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JP6946766B2 - 界面接着力の評価方法 - Google Patents
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本発明は、タイヤコードゴム複合体の、熱劣化による界面接着力の低下の新規な評価方法に関する。
タイヤを構成する各部材間の接着が不良であると、走行時に大きな事故につながる恐れがあることから、タイヤは走行時の高耐久性が必要とされる。タイヤは、ゴムとゴムを補強するタイヤコードを構成として有しており、それらの接着技術の改良により、安価かつ高耐久性のタイヤの開発が盛んに進められている。
接着強度は、破壊の方法によって異なることが知られており、タイヤの劣化条件および破壊条件に応じた接着力低下の評価およびそのメカニズム解析も重要な課題となっている。このような状況下、タイヤの破壊形態をラボスケールで簡便に再現し、界面接着力の低下を容易に判定、評価する方法が、接着耐久性を改善したタイヤの開発を促進する上で強く求められている。
特許文献1には、機械疲労試験後の接着力測定により接着力を評価する方法が開示されている。しかしながら本方法は、外力により疲労を与える方法であるため、コードの劣化が顕著であり、接着界面の接着力(界面接着力)を正確に評価することができず、また、外観上タイヤでの破壊形態を十分に再現できていないと考えられる。
国際公開第2013/118785号
本発明は、タイヤで実際に起こっている破壊形態をラボスケールで再現し、タイヤコードゴム複合体の界面接着力の低下を簡便に評価することができる方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題解決のため鋭意検討した結果、過加硫後に引抜試験を行うことにより、タイヤの破壊形態をラボスケールで再現することができることを見出した。さらに、加硫初期の接着力と過加硫後の接着力の変化率を算出することにより、等価加硫量(ECU)と界面接着力の低下との相関関係を容易に評価することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
〔1〕タイヤコードゴム複合体の界面接着力の評価方法であって、
特定の加硫量を与えたタイヤコードゴム複合体の引抜接着力を測定する第一工程、
第一工程で用いたものと同一のタイヤコードゴム複合体について、第一工程より多い加硫量を与えた場合の、前記タイヤコードゴム複合体の引抜接着力を測定する第二工程、および
前記第一工程と第二工程で算出された引抜接着力の変化率を算出する第三工程を含む評価方法。
〔2〕第一工程の加硫量が100ECU未満である、〔1〕に記載の評価方法。
〔3〕第二工程の加硫量が200ECU以上である、〔1〕または〔2〕に記載の評価方法。
〔4〕第二工程の加硫量が350〜500ECUである、〔1〕または〔2〕に記載の評価方法。
〔5〕第一工程と第二工程のECUの比が2〜20の範囲である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の評価方法。
〔6〕複数のタイヤコードゴム複合体について引抜接着力−加硫量曲線を作成し、前記タイヤコードゴム複合体間の引抜接着力の変化率の差異が大きくなる加硫量の範囲を特定する工程をさらに含む、〔1〕に記載の評価方法。
〔7〕タイヤコードが繊維コードである、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の評価方法。
に関する。
本発明によれば、タイヤで実際に起こっている破壊形態をラボスケールで再現することができ、加硫条件の異なるタイヤコードゴム複合体について多数のサンプルを作製し、ECUと界面接着力の低下との相関関係を簡便かつ適切に評価することができる。したがって、本発明は、接着耐久性の改善したタイヤの開発を促進する上で、非常に有用な手法となり得る。
参考例1のタイヤ破壊実験後のタイヤの表面写真である。 参考例1のタイヤ破壊実験後のPETコードの表面写真である。 参考例1のタイヤ破壊実験後のゴム表面を上から撮影した写真である。 参考例1のタイヤ破壊実験後のゴム表面を横から撮影した写真である。 タイヤコードゴム複合体1〜3に試験片につき、ECUの変化と引抜接着力の変化をプロットし、引抜接着力−加硫量曲線を作成した結果である。 タイヤコードゴム複合体1〜3に試験片につき、ECUが50であるときの引抜接着力を100としたときの、ECUの変化と引抜接着力の変化をプロットし、引抜接着力−加硫量曲線を作成した結果である。 実施例1の加硫劣化後に引抜試験を行った後のPET2側の表面写真である。 実施例1の加硫劣化後に引抜試験を行った後のゴム側の表面写真である。 比較例1の湿熱劣化後に引抜試験を行った後のPET2側の表面写真である。 比較例1の加硫劣化後に引抜試験を行った後のゴム側の表面写真である。
以下、本発明の構成について詳述する。
本発明によれば、タイヤで実際に起こっている接着界面の破壊を、過加硫条件下、ラボスケールで簡便に再現することができる。
加硫中に加硫ゴムが受けた熱量を反映すると考えられる指標として、等価加硫量(ECU)が挙げられる。ECUは、基準温度および基準時間における加硫の程度(加硫量)を1としたときの、ある加硫温度および加硫時間による加硫量として定義される。具体的には、アレニウスの反応速度式から導かれる下記式により算出される。
Figure 0006946766
0:基準時間(分)
t:加硫時間(分)
E:活性化エネルギー(kcal/mol)
R:気体定数(1.987×10-3kcal/mol/deg)
0:基準温度(K)
T:加硫中の加硫ゴムの測定温度(K)
ただし、活性化エネルギーは20kcal/mol;基準温度は414.85K;基準時間は1分とする。
本発明の評価方法は、特定の加硫量を与えたタイヤコードゴム複合体の引抜接着力を測定する第一工程、第一工程で用いたものと同一のタイヤコードゴム複合体について、第一工程より多い加硫量を与えた場合の、前記タイヤコードゴム複合体の引抜接着力を測定する第二工程、および前記第一工程と第二工程で算出された引抜接着力の変化率を算出する第三工程を構成として含む。
第一工程の加硫量は特に限定されないが、好ましくは100ECU未満であり、より好ましくは20〜80ECUであり、さらに好ましくは40〜60ECUであり、特に好ましくは50ECUである。
第二工程の加硫量は特に限定されないが、好ましくは200ECU以上であり、より好ましくは200〜600ECUであり、さらに好ましくは350〜500ECUである。
第一工程と第二工程のECUの比は特に限定されないが、好ましくは2〜20の範囲であり、より好ましくは5〜15の範囲であり、さらに好ましくは7〜10の範囲である。
本発明によれば、タイヤコードゴム複合体について、ECUと界面接着力の低下との相関関係を容易に評価することができる。また、一つのタイヤコードゴム複合体について、異なる加硫量を与え、ECUと引抜接着力との関係をプロットし、引抜接着力−加硫量曲線を作成することもできる。なお、前記ECUの数式を用いれば、同じ熱量であっても加硫温度および加硫時間を変化させることが可能である。
また、本発明によれば、異なる複数のタイヤコードゴム複合体について引抜接着力−加硫量曲線を作成し、前記複合体間の引抜接着力の変化率の差異が大きくなる加硫量を特定することができる。すなわち、既存のタイヤコードゴム複合体に比べ、劣化の差が特に大きい、界面接着力の低下を容易に判定、評価するのに適した加硫条件を容易に見つけることができる(実施例1、図5、図6参照)。したがって、本発明は、接着耐久性の改善したタイヤの開発を促進する上で、非常に有用な手法となり得る。
本発明の評価方法に適用できるタイヤコードゴム複合体は特に限定されないが、繊維コードゴム複合体の接着力評価に好適に用いられる。
<ゴム成分>
本実施態様において使用されるゴム成分としては、イソプレン系ゴムが好適に用いられる。イソプレン系ゴムを配合することにより、耐久性、破断強度、湿熱劣化後の耐剥離性(湿熱耐剥離性)を向上することができる。
イソプレン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、改質天然ゴム等が挙げられる。改質天然ゴムとしては、例えば、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等が挙げられる。また、NRおよびIRとして、タイヤ製造の分野において汎用されるものを使用することができる。これらのゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は特に限定されないが、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
本実施形態においてイソプレン系ゴム以外に使用されるゴム成分としては、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等のジエン系ゴムが挙げられる。これらのゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態で作製されるゴム組成物には、酸化亜鉛を含んでいてもよい。酸化亜鉛の含有量は特に限定されないが、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは4質量部以上、より好ましくは6質量部以上、さらに好ましくは7質量部以上である。4質量部未満では、酸化亜鉛配合による加硫促進助剤としての効果が充分に得られず、耐久性、破断強度、湿熱劣化後の耐剥離性(湿熱耐剥離性)が低下する傾向がある。また、酸化亜鉛の含有量は、好ましくは12質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは9質量部以下である。12質量部を超えると、耐屈曲亀裂成長性が低下し、耐久性、破断強度、湿熱劣化後の耐剥離性(湿熱耐剥離性)が低下する傾向がある。
酸化亜鉛の平均一次粒子径は特に限定されないが、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは120nm以下、特に好ましくは90nm以下である。
酸化亜鉛の平均一次粒子径は特に限定されないが、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上である。なお、酸化亜鉛の平均一次粒子径は、窒素吸着によるBET法により測定した比表面積から換算された平均粒子径(平均一次粒子径)を表す。
本実施形態で作製されるゴム組成物には、カーボンブラックを含んでいてもよい。これにより、補強性を向上でき、耐久性、破断強度を向上できる。
カーボンブラックとしては、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。なお、カーボンブラックは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は特に限定されないが、耐久性の観点から、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは70m2/g以上である。また、カーボンブラックの窒素素吸着比表面積は、加工性の観点から、好ましくは200m2/g以下、より好ましくは150m2/g以下、さらに好ましくは120m2/g以下、特に好ましくは100m2/g以下である。200m2/gを超えると、ムーニー粘度が上昇し、加工性が低下する傾向がある。なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K 6217のA法によって求められる。
カーボンブラックの含有量は特に限定されないが、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは40質量部以上、より好ましくは50質量部以上である。
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は特に限定されないが、好ましくは50mL/100g以上、より好ましくは60mL/100g以上である。また、カーボンブラックのDBPは、好ましくは100mL/100g以下、より好ましくは90mL/100g以下、さらに好ましくは80mL/100g以下である。なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K 6217−4の測定方法によって求められる。
<ゴム組成物の製造>
本実施形態において使用されるゴム組成物の製造には、加硫剤として硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3.5質量部以上、より好ましくは4.0質量部以上、さらに好ましくは4.5質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下である。なお、硫黄の含有量とは、硫黄分の含有量を意味し、不溶性硫黄の場合には、不溶性硫黄中に含まれる硫黄分の含有量である。また、上記の加硫剤とともに加硫促進剤等を適宜配合することができる。
本実施形態で作製されるゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、シリカ等の補強用充填剤、シランカップリング剤、ステアリン酸、有機酸コバルト、老化防止剤、加工助剤、オイル、ワックス等を適宜配合することができる。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、およびそれらの混合物等が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル(アロマオイル)等が挙げられる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生湯、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。
オイルの含有量は特に限定されないが、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。また、オイルの含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、さらに好ましくは3.0質量部以下である。
本実施形態において使用されるゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造することができる。
<タイヤコードゴム複合体の作製>
本実施形態において使用されるゴム組成物は、タイヤコードを被覆するゴム組成物として使用される。タイヤコードとしては、例えば、繊維コード、スチールコード等が挙げられる。繊維コードとしては、例えば、ポリアミド、レーヨン、ポリエステル等の原料により得られるコードが挙げられる。スチールコードとしては、1×n構成の単撚りスチールコード、k+m構成の層撚りスチールコード等が挙げられる(nは1〜27の整数、kは1〜10の整数、mは1〜3の整数など)。
タイヤコードとゴムとは、その中間に存在するディップ液を介して接着力を発揮しており、タイヤコードによってその代表的なディップ処方が異なる。例えば、ポリアミドコードの代表であるナイロン66ではRFL(レゾルシン−ホルマリン−ラテックス)が用いられる。また、ポリエステルコードの代表であるポリエチレンテレフタレート(PET)では、1層目にエポキシ/ブロックイソシアネートの混合物、2層目にRFLが用いられる。
本発明の評価方法に使用するタイヤコードゴム複合体試験片は、例えば前記のディップ液をタイヤコードに含浸付着させた後、加熱処理し、その後に上記タイヤコードを未加硫ゴムに埋設し、次いで該未加硫ゴムを加硫処理してタイヤコードとゴムとを一体化することにより製造される。タイヤコードにディップ液を含浸付着させた後の加熱処理温度としては、230〜255℃が好ましく、235〜250℃がより好ましい。また、タイヤコードに対するディップ液の付着量(乾燥後の含浸処理済コードの質量を基準とするディップ液による増加質量)は2.0〜7.0質量%であることが好ましく、2.0〜6.0質量%であることがより好ましく、3.0〜6.0質量%であることが特に好ましい。さらに、未加硫ゴムは、得られるゴム製品の用途に応じて、適宜選定される。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、実施例にのみ限定されるものではない。
以下に、実施例および比較例において使用した各種薬品をまとめて示す。なお、各種薬品は必要に応じて常法に従い精製を行った。
NR:TSR20
SBR:JSR製のJSR1502
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックLH(N326、N2SA:84m2/g、DBP:74mL/100g)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルPS323(ミネラルオイル)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラックFR
酸化亜鉛:微粒子酸化亜鉛(平均一次粒子径:65nm)
硫黄:フレキシス社製のクリステックスHSOT20(硫黄分80質量%、オイル分20質量%含む不溶性硫黄)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDZ
ステアリン酸コバルト:大日本インキ化学工業(株)製のcost−F(コバルト含有量9.5質量%)
ナイロン:綾羽工業株式会社製の940dtex/2ナイロンコード
PET1:暁星株式会社製の1100dtex/2ポリエステルコード(DIP1)
PET2:暁星株式会社製の1100dtex/2ポリエステルコード(DIP2)
製造例
<未加硫ゴム組成物の製造>
表1に示す配合に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄、加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄、加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。なお、表1の硫黄の配合量は、不溶性硫黄(硫黄分+オイル分)の配合量を示す。
<タイヤコードゴム複合体試験片の作製>
表1に示すコードが埋め込まれた上記の未加硫のゴム組成物を成形し、実施例1〜3のタイヤコードゴム複合体試験片を作製した。
Figure 0006946766
参考例:タイヤ破壊試験
試験タイヤサイズ(205/55R16)を用い、JIS D 4230「耐久性能試験方法」に準じてマシン耐久テストを実施し、その破壊面を観察したところ、ナイロン部はゴムで被覆されたままの状態であったのに対し、PET部はコード表面が露出していた(図1)。このことから、PETコードの層界面又は層自体が破壊されていることが示唆された。さらに、タイヤ破壊面の表面画像および断面画像を解析すると、PETフィラメントがディップ層から脱離し、ゴム側にディップ層が付着していることが確認された(図2〜4)。以上の結果より、PETとディップ1層目のエポキシ/ブロックイソシアネートの混合物との接着力が弱いことが示唆された。
実施例:オーバーキュアおよび引抜試験
実施例1〜3の試験片につき、JIS G 3510「ゴム接着試験方法」に準じて、プレス加硫機にて加硫を行い、加硫量を与えた試験片について、それぞれ引抜試験を行った。引抜試験は、オートグラフAGS−5kNXまたはAGS−10kNX((株)島津製作所製)を用い、JIS L 1017「化学繊維タイヤコード試験方法」に準じて実施し、引き抜きに要した最大の力を引抜接着力(N)して評価した(表2、図5、図6)。なお、引抜接着力が大きいほど剥離しにくく、接着性に優れることを示す。
Figure 0006946766
この結果より、ECUが350〜500の範囲において、ナイロンゴム複合体1とPETゴム複合体2,3との引抜接着力の変化率の差が特に大きくなり、劣化の差異を評価するのに適した条件であることが明らかとなった。また、加硫量430ECUを与えた複合体1について、引抜試験後のPETコードとゴムの表面を観察したところ、ゴム側にディップ層が付着しており、タイヤでの破壊形態に近いものであることが確認された(図7、図8)。したがって、本法はタイヤの実際の破壊条件に合致した試験方法であると考えられた。
比較例:湿熱劣化および引抜試験
JIS K 7277「湿熱試験方法」に準じて、温度80℃、湿度95%の条件下で6日間、湿熱劣化させた実施例3の試験片について、同様に引抜試験後のPETコードとゴムの表面を観察したところ、PETフィラメントの表面にゴムとディップ層が付着しており、前記のタイヤでの破壊形態とは異なっていた(図9、図10)。したがって、本法はタイヤの破壊条件を適切に反映した試験方法とはいえないと考えられた。
本発明によれば、タイヤで実際に起こっている接着界面の破壊を、過加硫条件下、ラボスケールで簡便に再現することができる。また、加硫条件の異なるタイヤコードゴム複合体について多数のサンプルを作製し、ECUと界面接着力の低下との相関関係を簡便かつ適切に評価することができる。したがって、本発明は、接着耐久性の改善したタイヤの開発を促進する上で、非常に有用な手法となり得る。

Claims (5)

  1. タイヤコードゴム複合体の界面接着力の評価方法であって、
    特定の加硫量を与えたタイヤコードゴム複合体の引抜接着力を測定する第一工程、
    第一工程で用いたものと同一のタイヤコードゴム複合体について、第一工程より多い加硫量を与えた場合の、前記タイヤコードゴム複合体の引抜接着力を測定する第二工程
    記第一工程と第二工程で算出された引抜接着力の変化率を算出する第三工程、および
    複数のタイヤコードゴム複合体について引抜接着力−加硫量曲線を作成し、前記タイヤコードゴム複合体間の引抜接着力の変化率の差異が大きくなる加硫量の範囲を特定する工程を含み、
    前記タイヤコードが繊維コードである評価方法。
  2. 第一工程の加硫量が100ECU未満である、請求項1に記載の評価方法。
  3. 第二工程の加硫量が200ECU以上である、請求項1または2に記載の評価方法。
  4. 第二工程の加硫量が350〜500ECUである、請求項1または2に記載の評価方法。
  5. 第一工程と第二工程のECUの比が2〜20の範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の評価方法。
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