以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、本発明における上下左右の方向は、相対的な位置を示す概念にすぎず、これらを入れ替えて適用可能であることは言うまでもない。
本実施形態の一実施形態の配管構造10は、排水管(配管材)が配設された排水系の配管構造である。そして、配管構造10には、外部に開口して配管材の内外に連通する連通路を形成する中空の筒部13が設けられ、連通路を閉塞するべく該筒部13の開口部に通気弁装置(通気弁100及び保護部材150)が設置される(図14参照)。なお、本実施形態では、配管材は、少なくとも排水管11、排水管継手12、及び、それらの組み合わせ等を包含する一般的な概念である。つまり、本実施形態は、本発明の一例にすぎず、その用途、構成を限定するものではないことは言うまでもない。以下、図面に沿って、本実施形態の通気弁装置及びその構成要素を説明する。
図1に示すとおり、通気弁装置は、通気弁100及び保護部材150を組み合わせてなる装置である。通気弁100は、配管材の円筒状の筒部13に設置され、配管材内部の圧力変動に応じて連通路を選択的に閉塞及び連通させるように構成されている。保護部材150は、配管材の筒部13に設置され、通気弁100を筒部13の軸方向深部側から保護するように構成されている。本実施形態では、通気弁装置は、保護部材150に通気弁100を装着した状態で配管材に設置される。なお、本実施形態の通気弁装置において、通気弁100及び保護部材150は別体で構成されたことから、水はねの危険性が少ない環境において通気弁100を配管材に設置するときに、外気の流入量を最大化すべく、保護部材150を省略して通気弁100のみを選択的に設置することも可能である。
図2乃至図8を参照して、本発明の一実施形態の通気弁100について説明する。図2(a),(b)は、通気弁100の斜視図である。図3(a)〜(d)は、該通気弁100の平面図、正面図、側面図及び底面図である。図4(a)〜(d)は、説明の便宜上、カバー体140を省略した該通気弁100の平面図、正面図、側面図及び底面図である。図5,図6は、該通気弁100の径方向に沿って切断したA−A断面図及びB−B断面図である。図7は、該通気弁100のC−C横断面図である。図8は、該通気弁100の分解斜視図である。
通気弁100は、図2,図3に示すとおり、配管材(筒部13)の設置される通気弁本体110と、該通気弁本体110に軸方向に対して可動式に支持された弁体120と、通気弁本体110内部に固定され、弁体120に密着可能に配置されたパッキン130と、該弁体120を保護するように通気弁本体110の上側(通気孔110a側)の端部に取り付けられたカバー体140と、を備える。
通気弁本体110は、軸方向に沿って延びるとともに軸方向両端が開放された円筒形状を有する。つまり、通気弁本体110は、上端(配管材の外部側)に外気を配管材内部に取り入れるための通気口110aを有し、下端(配管材の内部側)に配管材に接続される接続口110bを有している。通気口110a及び接続口110bは、軸方向に対して垂直な平面上に延在している。そして、通気弁本体110の通気口110aと接続口110bとの間の空間に、弁体120を可動式に収容するための弁体収容空間110cが設けられている。
また、通気弁本体110は、弁体収容空間110cを包囲する周壁111と、該周壁111の上端に連結され、通気口110aの開口周縁面を形成する上壁112と、該上壁112から立設した立壁113とを備えてなる。
周壁111は、配管材の筒部に内挿され、筒部の内周面に沿うように軸方向に延びる外周面を有する。また、該周壁111の下方側の開口端面によって、下方を向いた接続口110bが形成されている。そして、図5及び図6に示すように、周壁111の接続口110b近傍には、周方向に延びる凹溝111aが形成されている。この凹溝111aには、環状のゴムからなる止水部材118が収容されている。該止水部材118は、周壁111外周面から僅かに突出しており、通気弁100の装着時に配管材筒部の内周面に潰れて密着し、通気弁本体110と配管材との間を止水するように機能する。
上壁112は、所定の径で開口する通気口110aの周囲で上方を向くように環帯状に延在している。また、上壁112の通気弁本体110内側の通気口110a周縁には、本体側挟持面115が設けられている。すなわち、図5及び図6に示すように、通気弁本体110内側の上壁112の開口周縁面には、弁体120に対向するように、環帯状の本体側挟持面115が定められている。本体側挟持面115は、断面視において、軸方向に対して外周側が下がるように傾斜して直状に延在し、斜め下方向(径方向内側且つ軸方向下側)を向いている。
また、上壁112上面には、図4及び図7に示すように、等間隔で径方向中心に向かって延びる3本の梁状部112aが形成されている。これら梁状部112aによって、通気口110aの中心に本体側磁石保持部117が支持されている。また、図5及び図6に示すように、該本体側磁石保持部117には、上下に貫通し、弁体120の弁軸123を挿通する軸孔117aが設けられている。そして、該本体側磁石保持部117において、環状の本体側磁石117bが軸孔117aの周囲の溝に嵌着されて保持されている。該本体側磁石117bは、ネオジム磁石等の永久磁石からなり、後述する弁体側磁石124aに斥力を作用するように機能する。
立壁113は、互いに対向するように一対で該上壁112の径方向略中央から立設している。この一対の立壁113は、平面視において、径方向内側に凹曲面を向けるように円弧形状を有する。つまり、周壁111の外周面、上壁112の内周縁及び立壁113の外側面が(異なる径の)同心円上に位置している。立壁113の外側面は、周壁111の外周面から径方向内側に後退した位置にある。さらに、立壁113の上端には、カバー体140を嵌合式に固定するための連結片113aが上方に突出するように設けられている。
そして、通気弁本体110内部には、該本体側挟持面115を覆うようにパッキン130が取り付けられている。パッキン130は、中央に開口を有する弾性変形可能なゴム又は軟質の合成樹脂からなる環状体である。パッキン130は、内周側に位置する封止部131と、その外周側に位置し、通気弁本体110に固定される固定部138とからなる。図5及び図6に示すように、パッキン130の封止部131が、通気弁本体110の内壁面から径方向内側に延び出て、本体側挟持面115を覆っている。他方、パッキン130の固定部138が、通気弁本体110の内壁面(周壁111,上壁112)の内部に埋め込まれて固定されている。
弁体120は、通気弁本体110の弁体収容空間110cに収容され、軸方向に沿って移動するように通気弁本体110に支持されている。弁体120は、平面視円形のカップ状に形成された弁体本体121と、該弁体本体121の中心から上方に延びる弁軸123と、該弁軸123の上端に形成された弁体側磁石保持部124とを備える。
そして、弁体本体121の外周側の上面には、弁体側挟持面122が形成されている。図5及び図6に示すように、弁体側挟持面122は、径方向に沿って切断した断面視において、軸方向に対して外周側が下がるように傾斜して直状に延在し、斜め上方向(径方向外側且つ軸方向上側)を向いている。すなわち、弁体側挟持面122は、パッキン130を挟んで通気弁本体110の本体側挟持面115に対向している。そして、弁体側挟持面122及び本体側挟持面115が互いに対向するように通気口110aが延在する平面に対して傾斜している。
弁軸123は、図5から図7に示すとおり、通気口110aの中心軸上に配置され、通気弁本体110の本体側磁石保持部117の軸孔117aを貫通している。そして、弁軸123の上端には、本体側磁石保持部117の上方に位置し、軸孔117aの径よりも大きく拡径した弁体側磁石保持部124が設けられている。弁体側磁石保持部124は、内部に弁体側磁石124aを保持している。該弁体側磁石124aは、ネオジム磁石等の永久磁石からなる。該弁体側磁石124aは、本体側磁石117bに対して互いに反発するように配置されている。つまり、本体側磁石117b及び弁体側磁石124aの対向する磁極が同じである。そして、本体側磁石117b及び弁体側磁石124aの間に磁気的斥力(反発力)が生じ、磁力によって弁体120が上方に浮き上がるように付勢されている。その結果、弁体本体121の弁体側挟持面122が、パッキン130に圧接して、通気口110aを閉塞している。これに対し、(一般に、配管材内部が負圧になった際)磁力を超える下方向の力が弁体120に対して付加されると、軸方向に沿って弁体120が下方に移動し、弁体側挟持面122がパッキン130から離隔して通気口110aが開放される。このとき、弁軸123が軸孔117aを移動することから、弁体120の軸方向の移動が本体側磁石保持部117によって安定的にガイドされる。
カバー体140は、通気弁本体110内部及び弁体120を筒部13外部で保護又は防塵するために、通気口110aを上方から覆うように構成されている。該カバー体140は平面視円形状を有している。該カバー体140の外周側には、2つのスリット状の連結孔141が穿設されている。また、カバー体140の外周縁における該2つの連結孔141の径方向外側には、2つの切り欠き部142が平面略視矩形状にそれぞれ切り欠き形成されている。そして、該連結孔141に通気弁本体110の連結片113aが嵌合することにより、カバー体140が通気弁本体110に着脱可能に嵌着されている。
図8は、本実施形態の通気弁100の分解斜視図である。図8に示すとおり、通気弁本体100は、上部分割体110−1と下部分割体110−2とを組み合わせてなる。上部分割体110−1は、下端に雌ねじ部を有し、下部分割体110−2は上端に雄ネジ部を有し、上部分割体110−1及び下部分割体110−2が互いに螺合可能である。そして、パッキン130を上部分割体110−1及び下部分割体110−2の間に挟み込むようにして、上部分割体110−1及び下部分割体110−2を螺合することにより、パッキン130の固定部138が壁内に埋め込まれるように固定されて、通気弁本体110が構築される。さらに、弁体120の弁軸123を下方から通気弁本体110の軸孔117aに挿入し、該弁軸123の上端に弁体側磁石保持部124を螺着又は接着することにより、弁体120が通気弁本体110によって脱落防止に支持される。そして、カバー体140の連結孔141に対して、通気弁本体110の立壁113先端から上方に延び出る連結片113aを挿入することにより、カバー体140が通気弁本体110に着脱自在に嵌着される。こうして、通気弁100が構築される。なお、本実施形態の上部分割体110−1、下部分割体110−2、弁体120及びカバー体140は、硬質の合成樹脂材料を成形してなるが、本発明はこれに限定されず、当業者であれば、その材質は任意に選択可能である。
次に、図9乃至図13を参照して、本発明の一実施形態の保護部材150について説明する。図9(a),(b)は、保護部材150の斜視図である。図10(a)〜(d)は、該保護部材150の平面図、正面図及び底面図である。図11、図12及び図13は、該保護部材150のD−D断面図、E−E断面図及びF−F断面図である。
保護部材150は、内側筒壁部151と、該内側筒壁部151を径方向外側から包囲する外側筒壁部152と、内側筒壁151の内部に形成されたルーバー部153と、内側筒壁部151及び外側筒壁部153を軸方向の上側端部(排水管外部側)で連結する環状の頂壁部154とを備える。
内側筒壁部151は、軸方向に延びる中空の円筒形状を有する。内側筒壁部151の上端には、通気弁100を挿通可能な開口151aが形成されている。図11に示すように、内側筒壁部151は、上側部分に対して下側部分で縮径し、内外面において、その間に段差が形成されている。内側筒壁部151内部の上側部分には、通気弁100の少なくとも一部(通気弁本体110)を収容するための収容空間151bが形成されている。収容空間151bの径(内側筒壁部151の上側部分の内径)は、通気弁本体110の周壁111を内挿可能であるとともに止水部材118が内側筒壁部151内面に密着可能に定められている。そして、内側筒壁部151は、通気弁110を内面側の段差で係止可能である。他方、内側筒壁部151内部の下側部分には、配管材内部の排水から通気弁100又は収容空間151bを遠ざけるための緩衝空間151cが形成されている。また、内側筒壁部151は、配管材の所定径の筒部13に内挿されるように構成されている。内側筒壁部151が筒部13に嵌着するように、内側筒壁部151の下側部分の外径が配管材の筒部13の内径とほぼ等しく定められている。この内側筒壁部151の外面に、第1の径の筒部13に接続するための第1接続部151dが定められる。また、第1接続部151dが筒部13に接続されたときに、内側筒壁部151の外面側の段差が筒部13の端面を係止可能である。
外側筒壁部152は、内側筒壁部151よりも大径の軸方向に延びる中空の円筒形状を有する。外側筒壁部152は、上端で頂壁部154によって閉塞され、下端で開放されている。また、図13に示すように、外側筒壁部152の内面と内側筒壁部151の外面との間には、径方向に延びる複数のリブ155が設けられている。各リブ155は、保護部材150の軸方向上端から軸方向中央近傍まで延びている。すなわち、外側筒壁部152の内側には、筒部13を第1接続部151dに接続するための空間が確保されている。そして、外側筒部152は、配管材のより大径の筒部13’(図18参照)に内挿されるように構成されている。外側筒壁部152が筒部13’に嵌着するように、外側筒壁部152の外径が配管材の第2の筒部13’の内径とほぼ等しく定められている。この外側筒壁部152の外面に、第2の径の筒部13’に接続するための第2接続部152aが定められる。また、第2接続部152aが筒部13’に接続されたときに、頂壁部154のフランジ154aが筒部13’の端面を係止可能である。なお、第2接続部152aが外側筒壁部152の内面に形成され、外側筒壁部152が筒部に外挿されてもよい。
ルーバー部153は、内側筒壁部151の内面に一体的に形成され、内側筒壁151の軸方向の下側の端部近傍(緩衝空間151c)に配置されている。すなわち、ルーバー部153は、収容空間151bに収容した通気弁100を軸方向深部側から覆うように通気弁100(特には、弁体120)よりも筒部13の軸方向深部側に配置される。また、ルーバー部153は、保護部材150の筒部13への設置時において、少なくとも筒部13内部に配置される。ルーバー部153は、(異なる径の)同心円状に互いに離隔するように配列した複数(本実施形態では3つ)の環状の薄板形状からなる羽根体(又は環状板体)153aを備える。最も外側の羽根体153aの外周縁が内側筒壁部152の内面に一体的に連結されている。これら羽根体153aは、径方向において等間隔で配列している。また、隣接する羽根体153a同士は、複数の径方向に延びる細いバー材153bによって互いに連結されている。そして、隣接する羽根体153aの間の隙間には、通気弁100から配管材内部への空気の流入を許容する通気路153bが形成されている。最も内側の羽根体153aの中心には、中心開口153dが穿孔されている。なお、最も内側の環状の羽根体153aの中心開口153dが、肉部によって閉塞されてもよい。
また、各羽根体153aは、図11及び図12に示すように、互いに平行に配列し、且つ、軸方向に対してその内周端が外周端よりも軸方向深部側(下方)に位置するように傾斜している。このように、各羽根体153aが軸方向に対して傾斜していることにより、底面視(図10(c)参照)における通気路153dの面積は、実際の通気路153dの面積よりも小さく、尚且つ、配管材深部側に露出する羽根体153aの面積よりも相対的に小さい。すなわち、傾斜した羽根体153aにより、通気路153dの通気性を犠牲にすることなく、収容空間151bに配置された通気弁100が通気路153aを介して配管材深部側に露出することが効果的に抑えられる。なお、本実施形態では、傾斜角度は、約45度である。通気弁100の保護(被覆面積)と外気の流入量との両立を踏まえると、傾斜角度は(本発明を限定するものではないが)30〜60度程度であることが好ましい。
さらに、隣接する羽根体153aは、軸方向において所定距離でずれるように配置されている。また、隣接する羽根体153aの軸方向の一部が互いに(径方向に)重合している。他方、隣接する羽根体153aの径方向の成分は、互いに(軸方向に)重合していない。そして、本実施形態では、外周側の羽根体153aが内周側の羽根体153aよりも軸方向深部側に配置されている。換言すると、ルーバー部153は、軸方向において深部側から後退するように凹面状に形成されている。
図14は、本実施形態の配管構造10の分解斜視図である。図14に示すように、本実施形態の配管材は、2本の排水管11が三方に分岐した排水管継手12を介して接続されることで構成されている。排水管継手12は、3つの接続口を有し、そのうちの2つの接続口に2本の排水管11が直線的に接続され、1つの接続口が上方に開口している。すなわち、(配管材の一種である)排水管継手12には、外部に開口し、配管材(排水管11又は排水系)の内外に連通する連通路を形成するように軸方向に延びる筒部13が設けられている。この中空の筒部13には、連通路を選択的に閉塞するべく、通気弁装置(通気弁100及び保護部材150)が装着される。図14に示すように、通気弁100及び保護部材150は、筒部13に押し込まれて設置される。なお、排水管、排水管継手、排水系は、本明細書では配管材として総称される。
続いて、図15乃至図17を参照して、本実施形態の配管構造10について説明する。図15は、通気弁100及び保護部材150を筒部13に設置した配管構造10の概略断面図である。図16は、配管構造10の弁体120が閉じた状態の拡大断面図である。図17は、配管構造10の弁体120が開いた状態の拡大断面図である。
図15に示すとおり、保護部材150の内側筒壁部151が第1接続部151dを介して(第1の径を有する)筒部13に接続されている。具体的には、内側筒壁部151が筒部13に内挿された状態で、筒部13の開口端が内側筒壁部151外面の段差に係合するとともに内側筒壁部151の下端が排水管継手12に係合していることにより、保護部材150が筒部13に嵌着されている。なお、接着剤等により、保護部材150が筒部13に固定されてもよい。そして、保護部材150の内側筒壁部151の内側に開口151aを介して通気弁100が嵌着されている。このとき、通気弁本体110の接続口110bの端面が内側筒壁部151内面の段差に係合することにより、通気弁本体110の一部が収容空間151aに安定的に保持されている。そして、止水部材118が圧潰することにより、通気弁100が保護部材150に封止状態で装着されている。
図15に示すように、排水管11を排水が流れるときに、水はね等によって汚水や汚れが筒部13側に進入することが起こり得る。通気弁100及び保護部材150を連結した通気弁装置において、保護部材150のルーバー部153が通気弁100よりも筒部13の軸方向深部側に配置されていることにより、通気弁100を軸方向深部側から覆って通気弁100を排水管11を流れる汚水等より保護している。特には、ルーバー部153の傾斜した羽根体153aが軸方向下方(深部側)及び径方向外方を向いているので、筒部13又は通気弁100の径方向中心部に向かう水はねを効果的にトラップすることができる。また、保護部材150の緩衝空間151bにより、ルーバー部153をすり抜けた水や汚れが通気弁100(又は収容空間151a)に到達して付着することが効果的に抑えられる。さらに、内側の羽根体153aの方が外側の羽根体153aよりも排水管11内の排水から離隔するように配置されている。これにより、ルーバー部153で通気弁100への水はねの進入を防止するとともに、羽根体153aが必要以上に水はねからの汚れをトラップすることが抑えられている。
図16に示すとおり、配管構造10の排水管11の内部が常圧又は正圧である場合、通気弁100の弁体120が通気口110aを密閉し、通気弁100によって排水管11の内外に連通する連通路が閉塞されている。このように排水管11が負圧でない閉塞状態では、磁力による付勢力が、弁体120に作用する開放方向の力を上回り、弁体120が通気口110aを定常的に閉塞している。そして、該配管構造10では、排水管11の下流から漂う悪臭が室内へ漏れ出ないようにするとともに、排水管11下流側から這い上がってくる害虫の侵入をも防いでいる。
そして、定常的な閉塞状態から排水管11内の負圧が大きくなると、該排水管11に連通する通気弁本体110内の弁体収容空間110cも同様に負圧になる。これにより、弁体120(及び通気口110a)を介した通気弁本体110の内外で圧力差が生じ、この圧力差が弁体120を開放方向に移動させるように作用する。そして、弁体120に作用する開放方向の力が、磁石117b、124a間の斥力を上回ると、弁体120が軸方向に沿って開放位置に向けて移動を開始する。この弁体120の移動に伴って弁体側磁石保持部124が軸方向に沿って本体側磁石保持部117に近接移動する。
そして、図17に示すように、弁体120が十分に開放した開放位置に到達して、通気口110aを介して外気を排水管11へと導入する。図17は、外気流入における気流について矢印で模式的に示している。本実施形態では、弁体120が径方向中心の弁軸123に沿って移動するので、径方向外側に空気の導入口が形成される。外気導入において、空気は、通気弁100の通気口110aを介して通気弁本体110内部に進入し、軸方向から傾斜した本体側挟持面115及び弁体側挟持面122の間を通ることで、径方向外側から内側へと流れるように保護部材150の緩衝空間151bへと導入される。そして、羽根体153a間に形成された通気路153が、気流に逆らわないように、上側で径方向外方を向くように軸方向に対して傾斜して延在していることから、外気を効率的に導入することができる。さらに、パッキン130が弁体120でなく、通気弁本体110に取り付けられていることにより、弁体120が相対的に軽量となる。これにより、弁体120の初動が早くなったり、弁体120の微小な動作が可能になるなど、弁体120の動作が軽快となる。その結果として、排水管11内の負圧がより確実且つ迅速に解消される。
排水管11内の負圧が解消されると、負圧に起因する弁体120に作用する力がなくなり、本体側磁石保持部117及び弁体側磁石保持部124の斥力によって、弁体120が図16で示した閉塞位置に復帰する。
図18は、本実施形態の通気弁装置を第2の径を有する筒部13’を備えた配管材に設置した別実施形態の配管構造10’を示している。図18に示すように、この実施形態の配管材は、2本の排水管11が三方に分岐した排水管継手12を介してL字状に接続されることで構成されている。排水管継手12は、3つの接続口を有し、そのうちの2つの接続口に2本の排水管11が直線的に接続され、上方に開口した1つの接続口に通気弁装置が設置されている。
図18に示すとおり、保護部材150の外側筒壁部152が第2接続部152aを介して(第2の径を有する)筒部13’に接続されている。具体的には、外側筒壁部152が筒部13’に内挿された状態で、外側筒壁部152の下端が排水管継手12の段差面に係合することにより、保護部材150が筒部13’に嵌着されている。なお、筒部13’の長さに応じて、フランジ154aを筒部13’の上端面に係合させてもよい。また、接着剤等により、保護部材150が筒部13’に固定されてもよい。そして、図15の配管構造10と同様に、保護部材150の内側筒壁部151の内側に通気弁100が嵌着されている。すなわち、本実施形態の通気弁装置及び保護部材150は、異なる2種類の径の配管材筒部に対応可能に構成されている。
以下、本発明に係る一実施形態の通気弁装置及び保護部材150における作用効果について説明する。
本実施形態の通気弁装置及び保護部材150によれば、ルーバー部153が、通気弁100又は収容空間151bよりも筒部13の軸方向深部側に配置され、通気弁100を軸方向深部側から覆うことにより、排水管内の排水からの水跳ねが通気弁100(特に弁体120)に付着することを効果的に抑えることができる。さらに、ルーバー部153が互いに径方向に離隔する複数の環状の羽根体153aから構成されている。これにより、隣接する羽根体153aの間に、通気弁100から配管材内部への外気の流入を許容する通気路153cが確保され、外部からの外気の流入量が低下することが抑えられる。特には、通気路153aが環状の開口であることから、径方向全ての方位から均等に外気を導入することができるので、弁体120を傾斜(偏位)させて弁体120の動作を妨げることなく、配管材内部の負圧を解消することが可能である。また、各羽根体153aが軸方向に対して傾斜して、羽根体153aの外周側の面が配管材の深部側を臨むとともに、隣接する羽根体が軸方向に少なくとも部分的に重合するように配置されている。これにより、通気弁100の径方向側から内側へと跳ねる排水を羽根体153aが効果的にブロックし、排水がルーバー部153及び緩衝空間151cを越えて通気弁120にかかることを抑えることができる。また、外周側の羽根体153aが内周側の羽根体153aよりも軸方向深部側に配置され、ルーバー部153の中心が凹むように形成されていることにより、通気量を確保しつつ、ルーバー部153自体が必要以上に汚れることを抑えている。したがって、本実施形態の通気弁装置及び保護部材150は、外気の流入を極力妨げずに、通気弁100への汚れの付着を防止することができる。
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の実施形態や変形例を取り得る。以下、本発明の変形例を説明する。なお、各変形例において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、説明がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
(1)本発明のルーバー部の形状は上記実施形態に限定されない。例えば、図19の保護部材250では、羽根体253aが軸方向の同じ位置に配置され、羽根体253aの軸方向の全部が(径方向に)重合している。このような配列であっても、ルーバー部253によって、通気弁を水はねから保護することは可能である。すなわち、当該保護部材250であっても、ルーバー部253が通気弁200を筒部の深部側から保護することにより、上記実施形態の保護部材150と同質の作用効果を発揮することができる。
(2)本発明の保護部材の形状は上記実施形態に限定されない。図20の保護部材350は、筒壁部351と、該筒壁部351の内部に形成されたルーバー部353とを備える。筒壁部351は、ルーバー部353のみを保持するように構成され、通気弁300を保持するように構成されていない。つまり、保護部材350は、収容空間及び緩衝空間を備えていない。筒壁部351は、配管材の所定径の筒部33に内挿されるように構成されている。筒壁部351が筒部33に嵌着するように、筒壁部351の外径が配管材の筒部33の内径とほぼ等しく定められている。この筒壁部351の外面に、筒部33に接続するための接続部351dが定められる。また、ルーバー部353の形態は、上記説明したルーバー部153の形態と実質的に同じである。なお、本実施形態では、保護部材350に収容空間及び緩衝空間が設けられていないが、後述の図21で示されるように、保護部材350及び通気弁300を通気弁装置として配管材に設置した状態で、保護部材350は、少なくとも通気弁300の弁体320の可動域を確保するように構成されている。つまり、弁体320が最大限開いたときに弁体320がルーバー部353に干渉することがないように、保護部材350は、ルーバー部353を通気弁300に対して離隔させて筒壁部351の内側に設けている。
図21は、本実施形態の通気弁装置(通気弁300及び保護部材350)を配管材に設置した配管構造30を示している。配管材は、排水管31及び排水管継手32からなり、排水管継手32に筒部33が形成されている。また、通気弁300は、一実施形態の通気弁100と同様の構成を有する。図21に示すとおり、保護部材350の筒壁部351が接続部351dを介して筒部33に接続されている。具体的には、筒壁部351が筒部33に内挿された状態で、筒壁部351の下端が排水管継手32に係合していることにより、保護部材350が筒部33に嵌着されている。そして、保護部材350の上端面に積み重なるように、通気弁300が筒部33に直接的に嵌着されている。このとき、通気弁本体310の接続口310bの端面が筒壁部351の上端面に係合することにより、通気弁300及び保護部材350が筒部33内部に一体的に保持されている。すなわち、本実施形態の保護部材350及び配管構造30であっても、ルーバー部353が通気弁300を筒部33の深部側から保護することにより、上記実施形態の保護部材150及び配管構造10と同質の作用効果を発揮することができる。
(3)本発明の通気弁装置の形態は上記実施形態に限定されない。例えば、図22の通気弁装置は、通気弁400及び保護部材450を一体的に形成したものである。図22に示すように、通気弁本体410の周壁411及び保護部材450の筒壁部451が一体的に形成されている。すなわち、当該通気弁装置であっても、ルーバー部453が通気弁400の弁体420を筒部の深部側から保護することにより、上記実施形態の通気弁装置(通気弁100及び保護部材150)と同質の作用効果を発揮することができる。
(4)本発明の通気弁の形態は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態では、通気弁の弁体は、磁石の斥力によって閉塞方向に付勢されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、弁体の付勢は、本発明の技術的範囲の下で、バネ等の他の機構によって行われてもよい。
(5)本発明の通気弁の形態は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態の通気弁では、通気口が中心に設けられた円形の開口として構成されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、通気口及び弁体の形状を環状(ドーナツ状)とした通気弁であっても、本発明の技術的思想を採用することができる。すなわち、当業者であれば、本発明の技術的範囲の下で、通気弁の構成を任意に変更又は修正可能である。
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。すなわち、本発明の技術的範囲の下で、本実施形態の一部の構成が省略又は修正されてもよく、あるいは、他の構成が追加されてもよい。