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JP6944463B2 - 眼疾患の治療のための組成物及び方法 - Google Patents
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JP6944463B2 - 眼疾患の治療のための組成物及び方法 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
〔技術分野〕
本発明は、そのいくつかの実施形態において、眼疾患の治療、より詳しくは、限定されるものではないが、網膜漏出及び脈絡膜血管新生に関連した眼疾患の治療及び又は予防に関する。
〔背景技術〕
脈絡膜血管新生(CNV)とは眼の網膜の下にある脈絡膜層の内部に新生血管が形成されることである。脈絡膜は網膜と強膜(眼の白い部分)との間の領域であり、眼に酸素及び養分を供給する。CNVは新生血管が脈絡膜内部で成長し始め、脈絡膜と網膜との間の膜であるブルッフ膜(網膜を支持している下地)を突き破って網膜に侵入し、網膜を分裂させることで発症する。脈絡毛細管が最初にブルッフ膜(BrM)を貫通した後、侵入する血管が退行又は拡張する(CNVの開始)。次に、CNVの初期から後期にかけて、拡張した血管が通常、次の3つの異なるパターンのうちの1つのパターンで拡張する:BrMと網膜色素上皮との間の階層中(RPE下、いわゆるタイプ1CNV)、RPE(眼の黒く裏張りされた部分)と視細胞との間の階層中(網膜下、いわゆるタイプ2CNV)、又は、同時に両方の部位(複合パターン、いわゆるタイプ3CNV)に拡張する(背景技術の図1A−1C参照)。網膜内のCNVの流血及び滲出などの漏出は、急性的な目に見える症状を説明しており、最も顕著な症状は、失明である。
CNVの位置、成長パターン及びタイプは患者の年齢及びCNVと関係性のある基礎疾患に依存する。CNVは年齢関連性黄斑変性(AMD)、筋疾患及び色素線条のようなさまざまな眼疾患における重い失明の主な原因となる。
古典的CNVと潜在的CNVとは区別されているが、それらは複合型としても発症し得る。潜在的なCNVはRPEの下で増殖する。古典的なCNVは潜在型及び複合型よりもまれである。それは漏出性の年齢関連性黄斑変性(AMD)として発症することがあるが、その他の脈絡網膜性の疾患に続発することもある。古典的なCNVの診断には血管造影法を必要とし、血管造影法において、RPEと視神経網膜との間の血管増殖によって引き起こされる早期段階では、はっきりと目に見え、明確に区別された過蛍光として定義され、後期段階では漏出物の増加を伴う。古典的なCNVの初期症状は変視症、視力の低下、中心視野の異常である。CNVの検眼鏡での徴候は網膜浮腫、多量の滲出、並びに網膜下及び網膜内の出血を伴った網膜下の灰白色化である。もしその状態が治療されなければ、通常、その損傷の拡大とそれに引き続く視細胞の消失の進行が続くであろう。
ほとんどの研究では、CNVは主に成長因子の影響又はBrMにあいた穴によって引き起こされると仮定されている。しかし、正常な斑及び異常な斑の多細胞モデルの三次元シミュレーションに基づく徹底的なコンピュータシミュレーション研究(Shirinifard et al. 2012,PLos Computational Biology, 8(5):1-32)は、CNVが下記(1)〜(3)の欠陥の組み合わせによって引き起こされるという仮説のもと、CNVの3つの成長パターン(タイプ1−3)を再現した:
(1)RPE−RPE上皮接合部の接着、(2)RPE基底膜複合体の、BrMとの接着(RPE−BrM接着)及び(3)RPEの、視細胞外節との接着(RPE−POS接着)。研究の鍵となる発見は内部先端細胞がBrMを貫通したとき、次の項目の1つ以上が引き起こされる可能性があるということである:
(1)正常な上皮との接合、BrMとの底部の付着及びPOSとの先端部の付着を伴うRPEは、CNVに抵抗性を示す。
(2)BrMの小さな穴はそれ自身ではCNVを起こさない。
(3)正常な上皮との接合、正常な先端部のRPE−POS付着を伴うが、BrMとの接着は弱い(BrM内の脂質の蓄積に起因する)RPEは早期のRPE下のCNVを引き起こす。色素性網膜細胞とブルッフ膜との接着の減少は、老化に典型的なタイプのCNVである。
(4)RBEがBrMと正常に接着しているが、先端部のRPE−POS接着又は上皮のRPE−RPE接着が減少している(炎症に起因する)場合、早期の網膜下のCNVが引き起こされる。隣接した色素性網膜細胞間の接着の減少は重度の感染による炎症の典型であり、若い成人にみられる侵入のパターンである。
(5)RPE−RPE上皮間の結合とRPE−BrMの接着が同時に減少すると、しばしば複合型CNVを進行させるRPE下CNV又は網膜下CNVのいずれかが引き起こされる。これらの発見は以下のことを示す。
そのほとんどが炎症、又は自己免疫疾患若しくは障害のような全身の疾患若しくは障害、又は眼の疾患若しくは障害を同調的又は非同調的に引き起こす、CNVの原因となるものは数多くある。しかし、接着は網膜の構造を維持するうえで重要なメカニズムであるため、接着における欠陥はCNVの開始及び進行、それに続く網膜における漏出を引き起こすように思われる。
CNVに対する現在の主な2つの対処法は、薬、主に抗血管形成剤を眼に注射して、侵入した血管を消滅させるか(ほとんどの場合、同様に網膜を損傷し、必要な血管も消滅させてしまう)、血管をレーザー閉鎖するか(これは網膜に傷を与え得る)である。どちらの対処法も血管の侵入を引き起こす根本的な問題には対処していないため、再発はよくあることであり、多くの患者がいまだに1、2年のうちに視力を失っている。
プロテインC系は宿主防御系について負のフィードバック制御を提供しており、重要な組織成分のバランスのとれた再構築を促進し得る。プロテインC系における重要な分子関連物にはプロテインC、プロテインS、トロンボモジュリン、内皮性プロテインC受容体(EPCR)、PAR1及びPAR3が含まれる。プロテインCはセリンプロテアーゼ活性化プロテインC(APC)の酵素原、すなわち前駆物質である。プロテインCは肝臓でかなりのプロセシングを経て1重鎖のポリペプチドとして合成され、ジスルフィド結合によって繋ぎ合わされた重鎖(Mr=40,000)及び軽鎖(Mr=21,000)を備える2重鎖分子を生成する。循環型二重鎖中間体は、重鎖のアミノ酸末端の12残基のペプチド(同様に活性化ペプチドとして知られている)のトロンビン媒介開裂によって、生物学的に活性型の分子、APCに変換される。細胞質セリンプロテアーゼ阻害剤による循環型APCの不活性化はAPCを一掃するための主要なメカニズムである。
薬理学的APCは体中のほぼすべての器官において回復と組織の恒常性を促進している。APCは複数の多様な独立した細胞活性を操作する細胞情報伝達を開始しており、それらの多くは細胞保護活性と称され、抗アポトーシス活性及び抗炎症活性、遺伝子発現の有用な改変を含んでいる。APCは内皮、上皮のバリアを安定化させ、血管が漏出するのを防いでいる(Gliffin et al., Blood, 2015, 125(19):2898-2907; Vetrano et al.,2011, PNAS, 108(49): 1983019835)。
以上の説明はこの分野における関連技術の一般的な見解を述べたものであり、それに含まれる情報が本特許出願に対する先行技術を構成することを認めるものと解釈されるべきではない。
〔発明の概要〕
網膜色素上皮(RPE)とブルッフ膜との間の恒常性の崩壊が生じたとき、悪循環が脈絡血管新生(CNV)としても知られている脈絡膜新生血管形成を引き起こす。現在、細胞接着は血管が網膜に侵入することを防ぐ鍵の1つであり、接着のタイプ、すなわちRPE−RPE上皮接合部接着、RPE基底膜複合体の、ブルッフ膜との接着、又はRPEの、視細胞外節との接着のうち少なくとも1つにおける欠陥の組み合わせで、CNVとなる可能性、CNVのパターン及びCNVの進行速度を決定することができると認められている。
本発明者は眼球内の正常な接着を取り戻す治療法に対しての未だ検討されていないニーズに取り組むことに成功し、それによりCNVを治療するとともに、及び網膜における有害な脈絡膜新生血管の漏出を阻止又は予防する手段を提供する。これらの治療法はAPCの利用を含む。
いくつかの実施形態の態様において、治療を必要とする被験体に対して効果的な量のAPCを投与する工程を含む、網膜漏出及びCNVに関連する眼の疾患、障害又は状態の治療の方法が提供される。
いくつかの実施形態の態様において、網膜漏出及び脈絡膜血管新生(CNV)に関連する眼の疾患、障害又は状態の治療法において使用するための、薬学的に許容可能な担体及び活性化プロテインC(APC)を含む薬学的組成物が提供される。
いくつかの実施形態の態様において、網膜漏出及び脈絡膜血管新生に関連する眼の疾患、障害又は状態の治療のための薬剤の製造における活性化プロテインC(APC)の使用が提供される。
いくつかの実施形態において、上記治療法は、網膜漏出及びCNVに関連する眼の疾患、障害又は状態の治療又は予防である。
いくつかの実施形態において、網膜漏出及びCNVに関連する疾患、障害又は状態は、直接的にCVNによって引き起こされ、CNVの進行段階を第2ステージ若しくはその合併症として特徴づけるか、又はCNVをその同調的若しくは非同調的なCNVの続発症として特徴づけるものである。
いくつかの実施形態において、上記眼の疾患は年齢関連性黄斑変性(AMD)、病的近視、網膜色素線条を伴う弾性線維性仮性黄色腫、非感染性ブドウ膜炎、感染性ブドウ膜炎、視神経の炎症性疾患(視神経炎、乳頭浮腫、前部虚血性視神経症(AION)、ベーチェット病及び網膜症等)から選択される。また、
上記眼の障害は慢性的炎症、酸化ダメージ、ドルーゼ発生、リポフスチンの蓄積、ブルッフ膜の異常、血圧及び血流の調節を妨げ、虚血状態を引き起こす眼球内での血管変化、生理学的加齢、遺伝的要因及び環境的要因から選択される。また、
上記眼の状態は、眼の医学的手術の間の網膜の外傷及び合併症に続いてCNV及び網膜漏出が発生する偶発的、副次的な事象である。
いくつかの実施形態において、上記眼の疾患はAMDである。
いくつかの実施形態において、APCはヒトAPCの野生型の配列、APCの機能的な部分配列、APC若しくはその機能的な部分配列の誘導体、又はAPC若しくはその機能的な部分配列の変異体を含む。
いくつかの実施形態において、上記機能的な部分配列は野生型APCのアミノ酸配列の95%まで、90%まで、85%まで、80%まで、75%までを含み、それは野生型又は野生型に近い型のAPCの機能を維持している。
いくつかの実施形態において、上記APC変異体のアミノ酸配列は、野生型APCのアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は100%一致している。
いくつかの実施形態において、APC及びそれを含む薬学的組成物は、抗血管形成剤、抗炎症剤、抗菌剤、免疫抑制剤、抗PDGF剤、抗真菌剤及び抗ウイルス剤から選択される1つ以上の活性剤との併用療法において使用される。
いくつかの実施形態において、上記抗血管形成剤は抗VEGF剤又は血小板由来成長因子(PDGF)阻害剤であり、上記免疫抑制剤はステロイドである。
この概要は下記の図面の簡単な説明及び詳細な説明においてさらに記載される概念を簡略化した形で選択したものを紹介している。この概要は請求された主題の鍵となる特徴又は本質となる特徴を特定することを意図しておらず、請求された主題の範囲を制限するために用いられることも意図していない。
他に定義されていない場合、本明細書において使用されているすべての技術用語及び/又は科学用語は、発明が関係する分野の当業者によって通例理解されているものと同じ意味を持つ。本明細書において記載されているものと類似又は同等の方法及び材料は実施形態の実施又は試験において使用できるが、模範的な方法及び材料については以下に記載する。訴訟問題において、定義を含む特許明細書は規制するであろう。付け加えて、材料、方法及び実施例は一例にすぎず、必ずしも限定することを意図しない。
〔図面の簡単な説明〕
いくつかの実施形態は、ほんの一例として付随する図面を参照して本明細書に記載されている。現段階において図面を細部にわたって具体的に参照することにより、示された事項が一例であり、実施形態の実例の議論を目的としていることが強調される。この点において、図を用いた記載は、どのように実施形態が実施され得るかを当業者に対して明らかにする。
図面において
図1A−1Cは血液網膜関門(BRBs)(1A)、網膜の基本構造(1B)、年齢関連性黄斑変性(AMD)における脈絡膜血管新生を特徴づける網膜(1C)の背景技術の略図であり、
図2A-2Dは、0.0μg/ml APC(コントロール、1A);0.1μg/ml APC(1B);1μg/ml APC(1C);又は10μg/ml APC(1D)を用いた処理に続いて、ウサギ抗ZO-1抗体(非常に明るい)とNucBlue(登録商標)(核染色:明るく、丸い円形の領域)を用いて染色された網膜色素上皮細胞(ARPE−19)の共焦点顕微鏡の画像であり、
図3は0.0、0.1又は1μg/ml APCで処理したARPE−19細胞のFITC−デキストラン浸透率(コントロールに対する%)を示したグラフである(4回の実験の平均結果)。
図4は網膜のレーザーでの光凝固、及び、硝子体内への生理食塩水、ベバシズマブ(25μg/匹)又はAPC(1μg/匹)の注入を行った、平らな脈絡膜の脈絡膜内血管面積を示したグラフである。
図5A−5Bはレーザーでの光凝固、及び、生理食塩水、又はAPC(1μg/匹)の注入を行った平面化された脈絡膜−RPE切片の血管の体積(5A)及び深さ(5B)を示したグラフである。並びに
図6A−6Cはレーザーでの光凝固及び、生理食塩水、又はAPC(1μg/匹)の注入を行った模範的な平面化された網膜全体の(1μm)距離Zの積層画像(6A−6B)及びグラフ(6C)である。血管は画像において非常に明るく表示されている。
〔発明の詳細な説明〕
開示される実施形態の態様は、眼疾患の治療法、における活性化プロテインCの利用、より具体的にはこれに限らないが、脈絡膜血管新生及び網膜漏出に関連する眼の疾患の治療に関する。
少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、開示される実施形態は、出願を、以下の記載に説明された、又は実施例によって例示された詳細に必ずしも制限しない。本発明はその他の実施形態若しくは、さまざまな方法で実施又は実行することができる。
最適な網膜の機能は、適切で厳重に制御された環境を必要とする。この制御は、機能的な区画を隔て、それらの恒常性を維持し、それらの間の輸送を制御するタイトジャンクションタンパク質により形成される細胞バリアにより確立される。血液網膜関門(BRB)、特に網膜色素上皮(RPE)から構成される外側のバリアと、網膜毛細血管内皮の間の内側のバリアとは、高度に動的な構造であり、変化する外部環境と同様に生化学的要求に迅速に対応することができる。
ほとんどの網膜疾患は内側または外側のBRBの血管漏出及び損傷に関わる。網膜内部で発生し、失明を引き起こす血管新生には2つのタイプがある:血管が、網膜毛細血管から派生し、硝子体及び神経網膜の層に侵入する、網膜血管新生(RNV)。並びに血管が、脈絡膜血管から派生し網膜下の空間に侵入する、脈絡膜血管新生(CNV)がある。CNVは、BRBへのダメージにより引き起こされる、ブルッフ膜を通る未成熟な脈絡膜血管の成長を示す年齢関連性黄斑変性(AMD)の隠れた合併症であり、未熟な脈絡膜血管は網膜下において体液漏出又は出血を起こしうる(背景図1B及び1C参照)。CNVは、AMD以外の様々な眼の疾患、例えば、色素線条及び高度近視における重い失明の主な原因となる。
現在のCNVに対する主な2つの治療は、抗血管内皮増殖因子(VEGF)剤(例えば、ベバシズマブ、ラニビズマブ、アフリベルセプト)を眼内へ注入することによって、侵入する血管を(多くの場合、網膜を損傷するとともに、必要な血管を消失させてしまう)、又は網膜の損傷を引き起こしうる、血管のレーザー凝固のいずれかである。しかしながらどちらの治療法も血管の侵入を引き起こす根本的な原因に対処するものではない。加えて、何度も投与を繰り返すことで、多くの場合、抗VEGF剤への治療反応が減少する。それ故、再発はよくあることで、未だに多くの患者が1、2年のうちに視力を失っている。根本的な病因は非常に複雑でわかりにくいため、疾患の原因に対する直接的な治療法に到達することは困難なままである。
活性化プロテインC(APC)は、とりわけ、内皮及び上皮のバリア保護特性を持つ細胞質セリンプロテアーゼである。
CNVの治療及び網膜漏出の予防へのさらに続いている要求を満たすための治療モダリティの研究において、本発明者は網膜内でのRPEの重要な接合部における接着が損なわれた部分へのAPCのバリア保護効果を構想し、それにより網膜漏出及びCNVの予防又は改善がもたらされる。
本発明者は、RPE及びBRBにおけるAPCの保護効果を分析するためにインビトロ及びインビボのモデルを考案し、APCの硝子体内投与に基づくCNVの新規な治療法の実施に成功した。
下記の実施例の項目での実証により、ヒト網膜色素上皮細胞(ARPE−19)のインビトロモデルにおいて、APCはタイトジャンクションタンパク質Zonula occludens−1(ZO−1)のARPE19細胞膜への転位を誘発し、標識されたデキストランのRPE浸透性を未処理細胞と比較して減少させた(本明細書の実施例1及び2参照)。本発明者によって考案されたインビボモデルにおいて、オスのC57BL/6Jマウスにおける間接的なダイオードレーザー光凝固によって、CNVが誘発された。外傷を与えた直後のAPC(1μg/体)の硝子体内投与は、CNV面積を劇的に減少させ(本明細書の実施例3)、3次元分析からわかるように同様にCNV体積及び深さも減少させた(本明細書の実施例4参照)。APCの効果は、CNVに対して一般的に好まれる現在の治療法であるベバシズマブの効果に匹敵した。
本発明者はさらに、マウスにおけるレーザー外傷に伴う血管の形成を定量化し、APCは脈絡膜から網膜への血管の発達と貫通を有意に減少させるということを実証することに成功した(本明細書の実施例5参照)。
いくつかの実施形態の態様において、網膜漏出及び脈絡膜血管新生に関連する眼の疾患、障害及び状態の予防又は治療の方法が提供され、当該方法はそれを必要とする患者に対して効果的な量の活性化プロテインC(APC)を投与する工程を含む。
本明細書において使用される「活性化プロテインC」は、当該技術分野において知られているAPCの多様な形態も含むように広範な様式で解釈される。制限されない例は以下を含む:ヒトAPCの野生型配列;ヒトAPCの多型変異体;ヒトAPCの種間相同体;野生型ヒトAPC、又はその多型変異体、若しくは種間相同体の機能的な部分配列;野生型ヒトAPC、又はその多型変異体、種間相同体、若しくは機能的な部分配列の誘導体;及び野生型ヒトAPC、又はその多型変異体、種間相同体、若しくは機能的な部分配列の変異体(突然変異体)。本明細書において使用される「APCの投与」という用語は、これらの1つ以上の形態のAPCを投与することを表しており、単一の投薬形態の組み合わせ、又は一つ以上の別々の投薬形態の連続した投与のいずれかであり、それぞれ本明細書において記載されるAPCの1つ以上の形態を含むものである。
本明細書において使用される「脈絡膜血管新生に関連する」という用語は、CNVによって直接的に引き起こされる疾患、障害又は状態、つまり、CNVの発達を、例えば、CNVの第2ステージ若しくは合併症であり、任意にCNVプロセスに起因して悪化、激化若しくは進行するものとして特徴づける疾患、障害又は状態を表す。同調的又は非同調的な続発症としてCNVを特徴づける疾患、障害又は状態、つまり、先行して発症した疾患又は障害(例えば感染性又は非感染性の疾患)の結果としてもたらされるCNVを特徴づける疾患、障害又は状態もまた、本明細書に記載するCNVに関連する疾患、障害又は状態である。
本明細書において記載する方法によって治療可能であるCNVに関連する眼の疾患としては、以下に限られたものではないが、年齢関連性黄斑変性(AMD)、病的近視、及び色素線条を伴う弾性繊維偽黄色腫が挙げられる。
CNV及び網膜における血液漏出は、以下に限られたものではないが、視神経症、並びに乳頭浮腫、前部虚血性視神経症(AION)、血管閉塞、ベーチェット病及び糖尿病合併症(例えば網膜症)等のその他の炎症性疾患等の、脈絡膜及び網膜内での無数の炎症性又は非炎症性の疾患から引き起こされ得る。
CNVは感染性ブドウ膜炎及び非感染性ブドウ膜炎の両方の続発症となり得る。その感染性疾患において、トキソプラズマ症(寄生虫Toxoplasma gondiiによって引き起こされ、トキソプラズマ性脈絡網膜炎の主な原因となる)、Toxocara canis、結核及びウイルス性網膜症はCNVの同調的又は非同調的な続発症となり得る。CNVに関連する非感染性ブドウ膜炎としては、以下に限られたものではないが、点状脈絡膜内層症(PIC)、多巣性脈絡膜炎(MFC)、急性後部多発性板状色素上皮炎(APMPPE)、匐行性脈絡膜炎(SC)、推定眼ヒストプラスマ症(POHS)及びホヒト・小柳・原田病(VKH)が挙げられる。
例えば、CNVは一般にMFCと関連があり、それは32〜40%の患者で見出され、POSHにおいて、視力悪化の主な原因は黄斑内でのCNVの発生であり、それは滲出及びそれに続く損傷をもたらす。
細菌もまた眼に影響を与え、CNVは(稀ではあるが)最も重大な続発症の1つとなり得る。網膜における細菌増殖は心内膜炎、大動脈弁感染、腎膿症及び骨膿症、並びに静注薬物乱用のなかで脈絡膜へ転移することで起こり得る。脈絡膜新生血管膜は典型的に活動性又は非活動性の脈絡膜肉芽腫の近くに発生する。古典的なCNVは一般に細菌性心内膜炎において典型的に発生し、脈絡膜網膜の一次病巣、又は委縮性瘢痕の領域の近くで進行する。
ウイルスもまた、主に後期合併症としてCNVに関連しており(Neri etal., 2009, Middle East Afr J Ophthalmol., 16(4): 245-251)、例えば、西ナイルウイルスが黄斑内に広範な虚血性毛細血管障害を引き起こし、脈絡網膜損傷の近くに脈絡膜血管新生を進行させ得る。
CNVはCandida albicans、Cryptococcus neoformans及びAspergillusfumigatus等の菌類の後期続発症となり得、それらは眼の潜在的病原体として記載されている。
本明細書において記載される方法の実施形態に係るAPCを用いた治療による利益を享受し得るCNVに関連した眼の疾患としては、以下に限られたものではないが、酸化ダメージ、ドルーゼ発生、リポフスチン蓄積、ブルッフ膜の異常、通常の血圧及び血流の調節を妨げ、養分の交換及び代謝廃物の除去の制限及び虚血状態を引き起こす眼中の血管変化、生理学的加齢、遺伝的要因(補体活性化経路における変異)並びに環境的要因(例えば、喫煙、放射線被曝、ビタミンの不足等)が挙げられる。例えば、CNVは古い脈絡網膜の傷から二次的に発生し得る。
本明細書において定義される「CNVに関連する状態」は、例えば網膜の外傷、手術などの眼の医療処置の間の合併症、レーザー治療又は定期検査等の、結果としてCNVが発症する偶発的、副次的、一時的な事象を表す。
本明細書において使用される「治療法」、「治療」、「治療する工程」「治療する」という言葉は、相互変換可能であり以下を表す:(a)疾患、障害及び/又は状態になりやすいがまだそうとは診断されていない人体において発生する疾患、障害又は状態の予防;(b)疾患、障害又は状態の抑制、すなわちその発達の阻止;(c)疾患、障害又は状態の軽減、緩和又は改善、すなわち疾患、障害及び/又は状態を減退させること;(d)疾患、障害又は状態の回復。言い換えれば、「治療法」、「治療する」、「治療」及び「治療する工程」という用語は、確立された状態の治療自体と同じように、予防、つまり、「予防する」、「予防」、「予防する工程」まで拡大される。従って、「予防する」、「予防」、「予防する工程」という用語の使用は組成物の投与時点の状態に苦しむ患者ではなく、例えば、網膜漏出又はCNVのような上述の状態に過去に苦しんでいた患者への活性剤の投与となり得る。
故に、「治療」、「治療法」等の用語は、以下に限られたものではないが、被験者の状態における変化を含む。その変化は主観的又は客観的であり得、治療される疾患、障害又は状態の症状又は徴候等の特徴と関連し得る。例えば、もしも患者が視力の改善、中心視野異常の軽減又は痛みの減少を示す場合、治療は成功である。同様に、もしも臨床医が蛍光眼底血管造影法(FA)、インドシアニングリーン血管造影法(ICGA)又は眼のコヒーレンス断層撮影(OCT)等によって客観的変化を示す場合もまた、治療は成功である。あるいは、臨床医は、患者の検査において損傷の大きさ又はその他の異常(例えば、網膜浮腫に付随した網膜下の灰白色化、激しい滲出、並びに網膜下及び網膜中の出血)の減少を示し得る。これもまた改善又は治療の成功を示す。被験者の状態の悪化の予防もまたその用語に含まれる。治療による利益は、本明細書において論じられているように治療された状態の反応を示すあらゆる主観的又は客観的な要因を含む。
いくつかの実施形態において、眼の疾患、障害又は状態を治療又は予防する方法は、それを必要とする被験体へ、約10μg/mlから約250μg/mlまで、約10μg/mlから約150μg/mlまで、約10μg/mlから約100μg/mlまで、約20μg/mlから約100μg/mlまで、約30μg/mlから約90μg/mlまで、約30μg/mlから約80μg/mlまで、約40μg/mlから約70μg/mlまで、例えば1回の投薬量が約60μg/mlとなるように、これらの間の部分的な範囲及び中間の値を含む、効果的な量のAPCを投与する工程を含み得る。
いくつかの任意の実験形態において、CNVに関連する眼の疾患、障害、又は状態の治療におけるAPCの応用は、例えば硝子体内注入などの硝子体内投与による影響を受ける。
任意に、これらの実施形態において、網膜内の(硝子質の)液体が、20−50の要因によって本明細書において記載される効果的な分量で投与されるAPCを希釈することを考慮し、約0.02mlから約0.1mlの一部、約0.03mlから約0.07ml、約0.04mlから約0.06ml、好ましくは0.05mlで、これらの間の部分的な範囲及び中間の値を含む、以上に記載した任意の効果的な濃度の範囲に眼内洗浄溶液で希釈されたAPCを調製した。任意に、それぞれの分量を調製し、例えばインシュリン注射器内に、任意に、使用直前まで、例えば、−70℃で保管する。任意に、例えば0.3%レボフロキサシン点眼薬を注入の直後に塗布した。
上記方法のいくつかの実施形態において、本明細書において記載される効果的な分量のAPCは局所的に眼に塗布される。
本明細書において記載されるCNV及び網膜内の血管漏出を治療する方法は、他の治療モダリティ、特にCNVの発達の主要な原動力又は引き金へ対処する治療モダリティと組み合わせた場合に役立ち、例えば相乗効果をもたらし得る。
網膜及び脈絡膜の慢性潜在的炎症及び臨床的炎症がCNVの病因の根拠となり得、これにより網膜内漏出を引き起こすことを考慮に入れると、併用療法を特徴とするいくつかの実施形態において、非感染性炎症に続発するCNVに対する治療方針は炎症プロセスの制御を行うものであろう。従って、全身性の薬剤、例えばデキサメタゾン等の副腎皮質ホルモン(例えばOzurdex)及びその誘導体を、免疫抑制剤とともに使用又は使用しない場合、APCとともに示されうる。付け加えて、又は代わりに、任意の硝子体内の抗VEGF剤等の、血管新生プロセスを直接的に狙った治療法は、特に、抗炎症治療法が不十分な反応を示した場合、示される。例えば、CNVが、再発した網膜脈絡膜炎と関連する実施形態において、抗トキソプラズマ抗生物質と副腎皮質ステロイドの古典的な組み合わせは、任意に、抗VEGF治療法と一緒に患者へ提供される。血管新生プロセスを直接的に狙った抗炎症および抗VEGF治療法を含む併用療法は、重症の場合に推奨される。併用治療モダリティに使用され得る抗VEGF剤の制限されない例としては、ベバシズマブ、ラニビズマブ、及びアフリベルセプトを含む。
どの理論によって制限されることもなく、APCは、プロテアーゼ活性化受容体(PAR)1、PAR3、内皮プロテインC受容体(EPCR)及びその他のような細胞受容体と相互作用し、バリア保護及び安定化をもたらすシグナル伝達を誘発すると考えられている。一方、抗VEGF剤はVEGFに結合し、VEGF受容体と結合し活性化するVEGFの機能を阻害する。これらの作用形態の違いの点において、1つ以上の抗VEGF剤とAPCの共投与を特徴とする併用療法はCNVの治療又は予防において相乗的な効果を持ち得る。いくつかの実施形態において、CNVに関連する眼の疾患、障害及び状態の治療における単一の活性化剤としてのAPCの使用は抗VEGFに抵抗性のある患者に適用される。
いくつかの模範的な実施形態において、CNVが自己炎症性疾患に続いて発生した場合、例えば、ステロイド、シクロスポリンA及び、いくつかの場合において、アザチオプリン等の免疫抑制剤と併用してより多くのAPCが患者へ投与され得る。ステロイドは眼周囲又は全身性のステロイドでよい。
いくつかの模範的な実施形態において、CNVが網膜内の唯一の信頼できる所見であり、その他の異常が検知されない特発性脈絡膜血管新生(ICNV)では、APC治療法は抗炎症薬物療法と組み合わされ得る。
炎症プロセスは局所領域的なだけではなく、免疫システム全体が関与していると考えられるため、全身性ステロイドの使用が常に考えられる。脈絡膜の新しい血管の制御についての免疫抑制の安全性及び効果は公知である。免疫抑制剤の選択は薬物そのものの特徴をもとに確立されるべきである。例えば、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)は動脈疾患の改善及びCNV病理生理学に関した可溶性媒介物質の量を減少させることに効果があると証明されているため、それは炎症性CNVの長期的な制御に対する薬物として選択され得る。
血小板由来成長因子(PDGF)は、網膜脈絡膜血管の疾患において活性化される血管新生カスケードにおける重要な役割を担っている(Ali Sadiq et al. 2015, http://dx.coi.org/10.1016/j.sjopt.2015.05.005)。CNVプロセスにおけるPDGFの関与に対して可能性のある解釈の一つとして、続発的な血小板凝集及びPDGFの放出を伴う、網膜血液関門に達する傷上の硝子体及び網膜下の空間への血小板及び単核白血球の侵入が挙げられる。活性化マクロファージから分泌されたIL−1及びTGF−B等のインターロイキンはPDGFのさらなる合成を引き起こし得る。
本発明に係る組み合わされた併用療法のいくつかの実施形態において、網膜内の血管新生プロセスにおけるPDGFの効果を阻害する抗PDGF剤とともにAPCが共投与され得る。抗PDGF剤の制限されないな例としては、網膜下CNVにおいて選択的にPDGF−BBと結合し拮抗する設計アンキリン反復タンパク質等のPDFG拮抗物質が挙げられ、任意にVEGF−A(抗VEGFタンパク質)に拮抗する同様のタンパク質とともに共投与される。さらに模範的な親和性が高いPDGF拮抗物質はE10030であり、それはPDGFと結合し、そのPDGFR−βとの結合を阻害する。この拮抗物質はラニビズマブ等の抗VEGF剤とともに共投与された場合に、効果が増大する。
併用療法のいくつかの実施形態において、APCは抗血管新生治療法、抗炎症治療法、抗細菌治療法、免疫抑制治療法、抗PDGF治療法、抗真菌治療法及びウイルス治療法から選択された1つ以上の治療とともに提供される。いくつかの実施形態において、共投与される活性剤又は活性薬は、任意的に硝子体内注入によって、単一の投薬形態でAPCとともに投与される。加えて又は代わりに、共投与される活性剤又は活性薬は、APCの投与前、投与と同時、又は投与後のいずれかに1つ以上の投薬形態で投与される。いくつかの実施形態において、共投与される活性剤又は活性薬は全身的に投与される。加えて又は代わりに、共投与される活性剤は、任意に硝子体内注入によって、局所的に投与される。
本明細書において記載される治療の方法の実施形態は網膜の状態、回復の進行、患者の許容範囲等の様々な考慮によって決められたAPC投与の計画を特徴とする。例えば、1回の投与は月1回又は週1回、最長で6週から8週にわたって行われ、一連の投与の間隔及び継続的なAPC投与の必要性は、治療される網膜、回復の進行及び評価された副作用を基に決定される。
<薬学的組成物>
いくつかの実施形態の一態様において、眼の疾患及び障害の治療での使用のために、活性剤として、APC、APCの機能的なフラグメント、APC誘導体、APC相同体又はそれらの組み合わせを含む薬学的組成物が提供される。
本発明の任意の実施形態のいくつかにおいて、本明細書において記載される薬学的組成物は、以下に限られたことではないが、年齢関連性黄斑変性(AMD)、色素線条及び高度近視等のCNVに関連している、又はCNVによって引き起こされる眼の疾患及び障害の治療に使用される。
本明細書において記載される薬学的組成物は活性剤APCに加え、薬学的に許容可能な担体及び賦形剤、並びに、任意に、例えば治療された眼における活性剤の維持された分泌を促進する化学成分を含んでいてもよい。
従って、本明細書に記載される任意の方法及び使用では、本明細書に記載される野生型APC又はその機能的な部分配列(フラグメント)、誘導体及び相同体のいずれもそれ自体、又は薬学的に許容可能な担体と混合された薬学的組成物の一部のいずれかとして個人へ提供され得る。
本明細書において使用される「薬学的組成物」は、以下に限られたものではないが、生理学的に適した担体、賦形剤、潤滑剤、緩衝剤、抗菌剤、充填剤(例えば、マンニトール)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウム)、抗炎症剤、抗ウイルス剤、化学療法剤、抗ヒスタミン等を含むその他の化学成分を用いた、本明細書において(活性成分として)記載される1つ以上のAPC、その機能的なフラグメント、誘導体若しくは相同体、又は生理学的に許容可能な塩若しくはそのプロドラッグの調製物を表す。薬学的組成物の目的は、被験者への化合物の投与を促進することである。「活性成分」という用語は化合物を表し、生物学的効果を説明するものである。
本明細書において使用される「生理学的に許容可能な」という用語は、連邦政府若しくは州政府の監督官庁に認可されたもの、又は、動物、より具体的にはヒトに使用するため米国薬局方若しくはほかの一般的に認められた薬局方に掲載されたものを意味する。本明細書において、「生理学的に適している担体」という語句は、生物への重要な刺激を引き起こさず、潜在的活性剤の生物学的活性及び特性を無効にしない、認可された担体又は希釈液を表す。
本明細書において「賦形剤」という用語は、より活性成分の加工及び投与を促進するために薬学的組成物に加えられた不活性物質を表す。賦形剤の例としては、以下に限られたものではないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖類及びデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油及びポリエチレングリコールが挙げられる。
薬物の調剤及び投与の技術は、“Remington'sPharmaceutical Sciences”, Mack Publishing Co., Easton, PA, 最新版の中に見出されてもよく、それは本明細書において参考として援用される。
従って、本発明に係る使用のための薬学的組成物は、化合物から薬学的に使用できる調製物への加工を促進する賦形剤及び助剤を含む薬学的に許容可能な担体を1つ以上使用する従来の方法において調剤されてよい。適切な調剤は選択された投与経路に依存する。投薬量は採用された投薬形態及び使用された投与経路によって変わり得る。正確な調剤、投与経路及び投薬量は患者の状態の観点から個々の医師によって選択され得る(例えばFingl et al., 1975,“The Pharmacological Basis of Therapeutics”, Ch.1 p.1を参照)。
薬学的組成物は治療される領域に依存した1つ以上のいずれかの局所的経路における投与のために調剤され得る。
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は硝子体内投与に適した形態に調剤される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は適用される領域での局所施用に適した形態に調剤される。
一実施形態において、本明細書中において前述した薬学的組成物は、CNVに関連する医学的状態の治療に使用されるために、包装資材で包装され、包装資材中又は包装資材上の印刷で特定される。
<活性化プロテインC(APC)>
プロテインCは既知の方法によって凝固因子濃縮物又は細胞質から精製され、その後、インビトロで活性化され、活性化型のAPCを取得し得るが、出発物質の入手が制限されていること及び細胞質中のプロテインCの濃度が低いことに起因して、そのような工程は複雑及び高価である。更に、ヒトの血液由来の製品の治療的使用は、病気感染のリスクを有する。それゆえ、本発明に係る治療的用途におけるAPCの使用の任意の実施形態のいくつかにおいて、使用されたAPCはDNA組み換え技術等の既知の遺伝子工学技術によって手に入る、商業的に入手可能な組み換え型のヒト野生型APC、その機能的な部分配列及び、それらの変異体(突然変異体)である。
本発明のいくつかの実施形態において、CNVに関連する眼の疾患、異常又は状態の治療のために完全長の組み換え型のヒト野生型APCが適用される。代わりに又は加えて、ヒトAPCの多型変異体又は種間相同体が適用される。
いくつかの実施形態において、ヒト野生型APCの機能的なフラグメントが、CNVに関連する眼の疾患、障害又は状態の治療において適用される。本明細書中に定義される場合、「APCの機能的なフラグメント」は、野生型タンパク質配列の部分配列、又は、野生型タンパク質配列の多型変異体若しくは種間相同体の部分配列である。機能的なフラグメントは、野生型APCのアミノ酸配列の95%、90%まで、85%まで、80%まで、75%まで又はそれ未満を含んでいてもよく、野生型又は野生型に近いAPCの機能性を保持している。
いくつかの実施形態において、野生型APCの誘導体又はその機能的な部分配列の誘導体が、本発明に係る治療目的のために適用される。本明細書中において使用される「APCの誘導体」とは、タンパク質合成後に改変されたアミノ酸配列を含み、野生型APCと実質的に同じ生物学的活性を有する、野生型APC、野生型APCの多型変異体及び種間相同体、又はそれらの任意の機能的な部分配列を包含する。本明細書中において使用される「実質的に同じ生物学的活性を有する」という語句は、ヒト野生型活性化プロテインCと、約60%同一の、約65%同一の、約70%同一の、約75%同一の、約80%同一の、約85%同一の、約90%同一の、約95%同一の、又は100%同一の生物学的活性を有するAPC誘導体を示す。
APC又はその機能的な部分配列の合成後の改変は、1つ以上のアミノ酸の化学的若しくは物理学的改変、又はその両方の改変を含む。化学的又は物理的に改変されたAPC又はその機能的な部分配列は、本明細書中においてそれぞれ「化学的誘導体」及び「物理的誘導体」と記載される。例えばAPCのアミノ酸配列の誘導体は、野生型の配列と同一であり得るが、合成後の立体構造改変を含む(すなわち、物理的誘導体化)。
本発明の目的のために有用なAPC誘導体の具体例は、例えば米国特許第5,516,650号中により詳しく検討及び開示されている。
いくつかの実施形態において、野生型APCの変異体又はその機能的な部分配列の変異体が、本発明に係る治療目的のために適用される。本明細書において使用される「APCの変異体」及び「APCの突然変異体」という用語は、相互変換可能であり、翻訳後の改変を経て、天然にコードされたアミノ酸が1つ以上置換された又は欠失された野生型APC、その多型変異体及び種間相同体、又はそれらの機能的な部分配列を包含する。「APCの変異体」又は「APCの突然変異体」は更に、天然にコードされたアミノ酸配列に1つ以上のアミノ酸が付加されたものも含む。翻訳後の置換による改変は、天然及び非天然のアミノ酸より選択される1つ以上のアミノ酸によって、APCの天然にコードされるアミノ酸が1つ以上置き換えられることを含む。翻訳後の付加による改変は、天然及び非天然のアミノ酸より選択される1つ以上のアミノ酸が、天然にコードされるアミノ酸配列に付加されることを含む。1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を引き起こす改変は本明細書中において「生物学的誘導体化」とも表される。
本明細書中及び当該技術分野において使用される「天然のアミノ酸」とはピロリシン及びセレノシステイン、並びに天然にエンコードされる一般的な20種のアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリン)を表す。本明細書中において使用される「非天然のアミノ酸」は、以下に限ったものではないが、天然に存在するアミノ酸と実質的に類似の様式で機能するアミノ酸類似体を含む。アミノ酸類似体とは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を有する化合物を表し、1つの具体例として、水素、カルボキシル基、アミノ基及びR基と結合しているα炭素が挙げられる。そのようなアミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持したままである一方、改変されたR基を有していてもよく(具体例としてノルロイシン)、又は改変されたペプチド主鎖を有していてもよい。アミノ酸類似体の具体例として、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムが挙げられるが、これに制限されない。
「非天然のアミノ酸」という用語は、更に、化学的に改変されたアミノ酸類似体、並びに、天然にエンコードされるアミノ酸(以下に限られたものではないが、一般的な20種のアミノ酸、ピロリシン及びセレノシステイン)を含む。化学的に改変されたアミノ酸の具体例として、N−アセチルグルコサミニル−L−セリン、N−アセチルグルコサミニル−L−スレオニン、及びO−ホスホチロシンが挙げられるが、これに制限されない。
APCタンパク質の翻訳後の改変は、「アミノ末端改変基」、つまりタンパク質末端のアミノ基への分子の結合を含む。1つの具体例として、末端改変基は、ポリエチレングリコール又は血清アルブミンを含む。末端改変基は、以下に限られたものではないが、APCの血清半減期を延長させることを含むAPCの治療的特性を改変するために使用され得る。
エンコードされるAPCの配列において1つの天然のアミノ酸又は小さい割合の天然のアミノ酸を変換、付加又は欠失するタンパク質配列の個々の置換、欠失又は付加は、本明細書中においてAPCの「保存的に改変された変異体」とみなされ、上記変換は、アミノ酸の欠失、アミノ酸の付加、又は、化学的に類似しているアミノ酸(類似体)との天然のアミノ酸の置換を引き起こす。
いくつかの実施形態において、APC誘導体は、アミノ酸の置換、付加若しくは欠失、又はそれらの組み合わせを含み、以下に示す1つ以上の特徴をタンパク質に提供する:野生型APCと比較した、受容体に対する親和性の向上、安定性の向上、水溶性の改変(例えば向上)、宿主細胞での溶解性の向上、プロテアーゼ耐性の変化、血清半減期の変化、免疫原性の変化、及び/又は、発現性の変化。本明細書中において使用される生物学的活性の変化とは、APC及びその任意の機能的な部分の、反応性の向上又は低下、選択性の変化、及び基質選択性の向上及び低下を表す。
通常、影響ある改変は、APCにおいて安定性及び/又は生物学的活性を向上させるなどの有用な効果をもたらす。更に、APCは特定の細胞系におけるアポトーシスに関連していることが知られている。アポトーシスの少なくとも一部に関連する細胞のダメージを軽減又は予防することは、特にそのような細胞ダメージのリスクがある被験体、又はそのような細胞ダメージに苦しむ被験体において、APC突然変異体、例えば、以下に限られたものではないが、抗凝固作用が著しく低下しているが、通常に近い抗アポトーシス活性(細胞保護活性)を保持しているために、抗凝固活性に対する抗アポトーシス活性の割合が、野生型又は内生型活性化プロテインC中よりも変異体中のほうが大きい組み換え型APCの変異体、を使用することにより影響を与え得る。米国特許第9,192,657号及び第7,489,305号に開示されるそのような組み換え型APC突然変異体の3つの例として、KKK191−193AAA−APC(Lys191−193を含む表面に露出したループにおける、リジン191、192及び193のアラニンへの突然変異であり、文献において「3K3A−APC」としても知られる)、RR229/230AA−APC(アルギニン229及び230のアラニンへの突然変異)、及びRR229/230AAプラスKKK191−193AAA−APC(アルギニン229及び230のアラニンへの突然変異及びリジン191、192及び193のアラニンへの突然変異の組み合わせ(当該技術分野において「5A−APC」としても知られる))がある。それらの抗凝固作用の減少を考慮すると、それらの模範的なAPC変異体は、出血のリスクを有意に減少させる(変異体5A−APC及び3K3A−APCは10%未満の抗凝固活性を残す)。3K3A−APCは神経保護作用及びより広い治療の窓口を提供すると報告されている(Griffin et al., 2015, Blood, 125:2898-2907)。いくつかの実施形態において使用され得るその他のAPC突然変異体は、APC−2Cys、及びGriffin et al. (上掲)において開示されるK193E−APC、E149A−APC、及び、158残基(Asp)のAla、Ser、Thr,又はGly等の酸性でないアミノ酸残基による置換、又は154残基(His)のLys、Arg,又はLeu等のアミノ酸残基による置換を含むAPCの変異体を含む。
改変された野生型APCは、化学的誘導体化、物理的誘導体化、生物学的誘導体化又はそれらのいずれかの組み合わせを特徴とする。いくつかの実施形態において、そのような誘導体化は位置選択的である。いくつかの実施形態において、そのような誘導体化は位置特異的である。
APCの化学的、物理的、生物学的誘導体の配列は、野生型APCの配列又は野生型APCの任意の機能的な部分配列に対して、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%同一であり得る。
いくつかの実施形態において、いずれかのAPC誘導体の生物学的活性は、いずれかの野生型APC又は野生型APCの機能的な部分配列の生物学的活性と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約50%、約60%、約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、又はそれを上回って(それぞれの間の任意の中間値も含む)増加する。
「改変された又は改変されていない」という表現は、言及された天然のアミノ酸配列が任意に改変されており、言及されるAPCの天然のアミノ酸配列が改変され得る、又は改変され得ないということを意味する。
本明細書中に記載される実施形態は、商業的に入手可能なAPC誘導体の使用を意図する。
本出願より特許満期に至る間に、多くの関連するAPC又はAPCの機能的な部分配列の化学的、物理的、生物学的誘導体が開発され、「活性化プロテインC、その機能的な部分配列、それらの誘導体、又はそれらの変異体」という用語の範囲は、演繹的にそのような新しい技術のすべてを含むだろう。
「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する」及びそれらの活用形の用語は、「含んでいるが限定はしない」ということを意味する。
「からなる」という用語は「含んでおり、且つ限定される」ということを意味する。
本明細書において使用される、単数形の「a」「an」及び「the」は、文脈が他に明言しない限り、複数形も含む。例えば「化合物(a compound)」又は「少なくとも1つの化合物(at least onecompound)」は複数の化合物を含み、それらの混合物を含む。
本明細書中において使用される「方法」という用語は、以下に限られたものではないが、よく知られた、又は化学、薬理学、生物学、生化学、医学分野の従業者によって既知の様式、手段、技法又は手順から既に開発された様式、手段、技法及び手順を含む与えられた課題を達成するための様式、手段、技法又は手順を表す。
本明細書中において使用される「治療すること」という用語は、状態の進行を無効にする、実質的に阻害する、遅らせる又は覆すこと、状態の臨床的又は美的症状を実質的に回復させること、又は、状態の臨床的又は美的症状の発症を実質的に防ぐことを含む。
本明細書中において示されるいずれの数値の範囲も、示された範囲中の記載された任意の数値(分数又は整数)を含むことを意味する。第1の示された数字及び第2の示された数字「の間の範囲」及び第1の示された数字「から」第2の示された数字「までの範囲」という語句は、本明細書中において相互変換可能に使用され、第1の示された数字及び第2の示された数字、並びにそれらの間のすべての分数及び整数も含むことを意味する。
上記において詳細に描写される多様な実施形態及び態様、並びに、下記請求項にて請求される多様な実施形態及び態様は、続く実施例によって実験的にサポートされることがわかる。
〔実施例〕
今から下記実施例にて言及するが、これらは上述の記載とともに、いくつかの実施形態を、限定しない方法で説明する。
[材料及び方法]
(細胞培養)
ヒト網膜色素上皮(RPE)細胞(ARPE−19細胞系)をATCC(Manassas,VA)より購入し、製造者の指示に従って標準条件下で培養した。増殖培地は以下を含む:10%ウシ胎仔血清(Biological Industries, Israel cat # 04-121-1A)を添加したDMEM/F−12(HAM)1:1(Biological Industries, Israel cat # 01-170-1A)、グルタミン1mM(Biological Industries, Israel cat # 03-022-1B)、100μ/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシン及び12.5u/mlニスタチン(Biological Industries, Israel cat # 03-032-1B)。10〜30のパッセージを用いて実験を行った。免疫蛍光検査のために、細胞を1.3×10セル/cmの濃度でプレートにまき、最低でも30日間増殖させた。このとき、培地を2、3日ごとに交換した。細胞を飢餓培地(血清を含まない細胞完全増殖培地)で洗浄し、0.1、1.0、又は10μg/mlの活性化プロテインC(APC)を加えて、飢餓培地中で10分間処理した。10分後、培地を完全増殖培地と取り換え、細胞を最大4時間インキュベートした。
(ヒト活性化プロテインC(APC))
ヒト組み換え型野生型APCをHaematologic TechnologiesInc. USA (cat # HCAPC-0080)より購入した。
(インビトロ浸透圧分析)
1μmのポリエチレンテレフタレート(PET)Transwell(登録商標)insert(millicell, Millipore Corporation,Switzerland)の上から、細胞を6.7×10セル/cmの濃度でプレートにまいた。下段のチャンバの600μlの培地と上段のチャンバの100μlの培地とにおいて、コンフルエントになるまで30日間細胞を増殖させた。培地は2、3日ごとに交換した。その後、細胞を飢餓培地(1mMグルタミン、100u/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシン及び12.5un/mlニスタチンを含んでいる基底培地)で洗浄し、10.0、1.0、0.1又は0.0μg/mlのAPCを含んでいる飢餓培地でインキュベートした。APCを用いて10分間インキュベートした後、上段のチャンバの培地を、70kD、1000μg/mlのフルオレセインイソチオシアネート(FITC)デキストラン(Sigma, Israel, cat # FD-70)で置換し、最大6時間経過させた。下段のチャンバの培地を基底培地で置換した。インサートの下部の培地サンプルを使用した。細胞層を横切る流れを表すFITC蛍光を、マルチ検出型マイクロプレートリーダー(SynergyTM HT, BioTek)を用いて、485nmの励起で測定した。更なるインキュベートのために、培地サンプルは下段のチャンバへと戻した。
FITC−デキストランの濃度計算のために、蛍光を検量線と比較した。
(インビトロZonula occludens−1(ZO−1)免疫染色)
細胞を、30日間、PermanoxTM Plastic Chamber Slide System (Thermo Scientific, USA cat # 177437)の4穴顕微鏡スライド上で培養した。細胞を飢餓培地で洗浄し、1.0、0.1又は0.0μg/mlのAPCを含んでいる飢餓培地を用いて最大4時間にわたってインキュベートした。その後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の4%パラフォルムアルデヒドで固定し、最後に、PBS中の0.2%の非イオン化界面活性剤TritonTM X-100を用いて、10分間透過化させた。pH6の10mMクエン酸を用いて、95℃で10分間抗原回収を行った後、抗原を投与した。パラホルムアルデヒドの固定によるタンパク質の架橋構造を切断して、隠れていた抗原反応部位を露出させる抗原回収試薬を用いて前処理することで、抗原のデモンストレーションが有意に改善された。サンプルにウサギ抗ZO−1抗体(Invitrogen, cat # 40-2300, 1:100)を加えて、加湿試験槽中で4℃で一晩インキュベートした。その後、二次抗体であるAlexa Fluor(登録商標)568ロバ抗ウサギ抗体(Invitrogen, Cat# A10042, 1:100)を加えて、室温で1時間インキュベートした。そして、PBSで希釈されたNucBlue(登録商標) FixedCell ReadyProbe(登録商標)試薬(Molecular ProbesTM,USA; cat # R37606)を加えて5分間インキュベートした。代表的なスライドの画像を標準的な顕微鏡及びカメラセットを用いてデジタル方式で撮影した。0.5μm幅のZ積層画像を3次元(3D)共焦点画像として撮影した(Leica TCS SP8)。科学ソフトウェアモジュールであるImaris X 647.1.1(Oxford Instruments, UK)を用いることで、画像を3次元で表現することができた。
(インビボレーザー動物実験)
脈絡膜レーザー光凝固は、許容されており一般的に使用される、脈絡膜血管新生(CNV)の誘発方法である。8週目の色素性のオスのマウスを入手し(Harlan Laboratories Ltd., Jerusalem, Israel)、病院のInstitutional Animal Care and Use Committeeの提案に従い扱った。100mg/kgのケタミン及び10mg/kgのキシラジンを腹腔内(IP)に注入することで、動物に麻酔をかけた。そして、0.8%のトロピカミド点眼薬を局所的に投与することにより、瞳孔を拡張した。間接ダイオードレーザー検眼鏡(IRIS MedicalTM Oculight(登録商標) SLx System, Iridex, Mountain View, CA,USA)を用いて、治療光線を810nmに設定して、レーザー照射を行った。90ジオプター(D)の集光レンズ(Volk(登録商標) Optical, Mentor, OH, USA)を用いて、光線を網膜表面に集めた。右眼球後極から3時、6時、9時の方向に、視神経に囲まれた1〜2つの視神経円板の直径(DD)の間隔で100ミリ秒間350mWの出力の光線を用いることにより、CNVを誘発した。実施者は白い泡の形成を確認した。レーザー照射に続いて、施術用顕微鏡の下でAPCを硝子体内に注入した。微量注射器(33-gauge; Hamilton(登録商標))を、眼の後方側面空間より硝子体内へ挿入し、以下のうちの少なくとも1つを、1μl(マウス1匹あたり)注入した:APC(1μg/μl);生理食塩水(コントロールとして);ベバシズマブ(Avastin(登録商標))(25μg/μl)(Genentech, Inc.,South San Francisco, CA, USA and Roche, Basel, Switzerland)。レーザー照射から5日間、平坦にマウントした。
(デキストラン潅流及び脈絡膜/網膜の平板化)
レーザー照射後の5匹のマウスに、上述した方法で麻酔をかけた。デキストラン潅流のために、25mg/mlの濃度になるように生理食塩水で希釈したフルオレセインイソチオシアネートのデキストラン結合体(FITC−デキストラン; MW 500 k, Sigma Aldrich,Rehovot, Israel)を、麻酔をかけたマウスの左心室に0.1ml注入した。眼を摘出してPBSで洗浄した後、4%ホルマリン中に2〜3時間固定した。視神経網膜を剥離した。RPE−脈絡膜−強膜の複合体又は視神経網膜をスライドガラス上で平板化するために、3、4か所に放射状の切り込みを入れた。スライドを封入剤であるProLong(登録商標)TM Gold退色防止試薬(Invitrogen, USA)で覆うか、又は下記に記載するように、抗体を用いて更なる染色を行った。
(平らな脈絡膜/網膜の免疫染色)
抗原を用いて平板化された脈絡膜/網膜を更に染色するために、上述した方法で作製したスライドをPBSで洗浄した。そして0.5%のPBS-100倍濃縮TritonTM溶液中で、4℃で一晩インキュベートした。そして、スライドを5%標準ロバ血清(NDS)中で1時間ブロッキングした後、ラット抗マウスCD31(eBioscience(登録商標), San Diego, CA, USA, cat # 14-0311)1:100を加えて、4℃で一晩インキュベートした。そしてスライドをPBSで洗浄し、ヤギ抗ラットAlexa Fluor(登録商標) 568 1:100(Invitrogen)を加えて4℃で一晩インキュベートした。更にPBS溶液中の4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールジヒドロクロライド(DAPI)核酸染料(Sigma, cat # 9542)を10μg/ml加えて、15分間インキュベートした。その後、スライドを封入剤であるProLong(登録商標)TM Gold退色防止試薬(Invitrogen, USA)で覆った。
平らな脈絡膜の画像を、蛍光顕微鏡を使用して撮影した。おそらく平坦にマウントして調製している間に傷ついた領域であろう光透過性を有する領域を排除するために、光学顕微鏡でもまた、平らな脈絡膜を撮影した。
CNVの面積を、Image-Jソフトウェア (NIH, Bethesda, MD, USA)を使用して定量化した。損傷面積は詳細に描写された。統計分析のために、一元配置ANOVAテストを用いて分散分析を行った。
3D投影画像を、Leica TCS SP8共焦点顕微鏡を使用して撮影した。平板化脈絡膜/網膜の1μm間隔のZ積層画像を標準条件下で撮影した。染色の体積及び深さを、Imarisソフトウェアを使用して測定した。
[実施例1]
(タイトジャンクションZonula occludens−1(ZO−1)の細胞局在性におけるAPCの効果)
細胞間結合性複合体は、オクルディンやクローディンのようなタイトジャンクションタンパク質を含む。これらのタンパク質は、細胞骨格に結合し、その結合によって結合安定性をもたらす細胞質内リンタンパク質閉鎖帯(ZO)−1に結合する。ZO−1の分裂により、タイトジャンクションが崩壊し、血管(内皮)又は上皮の浸透性が上昇することがある。タイトジャンクション複合体の細胞骨格への結合及びRPEバリアの統合性の維持におけるZO−1の関与の観点から、ZO−1の細胞局在性におけるAPCに曝す効果を分析した。ZO−1の細胞局在性は、上記「材料と方法」において述べたように、抗ZO−1抗体を用いて免疫蛍光染色を行うことで検討した。
図2A〜Dに、ウサギ抗ZO−1抗体で染色したRPE細胞(明るい線)、及び、NucBlue(登録商標)Fixed Cell ReadyProbe(登録商標)試薬で染色したRPE細胞(核染色)の共焦点顕微鏡画像を示す。1μg/mlのAPCは、ARPE19細胞膜におけるZO−1タンパク質の調節、転位及び蓄積までを誘導したことが明らかに理解できる。これらの結果は、上皮細胞周囲の膜におけるZO−1の蓄積はタイトジャンクション構造によって形成された物理的障壁をとおした異常な浸透性及び血管新生を防ぎ得ることを示唆している。
[実施例2]
(インビトロでのRPE細胞の浸透性におけるAPCの効果)
ZO−1の転位に伴って、RPEにおける浸透性は低下するのかどうかという疑問を解決するために、APCの非存在下又は存在下において、細胞層を横切る標識されたデキストランの移動を分光光度計で観測することによって、細胞浸透率を求めた。インビトロでのARPE−19細胞の浸透率を、上記「材料及び方法」中に記載したプロトコルに従って測定した。
4回の反復実験の結果を図3に要約する。図3からわかるように、RPE細胞を1μg/mlのAPCに曝すことによって、RPE単層を通したFITCデキストランの漏出が劇的に減少した。このことは、APCがRPEバリアを安定化させたことを暗示している。
[実施例3]
(レーザー光凝固後のCNV面積の定量)
上記「材料と方法」に記載した方法で、オスのC57BL/6Jマウスにおいて、間接ダイオードレーザー光凝固によって脈絡膜血管新生(CNV)を誘発した。損傷後すぐに、1匹あたり1μgとなる割合で1μlのAPCを、又は1匹あたり25μgとなる割合で1μlのベバシズマブを、マウスの硝子体内に注入した。上記「材料と方法」に記載した方法で、抗CD31を使用した抗体免疫蛍光染色によって平らな脈絡膜のCNV面積を測定した。分化クラスター31(CD31、血小板内皮細胞接着分子(PECAM−1)としても知られる)は、内皮細胞間接合部の大部分を形成するタンパク質である。免疫組織化学において、CNVのビルディングブロックである内皮細胞の存在を実証するために、主にCD31を用いる。レーザーによる損傷より5日間、imageJ画像処理ソフトウェアを使用して、CNV面積を評価した。
図4で示すように、APC処理によりCNV面積が劇的に減少した。APCの効果は、現在の一般的に好まれるCNVの治療法であるベバシズマブの効果に匹敵する効果であった。
[実施例4]
(CNVの体積及び深さにおけるAPC処理の効果(3次元分析))
上記「材料と方法」に記載した方法で、オスのC57BL/6Jマウスにおいて、間接ダイオードレーザー光凝固によってCNVを誘発した。損傷後すぐに、1匹あたり1μgとなる割合で1μlのAPC、又は1μlの生理食塩水のどちらかを、マウスの硝子体内に注入した。レーザー照射の5日後、マウスに麻酔をかけた。そして、0.15mlのフルオレセインイソチオシアネートデキストラン結合体(FITC−デキストラン)を0.25mg/mlの濃度になるように生理食塩水で希釈した。それを個々のラットの左心室に注入した。眼を摘出した。脈絡膜−RPEと網膜とを分離し、「材料と方法」で記載した方法で、スライド上で平板化し、マウントした。共焦点顕微鏡を使用して画像を撮影した。3D画像解析ソフトウェアを使用した3D再構築画像上で、CNVの定量を行った。
図5A及び5Bは、脈絡膜−RPE切片でのCNVの体積(5A)及びCNVの深さ(5B)を示す。APC処理により、CNVの体積及び深さが劇的に減少することが明らかに実証された。
[実施例5]
(脈絡膜から網膜への新しく形成された血管の貫通におけるAPCの効果)
オスのC57BL/6Jマウスにおいて、血管新生を誘発した。損傷後すぐに、1匹あたり1μgとなるような割合で、1μlのAPC、又は1μlの生理食塩水のどちらかを、マウスの硝子体内に注入した。そして、上記「材料と方法」に記載した方法で、デキストラン潅流及び網膜の平板化を行った。標準条件下で、平板化された網膜の1μm間隔のZ積層画像を撮影した。光凝固及びそれに続くデキストランの潅流の5日後の網膜全体のZ切片の測定の要約が、図6A〜6Cに提示されている。
図6A、6Bに示した網膜全体の代表的な画像は、網膜の深層部における血管の親和力は、レーザーによって誘発され、APCによって阻害されるということを実証している。
網膜切片での血管新生領域の測定の定量を、図6Cに示す。明らかに示されるように、APCによって網膜への血管の貫通が有意に減少した。
本発明を、本発明の特定の実施形態と共に記載しているが、多くの代替物、改変及び変形が、当業者にとって明らかであろう。従って、添付の請求項の精神及び幅広い範囲に該当する全ての代替物、改変及び変形が本明細書中に包含される。
各々の刊行物、特許又は特許出願が、参照として本明細書中に組み込まれていると具体的に個々に明示されている場合と同様に、本明細書中で言及した刊行物、特許及び特許出願の全ては、本明細書中において参照としてその全体が明細書に組み込まれている。加えて、本明細書中のいずれの参照の引用又は識別は、本発明に対する先行技術としてそのような参照を利用してよいことを認めたとは解釈されない。使用しているセクションの見出しにおいては、必ずしも限定として解釈されない。
血液網膜関門(BRBs)の背景技術の略図である。 網膜の基本構造の背景技術の略図である。 年齢関連性黄斑変性(AMD)における脈絡膜血管新生を特徴づける網膜の背景技術の略図である。 0.0μg/ml APC(コントロール)を用いた処理に続いて、ウサギ抗ZO-1抗体(非常に明るい)とNucBlue(登録商標)(核染色:明るく、丸い円形の領域)を用いて染色された網膜色素上皮細胞(ARPE−19)の共焦点顕微鏡の画像である。 0.1μg/ml APCを用いた処理に続いて、ウサギ抗ZO-1抗体(非常に明るい)とNucBlue(登録商標)(核染色:明るく、丸い円形の領域)を用いて染色された網膜色素上皮細胞(ARPE−19)の共焦点顕微鏡の画像である。 1μg/ml APCを用いた処理に続いて、ウサギ抗ZO-1抗体(非常に明るい)とNucBlue(登録商標)(核染色:明るく、丸い円形の領域)を用いて染色された網膜色素上皮細胞(ARPE−19)の共焦点顕微鏡の画像である。 10μg/ml APCを用いた処理に続いて、ウサギ抗ZO-1抗体(非常に明るい)とNucBlue(登録商標)(核染色:明るく、丸い円形の領域)を用いて染色された網膜色素上皮細胞(ARPE−19)の共焦点顕微鏡の画像である。 0.0、0.1又は1μg/ml APCで処理したARPE−19細胞のFITC−デキストラン浸透率(コントロールに対する%)を示したグラフである(4回の実験の平均結果)。 網膜のレーザーでの光凝固、及び、硝子体内への生理食塩水、ベバシズマブ(25μg/匹)又はAPC(1μg/匹)の注入を行った、平らな脈絡膜の脈絡膜内血管面積を示したグラフである。 レーザーでの光凝固、及び、生理食塩水、又はAPC(1μg/匹)の注入を行った平面化された脈絡膜−RPE切片の血管の体積を示したグラフである。 レーザーでの光凝固、及び、生理食塩水、又はAPC(1μg/匹)の注入を行った平面化された脈絡膜−RPE切片の血管の深さを示したグラフである。 レーザーでの光凝固及び、生理食塩水、又はAPC(1μg/匹)の注入を行った模範的な平面化された網膜全体の(1μm)距離Zの積層画像である。血管は画像において非常に明るく表示されている。 レーザーでの光凝固及び、生理食塩水、又はAPC(1μg/匹)の注入を行った模範的な平面化された網膜全体の(1μm)距離Zの積層画像である。血管は画像において非常に明るく表示されている。 レーザーでの光凝固及び、生理食塩水、又はAPC(1μg/匹)の注入を行った模範的な平面化された網膜全体の(1μm)距離Zのグラフである。

Claims (16)

  1. 網膜漏出及び脈絡膜血管新生(CNV)の治療法に使用するための、薬学的に許容可能な担体及び活性化プロテインC(APC)を含む、薬学的組成物。
  2. 上記治療法が、網膜漏出及び脈絡膜血管新生の治療又は予防である、請求項1に記載の薬学的組成物。
  3. 網膜漏出及びCNVの治療法が、直接的にCNVによって引き起こされる眼の疾患、障害又は状態における治療法であって、CNVの進行段階を第2ステージ若しくはその合併症として特徴づけるか、又は同調的若しくは非同調的なCNVの続発症として特徴づける、請求項1又は2に記載の薬学的組成物。
  4. 上記眼の疾患が、年齢関連性黄斑変性(AMD)、病的近視、色素線条を伴う弾性線維性仮性黄色腫、非感染性ブドウ膜炎、感染性ブドウ膜炎、視神経炎、乳頭浮腫、前部虚血性視神経症(AION)、ベーチェット病又は網膜症からなる群より選択される視神経の炎症性疾患のうち少なくとも1種類であり
    上記眼の障害が、慢性的炎症、酸化ダメージ、ドルーゼ発生、リポフスチンの蓄積、ブルッフ膜の異常、血圧及び血流の調節を妨げ、虚血状態を引き起こす眼球内での血管変化、生理学的加齢、遺伝的要因又は環境的要因のうち少なくとも1種類であり
    上記眼の状態が、眼の医学的手術の間の網膜の外傷及び合併症に続いて脈絡膜血管新生及び網膜漏出が発生する偶発的、副次的な事象である、請求項3に記載の薬学的組成物。
  5. 上記眼の疾患がAMDである、請求項4に記載の薬学的組成物。
  6. 上記活性化プロテインCがヒトAPCの野生型の配列、又はAPCの機能的な部分配列をみ、
    上記機能的な部分的配列が、野生型APCのアミノ酸配列の、95%まで、90%まで、85%まで、80%まで、75%までを含み、上記機能的な部分配列が、野生型又は野生型に近い型のAPCの網膜漏出及びCNVを治療するための機能を維持している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
  7. 抗血管形成剤、抗炎症剤、抗菌剤、免疫抑制剤、抗PDGF剤、抗真菌剤及び抗ウイルス剤からなる群より選択される1つ以上の活性剤との併用療法において使用される、請求項1〜のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
  8. 上記抗血管形成剤が、抗VEGF剤又は血小板由来成長因子(PDGF)阻害剤であって、上記免疫抑制剤が、ステロイドである、請求項に記載の薬学的組成物。
  9. 網膜漏出及び脈絡膜血管新生の治療のための薬剤の製造における活性化プロテインC(APC)の使用。
  10. 上記治療が、網膜漏出及び脈絡膜血管新生の予防を含む、請求項に記載の使用。
  11. 網膜漏出及びCNVの治療が、直接的にCNVによって引き起こされる眼の疾患、障害又は状態における治療であり、CNVの進行段階を第2ステージ若しくはその合併症として特徴づけるか、又はCNVを同調的若しくは非同調的なCNVの続発症として特徴づける、請求項9又は10に記載の使用。
  12. 上記眼の疾患が、年齢関連性黄斑変性(AMD)、病的近視、色素線条を伴う弾性線維性仮性黄色腫、非感染性ブドウ膜炎、感染性ブドウ膜炎、視神経炎、乳頭浮腫、前部虚血性視神経症(AION)、ベーチェット病又は網膜症からなる群より選択される視神経の炎症性疾患のうち少なくとも1種類であり
    上記眼の障害が、慢性的炎症、酸化ダメージ、ドルーゼ発生、リポフスチンの蓄積、ブルッフ膜の異常、血圧及び血流の調節を妨げ、虚血状態を引き起こす眼球内での血管変化、生理学的加齢、遺伝的要因又は環境的要因のうち少なくとも1種類であり
    上記眼の状態が、眼の医学的手術の間の網膜の外傷及び合併症に続いて脈絡膜血管新生及び網膜漏出が発生する偶発的、副次的な事象である、請求項11に記載の使用。
  13. 上記眼の疾患がAMDである、請求項12に記載の使用。
  14. 上記活性化プロテインCがヒトAPCの野生型の配列、又はAPCの機能的な部分配列をみ、
    上記機能的な部分配列が、野生型APCのアミノ酸配列の、95%まで、90%まで、85%まで、80%まで又は75%までを含み、上記機能的な部分的配列が、野生型又は野生型に近い型のAPCの網膜漏出及びCNVを治療するための機能を維持している、請求項9〜13のいずれか1項に記載の使用。
  15. 上記治療が、抗血管形成剤、抗炎症剤、抗菌剤、免疫抑制剤、抗PDGF剤、抗真菌剤及び抗ウイルス剤からなる群より選択される1つ以上の活性剤との併用療法である、請求項9〜14のいずれか1項に記載の使用。
  16. 上記抗血管形成剤が、抗VEGF剤又は血小板由来成長因子(PDGF)阻害剤であって、上記免疫抑制剤が、ステロイドである、請求項15に記載の使用。
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