以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、各図において、各部材又は各部の大きさ(長さ、幅、高さ、厚み)は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
図1は、本発明の一実施形態に係る便器周り部材1の底面図であり、図2は、図1のA−A縦断面図である。便器周り部材1は、トイレやユニットバスのリフォームなどで、便器を備える既設の床上(床面)に床シート材を貼り付ける際に用いられるものであり、床上の便器壁面の周囲に設置される。ユニットバスのうち、浴槽、洗面台及び便器の3つが一体となったものを3点ユニットバスと称し、浴槽及び便器の2つが一体となったものを2点ユニットバスと称する。なお、図2及び図5中、Vは鉛直方向を示し、Pは水平方向を示している。また、便器周り部材1においては、便器壁面18側(図2や図7の左側)を内側(後方)とし、その反対の床シート材6側(図2や図7の右側)を外側(前方)としている。
以下の説明では、便器を備える床として、図3の平面図に示すような、浴槽10、洗面台11及び便器12の3つが床13、壁面(浴室壁面)14、天井(図示せず)などと一体になっている3点ユニットバスを例にしている。図3のユニットバスは、浴槽10の壁面(浴槽壁面)17に隣接する位置に排水溝15が設けられ、排水溝15の長さ方向中央位置に排水口16が設けられている。なお、排水溝15は浴室壁面14に沿っても延びていて、床13を全周にわたって取り囲むように設けられていてもよい。また、浴槽壁面17に隣接する位置に排水溝15がなく、ユニットバスの床13が浴槽壁面17と繋がっていてもよい。また、本発明の適用範囲は必ずしも3点ユニットバスに限られるものではなく、2点ユニットバス、便器12のみを備えるトイレについても、本発明の適用範囲に含まれる。本発明は、狭い空間での施工の作業性に優れるので、3点ユニットバス及びトイレにおいて好適に用いることができる。
床シート材6は、図4に示すように、トイレやユニットバスの床13上に施工されて意匠性や機能性を向上させるシート材である。機能性としては、防滑性、クッション性、遮熱性、接触温熱感の向上などが挙げられる。床シート材6の素材は、トイレやユニットバスの床13上に施工可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂などの柔軟性を有する樹脂製シートを用いることができるが、加工性、耐久性、コストに優れることから、塩化ビニル樹脂が好ましい。また、床シート材6の表面形状は、特に限定されるものではなく、例えば平滑形状、防滑性を有する凹凸形状など、種々の形状とすることができる。床シート材6には、便器12の外形に応じた開口61と、いずれかの端部60から開口61に延びる切り込み62と、が少なくとも予め形成されている。
便器周り部材1は、図1及び図2に示すように、所定の長さを有する長尺状に形成されている。長尺状とは、一方向における長さが、前記一方向と直交する他の方向における長さよりも十分に長い形状をいう。便器周り部材1は、施工に際して適切な長さに切断されて使用される。また、便器周り部材1は、可撓性を有していて人手で容易に曲げることが可能である。便器周り部材1を曲げることで、便器周り部材1を図8に示すように便器壁面18の周方向に沿わせることができ、床13上の便器12の周囲に配置することができる。なお、便器周り部材1は、曲げた後、力を解除すると元の状態に復帰しない程度の柔軟性を有することが好ましい。
便器周り部材1は、可撓性を有していればその素材は特に限定されないが、耐水性、耐摩耗性、耐衝撃性など、トイレ回りの床に用いるために必要な耐久性を満足する材料で形成されることが好ましい。便器周り部材1の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマーなどの軟質樹脂材料を挙げることができる。特に、加工性に優れ、硬度の調整が容易でコストにも優れるため、ポリ塩化ビニル樹脂で便器周り部材1を形成することが好しい。便器周り部材1は、上述した構成材料を用いた押出成形などにより形成することができる。
便器周り部材1は、長尺状の本体部2と、本体部2の前記一方向(長さ方向)の全長にわたって本体部2に一体形成される板状の脚部3と、を備えている。本体部2は、底壁面20、内壁面21及び外壁面22を有しており、本実施形態では断面視略三角形状をなしている。脚部3は、本体部2から下方に突き出ており、床シート材6(図4や図7などに示す)の開口縁部63が配置される凹み5を本体部2の下方に形作る。凹み5は、本体部2の底壁面20と脚部3の外側面30とによって囲まれる空間である。
本体部2の底壁面20は、凹み5に配置された床シート材6の開口縁部63を上方より覆う。凹み5の高さT1(脚部3の外側面30の高さ)は、特に限定されるものではなく、床シート材6の厚みに対応して種々の高さとすることができるが、床シート材6の厚みよりも、0.5mm以上0.9mm以下の範囲で高く設定されることが好ましく、0.6mm以上0.8mm以下の範囲で高く設定されることがさらに好ましい。これによって、床シート材6の開口縁部63の凹み5への嵌めこみが容易になり、かつ、水が浸入し難くなる。なお、ユニットバスの場合、床シート材6は、防滑性を高めるために、表面にエンボスが形成されていることが多いが、凹み5の高さT1を上記範囲に設定することで、床シート材6の開口縁部63の嵌めこみの容易さと水の浸入抑制を両立させることができる。また、便器12のみを備えるトイレの場合、床シート材6は、表面が平滑なこともあるが、凹み5の高さT1を上記範囲に設定することで、床シート材6の開口縁部63の嵌めこみの容易さと水の浸入抑制を両立させることができる。
底壁面20は、本実施形態では、脚部3と反対側に向けて下るように傾斜する傾斜面とされている。底壁面20の傾斜角度αは特に限定されるものではないが、例えば、2°以上10°以下に設定される。また、底壁面20は、下り勾配であれば、平坦面であっても、曲面(凹曲面又は凸曲面)であっても構わないが、床シート材6との密着性が高まることから、平坦面にすることが好ましい。これにより、凹み5に床シート材6の開口縁部63が配置された際に、底壁面20の脚部3と反対側の端部(先端部)が上方に適度に弾性変形し、弾性力によって床シート材6の開口縁部63の表面に密着するので、底壁面20の先端部と床シート材6との間隙を良好に塞ぐことができる。なお、底壁面20は、必ずしも傾斜している必要はない。
また、底壁面20の先端部には、下方に突き出る凸部4が一体形成されている。凸部4は、本体部2の長さ方向の全長にわたって設けられている。この凸部4の存在により、底壁面20の先端部と床シート材6の開口縁部63の表面との密着性を向上することができ、底壁面20の先端部と床シート材6との間隙をより良好に塞ぐことができる。よって、水や尿などが本体部2及び床シート材6の間に浸入することを確実に防止できるという効果を有する。また、止水性や接着性を向上させるために、本体部2と床シート材6の開口縁部63との間をコーキング剤で充填した場合、コーキング剤を隠蔽して施工後の美観を向上させる効果も有する。
凸部4の形状は、特に限定されるものではなく、本実施形態では頂部が平坦な断面視台形状とされているが、頂部が尖った断面視三角形状や頂部が丸みを帯びた断面視円形状など、種々の形状とすることができる。特に、頂部が平坦な断面視台形状であると、床シート材6との接触面積を大きくし止水性を向上させ、さらに、本体部2と床シート材6の開口縁部63との間をコーキング剤で充填した場合に、コーキング剤が漏れ出ることを防止することができるので、好ましい。なお、凸部4の高さT2は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下、さらに好ましくは0.3mm以上0.5mm以下である。また、底壁面20の先端部における床面からの高さ(凸部4を有する場合は凸部4の頂部の床面からの高さ)T3は、特に限定されるものではない。高さT3は、好ましくは、床シート材6の厚みよりも、−0.6mm以上−0.3mm以下、さらに好ましくは−0.5以上−0.3mm以下であり、この範囲内であると、止水性を向上させ、コーキング剤の漏れを防止することができる。
底壁面20の幅Lは、特に限定されるものではないが、好ましくは3mm以上10mm以下であり、さらに好ましくは5mm以上7mm以下である。下限値以上であると、床シート材6の開口縁部63のカット精度が悪い場合でも床シート材6の開口縁部63が凹み5からはみ出ることを防止する一方、上限値以下であると、便器周り部材1が大きくなりすぎることなく、目立たず見栄えがよい。
本体部2の内壁面21は、脚部3の内側面31から連続して上方に延びており、便器壁面18と対向する。内壁面21は、便器壁面18における本体部2が当たる下端近傍の上下方向に沿う形状に対応した形状とすることができる。具体的に、一般的な便器12においては、便器壁面18は、図5(図3のB−B断面図)に示すように、上下方向に沿って凸曲面状であることが多い。そのため、本実施形態では、これに対応させて、内壁面21は、少なくとも一部が凹曲面とされており、凹状に湾曲している。なお、本実施形態では、内壁面21は、一定の曲率半径の円弧状面で構成された凹曲面とされているが、曲率半径の同じ又は異なる2つ以上の円弧状面が滑らかに連続した構成の凹曲面であってもよいし、曲率半径を徐々に変化させた構成の凹曲面であっても構わない。一定の曲率半径の円弧状面で構成された凹曲面で内壁面21を形成すると、内壁面21を便器壁面18へ沿わせて密着性を高めることができるので、好ましい。また、内壁面21は、必ずしも凹曲面である必要はなく、便器壁面18に形状によっては、凸曲面であってもよいし、平端面であっても構わない。便器周り部材1は柔軟性を有するので、便器壁面18が平面状であっても、内壁面21が便器壁面18の形状に追随し、密着することができる。
また、内壁面21は、便器壁面18における本体部2が当たる下端近傍の鉛直方向Vに対する傾斜具合I1に応じて、鉛直方向Vに対して傾斜させることができる。具体的に、一般的な便器12においては、便器壁面18は、図5に示すように、鉛直方向Vに対して上方に向かうにしたがい内向きに傾斜している。そのため、本実施形態では、これに対応させて、内壁面21は、鉛直方向Vに対して底壁面20と反対側に開くように傾斜しており、上方に向かうにつれて鉛直方向Vから後方(便器壁面18側)へ離れた、後方斜め上向きに延びる傾斜面とされている。なお、内壁面21は、必ずしも鉛直方向Vに対して後方斜め上向きに延びる傾斜面である必要はなく、便器壁面18の形状によっては、上方に向かうにつれて鉛直方向Vから前方(床シート材6側)へ離れた、前方斜め上向きに延びる傾斜面であってもよい。また、内壁面21は、鉛直方向Vを上向きに延びる垂直面であっても構わない。
本体部2の外壁面22は、底壁面20の先端部と内壁面21の上端部との間に延設されており、本実施形態では、少なくとも一部が凹曲面とされており、凹状に湾曲している。本体部2は、外壁面22が凹曲面を含むことで、上方へと向かうにしたがい肉厚が薄くなる肉厚移行部2Aを含んでいる。なお、肉厚移行部2Aは、前方へと向かうにしたがっても肉厚が薄くなっている。
また、外壁面22は、上端側の一部は、内壁面21に合わせて凸曲面22Aとされており、これにより、本体部2は、肉厚移行部2Aと連続して設けられる上方薄肉部2Bを含んでいる。この上方薄肉部2Bは、厚み(外壁面22及び内壁面21の間の長さ)が肉厚移行部2Aよりも薄いために撓みやすく、図2のX1方向及びY1方向により折れ曲がりやすくなっている。よって、便器壁面18の鉛直方向Vに対する傾斜度合いI1が急であったり緩やかであるなど、あらゆる傾斜度合いI1であっても、本体部2の内壁面21の上端部を傾斜度合いI1に容易に追随させて便器壁面18に沿わせて当接させることができる。その結果、内壁面21の上端部と便器壁面18との間隙を良好に塞ぐことができ、水や尿などが本体部2及び便器壁面18の間に浸入することを確実に防止できるという効果を有する。
上方薄肉部2Bは、本実施形態では、厚みが一定となるよう形成されている。上方薄肉部2Bの厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下であり、さらに好ましくは0.4mm以上0.7mm以下である。下限値以上であると、上方薄肉部2Bの耐久性が十分となる一方、上限値以下であると、上方薄肉部2Bが曲がり易くなる。なお、上方薄肉部2Bは、上端に向けて厚みが次第に薄くなるようにテーパー状に形成されていてもよい。
また、外壁面22は、先端側の一部は、底壁面20に合わせて平坦面22Dとされており、これにより、本体部2は、肉厚移行部2Aと連続して設けられる前方薄肉部2Cも含んでいる。この前方薄肉部2Cは、厚み(外壁面22及び底壁面20の間の長さ)が肉厚移行部2Aよりも薄いために撓みやすく、図2のX2方向及びY2方向により折れ曲がりやすくなっている。よって、上述したように、凹み5に床シート材6の開口縁部63を配置した際に、本体部2の底壁面20の先端部が上方に弾性変形しやすく、弾性力によって床シート材6の開口縁部63の表面に良好に密着する。よって、底壁面20の先端部と床シート材6との間隙を効果的に塞ぐことができる。
前方薄肉部2Cは、本実施形態では、厚みが一定となるよう形成されている。前方薄肉部2Cの厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下であり、さらに好ましくは0.4mm以上0.7mm以下である。下限値以上であると、前方薄肉部2Cの耐久性が十分となる一方、上限値以下であると、前方薄肉部2Cが曲がり易くなる。なお、前方薄肉部2Cは、先端に向けて厚みが次第に薄くなるようにテーパー状に形成されていてもよい。
なお、本実施形態では、外壁面22の一部の凹曲面は、一定の曲率半径の円弧状面で構成された凹曲面とされているが、曲率半径の同じ又は異なる2つ以上の円弧状面が滑らかに連続した構成の凹曲面であってもよいし、曲率半径を徐々に変化させた構成の凹曲面であっても構わない。また、外壁面22は、一部が凹曲面であることで、本体部2の肉厚移行部2Aが形成されているが、外壁面22の当該部分を凸曲面あるいは平端面とすることで肉厚移行部2Aを形成して、上方薄肉部2B及び前方薄肉部2Cを連続して設けるようにしても構わない。
次に、脚部3は、本体部2の底壁面21から長く突き出ており、脚部3の外側面30が、側方の凹み5に配置された床シート材6の開口縁部63と対向している。脚部3は、本実施形態では、底壁面20の後端部(便器壁面18側の端部)から突き出ており、便器壁面18と対向する側の内側面31が本体部2の内壁面21と面一で連続している。
脚部3の内側面31は、便器壁面18における脚部3が当たる下端の鉛直方向Vに対する傾斜度合いI2に応じて、鉛直方向Vに対して傾斜させることができる。本実施形態では、内側面31は、鉛直方向Vに対して底壁面20と反対側に開くように傾斜しており、下方に向かうにつれて鉛直方向Vから後方(便器壁面18側)へ離れた、後方斜め下向きに延びる傾斜面とされている。これにより、図5に示すように、便器壁面18の下端が鉛直方向Vに対して下方に向かうにしたがい内向きに傾斜している場合に、内側面31を便器壁面18に良好に沿わせることができる。
なお、内側面31は、本実施形態では平坦面とされているが、曲面(凹曲面又は凸曲面)であっても構わない。また、内側面31は、便器壁面18の形状によっては、下方に向かうにつれて鉛直方向Vから後方(便器壁面18側)へ離れた、後方斜め下向きに延びる傾斜面であってもよい。また、内側面31は、鉛直方向Vに下向きに延びる垂直面であっても構わない。
一方、脚部3の床シート材6の開口縁部63と対向する側の外側面30は、鉛直方向Vを下向きに延びる垂直面とされている。
脚部3の厚みは、特に限定されるものではなく、上端において好ましくは0.5mm以上1.3mm以下、さらに好ましくは0.7以上1.1mm以下であり、下端において好ましくは0.7mm以上1.5mm以下、さらに好ましくは0.9以上1.3mm以下である。図5に示すように、便器壁面18は、下端において内方へ凹んでいる形状が多いので、脚部3の厚みを上記範囲内で上端より下端の厚みを大きくすることによって、脚部3と便器壁面18との密着性を高めることができる。また、便器周り部材1は柔軟性を有するので、便器壁面18が平面状であっても、脚部3が便器壁面18の形状に追随し、密着することができる。
上記構成の便器周り部材1の高さHは、特に限定されるものではないが、例えば、好ましくは7mm以上20mm以下であり、さらに好ましくは10mm以上15mm以下である。下限値以上であると、便器周り部材1と便器壁面18との接触面積が十分となり、便器周り部材1が便器壁面18から剥がれ難くなる一方、上限値以下であると、便器周り部材1の見栄えが良好となる。
また、便器周り部材1の長手方向(図1における上下方向)の長さは、特に限定されるものではなく、便器12の大きさに対応して種々の長さとすることができる。例えば、便器周り部材1の長さを1.5m程度にすると、持ち運びが容易で、施工性も良好となる。
また、便器周り部材1の硬さは、特に限定されるものではないが、例えば、ショアD硬度で20以上60以下とすることが好ましく、35以上45以下とするのがさらに好ましい。下限値以上であると、高温時に便器周り部材1を施工し易くなる一方、上限値以下であると、便器周り部材1を便器壁面18の周方向に沿うように曲げて配置し易くなる。ショアD硬度は、JIS K7215によって、デュロメーター型式Dのアスカーゴム硬度計(高分子計器株式会社製)を用いて測定することができる。
次に、上述した便器周り部材1を用いて床シート材6を、便器12を備える床13上に施工する施工方法について図5〜図7を用いて説明する。
本実施形態の床の施工方法は、(i)便器を備える床13上に接着剤又は両面テープを用いて接着層19Aを形成する接着層形成工程と、(ii)便器12の外形に応じた開口61を有する床シート材6を、その開口縁部63が床13上の便器壁面18の周囲に間隔Sをあけて位置するように、接着層19Aを介して床13上に施工する床シート材施工工程と、(iii)便器周り部材1を、脚部3を間隔Sに差し込むことで床13上の便器壁面18の周囲に設置して、床シート材6の開口縁部63を底壁面20で覆う便器周り部材設置工程と、(iv)床シート材6を押圧する押圧工程と、を有する。
具体的には、まず、図5に示すように、床13上に、接着剤又は両面テープを塗布又は貼り付けて接着層19Aを形成する(接着層形成工程)。接着層19Aは、床13の全面に形成してもよいし、床面の一部分だけに形成してもよい。
接着剤を塗布する方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。接着剤や両面テープとしては、下地である床13と床シート材6とを接着することができるものであれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、尿素樹脂系接着剤、シリコーン系接着剤、変性シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤を挙げることができる。耐水性及び接着性に優れる点ではエポキシ系接着剤が好適である。また、床シート材6を剥がして張り替えが容易な点ではアクリル系接着剤や変性シリコーン系接着剤が好適である。具体的には、エポキシ系接着剤の「バスナセメントEPO(東リ株式会社製)」、アクリル系接着剤の「エコGAセメント(東リ株式会社製)」、変性シリコーン系接着剤の「MPX−1(東リ株式会社製)」、ウレタン系接着剤の「バスナウォールセメント(東リ株式会社製)」などが挙げられる。
例えば、両面テープとしては、接着性、耐水性、下地不陸追従性、耐可塑剤性、クリープ性、剥離容易性などに優れるものを用いることが好ましく、具体的には、「CFテープ(東リ株式会社製)」などが好適である。
また、接着剤と両面テープのいずれを用いても、施工完了後、短時間でユニットバスやトイレが使用可能となるが、特に、両面テープを用いて床13と便器周り部材1及び床シート材6とを接着すると、硬化・乾燥時間が不要となるので、さらに短時間でユニットバスやトイレが使用可能となる。
接着層19Aとして両面テープを用いる場合には、図5(a)に示すように、両面テープを必ずしも床13の全面に貼り付ける必要はなく、床シート材6が床面から剥がれない程度で任意に形成することが好ましい。両面テープは、任意の間隔、たとえば10cm〜50cmをあけて、床面に貼り付けてもよい。また、床13の周縁部や便器12の周囲部を含むように、つまりは、床13上の排水溝15及び浴室壁面14との境界にその長さ方向に沿って形成されるとともに、便器12との境界にその周方向に沿って形成してもよい。なお、図5では、接着層19Aは、床13上の便器12との境界から間隔Sをあけて形成されているが、間隔Sをあけなくてもよい。
両面テープを用いた場合の接着層19Aの幅は、特に限定されるものではないが、床シート材6の床13との接着面積を十分にして床シート材6が床13から剥がれ難くする必要がある。一方、接触面積を大きくしすぎないことによって、接着層19Aの形成を容易にし、また、ユニットバスやトイレ内の作業スペースを十分に確保することができるため、施工時の作業効率が良好となる。例えば、接着層19Aの幅は、両面テープを用いる場合には、好ましくは25mm以上80mm以下であり、さらに好ましくは40mm以上60mm以下とすることができる。
一方で、接着層19Aとして接着剤を用いる場合には、図5(b)に示すように、上記間隔Sをあけずに、接着剤を床13の全面に塗布して接着層19Aを形成することが好ましい。これによって、床シート材6を床面に強固に接着させることができる。また、便器周り部材設置工程において、便器周り部材1を接着剤を介して床面に接着させることもでき、止水効果も向上する。
接着層19Aの厚みは、両面テープ及び接着剤のいずれを用いた場合でも、特に限定されるものではないが、例えば、好ましくは0.5mm以下であり、さらに好ましくは0.1mm以上0.4mm以下である。上限値以下にすることによって、床面の接着層19Aが存在する領域と存在しない領域との間の段差が床シート材6の表面側に伝わり難くなり、床シート材6の足触りに違和感が生じることを抑制できる。下限値以上にすることによって、床シート材6と床面との接着を強固にし、また両面テープの場合、施工時の両面テープの意図しない切断を防止し、施工性が向上する。
次に、図6に示すように、床シート材6を、接着層19Aを介して床13上に貼り付ける(床シート材施工工程)。この工程において、床シート材6は、切り込み62を開くことで開口61内に便器12を位置させ、切り込み62を閉じることで開口縁部63が便器壁面18の周囲に間隔をあけて位置するように、床13上に施工される。なお、図6及び図7は、接着層19Aとして両面テープを用いる場合の例を示している。
次に、図7に示すように、便器周り部材1を曲げて便器壁面18に一周沿わせながら、本体部2の内壁面21を便器壁面18側に向けて脚部3を間隔Sに差し込むことで、便器周り部材1が床13上の便器壁面18の周囲に設置される(便器周り部材設置工程)。これにより、床シート材6は、その開口縁部63が便器周り部材1の凹み5に配置されて底壁面20により覆われた状態となる。なお、図7においては、接着層19Aは、便器12との間に大きな間隔Sをあけて配置され、本体部2からも間隔をあけて側方に離れるように配置されているが、これに限られず、接着層19Aは、全部または一部が本体部2の下方(凹み5)に位置するように配置されてもよい。
便器周り部材1は、内壁面21や内側面31に接着剤又は両面テープを塗布又は貼り付けることで接着層19Bが形成され、接着層19Bを介して便器壁面18に貼り付けられる。特に、両面テープを内壁面21や内側面31に予め貼り付けておくことが好ましく、現場にて剥離シートを剥がすだけで、簡単に短時間で施工することができる。また、便器周り部材1は、便器壁面18の周囲の寸法に合わせて、事前にカットしておいてもよく、施工現場でカットしておいてもよい。
接着層19Bを形成する接着剤又は両面テープは、接着層19Aを形成する接着剤又は両面テープと同じものを使用してもよいが、接着面積が小さいことから、より接着力の強い材料を選択するほうが好ましい。例えば、両面テープとしては、接着性、耐水性、下地不陸追従性、耐可塑剤性、クリープ性などに優れるものを用いることが好ましく、具体的には、日東電工株式会社製の「H9004」、「H9008」などを好適に挙げることができる。
接着層19Bの幅は、両面テープ及び接着剤のいずれを用いた場合でも、特に限定されるものではないが、便器周り部材1の便器壁面18との接着面積を十分にして便器周り部材1が便器壁面18から剥がれ難くする必要がある。一方、接触面積を大きくしすぎないことによって、接着層19Bの形成を容易にすることができる。例えば、接着層19Bの幅は、両面テープを用いる場合には、好ましくは4mm以上10mm以下であり、さらに好ましくは8mm以上10mm以下とすることができる。また、接着層19Bの厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下であり、さらに好ましくは0.4mm以上0.8mm以下である。
最後に、押圧ローラーやしごき棒(図示は省略)によって床シート材6を押圧し(押圧工程)、床シート材6と床面と間の空気を抜くことで、床シート材6と床面との接着を強固なものとする。この押圧は、必ずしも最後でなくてもよく、床面に床シート材6を載置した後であれば、任意のタイミングで行うことができる。以上説明した施工方法により、図8に示すように、床13の全面に便器周り部材1を用いて床シート材6が施工された床構造が完成する。
なお、本実施形態では、ユニットバスの床の施工方法を説明しているが、トイレの床についても、同様の過程の施工方法により床シート材6を施工することができる。
また、本実施形態では、(ii)床シート材施工工程を行った後、(iii)便器周り部材設置工程を行っている。しかし、本発明の床の施工方法においては、両工程(ii)及び(iii)の順序が逆であってもよい。つまりは、便器周り部材1を、床13上の便器壁面19の周囲に接着剤又は両面テープ(接着層19B)を介して設置する便器周り部材設置工程を行った後、便器12の外形に応じた開口60を有する床シート材6を、その開口縁部63が凹み5に配置されて底壁面20で覆われるように、接着剤又は両面テープ(接着層19A)を介して床13上に施工する床シート材施工工程を行うように構成してもよい。
また、本発明の床の施工方法においては、便器周り部材設置工程あるいは床シート材施工工程において、図示は省略するが、床シート材6の開口縁部63と本体部2との間がコーキング剤で充填されるとともに、床シート材6の開口縁部63と脚部3との間にコーキング剤が充填されるように、床シート材6の開口縁部63上にコーキング剤を塗布してもよい。コーキング剤は、便器周り部材1を取り付ける前に、本体部2の底壁面20や脚部3の外側面30に塗布してもよく、床面と便器壁面18との入隅に塗布してもよい。また、底壁面20や外側面30に、便器周り部材1の長手方向の溝を形成しておくことによって、コーキング剤塗布具の先端を、その溝に沿わせながらコーキング剤の塗布を容易に行うことができる。この溝は、便器周り部材1の長手方向に連続し、断面視V字状、断面視円弧状などに切り欠いた形状にすることができる。
以上説明した便器周り部材1、便器周り部材1を用いて床シート材6を既設の床13上に施工した床構造及び床の施工方法によれば、本体部2の底壁面20が床シート材6の開口縁部63を上方から覆うので、施工者の技量によって床シート材6の開口縁部63のカット精度にばらつきが生じても、カット精度の良し悪しに関わらず一様に床を良好に仕上げることができる。また、便器壁面18と床シート材6の開口縁部63との間に便器周り部材1が設けられるため、両者の隙間をシール剤で埋める必要がない。よって、従来技術のように、施工者の技量によって床の仕上がりにばらつきが生じてユニットバスやトイレの美観を損ねることがなく、ユニットバスやトイレを安定して良好に仕上げることができる。加えて、従来技術のように、シール剤が硬化する時間を待つ必要もなく、施工後、短時間でユニットバスやトイレを使用することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないため、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態の便器周り部材1では、本体部2の底壁面20の先端部に凸部4が設けられているが、必ずしも凸部4は設ける必要はない。
また、上記実施形態の便器周り部材1では、本体部2が上方薄肉部2B及び前方薄肉部2Cを含んでいるが、必ずしも上方薄肉部2B及び前方薄肉部2Cを含む必要はなく、例えば図9に示すように、本体部2が肉厚移行部2Aのみを含む構成であっても構わない。なお、図9においては、本体部2の外壁面22は凸曲面とされているが、凹曲面あるいは平端面としても構わない。