以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る排熱利用システム2の概略構成を示す図である。排熱利用システム2は、湯水を蓄える貯湯タンク10と、貯湯タンク10内の水を加熱するために所定の熱源機3の排熱を回収する排熱回収部12(排熱回収装置)と、貯湯タンク10から出湯する湯の温度が設定温度に満たないような場合に貯湯タンク10から出湯された湯をさらに加熱するバックアップ熱源機としての機能を果たす風呂給湯器20と、給気口から取り入れる外気を温める放熱ユニット50を備えている。本例では、熱源機3は燃料電池である。ここでは、壁を貫通して屋外と屋内を接続する給気口に設置した放熱器で外気を少し温めて室内に導入する方式の補助暖房を給気予熱と称するものとする。
貯湯タンク10は中空略円柱状のタンクであり、下部の給水口に接続された給水管11から冷たい給水の供給を受けてこれを貯留する。貯湯タンク10は、たとえば、容量100リットル程度を有し、底から20、40、60,80リットルの各水位の箇所に水温を計測する温度センサが設けてある。
排熱回収部12は、熱源機3の排熱を回収する熱交換器13とポンプ14を備え、貯湯タンク10の底部の取水口から冷たい水を吸引して取り出し、これを熱交換器13を通じて加熱し、貯湯タンク10上部の戻り口に戻すように循環させる。これにより、貯湯タンク10の内部には下部が冷たく上部ほど暖かい湯となる温度成層が形成される。
出湯に供される湯は貯湯タンク10の上部の出湯口15から取り出される。出湯口15は、配管16を通じて風呂給湯器20の給水口21に接続されている。配管16の途中には、貯湯タンク10からの湯量を調整するための湯量調整弁17が介挿され、さらに水量調整弁18を介して給水管11が合流するように接続されている。貯湯タンク10の出湯口15から流出した湯は、必要に応じて給水と混合された後、風呂給湯器20の給湯用熱交換器22を経て、外部の給湯栓等に出湯される。
風呂給湯器20は、前述した給湯用熱交換器22、および、風呂の追い焚き用熱交換器23を有している。給湯用熱交換器22、追い焚き用熱交換器23には、それぞれに対応したバーナが設けられており、必要時に該バーナによって加熱される。給湯用熱交換器22の入側には入水管24が接続され、給湯用熱交換器22の出側には外部の出湯栓に繋がる出湯管25が接続されている。入水管24には流量センサ26が設けてあり、その下流でバイパス管27によって入水管24と出湯管25が接続されている。入水管24からバイパス管27が分岐する箇所には、バイパス管27に流す給水量を調整するバイパスサーボ28が設けてある。バイパス管27の合流箇所より下流の出湯管25には、出湯される湯温を検出する温度センサとしての給湯サーミスタ29が設けてある。
追い焚き用熱交換器23の入側には風呂戻り管31が、出側には風呂往き管32が接続されている。風呂戻り管31、風呂往き管32はそれぞれ浴槽5まで延設されている。風呂戻り管31の途中には循環ポンプ33が設けられている。循環ポンプ33と追い焚き用熱交換器23の入側との間の配管には、浴槽5内の水位を検出する水位センサ34、湯水の流れの有無を検出する水流センサ35が設けてある。また、風呂戻り管31の途中には、浴槽5側から戻って来る湯の温度を検出する風呂戻り温度センサ36が、風呂往き管32の途中には、追い焚き用熱交換器23の出側の湯温を検出するための風呂往き温度センサ37が設けてある。
さらに、給湯サーミスタ29の下流で出湯管25から分岐した注湯管38が循環ポンプ33のある箇所で風呂戻り管31に合流している。注湯管38の途中には該注湯管38を開閉する注湯制御弁39が設けてある。
また、風呂戻り管31の途中には第1三方弁41が介挿され、風呂往き管32の途中には第2三方弁42がそれぞれ介挿されている。詳細には、第1三方弁41の第1接続口には風呂給湯器20側の風呂戻り管31が接続され、第1三方弁41の第3接続口には浴槽5側の風呂戻り管31が接続されている。第2三方弁42の第1接続口には風呂給湯器20側の風呂往き管32が接続され、第2三方弁42の第3接続口には浴槽5側の風呂往き管32が接続されている。
第1三方弁41の第2接続口には放熱戻り管43の一端が接続され、放熱戻り管43の他端は放熱ユニット50の後述する放熱器52の出側に接続されている。第1三方弁41の第3接続口より浴槽5側の風呂戻り管31の途中で分岐した放熱往き管44は放熱器52の入側に接続されている。第2三方弁42の第2接続口には浴槽バイパス管45の一端が接続され、浴槽バイパス管45の他端は放熱往き管44の分岐箇所より浴槽5側において風呂戻り管31に接続されている。なお、第1三方弁41の第3接続口と、放熱往き管44の分岐箇所との間の風呂戻り管31を配管46とする。
このほか、風呂給湯器20は、外気温を検出する外気温センサ49を備えている。また、風呂給湯器20は、排熱利用システム2全体や風呂給湯器20の動作を制御する制御部48を備えている。制御部48はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを主要部とする回路で構成され、ROMに格納されたプログラムに従ってCPUが各種の処理を実行することで風呂給湯器20および排熱利用システム2の各機能が実現される。
制御部48には、使用者から各種の設定や運転の指示を受ける機能、設定内容や運転状況を表示する機能等を備えたリモートコントローラ(リモコンと略称する)が通信線を介して接続される。ここでは、リモートコントローラとして、風呂に設置された風呂リモコン、台所等に設置されるメインリモコンなどがある。
排熱利用システム2では、貯湯タンク10内の水を、排熱回収部12で回収した熱源機3の排熱によって加熱、昇温する。
排熱利用システム2では、風呂給湯器20の出湯管25の延設先に取り付けられた給湯栓が開かれると、給水元からの水圧により、貯湯タンク10内の湯が出湯口15から押し出され、配管16、風呂給湯器20内の入水管24、給湯用熱交換器22の水管、出湯管25を経て、給湯栓から出湯される。貯湯タンク10内に高温の湯が十分あるときは貯湯タンク10からの湯に給水を混合することで、出湯する湯の温度を設定温度に調整する。貯湯タンク10に設定温度以上の湯がない場合等には、貯湯タンク10から供給される湯水を、風呂給湯器20の給湯用熱交換器22で加熱し、設定温度に昇温して、出湯する。
貯湯タンク10からの出湯量が少ない状態で排熱回収部12による熱源機3の排熱回収動作を継続すると、やがて貯湯タンク10内のほぼ全体が高温の湯になり、これ以上、排熱回収動作を継続しても、熱源機3の排熱を十分に回収できない満蓄状態になる。背景技術で説明したように、熱源機3が燃料電池の場合、貯湯タンク10が満蓄になって排熱回収ができなくなると、発電を継続できなくなる。
そこで、本実施の形態に係る排熱利用システム2では、貯湯タンク10が満蓄になった場合に、貯湯タンク10内の湯の一部を強制排水する。そして、この強制排水する湯の熱を有効利用するために、該熱を給気予熱に利用する。なお、風呂の残り湯の熱についても給気予熱に利用可能となっている。
まず、給気予熱で利用する24時間換気システムおよび放熱ユニット50について説明する。
近年の住宅には24時間換気システムが設置されている。その代表的な構成は、図2に示すように、風呂場の天井裏等に換気ファン101を設け、この換気ファン101の吸込口102をトイレや洗面所、浴室などの天井(家の中心付近)に配置し、屋外に面する各居室の壁に給気口103を設け、換気ファン101の排気はダクトを通じて玄関先等に設けた排気口104から屋外に排出する、といった構成になっている。これは、排気はファンで行い、給気はファンを使用せずに自然に取込む方式(排気型)であり、一般の住宅で多く採用されている。
このような換気システムを導入すると、冬場は給気口103から冷たい外気が室内に入って来る。排熱利用システム2では、給気口103に放熱ユニット50を取り付け、該放熱ユニット50の熱交換器に、浴槽5の残り湯や貯湯タンク10から強制排水される湯を循環させることで、外気を少し暖めてから室内に導入する給気予熱を行い、冷たい外気が給気口から入って来ることを防いで快適性を高める。
図3は、放熱ユニット50を給気口103に取り付けた状態の一例を示している。給気口103は、屋外に面する壁に直径100mm(あるいは150mm)ほどの穴を貫通させ、この穴に給気ダクト106を挿入し、その屋内側の端部に開け閉め可能な屋内側カバーユニット107を取り付け、屋外側の端部に、雨避けカバー108を取り付けて構成される。給気ダクト106の途中に放熱ユニット50が取り付けてある。
図4は、放熱ユニット50とその周囲の給気ダクト106を示す斜視図である。放熱ユニット50は、給気ダクト106に密に内挿される円板形状のベース板51と、ベース板51に大きく開設された矩形の貫通穴に嵌めこまれた放熱器52を備えている。ここでは、放熱器52としてマイクロ扁平管熱交換器を使用する。
ベース板51は不燃材で構成される。たとえば、ベース板51は鋼鈑などで構成される。ベース板51は、放熱器52と給気口103の内壁との隙間を不燃材で封鎖する。
図5は、放熱器52であるマイクロ扁平管熱交換器の概略を示す断面図および2枚のマイクロ扁平管54を取り出して示す斜視図ある。放熱器52としてのマイクロ扁平管熱交換器は、並行に配置した入水管56と出水管58の間に、薄く扁平した管路であるマイクロ扁平管54を所定間隔で多数並列に接続して構成される。各マイクロ扁平管54は放熱板として機能する。
図では、入水管56の端部から流入した温水は、分岐して各マイクロ扁平管54の中を流れ、各マイクロ扁平管54の他端側で出水管58に流れ出て合流し、出水管58の端部から流出する。
本例のマイクロ扁平管54は、長さL=68mm、幅W=15mm、厚みH=0.7mm(板厚t=0.2mm、内部の水路の厚みはH=0.3mm)である。配列されたマイクロ扁平管54同士の隙間D(間隔)は1.3mm程度になっている。通気抵抗は20Pa(25m3/h時)以下にする。なお、風呂給湯器20の循環ポンプ33による送水では、最大で0.1MPa程度の耐水圧があればよいので、マイクロ扁平管54の板厚は0.2mm未満などの非常に薄い鋼鈑で問題ない。
配列されたマイクロ扁平管54同士の隙間Dは、2.2mm以下、好ましくは1.8mm以下である。このような隙間でマイクロ扁平管54を配列すれば、マイクロ扁平管54とマイクロ扁平管54の隙間Dを炎が通り抜けられなくなり、防火効果を得ることができる。
放熱ユニット50では、マイクロ扁平管54同士の間隔を消炎距離以下にすると共に、放熱器52としてのマイクロ扁平管熱交換器と給気口103の内側との隙間を不燃材のベース板51で塞いでいるので、火災時に炎が給気口103を通過することを防ぎ、延焼を防ぐことができる。
次に、排熱利用システム2の各種機能について説明する。
風呂給湯器20は、貯湯タンク10側からの湯を、必要に応じて加熱するバックアップ熱源機としての機能を有し、浴室内のシャワーや台所の水栓等へお湯を供給(出湯)する給湯機能を果たす。また、浴槽5へ湯を落とし込み湯張りする注湯機能、浴槽5内の湯水を追い焚きして昇温する追い焚き機能などを備えている。また、浴槽5に設定温度の湯を設定水位になるように自動的に湯張りし、湯張り完了後は設定水位・設定温度が所定時間(たとえば、4時間)に渡って維持されるように追い焚き等を行う風呂の自動運転機能を備えている。さらに、浴槽5内の浴槽水等を、給気口103に設けられた放熱ユニット50の放熱器52に循環させることで、給気口103から室内に流入する外気を少し暖める給気予熱の機能を有する。
以下、各動作について説明する。
<給湯動作>
出湯栓が開かれて通水があると、給水元からの水圧によって貯湯タンク10の上部から湯が流出し、この湯に、必要に応じて給水を混合した湯が風呂給湯器20の給水口21に流入する。風呂給湯器20では流量センサ26が通水を検出すると、設定温度の湯を出湯するために風呂給湯器20でバックアップ加熱が必要か否かを判断し、必要ならば、燃焼ファンをオンし、給湯用熱交換器22側のバーナを点火して燃焼ガスを燃焼させ、必要に応じてバイパスサーボ28を制御し、設定温度に調整した湯を、出湯管25を通じて出湯する。バックアップ加熱が必要なければ、給水口21から供給された湯をそのまま出湯管25を通じて出湯する。
<注湯動作>
注湯動作は、リモートコントローラ(風呂リモコンやメインリモコン)から、風呂の自動運転や注湯の指示を受けた場合に実行される。注湯動作では、制御部48は、注湯制御弁39を開いて通水を作り、給湯動作と同様にして設定温度の湯を作り、該湯を注湯管38、循環ポンプ33を通じて追い焚き回路に供給する。追い焚き回路は、浴槽5から延設された風呂戻り管31、追い焚き用熱交換器23の水管、浴槽5に至る風呂往き管32で構成される。循環ポンプ33の箇所から追い焚き回路に流れ込んだ湯は、風呂戻り管31および風呂往き管32を通じて浴槽5に落とし込まれる。なお、注湯動作では、第1三方弁41、第2三方弁42はいずれも、第1接続口と第3接続口を連通させ、第2接続口を閉鎖した、1−3連通状態に設定される。
<追い焚き動作>
追い焚き動作は、風呂の自動運転の指示に基づいて上記の注湯動作が行われて設定水位に湯張りされた後、浴槽5内の浴槽水の温度を風呂設定温度まで昇温させるとき、あるいは、風呂の自動運転中に浴槽5内の湯水を風呂設定温度に維持するために昇温するとき、あるいは、使用者から追い焚きの指示を受けた場合に実行される。
追い焚き動作では、制御部48は、第1三方弁41と第2三方弁42を共に1−3連通状態とし、循環ポンプ33を作動させると共に、燃焼ファンを作動させ、追い焚き用熱交換器23に対応するバーナを点火し燃焼ガスを燃焼させる。循環ポンプ33の作用により、浴槽5内の湯が追い焚き回路を循環し、追い焚き用熱交換器23の水管を通る際にバーナからの熱で加熱される。
<残り湯のよる給気予熱>
残り湯による給気予熱は、風呂の自動運転の終了後に浴槽5に残っている暖かい浴槽水を利用して行われる。残り湯による給気予熱では、第1三方弁41は第2接続口と第1接続口が連通し、第3接続口を閉鎖した1−2連通状態に設定し、第2三方弁42は1−3連通状態に設定して循環ポンプ33を駆動する。これにより、図6の太線で示したように、浴槽5内の湯が、浴湯取込口6から風呂戻り管31に取り込まれ、風呂戻り管31の途中で、放熱往き管44、放熱ユニット50の放熱器52、放熱戻り管43を経て、第1三方弁41の第2接続口に流れ込み、第1三方弁41の第1接続口から風呂戻り管31に戻り、風呂給湯器20内の追い焚き用熱交換器23の水管、風呂戻り管31を経て浴槽5に流れ込む、という経路で循環する。
24時間換気システムの作用で、常に、給気口103を通じて外気が屋内に取り込まれているので、給気口103に取り付けた放熱ユニット50の放熱器52によって外気が暖められて屋内に取り込まれる。
次に、強制排水に関する動作について説明する。
貯湯タンク10が満蓄になって強制排水の要求が発生すると、該要求に応じて、貯湯タンク10内の湯を所定量排水する強制排水処理が行われる。強制排水処理には、第1強制排水処理と第2強制排水処理がある。
第2強制排水処理では、貯湯タンク10の湯を風呂給湯器20および風呂戻り管31、風呂往き管32を経て浴槽5に排水する。その後、浴槽5に強制排水した湯の熱を利用するために、前述した残り湯による給気予熱と同様の動作で給気予熱を行う。
第1強制排水処理では、浴槽5をバイパスし放熱器52を経由する循環回路(図7に太線で示す回路)に貯湯タンク10から強制排水した高温の湯を注入(高温湯強制排水)して満たし、該湯を循環回路内で循環させて給気予熱を行う。そして、所定時間の給気予熱で低温になった循環回路内の湯(水)を浴槽5へ排出する。循環回路への湯水の注入は、該注入する湯水で循環回路内の空気や湯水を浴槽5に押し出しながら行われる。第1強制排水処理における浴槽5への排出は、たとえば、次回の第1強制排水処理で貯湯タンク10から強制排水する湯を循環回路に注入する際に、該注入する湯で循環回路内にあった冷めた湯水を浴槽5に押し出すことによって行われる。
循環回路は、第1三方弁41および第2三方弁42を共に、第2接続口と第1接続口が連通し、第3接続口が閉鎖された1−2連通状態に設定して形成される。すなわち、浴槽5をバイパスし、放熱器52を経由するように設定した追い焚き回路が循環回路となる。循環回路は、図7の太線で示すように、循環ポンプ33から追い焚き用熱交換器23の水管、風呂往き管32、第2三方弁42、浴槽バイパス管45、放熱往き管44、放熱ユニット50、放熱戻り管43、第1三方弁41、風呂戻り管31を経由して循環ポンプ33に戻る閉回路である。
図8は、強制排水の要求に応じて風呂給湯器20が行う処理を示している。まず、浴槽5に残り湯があるか否かを調べ、残り湯がなければ(ステップS101;No)、ステップ109に進む(第1強制排水処理へ進む)。残り湯があれば(ステップS101;Yes)、残り湯の温度と湯量を計測する(ステップS102)。残り湯の温度、湯量が給気予熱に適さない場合(ステップS103;Yes)、具体的には、貯湯タンク10から強制排水する高温の湯を浴槽5の湯水に加えても、浴槽5内の湯の温度が給気予熱に適した温度(たとえば、28℃以上)にならない場合は、ステップ109に進む。
浴槽5の残り湯が給気予熱に適する温度、湯量の場合は(ステップS103;No)、第2強制排水処理を行う。具体的には、貯湯タンク10から必要量の高温の湯を浴槽5に強制排水した場合の湯温を算出し(ステップS104)、該強制排水後の湯温が予め定めた上限温度(火傷の恐れのある温度)を超えるか否かを判断する(ステップS105)。
強制排水後の湯温が上限温度を超える場合は(ステップS105;Yes)、強制排水後の浴槽5内の湯温が前述の上限温度を超えないように、強制排水する高温の湯に給水を混ぜて浴槽5に排出する(ステップS106)。その後、図6の経路で浴槽5内の湯を放熱器52に循環させてる給気予熱を所定時間行って(ステップ108)、本処理を終了する。
強制排水後の湯温が上限温度を超えない場合は(ステップS105;No)、貯湯タンク10から強制排水する湯を、給水を混ぜることなく、浴槽5に排水する(ステップS107)。その後、図6の経路で浴槽5内の湯を放熱器52に循環させて給気予熱を所定時間行って(ステップ108)、本処理を終了する。
ステップS109以降では、第1強制排水処理を行う。まず、第1強制排水処理において図7に示す循環回路に注湯すべき湯の量である高温注湯量が設定済みか否かを調べ、設定済みでなければ(ステップS109;No)、循環回路の配管容量を測定・算出し、該配管容量に基づいて高温注湯量を設定する(ステップS110)。そして、貯湯タンク10から強制排水した湯を該高温注湯量に相当するだけ循環回路に注湯して(ステップS111)、ステップ113に移行する。なお、循環回路の配管容量を測定・算出の詳細については後述する。
高温注湯量が設定済みならば(ステップS109;Yes)、貯湯タンク10から強制排水した湯を高温注湯量だけ循環回路に注湯して(ステップS112)、ステップ113に移行する。
なお、貯湯タンク10から強制排水した高温の湯を循環回路に注湯する際には、たとえば、第1三方弁41、第2三方弁42を共に1−2連通状態に設定し、注湯する高温の湯で循環回路内にあった湯水や空気を浴槽5に向けて押し出しながら注湯する。そのため、高温注湯量は、循環回路を高温の湯で満たすことができ、かつ、入れ過ぎて高温の湯が浴槽5に流出しない湯量に設定する必要がある。この点の詳細については後述する。
ステップ113では、循環ポンプ33を作動させ、循環回路に湯を循環させて所定時間の給気予熱を行う。具体的には、第1三方弁41、第1三方弁41を共に1−2連通状態として循環ポンプ33を作動させる。なお、この状態では、第2三方弁42の第2接続口は浴槽5にも通じているが、実質的に循環回路は閉回路になっている。すなわち、循環ポンプ33をオンにしたとき第2三方弁42の第2接続口は正圧(押し出し)となり、第1三方弁41の第3接続口方向と浴槽5の方向からは吸引も押し出しも無く、放熱器52の方向からは負圧(吸引)になる。従って、第2三方弁42の第2接続口から押し出された湯は放熱器52側に吸い込まれ、押し出された水量と吸引量が同じなので、浴槽5に流れ出たり、浴槽5から空気を吸い込んだりすることはない。
なお、給気予熱のために湯を循環回路に循環させているときに、該循環回路内が実際に高温の湯で満たされているか否かを調べ、一部に水があるときは次回の注湯で循環回路が高温湯で満たされるように高温注湯量を補正する。該補正の詳細は後述する。給気予熱が完了したら(たとえば、循環する湯の温度が28℃以下に下がったら)、本処理を終了する。
図9は、循環回路の配管容量を測定する処理(図8のステップ110)の詳細を示す流れ図である。まず、注湯管38を通じて冷たい水を追い焚き回路(放熱器52、放熱戻り管43、放熱往き管44、浴槽バイパス管45を含む)に注水して追い焚き回路全体を冷水で満たす(ステップS201)。たとえば、最長の配管距離を想定し、それ以上の量の給水を注水する。図10は、追い焚き回路全体を冷水で満たした状態の一例を示す。この例では、第2三方弁42の第3接続口から浴槽5までの風呂往き管32の部分は冷水を満たす対象から除外されている。また、浴湯取込口6から流出した余分な冷水が浴槽5の底に溜まっている。水の満たし方の詳細は後述する。
次に、第1三方弁41を1−2連通状態にして、少量の高温の湯を循環回路に注湯する(図9、ステップS202)。この少量の湯には、貯湯タンク10から強制排水する湯を用いる。図11は、少量(所定量)の湯を循環回路に注湯した状態を示ししている。図中の破線は高温の湯を示している。所定量をどの程度の量とするかについては後述する。注湯する少量の高温の湯の量は制御部48が把握して既知量となる。
次に、第1三方弁41、第2三方弁42を共に1−2連通状態にして循環ポンプ33を作動させ、特定の温度センサ(たとえば、風呂戻り温度センサ36)が高温の湯を検出する時間と低温の水を検出する時間の比率を求める(ステップS203)。
そして、循環回路に注湯した少量の高温の湯の量(既知量)と上記の比率とから循環回路の容量を算出する(ステップS204)。ここでは、高温の湯が給湯サーミスタ29で検出された以後の注湯を高温の湯の注湯として扱い、高温の湯の注湯量から、器具固有の給湯サーミスタ29から循環ポンプ33までの配管水量を引いた値を、実際に循環回路に注湯した湯量とする。たとえば、少量の高温の湯の注湯量が350ccで、器具固有の給湯サーミスタ29から循環ポンプ33までの配管水量が50ccならば、実際に循環回路に注湯した湯量は300ccとなる。
上記300ccの湯を注湯した後、循環ポンプ33を作動させているときに温度センサ(たとえば、風呂戻り温度センサ36)が高温を検知した時間と低温を検知した時間の比率が1:4であれば、循環回路の容量は300×5=1500cc、と算出される。なお、その後、高温の湯の区間のちょうど中央の位置が循環ポンプ33の位置となるようにタイミングを図って循環ポンプ33を停止させる。
図8のステップS110では、上記の算出した循環回路の容量をそのまま高温注湯量に設定する。ステップS111では、ステップS110で循環回路の容量を計測する際に循環回路に注湯した湯量を、高温注湯量から差し引いた残りの量だけ、貯湯タンク10からの高温の湯を循環回路に注湯する。上記の例では、1500ccから300ccを引いた残りの1200ccを、ステップS111において循環回路に注湯する。これで循環回路の容量分の高温の湯を注湯したことになる。
次に、図9のステップ201で、追い焚き回路全体を冷水で満たす際の各種の満たし方について詳細に説明する。
ここで、第1三方弁41、第2三方弁42の設定の組み合わせを以下のように定義する。
・設定(1).第1三方弁41を1−2連通状態、第2三方弁42を1−2連通状態とする。
・設定(2).第1三方弁41を1−2連通状態、第2三方弁42を1−3連通状態とする。
・設定(3).第1三方弁41を1−3連通状態、第2三方弁42を1−3連通状態とする。
・設定(4).第1三方弁41を1−2−3連通状態、第2三方弁42を1−2−3−連通状態とする。
・設定(5).第1三方弁41を1−2−3連通状態、第2三方弁42を1−3連通状態とする。
なお、1-2-3-連通状態は、第1接続口、第2接続口、第3接続口がすべて連通した状態とする。
また、前提条件として以下を想定する。
・前提条件1.事前に浴槽水を給気予熱に用いた場合の放熱状況(外気温別の放熱状態)から、接続されている放熱器52の個数や容量を把握する。
・前提条件2.浴槽に残り湯が無い場合に水を満たすときは、水崩れによって、配管内が空気で満たされている場合がある。
図9のステップ201で追い焚き回路全体に冷水を満たすときの注水方法には以下の複数のパターンが考えられる。
・パターン1:水を満たすとき(図9のステップS201)は設定(2)とし、その後の循環時(図9のステップS203)は設定(1)とする。この場合、設定(2)の状態で注水(水を満たす動作)が終了した時に、図12の破線で示す配管部分(浴槽バイパス管45と配管46)に空気が残る(水崩れによって空気が残る場合がある)。
・パターン2:水を満たすとき(図9のステップS201)は設定(4)とし、その後の循環時(図9のステップS203)は設定(1)とする。この場合、設定(4)の状態で放熱器52内の空気を追い出して水で満たしている間に、浴槽5に流れ出る水量が多くなる。浴槽5に流れ出る水量を少なくしようとすると、放熱器52内の水置換が不完全となる。
・パターン3:水を満たすとき(図9のステップS201)は設定(5)とし、その後の循環時(図9のステップS203)は設定(1)とする。この場合、パターン2に比べて、放熱器52内の空気を追い出して水で満たす間に浴槽5に流れ出る水量が多くなる、また、浴槽5に流れ出る水量を少なくしようとすると、パターン2の時よりも、より放熱器52内の水置換が不完全になる。
水崩れ後にパターン1を実施して空気が配管内に残ると、下記問題が生じる。すなわち、図12の浴槽バイパス管45の部分に残った空気が、その後図9のステップS203にて設定(1)で水を循環させる時に、閉回路(一部浴槽5に開口しているがほぼ閉回路)内を循環する。この空気を循環ポンプ33が吸い込むと一時的に循環水量が落ちるので、ステップS203での比率の測定精度が低下し、ステップS204で循環回路の容量を求める時に演算誤差が生じる。
また水は非圧縮性流体であるのに対し空気は圧縮性流体であるが故に循環ポンプ33の上流側と下流側とでは空気の体積が変化する。そのため、必ずしも押し出された水量と吸引量が同じとならず、少量の水が浴槽5に流れ出たり、浴槽5側に流れ出た水を吸い込んだりする。なお、この現象は水崩れを誘発するが、水崩れには時間を要するので、水崩れの発生前に図9のステップS203の比率の測定は終了する。
また、図12の破線で示す配管46の部分に残った空気も近くを流れる水流に吸引・置換されて、前述の演算誤差の原因となると共に、音も発生させる。但し、演算誤差が生じても、その誤差は小さいので、図9のステップS204で求めた循環回路の容量よりも、図8のステップS110でその誤差分だけ多めに高温注湯量を設定すれば良く、強制排水する湯が少し無駄になる程度の誤差である。
パターン2、パターン3の場合には、放熱器52内の水置換が不完全となりやすいので、パターン1よりも誤差が大きくなりやすい。ただし、水を満たすときに、浴槽5に流れ出る水量を十分多くすれば、浴槽バイパス管45や配管46の部分の空気を押し出して無くすことができるので、その場合は、パターン1より演算誤差が小さくなる。
次に。最も理想的なパターン4について説明する。
・パターン4:水を満たすとき(図9のステップS201)は、設定(1)とする。この場合、図13に示すように、破線で示した配管46の部分に空気が残ってしまう。そこで図14に示すように、第2三方弁42は1−2連通状態のままとし、第1三方弁41を1−2連通状態から1−3連通状態に切り替えてさらに注水することで空気を抜く。
パターン4には以下の態様がある。
・パターン4−1(前述したもの):水を満たすときは設定(1)とし、その後、配管46の空気を抜くために第2三方弁42を1−2連通状態、第1三方弁41を1−3連通状態として注水する。
・パターン4−2(パターン4−1と順序を逆にしたパターン):第2三方弁42を1−2連通状態、第1三方弁41を1−3連通状態で水を満たして配管46の部分の空気を抜き(放熱器52に空気が残っている)、その後、第1三方弁41を1−2連通状態に切り替えて放熱器52内を水で満たす。なお、第2三方弁42は1−2連通状態に代えて1−2−3連通状態としても良い。
すなわち、
・パターン4−1’:水を満たすときは設定(1)状態とし、その後、第2三方弁42を1−2−3連通状態、第1三方弁41を1−3連通状態に設定して注水し、配管46の部分の空気を追い出す。
・パターン4−2’:第2三方弁42を1−2−3連通状態、第1三方弁41を1−3連通状態で注水して配管46の部分の空気抜きを行い、その後、設定(1)の状態で水を満たす(放熱器52に水を満たす)。
また第2三方弁42は、1−3連通状態の後に、1−2連通状態または1−2−3連通状態としても良いです。すなわち、
・パターン1’:水を満たすときは設定(2)状態とし(浴槽バイパス管45、配管46の部分に空気が残る)、その後、第2三方弁42を1−2連通状態、第1三方弁41を1−2−3連通状態として浴槽バイパス管45および配管46の部分の空気を抜く。
・パターン1”:水を満たすときは設定(2)状態とし(浴槽バイパス管45、配管46の部分に空気が残る)、その後、第2三方弁42を1−2−3連通状態、第1三方弁41を1−2−3連通状態として浴槽バイパス管45および配管46の部分の空気を抜く。
・パターン3’:水を満たすときは設定(5)状態とし(浴槽バイパス管45の部分に空気が残る)、その後、第2三方弁42を1−2連通状態、第1三方弁41を1−2−3連通状態又は1−2連通状態として浴槽バイパス管45の部分の空気を抜く。
パターン3”:水を満たすときは(5)状態とし(浴槽バイパス管45の部分に空気が残る)、その後、第2三方弁42を1−2−3連通状態、第1三方弁41を1−2−3連通状態又は1−2連通状態として浴槽バイパス管45の部分の空気を抜く。
以上のように、浴槽バイパス管45の部分と配管46の部分の空気を水に置換できればよく、順序や方法は問わない。本実施の形態では図9のステップS201においてパターン4により水を満たすものとする。
次に、図9に示すステップS202で、少量(所定量)の高温の湯を注湯する際の所定量の決め方について説明する。図11に示すように、高温の湯を循環回路に注湯する時には、
1.循環回路内に実際に注湯される湯と、
2.注湯管38に取り残される湯がある。さらに、
3.高温の湯(60℃)を作るのに時間を要し、直ぐに高温の湯は注湯されない。
上記3.について、たとえば、つい先ほどまで給湯を使用していれば速やかに高温の湯(60℃)を作れるが(HOTスタート)、給湯用熱交換器22が冷えていれば、たとえば、5秒位の時間を要する(COLDスタート)。そこで、給湯サーミスタ29が所定の高温を検知した時点から高温の湯の注湯が始まったと認識することで、上記3.の条件による違いをキャンセルする。
図9に示すステップS202での注湯量は、配管距離を最短とした場合の循環回路の容量の約半分 + 給湯サーミスタ29から循環ポンプ33までの配管容量、とする。たとえば、器具内の追焚循環管路内容積(たとえば500cc=風呂往き管32の水抜き栓61(図1参照)から風呂戻り管31の水抜き栓62までの管路内容積)と2個の放熱器52の容積(たとえば1ヶ使用で50cc)=600ccを配管距離最短とした場合の循環回路の容量とし、給湯サーミスタ29から循環ポンプ33までの配管内に上記2.の湯として、たとえば50ccが取り残される、とすると、給湯サーミスタ29が高温の湯を検知してからの注湯量は350ccとなる。
350ccの湯を注湯しても、給湯サーミスタ29から循環ポンプ33までの配管内に、上記2.の湯として、たとえば50ccが取り残されるので、実質上300ccが循環回路内に注入した高温の湯の量(上記の1.の湯の量)となる。
上記において、配管距離最短とした場合の循環回路の容量の約半分、を基準に注湯量を定める理由について説明する。
図9に示すステップS202での注湯では、実際の循環回路の容量が不明な状態で注湯するので、あまり多く注湯すると風呂戻り管31や風呂往き管32を通じて高温の湯が浴槽5に出てしまう。一方、少ないと比率の測定精度が低下して(比率の測定精度に関しては、高温の湯と冷水の比率が1:1になっていることが理想である。)、図9のステップS204での演算誤差が大きくなる。
三方弁を設定(1)の状態として注湯すると、循環ポンプ33〜風呂戻り管31〜第1三方弁41〜放熱戻り管43〜放熱器52〜放熱往き管44〜風呂戻り管31〜合流点(合流点で浴槽バイパス管45と浴槽5に風呂戻り管31に接続)までの容積と、循環ポンプ33〜追い焚き用熱交換器23〜風呂往き管32〜第2三方弁42〜浴槽バイパス管45〜合流点までの容積が略同等になる。よって、片搬送の場合を考慮して、注湯量を循環回路の容量の約半分にすれば、高温の湯が浴槽5に流出することはない。
また、注湯量を、器具内の追焚循環管路内容積(たとえば500cc)+放熱器52の容積(例えば1ヶ使用で50cc)+推定最短配管(例えば50cc)の、たとえば約半分(先の例で循環回路内に入れた高温湯300ccが相当)にすれば、水と高温の湯の比率が1:1となるので、演算誤差が最も少なくなる。但し、これは実際の配管距離が最短であった場合に達成され、実際の配管距離が長い場合には演算誤差は大きくなる。したがって、本来ならば、配管距離が中程度の場合を想定して高温湯の注湯量を設定することが演算誤差を少なくする観点からは好ましいが、別の理由により、そうはしていない。この点等について以下に説明する。
高温の湯を作る為には、たとえば最大燃焼を行いつつ、出湯量を減少させるので、通常の湯張りの時の約半部位の流量(圧力小状態)になる。そして、出湯温度の立ち上がりを素早くするためには、冷えた給湯用熱交換器22に対して熱を供給しなければならず、急速立ち上げの為には、さらに出湯量を半減させる。このような急速立ち上げにより注湯すると、先に注水した冷水部分との境界が明確となり、演算誤差が少なくなる半面、高温注湯時の注湯圧力が極めて低くなる。
また、入浴終了後(第1三方弁41、第2三方弁42は設定(3)の状態)には配管洗浄シーケンスが入る場合がある。たとえば、コントローラがONの状態では、制御部48は、水位センサ34によって風呂の水位を検知し、水位がある場合には、常時、水位の変動を監視し、浴槽5の湯水が、浴槽排水栓が抜かれて排水状態に至ったかどうかを判断する。浴槽循環口以下にまで水位低下が検出されると、風呂設定温度で所定量の湯を、湯はり動作と同じ動きで、浴槽へ注湯して配管を洗浄する。具体的には、加熱された湯を、注湯管38、注湯制御弁39を経て、風呂往き管32と風呂戻り管31の両方(両搬送)を用いて浴槽5へ注湯して配管を洗浄する。
配管洗浄の終了直前には第1三方弁41、第2三方弁42は設定(3)状態であるため、風呂往き管32側は湯水の流れが少なく、風呂戻り管31側は浴槽5に流れ込む湯水の流れが大きくなる。これは、第1三方弁41が1−2連通状態ならば放熱器52を通るので風呂戻り管31側と風呂往き管32側の配管抵抗はほぼ同じであるが、第1三方弁41が1−3連通状態なので、放熱器52を経由しない分、風呂戻り管31側の配管抵抗が小さいことによる。
この状態で注湯制御弁39を閉じると、風呂戻り管31においては風呂往き管32側に比して浴槽5に流れ込む湯水の流れが大きい慣性力を持っているので、その分、追い焚き用熱交換器23が減圧される。すなわち、注湯制御弁39が閉じられても、風呂戻り管31から浴槽5に流れ込む湯水の流れは止まらずに、追い焚き用熱交換器23内にある湯水を吸引して流れ続ける場合がある。この結果、大気開放となっている浴槽循環口の風呂往き管32側から空気を吸い込み、循環ポンプ33内の湯水が空気に置換される場合がある(通称、水崩れ現象)。
この水崩れによって循環ポンプ33内に空気が入った状態では、低温水と高温水の時間比率から循環回路の水量を求める演算で誤差が大きくなるという問題以外にも、注湯時に片搬送となりやすいという問題がある。
循環ポンプ33内に空気が入った状態で注湯すると、この空気を押し出すだけの圧力をかけないと、風呂往き管32へは湯水が流れない(注湯管38の接続位置よりも追い焚き用熱交換器23の方が高い位置にあるので、注湯管38の接続位置よりも低い位置にある風呂戻り管31側に流れ易いという理由もある)。すなわち、注湯圧力が中途半端に低いと、風呂戻り管31へ湯水が流れていても風呂往き管32には湯が流れない状態、すなわち片搬送となりやすい。
片搬送状態で高温の湯を注湯すると、両搬送で高温の湯を注湯する場合の約半分の量で浴槽に高温湯が出てしまう。片搬送の問題を解決するために、本実施の形態では、まず冷水を給水圧で注水している(図9のステップS201)。すなわち最大圧力で注水することで、片搬送の原因となりやすい循環ポンプ33内の空気の除去を合わせて行なっている。しかし、それでも、片搬送の問題を考慮して高温注湯を行う必要がある。なぜなら、前述したように、高温注湯時の注湯圧力は極めて低いので、循環ポンプ33内に空気が残る恐れがあり、少量でも空気が残ると片搬送となりやすいためである。
そこで、本実施の形態では、配管距離が中程度の場合を想定するのではなく、配管距離が短い場合であって、かつ、片搬送が発生しても高温の湯が合流点にまでしか至らない(浴槽に流出しない)ように、例えば、最短配管距離の場合の注湯量の約半分(先の例で循環回路内に注湯した高温の湯300ccが相当)を目安として、第1三方弁41を1−2連通状態で高温の湯を注湯(高温湯の強制排水)する。なお、図11の例は、実際の配管距離は中程度、両搬送で高温の湯を300cc注湯した場合を示している。
次に、図8のステップS113で行う、高温注湯量の補正について説明する。
前述の例のように、図9のステップS204で循環回路の容量が1500ccと算出され、ステップS202において300ccの高温の湯を循環回路に注湯して比率を測定していた場合、図8のステップS111では、高温の湯の区間のちょうど中央の位置が循環ポンプ33の位置となるようにタイミングを図って循環ポンプ33を停止させた後、残りの1200ccを循環回路に注湯する。これにより、循環回路の全体が高温の湯で満たされると思われるが、実際はそのようにならない。これは、循環回路のうち循環ポンプ33から風呂戻り管31を経て合流点に至る経路の容量と、循環ポンプ33から風呂往き管32を経て合流点に至る経路の容量は、風呂戻り管31の途中に放熱器52があるために、同一ではないことに依る。。
そのため、たとえば、図15に示すように、風呂往き管32側を通って行った高温の湯(実際には風呂戻り管31側の湯に押し出された水と合流点で混合された低温の湯)が浴槽5に排水されているものの、風呂戻り管31側(放熱器52側)の全てが高温の湯で満たされない場合がある。
たとえば、図15のように放熱器52が2個並列接続されている場合もあるし、3個並列接続の場合もある。また2個直列接続されている場合もあれば、3個直列の場合もあり得る。1個接続の場合には、たとえば、循環ポンプ33〜風呂戻り管31〜第1三方弁41〜放熱器52〜風呂戻り管31〜合流点までの容積と、循環ポンプ33〜追い焚き用熱交換器23〜風呂往き管32〜第2三方弁42〜浴槽バイパス管45〜合流点までの容積が略同等となり、配管圧損もたとえば略同じになる。配管圧損、配管容積が約同じであれば、図9の処理で算出した配管水量(1500cc)に基づいて高温の湯を注湯すれば、全てが高温の湯で満たされる。
しかし、図15のように放熱器52が2個並列に接続されている場合には、風呂戻り管31側の圧損の方が少ないので、たとえば半分以上の高温の湯が風呂戻り管31側に流れるが、放熱器52の容量が2倍となっているためにこれを埋め合わることが出来ずに、少量の水が合流点の手前に残ってしまう。そして、それに相当する分の高温の湯が風呂往き管32側から溢れて、合流点を通過して浴槽5に向かうが、合流点で放熱器52側から押し出されて来る水と混合されるので、高温のままの状態で浴槽5に溢れ出ることはなく、低温になって浴槽5に流出する。よって、火傷の恐れはない。3個並列接続や、直列接続の場合には、残る冷水の量がより多くなる。
そこで、循環回路内に上記のような冷水の残りが発生しないように、その分、高温注湯量を増やす補正を行う。ここでは、図8のステップS113において給気予熱による湯の循環を行う際に、循環回路に残っている冷水の比率を求めて、高温注湯量を補正する。
図16は、高温注湯量を補正する処理を示す流れ図である。この処理は、図8のステップS113の中で行われる。給気予熱の実行中は、循環ポンプ33が駆動されており、循環回路内を湯が循環する。このとき図9のステップS203と同様にして、高温の湯と低温の水の比率を測定する(ステップS301)。特に、給気予熱による循環を開始した直後に測定することが好ましい。そして、測定した比率に相当する量の湯が次回の高温注湯時(次に図8のステップS112を実行するとき)に余分に注湯されるように高温注湯量を補正する(ステップS302)。
たとえば、水と湯の比率が1:19で、循環回路の容量が1500ccの場合、75ccの水が置換されずに残っていたことになるので、その2倍の量の湯を加算するように高温注湯量を補正する。
補正により高温注湯量が増えることで、次回の高温注湯時に浴槽5に溢れ出る湯の量も増えるが、給気予熱が完了したときには、循環回路内の湯全体が放熱により低温(たとえば、60℃→30℃に低下する)になっているので、先ほど説明したように、合流点で水と混合されて浴槽5に流出し、火傷の心配はない。
循環回路の中の一部に水が残っていると、給気予熱の稼動中に放熱器52を水がときどき流れるので、そのとき給気口から冷たい空気が入っているようになり、利用者に不快な思いを与えることがある。しかし、上記の補正により、次回以後の高温注湯では、循環回路内の全体を高温の湯で満たすことができるので、放熱器52を通して室内に入る空気の温度を安定化でき、快適な給気予熱を継続することができる。
さらに、この時、風呂戻り温度センサ36で検出される温度が高い時(高温湯強制排水直後)では循環ポンプ33の回転数を低くし、風呂戻り温度センサ36で検出される温度が低くなるほど(次回高温湯強制排水が近く場合に)循環ポンプ33の回転数を高くするように制御すれば、放熱ユニット50の放熱器52を通して室内に導入される空気の温度を一定化することができ、より好ましい制御となる。
次に、前述した前提条件1についての補足説明を行う。
事前に浴槽水を給気予熱に用いた場合の放熱状況(外気温別の放熱状態)から、給気予熱用に接続されている放熱器52(マイクロ扁平管熱交換器)の個数や容量を把握する。具体的には、設定(2)の状態で給気予熱を行うが、この時に一時的に循環ポンプ33を停止する。ポンプ停止時には循環回路内に2つの温度が存在する。1つは、浴槽5から放熱器52までの間にある浴槽5内の浴槽水とほぼ同じ温度の湯、他の1つは、放熱器52にて熱を奪われた少しだけ温度の下がった湯である。この少しだけ温度が下がった湯は、放熱器52→風呂戻り温度センサ36→循環ポンプ33→浴槽5のような経路で浴槽5に戻る。
循環ポンプ33停止後の所定時間の経過後には循環回路内に3つの温度が存在する。これは放熱器52内の水温が大きく低下するからである。この状態で循環ポンプ33の運転を再開すると、風呂戻り温度センサ36の検出する温度の変化状況で、放熱器52の個数や容量(正確には大きく水温の下がった部分の湯水の通過時間)を把握することができる。さらに、給気予熱の通常運転時の放熱状況から外気温別の放熱状態も調べておく。
<放熱器52の個数について>
放熱器52が1個の場合には、風呂戻り温度センサ36での検温で1か所の温度低下が測定されるが、放熱器52が2個の場合には、風呂戻り温度センサ36での検温で必ずしも2か所の温度低下が現れるものではなく、1か所の温度低下が測定される場合がある。すなわち、図17に示すように、2個の放熱器52が並列に接続されている場合に、第1三方弁41と洋室1の放熱器52までの配管距離1と、第1三方弁41と洋室2の放熱器52までの配管距離2がほぼ同じならば、風呂戻り温度センサ36での検温で1か所の温度低下となり、配管距離1と配管距離2に差(距離差)があると、風呂戻り温度センサ36での検温で2か所の温度低下を示す。
距離差がない状態で、図9の処理で算出した循環回路の容量に基づいて高温の湯を注湯(高温湯強制排水)すると、洋室1の放熱器52と洋室2の放熱器52において略同時に水から高温湯への置換が終了するが、距離差が大きい場合、配管距離の短い配管距離1(洋室1)側の放熱器52の方が、置換が早く終了し、配管距離2(洋室2)側の放熱器52の方が遅く置換が終了することになる。
すなわち、風呂戻り温度センサ36での検温で検出した放熱器52の個数に応じて、図9の処理で算出した循環回路の容量に基づく高温注湯量を補正することで、より高い精度で循環回路内全体を高温の湯で満たすことが可能になる。
より詳細には、放熱器52が2個並列接続の時には、図8のステップS111の注湯で、合流点から放熱器52側に一部冷水が少量残る場合がある。そして、配管距離1と配管距離2の距離差があると、上述のように、より多くの量の冷水が残ることになる。すなわち、より多くの冷水残りが発生するか否かは、事前に風呂戻り温度センサ36での検温で2か所(あるいはそれ以上)の温度低下が検出されるか否かで推定することができる。さらに冷水の残りの程度は、直列接続の場合には、より多くなるが、これも上述のように事前に把握することができる。
図8のステップS111の注湯で、図9の処理で算出した循環回路の容量(例えば演算で求めた1500cc)に基づいて高温の湯を注湯(先に300cc注湯しているので合計1500cc注湯する為には、1500cc−300ccの注湯量演算を行って1200ccを注湯)すると、放熱器52が1個接続ならば、冷水残りに起因して給気予熱時に給気口から時々冷たい空気が入って来るという暖房途切れの問題は発生しにくい。
しかし、放熱器52が複数接続されていると、暖房途切れ問題が発生するので、これを軽微とする為に、図9の処理で算出した循環回路の容量に基づく高温注湯量を、事前に学習した放熱器52の個数に応じて補正して、冷水残りの発生量が少なくなるような高温注湯量を補正(第1補正注湯量)する。具体的には、並列接続の仮定で高温注湯量を増やすように補正する。なお、並列接続を仮定するのは、直列接続を仮定すると、高温湯が浴槽に至る危険性があるので、それを避けるためである。
<放熱状況について>
たとえば、排熱回収の対象が燃料電池の場合、夜間に貯湯タンク10が満畜となって強制排水の必要性に迫られる。この時、第1強制排水処理に伴う給気予熱で循環ポンプ33の回転数を最大としたときの放熱量が、強制排水で貯湯タンク10から排出すべき排熱量に対して、排熱量≦放熱量の関係にあれば、排熱量=放熱量、となるように循環ポンプ33の回転数を調整する。なお、排熱量は燃料電池の運転状況や、貯湯タンク10に例えば20リットル毎の温度を測定するための設けられている温度センサの温度変化などから推定しても良い。
排熱量>放熱量であるにもかかわらず、第1強制排水処理による給気予熱を行うと、給気予熱での放熱で冷え切る前に、次回の強制排水の要求が発生するので、その要求に基づいて、第1強制排水処理を実施すると、放熱で十分冷えていない火傷をする恐れのある温度の湯が浴槽5に押し出されてしまう。そこで、放熱で十分冷えていない火傷をする恐れのある温度の湯が浴槽5に押し出される「可能性」がある場合、すなわち、排熱量>放熱量、の場合には、貯湯タンク10から強制排出される高温湯をそのまま循環回路に注湯するのではなく、給水と混合して温度を下げた湯を注湯する。これにより、強制排水の要求に応えつつ、火傷を防止することができる。この場合、1回の強制排水での排熱量は少なくなる。
ただし、排熱量>放熱量 のために給水と混合して注湯する状態が長く続くと、次の強制排水の要求タイミングがすぐに来てしまい、混合後の湯温もそれに従って低く(放熱量が小さく)なってしまう。
そこで、事前に、排熱量>放熱量の状態となるか否かを「推定」判断して、排熱量≦放熱量となるまで、強制排水すべき高温の湯の一部を給水と混合して浴槽5に排出し、残りの高温の湯を循環回路に注湯して必要量の強制排水を行う。このようにすれば、放熱器52での放熱効率の低下を避けつつ、浴槽5に排出する湯による火傷も防止することができる。
なお、循環させると湯温と外気温との差が大きいほど放熱量が多くなるが、外気温がどのように変化していくのか、また、貯湯タンク10内の湯を利用者がいつ使用するのか等が不明確なため、「可能性」「推定」に基づく制御となるが、循環ポンプ33の回転数最大時に排熱量≦放熱量となるのか、排熱量>放熱量となるのかで、制御を切り替えなければよい。そして、このためには、前提条件1の外気温別の放熱状態の把握が必要となる。
図18は、上記の制御を示す流れ図である。第1強制排水処理を行うに際して、強制排水で貯湯タンク10から排出すべき排熱量と、給気予熱で放熱可能な放熱量とを比較し、排熱量≦放熱量、であれば(ステップS401;Yes)、循環回路全体に貯湯タンク10からの高温湯を注湯し、排熱量=放熱量、となるように、循環ポンプ33の回転数を制御して給気予熱を実施する(ステップS402)。
排熱量≦放熱量、でない場合は(ステップS401;No)、貯湯タンク10からの高温の湯に給水を混合して循環回路に注湯して強制排水を実行した回数(混合回数)が所定の上限回数を超えたか否かを判断する(ステップS403)。混合回数が上限回数以下ならば(ステップS403;No)、貯湯タンク10からの高温の湯に給水を混合して循環回路に注湯する混合湯注湯を行い、循環ポンプ33の回転数を最大にして給気予熱を実施する。なお、この給気予熱の完了時に循環回路内の湯が、浴槽5に排出しても火傷しない所定温度まで下がるように、給水の混合量を調整する。
混合回数が上限回数を超える場合は(ステップS403;Yes)、(排熱量−放熱量)分の熱量に相当する貯湯タンクからの湯に、浴槽5に排出しても火傷しない温度になるように給水を混合した混合湯を浴槽5に排出する(ステップS405)。その後、放熱量分の湯を循環回路に高温湯注湯し、循環ポンプ33の回転数最大で給気予熱を実施する(ステップS406)。
<放熱器の容量について>
例えば、建物の中央部が中空にされ、該中空部を囲む形で共用廊下が設けられて各部屋の入り口が該中空部分に面し、建物の外周全体にベランダが設けられた形態のマンション(所謂、タワーマンション)がある。このようなマンションの場合、外周ベランダ側は外の風が当たるのに対し、共用廊下側はほぼ無風のため、ベランダ側と共用廊下側で温度差が生じることがある。通常、風呂給湯器20等の燃焼装置を含むコージェネレーションシステムはベランダ側に設けられるため、システムが持つ外気温センサは、ベランダ側の気温のみを測温する。
洋室1がベランダ側のリビングで、洋室2が共用廊下側の寝室であった場合には、前述した放熱器52の個数調査における風呂戻り温度センサ36での検温で2か所の温度低下が測定され、かつ、その2か所の温度低下の程度に大きな差が生じる。このように温度低下の差が大きい場合には、洋室1と洋室2が極めて離れているので第1強制排水処理時の高温注湯量をより多めに補正すれば、循環回路内全体をより確実に高温の湯で満たすことができる。
さらに、たとえば、寝室側の放熱器52は、温かい中空部分に面しているので、ベランダ側の風呂給湯器20の外気温センサが検出した外気温に応じた放熱量の推定値を求めると、実際の放熱量が推定値より小さくなる。そのため給気予熱を実施した場合に、循環回路内の湯が十分冷える前に次の強制排水の要求が生じてしまう。そこで、図18のステップS404で混合すべき給水の比率や、ステップS405で給水と混合して火傷しない温度に下げて浴槽5に事前排出する湯量を増やすように補正することが必要になる。このように、火傷防止のためにも、放熱器52の容量把握(前提条件1)は有効になる。
以上のように、本発明の実施の形態に係る排熱利用システム2では、貯湯タンク10の湯を強制排水する要求があった場合に、放熱器52を含む循環回路に貯湯タンク10からの湯を排出し、該循環回路内の湯を循環させ、給気予熱の放熱器52による放熱で湯温を十分下げてから浴槽5に排水するので、エネルギーレベルの高い高温の状態で、熱を有効利用してから放熱し易い浴槽に排水することで、火傷を防止しつつ、強制排水される湯の熱を有効利用することができる。
また、循環回路の容量を測定する際や循環回路に高温の湯を満たす際に、予め水で循環回路を満たしておく等の対応により高温の湯が浴槽5に溢れ出ないようにしたので、火傷の心配もない。さらに、高温注湯量を補正することで、放熱器52の個数や容量、配置等に係らず、循環回路内を高温湯で満たすことができ、一時的に冷風が給気される不快感のない快適な給気予熱となると共に、各回の第1強制排水処理で最大量の湯を強制排水することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
実施の形態では、放熱ユニット50としてマイクロ扁平管熱交換器を使用する例を示したが、給気口に収まる小型とすれば、フィンーチューブタイプの熱交換器を使用してもよい。
また、実施の形態では、循環回路に風呂の追い焚き回路を流用したが、これに限定されるものではない。給気予熱の放熱器52専用に湯を循環させる循環回路、循環ポンプとしてもよい。