。溶接作業は、集電体37の下側にダイヤフラム50が配置される姿勢で行われる。溶接作業用の治具としては、ダイヤフラム50の変位部55を下側から支持する支持ピン201を有する第1の治具200と、集電体37のベース面部38を上側から押さえ付ける第2の治具202が用いられる。第1の治具200は平らな上面を有し、支持ピン201は、第1の治具200の上面から上方に突出している。
溶接作業を行うときは、先ず、第1の治具200の上面に、蓋6と一体の外部端子20の板状部22を載置する。このとき、支持ピン201は、板状部22に設けられた開口部22aに挿通されることで、外部端子20との干渉を回避しつつ、支持ピン201の上端によってダイヤフラム50の変位部55を下側から支持できる。
続いて、第2の治具202によって集電体37のベース面部38を上側から押さえ付けることで集電体37の端面部42とダイヤフラム50の変位部55を密着させた状態で、端面部42の開口部43の周縁に沿って上側からレーザを照射して、端面部42の切り離し部46をダイヤフラム50の変位部55に溶接する。
この溶接時にダイヤフラム50の変位部55を介して支持ピン201に押し当てられる集電体37の端面部42は、突出部40の先端に設けられており、該突出部40によって外周全体が支持されているため、支持ピン201からの応力を突出部40によって受けることができる。突出部40は、支持ピン201の軸方向において大きな厚みを有するため、支持ピン201からの応力による変形が生じ難い。そのため、仮に集電体37におけるベース面部38と同じ面上に位置する部分がダイヤフラム50の変位部55を介して支持ピン201に押し当てられる場合に比べて、支持ピン201からの応力による集電体37の変形を抑制できる。
[ダイヤフラムの変形例]
図10は、変形例に係るダイヤフラム150を示す図8と同様の模式図である。図10に示す変形例において、上述の例と同様の構成要素については説明を省略するとともに、図10において同じ符号を付している。
図10に示すダイヤフラム150の変位部55は、フレア部54の内縁から径方向内側に延びる環状の第1面部153と、第1面部153の内縁から第1空間S1側へ突出した筒状の嵌合部154と、嵌合部154の先端開口を塞ぐ第2面部155とを有する。第1面部153は、集電体37の端面部42に反第1空間S1側から重ねられて接合されている。嵌合部154は、集電体37の端面部42の開口部43に嵌合されている。第2面部155は、集電体37の端面部42よりも内側(下側)に配置されることで、第1空間S1に臨んでいる。
図10に示すダイヤフラム150では、ダイヤフラム150の変位部55を第1空間S1に臨ませるために集電体37の端面部42に設けられた開口部43に、変位部55の嵌合部154が嵌合されることで、図9に示すような溶接作業を行うときに、集電体37に対してダイヤフラム150が位置決めしやすくなるとともに、端面部42の開口部43の内周面に変位部55の嵌合部154の外周面が対向することで、端面部42と変位部55との溶接面積を増大させることが可能になる。そのため、集電体37の端面部42に対してダイヤフラム150を溶接しやすくなるとともに、接合強度の向上を図ることが可能になる。
[電池の変形例]
図11は、第1実施形態に係る電池1の変形例を示す図4と同様の一部破断斜視図であり、図12は、図11の変形例に係るダイヤフラム250と集電体37の溶接作業の一例を示す図9と同様の断面図である。図11及び図12に示す変形例において、上述の例と同様の構成要素については説明を省略するとともに、図11及び図12において同じ符号を付している。
図11に示す変形例では、上述の例とは異なり、正極の外部端子220が蓋6と別体とされており、ダイヤフラム250が蓋6と一体に設けられている。蓋6の外側面(上面)には、ダイヤフラム250の外側環状部51に沿って、環状の溝部6dが設けられている。外部端子220は、周壁部21の下端部から径方向外側に拡がるフランジ部21aを有する。フランジ部21aは、蓋6の溝部6dに嵌め込まれており、例えばレーザ溶接によって蓋6に接合されている。
図11に示す例においても、外部端子220と蓋6は同電位であるため、蓋6と外部端子220との間に絶縁部材を設ける必要がない。そのため、上記のように蓋6と外部端子220が接合されることで、気密性を容易に確保することができる。
また、図11に示す例においても、ダイヤフラム250は、蓋6によって保持されると共に、蓋6に接合された外部端子220に電気的に接続されている。ダイヤフラム250の変位部55は、上述の例と同様に集電体37の端面部42に接合されており、これにより、上述と同様の効果が得られる。
図12に示すように、ダイヤフラム50と集電体37の溶接作業は、蓋6に外部端子220が接合される前に行われる。そのため、外部端子220の板状部22には、治具との干渉を回避するための上述の例のような開口部22aを設ける必要がない。
図12に示す溶接作業は、下側ガスケット32及び集電体37が放電用端子24及び上側ガスケット28(図11参照)と共に蓋6に加締固定された状態で行われる。溶接作業は、集電体37の下側にダイヤフラム250が配置される姿勢で行われる。溶接作業用の治具としては、ダイヤフラム250の変位部55を下側から支持する支持ピン301を有する第1の治具300と、集電体37のベース面部38を上側から押さえ付ける第2の治具302が用いられる。第1の治具300は平らな上面を有し、支持ピン301は、第1の治具300の上面から上方に突出している。
溶接作業を行うときは、先ず、ダイヤフラム250の変位部55が支持ピン301の上端によって下側から支持されるように、第1の治具300の上面に蓋6を載置する。続いて、第2の治具302によって集電体37のベース面部38を上側から押さえ付けることで集電体37の端面部42とダイヤフラム250の変位部55を密着させた状態で、端面部42の開口部43の周縁に沿って上側からレーザを照射して、端面部42の切り離し部46をダイヤフラム250の変位部55に溶接する。
この溶接時にダイヤフラム250の変位部55を介して支持ピン301に押し当てられる集電体37の端面部42は、突出部40の先端に設けられており、該突出部40によって外周全体が支持されているため、支持ピン301からの応力を突出部40によって受けることができる。突出部40は、支持ピン301の軸方向において大きな厚みを有するため、支持ピン301からの応力による変形が生じ難い。そのため、仮に集電体37におけるベース面部38と同じ面上に位置する部分がダイヤフラム250の変位部55を介して支持ピン301に押し当てられる場合に比べて、支持ピン301からの応力による集電体37の変形を抑制できる。
[第2実施形態]
図13〜図18を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る蓄電素子としてのリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」という)61の構成を説明する。
[全体構成]
図13〜図15を参照すると、電池61は、電極体62、外装体64、正極及び負極の外部端子70,80、正負の集電体77,90、上側ガスケット74,84、下側ガスケット76,86、トレイ部材100並びに電流遮断用のダイヤフラム(反転膜)110を備える。
外装体64は、上端及び下端が開口したケース本体65と、ケース本体65の上端開口を閉じる上蓋66と、ケース本体65の下端開口を閉じる下蓋67とを備える。本実施形態では、ケース本体65、上蓋66及び下蓋67は、アルミニウム又はアルミニウム合金製である。
ケース本体65は、例えば断面長円状の筒状部材である。上蓋66は概ね長円形板状である。上蓋66には、ケース本体65内で発生したガスを外装体64の外側へ排出するためのガス排出弁68が設けられている。下蓋67は、概ね長円形板状のベース面部67aと、ベース面部67aの中央部から上方に膨出した膨出部67bと、ベース面部67aの外縁に沿って設けられてベース面部67aから上方に突出した環状凸部67cとを備える。膨出部67bの断面形状は、ベース面部67aの長さ方向に長い長円状とされている。環状凸部67cは、ベース面部67aの外縁に沿った長円状とされている。
図14に示すように、電極体62は、電解液が充填されたケース本体65内に収容されている。電極体62は絶縁シート(図示せず)で覆われてもよい。ケース本体65内には、下側ガスケット76,86、集電体77,90及びトレイ部材100も収容されている。
電極体62は、いずれも一定幅の長尺な帯状である正負の電極シート及び微多孔性樹脂シートからなる2枚のセパレータを重ね合わせて、概ね高扁平率の長楕円状に巻回したものである。電極体62の電極シート及びセパレータの巻回の軸線(巻回軸)は、図14において符号Yで概念的に示されている。電極体62は、巻回軸Yが概ね、ケース本体65の軸方向(図14において上下方向)に延びる姿勢で、ケース本体65内に収容されている。
巻回軸Yの延びる方向における電極体62の一方(図14の上側)の端部には、負極の電極シートが正極の電極シート及びセパレータよりも突出しており、他方(図14の下側)の端部には、正極の電極シートが負極の電極シート及びセパレータよりも突出している。これらの電極シートの突出部分は、金属箔のいずれの面にも活物質層が設けられていない未塗工部とされている。これにより、巻回軸Yの延びる方向における電極体62の一方(図14の上側)の端部には、負極の電極シートの金属箔のみを積層してなる負極リード部62aが形成され、他方(図14の下側)の端部には、正極の電極シートの金属箔のみを積層してなる正極リード部62bが形成されている。
図13〜図15に示すように、上蓋66の一端側(図13〜図15において右側)に負極の外部端子70が配置され、他端側(図13〜図15において左側)に正極の外部端子80が配置されている。外部端子70,80は、上蓋66の外側面(上側面)に配置される板状部71,81を備える。板状部71,81にはバスバーのような接続部材が溶接されて外部回路に接続される。
負極の外部端子70は、上蓋66の外側面に配置される板状部71と、板状部71の下面から下方に突出する円柱状の軸部72を備える。軸部72は、板状部71とは別体のリベットで構成されている。本実施形態では、負極の外部端子70は、その板状部71がアルミニウム又はアルミニウム合金製であり、軸部72が銅又は銅合金製である。
軸部72は、絶縁樹脂製の上側ガスケット74及び上蓋66を貫通してケース本体65の内部に突出しており、ケース本体65の内部において絶縁樹脂製の下側ガスケット76及び負極の集電体77(後述のベース面部78)を更に貫通している。上側ガスケット74には、軸部72を挿通させるための筒状部74a(図15参照)が設けられ、上蓋66、下側ガスケット76及び集電体77のベース面部78には、軸部72を挿通させるための貫通穴66a,76a,78a(図15参照)が設けられている。上蓋66の貫通穴66aの内周面と軸部72の外周面との間には、上側ガスケット74の筒状部74aが介在される。
負極の外部端子70の軸部72の下端には、加締によって拡径部72a(図14参照)が形成され、それによって負極の外部端子70が上蓋66に対して加締固定されている。具体的には、外部端子70の板状部71と拡径部72aとの間に、上側ガスケット74、上蓋66、下側ガスケット76及び負極の集電体77のベース面部78が挟み込まれることで、負極の外部端子70と集電体77が上蓋66に固定されている。上蓋66の外側面(上側面)と外部端子70との間に上側ガスケット74が介装され、上蓋66の内側面(下側面)と集電体77との間に、下側ガスケット76が介装されている。
正極の外部端子80は、上蓋66の外側面に配置される板状部81と、板状部81の下面から下方に突出する円柱状の軸部82を備える。軸部82は、板状部81と一体に成形されている。本実施形態では、正極の外部端子80は、アルミニウム又はアルミニウム合金製である。
軸部82は、絶縁樹脂製の上側ガスケット84及び上蓋66を貫通してケース本体65の内部に突出しており、ケース本体65の内部において絶縁樹脂製の下側ガスケット86及び正極の集電体90(後述のベース面部92)を更に貫通している。上側ガスケット84には、軸部82を挿通させるための筒状部84a(図15参照)が設けられ、上蓋66、下側ガスケット86及び集電体90のベース面部92には、軸部82を挿通させるための貫通穴66b,87b,92a(図15参照)が設けられている。上蓋66の貫通穴66bの内周面と軸部82の外周面との間には、上側ガスケット84の筒状部84aが介在される。
軸部82の下端には、加締によって拡径部82a(図14参照)が形成されている。これによって、負極の外部端子80が上蓋66に対して加締固定されている。具体的には、外部端子80の板状部81と拡径部82aとの間に、上側ガスケット84、上蓋66、下側ガスケット86及び正極の集電体90のベース面部92が挟み込まれることで、負極の外部端子80と集電体90が上蓋66に固定されている。上蓋66の外側面と外部端子80との間に上側ガスケット84が介装され、上蓋66の内側面と正極の集電体90との間に下側ガスケット86が介装されている。
負極の集電体77は、上蓋66に固定されるベース面部78と、ベース面部78から下方に延びる集電部79とを備える。負極の集電体77は銅又は銅合金製である。ベース面部78は、前述のように、負極の外部端子70の軸部72に形成された拡径部72aによって上蓋66に対して加締固定されている。集電部79は、電極体62の負極リード部62aに溶接されて、電気的かつ機械的に接続されている。これにより、負極の集電体77を介して、電極体62の負極リード部62aが負極の外部端子70に電気的に接続されている。
下蓋67の膨出部67bは、電極体62の正極リード部62bに溶接されて、電気的かつ機械的に接続されている。これにより、外装体64は、電極体62の正極リード部62bに電気的に接続されている。このように外装体64と正極リード部62bが同電位とされていることから、ケース本体65と負極の集電体77との間での通電を防止するために、負極の集電体77とケース本体65との間には、それぞれ絶縁材料からなるスペーサ(図示せず)を介装することが好ましい。
正極の集電体90は、アルミニウム又はアルミニウム合金製である。正極の集電体90も、上蓋66に固定されるベース面部92を有する。ベース面部92は、前述のように、正極の外部端子80の軸部82に形成された拡径部82aによって上蓋66に対して加締固定されている。
正極の集電体90は、後述する電流遮断用のダイヤフラム110と正極の外部端子80との間の導電経路に設けられた導電部材であり、ダイヤフラム110を介して外装体64に電気的に接続され、更に外装体64を介して電極体62の正極リード部62bに電気的に接続されている。
これにより、正極の外部端子80は、集電体90、ダイヤフラム110及び外装体64を介して電極体62の正極リード部62bに電気的に接続されている。
以下、ダイヤフラム110の構成、並びに、これに関連する正極の集電体90、下側ガスケット86及びトレイ部材100のより具体的な構成について説明する。
[電流遮断用のダイヤフラム及びこれに関連する構成]
図16〜図18に示すように、ダイヤフラム110は、その外周部において上蓋66に接合されている。上蓋66には、ダイヤフラム110が接合される部分に開口部66cが設けられている。開口部66cの形状は、例えば、上蓋66の短手方向に長い長円形とされている。該開口部66cの内周面と上蓋66の内側面(下面)とのコーナ部には、環状の切欠部66dが設けられている。
ダイヤフラム110は、電極体62の正極リード部62bと正極の外部端子80との間の導電経路、より具体的には、正極リード部62bに電気的に接続された外装体64と、外部端子80に電気的に接続された集電体90との間の導電経路に設けられた導電部材である。すなわち、ダイヤフラム110は、集電体90を介して外部端子80に電気的に接続され、外装体64を介して電極体62の正極リード部62bに電気的に接続されている。ダイヤフラム110は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金製である。
ダイヤフラム110は、その外周を形成する外側環状部111と、外装体64の内圧上昇によって外装体64の外側に向かって所定位置まで変位可能な変位部113と、変位部113の外縁から径方向外側に拡がって外側環状部111に連なるフレア部112とを備える。外側環状部111、フレア部112及び変位部113の輪郭は、例えば長円形とされるが、これらの輪郭の形状は特に限定されるものでない。
ダイヤフラム110の外側環状部111の外周部は、上蓋66の切欠部66dに嵌め込まれている。外側環状部111の内側面(下側面)は、上蓋66の内側面と同一面上に配置されている。外側環状部111は、例えばレーザ溶接によって上蓋66に接合される。レーザ溶接は、例えば、下方からのレーザ照射によって、外側環状部111の外縁に沿って全周に亘って行われる。このようにして上蓋66にダイヤフラム110が接合されることで、上蓋66の開口部66cはダイヤフラム110によって下側から塞がれている。ダイヤフラム110は、上蓋66との機械的接続によって外装体64に保持されるとともに、外装体64を介して電極体62の正極リード部62bに電気的に接続されている。なお、ダイヤフラム110は上蓋66と一体に設けられてもよい。
外装体64の内圧が所定圧未満である通常時において、ダイヤフラム110の変位部113は、外側環状部111よりも内側(下側)に配置されている。フレア部112は、変位部113の外縁と外側環状部111の内縁とを繋いでいる。外装体64の内圧が所定圧未満である通常時において、フレア部112は、径方向内側に向かって外装体64の内部空間側に傾斜して配置されている。
以上のように、ダイヤフラム110は上蓋66に設けられており、ダイヤフラム110の少なくとも外側環状部111は、上蓋66と厚み方向にオーバラップして設けられている。このように、ダイヤフラム110の外側環状部111が上蓋66の内側面(下側面)よりも外側に配置されていることにより、反転後のダイヤフラム110は、その全体が上蓋66の内側面よりも外側に配置されることになる。そのため、仮にダイヤフラム110全体が上蓋66よりも内側(下側)に配置される場合に比べて、外装体64の内部空間における電極体62のレイアウトスペースを大きく確保することができ、電池61の高容量化を図ることができる。
続いて、図15〜図18を参照しながら、正極の集電体90、下側ガスケット86及びトレイ部材100に関して、ダイヤフラム110に関連するより具体的な構成を説明する。
下側ガスケット86は、上蓋66と集電体90のベース面部92との間に挟み込まれるベース面部87を有する。ベース面部87の形状は、例えば、上蓋66の長さ方向に長い半長円形とされている。ベース面部87には、ダイヤフラム110に対応する位置に開口部87aが設けられている。開口部87aの形状は、例えば、上蓋66の短手方向に長い長円形とされている。上蓋66の長手方向に関して、下側ガスケット86の開口部87aと上蓋66の開口部66cは同じ寸法を有し、これらの開口部66c,87aの直線部の内周面は、同一面上に配置されている。
下側ガスケット86は、ベース面部87の外縁から下方に突出した周壁部88を更に備える。周壁部88の外周面には、トレイ部材100に係合される複数の係合凸部88aが設けられている。
トレイ部材100は、集電体90を挟んで下側ガスケット86の内側(下側)に対向配置されるキャッチ面部102を有する。キャッチ面部102の形状は、例えば四角形状とされている。キャッチ面部102は、下側ガスケット86のベース面部87に平行に配置されている。トレイ部材100は、キャッチ面部102の周縁から外側(上側)に向かって延びる一対の立ち上がり面部103,104を更に有する。一対の立ち上がり面部103,104は、互いに対向するように配置されている。各立ち上がり面部103,104には、下側ガスケット86の係合凸部88aに係合される係合穴105が設けられている。係合穴105と係合凸部88aとの係合により、トレイ部材100は下側ガスケット86に保持されている。
集電体90のベース面部92の形状は、例えば、上蓋66の長さ方向に長い半長円形とされている。ベース面部92は、外装体64の内部空間において、下側ガスケット86のベース面部87の内側(下側)に重ねて配置されている。ベース面部92は、下側ガスケット86の開口部87aを通して、ダイヤフラム110の内側(下側)に対向配置されている。ベース面部92の外縁は、下側ガスケット86の周壁部88の内周面に対向配置されており、これにより、下側ガスケット86に対して集電体90を位置決め可能とされている。
集電体90のベース面部92におけるダイヤフラム110に対応する位置には、ダイヤフラム110に向かって突出した突出部94と、突出部94の先端に設けられた端面部96とが設けられている。突出部94は、ベース面部92から円錐状に突出している。端面部96は、円形とされており、ベース面部92に平行に配置されている。これにより、突出部94を側面とし、端面部96を上面とする円錐台が形成されている。突出部94は、下側ガスケット86の開口部87a内に配置されており、これにより、突出部94と下側ガスケット86との干渉が回避されている。端面部96の中央部には開口部97が設けられている。
特に図17及び図18に示すように、端面部96には、無端状の切断部98が設けられている。これにより、端面部96は、切断部98で囲まれた切り離し部96aと、切断部98を介して切り離し部96aを囲む外周部96bとに区分されている。切り離し部96aは、切断部98に沿って集電体90から切り離し可能とされている。切断部98は、例えば円形に形成されている。切断部98には切り込みが形成されており、これにより、切断部98では、端面部96における切断部98以外の部分に比べて破断しやすくなっている。切断部98は、全周に亘って連続するハーフカットの切り込みが形成されることで薄肉部とされている。切断部98の切り込みは、端面部96の内側面(下面)に形成されることが好ましい。なお、切断部98の切り込みは、端面部96を厚み方向に貫通するフルカットであってもよく、この場合、フルカットは、周方向に断続的にミシン目状に設けられる。
端面部96は、下側ガスケット86のベース面部87の開口部87a内に配置されている。端面部96は、切り離し部96aにおいてダイヤフラム110の変位部113に接合されている。切り離し部96aは、端面部96における開口部97の外側且つ切断部98の内側の環状部分である。切り離し部96aは、例えば開口部97の周縁に沿って行われる溶接によって変位部113の外周部に接合されている。
変位部113における切り離し部96aとの接合部よりも径方向内側の部分は、端面部96の開口部97を通じて外装体64の内部空間に臨んでいる。これにより、変位部113は、常に外装体64の内圧を直接受けているが、この内圧が所定圧未満である通常時において、変位部113は、集電体90の切り離し部96aとの接合により下側ガスケット86の開口部87a内における所定位置に保持されている。
過充電によって電極体62が発熱してガスが発生することで外装体64の内圧が所定圧以上に上昇すると、図18の二点鎖線に示すように、ダイヤフラム110が反転するように変形し、変位部113は、外装体64の外側に向かって所定位置まで変位する。このとき、変位部113と、変位部113に接合された集電体90の切り離し部96aは、外装体64の外側に向かって、集電体90のベース面部92から離反する方向に変位して、切り離し部96aは、切断部98に沿って集電体90の残りの部分から切り離される。
このとき、変位部113は、外側環状部111よりも内側(下側)に突出した位置から、外側環状部111よりも外側(上側)に突出した位置へ変位する。また、このようにダイヤフラム110が反転されることにより、ダイヤフラム110のフレア部112は、径方向内側に向かって外装体64の外部空間側に傾斜して配置される。
集電体90の突出部94は、初めからベース面部92に対してダイヤフラム110側(外装体64の外部空間側)へ突出しているため、上記のように集電体90から切り離し部96aが切り離されて外部空間側へ変位しようとするとき、切り離し部96aによって突出部94がダイヤフラム110側へ引っ張られても、ダイヤフラム110側へ更に突出するような突出部94の変形が生じ難い。そのため、集電体90全体がダイヤフラム110よりも内側(下側)に位置する状態を維持でき、上記のように反転されたダイヤフラム110に集電体90が接触することを確実に防止できる。これにより、ダイヤフラム110の反転後において、ダイヤフラム110と集電体90との間の通電、ひいては、正極の外部端子80と電極体62の正極リード部62bとの間の通電を確実に遮断でき、電池61の電流遮断性能が高められる。したがって、電池61の更なる充電が回避されることで、更なる電極体62の発熱及びガスの発生を抑制しやすくなり、これにより、ガス排出弁68を通じたガスの放出を回避しやすくなる。
反転後のダイヤフラム110の変位部113及びフレア部112は、上蓋66の開口部66c内の空間に収容される。そのため、反転後のダイヤフラム110を収容するためのスペースをケース本体65内に確保する必要がなく、ケース本体65内における電極体62のレイアウトスペースを大きく確保することができ、これによって、電池61の高容量化を図ることができる。
集電体90の突出部94及び端面部96の内側(下側)には、トレイ部材100のキャッチ面部102が近接して配置されている。ダイヤフラム110が反転されていない状態、すなわち、ダイヤフラム110と集電体90との間が通電可能である状態で、外部短絡等によって集電体90に大電流が流れ込むと、集電体90の端面部96が切断部98で溶断される。この溶断により落下する金属片は、トレイ部材100のキャッチ面部102によって受けられる。
図19は、ダイヤフラム110及び集電体90の各部の寸法を示す模式図である。なお、図19における二点鎖線は、反転した状態のダイヤフラム110を示している。
図19に示すように、集電体90の端面部96の厚みL1、突出部94の厚みL2、ベース面部92の厚みL3は、第1実施形態と同様に設定されることが好ましい(図8参照)。また、集電体90におけるベース面部92からの突出部94の突出量L4、集電体90の突出部94の内周面と端面部96とのコーナ部から切断部98までの径方向寸法L5、ダイヤフラム110の変位部113の通常時の位置から反転後の位置までの変位量L6も、第1実施形態と同様に設定されることが好ましい(図8参照)。これにより、反転後のダイヤフラム110と集電体90との接触が確実に防止されて、電池61の電流遮断性能の向上が図られる。
第2実施形態において、ダイヤフラム110と集電体90との溶接方法は限定されるものでないが、例えば、第1実施形態の変形例と同様、図12に示すような態様で、同様の治具300,302を用いて溶接を行うことができる。
なお、第2実施形態において、ダイヤフラム110の構成には種々の変更を加えることができる。例えば、ダイヤフラム110には、外側環状部111とフレア部112との間に、第1実施形態のダイヤフラム50と同様の筒状部52及び拡径部53が設けられてもよい。また、ダイヤフラム110の変位部113には、第1実施形態の図10に示す変形例と同様、集電体90の端面部96の開口部97に嵌合される嵌合部154(図10参照)が設けられてもよい。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、以上の実施形態では、電流遮断用のダイヤフラムが外装体の蓋に設けられる例を説明したが、本発明では、外装体における蓋以外の部分にダイヤフラムが設けられてもよい。
また、以上の実施形態では、ダイヤフラムの変位部が集電体に接合される例を説明したが、本発明では、集電体以外の導電部材にダイヤフラムの変位部が接合されてもよい。
さらに、以上の実施形態では、集電体(導電部材)の突出部がベース面部から錐状に突出した例を説明したが、本発明において、導電部材の突出部は、ベース面部から筒状に突出するように設けられてもよい。
またさらに、上述の実施形態では、リチウムイオン二次電池を例に本発明に係る蓄電素子を説明したが、本発明は、リチウムイオン二次電池以外の二次電池、一次電池、キャパシタを含む種々の蓄電素子に適用できる。