本発明の第1の態様のポリイミド前駆体(以下、「ポリイミド前駆体(1−1)」と言うこともある。)は、前記化学式(1−1)で表される繰り返し単位を少なくとも1種含み、その化学式(1−1)で表される繰り返し単位の合計含有量が、全繰り返し単位に対して、50モル%以上であるポリイミド前駆体である。ただし、前記化学式(1−1)は、テトラカルボン酸成分に由来する4価の基であるA11の4つの結合手のうち、1つが−CONH−に結合し、1つが−CONH−B11−に結合し、1つが−COOX1に結合し、1つが−COOX2に結合していることを示し、前記化学式(1−1)には、その構造異性体のすべてが含まれる。
本発明のポリイミド前駆体(1−1)は、前記化学式(1−1)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位中に、合計で、50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80モル%以上含むことが好ましい。
なお、本発明のポリイミド前駆体(1−1)は、A11および/またはB11が異なる前記化学式(1−1)の繰り返し単位2種以上を含むものであってもよい。また、本発明のポリイミド前駆体(1−1)は、A11が前記化学式(A−1)で表される4価の基である前記化学式(1−1)の繰り返し単位の1種または2種以上と、A11が前記化学式(A−2)で表される4価の基である前記化学式(1−1)の繰り返し単位の1種または2種以上とを含むものであってもよい。
換言すれば、本発明のポリイミド前駆体(1−1)は、前記化学式(A−1)の構造を与えるテトラカルボン酸成分および/または前記化学式(A−2)の構造を与えるテトラカルボン酸成分を含むテトラカルボン酸成分と、前記化学式(B−1)の構造を与えるジアミン成分および/または前記化学式(B−2)の構造を与えるジアミン成分を含むジアミン成分とから得られるポリイミド前駆体である。
前記化学式(1−1)の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分は、前記化学式(A−1)の構造を与えるテトラカルボン酸成分、および前記化学式(A−2)の構造を与えるテトラカルボン酸成分である。前記化学式(A−1)の構造を与えるテトラカルボン酸成分としては、例えば、テトラデカヒドロ−1H,3H−4,12:5,11:6,10−トリメタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン、テトラデカヒドロ−1H,3H−4,12−エタノ−5,11:6,10−ジメタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン、テトラデカヒドロ−1H,3H−4,12:5,11−ジエタノ−6,10−メタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン、テトラデカヒドロ−1H,3H−4,12:5,11:6,10−トリエタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン、テトラデカヒドロ−1H,3H−5,11−エタノ−4,12:6,10−ジメタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン、テトラデカヒドロ−1H,3H−4,12−エテノ−5,11:6,10−ジメタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン、テトラデカヒドロ−1H,3H−4,12:5,11−ジエテノ−6,10−メタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン、テトラデカヒドロ−1H,3H−4,12:5,11:6,10−トリエテノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン、テトラデカヒドロ−1H,3H−5,11−エテノ−4,12:6,10−ジメタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン、及び対応するテトラカルボン酸や、テトラカルボン酸二無水物以外のテトラカルボン酸誘導体等が挙げられ、前記化学式(A−2)の構造を与えるテトラカルボン酸成分としては、例えば、3a,4,10,10a−テトラヒドロ−1H,3H−4,10−メタノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン、3a,4,10,10a−テトラヒドロ−1H,3H−4,10−エタノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン、3a,4,10,10a−テトラヒドロ−1H,3H−4,10−エテノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン、及び対応するテトラカルボン酸や、テトラカルボン酸二無水物以外のテトラカルボン酸誘導体等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸成分(テトラカルボン酸類等)は、1種を単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。ここで、テトラカルボン酸類等とは、テトラカルボン酸と、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸シリルエステル、テトラカルボン酸エステル、テトラカルボン酸クロライド等のテトラカルボン酸誘導体を表す。
前記化学式(1−1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は、前記化学式(B−1)の構造を与えるジアミン成分、および前記化学式(B−2)の構造を与えるジアミン成分である。
前記化学式(B−1)の構造を与えるジアミン成分は、芳香環を有し、芳香環を複数有する場合は芳香環同士をそれぞれ独立に、直接結合、アミド結合、またはエステル結合で連結したものである。芳香環同士の連結位置は特に限定されないが、アミノ基もしくは芳香環同士の連結基に対して4位で結合することが好ましい。すなわち、前記化学式(B−1)で表される基において、芳香環同士の連結位置は特に限定されないが、A11に結合するアミド基(−CONH−)もしくは芳香環同士の連結基に対して4位で結合することが好ましい。このように結合することで、得られるポリイミドが直線的な構造となり、低線熱膨張になることがある。前記化学式(B−1)の構造を与えるジアミン成分が芳香環を一つ有する場合は、p−フェニレン構造を有することが好ましい。すなわち、前記化学式(B−1)で表される基が芳香環を一つ有する場合(n1及びn2が0である場合)、前記化学式(B−1)で表される基は、置換基(Y1)を有していてもよいp−フェニレン、好ましくは無置換のp−フェニレンであることが好ましい。また、芳香環にメチル基やトリフルオロメチル基が置換されていてもよい。なお、置換位置は特に限定されない。
前記化学式(B−2)の構造を与えるジアミン成分は、脂肪族6員環を有するものであり、脂肪族6員環にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が置換されていてもよいが、得られるポリイミドの耐熱性および線熱膨張係数の点からは、無置換の脂肪族6員環であることが好ましい。すなわち、前記化学式(B−2)で表される基において、Y4は水素原子であることが好ましい。なお、置換位置は特に限定されない。また、前記化学式(B−2)の構造を与えるジアミン成分は、脂肪族6員環として1,4−シクロヘキサン構造を有することが好ましい。すなわち、前記化学式(B−2)で表される基は、置換基(Y4)を有していてもよい1,4−シクロヘキシレン、好ましくは無置換の1,4−シクロヘキシレンであることが好ましい。
前記化学式(B−1)の構造を与えるジアミン成分としては、特に限定するものではないが、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ベンジジン、3,3’−ジアミノ−ビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、m−トリジン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−p−フェニレンビス(p−アミノベンズアミド)、4−アミノフェノキシ−4−ジアミノベンゾエート、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸ビス(4−アミノフェニル)エステル、p−フェニレンビス(p−アミノベンゾエート)、ビス(4−アミノフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジカルボキシレート、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイルビス(4−アミノベンゾエート)等が挙げられる。前記化学式(B−2)の構造を与えるジアミン成分としては、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−メチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−エチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−プロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソプロピルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−n−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−イソブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−sec−ブチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2−tert−ブチルシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン等が挙げられる。前記化学式(B−2)の構造を与えるジアミン成分としては、得られるポリイミドの熱線膨張係数が低いことから、1,4−ジアミノシクロヘキサンがより好ましい。また、上記の1,4−シクロヘキサン構造を有するジアミンの1,4位の立体構造は、特に限定されないが、トランス構造であることが好ましい。トランス構造である場合、シス構造の場合と比較して、得られるポリイミドの着色がより抑制されることがある。これらのジアミン成分は、1種を単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
前記化学式(1−1)中のB11、すなわち前記化学式(B−1)で表される2価の基、および前記化学式(B−2)で表される2価の基としては、下記化学式(B−1−1)〜(B−1−6)、(B−2−1)のいずれかで表される基が好ましい。
なお、B11が前記化学式(B−1−1)または(B−1−2)で表されるものである前記化学式(1−1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は4,4’−ジアミノベンズアニリドであり、B11が前記化学式(B−1−3)で表されるものである前記化学式(1−1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分はビス(4−アミノフェニル)テレフタレートであり、B11が前記化学式(B−1−4)で表されるものである前記化学式(1−1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分はp−フェニレンジアミンであり、B11が前記化学式(B−1−5)で表されるものである前記化学式(1−1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンであり、B11が前記化学式(B−1−6)で表されるものである前記化学式(1−1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分はm−トリジンであり、B11が前記化学式(B−2−1)で表されるものである前記化学式(1−1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は1,4−ジアミノシクロヘキサンである。
前記化学式(1−1)中のB11中、前記化学式(B−1−1)〜(B−1−6)、(B−2−1)のいずれかで表される基の割合は、合計で、好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上、特に好ましくは70モル%以上である。
本発明のポリイミド前駆体(1−1)は、前記化学式(1−1)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位を含むことができる。ある実施態様においては、前記化学式(1−1)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位、例えば、テトラカルボン酸成分に由来する4価の基が前記化学式(A−1)で表される4価の基または前記化学式(A−2)で表される4価の基であり、ジアミン成分に由来する2価の基が複数の芳香環を有し、芳香環同士がエーテル結合(−O−)で連結されているものである繰り返し単位を、全繰り返し単位中、例えば、30モル%以下、あるいは25モル%以下、あるいは20モル%以下、あるいは10モル%以下で含むことが好ましいことがある。ある実施態様においては、求められる特性、用途により、テトラカルボン酸成分に由来する4価の基が前記化学式(A−1)で表される4価の基または前記化学式(A−2)で表される4価の基であり、ジアミン成分に由来する2価の基が複数の芳香環を有し、芳香環同士がエーテル結合(−O−)で連結されているものである繰り返し単位を、全繰り返し単位中、例えば、40モル%以下、好ましくは35モル%以下で含むことが好ましいことがある。
他の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分としては、他の芳香族または脂肪族テトラカルボン酸類を使用することができる。特に限定するものではないが、例えば、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−オキシジフタル酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、m−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビスカルボキシフェニルジメチルシラン、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィド、スルホニルジフタル酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、イソプロピリデンジフェノキシビスフタル酸、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−2,3,3’,4’−テトラカルボン酸、[1,1’−ビ(シクロヘキサン)]−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、4,4’−メチレンビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−オキシビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−チオビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−スルホニルビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−(ジメチルシランジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、4,4’−(テトラフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)、オクタヒドロペンタレン−1,3,4,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、6−(カルボキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5−トリカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3,7,8−テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカン−3,4,7,8−テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカ−7−エン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、9−オキサトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸、デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸等の誘導体や、これらの酸二無水物が挙げられる。これらのテトラカルボン酸成分(テトラカルボン酸類等)は、1種を単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。これらのうちでは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸等の誘導体や、これらの酸二無水物が好ましい。
また、組み合わせるジアミン成分が、前記化学式(B−1)の構造を与えるジアミン成分および前記化学式(B−2)の構造を与えるジアミン成分以外の、他のジアミンである場合、他の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分として、前記化学式(A−1)の構造を与えるテトラカルボン酸成分および前記化学式(A−2)の構造を与えるテトラカルボン酸成分の1種または2種以上を使用することもできる。
他の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、他の芳香族または脂肪族ジアミン類を使用することができる。特に限定するものではないが、例えば、4,4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、p−メチレンビス(フェニレンジアミン)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3−ビス((アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、オクタフルオロベンジジン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル等や、これらの誘導体が挙げられる。これらのジアミン成分は、1種を単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
また、組み合わせるテトラカルボン酸成分が、前記化学式(A−1)の構造を与えるテトラカルボン酸成分および前記化学式(A−2)の構造を与えるテトラカルボン酸成分以外の、他のテトラカルボン酸類等である場合、他の繰り返し単位を与えるジアミン成分として、前記化学式(B−1)の構造を与えるジアミン成分および前記化学式(B−2)の構造を与えるジアミン成分の1種または2種以上を使用することもできる。
ある実施態様においては、例えば、4,4’−オキシジアニリン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル等の、芳香環を複数有し、芳香環同士がエーテル結合(−O−)で連結されているジアミン成分を、ジアミン成分100モル%中、例えば、30モル%以下、あるいは25モル%以下、あるいは20モル%以下、あるいは10モル%以下で使用することが好ましいことがある。また、ある実施態様においては、求められる特性、用途により、芳香環を複数有し、芳香環同士がエーテル結合(−O−)で連結されているジアミン成分を、ジアミン成分100モル%中、例えば、40モル%以下、好ましくは35モル%以下で使用することが好ましいことがある。
本発明の第2の態様のポリイミド前駆体(以下、「ポリイミド前駆体(1−2)」と言うこともある。)は、前記化学式(1−2)で表される繰り返し単位を少なくとも1種含むポリイミド前駆体である。ただし、前記化学式(1−2)は、テトラカルボン酸成分に由来する4価の基であるA12の4つの結合手のうち、1つが−CONH−に結合し、1つが−CONH−B12−に結合し、1つが−COOX3に結合し、1つが−COOX4に結合していることを示し、前記化学式(1−2)には、その構造異性体のすべてが含まれる。
化学式(1−2)で表される繰り返し単位の合計含有量は、特に限定されないが、全繰り返し単位に対して、50モル%以上であることが好ましい。すなわち、本発明のポリイミド前駆体(1−2)は、前記化学式(1−2)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位中に、合計で、50モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むことが好ましい。
なお、本発明のポリイミド前駆体(1−2)は、A12および/またはB12が異なる前記化学式(1−2)の繰り返し単位2種以上を含むものであってもよい。また、本発明のポリイミド前駆体(1−2)は、A12が前記化学式(A−3)で表される4価の基である前記化学式(1−2)の繰り返し単位の1種または2種以上と、A12が前記化学式(A−4)で表される4価の基である前記化学式(1−2)の繰り返し単位とを含むものであってもよい。
換言すれば、本発明のポリイミド前駆体(1−2)は、前記化学式(A−3)の構造を与えるテトラカルボン酸成分および/または前記化学式(A−4)の構造を与えるテトラカルボン酸成分を含むテトラカルボン酸成分と、芳香族環または脂環構造を有するジアミン成分(すなわち、芳香族ジアミンまたは脂環式ジアミン)を含むジアミン成分とから得られるポリイミド前駆体である。
前記化学式(1−2)の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分は、前記化学式(A−3)の構造を与えるテトラカルボン酸成分、および前記化学式(A−4)の構造を与えるテトラカルボン酸成分である。前記化学式(A−3)の構造を与えるテトラカルボン酸成分としては、例えば、3a,4,6,6a,9a,10,12,12a−オクタヒドロ−1H,3H−4,12:6,10−ジメタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン、3a,4,6,6a,9a,10,12,12a−オクタヒドロ−1H,3H−4,12−エタノ−6,10−メタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン、3a,4,6,6a,9a,10,12,12a−オクタヒドロ−1H,3H−4,12:6,10−ジエタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン、3a,4,6,6a,9a,10,12,12a−オクタヒドロ−1H,3H−4,12−エテノ−6,10−メタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン、3a,4,6,6a,9a,10,12,12a−オクタヒドロ−1H,3H−4,12:6,10−ジエテノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン、及び対応するテトラカルボン酸や、テトラカルボン酸二無水物以外のテトラカルボン酸誘導体等が挙げられ、前記化学式(A−4)の構造を与えるテトラカルボン酸成分としては、例えば、デカヒドロ−1H,3H−4,10−エタノ−5,9−メタノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン、及び対応するテトラカルボン酸や、テトラカルボン酸二無水物以外のテトラカルボン酸誘導体等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸成分(テトラカルボン酸類等)は、1種を単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。ここで、テトラカルボン酸類等とは、テトラカルボン酸と、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸シリルエステル、テトラカルボン酸エステル、テトラカルボン酸クロライド等のテトラカルボン酸誘導体を表す。
前記化学式(1−2)中のB12は、芳香族環または脂環構造を有する2価の基であり、得られるポリイミドの耐熱性の点から、芳香族環を有する2価の基であることが好ましい。化学式(1−2)中のB12、すなわち、ジアミン成分は、特に限定されず、求められる特性、用途に応じて適宜選択することができる。
前記化学式(1−2)の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、例えば、前記ポリイミド前駆体(1−1)の前記化学式(B−1)の構造を与えるジアミン成分および前記化学式(B−2)の構造を与えるジアミン成分として挙げたもの、さらに、前記化学式(B−1)の構造を与えるジアミン成分および前記化学式(B−2)の構造を与えるジアミン成分以外の、他の繰り返し単位を与えるジアミン成分として挙げたものと同じものが挙げられ、いずれも好適に使用することができる。ポリイミド前駆体(1−2)においても、これらのジアミン成分は、1種を単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
前記化学式(1−2)中のB12としては、炭素数が6〜40の芳香族環を有する2価の基が好ましく、前記ポリイミド前駆体(1−1)において例示した前記化学式(B−1)で表される基がより好ましい。また、前記ポリイミド前駆体(1−1)において例示した前記化学式(B−2)で表される基も好ましい。前記化学式(1−2)中のB12としては、中でも、前記化学式(B−1−1)〜(B−1−6)、(B−2−1)のいずれかで表される基が特に好ましい。
前記化学式(1−2)中のB12としては、複数の芳香環を有し、芳香環同士の一部または全部がエーテル結合(−O−)で連結されている2価の基も好ましく、下記化学式(B−3−1)〜(B−3−4)のいずれかで表される基も特に好ましい。
なお、B12が前記化学式(B−3−1)で表されるものである前記化学式(1−2)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は4,4’−オキシジアニリンであり、B12が前記化学式(B−3−2)で表されるものである前記化学式(1−2)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンであり、B12が前記化学式(B−3−3)で表されるものである前記化学式(1−2)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンであり、B12が前記化学式(B−3−4)で表されるものである前記化学式(1−2)の繰り返し単位を与えるジアミン成分は4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルである。
前記のように、化学式(1−2)中のB12、すなわち、ジアミン成分は、求められる特性、用途に応じて適宜選択することができる。ある実施態様においては、前記化学式(1−2)中のB12中、前記化学式(B−1)で表される基および/または前記化学式(B−2)で表される基、より好ましくは前記化学式(B−1−1)〜(B−1−6)、(B−2−1)のいずれかで表される基の割合が、合計で、例えば、50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、より好ましくは65モル%以上、より好ましくは70モル%以上、あるいは75モル%以上であることが好ましい。ある実施態様においては、前記化学式(1−2)中のB12中、複数の芳香環を有し、芳香環同士の一部または全部がエーテル結合(−O−)で連結されている2価の基、より好ましくは前記化学式(B−3−1)〜(B−3−4)のいずれかで表される基の割合が、合計で、例えば、30モル%以上、より好ましくは50モル%以上であることが好ましい。ある実施態様においては、前記化学式(1−2)中のB12中、前記化学式(B−1)で表される基および/または前記化学式(B−2)で表される基の割合が、合計で、60モル%以上、好ましくは65モル%以上、あるいは70モル%以上、あるいは75モル%以上であり、前記化学式(B−3−1)〜(B−3−4)のいずれかで表される基の割合が、合計で、40モル%以下、好ましくは35モル%以下、あるいは30モル%以下、あるいは25モル%以下であることが好ましい。
本発明のポリイミド前駆体(1−2)は、前記化学式(1−2)で表される繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位を含むことができる。
他の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分としては、他の芳香族または脂肪族テトラカルボン酸類を使用することができ、例えば、前記ポリイミド前駆体(1−1)において他の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分として挙げたものと同じものが挙げられる。また、前記化学式(1−1)の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分(すなわち、前記化学式(A−1)の構造を与えるテトラカルボン酸成分、および前記化学式(A−2)の構造を与えるテトラカルボン酸成分)として挙げたものも使用することができる。ポリイミド前駆体(1−2)においても、これらの他の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分は、1種を単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
また、組み合わせるジアミン成分が、芳香族環および脂環構造を有さないジアミンである場合、他の繰り返し単位を与えるテトラカルボン酸成分として、前記化学式(A−3)の構造を与えるテトラカルボン酸成分および前記化学式(A−4)の構造を与えるテトラカルボン酸成分の1種または2種以上を使用することもできる。
他の繰り返し単位を与えるジアミン成分としては、他の芳香族または脂肪族ジアミン類を使用することができ、例えば、前記ポリイミド前駆体(1−1)において他の繰り返し単位を与えるジアミン成分として挙げたものと同じものが挙げられる。また、前記化学式(1−1)の繰り返し単位を与えるジアミン成分(すなわち、前記化学式(B−1)の構造を与えるジアミン成分、および前記化学式(B−2)の構造を与えるジアミン成分)として挙げたものも使用することができる。ポリイミド前駆体(1−2)においても、これらの他の繰り返し単位を与えるジアミン成分は、1種を単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。
本発明のポリイミド前駆体〔ポリイミド前駆体(1−1)、ポリイミド前駆体(1−2)〕において、前記化学式(1−1)中のX1、X2、及び前記化学式(1−2)中のX3、X4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、または炭素数3〜9のアルキルシリル基のいずれかである。X1、X2、X3、X4は、後述する製造方法によって、その官能基の種類、及び官能基の導入率を変化させることができる。
X1及びX2、X3及びX4が水素である場合、ポリイミドの製造が容易である傾向がある。
X1及びX2、X3及びX4が炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である場合、ポリイミド前駆体の保存安定性に優れる傾向がある。この場合、X1及びX2、X3及びX4はメチル基もしくはエチル基であることがより好ましい。
X1及びX2、X3及びX4が炭素数3〜9のアルキルシリル基である場合、ポリイミド前駆体の溶解性が優れる傾向がある。この場合、X1及びX2、X3及びX4はトリメチルシリル基もしくはt−ブチルジメチルシリル基であることがより好ましい。
官能基の導入率は、特に限定されないが、アルキル基もしくはアルキルシリル基を導入する場合、X1及びX2、X3及びX4はそれぞれ、25%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは75%以上をアルキル基もしくはアルキルシリル基にすることができる。
本発明のポリイミド前駆体は、X1とX2、X3とX4が取る化学構造によって、1)ポリアミド酸(X1とX2、X3とX4が水素)、2)ポリアミド酸エステル(X1とX2の少なくとも一部がアルキル基、X3とX4の少なくとも一部がアルキル基)、3)4)ポリアミド酸シリルエステル(X1とX2の少なくとも一部がアルキルシリル基、X3とX4の少なくとも一部がアルキルシリル基)に分類することができる。そして、本発明のポリイミド前駆体は、この分類ごとに、以下の製造方法により容易に製造することができる。ただし、本発明のポリイミド前駆体の製造方法は、以下の製造方法に限定されるものではない。
1)ポリアミド酸
本発明のポリイミド前駆体は、溶媒中でテトラカルボン酸成分としてのテトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを略等モル、好ましくはテトラカルボン酸成分に対するジアミン成分のモル比[ジアミン成分のモル数/テトラカルボン酸成分のモル数]が好ましくは0.90〜1.10、より好ましくは0.95〜1.05の割合で、例えば120℃以下の比較的低温度でイミド化を抑制しながら反応することによって、ポリイミド前駆体溶液組成物として好適に得ることができる。
本発明のポリイミド前駆体の合成方法は、限定するものではないが、より具体的には、有機溶剤にジアミンを溶解し、この溶液に攪拌しながら、テトラカルボン酸二無水物を徐々に添加し、0〜120℃、好ましくは5〜80℃の範囲で1〜72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。上記製造方法でのジアミンとテトラカルボン酸二無水物の添加順序は、ポリイミド前駆体の分子量が上がりやすいため、好ましい。また、上記製造方法のジアミンとテトラカルボン酸二無水物の添加順序を逆にすることも可能であり、析出物が低減することから、好ましい。
また、テトラカルボン酸成分とジアミン成分のモル比がジアミン成分過剰である場合、必要に応じて、ジアミン成分の過剰モル数に略相当する量のカルボン酸誘導体を添加し、テトラカルボン酸成分とジアミン成分のモル比を略当量に近づけることができる。ここでのカルボン酸誘導体としては、実質的にポリイミド前駆体溶液の粘度を増加させない、つまり実質的に分子鎖延長に関与しないテトラカルボン酸、もしくは末端停止剤として機能するトリカルボン酸とその無水物、ジカルボン酸とその無水物などが好適である。
2)ポリアミド酸エステル
テトラカルボン酸二無水物を任意のアルコールと反応させ、ジエステルジカルボン酸を得た後、塩素化試薬(チオニルクロライド、オキサリルクロライドなど)と反応させ、ジエステルジカルボン酸クロライドを得る。このジエステルジカルボン酸クロライドとジアミンを−20〜120℃、好ましくは−5〜80℃の範囲で1〜72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。また、ジエステルジカルボン酸とジアミンを、リン系縮合剤や、カルボジイミド縮合剤などを用いて脱水縮合することでも、簡便にポリイミド前駆体が得られる。
この方法で得られるポリイミド前駆体は、安定なため、水やアルコールなどの溶剤を加えて再沈殿などの精製を行うこともできる。
3)ポリアミド酸シリルエステル(間接法)
あらかじめ、ジアミンとシリル化剤を反応させ、シリル化されたジアミンを得る。必要に応じて、蒸留等により、シリル化されたジアミンの精製を行う。そして、脱水された溶剤中にシリル化されたジアミンを溶解させておき、攪拌しながら、テトラカルボン酸二無水物を徐々に添加し、0〜120℃、好ましくは5〜80℃の範囲で1〜72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。
ここで用いるシリル化剤として、塩素を含有しないシリル化剤を用いることは、シリル化されたジアミンを精製する必要がないため、好適である。塩素原子を含まないシリル化剤としては、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。フッ素原子を含まず低コストであることから、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが特に好ましい。
また、ジアミンのシリル化反応には、反応を促進するために、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミンなどのアミン系触媒を用いることができる。この触媒はポリイミド前駆体の重合触媒として、そのまま使用することができる。
4)ポリアミド酸シリルエステル(直接法)
1)の方法で得られたポリアミド酸溶液とシリル化剤を混合し、0〜120℃、好ましくは5〜80℃の範囲で1〜72時間攪拌することで、ポリイミド前駆体が得られる。80℃以上で反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し、また熱によりイミド化が進行することから、ポリイミド前駆体を安定して製造できなくなる可能性がある。
ここで用いるシリル化剤として、塩素を含有しないシリル化剤を用いることは、シリル化されたポリアミド酸、もしくは、得られたポリイミドを精製する必要がないため、好適である。塩素原子を含まないシリル化剤としては、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。フッ素原子を含まず低コストであることから、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが特に好ましい。
前記製造方法は、いずれも有機溶媒中で好適に行なうことができるので、その結果として、本発明のポリイミド前駆体のワニスを容易に得ることができる。
ポリイミド前駆体を調製する際に使用する溶媒は、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性溶媒が好ましく、特にN,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましいが、原料モノマー成分と生成するポリイミド前駆体が溶解すれば、どんな種類の溶媒であっても問題はなく使用できるので、特にその構造には限定されない。溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、トリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどが好ましく採用される。さらに、その他の一般的な有機溶剤、即ちフェノール、o−クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども使用できる。なお、溶媒は、複数種を組み合わせて使用することもできる。
本発明において、ポリイミド前駆体の対数粘度は、特に限定されないが、30℃での濃度0.5g/dLのN,N−ジメチルアセトアミド溶液における対数粘度が0.2dL/g以上、より好ましくは0.3dL/g以上であることが好ましい。対数粘度が0.2dL/g以上では、ポリイミド前駆体の分子量が高く、得られるポリイミドの機械強度や耐熱性に優れる。
本発明において、ポリイミド前駆体のワニスは、少なくとも本発明のポリイミド前駆体〔ポリイミド前駆体(1−1)および/またはポリイミド前駆体(1−2)〕と溶媒とを含む。溶媒とテトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量に対して、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量が5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上の割合であることが好適である。なお、通常は、溶媒とテトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量に対して、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との合計量が60質量%以下、好ましくは50質量%以下であることが好適である。この濃度は、ポリイミド前駆体に起因する固形分濃度にほぼ近似される濃度であるが、この濃度が低すぎると、例えばポリイミドフィルムを製造する際に得られるポリイミドフィルムの膜厚の制御が難しくなることがある。
本発明のポリイミド前駆体のワニスに用いる溶媒としては、ポリイミド前駆体が溶解すれば問題はなく、特にその構造は限定されない。溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、トリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどが好ましく採用される。さらに、その他の一般的な有機溶剤、即ちフェノール、o−クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども使用できる。また、これらを複数種組み合わせて使用することもできる。なお、ポリイミド前駆体のワニスの溶媒は、ポリイミド前駆体を調製する際に使用した溶媒をそのまま使用することができる。
本発明において、ポリイミド前駆体のワニスの粘度(回転粘度)は、特に限定されないが、E型回転粘度計を用い、温度25℃、せん断速度20sec−1で測定した回転粘度が、0.01〜1000Pa・secが好ましく、0.1〜100Pa・secがより好ましい。また、必要に応じて、チキソ性を付与することもできる。上記範囲の粘度では、コーティングや製膜を行う際、ハンドリングしやすく、また、はじきが抑制され、レベリング性に優れるため、良好な被膜が得られる。
本発明のポリイミド前駆体のワニスは、必要に応じて、化学イミド化剤(無水酢酸などの酸無水物や、ピリジン、イソキノリンなどのアミン化合物)、酸化防止剤、フィラー(シリカ等の無機粒子など)、染料、顔料、シランカップリング剤などのカップリング剤、プライマー、難燃材、消泡剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤(流動補助剤)、剥離剤などを添加することができる。
本発明の第1の態様のポリイミド(以下、「ポリイミド(2−1)」と言うこともある。)は、前記化学式(2−1)で表される繰り返し単位を少なくとも1種含み、その化学式(2−1)で表される繰り返し単位の合計含有量が、全繰り返し単位に対して、50モル%以上であるポリイミドである。すなわち、本発明のポリイミド(2−1)は、本発明のポリイミド前駆体(1−1)を得るために使用した、前記のテトラカルボン酸成分とジアミン成分を使用して得ることができ、好ましいテトラカルボン酸成分とジアミン成分も前記の本発明のポリイミド前駆体(1−1)と同様である。
なお、前記化学式(2−1)は、ポリイミド前駆体(1−1)の前記化学式(1−1)に対応し、前記化学式(2−1)中のA21、B21は、それぞれ、前記化学式(1−1)中のA11、B11に対応する。
本発明の第2の態様のポリイミド(以下、「ポリイミド(2−2)」と言うこともある。)は、前記化学式(2−2)で表される繰り返し単位を少なくとも1種含むポリイミドである。化学式(2−2)で表される繰り返し単位の合計含有量は、特に限定されないが、全繰り返し単位に対して、50モル%以上であることが好ましい。すなわち、本発明のポリイミド(2−2)は、本発明のポリイミド前駆体(1−2)を得るために使用した、前記のテトラカルボン酸成分とジアミン成分を使用して得ることができ、好ましいテトラカルボン酸成分とジアミン成分も前記の本発明のポリイミド前駆体(1−2)と同様である。
なお、前記化学式(2−2)は、ポリイミド前駆体(1−2)の前記化学式(1−2)に対応し、前記化学式(2−2)中のA22、B22は、それぞれ、前記化学式(1−2)中のA12、B12に対応する。
本発明のポリイミド(2−1)は、前記のような本発明のポリイミド前駆体(1−1)を脱水閉環反応(イミド化反応)することで好適に製造することができる。本発明のポリイミド(2−2)は、前記のような本発明のポリイミド前駆体(1−2)を脱水閉環反応(イミド化反応)することで好適に製造することができる。イミド化の方法は特に限定されず、公知の熱イミド化、または化学イミド化の方法を好適に適用することができる。
得られるポリイミドの形態は、フィルム、ポリイミドフィルムと他の基材との積層体、コーティング膜、粉末、ビーズ、成型体、発泡体、およびワニスなどを好適に挙げることができる。
本発明において、ポリイミドの対数粘度は、特に限定されないが、30℃での濃度0.5g/dLのN,N−ジメチルアセトアミド溶液における対数粘度が0.2dL/g以上、より好ましくは0.4dL/g以上、特に好ましくは0.5dL/g以上であることが好ましい。対数粘度が0.2dL/g以上では、得られるポリイミドの機械強度や耐熱性に優れる。
本発明において、ポリイミドのワニスは、少なくとも本発明のポリイミドと溶媒とを含み、溶媒とポリイミドの合計量に対して、ポリイミドが5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上の割合であることが好適である。この濃度が低すぎると、例えばポリイミドフィルムを製造する際に得られるポリイミドフィルムの膜厚の制御が難しくなることがある。
本発明のポリイミドのワニスに用いる溶媒としては、ポリイミドが溶解すれば問題はなく、特にその構造は限定されない。溶媒としては、前記の本発明のポリイミド前駆体のワニスに用いる溶媒を同様に用いることができる。
本発明において、ポリイミドのワニスの粘度(回転粘度)は、特に限定されないが、E型回転粘度計を用い、温度25℃、せん断速度20sec−1で測定した回転粘度が、0.01〜1000Pa・secが好ましく、0.1〜100Pa・secがより好ましい。また、必要に応じて、チキソ性を付与することもできる。上記範囲の粘度では、コーティングや製膜を行う際、ハンドリングしやすく、また、はじきが抑制され、レベリング性に優れるため、良好な被膜が得られる。
本発明のポリイミドのワニスは、必要に応じて、酸化防止剤、フィラー(シリカ等の無機粒子など)、染料、顔料、シランカップリング剤などのカップリング剤、プライマー、難燃材、消泡剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤(流動補助剤)、剥離剤などを添加することができる。
本発明のポリイミド前駆体から得られるポリイミド及び本発明のポリイミドは、特に限定されないが、フィルムにしたときの100℃から250℃までの線熱膨張係数が、好ましくは45ppm/K以下、より好ましくは40ppm/K以下であることができる。線熱膨張係数が大きいと、金属などの導体との線熱膨張係数の差が大きく、回路基板を形成する際に反りが増大するなどの不具合が生じることがある。
本発明のポリイミド前駆体から得られるポリイミド及び本発明のポリイミドは、特に限定されないが、厚さ10μmのフィルムでの全光透過率(波長380nm〜780nmの平均光透過率)が、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上であることができる。ディスプレイ用途等で使用する場合、全光透過率が低いと光源を強くする必要があり、エネルギーがかかるといった問題等を生じることがある。
なお、本発明のポリイミドからなるフィルムは、用途にもよるが、フィルムの厚みとしては、好ましくは1μm〜250μm、より好ましくは1μm〜150μm、さらに好ましくは1μm〜50μm、特に好ましくは1μm〜30μmである。ディスプレイ用途等、ポリイミドフィルムを光が透過する用途に使用する場合、ポリイミドフィルムが厚すぎると光透過率が低くなる恐れがある。
本発明のポリイミド前駆体から得られるポリイミド及び本発明のポリイミドは、特に限定されないが、ポリイミドの耐熱性の指標である5%重量減少温度が、好ましくは420℃以上、より好ましくは450℃以上であることができる。ポリイミド上にトランジスタを形成する等で、ポリイミド上にガスバリア膜等を形成する場合、耐熱性が低いと、ポリイミドとバリア膜との間で、ポリイミドの分解等に伴うアウトガスにより膨れが生じることがある。
本発明のポリイミド前駆体から得られるポリイミド及び本発明のポリイミドは、例えば、ディスプレイ用透明基板、タッチパネル用透明基板、または太陽電池用基板の用途において、好適に用いることができる。
以下では、本発明のポリイミド前駆体を用いた、ポリイミドフィルム/基材積層体、もしくはポリイミドフィルムの製造方法の一例について述べる。ただし、以下の方法に限定されるものではない。
例えばセラミック(ガラス、シリコン、アルミナなど)、金属(銅、アルミニウム、ステンレスなど)、耐熱プラスチックフィルム(ポリイミドフィルムなど)等の基材に、本発明のポリイミド前駆体のワニスを流延し、真空中、窒素等の不活性ガス中、或いは空気中で、熱風もしくは赤外線を用いて、20〜180℃、好ましくは20〜150℃の温度範囲で乾燥する。次いで、得られたポリイミド前駆体フィルムを基材上で、もしくはポリイミド前駆体フィルムを基材上から剥離し、そのフィルムの端部を固定した状態で、真空中、窒素等の不活性ガス中、或いは空気中で、熱風もしくは赤外線を用い、例えば200〜500℃、より好ましくは250〜460℃程度の温度で加熱イミド化することでポリイミドフィルム/基材積層体、もしくはポリイミドフィルムを製造することができる。なお、得られるポリイミドフィルムが酸化劣化するのを防ぐため、加熱イミド化は、真空中、或いは不活性ガス中で行うことが望ましい。加熱イミド化の温度が高すぎなければ空気中で行なっても差し支えない。
また、ポリイミド前駆体のイミド化反応は、前記のような加熱処理による加熱イミド化に代えて、ポリイミド前駆体をピリジンやトリエチルアミン等の3級アミン存在下、無水酢酸等の脱水環化試薬を含有する溶液に浸漬するなどの化学的処理によって行うことも可能である。また、これらの脱水環化試薬をあらかじめ、ポリイミド前駆体のワニス中に投入・攪拌し、それを基材上に流延・乾燥することで、部分的にイミド化したポリイミド前駆体を作製することもでき、得られた部分的にイミド化したポリイミド前駆体フィルムを基材上で、もしくはポリイミド前駆体フィルムを基材上から剥離し、そのフィルムの端部を固定した状態で、更に前記のような加熱処理することで、ポリイミドフィルム/基材積層体、もしくはポリイミドフィルムを得ることができる。
この様にして得られたポリイミドフィルム/基材積層体、もしくはポリイミドフィルムは、その片面もしくは両面に導電性層を形成することによって、フレキシブルな導電性基板を得ることができる。
フレキシブルな導電性基板は、例えば次の方法によって得ることができる。すなわち、第一の方法としては、ポリイミドフィルム/基材積層体を基材からポリイミドフィルムを剥離せずに、そのポリイミドフィルム表面に、スパッタ、蒸着、印刷などによって、導電性物質(金属もしくは金属酸化物、導電性有機物、導電性炭素など)の導電層を形成させ、導電性層/ポリイミドフィルム/基材の導電性積層体を製造する。その後必要に応じて、基材より導電性層/ポリイミドフィルム積層体を剥離することによって、導電性層/ポリイミドフィルム積層体からなる透明でフレキシブルな導電性基板を得ることができる。
第二の方法としては、ポリイミドフィルム/基材積層体の基材からポリイミドフィルムを剥離して、ポリイミドフィルムを得、そのポリイミドフィルム表面に、導電性物質(金属もしくは金属酸化物、導電性有機物、導電性炭素など)の導電層を、第一の方法と同様にして形成させ、導電性層/ポリイミドフィルム積層体、または導電性層/ポリイミドフィルム/導電性層積層体からなる透明でフレキシブルな導電性基板を得ることができる。
なお、第一、第二の方法において、必要に応じて、ポリイミドフィルムの表面に導電層を形成する前に、スパッタ、蒸着やゲル−ゾル法などによって、水蒸気、酸素などのガスバリア層、光調整層などの無機層を形成しても構わない。
また、導電層は、フォトリソグラフィ法や各種印刷法、インクジェット法などの方法によって、回路が好適に形成される。
このようにして得られる本発明の基板は、本発明のポリイミドによって構成されたポリイミドフィルムの表面に、必要に応じてガスバリア層や無機層を介し、導電層の回路を有するものである。この基板は、フレキシブルであり、微細な回路の形成が容易である。したがって、この基板は、ディスプレイ用、タッチパネル用、または太陽電池用の基板として好適に用いることができる。
すなわち、この基板に、蒸着、各種印刷法、或いはインクジェット法などによって、さらにトランジスタ(無機トランジスタ、有機トランジスタ)が形成されてフレキシブル薄膜トランジスタが製造され、そして、表示デバイス用の液晶素子、EL素子、光電素子として好適に用いられる。
本発明のポリイミド前駆体(1−2)及び本発明のポリイミド(2−2)の製造に使用されるテトラカルボン酸二無水物である前記化学式(M−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物、及び前記化学式(M−4)で表されるテトラカルボン酸二無水物は新規な化合物である。
以下、前記化学式(M−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の製造方法について述べる。
前記化学式(M−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、特開2010−184898号公報、J.Chin.Chem.Soc. 1998,45,799、Tetrahedron 1998,54,7013、Helvetica.Chim.Acta. 2003,86,439、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1989,28,1037等を参考にして、例えば、以下に示す反応スキームに従って合成することができる。ここでは、R5’、R6’が−CH2−である化学式(M−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物、すなわち3a,4,6,6a,9a,10,12,12a−オクタヒドロ−1H,3H−4,12:6,10−ジメタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン(DMADA)を例に説明するが、他のテトラカルボン酸二無水物も同様にして製造することができる。
(式中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基であり、R
11、R
12、R
13、R
14は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基である。)
(第1工程)
第1工程では、R5’、R6’が−CH2−である化学式(M−1)のテトラカルボン酸二無水物(DMADA)を合成する場合、p−ベンゾキノン(BQ)とシクロペンタジエン(CP)とを反応させて、1,4,4a,5,8,8a,9a,10a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノアントラセン−9,10−ジオン(DNBQ)を合成する。R5’、R6’が−CH2CH2−である化学式(M−1)のテトラカルボン酸二無水物を合成する場合、ここで、シクロペンタジエン(CP)に代えて、1,3−シクロヘキサジエンをBQと反応させればよい。
前記シクロペンタジエン(あるいは1,3−シクロヘキサジエン等)の使用量は、p−ベンゾキノン(BQ)1モルに対して、好ましくは1.0〜20モル、更に好ましくは1.5〜10.0モルである。
本反応は、通常、有機溶媒中で行う。使用する有機溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロプロピルメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられるが、好ましくはアルコール類、芳香族炭化水素類が使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記有機溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、BQ1gに対して、好ましくは1〜50g、更に好ましくは2〜30gである。
本反応は、例えば、有機溶媒中でBQとCPを混合して、攪拌させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは0〜150℃、更に好ましくは15〜60℃であり、反応圧力は特に制限されない。
(第2工程)
第2工程では、第1工程で得られたDNBQと水素化ホウ素ナトリウムとを反応させて、1,4,4a,5,8,8a,9,9a,10,10a−デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノアントラセン−9,10−ジオール(DNHQ)を合成する。
前記水素化ホウ素ナトリウムの使用量は、DNBQ1モルに対して、好ましくは0.5〜10モル、更に好ましくは1.5〜5.0モルである。
本反応は、通常、有機溶媒中で行う。使用する有機溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロプロピルメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられるが、好ましくはアルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類が使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記有機溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、DNBQ1gに対して、好ましくは1〜100g、更に好ましくは5〜50gである。
本反応は、例えば、有機溶媒中でDNBQと水素化ホウ素ナトリウムを混合して、攪拌させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは−20〜150℃、更に好ましくは0〜50℃であり、反応圧力は特に制限されない。
(第3工程)
第3工程では、塩基存在下で、第2工程で得られたDNHQとメタンスルホン酸クロリドとを反応させて、1,4,4a,5,8,8a,9,9a,10,10a−デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノアントラセン−9,10−ジイル ジメタンスルホネート(DNCMS;この場合、Rは−CH3〔−SO2Rはメシル基(−SO2CH3)〕)を合成する。メタンスルホン酸クロリドに代えて、その他の脂肪族スルホン酸クロリドまたは芳香族スルホン酸クロリドを使用することもできる。
本反応では塩基を使用する。本反応において使用する塩基としては、例えば、ジブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン等の二級アミン類;トリエチルアミン、トリブチルアミン等の三級アミン類;ピリジン、メチルピリジン、ジメチルアミノピリジン等のピリジン類;キノリン、イソキノリン、メチルキノリン等のキノリン類;水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられるが、好ましくは三級アミン類、ピリジン類、キノリン類、アルカリ金属炭酸塩が使用される。なお、これらの塩基は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記塩基の使用量は、DNHQ1モルに対して、好ましくは0.01〜200モル、更に好ましくは0.1〜100モルである。
本反応ではスルホン酸クロリドを使用する。本反応において使用するスルホン酸クロリドとしては、例えば、メタンスルホン酸クロリド、エタンスルホン酸クロリド、トリフルオロメタンスルホン酸クロリドなどの脂肪族スルホン酸クロリド類;ベンゼンスルホン酸クロリド、トルエンスルホン酸クロリド、ニトロベンゼンスルホン酸クロリドなどの芳香族スルホン酸クロリド類が挙げられるが、好ましくは脂肪族スルホン酸クロリドが使用される。なお、これらのスルホン酸クロリドは、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記スルホン酸クロリドの使用量は、DNHQ1モルに対して、好ましくは1.5〜10モル、更に好ましくは1.8〜5モルである。
本反応は、通常、有機溶媒中で行う。使用する有機溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ピリジン、メチルピリジン、ジメチルアミノピリジン等のピリジン類;キノリン、イソキノリン、メチルキノリン等のキノリン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロプロピルメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられるが、好ましくはピリジン類が使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記有機溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、DNHQ1gに対して、好ましくは1〜200g、更に好ましくは10〜100gである。
本反応は、例えば、有機溶媒中でDNHQ、塩基、スルホン酸クロリドを混合して、攪拌させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは−20〜150℃、更に好ましくは0〜50℃であり、反応圧力は特に制限されない。
(第4工程)
第4工程では、パラジウム触媒と銅化合物存在下、メタノール類と一酸化炭素を、第3工程で得られたDNCMSとを反応させて、テトラメチル−9,10−ビス((メチルスルホニル)オキシ)テトラデカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノアントラセン−2,3,6,7−テトラカルボキシレート(DNMTE;この場合、R11〜R14はメチル基)を合成する。メタノールに代えて、所望のエステル化合物に対応するその他のアルコール化合物を使用することもできる。
本反応で使用するアルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられるが、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、更に好ましくはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが使用される。なお、これらのアルコール化合物は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
アルコール化合物の使用量は、DNCMS1gに対して、好ましくは1〜100g、更に好ましくは5〜50gである。
本反応ではパラジウム触媒を使用する。本反応において使用するパラジウム触媒としては、パラジウムを含むものであれば特に限定されないが、例えば、塩化パラジウム、臭化パラジウム等のハロゲン化パラジウム;酢酸パラジウム、シュウ酸パラジウム等のパラジウム有機酸塩;硝酸パラジウム、硫酸パラジウム等のパラジウム無機酸塩;パラジウムを炭素やアルミナなどの担体に担持させたパラジウム炭素やパラジウムアルミナ等が挙げられるが、好ましくは塩化パラジウムやパラジウム炭素が使用される。
前記パラジウム触媒の使用量は、DNCMS1モルに対して、好ましくは0.001〜1モル、更に好ましくは0.01〜0.5モルである。
本反応では銅化合物を使用する。本反応において使用する銅化合物としては、例えば、酸化銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)等の一価の銅化合物、酸化銅(II)、塩化銅(II)、臭化銅(II)等の二価の銅化合物等が挙げられるが、好ましくは二価の銅化合物が使用され、更に好ましくは塩化銅(II)が使用される。なお、これらの銅化合物は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記銅化合物の使用量は、DNCMS1モルに対して、好ましくは1.0〜50モル、更に好ましくは4.0〜20モルである。
本反応では、前記アルコール化合物以外の有機溶媒を用いてもよい。使用する有機溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、脂肪族カルボン酸類(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等)、有機スルホン酸類(例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等)、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、尿素類(N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−メチレンジオキシベンゼン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン等)、ニトロ化芳香族炭化水素類(例えば、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)等が挙げられる。好ましくは脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類が使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記有機溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、DNCMS1gに対して、好ましくは1〜100g、更に好ましくは5〜50gである。
本反応は、例えば、有機溶媒中でDNCMS及びアルコール化合物、パラジウム触媒と銅化合物を混合して、一酸化炭素の雰囲気下で攪拌させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは−20〜100℃、更に好ましくは0〜50℃であり、反応圧力は特に制限されない。
(第5工程)
第5工程では、第4工程で得られたDNMTEの脱メタンスルホニル化反応により、テトラメチル−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,9a−デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノアントラセン−2,3,6,7−テトラカルボキシレート(DMHAE)を合成する。この第5工程で得られる化合物は、前記化学式(M−3)で表されるテトラエステル化合物であり、新規な化合物である。
本反応は、例えば、DNMTEを有機溶媒中で、必要に応じて加熱しながら、撹拌する等の方法によって行なわれる。その際の反応温度は、好ましくは−20〜200℃であり、更に好ましくは25〜180℃であり、反応圧力は特に制限されない。
本反応は、反応液に塩基を添加しなくても加熱して撹拌することで進行するが、副生する強酸性のメタンスルホン酸を捕捉するために塩基を使用することが望ましい。使用する塩基としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、ジブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン等の二級アミン類;トリエチルアミン、トリブチルアミン等の三級アミン類;ピリジン、メチルピリジン、ジメチルアミノピリジン等のピリジン類;キノリン、イソキノリン、メチルキノリン等のキノリン類;水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられるが、好ましくは三級アミン類、ピリジン類、キノリン類、アルカリ金属炭酸塩が使用される。なお、これらの塩基は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記塩基の使用量は、DNMTE1モルに対して、好ましくは1.5〜5モル、更に好ましくは1.8〜3モルである。
本反応は、通常、有機溶媒中で行う。使用する有機溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイソブチルアミド等のアミド類;N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロプロピルメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられるが、好ましくはアミド類、尿素類、ニトリル類が使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記有機溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、DNMTE1gに対して、好ましくは1〜100g、更に好ましくは2〜50gである。
(第6工程)
第6工程では、第5工程で得られたDMHAEの芳香族化反応(酸化反応)により、テトラメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノアントラセン−2,3,6,7−テトラカルボキシレート(DMAME)を合成する。この第6工程で得られる化合物は、前記化学式(M−2)で表されるテトラエステル化合物であり、新規な化合物である。
本反応は、例えば、DMHAEと芳香族化のための酸化剤を溶媒中で、必要に応じて加熱しながら、撹拌する等の方法によって行なわれる。その際の反応温度は、好ましくは25〜150℃であり、更に好ましくは40〜120℃であり、反応圧力は特に制限されない。
本反応では、芳香族化するために酸化剤を使用する。使用する酸化剤としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノンやクロラニル等のベンゾキノン類が用いられる。
前記酸化剤の使用量は、DMHAE1モルに対して、好ましくは0.5〜5モル、更に好ましくは0.8〜3モルである。
本反応は、通常、溶媒中で行う。使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、水;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイソブチルアミド等のアミド類;N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロプロピルメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられるが、好ましくは芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、アルコール類、水が使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、DMHAE1gに対して、好ましくは1〜100g、更に好ましくは2〜50gである。
(第7工程)
第7工程では、第6工程で得られたDMAMEの無水化反応により、3a,4,6,6a,9a,10,12,12a−オクタヒドロ−1H,3H−4,12:6,10−ジメタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン(DMADA)を合成する。この第7工程で得られる化合物が、前記化学式(M−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物である。
本反応は、例えば、DMAMEを酸触媒の存在下、有機溶媒中で加熱しながら撹拌する等の方法によって行なわれる。その際の反応温度は、好ましくは50〜130℃であり、更に好ましくは80〜120℃であり、反応圧力は特に制限されない。
本反応では酸触媒を使用する。本反応において使用する酸触媒としては、酸であれば特に制限されないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、クロロ硫酸、硝酸等の鉱酸類;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸類;クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲン化カルボン酸類、イオン交換樹脂、硫酸シリカゲル、ゼオライト、酸性アルミナ等が挙げられるが、好ましくは鉱酸類、有機スルホン酸類、更に好ましくは有機スルホン酸類が使用される。なお、これらの酸は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記酸触媒の使用量は、DMAME1モルに対して、好ましくは0.0001〜0.1モル、さらに好ましくは0.001〜0.05モルである。
本反応は溶媒中で行うのが好ましい。使用する溶媒としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸溶媒が好ましい。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、DMAME1gに対して、好ましくは0.1〜100g、更に好ましくは1〜10gである。
各反応の詳細は、実施例により説明するが、当業者は、溶媒、仕込み量、反応条件等を変更することが可能であり、また、各反応の終了後、例えば、濾過、抽出、蒸留、昇華、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって、反応生成物の単離・精製等を行ってもよい。
以下、前記化学式(M−4)で表されるテトラカルボン酸二無水物の製造方法について述べる。
前記化学式(M−4)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、Helv.Chim.Acta.1975,58,160、Macromolecules 1993,26,3490等を参考にして、例えば、以下に示す反応スキームに従って合成することができる。
(式中、X
11、X
12は、それぞれ独立に、−F、−Cl、−Br、または−Iであり、R
21、R
22、R
23、R
24は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基である。)
(第1工程)
第1工程では、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(NA)と1,3−ブタジエンとを反応させて、3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−4,9−メタノナフト[2,3−c]フラン−1,3−ジオン(OMNA)を合成する。この第1工程で得られる化合物は、前記化学式(M−7)で表されるジカルボン酸無水物であり、新規な化合物である。
本反応は、例えば、オートクレーブなどの耐圧容器にNAを入れて、1,3−ブタジエンを導入し、加熱して撹拌する等の方法によって行なわれる。その際の反応温度は、好ましくは80〜220℃であり、更に好ましくは100〜180℃であり、反応圧力は特に制限されない。
前記1,3−ブタジエンの使用量は、NA1モルに対し、好ましくは0.5〜5モル、更に好ましくは0.8〜3モルである。
本反応では、有機溶媒を使用しても使用しなくてもよい。使用される溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイソブチルアミド等)、尿素類(N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−メチレンジオキシベンゼン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン等)、ニトロ化芳香族炭化水素類(例えば、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、フェノール類(フェノール、メチルフェノール、パラクロロフェノール等)等が挙げられる。好ましくは脂肪族炭化水素類、及び芳香族炭化水素類が使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
有機溶媒を使用する場合、前記有機溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、NA1gに対して、好ましくは0.1〜100g、更に好ましくは1〜50gである。
(第2工程)
第2工程では、第1工程で得られたOMNAと、ジハロゲン化剤としての臭素とを反応させて、6,7−ジブロモデカヒドロ−4,9−メタノナフト[2,3−c]フラン−1,3−ジオン(DBDNA;この場合、X11、X12は−Br)を合成する。臭素に代えて、後述する、その他のジハロゲン化剤を使用することもできる。この第2工程で得られる化合物は、前記化学式(M−6)で表されるジハロゲノジカルボン酸無水物であり、新規な化合物である。
本反応は、例えば、OMNAとジハロゲン化剤とを有機溶媒中で混合し、撹拌する等の方法によって行なわれる。その際の反応温度は、好ましくは−100〜50℃であり、更に好ましくは−80〜30℃であり、反応圧力は特に制限されない。
本反応では、臭素などのジハロゲン化剤を使用する。本反応において使用するジハロゲン化剤としては、オレフィンをジハロゲン化できるものであれば特に限定されず、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン類、およびそのピリジニウム塩やアンモニウム塩、ピリジニウムトリブロミドやベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミドなどのトリブロミド塩、フッ化塩素、塩化臭素、塩化ヨウ素、臭化ヨウ素、三臭化ヨウ素などのハロゲン化合物、およびそのピリジニウム塩やアンモニウム塩等が挙げられるが、好ましくはハロゲン類、特に好ましくは臭素が使用される。
前記ジハロゲン化剤の使用量は、OMNA1モルに対し、好ましくは0.5〜5モル、更に好ましくは0.8〜2モルである。
本反応は、通常、有機溶媒中で行う。使用される溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイソブチルアミド等)、尿素類(N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−メチレンジオキシベンゼン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン等)、ニトロ化芳香族炭化水素類(例えば、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、フェノール類(フェノール、メチルフェノール、パラクロロフェノール)等が挙げられる。好ましくは脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類が使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記有機溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、OMNA1gに対して、好ましくは0.1〜100g、更に好ましくは1〜50gである。
(第3工程)
第3工程では、第2工程で得られたDBDNAと無水マレイン酸とを反応させて、3a,4,4a,5,5a,8a,9,9a,10,10a−デカヒドロ−1H,3H−4,10−エタノ−5,9−メタノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン(EEMDA)を合成する。この第3工程で得られる化合物は、R7が−CH=CH−である前記化学式(M−4)で表されるテトラカルボン酸二無水物であり、新規な化合物である。
本反応は、例えば、DBDNAとマレイン酸無水物と混合し、加熱して撹拌する等の方法によって行なわれる。その際の反応温度は、好ましくは100〜250℃であり、更に好ましくは120〜230℃であり、反応圧力は特に制限されない。
前記マレイン酸無水物の使用量は、DBDNA1モルに対し、通常、1モル以上、好ましくは2モル以上、更に好ましくは4モル以上である。
本反応では、固体であるDBDNAとマレイン酸無水物を混合して反応を行なう。DBDNAに対してマレイン酸無水物の理論的な必要量は1モルであるが、1モル程度を使用した場合、反応終了後の反応物が反応容器内で固化して取出しが困難になることがある。一方、マレイン酸無水物(融点52−56℃)を等モルを超える量で使用した場合、マレイン酸無水物の融点よりも反応温度が高いため、過剰量のマレイン酸無水物は液体であり、溶媒としての役割を果たし、反応系は懸濁液となる。反応終了後、反応温度から作業に適した温度(例えば、100℃程度)まで冷却した後、有機溶媒を系に添加して濾過すると、高い純度のEEMDAを取得できる。
反応後に添加する有機溶媒としては、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイソブチルアミド等)、尿素類(N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−メチレンジオキシベンゼン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン等)、ニトロ化芳香族炭化水素類(例えば、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)等が挙げられる。好ましくは脂肪族炭化水素類、及び芳香族炭化水素類が使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記有機溶媒の使用量は、調製される溶液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、DBDNA1gに対して、好ましくは0.1〜30mL、更に好ましくは0.5〜20mLである。
(第4工程)
第4工程では、第3工程で得られたEEMDAとメタノール類とを反応させて、テトラメチル−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロ−1,4−エタノ−5,8−メタノナフタレン−6,7,10,11−テトラカルボキシレート(EEMDE;この場合、R21〜R24はメチル基)を合成する。メタノールに代えて、所望のエステル化合物に対応するその他のアルコール化合物を使用することもできる。この第4工程で得られる化合物は、R7が−CH=CH−である前記化学式(M−5)で表されるテトラエステル化合物であり、新規な化合物である。
本反応は、例えば、酸の存在下、EEMDA、オルトエステル類、及びアルコール類を混合して、撹拌する等の方法によって行なわれる。その際の反応温度は、好ましくは20〜150℃であり、更に好ましくは50〜100℃であり、反応圧力は特に制限されない。
本反応では、酸を使用する。本反応において使用する酸としては、特に制限されないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、クロロ硫酸、硝酸等の鉱酸類;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸類;クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲン化カルボン酸類、イオン交換樹脂、硫酸シリカゲル、ゼオライト、酸性アルミナ等が挙げられるが、好ましくは鉱酸類、有機スルホン酸類、更に好ましくは鉱酸類が使用される。なお、これらの酸は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記酸の使用量は、EEMDA1モルに対して、好ましくは0.01〜10モル、さらに好ましくは0.05〜3モルである。
本反応では、アルコール化合物を使用する。本反応において使用するアルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられるが、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、更に好ましくはメタノール、エタノールが使用される。なお、これらのアルコール化合物は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記アルコール化合物の使用量は、EEMDA1gに対して、好ましくは0.1〜200g、更に好ましくは1〜100gである。
本反応では、前記アルコール類以外の有機溶媒を用いてもよい。使用する有機溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、脂肪族カルボン酸類(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等)、有機スルホン酸類(例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等)、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、尿素類(N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−メチレンジオキシベンゼン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン等)、ニトロ化芳香族炭化水素類(例えば、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)等が挙げられる。好ましくは脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類が使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記アルコール類以外の有機溶媒の使用量は、EEMDA1gに対して、好ましくは0.1〜200g、更に好ましくは1〜100gである。
本反応では、オルトエステル類が使用される。使用するオルトエステル類としては、下記式で示される化合物、例えば、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチルが挙げられるが、好ましくはオルトギ酸トリメチルが使用される。
式中、Rfは水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、好ましくは水素原子、メチル基、より好ましくは水素原子である。また、Reは炭素数1〜5のアルキル基を示し、好ましくはメチル基、エチル基、より好ましくはメチル基を示す。3つのReは同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
前記オルトエステル類の使用量は、EEMDA1gに対して、好ましくは0.5g以上、更に好ましくは1〜5gである。
(第5工程)
第5工程では、第4工程で得られたEEMDEを水素と反応させて、テトラメチル−デカヒドロ−1,4−エタノ−5,8−メタノナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボキシレート(EMDE)を合成する。この第5工程で得られる化合物は、R7が−CH2CH2−である前記化学式(M−5)で表されるテトラエステル化合物であり、新規な化合物である。
本反応は、例えば、EEMDEと金属触媒とを溶媒中で混合して、水素雰囲気下、必要に応じて加熱しながら、撹拌する等の方法によって行なわれる。その際の反応温度は、好ましくは0〜150℃であり、更に好ましくは10〜120℃である。反応圧力は、好ましくは0.1〜20MPa、更に好ましくは0.1〜5MPaである。
本反応では水素を使用する。使用する水素の量は、EEMDE1モルに対して、好ましくは0.8〜100モル、更に好ましくは1〜50モルである。
本反応では金属触媒を使用する。使用する金属触媒としては、EEMDEの構造中のオレフィン部分が水添できるものであれば、特に限定されず、例えば、ロジウム系触媒(ロジウム炭素、ウィルキンソン錯体など)パラジウム系触媒(パラジウム炭素、パラジウムアルミナ、パラジウムシリカゲルなど)、白金系触媒(白金炭素、白金アルミナなど)、ニッケル系触媒(ラネーニッケル触媒、スポンジニッケル触媒など)が挙げられる。好ましくはロジウム系触媒、パラジウム系触媒であり、更に好ましくはロジウム系触媒である。
前記金属触媒の使用量は、金属原子換算で、EEMDE1モルに対して、好ましくは0.0001〜1モル、更に好ましくは0.001〜0.8モルである。
本反応では溶媒を使用することが好ましい。使用される溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイソブチルアミド等)、尿素類(N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−メチレンジオキシベンゼン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン等)、ニトロ化芳香族炭化水素類(例えば、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、フェノール類(フェノール、メチルフェノール、パラクロロフェノール)等が挙げられる。好ましくはアルコール類、アミド類、脂肪族炭化水素類、及び芳香族炭化水素類が使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、EEMDE1gに対して、好ましくは0.1〜100g、更に好ましくは1〜50gである。
(第6工程)
第6工程では、第5工程で得られたEMDEの無水化反応により、デカヒドロ−1H,3H−4,10−エタノ−5,9−メタノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン(EMDA)を合成する。この第6工程で得られる化合物が、R7が−CH2CH2−である前記化学式(M−4)で表されるテトラカルボン酸二無水物である。
本反応は、例えば、EMDEを酸触媒の存在下、有機溶媒中で加熱しながら撹拌する等の方法によって行なわれる。その際の反応温度は、好ましくは50〜130℃であり、更に好ましくは80〜120℃であり、反応圧力は特に制限されない。
本反応では酸触媒を使用する。本反応において使用する酸触媒としては、酸であれば特に制限されないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、クロロ硫酸、硝酸等の鉱酸類;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸類;クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲン化カルボン酸類、イオン交換樹脂、硫酸シリカゲル、ゼオライト、酸性アルミナ等が挙げられるが、好ましくは鉱酸類、有機スルホン酸類、更に好ましくは有機スルホン酸類が使用される。なお、これらの酸は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記酸触媒の使用量は、EMDE1モルに対して、好ましくは0.001〜0.5モル、さらに好ましくは0.001〜0.2モルである。
本反応は溶媒中で行うのが好ましい。使用する溶媒としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸溶媒が好ましい。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、EMDE1gに対して、好ましくは0.1〜100g、更に好ましくは1〜10gである。
各反応の詳細は、実施例により説明するが、当業者は、溶媒、仕込み量、反応条件等を変更することが可能であり、また、各反応の終了後、例えば、濾過、抽出、蒸留、昇華、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって、反応生成物の単離・精製等を行ってもよい。
本発明により、前記化学式(A−2)の構造を与えるテトラカルボン酸成分である前記化学式(M−9)で表されるテトラカルボン酸二無水物の新規な製造方法を提供することもできる。以下、その製造方法について述べる。
前記化学式(M−9)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、Can.J.Chem.1975,53,256、Tetrahedron Lett.2003,44,561等を参考にして、例えば、以下に示す反応スキームに従って合成することができる。ここでは、R4が−CH2−である化学式(M−9)で表されるテトラカルボン酸二無水物、すなわち3a,4,10,10a−テトラヒドロ−1H,3H−4,10−メタノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン(BNDA)を例に説明するが、他のテトラカルボン酸二無水物も同様にして製造することができる。
(式中、R
31、R
32は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、またはフェニル基であり、R
33、R
34は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基である。)
(第1工程)
第1工程では、R4が−CH2−である化学式(M−9)のテトラカルボン酸二無水物(BNDA)を合成する場合、シス−1,4−ジクロロ−2−ブテン(DCB)とシクロペンタジエン(CP)とを反応させて、5,6−ビス(クロロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(BCMN)を合成する。R4が−CH2CH2−である化学式(M−9)のテトラカルボン酸二無水物を合成する場合、ここで、シクロペンタジエン(CP)に代えて、1,3−シクロヘキサジエンをDCBと反応させればよい。
本反応は、例えば、DCBとCPを混合して、攪拌させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは50〜250℃、更に好ましくは150〜220℃であり、反応圧力は特に制限されない。
CPはジシクロペンタジエン(DCP)の単量体であり、DCPを160〜200℃で加熱することにより定量的にCPを取得できる。この第1工程において使用するCPは、DCPの熱分解により系中で発生させて使用することもできる。DCPはスキーム中に示される化合物である。
前記CPの使用量は、DCB1モルに対して、好ましくは0.2〜10モル、更に好ましくは0.5〜5モルである。
本反応では、有機溶媒を使用しても使用しなくてもよい。使用する有機溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、脂肪族カルボン酸類(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等)、有機スルホン酸類(例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、尿素類(N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−メチレンジオキシベンゼン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン等)、ニトロ化芳香族炭化水素類(例えば、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、フェノール類(フェノール、メチルフェノール、パラクロロフェノール等)等が挙げられる。好ましくは脂肪族炭化水素類、及び芳香族炭化水素類が使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
有機溶媒を使用する場合、前記有機溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、DCB1gに対して、好ましくは0.2〜10g、更に好ましくは0.3〜5gである。
(第2工程)
第2工程では、第1工程で得られたBCMNと塩基との反応により脱塩化水素化させて、5,6−ジメチレンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(CYDE)を合成する。
本反応は、例えば、BCMNと塩基を溶媒中で混合して、攪拌させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは0〜150℃、更に好ましくは20〜120℃であり、反応圧力は特に制限されない。
本反応では塩基を使用する。本反応において使用する塩基としては、例えば、ジブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン等の二級アミン類;トリエチルアミン、トリブチルアミン等の三級アミン類;ピリジン、メチルピリジン、ジメチルアミノピリジン等のピリジン類;キノリン、イソキノリン、メチルキノリン等のキノリン類;水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられるが、好ましくは三級アミン類、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物が使用される。なお、これらの塩基は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記塩基の使用量は、BCMN1モルに対して、好ましくは1〜20モル、更に好ましくは1.5〜10モルである。
本反応は、通常、溶媒中で行うことが望ましい。使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール等)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、尿素類(N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−メチレンジオキシベンゼン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)等が挙げられる。好ましくは水、アルコール類、エーテル類が使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、BCMN1gに対して、好ましくは0.1〜100g、更に好ましくは0.2〜50gである。
(第3工程)
第3工程では、第2工程で得られたCYDEとアセチレンジカルボン酸ジメチル(DMAD)とを反応させて、ジメチル1,4,5,8−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−6,7−ジカルボキシレート(CYME;この場合、R31、R32はメチル基)を合成する。アセチレンジカルボン酸ジメチルに代えて、後述する、その他のアセチレンジカルボン酸ジエステルを使用することもできる。
本反応は、例えば、CYDEとDMADとを溶媒中で混合して、攪拌させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは0〜150℃、更に好ましくは20〜120℃であり、反応圧力は特に制限されない。
本反応では、DMADのようなアセチレンジカルボン酸ジエステルを使用する。使用するアセチレンジカルボン酸ジエステルは、所望のエステル化合物に対応するものが選択される。本反応に使用するアセチレンジカルボン酸ジエステルとしては、アセチレンジカルボン酸ジメチル、アセチレンジカルボン酸ジエチル、アセチレンジカルボン酸ジプロピルなどが挙げられるが、好ましくはアセチレンジカルボン酸ジメチル、アセチレンジカルボン酸ジエチルが使用される。また、アセチレンジカルボン酸ジフェニルを使用することもできる。アセチレンに結合している2つの置換基は同じでも異なっていてもよい。
前記DMAD等のアセチレンジカルボン酸ジエステルの使用量は、CYDE1モルに対して、好ましくは0.8〜20モル、更に好ましくは1〜10モルである。
本反応は、通常、溶媒中で行うことが望ましい。使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、尿素類(N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−メチレンジオキシベンゼン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン等)、ニトロ化芳香族炭化水素類(例えば、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、フェノール類(フェノール、メチルフェノール、パラクロロフェノール等)等が挙げられる。好ましくは水、アルコール類、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類が使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、CYME1gに対して、好ましくは0.2〜200g、更に好ましくは0.3〜100gである。
(第4工程)
第4工程では、第3工程で得られたCYMEの芳香族化反応(酸化反応)により、ジメチル1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレン−6,7−ジカルボキシレート(CYPDM)を合成する。
本反応は、例えば、CYMEと芳香族化のための酸化剤とを溶媒中で撹拌する等の方法によって行なわれる。その際の反応温度は、好ましくは−20〜150℃であり、更に好ましくは0〜120℃であり、反応圧力は特に制限されない。
本反応では、芳香族化するために酸化剤を使用する。使用する酸化剤としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノンやクロラニル等のベンゾキノン類が用いられる。
前記酸化剤の使用量は、CYME1モルに対して、好ましくは0.5〜10モル、更に好ましくは0.8〜5モルである。
本反応は、通常、溶媒中で行う。使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、水;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイソブチルアミド等のアミド類;N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロプロピルメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられるが、好ましくは芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、アルコール類、水が使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、CYME1gに対して、好ましくは1〜100g、更に好ましくは2〜50gである。
(第5工程)
第5工程では、パラジウム触媒及び銅化合物存在下、第4工程で得られたCYPDMとメタノール類と一酸化炭素とを反応させて、テトラメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボキシレート(BNME;この場合、R31〜R34はメチル基)を合成する。メタノールに代えて、所望のエステル化合物に対応するその他のアルコール化合物を使用することもできる。
本反応は、例えば、有機溶媒中でCYPDM及び所望のエステル化合物に対応するアルコール類、パラジウム触媒と銅化合物を混合して、一酸化炭素の雰囲気下で撹拌する等の方法によって行なわれる。その際の反応温度は、好ましくは−10〜100℃であり、更に好ましくは−10〜70℃であり、反応圧力は特に制限されない。
本反応では、アルコール化合物を使用する。本反応で使用するアルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられるが、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、更に好ましくはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが使用される。なお、これらのアルコール化合物は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記アルコール化合物の使用量は、CYPDM1gに対して、好ましくは0.1〜200g、更に好ましくは1〜100gである。
本反応では、前記アルコール類以外の有機溶媒を用いてもよい。使用する有機溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、ギ酸、脂肪族カルボン酸類(例えば、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等)、有機スルホン酸類(例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、尿素類(N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−メチレンジオキシベンゼン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン等)、ニトロ化芳香族炭化水素類(例えば、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)等が挙げられる。好ましくは脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類が使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記アルコール類以外の有機溶媒の使用量は、CYPDM1gに対して、好ましくは0.1〜200g、更に好ましくは1〜100gである。
本反応において使用するパラジウム触媒としては、パラジウムを含むものであれば特に限定されないが、例えば、塩化パラジウム、臭化パラジウム等のハロゲン化パラジウム;酢酸パラジウム、シュウ酸パラジウム等のパラジウム有機酸塩;硝酸パラジウム、硫酸パラジウム等のパラジウム無機酸塩;ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ビス(1,1,1−5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトナト)パラジウム等のようなパラジウム錯体;パラジウムを炭素やアルミナなどの担体に担持させたパラジウム炭素やパラジウムアルミナ等が挙げられるが、好ましくは塩化パラジウムやパラジウム炭素が使用される。
前記パラジウム触媒の使用量は、CYPDM1モルに対して、好ましくは0.0001〜0.2モル、更に好ましくは0.001〜0.1モルである。
本反応において使用する銅化合物としては、前記パラジウム触媒中のPd(II)がPd(0)に還元された場合に、Pd(0)をPd(II)に酸化できるものであれば、特に制限されず、例えば、銅化合物、鉄化合物等が挙げられ、好ましくは銅化合物である。本反応において使用する銅化合物として、具体的には、銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、ノルマルブチル酸銅、2−メチルプロピオン酸銅、ピバル酸銅、乳酸銅、酪酸銅、安息香酸銅、トリフルオロ酢酸銅、ビス(アセチルアセトナト)銅、ビス(1,1,1−5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトナト)銅、塩化銅、臭化銅、沃化銅、硝酸銅、亜硝酸銅、硫酸銅、リン酸銅、酸化銅、水酸化銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅、パラトルエンスルホン酸銅、及びシアン化銅等が挙げられる。また、鉄化合物として、具体的には、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、酢酸第二鉄等が挙げられる。好ましくは二価の銅化合物が使用され、更に好ましくは塩化銅(II)が使用される。ここで、「銅化合物」とは、いわゆる化合物に加え、銅単体も含む意味で用いるものとする。なお、これらの銅化合物は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記銅化合物の使用量は、CYPDM1モルに対して、好ましくは4〜50モル、更に好ましくは5〜20モルである。
(第6工程)
第6工程では、第5工程で得られたBNMEの無水化反応により、3a,4,10,10a−テトラヒドロ−1H,3H−4,10−メタノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン(BNDA)を合成する。この第6工程で得られる化合物が、前記化学式(M−9)で表されるテトラカルボン酸二無水物である。
本反応は、例えば、BNMEを酸触媒の存在下、有機溶媒中で加熱しながら撹拌する等の方法によって行なわれる。その際の反応温度は、好ましくは50〜130℃であり、更に好ましくは80〜120℃であり、反応圧力は特に制限されない。
本反応では酸触媒を使用する。本反応において使用する酸触媒としては、酸であれば特に制限されないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、クロロ硫酸、硝酸等の鉱酸類;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸類;クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲン化カルボン酸類、イオン交換樹脂、硫酸シリカゲル、ゼオライト、酸性アルミナ等が挙げられるが、好ましくは鉱酸類、有機スルホン酸類、更に好ましくは有機スルホン酸類が使用される。なお、これらの酸は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記酸触媒の使用量は、BNME1モルに対して、好ましくは0.001〜0.5モル、さらに好ましくは0.001〜0.2モルである。
本反応は溶媒中で行うのが好ましい。使用する溶媒としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸溶媒が好ましい。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、BNME1gに対して、好ましくは0.1〜100g、更に好ましくは1〜10gである。
各反応の詳細は、実施例により説明するが、当業者は、溶媒、仕込み量、反応条件等を変更することが可能であり、また、各反応の終了後、例えば、濾過、抽出、蒸留、昇華、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって、反応生成物の単離・精製等を行ってもよい。
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の各例において評価は次の方法で行った。
<ポリイミドフィルムの評価>
[全光透過率]
紫外可視分光光度計/V−650DS(日本分光製)を用いて、膜厚10μmのポリイミドフィルムの全光透過率(380nm〜780nmにおける平均透過率)を測定した。
[引張弾性率、破断伸度、破断強度]
ポリイミドフィルムをIEC−540(S)規格のダンベル形状に打ち抜いて試験片(幅:4mm)とし、ORIENTEC社製TENSILONを用いて、チャック間長30mm、引張速度2mm/分で、初期の引張弾性率、破断点伸度、破断強度を測定した。
[線熱膨張係数(CTE)、Tg]
膜厚10μmのポリイミドフィルムを幅4mmの短冊状に切り取って試験片とし、TMA/SS6100(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用い、チャック間長15mm、荷重2g、昇温速度20℃/分で500℃まで昇温した。得られたTMA曲線から、100℃から250℃までの線熱膨張係数を求めた。また、TMA曲線の変曲点をTg(ガラス転移温度)とした。
[5%重量減少温度]
膜厚10μmのポリイミドフィルムを試験片とし、TAインスツルメント社製 熱重量測定装置(Q5000IR)を用い、窒素気流中、昇温速度10℃/分で25℃から600℃まで昇温した。得られた重量曲線から、5%重量減少温度を求めた。
以下の各例で使用した原材料の略称は、次のとおりである。
[ジアミン成分]
DABAN: 4,4’−ジアミノベンズアニリド
PPD: p−フェニレンジアミン
TFMB: 2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
4,4’−ODA: 4,4’−オキシジアニリン
TPE−R: 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPB: 4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル
tra−DACH:トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン
[テトラカルボン酸成分]
TNDA:テトラデカヒドロ−1H,3H−4,12:5,11:6,10−トリメタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン
BNDA:3a,4,10,10a−テトラヒドロ−1H,3H−4,10−メタノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン
DMADA:3a,4,6,6a,9a,10,12,12a−オクタヒドロ−1H,3H−4,12:6,10−ジメタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン
EMDAdx:(3aR,4R,5S,5aR,8aS,9R,10S,10aS)−デカヒドロ−1H,3H−4,10−エタノ−5,9−メタノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン
EMDAxx:(3aR,4R,5S,5aS,8aR,9R,10S,10aS)−デカヒドロ−1H,3H−4,10−エタノ−5,9−メタノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン
[溶媒]
NMP: N−メチル−2−ピロリドン
DMAc: N,N−ジメチルアセトアミド
表1に実施例、比較例で使用したテトラカルボン酸成分、ジアミン成分の構造式を記す。
〔実施例S−1(DMADAの合成)〕
容量2Lの反応容器に、トルエン1500mLとp−ベンゾキノン(BQ)153.3g(1.39mol)を入れた。そして、温度25−30℃を保ちながら、シクロペンタジエン183.5g(2.78mmol)を2時間かけて滴下した後、25℃で20時間反応させた。反応液を濃縮乾固し、得られた濃縮物にエタノール1490gを加え、終夜撹拌を行った。その後、固体をろ過し、エタノールで洗浄後、60℃で真空乾燥して、薄赤色固体227gを得た。得られた薄赤色固体227gにエタノール1350gを加え、80℃で1時間撹拌し、固体をろ過した。ろ物をクロロホルム1080gで溶解させ、活性炭10gを添加し、1時間撹拌した。その後、ろ過を行い、ろ液を濃縮乾固し、得られた固体を60℃で真空乾燥して、白色固体として1,4,4a,5,8,8a,9a,10a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノアントラセン−9,10−ジオン(DNBQ)184gを得た(
1H−NMR分析による純度100%、収率55.3%)。
DNBQの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.29(d,J=8.5Hz,2H),1.46(d,J=8.5Hz,2H),2.87(s,2H),3.36(s,2H),6.19(t,J=1.8Hz,2H)
CI−MS(m/z); 241(M+1)
容量5Lの反応容器に、DNBQ100.5g(31.7mmol)、メタノール1.5L、テトラヒドロフラン1.5Lを加えた。そして、温度5℃で水素化ホウ素ナトリウム30.0g(60.3mmol)を1時間かけて添加した後、温度5〜10℃で7時間反応させた。次いで、温度5℃で飽和塩化アンモニウム水溶液1Lを滴下した後、温度25℃まで昇温させた。反応液中に析出した白色固体をろ過し、溶媒を減圧留去させた。析出した白色固体をろ過し、得られた白色固体にイオン交換水1.5Lを加え、40℃で1時間撹拌した。その後、白色固体をろ過し、イオン交換水200mLで洗浄を2回行った後、酢酸エチル100mLで洗浄を2回行い、真空乾燥して白色固体として1,4,4a,5,8,8a,9,9a,10,10a−デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノアントラセン−9,10−ジオール(DNHQ)84.2gを得た(1H−NMR分析による純度100%、収率82%)。
DNHQの物性値は以下であった。
1H−NMR(DMSO−d6,σ(ppm)); 0.99(d,J=7.8Hz,1H),1.16(d,J=7.8Hz,1H),1.26−1.34(m,2H),1.52−1.62(m,2H),2.34−2.42(m,2H),2.77(s,2H),2.85(s,2H),2.91(brs,2H),4.26(s,1H),4.28(s,1H),6.04(t,J=1.8Hz,2H),6.09(t,J=1.8Hz,2H)
CI−MS(m/z); 245(M+1)
容量5Lの反応容器に、DNHQ87.0g(356mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン4.3g(35.2mmol)、ピリジン1740gを加え、温度5℃まで冷却した。そして、メシルクロリド87.0g(760mmol)を20分間かけて滴下した後、温度25℃まで昇温させ、同温度で9時間反応させた。続いて、イオン交換水2500gを滴下し、析出した白色固体をろ過した。得られた白色固体を10%塩酸200mL、10%炭酸水素ナトリウム水溶液200mL、さらにイオン交換水200mLで5回洗浄を行い、真空乾燥した。得られた白色固体128.9gを酢酸エチル2800gに溶解させ、無水硫酸マグネシウム35gで乾燥(脱水)させた。続いて、この酢酸エチル溶液をシリカゲルカラムに通し、溶媒をエバポレーターにて留去して、白色固体として1,4,4a,5,8,8a,9,9a,10,10a−デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノアントラセン−9,10−ジイル ジメタンスルホネート(DNCMS)124.5gを得た(1H−NMR分析による純度99%、収率87.4%)。
DNCMSの物性値は以下であった。
1H−NMR(DMSO−d6,σ(ppm)); 1.18(d,J=8.3Hz,1H),1.32(d,J=8.2Hz,1H),1.39−1.42(m,2H),2.00−2.15(m,2H),2.81(s,2H),2.85−2.90(m,2H),2.97(s,2H),3.22(s,6H),4.10−4.20(m,2H),6.23(s,2H),6.27(s,2H)
CI−MS(m/z); 401(M+1)
容量1Lの反応容器に、メタノール364g、クロロホルム62g、塩化銅(II)136g(1011mmol)、塩化パラジウム6g(33.7mmol)を入れて、撹拌した。系内の雰囲気を一酸化炭素にガス置換した後、クロロホルム178gに溶解したDNCMS27g(67.3mmol)の溶液を3時間かけて滴下し、20−25℃で4時間反応させた。次いで、系内の雰囲気を一酸化炭素からアルゴンに置換した後、反応混合物から溶媒を留去し、クロロホルム621gを添加した。同様の操作をさらに2回繰り返した。そして、得られた茶緑色の懸濁液から不溶物をろ過で除去した。得られた溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液324gで3回洗浄し、さらに精製水324gで3回洗浄した後、有機層に無水硫酸マグネシウム2.7g、活性炭2.7gを入れて撹拌した。そして、溶液をろ過した後に減圧濃縮し、白色固体51gを得た。次いで、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=10:1(容量比))による精製を行い、白色固体として9,10−ビス((メチルスルホニル)オキシ)テトラデカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノアントラセン−2,3,6,7−テトラカルボキシレート(DNMTE)27gを得た(HPLC分析による純度97.1pa%、収率64.4%)。
DNMTEの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.49(d,J=10Hz,2H),2.31(d,J=10Hz,2H),2.62−2.67(m,2H),2.69(s,2H),2.87(s,4H),3.06(s,6H),3.19(s,2H),3.32(s,2H),3.64(s,6H),3.66(s,6H),4.98−5.12(m,2H)
CI−MS(m/z); 637(M+1)
容量500mLの反応容器に、炭酸リチウム6.4g(86.8mmol)、N,N’−ジメチルホルムアミド130gを仕込み、150℃まで昇温した。続いて、DNMTE27.6g(42.1mol)とN,N’−ジメチルホルムアミド130gの混合液を1時間かけて滴下し、同温度で15時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、白色固体22.4gを得た。次いで、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=10:1(容量比))による精製、続いて再結晶(溶媒比;トルエン/ヘプタン=2:3)による精製を行い、白色固体としてテトラメチル1,2,3,4,4a,5,6,7,8,9a−デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノアントラセン−2,3,6,7−テトラカルボキシレート(DMHAE)13.9gを得た(HPLC分析による純度95.1pa%、収率72.2%)。
DMHAEの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.36(d,J=10Hz,1H),1.56(d,J=10Hz,1H),2.05(d,J=10Hz,1H),2.29(d,J=10Hz,1H),2.56(s,2H),2.83(s,2H),2.90(d,J=1.6Hz,2H),3.05(s,2H),3.07(d,J=1.6Hz,2H),3.61(s,6H),3.65(s,6H),5.10(s,2H)
CI−MS(m/z); 445(M+1)
300mLの反応容器に、トルエン68mL、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン7.3g(31.9mmol)を仕込み、80℃まで昇温した。トルエン200mLに溶解したDMHAE13.5g(30.4mmol)の溶液を滴下し、8時間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し、濃縮物にクロロホルム130mLを添加して、赤茶色懸濁液を得た。次いで、ろ過を行い、濃赤黒色のろ物とろ液に分離した。ろ液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mLで3回洗浄した後、取得した有機層に無水硫酸マグネシウム12gを添加して脱水を行った。次いで、ろ過を行い、ろ液を濃縮乾固し、赤褐色固体5.6gを得た。また、前述の濃赤黒色のろ物にクロロホルム100mLを添加して、同様の操作を行ない、赤褐色固体4.0gを得た。得られた赤褐色固体9.6gに対して、再結晶(溶媒比;トルエン:ヘプタン=1:7)による精製を行い、乳白色固体としてテトラメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノアントラセン−2,3,6,7−テトラカルボキシレート(DMAME)7.4gを得た(HPLC分析による純度99.9pa%、収率56.6%)。
DMAMEの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.80(d,J=9.6Hz,2H),2.43(d,J=9.6Hz,2H),2.68(d,J=1.6Hz,4H),3.53(s,4H),3.67(s,12H),7.06(s,2H)
CI−MS(m/z); 442(M+1)
容量100mLの反応容器に、DMAME5.27g(11.9mmol)、ギ酸26.3g、パラトルエンスルホン酸一水和物47mg(0.24mmol)を仕込み、温度98℃で30時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、濃縮物にトルエン30gを添加した。この操作を6回繰り返して、ギ酸をほぼ完全に留去した。得られた懸濁液をろ過し、得られた固体をトルエン30gで洗浄した後、80℃で真空乾燥し、乳白色固体4.0gを得た。その後、無水酢酸による再結晶、さらにN,N’−ジメチルアセトアミドによる再結晶を行い、白色固体として3a,4,6,6a,9a,10,12,12a−オクタヒドロ−1H,3H−4,12:6,10−ジメタノアントラ[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,7,9−テトラオン(DMADA)3.28gを得た(1H−NMR分析による純度98.3%、収率77.3%)。
DMADAの物性値は以下であった。
1H−NMR(DMSO−d6,σ(ppm)); 1.61(d,J=10.8Hz,2H),1.81(d,J=10.8Hz,2H),3.04(s,2H),3.04(s,2H),3.76(s,4H),7.39(s,2H)
CI−MS(m/z); 351(M+1)
〔実施例S−2−1(EMDAdxの合成)〕
容量3Lのオートクレーブに、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物(endo−NA)600g(3.66mol)を入れ、次に、2,6−ジブチルヒドロキシトルエン1.20gを入れた。系内を窒素置換した後、温度−25℃で1,3−ブタジエン221g(4.09mol)を添加し、温度150−160℃で一晩反応させて、白色固体760gを得た。以上の操作をさらに2回繰り返し、白色固体2258gを得た(収率36%)。そして、得られた白色固体2258gにトルエン9.7Lを加え、温度102℃で加熱撹拌し、固体を溶解させた。同温度で10分間撹拌した後、ヘプタン2.6Lを加え、室温まで冷却して一晩撹拌し、析出した固体をろ過した。得られた固体をヘプタン2.6Lで洗浄した後、40℃で5時間、真空乾燥して白色固体691gを得た。
容量5Lの反応容器に、得られた白色固体691gとトルエン2.1Lを入れた。温度98℃で加熱撹拌した後、ヘプタン1.1Lを添加して室温まで冷却し、さらに一晩撹拌した。析出した固体をろ過し、ヘプタン1.1Lで洗浄した後、40℃で3時間、真空乾燥して、白色固体として(3aR,4S,9R,9aS)−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−4,9−メタノナフト[2,3−c]フラン−1,3−ジオン(OMNAdx)634gを得た(1H−NMR分析による純度99.1%、収率26%)。
OMNAdxの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.50(d,J=11Hz,1H),1.52−1.63(m,3H),1.78−1.87(m,2H),2.12(d,J=11Hz,1H),2.24−2.35(m,2H),2.54−2.59(m,2H),3.42(dd,J=2.1Hz,J=3.5Hz,2H),5.83−5.91(m,2H)
CI−MS(m/z); 219(M+1)
容量20Lの反応容器に、OMNAdx560g(2.54mol)、ジクロロメタン9.5Lを加えた。温度−55〜−43℃に冷却しながら、ジクロロメタン4.9Lに溶解した臭素496g(3.1mol)の溶液を滴下し、1時間反応させた。反応終了後、溶媒をエバポレーターにて除去し、得られた固体にヘプタン600mLを加え、撹拌した。そして、白色固体をろ過し、ヘプタン4.5Lで洗浄した後、40℃で減圧乾燥して、白色固体として(3aR,4S,9R,9aS)−6,7−ジブロモデカヒドロ−4,9−メタノナフト[2,3−c]フラン−1,3−ジオン(DBDNAdx)805gを得た(1H−NMR分析による純度100%、収率78%)。
DBDNAdxの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.52−1.76(m,2H),1.88−2.05(m,4H),2.05−2.24(m,2H),2.57(brs,2H),3.48(t,J=2.5Hz,2H),4.30(ddd,J=3.6Hz,J=5.4Hz,J=12.5Hz,1H),4.68(dt,J=3.3Hz,J=3.5Hz,1H)
CI−MS(m/z); 379(M+1)
容量2Lの反応容器に、マレイン酸無水物130g(1.33mol)、DBDNAdx100g(264.5mmol)を加え、温度187℃で2時間反応させた。反応終了後、温度100℃まで冷却し、トルエン400mLを添加した。室温付近まで冷却し、析出した固体をろ過し、トルエンで洗浄した後、60℃で真空乾燥して、灰色固体として(3aR,4R,5S,5aR,8aS,9R,10S,10aS)−3a,4,4a,5,5a,8a,9,9a,10,10a−デカヒドロ−1H,3H−4,10−エタノ−5,9−メタノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン(EEMDAdx)75gを得た(1H−NMR分析による純度98.4%、収率89%)。
EEMDAdxの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.04(d,J=10.8Hz,1H),1.82(s,2H),2.30(d,J=10.8Hz,1H),2.62(s,2H),3.20(s,2H),3.39(m,2H),3.42(d,J=2.1Hz,J=3.4Hz,2H),6.20(dd,J=3.2Hz,J=4.5Hz,2H)
CI−MS(m/z); 314(M+1)
容量2Lの反応容器に、EEMDAdx75g(239mmol)、オルトギ酸トリメチル152g、メタノール1500g、濃硫酸22.5gを加え、温度63℃で23時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、濃縮残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液600gを添加し、クロロホルム500gで抽出した。有機層を水200gで2回洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥(脱水)させた後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮して、固体80.7gを得た。そして、トルエン150gとヘプタン450gによる晶析を行い、白色固体としてテトラメチル(1R,4S,5R,6S,7R,8S,10S,11R)−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロ−1,4−エタノ−5,8−メタノナフタレン−6,7,10,11−テトラカルボキシレート(EEMDEdx)75gを得た(1H−NMR分析による純度100%、収率77%)。
EEMDEdxの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 0.81(d,J=11Hz,1H),2.29(s,2H),2.43(s,2H),2.58(d,J=11Hz,1H),2.86(t,J=2.0Hz,2H),3.00(brs,2H),3.05(s,2H),3.57(s,6H),3.65(s,6H),6.28(dd,J=3.3Hz,J=4.6Hz,2H)
CI−MS(m/z); 407(M+1)
容量200mLの反応容器に、EEMDEdx6g(14.8mmol)、メタノール120g、10%ロジウム−炭素触媒(エヌイーケムキャット製、50wt%含水品)3gを加えた。系内を水素置換した後、水素を0.9MPaまで加圧し、内温80℃で4時間反応させた。反応終了後、反応物をN,N’−ジメチルホルムアミド100mLで洗浄して取り出した。得られた反応懸濁液のセライトろ過を行った後、減圧濃縮して、白色固体を得た。この操作を7回繰り返し、白色固体41.2gを得た(GC分析による純度99.9%、収率97%)。次いで、シリカゲルカラムで精製を行い(展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=3/1(v/v))、白色固体としてテトラメチル(1R,2R,3S,4S,5R,6S,7R,8S)−デカヒドロ−1,4−エタノ−5,8−メタノナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボキシレート(EMDEdx)35gを得た(GC分析による純度100%、収率83%)。
EMDEdxの物性値は以下の通りであった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.25(d,J=11Hz,1H),1.49(d,J=9.0Hz,2H),1.79(d,J=9.0Hz,2H),2.00(s,2H),2.14(s,2H),2.24(d,J=11Hz,1H),2.51(s,2H),2.90(s,2H),3.02(t,J=2.0Hz,2H),3.63(s,6H),3.64(s,6H)
CI−MS(m/z); 409(M+1)
容量300mLの反応容器に、EMDEdx30g(73.4mmol)、ギ酸150g、パラトルエンスルホン酸一水和物280mg(1.47mmol)を加え、温度95℃〜99℃で16時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、濃縮物にトルエン72mLを添加した。この操作を6回繰り返して、ギ酸をほぼ完全に留去した。得られた懸濁液をろ過し、得られた固体をトルエン35mLで洗浄した後、80℃で真空乾燥し、灰色固体23.4gを得た。その後、無水酢酸、N,N’−ジメチルアセトアミドによる再結晶を繰り返し、白色固体として(3aR,4R,5S,5aR,8aS,9R,10S,10aS)−デカヒドロ−1H,3H−4,10−エタノ−5,9−メタノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン(EMDAdx)18.9gを得た(1H−NMR分析による純度98.5%、収率80%)。
EMDAdxの物性値は以下であった。
1H−NMR(DMSO−d6, σ(ppm)); 1.17(d,J=9.9Hz,2H),1.48(d,J=12Hz,1H),1.45−1.68(m,4H),2.04−2.14(m,3H),2.69(s,2H),3.29(s,2H),3.55(dd,J=1.2Hz,J=2.1Hz,2H)
CI−MS(m/z); 317(M+1)
〔実施例S−2−2(EMDAxxの合成)〕
3Lのオートクレーブに、シス−5−ノルボルネン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物(exo−NA)600g(3.66mol)、2,6−ジブチルヒドロキシトルエン300mgを入れた。系内を窒素置換した後、内温−25℃で1,3−ブタジエン319g(5.91mol)を添加し、反応温度140〜166℃で35時間撹拌して、白色固体866.2gを得た(収率58%)。そして、得られた白色固体866.2gをトルエンで再結晶して、白色結晶として(3aR,4R,9S,9aS)−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−4,9−メタノナフト[2,3−c]フラン−1,3−ジオン(OMNAxx)359gを得た(
1H−NMR分析による純度100%、収率45%)。
OMNAxxの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.19(d,J=12Hz,1H),1.52−1.63(m,2H),1.73−1.82(m,2H),1.89(d,J=12Hz,1H),2.27−2.40(m,2H),2.56(t,J=1.2Hz,2H),2.98(d,J=1.2Hz,2H),5.80−5.92(m,2H)
CI−MS(m/z); 219(M+1)
容量3Lの反応容器に、OMNAxx120g(550mmol)、ジクロロメタン2.2Lを加えた。温度−65〜−60℃に冷却しながら、ジクロロメタン200mLに溶解した臭素105.4g(660mmol)の溶液を2時間かけて滴下し、1時間反応させた。この操作を2回行なった。そして、2回分の反応液を集めてエバポレーターで濃縮して、薄茶色固体を得た。得られた薄茶色固体にヘプタン1.5Lを加え、ろ過を行った。そして、ろ取した固体をヘプタン500mLで洗浄した後、真空乾燥して、白色固体として(3aR,4R,9S,9aS)−6,7−ジブロモデカヒドロ−4,9−メタノナフト[2,3−c]フラン−1,3−ジオン(DBDNAxx)313gを得た(1H−NMR分析による純度100%、収率75%)。また、ろ液を減圧濃縮し、ヘプタン500mLで洗浄した後、真空乾燥して、白色固体としてDBDNAxx78.1gを得た(1H−NMR分析による純度100%、収率19%)。
DBDNAxxの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.28(d,J=12Hz,1H),1.62(q,J=12Hz,1H),1.84−2.24(m,5H),2.59(s,2H),3.03(dd,J=7.3Hz,J=23Hz,2H),4.32(ddd,J=3.3Hz,J=5.5Hz,J=12Hz,1H),4.73(dd,J=3.0Hz,J=7.0Hz,1H)
CI−MS(m/z); 379(M+1)
容量2Lの反応容器に、マレイン酸無水物259g(2.64mol)、DBDNAxx200g(529mmol)を加え、反応温度190℃で2時間反応させた。反応終了後、温度100℃まで冷却し、トルエン900mLを添加した。室温付近まで冷却し、析出した固体をろ別した。得られた固体をトルエン900mLで洗浄した後、60℃、3時間の条件で減圧乾燥を行ない、薄茶色固体として(3aR,4R,5S,5aS,8aR,9R,10S,10aS)−3a,4,4a,5,5a,8a,9,9a,10,10a−デカヒドロ−1H,3H−4,10−エタノ−5,9−メタノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン(EEMDAxx)140.2gを得た(1H−NMR分析による純度97.2%、収率82%)。
また、DBDNAxx180g(476mmol)に対して同様の操作を行い、薄茶色固体としてEEMDAxx139.2gを得た(1H−NMR純度98.9%、収率92%)。
EEMDAxxの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 0.59(d,J=12Hz,1H),2.01(s,2H),2.12(d,J=12Hz,1H),2.55(s,2H),2.98(d,J=1.4Hz,2H),3.20−3.30(m,4H),6.20(dd,J=3.1Hz,J=4.4Hz,2H)
CI−MS(m/z); 314(M+1)
容量20Lの反応容器に、EEMDAxx254.9g(794.8mmol)、メタノール10L、オルトギ酸トリメチル533g、濃硫酸63gを加え、温度61〜67℃で79時間撹拌した。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、灰色固体513gを得た。得られた固体をクロロホルム3256gに溶解し、7重量%炭酸水素ナトリウム水溶液1700gに滴下した。分液した有機層に無水硫酸マグネシウム31.6gおよび活性炭26.8gを添加し、室温で1時間撹拌した後、ろ過を行い、ろ液をクロロホルム322gで洗浄し、減圧濃縮して、灰色固体325.3gを得た。そして、得られた灰色固体をメタノールで再結晶して、白色固体としてテトラメチル(1R,4S,5R,6R,7S,8S,10S,11R)−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロ−1,4−エタノ−5,8−メタノナフタレン−6,7,10,11−テトラカルボキシレート(EEMDExx)294.9gを得た(GC分析による純度100%、収率91%)。
EEMDExxの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.55(d,J=11Hz,1H),1.61(s,2H),2.29(d,J=11Hz,1H),2.43(s,2H),2.62(d,J=1.9Hz,2H),2.97(s,2H),3.03(s,2H),3.58(s,6H),3.60(s,6H),6.23(dd,J=3.2Hz,J=4.6Hz,2H)
CI−MS(m/z); 407(M+1)
容量3Lのオートクレーブに、EEMDExx98.2g(242mmol)、メタノール1720gを仕込み、10%ロジウム−炭素触媒(エヌイーケムキャット製、50%含水品)49.1gを添加した。系内を水素置換した後、水素を0.9MPaまで加圧し、内温80℃で4時間反応させた。反応終了後、析出した固体をN,N’−ジメチルホルムアミド3235gで溶解させながら、反応物を取り出し、セライトろ過を行い、触媒を除去した。この操作を、EEMDExx97.3g(239mmol)に対して、さらに2回行った。そして、すべてのろ液をあわせ、減圧濃縮して、灰色固体289.1gを得た。得られた灰色固体をクロロホルム700gとヘプタン4373gで再結晶して、微灰色固体としてテトラメチル(1R,2R,3S,4S,5R,6R,7S,8S)−デカヒドロ−1,4−エタノ−5,8−メタノナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボキシレート(EMDExx)283.0gを得た(GC分析による純度99.9pa%、収率96%)。
EMDExxの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.52(d,J=9.0Hz,2H),1.58(s,2H),1.76(d,J=9.0Hz,2H),1.95−2.10(m,4H),2.52(s,2H),2.71(d,J=1.6Hz,2H),2.84(s,2H),3.63(s,6H),3.64(s,6H)
CI−MS(m/z); 409(M+1)
容量3Lの反応容器に、EMDExx282.0g(689.7mmol)、ギ酸1410g、パラトルエンスルホン酸一水和物3.28g(17mmol)を加え、温度95℃〜97℃で19時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、濃縮物にトルエン700mLを添加した。この操作を6回繰り返して、ギ酸をほぼ完全に留去した。得られた懸濁液をろ過し、得られた固体をトルエン490mLで洗浄した後、80℃で真空乾燥し、灰色固体219.6gを得た。その後、無水酢酸による再結晶、さらにN,N’−ジメチルホルムアミドによる再結晶を行い、白色固体として(3aR,4R,5S,5aS,8aR,9R,10S,10aS)−デカヒドロ−1H,3H−4,10−エタノ−5,9−メタノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン(EMDAxx)175.9gを得た(1H−NMR分析による純度99.4%、収率96%)。
さらに、得られたEMDAxx150gを使用し、250〜290℃/5Paの昇華条件で精製を行い、白色固体としてEMDAxx146gを得た(1H−NMR分析による純度100%、回収率97.6%)。
EMDAxxの物性値は以下であった。
1H−NMR(DMSO−d6,σ(ppm)); 0.98(d,J=13Hz,1H),1.15(d,J=9.4Hz,2H),1.57(d,J=9.4Hz,2H),1.81(s,2H),1.91(d,J=13Hz,1H),2.17(s,2H),2.63(s,2H),3.04(s,2H),3.19(s,2H)
CI−MS(m/z); 317(M+1)
〔実施例S−3(BNDAの合成)〕
容量1Lのオートクレーブに、シス−1,4−ジクロロ−2−ブテン233g(1.76mol)、ジシクロペンタジエン245g(1.96mol)、トルエン176mLを入れた。系内を窒素置換した後、温度180℃で5時間反応させた。オートクレーブを開けて、反応物を取り出し、濃縮した。
続いて、容量1Lのオートクレーブに、シス−1,4−ジクロロ−2−ブテン149g(1.13mol)、ジシクロペンタジエン156g(1.25mol)、トルエン112mLを入れた。系内を窒素置換した後、温度180℃で5時間反応させた。オートクレーブを開けて、反応物を取り出し、濃縮した。
計2回の反応で得られた反応物(濃縮残渣)を合わせて(計942g)、減圧蒸留を行ない、薄茶色液体として5,6−ビス(クロロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(BCMN)396.8gを得た(GC分析による純度74.7%、収率65%)。
BCMNの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.37(d,J=8.4Hz,1H),1.56(d,J=8.4Hz,1H),2.55−2.67(m,2H),3.06−3.17(m,4H),3.47(dd,J=5.8Hz,J=10Hz,2H),6.25(t,J=2.0Hz,2H)
CI−MS(m/z); 191(M+1)
容量5Lの反応容器に、85wt%水酸化ナトリウム水溶液307g(4.65mol)、エタノール2.3L、BCMN396.8g(1.55mol)を加えて、反応温度78℃で41時間、加熱撹拌した。反応終了後、得られた懸濁液をろ過した。そして、ろ液を温度10℃に冷却し、温度10〜20℃に冷却しながら濃硫酸120gを滴下し、懸濁液を得た。得られた懸濁液をろ過して、ろ液を55−58℃/290−300mmHgで減圧蒸留して、5,6−ジメチレンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(CYDE)のエタノール溶液2424gを得た。
CYDEの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.57(d,J=8.2Hz,1H),1.77(d,J=8.2Hz,1H),3.30(d,J=1.8Hz,2H),4.95(s,2H),5.16(s,2H),6.19(s,2H)
CI−MS(m/z); 119(M+1)
容量10Lの反応容器に、得られたCYDEのエタノール溶液2424g、アセチレンジカルボン酸ジメチル264.3g(1.86mol)を加えて、反応温度70〜78℃で17時間反応させた。反応終了後、エタノールを減圧留去して、茶色液体369.3gを得た。次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=15:1(容量比))で精製し、茶色液体としてジメチル1,4,5,8−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−6,7−ジカルボキシレート(CYME)を含む留分(1)126g(GC分析による純度85.6pa%)と、留分(2)177g(GC分析による純度50.9pa%)の2留分を得た[合計収率(BCMN基準の収率)49%]。
CYMEの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.98(d,J=0.8Hz,2H),2.85−3.02(m,2H),3.21−3.40(m,4H),3.76(s,6H),6.76(t,J=1.8Hz,2H)
CI−MS(m/z); 261(M+1)
容量3Lの反応容器に、Ar雰囲気下、CYMEを含む留分(1)126g(純度85.6pa%;414.4mmol)、塩化メチレン1.3L、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン138g(607.9mmol)を加えて、20℃で7時間反応させた。
また、容量3Lの反応容器に、Ar雰囲気下、CYMEを含む留分(2)177g(純度50.9pa%;346.1mmol)、塩化メチレン890mL、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン97.7g(430.4mmol)を加えて、20℃で7時間反応させた。
2回の反応で得られた反応物を合わせて減圧濃縮して、茶色液体457.4gを得た。続いて、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=15:1(容量比))で精製し、赤色油状物質248.9gを得た。この油状物質を酢酸エチル2Lに溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500mLで3回洗浄し、さらに飽和食塩水500mLで洗浄した後、硫酸ナトリウムで脱水乾燥し、ろ過した後に、ろ液を減圧濃縮して、赤色油状物質としてジメチル1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレン−6,7−ジカルボキシレート(CYPDM)146gを得た(GC分析による純度99.1pa%、収率74%)。
CYPDMの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 2.26(d,J=7.6Hz,1H),2.36(d,J=7.6Hz,1H),3.85(s,6H),3.94(t,J=1.8Hz,2H),6.77(t,J=1.8Hz,2H),7.56(s,2H)
CI−MS(m/z); 259(M+1)
容量500mLの反応容器に、メタノール135g、クロロホルム41g、塩化銅(II)52g(387mmol)、塩化パラジウム14mg(0.08mmol)を入れた。系内の雰囲気を一酸化炭素にガス置換した後、クロロホルム66gに溶解したCYPDM20g(76.7mmol)の溶液を6時間かけて滴下し、室温で3時間反応させた。次いで、系内の雰囲気を一酸化炭素からアルゴンに置換した後、反応混合物から溶媒を留去し、クロロホルム300gを添加した。さらに減圧濃縮して溶媒を留去し、クロロホルム300gを添加した。そして、得られた茶緑色の懸濁液から不溶物をろ過で除去した。得られた溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液240gで3回洗浄し、さらに精製水240gで3回洗浄した後、有機層に無水硫酸マグネシウム4g、活性炭2gを入れて撹拌した。そして、溶液をろ過した後に減圧濃縮し、薄茶色固体26.7gを得た。次いで、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=15:1(容量比))による精製、続いて再結晶(溶媒比;トルエン/ヘプタン=2.5:1(容量比))による精製を行い、白色固体としてテトラメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボキシレート(BNME)22.4gを得た(HPLC分析による純度94.8pa%、収率67.5%)。
BNMEの物性値は以下であった。
1H−NMR(CDCl3,σ(ppm)); 1.89(d,J=10Hz,1H),2.54(d,J=10Hz,1H),2.74(d,J=2.0Hz,2H),3.67(t,J=2.0Hz,2H),3.70(s,6H),3.89(s,6H),7.57(s,2H)
CI−MS(m/z); 377(M+1)
容量200mLの反応容器に、BNME20g(50.4mmol)、ギ酸60g、パラトルエンスルホン酸一水和物194.2mg(1.02mmol)を加え、内温95℃〜99℃で57時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、濃縮物にトルエン42gを添加した。この操作を7回繰り返して、ギ酸をほぼ完全に留去した。得られた懸濁液をろ過し、得られた固体をトルエン21gで洗浄した後、80℃で真空乾燥し、乳白色固体16.1gを得た。その後、無水酢酸による再結晶、さらにN,N’−ジメチルアセトアミドによる再結晶を行い、白色固体として3a,4,10,10a−テトラヒドロ−1H,3H−4,10−メタノナフト[2,3−c:6,7−c’]ジフラン−1,3,6,8−テトラオン(BNDA)8.39gを得た(1H−NMR分析による純度98.8%、収率57.9%)。
さらに、得られたBNDA15gを使用し、220〜230℃/5Paの昇華条件で精製を行い、白色固体としてBNDA11.6gを得た(1H−NMR分析による純度100%、回収率76.4%)。
BNDAの物性値は以下であった。
1H−NMR(DMSO−d6,σ(ppm)); 1.79(d,J=15Hz,1H),1.93(d,J=15Hz,1H),3.21(s,2H),4.05(s,2H),8.07(s,2H)
CI−MS(m/z); 285(M+1)
〔実施例1〕
窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.60g(2.6ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の6.29gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にTNDA 1.12g(2.6ミリモル)を徐々に加えた。室温で48時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から440℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2に示す。
〔実施例2〕
窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.00g(4.4ミリモル)とPPD 0.07g(0.6ミリモル)とBAPB 0.46g(1.3ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 25質量%となる量の11.54gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にTNDA 2.32g(6.3ミリモル)を徐々に加えた。室温で48時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から460℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2に示す。
〔比較例1〕
窒素ガスで置換した反応容器中にBAPB 1.00g(2.7ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 25質量%となる量の6.00gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にTNDA 1.00g(2.7ミリモル)を徐々に加えた。室温で48時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から430℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2に示す。
〔比較例2〕
窒素ガスで置換した反応容器中に4,4’−ODA 0.70g(3.5ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の7.95gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にTNDA 1.29g(3.5ミリモル)を徐々に加えた。室温で48時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から430℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2に示す。
〔実施例3〕
窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.23g(1.0ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 16質量%となる量の2.70gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液に実施例S−3で得られたBNDA 0.29g(1.0ミリモル)を徐々に加えた。室温で48時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から320℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2に示す。
〔実施例4〕
窒素ガスで置換した反応容器中にPPD 0.40g(3.7ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の5.81gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液に実施例S−3で得られたBNDA 1.05g(3.7ミリモル)を徐々に加えた。室温で48時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から350℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2に示す。
〔実施例5〕
窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB 1.52g(4.7ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の11.41gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液に実施例S−3で得られたBNDA 1.35g(4.7ミリモル)を徐々に加えた。室温で48時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から320℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2に示す。
〔実施例6〕
窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.40g(1.8ミリモル)とTFMB 0.70g(2.2ミリモル)とBAPB 0.16g(0.4ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の10.00gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液に実施例S−3で得られたBNDA 1.24g(4.4ミリモル)を徐々に加えた。室温で48時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から350℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2に示す。
〔実施例7〕
窒素ガスで置換した反応容器中にtra−DACH 0.39g(3.5ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 11質量%となる量の11.14gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液に実施例S−3で得られたBNDA 0.98g(3.5ミリモル)を徐々に加えた。室温で48時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から320℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2に示す。
〔比較例3〕
窒素ガスで置換した反応容器中に4,4’−ODA 0.60g(3.0ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 10質量%となる量の13.06gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液に実施例S−3で得られたBNDA 0.85g(3.0ミリモル)を徐々に加えた。室温で48時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から320℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2に示す。
〔実施例8〕
窒素ガスで置換した反応容器中に4,4’−ODA 0.70g(3.5ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 7質量%となる量の25.57gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液に実施例S−1で得られたDMADA 1.22g(3.5ミリモル)を徐々に加えた。室温で48時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から350℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2に示す。
〔実施例9〕
窒素ガスで置換した反応容器中にTPE−R 1.20g(4.1ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 25質量%となる量の11.39gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液に実施例S−2−2で得られたEMDAxx 1.32g(4.1ミリモル)を徐々に加えた。室温で48時間撹拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。
PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から450℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が10μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2に示す。
表2−1に示した結果から、テトラカルボン酸成分としてTNDAを用いる場合、ジアミン成分として、エーテル結合(−O−)を有するジアミン(4,4’−ODA、BAPB)のみを用いた場合と比較して、エーテル結合(−O−)を有さない前記化学式(B−1)の構造を与えるジアミン(DABAN、PPD)を用いた場合、十分な透明性、機械的特性を保ちつつ、得られるポリイミドの耐熱性が高く、線熱膨張係数が低くなることが分かる(実施例1、2と比較例1、2)。テトラカルボン酸成分としてBNDAを用いる場合、ジアミン成分として、エーテル結合(−O−)を有するジアミン(4,4’−ODA)のみを用いた場合と比較して、エーテル結合(−O−)を有さない前記化学式(B−1)の構造を与えるジアミン(DABAN、PPD、TFMB)、前記化学式(B−2)の構造を与えるジアミン(tra−DACH)を用いた場合、十分な透明性、機械的特性を保ちつつ、得られるポリイミドの線熱膨張係数が極めて低くなり、耐熱性も同等以上であることが分かる(実施例3〜7と比較例3)。
また、組み合わせるジアミン成分が同一のものである場合、テトラカルボン酸成分としてDMADAを用いた場合、BNDAを用いた場合と比較して、得られるポリイミドの線熱膨張係数が低くなることが分かる(実施例8と比較例3)。
また、テトラカルボン酸成分としてEMDAを用いた場合も、線熱膨張係数が低く、耐熱性が高く、十分な特性を有するポリイミドが得られる(実施例9)。