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JP6944899B2 - 地盤構造推定方法 - Google Patents
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JP6944899B2 - 地盤構造推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地盤構造の推定処理の処理負荷を比較的低減する技術に関する。
地盤の探査方法として表面波探査法があるが、地盤が深くなると探査精度が低下するという課題がある。深い地盤の探査が可能な方法として、弾性波トモグラフィがある。特許文献1には、弾性波トモグラフィによる地盤構造の探査方法が提案されている。
特開2007−298369号公報
従来の弾性波トモグラフィは、受振波を解析して地盤構造を推定するための処理負荷が大きい。
上記の背景に鑑み、地盤構造の推定における処理負荷を低減する手段を提供する。
上述した課題を解決するために、本発明は、水平方向の位置が互いに異なる複数の地表の発振点の各々に関し、当該地表の発振点において振動を起こし、水平方向の位置が互いに異なる複数の地表の受振点の各々において当該振動の表面波を受振する工程と、鉛直方向の位置が互いに異なる複数の地中の発振点の各々に関し、当該地中の発振点において振動を起こし、前記複数の地中の発振点と水平方向の位置が異なる複数の地中の受振点であって、鉛直方向の位置が互いに異なる複数の地中の受振点の各々において当該振動のP波を受振する工程と、受振した前記表面波に基づき、表面波探査法によって地盤のS波速度構造を推定する工程と、推定した前記S波速度構造に基づき初期パラメータを設定して、受振した前記P波に基づき、弾性波トモグラフィ法によって地盤のP波速度構造を推定する工程とを備える地盤構造推定方法を第1の態様として提供する。
第1の態様の地盤構造推定方法によれば、地盤構造の推定における処理負荷が低減される。
第1の態様の地盤構造推定方法において、推定した前記P波速度構造に基づき、地盤のせん断弾性係数の分布及びヤング率の分布の少なくとも一方を推定する工程を備える、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
第2の態様の地盤構造推定方法によれば、より詳細な地盤構造の推定が行われる。
第1又は第2の態様の地盤構造推定方法において、前記P波を受振する工程において起こされる振動は、構造部材を地盤に貫入させることにより起こされる、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
第3の態様の地盤構造推定方法によれば、構造部材を地盤に貫入させる作業に伴い、地盤構造の推定が行われる。
第3の態様の地盤構造推定方法において、前記構造部材の地盤への貫入の状態に基づき、地盤の硬さを推定する工程を備える、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
第4の態様の地盤構造推定方法によれば、構造部材を地盤に貫入させる作業に伴い、より詳細な地盤構造の推定が行われる。
第4の態様の地盤構造推定方法において、前記構造部材は標準貫入試験用サンプラーであり、前記標準貫入試験用サンプラーを用いた標準貫入試験を行う工程を備える、という構成が第5の態様として採用されてもよい。
第5の態様の地盤構造推定方法によれば、標準貫入試験に伴い、地盤構造の推定が行われる。
一実施形態に係る地盤構造推定システムの構成及び配置を示した図。 一実施形態に係る地盤構造推定装置の機能構成を示した図。 一実施形態に係る地盤構造推定方法の手順を例示した図。
[実施形態]
以下に本発明の一実施形態に係る地盤構造推定方法を説明する。図1は、一実施形態に係る地盤構造推定方法を実施するために用いられる地盤構造推定システム1の構成及び配置を示した図である。
地盤構造推定システム1は、まず、水平方向の位置が互いに異なる地表Gの点Aと点Bの間において、水平方向の位置が互いに異なる複数の地表Gの受振点に各々配置された複数の受振器11を備える。なお、点Aと点Bの距離は30〜50メートル程度が望ましいが、これに限られない。
受振器11は、後述する発振具13により地表Gの発振点において起こされた振動を受振する。より具体的には、受振器11は、受振した振動の大きさを継続的に計測し、計測結果を表すデータを継続的に出力する。受振器11から継続的に出力されるデータは振動の大きさの経時変化、すなわち波形を表す波形データとして地盤構造推定装置15(後述)に記憶される。受振器11としては、地表Gが露出していれば地上受振器(ジオフォン)が用いられ、地表Gが水中であれば水中受振器(ハイドロフォン)が用いられる。なお、複数の受振器11は、例えば水平方向に1〜2メートル程度の一定間隔で配置されることが望ましいが、複数の受振器11の各々の位置が既知である限り、受振器11の間隔は問わない。
また、地盤構造推定システム1は、地表Gの点Bから下方に向かい延伸する掘削孔9内、すなわち地中の、鉛直方向の位置が互いに異なる複数の受振点に各々配置された複数の受振器12を備える。受振器12は、後述する発振具14により地中の発振点において起こされた振動を受振する。より具体的には、受振器12は、受振した振動の大きさを継続的に計測し、計測結果を示すデータを出力する。受振器12から継続的に出力されるデータは振動の大きさの経時変化、すなわち波形を表す波形データとして地盤構造推定装置15(後述)に記憶される。受振器12としては、水中受振器(ハイドロフォン)が用いられる。なお、複数の受振器12は、例えば鉛直方向に1〜2メートル程度の一定間隔で配置されることが望ましいが、複数の受振器12の各々の位置が既知である限り、受振器12の間隔は問わない。
また、地盤構造推定システム1は、地表Gの発振点において振動を起こす発振具13を備える。発振具13としては、例えばカケヤが用いられるが、地表Gにおいて振動を起こすことができる限り、発振具13はどのような器具又は装置であってもよい。発振具13は振動を起こしたタイミングで発振通知データを出力する機能を有する。
また、地盤構造推定システム1は、点Aの下方に位置する地中の発振点において振動を起こす発振具14を備える。発振具14としては、例えば圧電振動板により振動を起こす発振装置が用いられるが、地中において振動を起こすことができる限り、発振具14はどのような器具又は装置であってもよい。発振具14は振動を起こしたタイミングで発振通知データを出力する機能を有する。
また、地盤構造推定システム1は、受振器11及び受振器12が受振した振動に基づき地盤構造を推定する地盤構造推定装置15を備える。地盤構造推定装置15は、例えばコンピュータが本実施形態に係るプログラムに従う処理を行うことにより実現されるが、それに代えて、地盤構造推定装置15が専用装置として構成されてもよい。
図2は、地盤構造推定装置15の機能構成を示した図である。地盤構造推定装置15は、まず、各種データを記憶する記憶手段150と、現在の時刻を継続的に計測する計時手段151を備える。
また、地盤構造推定装置15は、発振具13及び発振具14の各々から、それらの発振具が振動を起こしたタイミングで出力される発振通知データを取得する発振通知データ取得手段152を備える。発振通知データ取得手段152が取得する発振通知データには、当該発振通知データを出力した発振具を識別する識別データが伴っている。発振通知データ取得手段152は、発振通知データを取得すると、取得した時点の現在時刻を示す時刻データを計時手段151から取得し、発振通知データに時刻データを対応付けて、記憶手段150に記憶させる。
また、地盤構造推定装置15は、複数の受振器11及び複数の受振器12の各々から、それらの受振器が受振した振動の大きさを示すデータを継続的に取得する波形データ取得手段153を備える。波形データ取得手段153が取得するデータには、当該データを出力した受振器を識別する識別データが伴っている。波形データ取得手段153は、受振器11又は受振器12からデータを取得すると、取得した時点の現在時刻を示す時刻データを計時手段151から取得し、受振器11又は受振器12から取得したデータに時刻データを対応付けて、記憶手段150に記憶させる。波形データ取得手段153が同じ受振器11又は受振器12から継続的に取得し記憶手段150に記憶されるデータは、振動の大きさの経時変化、すなわち波形を表す波形データとなる。
また、地盤構造推定装置15は、記憶手段150に記憶されているデータのうち、発振通知データ取得手段152が発振具13から取得した発振通知データ及び当該発振通知データに対応付けて記憶されている時刻データと、波形データ取得手段153が受振器11から取得した波形データを用いて、地盤のS波速度構造を推定するS波速度構造推定手段154を備える。
なお、一般に地盤中を伝播する振動の表面波の伝播速度は、当該振動のS波の伝播速度の0.9倍乃至0.95倍である。S波速度構造推定手段154は、この表面波とS波の伝播速度の関係を用いて、波形データが表す表面波の周波数に応じた伝播速度をS波の伝播速度に換算し、地盤のS波速度構造を推定する。
S波速度構造推定手段154は、推定した地盤のS波速度構造を表すS波速度構造データを記憶手段150に記憶させる。
また、地盤構造推定装置15は、記憶手段150に記憶されているデータのうち、発振通知データ取得手段152が発振具14から取得した発振通知データ及び当該発振通知データに対応付けて記憶されている時刻データと、波形データ取得手段153が受振器12から取得した一連の波形データ及び当該波形データに対応付けて記憶されている時刻データと、S波速度構造データを用いて、地盤のP波速度構造を推定するP波速度構造推定手段155を備える。P波速度構造推定手段155は、推定した地盤のP波速度構造を表すP波速度構造データを記憶手段150に記憶させる。
また、地盤構造推定装置15は、記憶手段150に記憶されているデータのうち、S波速度構造データとP波速度構造データを用いて、地盤のヤング率の分布を推定するヤング率分布推定手段156を備える。ヤング率分布推定手段156は、推定した地盤のヤング率の分布を表すヤング率分布データを記憶手段150に記憶させる。
また、地盤構造推定装置15は、記憶手段150に記憶されているデータのうち、S波速度構造データとP波速度構造データを用いて、地盤のせん断弾性係数の分布を推定するせん断弾性係数分布推定手段157を備える。せん断弾性係数分布推定手段157は、推定した地盤のせん断弾性係数の分布を表すせん断弾性係数分布データを記憶手段150に記憶させる。
続いて、地盤構造推定システム1を用いて実施される、本実施形態に係る地盤構造推定方法(以下、「地盤構造推定方法M」という)を説明する。
地盤構造推定方法Mは、大きく以下の工程を備える。
(工程P1)点Aと点Bの間において、水平方向の位置が互いに異なる複数の地表Gの発振点の各々において発振具13により振動を起こし、当該振動の表面波を複数の受振器11により受振する工程。
(工程P2)複数の受振器11により受振した表面波に基づき、地盤構造推定装置15のS波速度構造推定手段154が地盤のS波速度構造を推定する工程。
(工程P3)点Aの下方において、鉛直方向の位置が互いに異なる複数の地中の発振点の各々に関し、当該発振点において発振具14により振動を起こし、当該振動のP波を複数の受振器12により受振する工程。
(工程P4)推定したS波速度構造と、受振したP波に基づき、地盤構造推定装置15のP波速度構造推定手段155が地盤のP波速度構造を推定する工程。
(工程P5)推定したP波速度構造に基づき、地盤構造推定装置15のヤング率分布推定手段156が地盤のヤング率の分布を推定する工程。
(工程P6)推定したP波速度構造に基づき、地盤構造推定装置15のせん断弾性係数分布推定手段157が地盤のせん断弾性係数の分布を推定する工程。
なお、上記の工程P5及び工程P6の順序は問わない。
図3は、上記の工程を含む地盤構造推定方法Mの手順の一例を示した図である。
まず、作業者は、地表Gの点Aと点Bの間に設定された、水平方向の位置が互いに異なる複数の発振点、すなわち、発振点X1、X2、・・・、Xn(ただし、nは任意の自然数)(以下、発振点X1、X2、・・・、Xnを「発振点X」と総称する)のうち、1番目の発振点X、すなわち発振点X1において、発振具13を用いて振動を起こす(ステップS101)。なお、複数の発振点Xは、例えば水平方向に1〜2メートル程度の一定間隔で配置されることが望ましいが、複数の発振点Xの各々の位置が既知である限り、発振点Xの間隔は問わない。
ステップS101において、地盤構造推定装置15の記憶手段150には、発振点X1において振動が起こされた時刻を示す時刻データが記憶される。
複数の受振器11の各々は、ステップS101において起こされ、地盤中を伝播した振動の表面波を受振する(ステップS102)。ステップS102において、地盤構造推定装置15の記憶手段150には、複数の受振器11の各々に関し、当該受振器11が受振した表面波の波形を表す波形データが記憶される。
続いて、作業者は、次の発振点X(以下、「発振点Xi」(ただし、iは2以上n以下の自然数)とする)において、ステップS101と同様に、発振具13を用いて振動を起こす(ステップS103)。ステップS103において、地盤構造推定装置15の記憶手段150には、発振点Xiにおいて振動が起こされた時刻を示す時刻データが記憶される。
複数の受振器11の各々は、ステップS103において起こされ、地盤中を伝播した振動の表面波を受振する(ステップS104)。ステップS104において、地盤構造推定装置15の記憶手段150には、複数の受振器11の各々に関し、当該受振器11が受振した表面波の波形を表す波形データが記憶される。
作業者は、さらに次の発振点Xがある場合(ステップS105;Yes)、その発振点Xに関し、ステップS103の作業を繰り返す。その結果、地盤構造推定装置15の記憶手段150には、新たな発振点Xiにおいて振動が起こされた時刻を示す時刻データと、当該振動に関し複数の受振器11の各々が受振した表面波の波形を表す波形データが記憶される。
一方、作業者は、さらに次の発振点Xがない場合(ステップS105;No)、発振具13を用いて振動を起こす作業を終了し、地表Gの点Aから下方に延伸するように予め設けられている掘削孔8の中に設定された、鉛直方向の位置が互いに異なる複数の発振点、すなわち、発振点Y1、Y2、・・・、Ym(ただし、mは任意の自然数)(以下、発振点Y1、Y2、・・・、Ymを「発振点Y」と総称する)のうち、1番目の発振点Y、すなわち発振点Y1において、発振具14を用いて振動を起こす(ステップS201)。なお、複数の発振点Yは、例えば鉛直方向に1〜2メートル程度の一定間隔で配置されることが望ましいが、複数の発振点Yの各々の位置が既知である限り、発振点Yの間隔は問わない。
ステップS201において、地盤構造推定装置15の記憶手段150には、発振点Y1において振動が起こされた時刻を示す時刻データが記憶される。
複数の受振器12の各々は、ステップS201において起こされ、地盤中を伝播した振動のP波を受振する(ステップS202)。ステップS202において、地盤構造推定装置15の記憶手段150には、複数の受振器12の各々に関し、当該受振器12が受振したP波の波形を表す波形データが記憶される。
続いて、作業者は、次の発振点Y(以下、「発振点Yj」(ただし、jは2以上m以下の自然数)とする)において、ステップS201と同様に、発振具14を用いて振動を起こす(ステップS203)。ステップS203において、地盤構造推定装置15の記憶手段150には、発振点Yjにおいて振動が起こされた時刻を示す時刻データが記憶される。
複数の受振器12の各々は、ステップS203において起こされ、地盤中を伝播した振動のP波を受振する(ステップS204)。ステップS204において、地盤構造推定装置15の記憶手段150には、複数の受振器12の各々に関し、当該受振器12が受振したP波の波形を表す波形データが記憶される。
作業者は、さらに次の発振点Yがある場合(ステップS205;Yes)、その発振点Yに関し、ステップS203の作業を繰り返す。その結果、地盤構造推定装置15の記憶手段150には、新たな発振点Yjにおいて振動が起こされた時刻を示す時刻データと、当該振動に関し複数の受振器12の各々が受振したP波の波形を表す波形データが記憶される。
一方、作業者は、さらに次の発振点Yがない場合(ステップS205;No)、地盤構造推定装置15に対しS波速度構造の推定を指示する。この指示に応じて、地盤構造推定装置15のS波速度構造推定手段154は、記憶手段150に記憶されている時刻データが示す複数の発振点Xの各々における振動の発振時刻と、それらの振動の各々に応じた波形データが表す、複数の受振器11の各々により受振された表面波に基づき、地盤の浅い部分(例えば、地表Gから深さ15メートル程度の位置までの部分、図1の領域C)のS波速度構造を推定する(ステップS301)。
なお、ステップS301においてS波速度構造推定手段154が行うS波速度構造の推定は、既知の表面波探査法に従うため、その説明を省略する。
ステップS301において、地盤構造推定装置15の記憶手段150には、推定されたS波速度構造を表すS波速度構造データが記憶される。
続いて、作業者は、発振具14を用いて振動を起こす作業を終了し、地盤構造推定装置15に対しP波速度構造の推定を指示する。この指示に応じて、地盤構造推定装置15のP波速度構造推定手段155は、まず、記憶手段150に記憶されているS波速度構造データが表す地盤の領域CにおけるS波速度構造から、地盤の領域Cと領域Cより深い部分(例えば、地表Gから深さ30〜50メートル程度の位置までの部分、図1の領域D)のP波速度構造を弾性波トモグラフィ法に従い推定するための初期パラメータを設定する(ステップS302)。
一般に地盤中を伝播する振動のS波の伝播速度とP波の伝播速度の間には、概ね以下の式1に表される関係が成立することが知られている。
Figure 0006944899
ただし、VpはP波の伝播速度、VsはS波の伝播速度、νは地盤のポアソン比である。
また、地盤のポアソン比は、一般に0.2〜0.4程度の値をとる。従って、P波速度構造推定手段155は、ステップS302において、例えばν=0.3と仮定して式1に従い、領域Cを構成する複数のセルの各々のP波の伝播速度を、S波速度構造推定手段154により推定された当該セルのS波の伝播速度に基づき算出し、算出したP波の伝播速度の推定値を、当該セルの初期パラメータとして設定する。なお、本願において「セル」とは、弾性波トモグラフィ法により地盤のP波速度構造の推定を行う対象領域を複数に区分して得られる部分領域を意味する。なお、各セルにおいて、P波の速度は同じであるとみなされる。
また、P波速度構造推定手段155は、ステップS302において、領域Dの領域C以外の部分を構成する複数のセルの各々に、例えば当該セルの直上の領域C内のセルのうち最も深いセルに設定した初期パラメータと同じ初期パラメータを設定する。この例は、領域Dの領域C以外の部分のP波速度構造が領域Cの下端部分のP波速度構造と同じである、と仮定して、領域Dの領域C以外の部分のセルの初期パラメータを設定する例であるが、例えば所定の既定値をそれらのセルの初期パラメータとしてもよい。
続いて、P波速度構造推定手段155は、記憶手段150に記憶されている時刻データが示す複数の発振点Yの各々における振動の発振時刻と、それらの振動の各々に応じた波形データが表す、複数の受振器12の各々により受振されたP波に基づき、ステップS302において設定した初期パラメータを用いて、地盤の領域D(図1)のP波速度構造を推定する(ステップS303)。
なお、ステップS303においてP波速度構造推定手段155が行うP波速度構造の推定は、既知の弾性波トモグラフィ法に従うため、その説明を省略する。
ステップS303において、地盤構造推定装置15の記憶手段150には、推定されたP波速度構造を表すP波速度構造データが記憶される。
続いて、地盤構造推定装置15のヤング率分布推定手段156は、例えば以下の式2に従い、領域Dのヤング率の分布、すなわち、領域Dの各セルのヤング率を推定する(ステップS304)。
Figure 0006944899
ただし、Eはヤング率、νは地盤のポアソン比、ρは地盤の密度、VpはP波の伝播速度である。ヤング率分布推定手段156は、νの値として例えば0.3を用い、ρの値として例えば2.0(g/cm3)を用い、VpとしてステップS303において推定されたP波の伝播速度を用いる。ここで、ρ=2.0(g/cm3)は一般的な地盤の密度であるが、これに代えて、例えば領域Dの土のサンプルから計測した密度がρとして用いられてもよい。
ステップS304において、地盤構造推定装置15の記憶手段150には、推定されたヤング率の分布を表すヤング率分布データが記憶される。
続いて、地盤構造推定装置15のせん断弾性係数分布推定手段157は、以下の式3に従い、領域Dのせん断弾性係数の分布、すなわち、領域Dの各セルのせん断弾性係数を推定する(ステップS305)。
Figure 0006944899
ただし、Gはせん断弾性係数、νは地盤のポアソン比、Eはヤング率である。せん断弾性係数分布推定手段157は、νの値として例えば0.3を用い、EとしてステップS304において推定されたヤング率を用いる。
ステップS305において、地盤構造推定装置15の記憶手段150には、推定されたせん断弾性係数の分布を表すせん断弾性係数分布データが記憶される。
上記のように地盤構造推定装置15の記憶手段150に記憶されたP波速度構造データ、ヤング率分布データ、せん断弾性係数分布データは、地盤の領域Dの特性をセル毎に示す。地盤構造推定方法Mによれば、表面波探査法により推定されたS波速度構造に基づき推定されたP波の伝播速度が、弾性波トモグラフィ法によるP波速度構造の推定において初期パラメータとして用いられる。そのため、弾性波トモグラフィ法によるP波速度構造の推定における初期パラメータとして、例えば所定の既定値が用いられる場合と比較し、各セルのP波の伝播速度が容易に特定される。その結果、地盤のP波速度構造の推定に要する処理負荷が大幅に低減される。
[変形例]
上述の実施形態は様々に変形され得る。以下に、それらの変形の例を示す。なお、以下に示す2以上の変形例が適宜組み合わされてもよい。
上述の実施形態においては、予め点Aから下方に延伸するように掘削孔8が設けられており、掘削孔8内の発振点Yに配置された発振具14により発振が行われる。これに代えて、掘削孔8が設けられていない状態の地表Gの点Aから発振具14を地盤に貫入させながら、発振具14が複数の発振点Yの各々に達する毎に発振具14に発振を行わせてもよい。
発振具14が打撃に耐え得る構造部材(平鋼、山形鋼、I形鋼等)であれば、発振具14が打撃により地盤に貫入されてもよい。この場合、発振具14がP波を受振する工程において起こされる振動は、発振具14を地盤に貫入させることにより起こされてもよい。
発振具14として、地盤調査を主目的としない地盤へ貫入される構造部材が採用されてもよい。そのような構造部材としては、鋼管杭、PHC杭、鋼管矢板等が例示される。この場合、これらの構造部材が油圧ハンマーやディーゼルハンマー等で地盤に貫入される時に、P波速度構造の推定に用いられる振動が起こされる。
地盤構造推定方法Mが、発振具14(構造部材の一例)の地盤への貫入の状態に基づき、地盤の硬さを推定する工程を備えてもよい。この場合、点Aから下方に延伸する領域の地盤の硬さに関する正解値の獲得と、領域DのP波速度構造の推定が同時に行われる。
上記の地盤の硬さを推定する工程において、発振具14(構造部材)として標準貫入試験用サンプラーを用いて標準貫入試験が行われてもよい。この場合、標準貫入試験において標準貫入試験用サンプラーが地盤に貫入される際に標準貫入試験用サンプラーによって地盤内に振動が起こされる。標準貫入試験に代えて、ラムサウンディング試験、動的コーン貫入試験、ピエゾドライブコーン試験(液状化ポテンシャルサウンディング試験)等の他の試験が採用されてもよい。例えば、ピエゾドライブコーン試験が採用される場合、地盤の硬さに加え、土質に関する情報も得られる。これらの試験により得られた情報(地盤の硬さ等)が、P波速度構造の推定に用いられてもよい。
上述の実施形態においては、S波速度構造の推定に用いられる振動は、発振具13により起こされる。これに代えて、S波速度構造推定手段154が、地盤の常時微動を用いてS波速度構造を推定してもよい。
上述の実施形態において用いられる数式は一例であって、それらと異なる数式が用いられてもよい。
1…地盤構造推定システム、8…掘削孔、9…掘削孔、11…受振器、12…受振器、13…発振具、14…発振具、15…地盤構造推定装置、150…記憶手段、151…計時手段、152…発振通知データ取得手段、153…波形データ取得手段、154…S波速度構造推定手段、155…P波速度構造推定手段、156…ヤング率分布推定手段、157…せん断弾性係数分布推定手段。

Claims (5)

  1. 水平方向の位置が互いに異なる複数の地表の発振点の各々に関し、当該地表の発振点において振動を起こし、水平方向の位置が互いに異なる複数の地表の受振点の各々において当該振動の表面波を受振する工程と、
    鉛直方向の位置が互いに異なる複数の地中の発振点の各々に関し、当該地中の発振点において振動を起こし、前記複数の地中の発振点と水平方向の位置が異なる複数の地中の受振点であって、鉛直方向の位置が互いに異なる複数の地中の受振点の各々において当該振動のP波を受振する工程と、
    受振した前記表面波に基づき、表面波探査法によって地盤のS波速度構造を推定する工程と、
    推定した前記S波速度構造に基づき初期パラメータを設定して、受振した前記P波に基づき、弾性波トモグラフィ法によって地盤のP波速度構造を推定する工程と
    を備える地盤構造推定方法。
  2. 推定した前記P波速度構造に基づき、地盤のせん断弾性係数の分布及びヤング率の分布の少なくとも一方を推定する工程を備える
    請求項1に記載の地盤構造推定方法。
  3. 前記P波を受振する工程において起こされる振動は、構造部材を地盤に貫入させることにより起こされる
    請求項1又は2に記載の地盤構造推定方法。
  4. 前記構造部材の地盤への貫入の状態に基づき、地盤の硬さを推定する工程を備える
    請求項3に記載の地盤構造推定方法。
  5. 前記構造部材は標準貫入試験用サンプラーであり、前記標準貫入試験用サンプラーを用いた標準貫入試験を行う工程を備える
    請求項4に記載の地盤構造推定方法。
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