(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る車両用ドアアシスト装置10を車両のサイドドア1に適用して説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る車両用ドアアシスト装置10が適用されるサイドドア1の構成を模式的に示す正面図である。図2は、サイドドア1の要部を拡大して示す正面図である。図3は、図1に示すAA線に沿うサイドドア1の要部を示す断面図である。図4は、車両用ドアアシスト装置10の構成を示すブロック図である。
サイドドア1は、フロントピラーとセンタピラーとの間のドア開口部を開閉するフロント側のサイドドアである。サイドドア1は、その前端部がヒンジ機構(図示せず)を介して車体と連結され、ヒンジ機構を中心に回動可能に構成されている。サイドドア1は、ドア本体2と、ドアサッシュ3と、ドアトリム5とを主体に構成されている。
ドア本体2は、室外側のドア半体を形成するドアアウタパネル2aと、室内側のドア半体を形成するドアインナパネル2bとを備えている。ドアアウタパネル2a及びドアインナパネル2bは、周縁部同士が接合され、その内部に空間が形成された閉断面に構成されている。
ドアサッシュ3は、ドア本体2の上部に設けられており、ドアウインドウ4の昇降を案内する。ドアサッシュ3は、ドア本体2の上方に位置して前後方向に沿う上枠部3aと、上枠部3aの前端とドア本体2とを連結する前枠部3bと、上枠部3aの後端とドア本体2とを連結する後枠部3cと、から構成されている。
ドアトリム5は、車両室内を装飾する内装部品であり、ドア本体2(ドアインナパネル2b)の車両室内側に、当該ドア本体2を覆うように設けられている。ドアトリム5は、適宜の合成樹脂材を用いた型成形により製造されている。このドアトリム5は、ドアインナパネル2bの主要部を覆うトリム側面50と、ドアトリム5のドアウエスト部5a(上縁部)に、車両前後方向に沿って設けられて車両室内側へ張り出したトリム上面51とで構成されている。トリム側面50とトリム上面51とは一体に形成されており、トリム側面50は、トリム上面51の端縁から曲折して下方へ延びている。
ドアトリム5のドアウエスト部5aよりも下方には、車両室内の乗員が操作をすることができるインサイドハンドル6が取り付けられている。インサイドハンドル6は、ドアトリム5に形成された開口部5bに配置されている。インサイドハンドル6は、開口部5bに配設されるハンドル収容部材(エスカッション)に収容状態となる閉位置と、車両室内側の所定位置まで回動した開位置との範囲で回動する。このインサイドハンドル6には、ケーブル装置を介してドアロック装置が連結されている。インサイドハンドル6が閉位置の場合、ドアロック装置のラッチ部は車体と係合した係合状態となる。そのため、サイドドア1は閉じた状態で維持される。一方、インサイドハンドル6が閉位置から開位置まで操作されると、ケーブル装置が引っ張られ、これにより、ドアロック装置の可動点が操作され、ラッチ部と車体との係合状態が解除される。この状態で、乗員がサイドドア1に外側へ押し出す方向の操作力を与えると、サイドドア1が回動し、車体のドア開口部を開放することができる。
また、ドアトリム5のインサイドハンドル6よりも下方には、前後方向に延在するアームレスト7が設けられている。
さらに、ドアトリム5のドアウエスト部5aには、ガイド部8が設けられている。ガイド部8は、乗員がサイドドア1を回動操作する場合において掌を添える位置を案内するものであり、ドアトリム5の表面に設けられている。乗員は、ガイド部8に掌を添えて、当該ガイド部8に押圧力を入力することにより、サイドドア1を開方向へと回動させることができる。換言すれば、ガイド部8は、サイドドア1を回動操作するための操作力が乗員の掌を介して入力されるドア操作部に相当する。
ガイド部8は、ドアトリム5の表面に、掌を模した模様として表されている。ガイド部8は、一般的な成人男性の掌の大きさ、形状に基づいて作成されている。ガイド部8は、掌の指先側が上方、かつ掌の手首側が下方となる姿勢で、トリム上面51とトリム側面50との両者に跨がるように配置されている。乗員がガイド部8に掌を添える際には、トリム上面51に沿って若干指を折り曲げるような格好となる。なお、ガイド部8は、模様以外にも、ドアトリム5の表面を掌の外形に合わせて膨出させた構造など、乗員に対して掌を添える位置を案内することができる種々の形態を採用することができる。
車両用ドアアシスト装置10は、第1圧力センサ11、第2圧力センサ12、パルスセンサ13、駆動ユニット20、ドア保持機構30及びECU(Electronic Control Unit)40で構成されている。
第1圧力センサ11は、ガイド部8に設けられている。第1圧力センサ11は、ガイド部8に作用する圧力を検出するものであり、ガイド部8のうち掌の手首側の部位が接触する第1範囲A1に配置されている。すなわち、第1圧力センサ11は、サイドドア1を回動操作する場合においてガイド部8に接触する乗員の掌のうち手首側の接触部位(第1接触部位)H1から作用する圧力を検出する。
第2圧力センサ12は、ガイド部8に設けられている。第2圧力センサ12は、ガイド部8に作用する圧力を検出するものであり、ガイド部8のうち掌の指先側の部位が接触する第2範囲A2に配置されている。すなわち、第2圧力センサ12は、サイドドア1を回動する場合においてガイド部8に接触する乗員の掌のうち指先側の接触部位(第2接触部位)H2から作用する圧力を検出する。
このように、第1圧力センサ11が配置される第1範囲A1と第2圧力センサ12が配置される第2範囲A2とは重複せず、各々独立したものとなっている。これにより、サイドドア1を回動操作する際にガイド部8に同時に接触することとなる掌の異なる部位(2つの接触部位)が、圧力センサ11,12においてそれぞれ検知される。ここで、第1範囲A1は、第2範囲A2よりも広い面積とされている。これは、手首側の面積の方が指先側の面積よりも大きいことから、第1圧力センサ11において圧力を確実に検出するためである。各範囲A1,A2に圧力が作用すると、その圧力に応じた信号が圧力センサ11,12からECU40へと出力される。
パルスセンサ13は、サイドドア1の開度を検知するセンサである。パルスセンサ13は、例えばヒンジ機構に設けられており、サイドドア1の回動に応じたパルス信号を出力する。パルス信号に現れる単位時間あたりのパルスの変化からサイドドア1の回動速度を特定することができ、また、サイドドア1の閉状態を起点としてパルス数をカウントすることでサイドドア1の開度を特定することができる。パルスセンサ13から出力されるパルス信号はECU40に入力される。
駆動ユニット20は、サイドドア1の回動操作を補助するアシスト力を出力する。駆動ユニット20は、駆動モータ21及びクラッチ22を主体に構成されている。
駆動モータ21は、サイドドア1と車体との連結部分に配置されている。駆動モータ21の駆動力は、ギアなどの動力伝達機構を介して、サイドドア1に伝達される。この駆動力により、サイドドア1の回動操作を補助するアシスト力を付与することができる。駆動モータ21の動作状態は、ECU40により制御される。
クラッチ22は、締結状態と開放状態とが切替可能に構成された動力伝達部材であり、駆動モータ21とサイドドア1との間の動力伝達経路に設けられている。クラッチ22を締結状態と開放状態とで切り替えることにより、駆動モータ21とサイドドア1との間の機械的な連結を繋いだり、切ったりすることができる。クラッチ22の状態は、ECU40により制御される。クラッチ22は、ECU40からオン指令を受けると締結状態(オン状態)となり、ECU40からオフ指令を受けると開放状態(オフ状態)となる。
ドア保持機構30は、サイドドア1の回動をロックし、サイドドア1を保持する機構である。ドア保持機構30は、車体又はサイドドア1の一方に設けられるロック部材31と、車体又はサイドドア1の他方に設けられる被ロック部材32とで構成されている。ロック部材31は、ロック位置と、非ロック位置との間で進退可能に構成されている。ロック部材31は、ロック位置において被ロック部材32と係合し、ロック位置から非ロック位置へと退くと、被ロック部材32に対する係合が解除される。
ロック部材31がロック位置にある場合、ロック部材31と被ロック部材32とが係合状態となるため、サイドドア1の回動が制限され、サイドドア1はその状態で保持される。一方、ロック部材31が非ロック位置にある場合、ロック部材31と被ロック部材32とが非係合状態となるため、サイドドア1の回動は制限されず、サイドドア1は外力に応じて回動する。ドア保持機構30の状態は、ECU40により制御される。ドア保持機構30は、ECU40からオン指令を受けるとロック部材31がロック位置(オン状態)となり、ECU40からオフ指令を受けるとロック部材31が非ロック位置(オフ状態)となる。
ECU40は、車両用ドアアシスト装置10に関する制御を司る制御部である。ECU40としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。本実施形態との関係において、ECU40は、第1圧力センサ11において検出された第1圧力値と、第2圧力センサ12において検出された第2圧力値との圧力差に基づいて、サイドドア1の回動操作を補助するアシスト力を制御する。
以下、本実施形態に係る車両用ドアアシスト装置10の動作を説明する。ここで、図5及び図6は、本実施形態に係る車両用ドアアシスト装置10の動作を説明するフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、サイドドア1の開方向への回動操作を補助する際の車両用ドアアシスト装置10の動作に関するものであり、ECU40により実行される。
まず、ステップ1(S1)において、ECU40は、サイドドア1が開かれているか否かを判断する。この判断は、パルスセンサ13のパルス信号に基づいて行われる。サイドドア1が開かれている場合、ステップ1において肯定判定され、ステップ2(S2)に進む。一方、サイドドア1が閉じている場合、ステップ1において否定判定され、ステップ2及びステップ3(S3)をスキップして、ステップ4(S4)に進む。
ステップ2において、ECU40は、ドア保持機構30がオン状態であるか否か、すなわち、ロック部材31がロック位置であるか否かを判断する。ドア保持機構30がオン状態である場合、ステップ2において肯定判定されるため、ステップ3をスキップして、ステップ4に進む。一方、ドア保持機構30がオン状態でない場合、ステップ2において否定判定され、ステップ3に進む。
ステップ3において、ECU40は、ドア保持機構30へ制御信号としてオン指令を出力し、ドア保持機構30をオン状態へと設定する。
ステップ2乃至3において、ECU40がドア保持機構30をオン状態へと設定する理由は、乗員から操作力が作用していない状態のサイドドア1が、風や車両駐車場所の傾斜といった外乱により、予期せずに開放されることを抑制するためである。
ステップ4において、ECU40は、第2圧力センサ12において圧力が検出されているか否か、すなわち、第2圧力センサ12において検出される圧力値(以下「第2圧力値」という)P2が0よりも大きいか否かを判断する(P2>0)。
ステップ4において否定判定された場合、すなわち、第2圧力値P2が0の場合には、ステップ1に戻る。一方、ステップ4において肯定判定された場合、すなわち、第2圧力値P2が0よりも大きい場合には、ステップ5(S5)に進む。
ステップ5において、ECU40は、ドア保持機構30がオン状態であるか否かを判断する。ドア保持機構30がオン状態である場合、ステップ5において肯定判定されるため、ステップ6(S6)に進む。一方、ドア保持機構30がオン状態でない場合、ステップ5において否定判定され、ステップ6をスキップしてステップ7(S7)に進む。
ステップ6において、ECU40は、ドア保持機構30へ制御指令としてオフ指令を出力し、ドア保持機構30をオフ状態へと設定する。これにより、ロック部材31がロック位置から非ロック位置へと切り替わる。
ステップ7において、ECU40は、クラッチ22へ制御指令(オン指令)を出力し、クラッチ22をオン状態へと設定する。これにより、クラッチ22が開放状態(オフ状態)から締結状態(オン状態)へと切り替わる。
ステップ8(S8)において、ECU40は、第1圧力センサ11において検出される圧力値(以下「第1圧力値」という)P1が第2圧力値P2よりも大きいか否かを判断する。
上述したステップ4において第2圧力値P2が0よりも大きいとの関係が成立しているため、第1圧力値P1が第2圧力値P2よりも大きいとの条件が成立する場合には、第1圧力値P1及び第2圧力値P2の双方が0よりも大きいとの関係が成立する(P1>0 and P2>0)。この関係により、乗員の掌がガイド部8に確実に添えられていること、すなわち、サイドドア1を回動操作するための姿勢をとっていることが確認される。
また、ドアウエスト部5aに設けられたガイド部8を掌で押し出すことでサイドドア1を回動操作する場合、掌の手首側の接触部位H1及び掌の指先側の接触部位H2のそれぞれに力が均等に作用することは希である。むしろ、一定の重量を備えたサイドドア1を押し出す場合には、腕及び体全体で力をかけることとなるので、腕に繋がる手首側の接触部位H1の方が、指先側の接触部位H2よりも大きな力が作用する傾向がある。すなわち、掌からガイド部8に作用する力は、第2範囲A2よりも第1範囲A1の方が大きくなる。このため、乗員がサイドドア1を回動操作する場合には、第1圧力値P1が第2圧力値P2よりも大きいという関係(圧力差)が成立する。したがって、このステップ8に示す判断は、第1圧力値P1と第2圧力値P2との圧力差を通じて、サイドドア1を回動操作するという乗員の操作意思を判断するために設けられている。
ステップ8において否定判定された場合、すなわち、第1圧力値P1が第2圧力値P2よりも大きくない場合には(P1≦P2)、ステップ9(S9)に進む。一方、ステップ8において肯定判定された場合、すなわち、第1圧力値P1が第2圧力値P2よりも大きい場合には(P1>P2)、ステップ10(S10)に進む。
ステップ9において、ECU40は、クラッチ22へ制御指令(オフ指令)を出力し、クラッチ22をオフ状態へと設定する。これにより、クラッチ22が締結状態(オン状態)から開放状態(オフ状態)へと切り替わる。ステップ9の処理が終了すると、ステップ4へと戻る。
ステップ10において、ECU40は、駆動モータ21へ制御指令としてオン指令を出力し、駆動モータ21を作動させる。上述したステップ7においてクラッチ22はオン状態に設定されているため、駆動モータ21から出力される駆動力は、動力伝達機構を通じてサイドドア1へと伝達される。これにより、サイドドア1には、その回動操作を補助するアシスト力が付与されることとなる。
ステップ11(S11)において、ECU40は、サイドドア1の回動速度Vrが基準値Vth以上であるか否かを判断する。この基準値Vthは、駆動モータ21のアシスト力を凌駕するような回動速度でサイドドア1が回動操作されていることを判断するための値であり、実験やシミュレーションを通じて最適値が設定されている。アシスト力が及ぶ範囲においてサイドドア1が回動操作されている場合には(Vr<Vth)、ステップ11において否定判定され、ステップ12(S12)に進む。一方、アシスト力を凌駕する素早い速度でサイドドア1が回動操作されている場合には(Vr≧Vth)、ステップ11において肯定判定され、ステップ13(S13)に進む。
ステップ12において、ECU40は、次に示す3つの条件のうちいずれか一つの条件を具備するか否かを判断する。第1条件は、第2圧力値P2が第1圧力値P1以上となっていることであり(P1≦P2)、第2条件は、第1圧力値P1が0であることであり(P1=0)、第3条件は、パルスセンサ13から出力されるパルス信号のカウント値Cpが判定値Cthよりも大きいことである(Cp>Cth)。第1条件及び第2条件は、サイドドア1の回動操作の意思が乗員に無いことを判断するものである。なぜならば、乗員によるサイドドア1の回動操作の意思がある限り、第1圧力値P1及び第2圧力値P2のそれぞれが変動することはあっても、第1圧力値P1が第2圧力値P2よりも大となる両者の圧力差の関係は維持される。よって、この圧力差の関係が無くなることをもって、サイドドア1の回動操作の意思が無いことを判断することができる。また、第3条件は、サイドドア1が所定の開放位置まで到達したことを判断するものである。
乗員の操作意思が無い場合、又は、サイドドア1が開放位置まで到達した場合には、ステップ12において肯定判定され、ステップ13に進む。一方、乗員の操作意思があり、かつ、サイドドア1が開放位置まで到達していない場合には、ステップ12において否定判定され、ステップ11に戻る。
ステップ13において、ECU40は、クラッチ22へ制御指令としてオフ指令を出力し、クラッチ22をオフ状態へと設定する。これにより、クラッチ22が締結状態(オン状態)から開放状態(オフ状態)へと切り替わる。同様に、ECU40は、駆動モータ21へ制御指令としてオフ指令を出力し、駆動モータ21を停止させる。
したがって、ステップ11において肯定判定されるように、乗員がサイドドア1を素早く回動操作した場合には、クラッチ22が開放され、かつ、駆動モータ21が停止される。そのため、駆動モータ21が負荷となることがなく、乗員が希望する態様(素早い動き)でサイドドア1を回動操作することができる。また、ステップ12において否定判定されるように、乗員の操作意思が無い場合、又は、サイドドア1が開放位置まで到達した場合には、クラッチ22が開放され、かつ、駆動モータ21が停止することとなる。これにより、適切なタイミングでアシスト力が停止されることとなる。
ステップ14(S14)において、ECU40は、パルスセンサ13から出力されるパルス信号のカウント値Cpが判定値Cthよりも大きいか否かを判断する。サイドドア1が所定の開放位置まで到達するとパルス信号のカウント値Cpは判定値Cthよりも大きくなる(Cp>Cth)。この場合、ステップ14において肯定判定され、本処理を終了する(END)。一方、サイドドア1が開放位置まで到達していないと、パルス信号のカウント値Cpが判定値Cthよりも小さくなる。この場合、ステップ14において否定判定され、ステップ4に戻る。
このように本実施形態に係る車両用ドアアシスト装置10において、サイドドア1を回動するための操作力が乗員の掌を介して入力されるドア操作部には、掌のうち手首側の接触部位H1(第1接触部位)から作用する圧力を検出する第1圧力センサ11と、掌のうち指先側の接触部位H2(第1接触部位とは異なる第2接触部位)から作用する圧力を検出する第2圧力センサとが設けられている。そして、ECU40は、第1圧力値P1と、第2圧力値P2との圧力差に基づいて、サイドドア1の回動操作を補助するアシスト力を制御している。
上述したように、掌の手首側の部位及び指先側の部位をそれぞれ添えた状態でドア操作部を掌で押し出してサイドドア1を回動操作する場合にあっては、腕に繋がる掌の手首側の接触部位H1の方が、掌の指先側の接触部位H2よりも大きな力が作用する傾向がある。したがって、ドア操作部に操作力を入力する際の乗員の身体的な特性を考慮すれば、第1圧力値P1が第2圧力値P2よりも大きいという関係が必然的に成立するところとなる。この結果、第1圧力値P1と第2圧力値P2との圧力差に基づいて、サイドドア1を回動操作するという乗員の操作意思を適切に判断することができる。よって、サイドドア1の回動操作を適切に補助することができる。
また、本実施形態において、ドア操作部は、サイドドア1の車両室内側に装着されたドアトリム5の表面に設けられ、乗員の掌を添える位置を案内するガイド部8として構成されている。そして、第1圧力センサ11は、ガイド部8のうち掌の手首側の部位が接触する第1範囲A1に配置され、第2圧力センサ12は、ガイド部8のうち掌の指先側の部位が接触する第2範囲A2に配置されている。
この構成によれば、ガイド部8によって乗員の掌を添える位置が案内されているので、掌の手首側の部位及び指先側の部位をそれぞれガイド部8に添えた状態でサイドドア1の回動操作が行われることとなる。したがって、第1圧力センサ11及び第2圧力センサ12において掌の指先側及び手首側から作用する圧力を確実に検出することができる。これにより、サイドドア1を回動操作するという乗員の操作意思を適切に判断することができる。
また、本実施形態において、ガイド部8は、ドアトリム5のドアウエスト部5aに配置されている。具体的には、ドアトリム5は、車両前後方向に沿って設けられて、車両室内側へ張り出したトリム上面51と、トリム上面51の端縁から曲折して下方へ延びるトリム側面50とを備え、ガイド部8は、掌の指先側が上方、かつ掌の手首側が下方となる姿勢で、トリム上面51とトリム側面50との両者に跨がるように配置されている。
この構成によれば、ガイド部8に掌を添えることで、掌の指先側の接触部位H2がトリム上面51に、掌の手首側の接触部位H1がトリム側面50に当たるような格好となる。これにより、押し出し方向の正面に直立するトリム側面50の方が、車両室内側へ張り出したトリム上面51に比べて掌から大きな力が入力されることとなる。その結果、第1圧力値P1と第2圧力値P2との間に圧力差が確実に発生することとなる。したがって、その圧力差に基づいて、サイドドア1を回動操作するという乗員の操作意思を適切に判断することができる。これにより、サイドドア1の回動操作を適切に補助することができる。
また、本実施形態において、第1範囲A1は、第2範囲A2よりも広く設定されている。
これにより、第1圧力センサ11において圧力を確実に検出することができる。
なお、上述した実施形態では、ガイド部8をドアトリム5のドアウエスト部5aに配置しているが、ガイド部8をドアウエスト部5aよりも下方のトリム側面50に設けてもよい。また、ガイド部8は、掌の指先側が上方で掌の手首側が下方となる上下方向に沿う姿勢で配置されているが、水平方向に沿うように配置したり、斜め方向に沿うように配置したりしてもよい。このような形態でガイド部8を配置した場合であっても、腕に繋がる掌の手首側の接触部位H1の方が、掌の指先側の接触部位H2よりも大きな力が作用するという乗員の身体的な特性に変わりはないからである。ただし、本実施形態に示すように、上下方向に沿う姿勢でガイド部8を設けた場合には、より自然な手の動きでサイドドア1を操作することができるという長所を有している。
また、本実施形態では、ガイド部8が単体の部材で構成されているが、掌の手首側の接触部位H1と、掌の指先側の接触部位H2とに対応する2つに分割された部材から構成されてもよい。このような形態であっても、乗員が掌を添える位置を案内することができる。
(第2の実施形態)
つぎに、第2の実施形態に係る車両用ドアアシスト装置10を車両のサイドドア1に適用して説明する。この第2の実施形態に係る車両用ドアアシスト装置10が、第1の実施形態のそれと相違する点は、第1圧力センサ11及び第2圧力センサ12を適用する箇所である。以下、第1の実施形態と重複する構成、動作に関する説明は省略し、相違点を中心に説明を行う。
図7は、本実施形態に係る車両用ドアアシスト装置10が適用されるサイドドア1の構成を模式的に示す正面図である。図8は、サイドドア1の要部を拡大して示す説明図である。本実施形態に係るサイドドア1において、ドアトリム5には、アームレスト7の前方にドアグリップ9が設けられている。ドアグリップ9は、ドアトリム5にアーチ状に取り付けられている。ドアグリップ9は、乗員が掌で把持するための部位であり、これにより、乗員が姿勢を保持したり、サイドドア1を回動操作したりすることができる。すなわち、ドアグリップ9は、サイドドア1を回動するための操作力が乗員の掌を介して入力されるドア操作部である。
このドアグリップ9において、車両室内側に臨む第1グリップ面9aには、第1圧力センサ11が設けられている。第1グリップ面9aは、サイドドア1を回動する場合において乗員の掌のうち手首側の部位が接触する。すなわち、第1圧力センサ11は、サイドドア1を回動する場合においてドアグリップ9に接触する乗員の掌のうち手首側の接触部位(第1接触部位)から作用する圧力を検出する。
一方、ドアグリップ9において、ドアトリム5のトリム側面50に臨む第2グリップ面9bには、第2圧力センサ12が設けられている。第2グリップ面9bは、サイドドア1を回動する場合において乗員の掌のうち指先側の部位が接触する。すなわち、第1圧力センサ11は、サイドドア1を回動する場合においてドアグリップ9に接触する乗員の掌のうち指先側の接触部位(第2接触部位)から作用する圧力を検出する。
このようなセンサ配置を採用する第2の実施形態においても、サイドドア1を回動操作するという乗員の操作意思は、第1圧力値P1及び第2圧力値P2から判断することができる。
まず、サイドドア1を開方向に回動操作する状況について説明する。この場合、乗員は掌によりドアグリップ9を把持することとなる。したがって、第1圧力値P1が0よりも大きく、かつ、第2圧力値P2が0よりも大きいという関係が成立する。この関係から、サイドドア1を回動操作するための姿勢をとっていることが確認される。
そして、サイドドア1を開方向に回動操作する場合、乗員は、ドアグリップ9のうち第1グリップ面9aに力を入れてドアグリップ9を押し出して、サイドドア1を回動させる。すなわち、掌からドアグリップ9に作用する力は、第2グリップ面9bよりも第1グリップ面9aの方が大きくなる。このため、乗員がサイドドア1を開方向に回動操作する場合には、ドアグリップ9の構造上、第1圧力値P1が第2圧力値P2よりも大きいという関係が成立する。したがって、第1圧力値P1と第2圧力値P2との差に基づいて、サイドドア1を開方向に回動操作するという乗員の操作意思を判断することができる。
つぎに、サイドドア1を閉方向に回動操作する状況について説明する。この場合、乗員は掌によりドアグリップ9を把持することとなる。したがって、第1圧力値P1が0よりも大きく、かつ、第2圧力値P2が0よりも大きいという関係が成立する。この関係から、サイドドア1を回動操作するための前提となる姿勢をとっているか否かを判断することができる。
そして、サイドドア1を閉方向に回動操作する場合、乗員は、ドアグリップ9のうち第2グリップ面9bに力をかけてドアグリップ9を引っ張って、サイドドア1を回動させる。すなわち、掌からドアグリップ9に作用する力は、第1グリップ面9aよりも第2グリップ面9bの方が大きくなる。このため、乗員がサイドドア1を閉方向に回動操作する場合には、ドアグリップ9の構造上、第2圧力値P2が第1圧力値P1よりも大きいという関係が成立する。したがって、第1圧力値P1と第2圧力値P2との差に基づいて、サイドドア1を閉方向に回動操作するという乗員の操作意思を判断することができる。
本実施形態に係る車両用ドアアシスト装置10の動作については、第1の実施形態に示す手順と概ね同様である。特に、サイドドア1を開方向に回動操作する場合には、図5及び図6に示すフローチャートと同様の手順となる。すなわち、第1の実施形態と同様、第2圧力値P2が0よりも大きく、かつ第1圧力値P1が第2圧力値P2よりも大きい関係が成立する場合に、サイドドア1を開放する方向にアシスト力が付与される。
一方、サイドドア1を閉方向に回動操作する場合であっても、ステップ4における圧力の判断が第1圧力値P1で行われる点、ステップ8及びステップ12における第2圧力値P2と第1圧力値P1との大小関係が逆転する点、ステップ12における第2条件が「第2圧力値P2が0」となる点を除き、図5及び図6に示すフローチャートと同様の手順となる。すなわち、第1圧力値P1が0よりも大きく、かつ、第2圧力値P2が第1圧力値P1よりも大きい関係が成立する場合に、サイドドア1を閉じる方向にアシスト力が付与される。
このように本実施形態によれば、ドアグリップ9においても、ドアグリップ9の構造上、第1圧力値P1と第2圧力値P2との間の圧力差から、サイドドア1を回動操作するという乗員の操作意思を適切に判断することができる。これにより、サイドドア1の回動操作を適切に補助することができる。
以上、本発明の実施形態に係る車両用ドアアシスト装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。また、上述した実施形態では、サイドドアに適用される車両用ドアアシスト装置について説明したが、バックドアなどを含む種々の車両用ドアに適用することができる。
また、第1圧力値と第2圧力値との間の圧力差から、サイドドアを回動操作するという乗員の操作意思を適切に判断することができるのであれば、第1圧力センサ及び第2圧力センサの配置場所は限定されない。例えば、車両用ドアの回動操作を行う際に掌で把持するためのプルハンドルや、ドアトリムの任意の面に設けてもよい。
また、本実施形態では、掌を用いて操作力を入力することを前提に説明を行ったが、乗員のドア操作の態様は様々である。そして、本発明は、掌以外の身体(例えば腕など)を介して操作力を入力する態様においても広く適用可能である。すなわち、ドア操作部は、操作力が乗員の身体を介して入力されるものであればよい。