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JP6944151B2 - 津波フェンスの設置方法、及び、津波フェンス - Google Patents
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JP6944151B2 - 津波フェンスの設置方法、及び、津波フェンス - Google Patents

津波フェンスの設置方法、及び、津波フェンス Download PDF

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Description

本発明は、津波の到来時に、防波堤の天端上を越流する津波の勢いを抑え、背後地における津波の被害を減じるための津波フェンス、及び、その設置方法に関する。
防波堤の天端を越える高さの大津波が発生した場合、背後地において甚大な被害が生じてしまう可能性がある。このため、大津波への対策として、想定される津波の波高よりも大きな高さ寸法を有する防波堤を構築することが考えられる。
特開2014−25219号公報
しかしながら、津波の波高よりも大きな高さの防波堤を構築する場合、安定性の面で問題があるほか、相当な費用がかかることになり、既存の防波堤のすべてを対象として天端高を嵩上げする工事を行おうとすると、施工費用は莫大な額となり、現実的ではない。
本発明は、このような従来技術における問題を解決しようとするものであって、簡易かつ安価な工事のみで構築することができるとともに、津波の勢いを好適に抑制し、背後地における津波の被害を効果的に減じることができる津波フェンス、及び、その設置方法を提供することを目的とする。
本発明の津波フェンスの設置方法は、想定する津波の高さの半分の値をai、静水面から防波堤の天端までの高さをh0、津波フェンスの高さをh1、防波堤の天端幅をB、減衰率をβ、水深をdとするとき、防波堤の天端の港外側端部を0、港内側端部を1とする防波堤の天端上における設置位置の値αが、下記の関係式(1)、及び、関係式(2)を満たすように、遮蔽率が65〜75%の有孔板と、これを支持する支柱とによって構成される津波フェンスを防波堤の天端上に設置することを特徴としている。
(1) α≧(6ai−2h0−h1)/(1.2B)
(2) α≦1−β×ai/B×(2×h1/d)1/2
尚、代表的な規模の防波堤においては、防波堤の天端上における設置位置の値αを、0.55〜0.8の範囲内となるように設定することが有効である。
また、本発明に係る津波フェンスは、遮蔽率が65〜75%の有孔板と、これを支持する支柱とによって構成され、想定する津波の高さの半分の値をai、静水面から防波堤の天端までの高さをh0、津波フェンスの高さをh1、防波堤の天端幅をB、減衰率をβ、水深をdとするとき、防波堤の天端の港外側端部を0、港内側端部を1とする防波堤の天端上における設置位置の値αが、上記関係式(1)、及び、関係式(2)を満たすように設置されていることを特徴としている。
本発明の津波フェンスの設置方法、及び、津波フェンスによれば、防波堤に津波が到来した際、天端上を越流する津波の勢いを抑え、背後地における津波の被害を減じることができる。また、上記関係式(1)、(2)を満たすように津波フェンスが設置されることにより、防波堤の耐津波安定性の低下という問題、及び、洗掘の発生という問題を好適に解決することができる。
図1は、本発明に係る津波フェンス1、及び、防波堤2等の断面図である。 図2は、図1の防波堤2における津波フェンス設置時の波力増加分〔P+〕の説明図である。 図3は、図1の防波堤2における津波フェンス設置時の抵抗力増加分〔P−〕の説明図である。 図4は、図1の防波堤2において、津波フェンス1の上端付近を通過した水流が天端21の高さに落下するまでの水平方向への移動距離〔S〕の説明図である。 図5は、関係式(1)に関する水理実験における波力の計測結果を示すグラフである。 図6は、関係式(2)に関する水理実験における水流の流況状況を撮影した写真である。 図7は、関係式(2)に関する水理実験における水流の着水点距離の計測結果を示すグラフである。
以下、添付図面に沿って本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る津波フェンス1等の断面図である。この津波フェンス1は、遮蔽率が70%(±5%)の有孔板と、これを支持する支柱とによって構成されるものであり、図示されているように、防波堤2(海底の基礎マウンド3上に設置される)の天端21上(港外側端部22と港内側端部23との間の位置)に設置されている。
この津波フェンス1は、防波堤2に津波が到来した際、天端21上を越流する津波の勢いを抑え、背後地における津波の被害を減じるという効果を期待することができる。但し、有孔板の遮蔽率が65%を下回ると、津波の勢いを十分に抑える効果が期待できず、また、75%を超えると、津波フェンス1自体の強度上の問題が生じ、また、防波堤2の安定性の観点からも問題が生じる可能性がある。従って、遮蔽率は65〜75%の範囲内に設定することが有効である。
尚、津波が到来した際、防波堤は、水平方向に相応の外力(波力)を受けることになるが、天端21上に津波フェンス1を設置した防波堤2においては、防波堤2自体が受ける波力に加え、津波フェンス1が受ける波力も防波堤2に作用することになるため、その分(津波フェンス設置時の水平方向への波力増加分)だけ、防波堤2における耐津波安定性が低下してしまう可能性がある。
また、遮蔽率が65〜75%の津波フェンス1を設置した場合、津波の水流は、天端21上を通過する際に減速されることになるため、防波堤2の港内側(図1において右側)の水面に落下する水流の勾配が大きくなり、また、津波フェンス1の設置位置が、防波堤2の港内側端部23に近すぎる場合、津波フェンス1の上端付近を通過した水流が、防波堤2の港内側の水面(基礎マウンド3の港内側部分31の上方の水面)に直接落下することになり、その結果、基礎マウンド3の港内側部分31において「洗掘」が生じる恐れがある。
本発明の津波フェンス1は、天端21上における設置位置の値〔α〕(図1に示す天端21の港外側端部22を「0」、港内側端部23を「1」とする、「0から1まで」の数値)が、次の二つの関係式(1)、(2)を満たすように設置されており、これにより、上記のような問題(耐津波安定性の低下、及び、洗掘の発生)を好適に解決することができる。
(1) α≧(6ai−2h0−h1)/(1.2B)
(2) α≦1−β×ai/B×(2×h1/d)1/2
尚、上記関係式(1)、(2)式において〔ai〕は、想定する津波の高さ(m)の半分の値、〔h0〕は、静水面から防波堤2の天端21までの高さ(m)、〔h1〕は、津波フェンス1の高さ(m)、〔B〕は、防波堤2の天端幅(m)、〔β〕は減衰率、〔d〕は水深である(以下同じ)。
上記関係式(1)を満たす位置に津波フェンス1を設置した場合、津波到来時において、天端21上の領域のうち、津波フェンス1よりも港外側の領域(図1において左側)に留まる水塊の自重による水圧(防波堤2を押さえようとする鉛直下向きの力)(津波フェンス設置時の抵抗力増加分)によって、上述したような防波堤2に作用する「津波フェンス設置時の波力増加分」を軽減し、或いは、キャンセルすることができる。
また、上記関係式(2)を満たす位置に津波フェンス1を設置した場合、津波フェンス1を通過した津波の水流が、すべて防波堤2の天端21上に一旦落下することになり、水流が防波堤2の港内側の水面(基礎マウンド3の港内側部分31の上方の水面)に直接落下することを回避することができ、その結果、基礎マウンド3の港内側部分31における「洗掘」の発生を好適に回避することができる。
ここで、上記関係式(1)、(2)の意義について、それぞれ詳しく説明する。
1.関係式(1)について
上述の通り、津波フェンス1を設置した防波堤2に作用する波力は、津波フェンスを設置しない防波堤よりも、津波フェンス設置時の波力増加分〔P+〕(図2参照)だけ大きくなるため、この点のみを考慮すると、津波フェンス1を設置した場合、耐津波安定性が低下してしまうことが懸念される。但し、津波フェンス1を設置した場合、天端21上の領域のうち、津波フェンス1よりも港外側の領域に留まる水塊WM(図3参照)の自重による水圧によって、防波堤2の抵抗力が増加すると考えられ、この津波フェンス設置時の抵抗力増加分〔P−〕(図3参照)は、津波フェンス1の設置位置〔α〕の値と比例して増加することになる。
従って、津波フェンス1の設置位置〔α〕の値を、「ある値」(閾値)よりも大きく設定した場合、抵抗力増加分〔P−〕が、波力増加分〔P+〕を上回る可能性があり、この場合、津波フェンス1の設置による防波堤2における耐津波安定性の低下という問題を好適に回避できることになる。関係式(1)は、この〔α〕についての「閾値」を、波力増加分〔P+〕と、抵抗力増加分〔P−〕との関係において表したもの、換言すれば、抵抗力増加分〔P−〕が波力増加分〔P+〕を上回るために必要となる津波フェンス1の設置位置〔α〕の条件を定式化したものである。
津波フェンス設置時の波力増加分〔P+〕は、図2に示す静水面上の波圧作用高さ〔η*〕(m)、静水面から防波堤2の天端21までの高さ〔h0〕(m)、津波フェンス1の高さ〔h1〕(m)、静水面における波圧強度〔p1〕(kN/m2)、及び、直立壁前面下端における揚圧力〔pu〕(kN/m2)から求めることができ、また、津波フェンス設置時の抵抗力増加分〔P−〕は、図3に示す防波堤2の天端幅〔B〕(m)、津波フェンス1の高さ〔h1〕(m)、津波フェンス1の設置位置〔α〕、海水の単位体積重量〔ρ0g〕(kN/m3)、及び、摩擦係数(防波堤2を構成するケーソンと基礎マウンド3を構成する捨石層との摩擦係数)〔μ〕から求めることができる。そして、条件「P−≧P+」にこれらを適用し、整理することにより、関係式(1)を導き出すことができる。
より具体的には、津波フェンス設置時の波力増加分〔P+〕は、次の通りとなる。
(3) P+=(((η*−(h0+h1))/η*×p1)+((η*−h0)/η*×p1))/2×h1
ここで、「η*=3.0ai」、「p1=3.0ρ0gai」、「pu=p1」と仮定し、これらを上式に代入し、整理すると、次の通りとなる。
(4) P+=(6ai−2h0−h1)×ρ0gh1/2
一方、津波フェンス設置時の抵抗力増加分〔P−〕は、次の通りとなる。
(5) P−=αB×ρ0gh1×μ
そして、条件「P−≧P+」に、上式(4)、(5)の右辺(尚、上式(5)の〔μ〕には、防波堤2を構成するケーソンと基礎マウンド3を構成する捨石層との一般的な摩擦係数の値「0.6」を用いる)をそれぞれ代入し、整理することにより、関係式(1)「α≧(6ai−2h0−h1)/(1.2B)」を導き出すことができる。
本発明の発明者は、この関係式(1)の有効性を確認すべく、津波現象を再現できる水理実験装置を用いて実験を行った。具体的には、図1に示すような津波フェンス1を設置した防波堤2及び基礎マウンド3の模型(約1/50スケール)を水理実験装置の水槽内に設置し、津波現象を再現し、津波フェンス1の設置位置毎に、津波フェンス1及び防波堤2に作用する波力(津波合成波力)を計測した。
尚ここでは、静水面から防波堤2の天端21までの高さ〔h0〕(図2参照)を10.7cm、津波フェンス1の高さ〔h1〕を8cm、防波堤2の天端幅〔B〕を30cmに設定した。また、防波堤2等に波及させる津波として、大きさが異なる二種類の津波、より詳細には、津波フェンス1を越えない「越流なし」の津波(防波堤前面において〔ai〕を8cmに設定)(関係式(1)による〔α〕の計算値(推奨値):0.48)と、津波フェンス1を越流する「越流あり」の津波(防波堤前面において〔ai〕を10cmに設定)(関係式(1)による〔α〕の計算値(推奨値):0.80)を合成した。
波力の計測結果を図5のグラフに示す。尚、このグラフにおける横軸は、天端21(図1参照)上における津波フェンス1の設置位置の実際値(図1に示す天端21の港外側端部22を「0」、港内側端部23を「1」とする、「0から1まで」の数値)を、関係式(1)による〔α〕の計算値(「越流なし」の津波の場合は「0.48」、「越流あり」の津波の場合は「0.80」)で除した値を示している。具体的には、横軸の「1」は、津波フェンス1の設置位置の実際値が、関係式(1)による〔α〕の計算値(推奨値)と一致していることを示し、横軸の「0.5」は、港外側端部22と、関係式(1)による〔α〕の計算値(推奨値)の位置との中間の位置に津波フェンス1が設置されていることを示している。一方、縦軸は、「津波フェンスの非設置時に防波堤2に作用する波力」に対する「津波フェンス1の設置時に津波フェンス1及び防波堤2に作用する波力」の増加率(%)を示している。
図5のグラフに示されているように、「越流なし」の津波の場合も、「越流あり」の津波の場合も、関係式(1)による〔α〕の計算値(推奨値)の位置よりも港内側(図1において右側)に津波フェンス1を設置した場合には、波力増加率が3%以内に収まっており、実用上、津波フェンス1の設置による波力増加分の影響をほぼキャンセルできるようなバランスとなっていることが理解される。一方、関係式(1)による〔α〕の計算値(推奨値)の位置よりも港外側(図1において左側)に津波フェンス1を設置した場合には、津波作用時に大きな力が作用することになり、防波堤2が不安定になると考えられる。これらの実験結果により、関係式(1)の有効性、妥当性が確認された。
2.関係式(2)について
天端上に津波フェンスが設置されていない防波堤に津波が到来した場合、津波の水流は、一定の流速で天端上を通過した後、天端の港内側端部から港内側の空間に向かって水平方向へ放出され、放物線を描いて港内側の水面(ある程度、港内側端部から離れた位置)に落下することになる。
これに対し、遮蔽率が65〜75%の津波フェンス1を防波堤2の天端21上に設置した場合、津波の水流は、天端21上を通過する際に減速されることになるため、天端上から港内側の空間に放出されて落下する水流の勾配は、津波フェンスが設置されていない場合よりも大きくなり、より港内側端部23に近い位置で水面に落下することになる。また、天端21上における津波フェンス1の設置位置が、港内側端部23に近すぎる場合、津波フェンス1の上端付近(及び、その上方)を通過した水流が、防波堤2の港内側の水面に直接落下する可能性があり、この場合、上述の通り、基礎マウンド3の港内側部分31(図1参照)において「洗掘」が生じる可能性を高める。
但しこの問題は、津波フェンス1の設置位置を、港内側端部23から港外側へ十分に離れた位置に設定することによって回避することができると考えられる。より具体的には、津波フェンス1の設置位置〔α〕の値を、「ある値」(閾値)よりも小さく設定することにより、津波フェンス1の設置位置から港内側端部23までの距離が、津波フェンス1の上端付近を通過した水流の天端21上の移動距離〔S〕(天端21の高さに落下するまでの水平方向への移動距離)(図4参照)よりも大きくなるように設定すれば、津波フェンス1を通過した津波の水流をすべて防波堤2の天端21上に一旦落下させることができ、津波フェンス1の上端付近から防波堤2の港内側の水面に水流が直接落下することによる基礎マウンド3の「洗掘」を回避することができる。
関係式(2)は、この〔α〕についての「閾値」を、防波堤2の天端幅〔B〕、津波フェンス1の高さ〔h1〕等との関係において表したものであり、津波フェンス1の設置位置から港内側端部23までの距離が、津波フェンス1の上端付近を通過した水流の天端21上の移動距離〔S〕を上回るために必要となる津波フェンス1の設置位置〔α〕の条件を定式化したものである。この関係式(2)は、次のようにして求めることができる。
まず、水平方向の津波水流の最大流速〔V0〕は、「長波理論」より、次のように表すことができる。
(6) V0=ai×(g/d)1/2
そして、津波フェンス1の通過後における水流の流速〔V1〕は、津波フェンス1の通過による減衰率〔β〕を〔V0〕に乗じることによって、次のように表される。
(7) V1=β・V0=β×ai×(g/d)1/2
従って、津波フェンス1の上端付近を通過した水流の天端21上の移動距離〔S〕は、放物線方程式より、次の通りとなる。
(8) S=V1・(2×h1/g)1/2=β×ai×(2×h1/d)1/2
津波フェンス1を通過した津波の水流をすべて防波堤2の天端21上に一旦落下させるためには、上述の通り、津波フェンス1の設置位置〔α〕から港内側端部23までの距離が、津波フェンス1の上端付近を通過した水流の天端21上の移動距離〔S〕を上回ることが必要であり、この条件は、図4に示す「αB」(天端21の港外側端部22から津波フェンス1の設置位置〔α〕までの距離)と「S」(津波フェンス1の上端付近を通過した水流の天端21上の移動距離)の和が、「B」(防波堤2の天端幅)よりも小さいこと(次式)、と同義である。
(9) αB+S≦B
そして、上式(8)、(9)より、関係式(2)「α≦1−β×ai/B×(2×h1/d)1/2」が得られる。
本発明の発明者は、この関係式(2)の有効性を確認すべく、津波現象を再現できる水理実験装置を用いて実験を行った。具体的には、図1に示すような津波フェンス1を設置した防波堤2及び基礎マウンド3の模型(約1/50スケール)を水理実験装置の水槽内に設置し、津波現象を再現し、津波フェンス1の設置位置毎の流況状況を撮影した。
尚ここでは、津波フェンス1の高さ〔h1〕(図4参照)を8cm、津波の越流水深を8cmに設定した(関係式(2)による〔α〕の計算値(推奨値):0.82)。また、津波フェンス1の設置位置については、〔α〕の実際値を「0.5」、「0.75」、「1」とした。
図6(1)に示すように〔α〕の実際値を「0.5」とした場合、及び、図6(2)に示すように〔α〕の実際値を「0.75」とした場合(いずれも、この場合の関係式(2)による条件「α≦0.82」を満たす)、津波フェンス1を通過した水流は、防波堤2の天端21(図4参照)上に着水した。一方、図6(3)に示すように、〔α〕の実際値を「1」とした場合(この場合の関係式(2)による条件「α≦0.82」を充足せず)、水流がダイレクトに基礎マウンドに落下した。
更に、津波フェンス1の設置位置毎に、津波フェンス1の通過後の水流の着水点距離(図1に示す防波堤2の港内側端部23から防波堤2の港内側(図1において右側)の水面における着水点までの距離)を計測した。尚ここでは、津波フェンス1の高さ〔h1〕(図4参照)を10cm、津波の越流水深を10cmに設定した。その計測結果を図7のグラフに示す。
図7のグラフにおける横軸は、天端21(図1参照)上における津波フェンス1の設置位置の実際値(図1に示す天端21の港外側端部22を「0」、港内側端部23を「1」とする、「0から1まで」の数値)を、関係式(2)による〔α〕の計算値(推奨値)で除した値を示している。一方、縦軸は、「津波フェンス非設置時の着水点距離」に対する「津波フェンス設置時の着水点距離」の変化率(%)を示している。
図7のグラフに示されているように、関係式(2)による〔α〕の計算値(推奨値)の位置よりも港内側(図1において右側)に津波フェンス1を設置した場合(図7の横軸の数値が「1」を越えた場合)、防波堤2の港内側端部23(図1参照)に著しく近いエリアに水流が落下し、基礎マウンド3において「洗掘」の問題が発生する恐れがあることがわかる。これに対し、関係式(2)による〔α〕の計算値(推奨値)の位置よりも港外側(図1において左側)に津波フェンス1を設置した場合(図7の横軸の数値が「1以下」となる場合)、着水点距離は、津波フェンス非設置時の着水点距離からそれほど減少せず、従って、「洗掘」に関しては特に問題は生じないと考えられる。これらの実験結果により、関係式(2)の有効性、妥当性が確認された。
ここで、上記関係式(1)、(2)と、代表的な規模の防波堤に関する数値を用いて、本発明に係る津波フェンスの好適な設置範囲(推奨値)について計算してみると、例えば、水深〔d〕が10m、静水面から防波堤2の天端21までの高さ〔h0〕が5m、天端幅〔B〕が15mの防波堤2に、高さ〔h1〕が4mの津波フェンス1を設置する場合において、津波の高さ〔2ai〕を8mと想定すると、関係式(1)により、〔α〕を「0.55以上」に設定することが有効であることになり、また、関係式(2)により、〔α〕を「0.8以下」に設定することが有効であるということになる。
1:津波フェンス、
2:防波堤、
21:天端、
22:港外側端部、
23:港内側端部、
3:基礎マウンド、
31:港内側部分、
α:天端上における津波フェンスの設置位置の値、
ai:想定する津波の高さの半分の値、
B:防波堤の天端幅、
d:水深、
h1:津波フェンスの高さ、
h0:静水面から防波堤の天端までの高さ、
η*:静水面上の波圧作用高さ、
P+:津波フェンス設置時の波力増加分、
P−:津波フェンス設置時の抵抗力増加分、
p1:静水面における波圧強度、
pu:直立壁前面下端における揚圧力、
S:水流の天端上の移動距離、
V0:水平方向の津波水流の最大流速、
V1:津波フェンス通過後の水流の流速

Claims (3)

  1. 想定する津波の高さの半分の値をai、静水面から防波堤の天端までの高さをh0、津波フェンスの高さをh1、防波堤の天端幅をB、津波フェンスの通過後における水流の流速を水平方向の津波水流の最大流速で除した減衰率をβ、水深をdとするとき、
    防波堤の天端の港外側端部を0、港内側端部を1とする防波堤の天端上における設置位置の値αが、下記の関係式(1)、及び、関係式(2)を満たすように、遮蔽率が65〜75%の有孔板と、これを支持する支柱とによって構成される津波フェンスを防波堤の天端上に設置することを特徴とする津波フェンスの設置方法。
    (1) α≧(6ai−2h0−h1)/(1.2B)
    (2) α≦1−β×ai/B×(2×h1/d)1/2
  2. 水深が10m、静水面から防波堤の天端までの高さが5m、天端幅が15mの防波堤に、高さが4mの津波フェンスを設置する場合であって、津波の高さを8mと想定した場合において、防波堤の天端の港外側端部を0、港内側端部を1とする防波堤の天端上における設置位置の値αが、0.55〜0.8の範囲内となるように、遮蔽率が65〜75%の有孔板と、これを支持する支柱とによって構成される津波フェンスを防波堤の天端上に設置することを特徴とする津波フェンスの設置方法。
  3. 遮蔽率が65〜75%の有孔板と、これを支持する支柱とによって構成される津波フェンスが、天端上に設置された防波堤であって、
    想定する津波の高さの半分の値をai、静水面から防波堤の天端までの高さをh0、津波フェンスの高さをh1、防波堤の天端幅をB、津波フェンスの通過後における水流の流速を水平方向の津波水流の最大流速で除した減衰率をβ、水深をdとするとき、
    防波堤の天端の港外側端部を0、港内側端部を1とする防波堤の天端上における設置位置の値αが、下記の関係式(1)、及び、関係式(2)を満たすように津波フェンスが設置されていることを特徴とする防波堤
    (1) α≧(6ai−2h0−h1)/(1.2B)
    (2) α≦1−β×ai/B×(2×h1/d)1/2
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