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JP6942172B2 - コーティング剤が塗布された食肉製品等 - Google Patents
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Description

本発明は、ハム、ベーコン等の食肉製品等およびその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、複数枚の食肉製品等のスライス物が積層された(重なり合った)状態で包装された製品およびその製造方法に関する。
ハム、ベーコン等の食肉製品等は、スライスされた後に複数枚が積層された状態で包装された製品として販売されていることが多い。
例えば、生ハムの製品は、1mm前後の厚みにスライスされて包装されることが多い。しかしながら、喫食する際に製品から取り出すとき、重なり合った生ハムのスライス物同士はくっついており、一枚ずつ剥がそうとするとスライス物が破れやすい問題が起こりやすい。
このような問題に対する解決策として、従来は、生ハムのスライス物の間にシート(プラスチックフィルム)を挟むことで、剥離性を担保していた。しかしながら、このような手段には、作業の際に異物混入のリスクがある、コストがかかるといった別の側面の問題があった。一方、上記のようなシートをなくすため、生ハムのスライス物の厚み寸法を大きくすることも考えられるが、食感が変わってしまうことが問題となる。
本発明は、ハム、ベーコン等の食肉製品等のスライス物が複数枚積層された(重なり合った)状態で包装された製品において、従来と同等のスライス物の厚みのままで、スライス物同士の剥離性を向上させる手段を提供することを、課題の一つとする。
本発明者らは、製造ライン上で食肉製品等をスライスした後、断面にオイル等の特定の成分を塗布することによって、上記の課題を解決することができることを見出した。
すなわち、本発明は下記の事項を包含する。
[1]
複数枚の食肉製品または食肉類似製品(以下「食肉製品等」と総称する。)のスライス物が積層された状態で包装された製品であって、
前記スライス物同士が重なり合っている断面に、オイル、グリセリン、発酵乳酸およびその塩、界面活性剤、シリコーン、増粘剤ならびに糖類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むコーティング剤が塗布されている、製品。
[2]
前記食肉製品等の100g中の脂質の含有量が35g以下である、項1に記載の製品。
[3]
前記食肉製品等の100g中の水分の含有量が60g以下である、項1または2に記載の製品。
[4]
前記食肉製品等の100g中のタンパク質の含有量が19g以上である、項1〜3のいずれか一項に記載の製品。
[5]
前記食肉製品等がハム類またはベーコン類である、項1〜4のいずれか一項に記載の製品。
[6]
前記食肉製品等がハム類である、項5に記載の製品。
[7]
前記食肉製品等が生ハムである、項6に記載の製品。
[8]
前記スライス物の厚みが0.5〜2.0mmである、項1〜7のいずれか一項に記載の製品。
[9]
項1〜8のいずれか一項に記載の、複数枚の食肉製品等のスライス物が積層された状態で包装された製品の製造方法であって、
前記スライス物の断面に、オイル、グリセリン、発酵乳酸およびその塩、界面活性剤、シリコーン、増粘剤ならびに糖類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むコーティング剤を塗布する工程を含む、製造方法。
本発明により、従来は剥離しづらい厚みの食肉製品等のスライス物であっても、破ることなく剥離しやすくすることができる。特に、食肉製品等の脂質、水分やタンパク質の含有量が特定の範囲の場合に、スライス物の表面の弾力が低減し、スライス物同士がくっつきやすい傾向にあるので、本発明によりコーティング剤を塗布することが効果的である。したがって、例えば生ハムであれば、本来の食感を維持した厚み(例えば0.9〜1.2mm)でありながら、スライス物を剥がすときに破れず、調理に用いやすい製品とすることができる。
図1は、実施例:乾燥防止効果の評価における、オリーブ油の添加品(オイルあり)と非添加品(オイルなし)の乾燥歩留まりの結果を示すグラフである。 図2は、実施例:乾燥防止効果の評価における、オリーブ油の添加品(オイルあり)と非添加品(オイルなし)それぞれの、開封後の状態および30分静置後の状態の外観を示す写真である。
−製品−
本発明における「製品」は、複数枚の食肉製品または食肉類似製品のスライス物が積層された状態で包装された製品であって、スライス物同士が重なり合っている断面に、特定のコーティング剤が塗布されている製品(以下、単に「本発明の製品」と呼ぶ。)である。
「スライス物が積層された状態」とは、断面の少なくとも一部においてスライス物同士が重なり合っている状態をいう。本発明においては、少なくともその重なり合っている断面に特定のコーティング剤が塗布されていればよい。換言すればコーティング剤からなる薄層を介してスライス物同士が積層されていればよいが、重なり合っていない断面にも特定のコーティング剤が塗布されていてもよい。製造工程の効率性や、剥離性の向上以外の作用効果(後述する乾燥の防止、鮮度の維持など)も考慮すれば、重なり合わない部分も含めて、スライス物の断面全体にコーティング剤が塗布されることが好ましいといえる。
積層された状態のスライス物、すなわちスライス物の積層体は、重なり合う2枚のスライス物のうち、一方のスライス物の断面にのみにコーティング剤を塗布した後に積層することよって得られたもの(もう一方のスライス物の断面には、重なり合ったときにコーティング剤が付着するのみ)であってもよいし、両方のスライス物の断面にコーティング剤を塗布した後に積層することによって得られたものであってもよい。例えば、スライス物の積層体は、積層物の各層(スライス物)の上面、つまり製造工程において次の層が配置される側の表面に、全面的にコーティング剤を塗布し、そのように処理したスライス物を順々に積層していくようにして得られたものであってもよい。
「包装」の種類は特に限定されるものではなく、一般的な食肉製品または食肉類似製品のスライス物の製品と同様の包装とすることができる。例えば、スライス物の積層体を容器(トレー)内に配置した後、プラスチックフィルム等でラップする形態の包装であってもよいし、スライス物の積層体全体をプラスチックフィルム(底材および蓋材)等でパックする形態の包装であってもよい。また、包装は真空包装であってもよい。
(食肉製品等)
本発明における食肉製品または食肉類似製品(以下、「食肉製品等」と総称する。)は、一般的にスライスされた状態で製品化されているものであれば特に限定されるものではない。「食肉製品」には、(i)ハム、ベーコン、ソーセージ、ケーシングを使用しないソーセージ様製品等の加熱食肉製品、(ii)生ハム、生ベーコン(パンチェッタ)等の非加熱食肉製品、および(iii)ローストビーフ等の特定加熱食肉製品が包含される。「食肉類似製品」は、畜肉由来の食材の代替として、動物性タンパク(卵、乳等)由来の食材や、植物性タンパク(大豆等)由来の食材等を用いて製造された食肉製品に類似した製品、いわゆる「ミートレス」製品を指す。なお、本明細書において、上記の分類における加熱食肉製品としてのハム(加熱ハム)と、非加熱食肉製品である生ハムとを「ハム類」と総称する。また、上記の分類における加熱食肉製品としてのベーコンと、非加熱食肉製品である生ベーコンとを「ベーコン類」と総称する。また「食肉製品」には、食肉自体(スライス物にしただけのもの)は含まれない。
食肉製品等は、調理せずにそのまま喫食することのできる(するための)ものであってもよいし、加熱等の調理としてから喫食するためのものでもよい。本発明の一態様において、食肉製品等は、そのまま喫食するためのものである。
ハム類(ハム、生ハム)、ベーコン類(ベーコン、生ベーコン)、ソーセージ、ローストビーフ等の食肉製品はそれぞれ、食品衛生法(または外国におけるこれに準じた法律)に従って所定の方法により製造されるものを指す。スライス物が製品となるハム類としては、例えば、ボンレスハム、ロースハム、ショルダーハム、プレスハム、チョップドハムなどの加熱ハム、および生ハム(例えばロース肉の非加熱ハム)が挙げられる。ベーコン類についても同様に、一般的な加熱されたベーコンおよび生ベーコンが挙げられる。
食肉製品等、好ましくはハム類、ベーコン類のような食肉製品の100g中の脂質の含有量は、好ましくは35g以下、より好ましくは30g以下、特に好ましくは25g以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは4g以上である。一般的なハム類(生ハムおよび加熱ハム)は、100g中の脂質の含有量が35g以下(4g以上)の食肉製品であり、一方で一般的なベーコンは、100g中の脂質の含有量が35gを超える食肉製品である。なお、本発明で規定する「食肉製品等の100g中の脂質の含有量」は、オイル等を含むコーティング剤が表面に塗布される前の状態の、食肉製品等自体についてのものである。脂質の含有量は、食品についての一般的な手法および測定装置を用いて、例えばエーテル抽出法により測定することができる。
食肉製品等、好ましくはハム類、ベーコン類のような食肉製品の100g中の水分の含有量は、好ましくは60g以下、より好ましくは55g以下、特に好ましくは50g以下である。下限は特に限定されない。一般的な生ハムは、100g中の水分の含有量が60g以下の食肉製品であり、一方で一般的な加熱ハムは、100g中の水分の含有量が60gを超える食肉製品である。水分の含有量は、食品についての一般的な手法および測定装置を用いて、例えば常圧加熱乾燥法により、または市販の近赤外水分計などにより、測定することができる。
食肉製品等、好ましくはハム類、ベーコン類のような食肉製品の100g中のタンパク質の含有量は、好ましくは19g以上、より好ましくは23g以上である。上限は特に限定されない。一般的な生ハムは、100g中のタンパク質の含有量が19g以上の食肉製品であり、一方で一般的な加熱ハムは、100g中のタンパク質の含有量が19g未満の食肉製品である。タンパク質の含有量は、食品についての一般的な手法および測定装置を用いて、例えばケルダール法(JAS認定法)により測定することができる。
本発明における食肉製品等としては、ハム類およびベーコン類が好ましい。例えば、上記「食肉製品等の100g中の脂質の含有量」の好ましい範囲を満たす「ハム類」がより好ましく、それに加えて「食肉製品等の100g中の水分の含有量」および「食肉製品等の100g中のタンパク質の含有量」の好ましい範囲をさらに満たす「生ハム」がさらに好ましい。
食肉製品等のスライス物の厚みは、食肉製品等の種類に応じて適宜調節することができる。例えば、生ハムのスライス物の厚みは、通常0.5〜2.0mm、好ましくは0.7〜1.5mm、より好ましくは0.9〜1.2mmである。生ハムについては、スライス物の厚みを0.7mm未満とすることは原木からスライスする際のスライス適正に問題があるが、厚みを0.7mm以上、特に1.0mm以上とすることにより、スライス適性が良好で、製品の生産性を上げることができる。生ハム以外の食肉製品または食肉類似製品のスライス物の厚みは、通常0.3〜4.5mmである。
(コーティング剤)
本発明におけるコーティング剤は、オイル、グリセリン、発酵乳酸およびその塩、界面活性剤、シリコーン、増粘剤ならびに糖類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。これらのコーティング成分は、食品用としての使用が認められている種類のもの(食品または食品添加物として承認されているもの)である。
本発明におけるコーティング剤によって、前述したようにスライス物同士の剥離性を向上させるという作用効果がもたらされるが、同時にスライス物の乾燥を防止したり、鮮度を維持したりすることができるという作用効果ももたらされる。
「オイル」は、脂質のうち常温で液体(油)であるものを指す。そのようなオイルには、中鎖脂肪酸(炭素数8〜10)または長鎖脂肪酸(炭素数12以上、例えば12〜18)が結合したトリアシルグリセロール(トリグリセリド)を含む、様々な種類のオイルが包含される。オイルは、植物由来のもの(植物油)であっても、動物由来のもの(魚油等)であってもよい。また、オイルは、動植物に由来する天然のものが好ましいが、合成されたトリグリセリドをオイルとして使用することも可能である。
中鎖脂肪酸としては、カプリル酸(炭素数8)、カプリン酸(炭素数10)などの飽和脂肪酸が挙げられる。中鎖脂肪酸を含むオイル(中鎖脂肪酸油)としては、例えばパーム油、パーム核油、やし油などが挙げられる。
長鎖脂肪酸としては、ラウリン酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16)、ステアリン酸(炭素数18)などの飽和脂肪酸;オレイン酸(炭素数18)などの一価不飽和脂肪酸;リノール酸(炭素数18)、α−リノレン酸(炭素数18)、γ−リノレン酸(炭素数18)、アラキドン酸(炭素数20)、エイコサペンタエン酸(EPA、炭素数20)、ドコサヘキサエン酸(DHA、炭素数22)などの多価不飽和脂肪酸が挙げられる。長鎖脂肪酸を含むオイル(長鎖脂肪酸油)のうち、植物由来のものとしては、例えばオリーブ油、ゴマ油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、調合油、とうもろこし油、なたね油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、綿実油、やし油(ココナッツオイル)、らっかせい油、アマニ油などが挙げられ、動物由来のものとしては、例えば魚油が挙げられる。
「発酵乳酸およびその塩」としては、糖類を原料とし乳酸菌により発酵させることにより得られる乳酸、およびその塩(カルシウム塩、ナトリウム塩等)が挙げられる。
「界面活性剤」としては、乳化剤などとして一般的に食品に添加されているものと同様の種類のものを使用することができる。食品用の界面活性剤は一般的に、親水基がグリセリン(もしくはポリグリセリン)、ソルビタン、プロピレングリコール、ショ糖などの多価アルコールであり、疎水基が天然食用油脂由来の脂肪酸である、エステルである。そのような界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリド)、有機酸(乳酸、クエン酸、コハク酸等)をエステル化したグリセリン有機酸エステル(有機酸モノグリセリド)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(ポリグリセリンエステル)、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(ポリグリセリンポリリシノレート);ショ糖脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;レシチンなどが挙げられる。
「シリコーン」としては、消泡剤などとして一般的に食品に添加されているものと同様の種類のもの(オイル型、オイルコンパウンド型、エマルジョン形等)を使用することができる。
「増粘剤」としては、例えば、カラギナン、キサンタンガム、キチン、キトサン、グァーガム、ジェランガム、ペクチン、ガラクトマンナン、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース(CMC)等)などが挙げられる。
「糖類」としては、例えば、砂糖(ショ糖、スクロース)、ぶどう糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、高果糖液糖、砂糖混合ぶどう糖果糖液糖、砂糖混合果糖ぶどう糖液糖、砂糖混合高果糖液糖、乳糖(ラクトース)、麦芽糖(マルトース)、水あめ及び還元水あめ、はちみつ、糖アルコール、オリゴ糖が挙げられる。「水あめ及び還元水あめ」は、DE40〜60程度の粘稠な液状のもの(水飴)であってもよいし、DE20〜40程度の液状の水あめを真空ドライヤー又は噴霧乾燥によって粉末化したもの(粉末水飴、粉飴)であってもよい。「ぶどう糖」および「水あめ及び還元水あめ」は、でん粉を加水分解(糖化)して製造される糖類(澱粉糖類、澱粉分解糖)であってもよい。「ぶどう糖」または「ぶどう糖果糖液糖」としては「コーンシラップ」を用いてもよい。「糖アルコール」としては、例えば、キシリトール、D−キシロース、スクラロース、D−ソルビトール、マンニトールが挙げられる。「オリゴ糖」としては、例えばマルトデキストリンが挙げられる。その他、非加熱食肉製品に添加することが許容される単糖類、二糖類(例えばトレハロース)、オリゴ糖なども本発明における「糖類」として用いることが可能である。
上記の各種のコーティング成分の中でも、味や効果の観点からオイルが好ましく、例えば風味の観点からオリーブ油などの植物油がより好ましい。オイルでコーティング(噴霧、滴下等)した場合は、前述したような乾燥防止効果により水分の減少が抑制されるため、見栄えが悪くなりにくい。また、食肉製品等への塗布後に冷蔵保管すると、長鎖脂肪酸油が凝集している部分は白い斑点模様を生成するため、そのような外観上の観点からは、中鎖脂肪酸油、あるいは中鎖脂肪酸油を比較的多く含み長鎖脂肪酸油を含む場合も炭素数が少ないものを比較的多く含む植物油が好ましい。
コーティング剤は、上記のようなコーティング成分のみからなるものであってもよいし、必要に応じてその他の成分、例えば調味料や、その他の一般的な食品に用いられている各種の添加剤なども含むもの(コーティング成分とその他の成分との組成物)であってもよい。添加剤としては、例えば、保存料(ソルビン酸およびその塩など)または日持ち向上剤(酢酸ナトリウムなど)が挙げられる。本発明の一態様において、コーティング剤は、その他の成分として調味料を含まないもの、すなわちコーティング成分のみからなるものか、コーティング成分と調味料以外の成分との組成物とすることができる。
スライス物断面へのコーティング剤の塗布量は、コーティング成分の種類や、剥離性の向上やその他の作用効果、製品の外観などを考慮しながら調節すればよく、特に限定されるものではない。コーティング成分が固形物である場合は、固形物のままスライス物の断面に塗布する(付着させる)ようにしてもよいし、適切な溶媒(例えば水)に適切な濃度で溶解させてからスライス物の断面に塗布するようにしてもよい。
−製造方法−
本発明における「製造方法」は、上述したような本発明の製品を製造するための方法であって、食肉製品等の断面に、上述したようなコーティング剤を塗布する工程を少なくとも含む製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」と呼ぶ。)である。
本発明の製造方法において、コーティング剤を塗布する工程で用いられる手段は特に限定されるものではない。コーティング剤の性状や、コーティング剤に含まれるコーティング成分の種類や組成などを考慮し、上述したような作用効果が奏されるように、スライス物の断面のうち少なくともスライス物同士が重なり合う部分にコーティング剤を塗布することができる様々な手段を採用することができる。
本発明の一実施形態において、例えば、(i)スライス物を原木から切り出す操作、および(ii)そのスライス物を容器内に(下層のスライス物の上に)置く前に、または置いた後に、スライス物の断面にオイルを含むコーティング剤を噴霧及び/または滴下する操作、を繰り返すことにより、コーティング剤を介してスライス物同士が重なり合っている積層体を容器内に収容することができる。
本発明の製造方法におけるその他の工程、例えば、ハム、ベーコン等のスライス物を切り出すための食肉製品等(原木)自体の製造工程、スライス物の積層体の包装工程、その他の製品化のために必要な工程については、従来と同様の実施形態で行うことができ、本発明において特に限定されるものではない。例えば、スライス物の積層体を容器内に置いた後、常法に従って真空包装し、冷蔵庫内で保管することができる。
本明細書に特に明記されていない技術的事項については、当業者であれば、食肉製品等、例えばハム、ベーコン等の食肉製品、またはそのスライス物が積層された状態で包装された製品の技術分野における、従来の一般的な技術的事項、または公知の技術的事項を適宜適用することができ、それによって本明細書の記載事項に基づいて本発明を実施することが可能である。
[剥離性向上効果の評価]
ロース肉の生ハムの原木から、表1に示す所定の厚み(0.5〜1.2mm)のスライス物を15枚切り出した。各スライス物の片面にオリーブ油(長鎖脂肪酸油)を塗布した。オリーブ油の塗布量は、スライス物4枚あたり1gとした。一方のスライス物のオリーブオイルを塗布した面と他方のスライス物のオリーブオイルを塗布していない面を重ね合わせるようにしてスライス物を積層してから真空包装し、冷蔵庫内で24時間静置して、積層体を得た(オリーブ油添加品)。開封後、端部をつまんでスライス物を1枚ずつ剥離した。試験者7人が1〜3枚ずつ剥離し、その剥離性を以下の基準で評価した。対照として、オリーブ油を塗布せずにスライス物を積層するようにしたこと以外は上記と同様にして積層体を得て(オリーブ油未添加品)、上記と同様に評価した。
◎:簡単に剥がれ、剥離したスライス物に破れもない。
○:つまみ具合・力加減を調整することで、剥離でき、剥離したスライス物に破れもない。
△:剥離しにくく、スライス物が破れることがある。
×:スライス物を破かずに剥離できない。
結果を表1に示す。スライス物の厚みが0.5〜1.2mmのいずれの場合であっても、試験者の7人中のほとんどが、オリーブ油の添加品の方が未添加品に比べて剥がれやすくなったと感じた。特に、スライス物の厚みが0.5〜0.7mmの場合は、オリーブ油を添加することによってスライス物の破れを大幅に抑制することができるようになり、厚みが1.2mmの場合は容易にスライス物を破くことなく剥がせるようになるという改善効果が認められる。また、スライス物の厚みが1.0mmの場合は、○および△それぞれの評価の人数は大きく違わなくても、試験者の全員がオリーブ油の添加品の方が未添加品に比べて剥がれやすくなったと感じており、改善効果が認められる。
Figure 0006942172
[乾燥防止効果の評価]
ロース肉の生ハムの原木から、1.0mmの厚みのスライス物を15枚切り出した。各スライス物の片面にオリーブ油(長鎖脂肪酸油)を塗布した。オリーブ油の塗布量は、スライス物4枚あたり1gとした。一方のスライス物のオリーブオイルを塗布した面と他方のスライス物のオリーブオイルを塗布していない面を重ね合わせるようにしてスライス物を積層してから真空包装し、冷蔵庫内で24時間静置して、積層体を得た(オリーブ油添加品)。開封後、端部をつまんでスライス物を1枚剥離し、重量(a)を測定した後、25℃、常圧下にて、30分静置した。静置後のスライス物の重量(b)を測定し、乾燥歩留まり(b/a×100(%))を算出した。対照として、オリーブ油を塗布せずにスライス物を積層するようにしたこと以外は上記と同様にして積層体を得て(オリーブ油未添加品)、上記と同様に乾燥歩留まりを算出した。
乾燥歩留まりの結果を図1に示す。オリーブ油の添加品(オイルあり)の方が、未添加品(オイルなし)よりも乾燥歩留まりが有意に高く、本発明のコーティング成分(剤)としてオリーブ油のようなオイルを用いたときには、剥離性の向上に加えて乾燥防止の効果も認められることが分かる。また、開封後の状態および30分静置後の状態それぞれの積層物の外観を図2に示す。オリーブ油の添加品(オイルあり)の方が、30分静置後であっても、水分の減少が抑制されているため見栄えが良い。

Claims (9)

  1. 複数枚の食肉製品または食肉類似製品(以下「食肉製品等」と総称する。)のスライス物が積層された状態で包装された製品であって、
    前記スライス物同士が重なり合っている断面に、オイル、グリセリン、発酵乳酸およびその塩、界面活性剤ならびにシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも一種のコーティング成分を含むコーティング剤が塗布されており
    前記コーティング成分が固形物である場合、前記コーティング剤はその固形物であるコーティング成分が適切な溶媒に適切な濃度で溶解させたものである、製品
    ただし、前記コーティング剤は、前記コーティング成分を含むピックル液として、前記食肉製品等に注入されるものを除く。
  2. 前記食肉製品等の100g中の脂質の含有量が35g以下である、請求項1に記載の製品。
  3. 前記食肉製品等の100g中の水分の含有量が60g以下である、請求項1または2に記載の製品。
  4. 前記食肉製品等の100g中のタンパク質の含有量が19g以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製品。
  5. 前記食肉製品等がハム類またはベーコン類である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製品。
  6. 前記食肉製品等がハム類である、請求項5に記載の製品。
  7. 前記食肉製品等が生ハムである、請求項6に記載の製品。
  8. 前記スライス物の厚みが0.5〜2.0mmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製品。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の、複数枚の食肉製品等のスライス物が積層された状態で包装された製品の製造方法であって、
    前記スライス物の断面に、オイル、グリセリン、発酵乳酸およびその塩、界面活性剤ならびにシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも一種のコーティング成分を含むコーティング剤を塗布する工程を含
    前記コーティング成分が固形物である場合、前記コーティング剤はその固形物であるコーティング成分が適切な溶媒に適切な濃度で溶解させたものである、製造方法、
    ただし、前記コーティング剤は、前記コーティング成分を含むピックル液として、前記食肉製品等に注入されるものを除く。
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