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JP6941338B2 - 歯科充填材料用シリンジならびにこれに用いる筒体先端部およびリング状キャップ。 - Google Patents
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JP6941338B2 - 歯科充填材料用シリンジならびにこれに用いる筒体先端部およびリング状キャップ。 - Google Patents

歯科充填材料用シリンジならびにこれに用いる筒体先端部およびリング状キャップ。 Download PDF

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Description

本発明は、歯科充填材料用シリンジならびにこれに用いる筒体先端部およびリング状キャップに関するものである。
齲歯などの歯科治療に際しては、コンポジットレジンと呼ばれる高粘度のペースト状の光硬化性組成物などの歯科充填材料を用いて治療が行われる。この歯科充填材料は、特許文献1,2等に例示されるような、広く開口した吐出口において歯科充填材料の視認が可能な歯科充填材料用シリンジ内に充填された状態で保存されており、歯科治療に際しては、必要量を歯科充填材料用シリンジから吐出させて使用する。この歯科充填材料用シリンジは、黒色あるいは白色のモノトーンカラーの樹脂部材から構成され、必要に応じて表面に製品名などが記載されている。
また、治療した部位の審美性を確保するためには、歯牙の修復対象箇所およびその周辺と治療に用いる歯科充填材料との色調を一致させることが重要である。それゆえ、審美性の高い治療を容易とすべく、歯科充填材料の、白色練和紙上で観察される環境下の色調だけでなく、口腔内における色調も正確に確認できる歯科充填材料用載置体が提案されている(特許文献3)。
特開2000−325362号公報 特開2010−162111号公報 特開2009−22433号公報
一方、特許文献3に記載された歯科充填材料用載置体と、従来の歯科充填材料用シリンジとを組み合わせて実際の歯科治療において審美的な観点で治療を行う場合、以下のステップ1〜ステップ4に示す操作を順次実施する必要がある。
(ステップ1)口腔内の修復対象箇所およびその近傍の色調を確認する。
(ステップ2)歯科充填材料用シリンジに充填された歯科充填材料を歯科充填材料用載置体上に必要量だけ載置する。
(ステップ3)歯科充填材料用載置体上に載置された歯科充填材料の色調を確認する。
(ステップ4)口腔内の修復対象箇所およびその近傍の色調と歯科充填材料用載置体上に載置された歯科充填材料の色調との一致度合が高いと判断される場合は、修復対象箇所に歯科充填材料を充填して、必要に応じて所望の形状に整えた後、歯科充填材料を重合・硬化させる。
それゆえ、ステップ2、3において特許文献3に記載の歯科充填材料用載置体を用いれば、ステップ4において、歯科充填材料の色調が口腔内の修復対象箇所の色調と一致しているか否かの判断をより正確に行えるため、従来の歯科充填材料用シリンジのみを用いる場合と比べて審美性の高い治療をより容易に行える。
しかしながら、歯科充填材料の色調と、修復対象箇所の色調との一致度合が低い場合、ステップ2において歯科充填材料用シリンジから取り出した歯科充填材料が全て無駄になる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、歯科治療時の色調確認作業に伴う歯科充填材料の無駄の発生を抑制できる歯科充填材料用シリンジならびにこれに用いる筒体先端部およびリング状キャップを提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
本発明の歯科充填材料用シリンジは、両端にそれぞれ開口を有し、一方の端の開口が吐出口を成す筒体と、筒体内を、筒体の軸方向に沿ってスライド可能に配置された押出部材と、を少なくとも備え、筒体のうち吐出口近傍の部分を成す筒体先端部の内側面および外側面から選択される少なくとも一方の面が、筒体先端部の周方向に沿って2つ以上の領域に分割されると共に、筒体先端部の周方向に対して隣接する2つの領域の色調が互いに異なるように色分けされている場合において、2つ以上の領域から選択される第一領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が3以下、かつ、L値が30以下の第一色調を有し、2つ以上の領域から選択される第二領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が11以下、かつ、L値が90以上の第二色調を有することを特徴とする。
本発明の歯科充填材料用シリンジの一実施形態は、筒体先端部の少なくとも内側面が、筒体先端部の周方向に沿って2つ以上の領域に分割されると共に、筒体先端部の周方向に対して隣接する2つの領域の色調が互いに異なるように色分けされていることが好ましい。
本発明の歯科充填材料用シリンジの他の実施形態は、筒体先端部の内側面および外側面が、筒体先端部の周方向に沿って2つ以上の領域に分割されると共に、筒体先端部の周方向に対して隣接する2つの領域の色調が互いに異なるように色分けされていることが好ましい。
本発明の歯科充填材料用シリンジの他の実施形態は、2つ以上の領域が、3つの領域を含み、2つ以上の領域から選択される第三領域が、JISZ8729で規格されているL表色系におけるa≧10、b≧−20、a>b/0.88+18.2、90≧L≧40の範囲の第三色調、および、JISZ8729で規格されているL表色系における3<{(a+(b1/2<11、90>L>30の範囲の第四色調、からなる群より選択されるいずれかの色調を有することが好ましい。
本発明の歯科充填材料用シリンジの他の実施形態は、2つ以上の領域が、4つの領域を含み、2つ以上の領域から選択される第三領域が、JISZ8729で規格されているL表色系におけるa≧10、b≧−20、a>b/0.88+18.2、90≧L≧40の範囲の第三色調を有し、2つ以上の領域から選択される第四領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における3<{(a+(b1/2<11、90>L>30の範囲の第四色調を有することが好ましい。
本発明の歯科充填材料用シリンジの他の実施形態は、筒体が、両端にそれぞれ開口を有する筒体本体部と、筒体本体部の一方の端に脱着可能に取り付けられた筒体先端部と、を含むことが好ましい。
本発明の歯科充填材料用シリンジの他の実施形態は、筒体内に充填される歯科充填材料が、光重合性組成物からなる歯科充填材料であることが好ましい。
本発明の歯科充填材料用シリンジの筒体先端部は、両端にそれぞれ開口を有する筒体本体部と、筒体本体部の一方の端に脱着可能に取り付けられ、両端にそれぞれ開口を有すると共に、一方の端の開口が吐出口を成す筒体先端部と、筒体本体部内に、筒体本体部の軸方向に沿ってスライド可能に配置された押出部材と、を少なくとも備えた歯科充填材料用シリンジを構成する筒体先端部であって、筒体先端部の内側面および外側面から選択される少なくとも一方の面が、筒体先端部の周方向に沿って2つ以上の領域に分割されると共に、筒体先端部の周方向に対して隣接する2つの領域の色調が互いに異なるように色分けされている場合において、2つ以上の領域から選択される第一領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が3以下、かつ、L値が30以下の第一色調を有し、2つ以上の領域から選択される第二領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が11以下、かつ、L値が90以上の第二色調を有することを特徴とする。
第一の本発明の歯科充填材料用シリンジのリング状キャップは、両端にそれぞれ開口を有し、一方の端の開口が吐出口を成す筒体と、筒体内を、筒体の軸方向に沿ってスライド可能に配置された押出部材と、を少なくとも備えた歯科充填材料用シリンジの吐出口に取付けられるリング状キャップであって、リング状キャップの内側面および外側面から選択される少なくとも一方の面が、リング状キャップの周方向に沿って2つ以上の領域に分割されると共に、リング状キャップの周方向に対して隣接する2つの領域の色調が互いに異なるように色分けされている場合において、2つ以上の領域から選択される第一領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が3以下、かつ、L値が30以下の第一色調を有し、2つ以上の領域から選択される第二領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が11以下、かつ、L値が90以上の第二色調を有することを特徴とする。
第一の本発明の歯科充填材料用シリンジのリング状キャップは、両端にそれぞれ開口を有し、一方の端の開口が吐出口を成す筒体と、筒体内を、筒体の軸方向に沿ってスライド可能に配置された押出部材と、を少なくとも備え、吐出口近傍の部分を成す筒体先端部の内側面および外側面の全面が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が3以下、かつ、L値が30以下の第一色調、および、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が11以下、かつ、L値が90以上の第二色調、からなる群より選択されるいずれかの色調を有する歯科充填材料用シリンジの前記吐出口に取付けられるリング状キャップであって、リング状キャップを周方向に沿って2つ以上の領域に分割した際に、前記2つ以上の領域から選択される第一領域が、透明部材から構成されるか、あるいは、リング状キャップの第一領域を占める部材を除外して形成される隙間部分からなり、2つ以上の領域から選択される第二領域のうち、リング状キャップの内側面および外側面から選択される少なくとも一方の面が、第一色調および第二色調のうち、筒体先端部の内側面および外側面の全面の色調として選択された色調とは異なる色調を有することを特徴とする。
本発明によれば、歯科治療時の色調確認作業に伴う歯科充填材料の無駄の発生を抑制できる歯科充填材料用シリンジならびにこれに用いる筒体先端部およびリング状キャップを提供することができる。
本実施形態の歯科充填材料用シリンジの一例を示す外観斜視図である。 図1に示す歯科充填材料用シリンジの内部構造の一例を示す部分断面図である。 本実施形態の歯科充填材料用シリンジを構成する筒体のうち吐出口近傍の部分を成す筒体先端部の断面構造の一例を示す断面図である。 本実施形態のシリンジの筒体先端部の内側面および外側面におけるカラーリングの一例を示す展開平面図である。ここで、図4(A)は、筒体先端部の内側面におけるカラーリングについて示す展開平面図であり、図4(B)は、筒体先端部の外側面におけるカラーリングについて示す展開平面図である。 本実施形態のシリンジの筒体先端部の内側面および外側面におけるカラーリングの他の例を示す展開平面図である。ここで、図5(A)は、筒体先端部の内側面におけるカラーリングについて示す展開平面図であり、図5(B)は、筒体先端部の外側面におけるカラーリングについて示す展開平面図である。 本実施形態のシリンジの筒体先端部の内側面および外側面におけるカラーリングの他の例を示す展開平面図である。ここで、図6(A)は、筒体先端部の内側面におけるカラーリングについて示す展開平面図であり、図6(B)は、筒体先端部の外側面におけるカラーリングについて示す展開平面図である。 本実施形態のシリンジの筒体先端部の内側面および外側面におけるカラーリングの他の例を示す展開平面図である。ここで、図7(A)は、筒体先端部の内側面におけるカラーリングについて示す展開平面図であり、図7(B)は、筒体先端部の外側面におけるカラーリングについて示す展開平面図である。 本実施形態のシリンジの筒体先端部の内側面および外側面におけるカラーリングの他の例を示す展開平面図である。ここで、図8(A)は、筒体先端部の内側面におけるカラーリングについて示す展開平面図であり、図8(B)は、筒体先端部の外側面におけるカラーリングについて示す展開平面図である。 本実施形態の歯科充填材料用シリンジの他の例を示す側面図である。 第一の本実施形態の歯科充填材料用シリンジのリング状キャップの一例を示す模式図である。ここで、図10(A)は、リング状キャップの側面図であり、図10(B)は、図10(A)に示すリング状キャップを従来の歯科充填材料用シリンジの吐出口に対して取り付けた状態における断面構造の一例を示す断面図である。 比較例1で用いた練和紙の平面図である。
図1および図2は本実施形態の歯科充填材料用シリンジ(以下、「シリンジ」と略す場合がある)の一例を示す模式図である。ここで、本実施形態のシリンジ10A(10)は、両端にそれぞれ開口20、30を有し、一方の端の開口20が吐出口20を成す筒体40と、筒体40内を筒体40の軸方向A1に沿ってスライド可能に配置されると共に、外側面が筒体40の内側面と実質的に隙間なく接触する柱状の押出部材50とを備える。このシリンジ10Aを使用する場合、筒体40内には、歯科充填材料が充填され、吐出口20から歯科充填材料を吐出させる際には、押出部材50を吐出口20側へとスライドさせることで、筒体40内に充填された歯科充填材料を吐出口20を介して筒体40の外部へと押し出す。
なお、シリンジ10Aは、開口20(吐出口20)および開口30が設けられた筒体40と、押出部材50とを備えるものであればその構造は特に制限されないが、一般的には、図1および図2に例示されるように、雌ネジ部42、雄ネジ部52、把持部54および蓋部材60などもさらに有することが特に好ましい。すなわち、図1および図2に示すように、通常、押出部材50の両端面のうち開口30が位置する側の面には、ボルト形状の雄ネジ部52が形成されると共に、雄ネジ部52の押出部材50と反対側の端には略平板状の把持部54が設けられる。また、筒体40の開口30側の端部は、雄ネジ部52と螺合する雌ネジ部42が設けられる。さらに、筒体40の吐出口20側の端部を覆うための蓋部材60が、筒体40に対して脱着可能に設けられる。なお、蓋部材60はヒンジを介して筒体40に対して回動自在に連結されていてもよい。
また、本実施形態のシリンジ10Aにおいては、筒体40のうち吐出口20近傍の部分を成す筒体先端部44の内側面および外側面から選択される少なくとも一方の面が、筒体先端部44の周方向C1に沿って2つ以上の領域に分割されると共に、筒体先端部44の周方向C1に対して隣接する2つの領域の色調が互いに異なるように色分けされる。
ここで、2つ以上の領域から選択される第一領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が3以下、かつ、L値が30以下の第一色調を有し、かつ、2つ以上の領域から選択される第二領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が11以下、かつ、L値が90以上の第二色調を有する。
従って、第一色調を有する第一領域により、口腔内において、口腔内の暗色が反映され、修復部位の歯牙と調和する色調を有する歯科充填材料を選択することができると共に、環境光(室内光および/または太陽光)の下において、第二色調を有する第二領域により、治療に使用しようとしている歯科充填材料の色調を正確に認識できる。
これに加えて、第一色調を有する第一領域および第二色調を有する第二領域は、各々、筒体先端部44の表面の一部を占める領域である。このため、歯科充填材料が吐出口20内に存在する状態で、歯科充填材料の色調を確認することができるため、色調確認のために特許文献3に記載の歯科充填材料用載置体上に歯科充填材料を載置せずともよい。したがって、歯科充填材料の色調と、修復対象箇所の色調との一致度合が低い場合であっても、従来のように色調確認のために歯科充填材料用載置体上に載置した歯科充填材料が無駄になることが無い。勿論、特許文献3に記載の歯科充填材料用載置体を用いずに従来の歯科充填材料用シリンジのみを用いて歯科治療を行う場合と比べても、色調確認作業が容易になるため、色調の確認に要する時間を短縮できると共に、修復対象箇所の色調との一致度合を高めることが容易になる。これは、後述する第三の領域や第四の領域にその他の色調をさらに割り当てる場合も同様である。
なお、第一色調は、{(a+(b1/2値が2.5以下、L値が25以下であることが好ましく、第二色調は、{(a+(b1/2値が10以下、L値が92以上であることが好ましい。
また、2つ以上の領域が、3つの領域を含む場合には、2つ以上の領域から選択される第三の領域が、JISZ8729で規格されているL表色系におけるa≧10、b≧−20、a>b/0.88+18.2、90≧L≧40の範囲の第三色調、および、JISZ8729で規格されているL表色系における3<{(a+(b1/2<11、90>L>30の範囲の第四色調、からなる群より選択されるいずれかの色調を有することが好ましい。
歯頸部を修復する場合において、単に口腔内の暗さだけではなく、歯肉のピンクの色調も反映された状態で修復部位の歯牙と調和する色調を有する歯科充填材料を選択することが必要となる。このため、第三領域が歯肉の色調に近い第三色調を有する場合、歯肉に近接した部位を治療する際に使用しようとしている歯科充填材料の色調を正確に認識できる。また、裏打ちのある前壁部に形成された窩洞、すなわち、舌側面側まで貫通していない窩洞を有する前歯部を修復する場合において、口腔内の暗さは弱められた状態で修復部位の歯牙と調和する色調を有する歯科充填材料を選択することが必要となる。このため、第三領域が第四色調を有する場合、上述したような修復部位の歯牙と調和する色調を有する歯科充填材料の色調を正確に認識できる。
さらに、2つ以上の領域が、4つの領域を含む場合には、2つ以上の領域から選択される第三領域が、第三色調を有し、2つ以上の領域から選択される第四領域が、第四色調を有することが好ましい。これにより、多様な色調の確認作業がより容易になる。
なお、第三色調は、a≧12、b≧−18、a>b/0.88+18.2、85≧L≧45であることが好ましく、第四色調は、4<{(a+(b1/2<10、70>L>40であることが好ましい。
ここで、三次元表色系の代表的なものに、上述したL表色系がある。L表色系は、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化され、日本ではJISZ8729で規定されている。L表色系において、Lは明度を表し、0から100の数値で示す。Lが大きければ明るくなり、逆に小さくなれば暗くなる(L=0は黒、L=100は白である。a、bは色度を表す。aは、正の数値が大きいほど赤くなり、負の数値が大きいほど緑になる。bは、正の数値が大きいほど黄になり、負の数値が大きいほど青になる。{(a+(b1/2は、Lh表色系で表すところのCと同じく彩度を表し、無彩色(彩度=0)より均等色空間内(明度面は一定)でどの程度距離が離れているかを示す。
第一色調〜第四色調は、上述したL表色系で定義された数値範囲内であれば、いずれの色調でも採用できる。しかしながら、第一色調としては黒色を用いることが特に好ましく、第二色調としては白色を用いることが特に好ましい。黒色は口腔内の暗い環境下で歯科充填材料を確認するために好適であり、白色は口腔外の環境下で歯科充填材料を確認するために好適である。また、第三色調としてはピンク色を用いることが特に好ましい。また、第三色調は人間の歯肉の色に基づいて色合いを選択することが望ましい。さらに、第四色調としては、グレー色を用いることが特に好ましい。ただし、グレー色に限定せず、第四色調として、上述したL表色系で定義された数値範囲内の他の色調も採用できる。第四色調は、第一色調と第二色調との間の色調であって、口腔内において、真暗ではない状況下で歯科充填材料を確認するために色調が選択される。
第一色調および第二色調、さらには必要に応じて用いられる第三色調および第四色調は、筒体先端部44の表面を周方向C1に沿って2つ以上に分割した各々の領域に割り当てられるため、吐出口20内に歯科充填材料が存在する状態で極めて効率的に色調確認ができる。
なお、筒体先端部44の内側面および/または外側面を周方向C1に沿って2つ以上の領域に分割して、各領域に第一色調、第二色調、さらには必要に応じて第三色調および第四色調を割り当てる場合、筒体先端部44の表面の色分けの態様は、以下の第一態様〜第三態様のいずれであってもよい。
(i)筒体先端部44の外側面のみを、筒体先端部44の周方向C1に沿って2つ以上の領域に分割すると共に、筒体先端部44の周方向C1に対して隣接する2つの領域の色調が互いに異なるように色分けする第一態様
(ii)筒体先端部44の内側面のみを、筒体先端部44の周方向C1に沿って2つ以上の領域に分割すると共に、筒体先端部44の周方向C1に対して隣接する2つの領域の色調が互いに異なるように色分けする第二態様
(iii)筒体先端部44の内側面および外側面を、筒体先端部44の周方向C1に沿って2つ以上の領域に分割すると共に、筒体先端部44の周方向C1に対して隣接する2つの領域の色調が互いに異なるように色分けする第三態様
特に、筒体先端部44の外側面の各々の領域に割り当てられた各色調と、吐出口20内に存在する歯科充填材料の色調とを目視で直接対比して確認できる上に、歯科充填材料を使用する歯科医師が、どの色調についての確認作業を行っているのかも容易に認識できるという点では、第一態様および第三態様が好ましい。
一方、歯科充填材料は、一般的に半透明状あるいは乳白色状のペースト状物質であるため、歯科充填材料の厚みが薄ければ薄い程、歯科充填材料の背後にある物体表面の色調(背景色)の影響を受けて、歯科充填材料の色調が異なって認識され易くなる。たとえば、形状・サイズが全く同一である白色の樹脂部材からなるシリンジと、黒色の樹脂部材からなるシリンジとに、それぞれ同一種類の歯科充填材料を充填して、各々のシリンジの吐出口内に存在する歯科充填材料を観察した場合、白色のシリンジに充填された歯科充填材料では暗く濃い色調として認識され、黒色のシリンジに充填された歯科充填材料は薄く明るい色調として認識される。すなわち、同一種類の歯科充填材料であっても、背景色が異なれば、白色のシリンジに充填された歯科充填材料と黒色のシリンジに充填された歯科充填材料とでは異なった色調として認識される。それゆえ、筒体先端部44の内側面を任意の1種類の色からなるモノトーン色とした第一態様では、筒体先端部44の内側面の色調次第では、歯科充填材料の明度や彩度などの色調の認識誤認あるいは錯覚が生じてしまい、審美性の高い歯科治療が困難となる場合がある。
したがって、上述した問題の発生を抑制する観点では、第二態様または第三態様が好ましい。但し、第二態様において、外側面の全面がモノトーン色では、どの色調についての確認作業を行っているのかが困難となる。このような場合、外側面には、内側面の周方向C1において分割された各領域の色調に対応する文字表示などを設けることが好ましい。たとえば、内側面が周方向C1に対して4つの領域に分割され、各領域に、白色、黒色、グレー色、ピンク色が割り当てられている場合、外側面には、「シロ」、「クロ」、「グレー」、「ピンク」の文字などからなる色調識別表示を設けることができる。
なお、本願明細書において、「筒体先端部の内側面」とは、シリンジ10内に歯科充填材料が充填された状態で、吐出口20内において歯科充填材料と実質的に常時接触する面を意味する。また、「筒体先端部の外側面」とは、シリンジ10内に歯科充填材料が充填された状態で、歯科充填材料と実質的に常時接触せず目視で直接視認できる面を意味する。すなわち、「筒体先端部の内側面」とは、図3に示す例では内周側壁面44Aを意味し、「筒体先端部の外側面」とは、図3に示す例では端面44Bおよび外周側壁面44Cを意味する。
筒体先端部44の内側面44Aを周方向C1に沿って2つ以上の領域に分割して、各領域を色分けする場合、周方向C1と直交する方向Xにおいては、内側面44Aの方向X全体において第一色調や第二色調などの所定の色調としてもよく、内側面44Aの方向Xの一部分において内側面44Aを第一色調や第二色調などの所定の色調としてもよい。但し、内側面44Aの方向Xの一部分のみを第一色調や第二色調などの所定の色調とする場合、出来る限り吐出口20に近い部分を所定の色調とすることが好ましい。なお、この点は外側面44B、44Cについても同様である。また、周方向C1と直交する方向Xに対に対する内側面44Aおよび外側面44B、44Cの領域広さは特に制限されないが、一般的には、吐出口20側から約2mm〜15mm程度の領域であればよく、好ましくは約3mm〜10mm程度の領域であればよい。また、本実施形態のシリンジ10における吐出口20の直径は、特に限定されるものではないが、約3mm〜10mm程度が一般的である。
図4〜図8は、本実施形態のシリンジ10Aの筒体先端部44の内側面44Aおよび外側面44B、44Cにおけるカラーリングの一例を示す展開平面図であり、具体的には図3に示す筒体先端部44の内側面44Aおよび外側面44B、44Cを周方向C1に対して展開した状態について示している。ここで、図4(A)〜図8(A)は、内側面44Aにおけるカラーリングについて示す展開平面図であり、図4(B)〜図8(B)は、外側面44B、44Cにおけるカラーリングについて示す展開平面図であり、各図の上端側が吐出口20側を意味する。また、各図の上端および下端に示す角度は、周方向C1のある位置を基準(0°)とした場合の周方向C1における位置を示しており、0°と360°とは周方向C1において同じ位置を意味する。
また、図4〜図8中、ローマ数字の「I」で示される領域は第一色調を有する領域を意味し、「II」で示される領域は第二色調を有する領域を意味し、「III」で示される領域は第三色調を有する領域を意味し、「IV」で示される領域は第四色調を有する領域を意味する。なお、この点は後述する図11においても同様である。
図4に示す例では、内側面44Aが周方向C1に対して2つの領域に2等分されており、図中、左側の領域が第一色調を有し、右側の領域が第二色調を有している。また、外側面44B、44Cは、その全面が白色あるいは黒色などのモノトーン色となっている。但し、外側面44B、44Cのうち、外周側壁面44Cには、内側面44Aの第一色調を有する領域に対応する色調識別表示70として文字「B」が表示されており、内側面44Aの第二色調を有する領域に対応する色調識別表示70として文字「W」が表示されている。
図5に示す例では、外側面44B、44Cは周方向C1に対して2つの領域に2等分されており、図中、左側の領域が第一色調を有し、右側の領域が第二色調を有している。また、内側面44Aは、その全面が白色あるいは黒色などのモノトーン色となっている。
図6に示す例では、内側面44Aおよび外側面44B、44Cが周方向C1に対して2つの領域に2等分されており、図中、左側の領域が第一色調を有し、右側の領域が第二色調を有している。
図7に示す例では、内側面44Aおよび外側面44B、44Cが周方向C1に対して3つの領域に3等分されており、図中、左側の領域が第一色調を有し、中央の領域が第二色調を有し、右側の領域が第三色調を有している。但し、外側面44B、44Cのうち外周側壁面44Cについては、外周側壁面44Cの吐出口20側に近い領域だけが3つの領域に3等分されて色分けされており、それ以外の領域は、白色あるいは黒色などのモノトーン色となっている。
図8に示す例では、内側面44Aおよび外側面44B、44Cのうちの端面44Bが周方向C1に対して4つの領域に4等分されており、図中、左側から右側へと、第一色調を有する領域、第二色調を有する領域、第三色調を有する領域、および第四色調を有する領域がこの順に設けられている。また、外側面44B、44Cのうち、全面が白色または黒色などのモノトーン色となっている外周側壁面44Cには、内側面44Aおよび端面44Bにおいて、第一色調を有する領域に対応する色調識別表示70として文字「B」が表示されており、第二色調を有する領域に対応する色調識別表示70として文字「W」が表示されており、第三色調を有する領域に対応する色調識別表示70として文字「P」が表示されており、第四色調を有する領域に対応する色調識別表示70として文字「G」が表示されている。
本実施形態のシリンジ10内に充填される歯科充填材料は、歯科治療に用いられるペースト状の物質であれば特に制限されず、歯科用のコンポジットレジンやセメントなどの公知の歯科充填材料が利用できる。歯科充填材料は、重合性単量体と重合開始剤とを少なくとも含み、さらに必要に応じて、フィラーや溶媒などを適宜含む組成物である。また、歯科充填材料は、重合性単量体および化学重合開始剤を少なくとも含む化学重合性組成物からなる歯科充填材料、重合性単量体および光重合開始剤を少なくとも含む光重合性組成物からなる歯科充填材料のいずれでも良い。なお、光重合性組成物からなる歯科充填材料の場合、シリンジ10の吐出口20から吐出させた後は、環境光により、歯科充填材料中に含まれる重合性単量体の重合・硬化が始まってしまう。このため、特許文献3に記載の歯科充填材料用載置体を用いて色調確認を行っている場合、色調確認に手間取ると、修復対象箇所に対して歯科充填材料を盛り付けて、所望の形状に整えるために必要な時間が短くなってしまうことがある。しかしながら、本実施形態のシリンジ10を用いる場合は、環境光に対する露出を最小限にできる吐出口20内に歯科充填材料が存在する状態で色調確認を行うことができるため、上述した問題を大幅に抑制できる。
なお、本実施形態のシリンジ10は、筒体先端部44が脱着式であってもよい。図9は、本実施形態のシリンジの他の例について示す側面図である。図9に示すシリンジ10B(10)は、図1および図2に示すシリンジ10Aにおける筒体先端部44を、シリンジ10Aの主要部に対して脱着可能な構造としたものである。図9に示すシリンジ10Bは、筒体40が、両端にそれぞれ開口32、30を有する筒体本体部46Bと、筒体本体部46Bの一方の端(開口32が設けられた側の端)に脱着可能に取り付けられた筒体先端部46Tと、を有する部材である点を除けば、図1および図2等に示すシリンジ10Aと実質同様のシリンジである。
ここで、筒体先端部46Tは、吐出口20が設けられた側の端と反対側の端にも吐出口20と連通する開口22を有している。そして、図9に示す例では、開口22が設けられた側の端を、筒体本体部46Bの開口32内に差し込んだりあるいはねじ込むことで、筒体先端部46Tを筒体本体部46Bに装着できるようになっている。このため、筒体先端部46Tの開口22が設けられた側の外径が、筒体本体部46Bの開口32が設けられた側の内径と略一致するように設定されている。なお、筒体先端部46Tの開口22が設けられた側の内径が、筒体本体部46Bの開口32が設けられた側の外径と略一致するように設定してもよい。また、シリンダ10Bにおいては、押出部材50(図9中、不図示)は、少なくとも筒体本体部46B内において、筒体本体部46Bの軸方向A1に沿ってスライド可能に配置されていればよい。
なお、筒体先端部44、46Tの内側面44Aおよび/または外側面44B、44Cを、周方向C1に対して2つ以上の領域に分割して、各領域の色調が異なるように色分けする方法は特に限定されないが、たとえば、(a)2種類以上の異なる色調の樹脂材料を用いて筒体先端部44、46Tや、筒体先端部44を含む筒体40全体を成形する方法、(b)モノトーン色の筒体先端部44、46Tの内側面44Aおよび/または外側面44B、44Cを2種類以上の色調の異なる塗料でコーティングする方法、あるいは、(c)モノトーン色の筒体先端部44、46Tの内側面44Aおよび/または外側面44B、44Cに対して、2種類以上の色調の異なるフィルムを接着して貼り付ける方法、などが挙げられる。
また、筒体先端部の内側面および外側面がモノトーン色からなる点を除けば、図1および図2に例示した本実施形態のシリンジ10Aなどと同様の構造を持つ従来のシリンジの吐出口に対して、内側面および外側面から選択される一方の面が、周方向に対して2つ以上の領域に分割されると共に、各領域が、本実施形態のシリンジ10の筒体先端部44、46Tと同様に色分けされたリング状キャップを取り付けてもよい。このリング状キャップを用いれば、筒体先端部の内側面および外側面がモノトーン色からなる従来のシリンジであっても、本実施形態のシリンジ10と同様に歯科充填材料の色調確認を容易に行うことができる。
図10は、第一の本実施形態のリング状キャップの一例を示す概略模式図であり、図10(A)が、リング状キャップの側面図を示し、図10(B)が、図10(A)に示すリング状キャップを従来のシリンジの吐出口に対して取り付けた状態における断面構造の一例を示す断面図である。図10に示すリング状キャップ100は、両端に開口102、104を有しており、開口104側の端面106Dには、リング状キャップ100の軸方向A2に沿って、端面106Dから、開口102側の端面106B側へと伸びる取付け溝108が設けられている。また、リング状キャップ100の内側面(内周側壁面)106Aは、本実施形態のシリンジ10を構成する筒体先端部44、46Tの内側面44Aと同様の機能・役割を持つ面であり、外側面(端面106B、外周側壁面106C)は、本実施形態のシリンジ10を構成する筒体先端部44、46Tの外側面44B、44Cと同様の機能・役割を持つ面である。これらの内側面106Aおよび/または外側面106B、106Cについては、図4〜図8に例示した場合と同様にして、周方向C2に沿って2つ以上の領域に分割し、各領域を所定の色調で色分けすることができる。
また、図10に示す従来のシリンジの筒体先端部144は、本実施形態のシリンジ10Aを構成する筒体先端部44と同様の構造を有しており、内周側壁面144A、端面144Bおよび外周側壁面144Cが、筒体先端部44の内周側壁面44A、端面44Bおよび外周側壁面44Cにそれぞれ対応している。但し、筒体先端部144においては、内周側壁面144A、端面144Bおよび外周側壁面144Cはその全面が白色および黒色などのモノトーン色からなる。
リング状キャップ100を使用する場合は、リング状キャップ100の軸方向A2と、筒体先端部144の軸方向A3とを一致させた状態で、リング状キャップ100を開口104側から、従来のシリンジの筒体先端部144の吐出口120へと差し込むことで、筒体先端部144と、リング状キャップ100の取付け溝108とを嵌め合わせる。これによりリング状キャップ100を筒体先端部144に取付けることができる。
なお、従来のシリンジは、一般的に吐出口近傍の部分を成す筒体先端部の内側面および外側面の全面が、白系色あるいは黒系色からなる。したがって、シリンジとして、吐出口近傍の部分を成す筒体先端部の内側面および外側面の全面が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が3以下、かつ、L値が30以下の第一色調、および、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が11以下、かつ、L値が90以上の第二色調、からなる群より選択されるいずれかの色調を有するシリンジを用いる場合には、以下に説明する第二の本実施形態のリング状キャップを用いることも好適である。
すなわち、第二の本実施形態のリング状キャップは、リング状キャップを周方向に沿って2つ以上の領域に分割した際に、2つ以上の領域から選択される第一領域が、透明部材から構成されるか、あるいは、リング状キャップの第一領域を占める部材を除外して形成される隙間部分からなり、2つ以上の領域から選択される第二領域のうち、リング状キャップの内側面および外側面から選択される少なくとも一方の面が、第一色調および第二色調のうち、筒体先端部の内側面および外側面の全面の色調として選択された色調とは異なる色調を有する。第二の本実施形態のリング状キャップでは、第一領域の色調は、リング状キャップを取り付けるシリンジの筒状先端部の色調となる。そして、第二領域の色調は、第一領域の色調とは異なる色が選択される。たとえば、シリンジの筒状先端部が第一色調を有する場合、第二領域は第二色調を有する。なお、第一領域が隙間部分からなるリング状キャップは、リング状の部材の一部を切断したり、線状の部材を、両端に一定の隙間を設けた状態で円弧状に湾曲させて作製することができる。
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものでは無い。
歯科充填材料を充填した本実施形態のシリンジ10Aを用いて色調確認を行った場合と、歯科充填材料を充填した従来のシリンジおよび特許文献3に記載の歯科充填材料用載置体(練和紙)を用いて色調確認を行った場合とについて、色調確認に要した歯科充填材料の使用量および色調確認に要した時間について評価した。以下に評価方法および評価結果の詳細について説明する。
1.シリンジおよび練和紙
各実施例および比較例において歯科充填材料の色調確認のために使用したシリンジおよび練和紙の詳細を表1および表2に示す。なお、各実施例および比較例で用いたシリンジは、図1および図2に示す構造を有するシリンジ10Aであり、筒体先端部44の内側面44Aおよび/または外側面44B、44Cの色分け形態のみが表1に示すように異なっている。ここで、筒体先端部44の色分け形態については、実施例1は、図4に示す色分け形態を採用し、外側面44B、44Cは白色とした。実施例2は、図5に示す色分け形態を採用し、内側面44Aは白色とした。実施例3〜5は、内側面44Aおよび外側面44B、44Cの両面を表1に示す色調で色分けした。また、比較例1および比較例2で用いたシリンジは、筒体先端部の内側面および外側面の全面が白色のみからなることを除けば、図1および図2に示すシリンジ10Aと同様の構造を持つシリンジである。さらに比較例2で用いた練和紙は、図11に示すように練和紙200の歯科充填材料の載置面側に、円形状の色調確認用領域210が設けられており、この色調確認用領域210は、半円状の第一色調を有する領域と、第一色調を有する領域と隣接する半円状の第二色調を有する領域とに2等分されている。
なお、各実施例で用いたシリンジ10Aの筒体先端部44の内側面44Aおよび/または外側面44B、44Cの色調および練和紙200の色調確認用領域210のL表色系で示される色調は、色差計(TC−1800mkII、東京電色製)を用いて測定した。
Figure 0006941338
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2.歯科充填材料
各実施例で用いたシリンジ10Aおよび比較例1、2で用いたシリンジに充填する歯科充填材料としては、エステライトΣクイック(トクヤマデンタル製、色調:A2、A3、A3.5)を用いた。そして、各実施例および各比較例について、色調A2、A3およびA3.5の各歯科充填材料を各々充填したシリンジを各々1本づつ、合計3本準備した。なお、エステライトΣクイックは、10000ルクスの環境光下において、約90秒の操作余裕時間を有するコンポジットレジンである。
3.色調確認評価
レジン歯(リアルクラウン前歯(C5、色調:A3)およびエンデュラポステリオ(臼歯、M30、色調:A3)、松風製)を用いて、以下の3種類の窩洞を形成したレジン歯サンプルを作製した。
(a)左下6番の遠心2級窩洞
(b)左上2番の歯肉に近接した5級窩洞
(c)右上1番の裏打ちのある3級窩洞
次に、レジン歯サンプルを顎模型に配列した後、この顎模型を、口腔内を模擬的に再現できる基礎教育実習用の模型(ファントムDST、森田製作所製)に装着した。
続いて、各実施例および比較例1については、色調が互いに異なる歯科充填材料が充填された3本のシリンジおよび顎模型を被験者に供与して、また、比較例2については色調が互いに異なる歯科充填材料が充填された3本のシリンジ、練和紙および顎模型を被験者に供与して、被験者が顎模型に配列されたレジン歯の窩洞に最も一致すると判断したシリンジを1本選択した後、このシリンジを用いて歯科充填材を窩洞に充填させる色調確認テストを実施した。この色調確認テストは、各実施例および比較例について、10人の被験者により実施した。なお、色調確認を実施した室内の環境光の照度は約10000ルクスであった。
また、色調確認テストにおいて、各実施例および比較例1では、被験者は、歯科充填材料が充填されたシリンジ10Aのみを用いて、シリンジ10Aから歯科充填材料を吐出させることなく歯科充填材料と窩洞およびその近傍との色調が一致しているか否かにより色調確認を行った。一方、比較例2については、被験者は、歯科充填材料が充填された従来のシリンジから歯科充填材料を練和紙上に吐出させた後に、練和紙上の歯科充填材料と窩洞およびその近傍との色調が一致しているか否かにより色調確認を行った。
ここで、被験者が選択したシリンジに充填されている歯科充填材料が、窩洞の修復に最も適合する色調を有していた場合は、色調一致と判定し、それ以外の場合は色調不一致と判定した。また、被験者が色調確認作業を開始してから終了するまでの時間(すなわち、被験者が色調確認を行い、シリンジを選択するまでの時間)を測定すると共に、操作余裕時間(90秒)から色調確認に要した時間を差し引いた値を残余の操作余裕時間として算出した。さらに、比較例2における色調確認テストでは、色調確認に際して、各被験者が練和紙上に吐出させた歯科充填材料の使用量を計量した。
色調の一致/不一致の判定結果、色調確認に要した時間、残余の操作余裕時間および色調確認に際して使用した歯科充填材料の使用量を、各実施例および比較例において、色調確認テストのために歯科充填材料と色調を対比した窩洞およびその近傍の種類と共に表3および表4に示す。
ここで、表3および表4中、色調の一致/不一致の判定結果については、色調一致と判定された被験者の人数と、色調不一致と判定された被験者の人数とをそれぞれ集計した結果を示した。また、色調確認に要した時間および残余の操作余裕時間については、各被験者の値の平均値を示した。さらに、比較例2における色調確認テストでは、色調確認に際して、各被験者が練和紙上に吐出させた歯科充填材料の使用量の平均値を示した。
表3に示す結果から、外側面又は内側面を色分けしたシリンジを使用することにより、外側面及び内側面の両面を色分けをせずに白色としたシリンジと比較して、色調確認に要する時間を短くすることができ、色調の一致数も高い結果となった。中でも、内側面を色分けしたシリンジを使用した場合には、より一層、色調確認に要する時間を短くすることができ、色調の一致数を高くできることが分かった。以上のことから、シリンジ先端部分を色分けすることの効果が確認できた。特に、充填された歯科充填材料と直接接する内側面の色分けが大変効果的であることが確認できた。
また、表4に示す結果から、本発明のシリンジを使用することにより、シリンジに充填された歯科充填材料を吐出させることなく、修復対象箇所と一致する色調を選択することができるため、歯科充填材料の無駄の発生を抑制できた。特に、シリンジ先端部分の少なくとも内側面を色分けすることにより、上記効果に加え、各窩洞との色調確認に要した時間を、練和紙を用いたときの時間よりも短くすることができた。さらに、その中でも、内及び外側面の両面を色分けしたシリンジを用いることにより、より操作時間を短くすることができた。すなわち、本発明のシリンジを用いると、従来の色調確認作業を大変効率良く行うことができた。
Figure 0006941338
Figure 0006941338
10、10A、10B :シリンジ
20 :開口(吐出口)
22、30、32 :開口
40 :筒体
42 :雌ネジ部
44 :筒体先端部
44A :内周側壁面(内側面)
44B :端面(外側面の一部)
44C :外周側壁面(外側面の一部)
46B :筒体本体部
46T :筒体先端部
50 :押出部材
52 :雄ネジ部
54 :把持部
60 :蓋部材
70 :色調識別表示
100 :リング状キャップ
102、104 :開口
106A :内周側壁面(内側面)
106B :端面(外側面の一部)
106C :外周側壁面(外側面の一部)
106D :端面
108 :取付け溝
120 :吐出口
144 :筒体先端部
144A :内周側壁面
144B :端面
144C :外周側壁面
200 :練和紙
210 :色調確認用領域

Claims (10)

  1. 両端にそれぞれ開口を有し、一方の端の開口が吐出口を成す筒体と、
    前記筒体内を、前記筒体の軸方向に沿ってスライド可能に配置された押出部材と、を少なくとも備え、
    前記筒体のうち前記吐出口近傍の部分を成す筒体先端部の内側面および外側面から選択される少なくとも一方の面が、前記筒体先端部の周方向に沿って2つ以上の領域に分割されると共に、前記筒体先端部の周方向に対して隣接する2つの領域の色調が互いに異なるように色分けされている場合において、
    前記2つ以上の領域から選択される第一領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が3以下、かつ、L値が30以下の第一色調を有し、
    前記2つ以上の領域から選択される第二領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が11以下、かつ、L値が90以上の第二色調を有することを特徴とする歯科充填材料用シリンジ。
  2. 前記筒体先端部の少なくとも内側面が、前記筒体先端部の周方向に沿って2つ以上の領域に分割されると共に、前記筒体先端部の周方向に対して隣接する2つの領域の色調が互いに異なるように色分けされていることを特徴とする請求項1に記載の歯科充填材料用シリンジ。
  3. 前記筒体先端部の内側面および外側面が、前記筒体先端部の周方向に沿って2つ以上の領域に分割されると共に、前記筒体先端部の周方向に対して隣接する2つの領域の色調が互いに異なるように色分けされていることを特徴とする請求項1または2に記載の歯科充填材料用シリンジ。
  4. 前記2つ以上の領域が、3つの領域を含み、
    前記2つ以上の領域から選択される第三領域が、JISZ8729で規格されているL表色系におけるa≧10、b≧−20、a>b/0.88+18.2、90≧L≧40の範囲の第三色調、および、JISZ8729で規格されているL表色系における3<{(a+(b1/2<11、90>L>30の範囲の第四色調、からなる群より選択されるいずれかの色調を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の歯科充填材料用シリンジ。
  5. 前記2つ以上の領域が、4つの領域を含み、
    前記2つ以上の領域から選択される第三領域が、JISZ8729で規格されているL表色系におけるa≧10、b≧−20、a>b/0.88+18.2、90≧L≧40の範囲の第三色調を有し、
    前記2つ以上の領域から選択される第四領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における3<{(a+(b1/2<11、90>L>30の範囲の第四色調を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の歯科充填材料用シリンジ。
  6. 前記筒体が、両端にそれぞれ開口を有する筒体本体部と、前記筒体本体部の一方の端に脱着可能に取り付けられた前記筒体先端部と、を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の歯科充填材料用シリンジ。
  7. 前記筒体内に充填される歯科充填材料が、光重合性組成物からなる歯科充填材料であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の歯科充填材料用シリンジ。
  8. 両端にそれぞれ開口を有する筒体本体部と、
    前記筒体本体部の一方の端に脱着可能に取り付けられ、両端にそれぞれ開口を有すると共に、一方の端の開口が吐出口を成す筒体先端部と、
    前記筒体本体部内に、前記筒体本体部の軸方向に沿ってスライド可能に配置された押出部材と、を少なくとも備えた歯科充填材料用シリンジを構成する前記筒体先端部であって、
    前記筒体先端部の内側面および外側面から選択される少なくとも一方の面が、前記筒体先端部の周方向に沿って2つ以上の領域に分割されると共に、前記筒体先端部の周方向に対して隣接する2つの領域の色調が互いに異なるように色分けされている場合において、
    前記2つ以上の領域から選択される第一領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が3以下、かつ、L値が30以下の第一色調を有し、
    前記2つ以上の領域から選択される第二領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が11以下、かつ、L値が90以上の第二色調を有することを特徴とする歯科充填材料用シリンジの筒体先端部。
  9. 両端にそれぞれ開口を有し、一方の端の開口が吐出口を成す筒体と、
    前記筒体内を、前記筒体の軸方向に沿ってスライド可能に配置された押出部材と、を少なくとも備えた歯科充填材料用シリンジの前記吐出口に取付けられるリング状キャップであって、
    前記リング状キャップの内側面および外側面から選択される少なくとも一方の面が、前記リング状キャップの周方向に沿って2つ以上の領域に分割されると共に、前記リング状キャップの周方向に対して隣接する2つの領域の色調が互いに異なるように色分けされている場合において、
    前記2つ以上の領域から選択される第一領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が3以下、かつ、L値が30以下の第一色調を有し、
    前記2つ以上の領域から選択される第二領域が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が11以下、かつ、L値が90以上の第二色調を有することを特徴とする歯科充填材料用シリンジのリング状キャップ。
  10. 両端にそれぞれ開口を有し、一方の端の開口が吐出口を成す筒体と、
    前記筒体内を、前記筒体の軸方向に沿ってスライド可能に配置された押出部材と、を少なくとも備え、
    前記吐出口近傍の部分を成す筒体先端部の内側面および外側面の全面が、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が3以下、かつ、L値が30以下の第一色調、および、JISZ8729で規格されているL表色系における{(a+(b1/2値が11以下、かつ、L値が90以上の第二色調、からなる群より選択されるいずれかの色調を有する歯科充填材料用シリンジの前記吐出口に取付けられるリング状キャップであって、
    前記リング状キャップを周方向に沿って2つ以上の領域に分割した際に、前記2つ以上の領域から選択される第一領域が、透明部材から構成されるか、あるいは、前記リング状キャップの第一領域を占める部材を除外して形成される隙間部分からなり、
    前記2つ以上の領域から選択される第二領域のうち、前記リング状キャップの内側面および外側面から選択される少なくとも一方の面が、前記第一色調および前記第二色調のうち、前記筒体先端部の内側面および外側面の全面の色調として選択された色調とは異なる色調を有することを特徴とする歯科充填材料用シリンジのリング状キャップ。
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