以下、本発明に係る画像処理装置の例示的な実施形態である道路標示認識装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。また、以下の説明では、車両の直進進行方向であって、運転席からハンドルに向かう方向を「前方向(前方)」と呼び、ハンドルから運転席に向かう方向を「後方向(後方)」と呼ぶ。また、車両の直進進行方向及び鉛直線に垂直な方向であって、車両の左右横方向を「幅方向」と呼ぶことがある。
<1.第1実施形態>
<1−1.道路標示認識装置の全体構成>
図1は、第1実施形態の道路標示認識装置1の構成を示す図である。図1に示すように、道路標示認識装置1は例えば道路標示認識ECU(Electronic Control Unit)であって、カメラ110及び表示装置120が接続され、車両制御ECU130等とともに車両のCAN(Controller Area Network)200に接続される。カメラ110及び表示装置120は道路標示認識装置1が搭載される車両と同一の車両に搭載される。道路標示認識装置1、カメラ110及び表示装置120によって道路標示認識システムが構築される。
カメラ110は道路標示認識装置1が搭載される車両の周辺を撮像する。カメラ110は例えばバックカメラである。バックカメラは例えば車両の後端部に配置され、車両の後方を撮像する。カメラ110は有線または無線で道路標示認識装置1に接続され、撮像した画像に係る信号を道路標示認識装置1に送信する。
なお、カメラ110として、車両の前方を撮像するフロントカメラ、車両の左右の側方を撮像する右サイドカメラ及び左サイドカメラ等を設けても良い。そして、道路標示認識装置1は、実空間上における車両の位置を基準として、後述する駐車領域の位置を算出することが可能である。カメラ110で撮像した画像における各画素の座標は、実空間上における車両に対する座標(所謂ワールド座標)に1対1で対応する。これにより、画像上で検出した駐車領域の座標値をワールド座標に変換することで、実空間上における車両の位置を基準とした駐車領域の位置を算出することができる。
表示装置120は車室に設けられ、その表示面(画面)が車室内に臨む。表示装置120は道路標示認識装置1からの指令を受信し、各種の情報を表示する。また、表示装置120はカメラ110から画像信号を受信し、カメラ110が撮像した画像を表示することもできる。例えば、表示装置120の画面にはカメラ110が撮像した車両の後方の画像が表示される。図2は表示装置120に表示された、道路標示認識装置1が用いるカメラ110の画像111の第一例を示す図である。
車両制御ECU130は運転者による運転操作に従い、例えば車両の向きや速度等を制御する。さらに、車両制御ECU130は道路標示認識装置1からの情報を受信し、その情報に従い、例えば車両の向き、速度等を制御することもできる。
<1−2.道路標示認識装置の詳細な構成>
道路標示認識装置1は、図1に示す制御部10及び記憶部20を備える。
制御部10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を備えるコンピュータである。制御部10は記憶部20に記憶されたプログラムに基づいてCPUが演算処理を行い、道路標示認識装置1の全体を統括的に制御する。
制御部10はプログラムに基づいてCPUが演算処理を行うことで実現される機能の一部として、映像取得部11、検出部12、判別部13及び補完部14を備える。
映像取得部11はカメラ110が撮像した画像111を取得する。映像取得部11は画像111を所定時間(例えば1/30秒)ごとに時間的に連続して取得する。
図2に示す画像111は、駐車場でカメラ110が撮像して得られる画像の一例である。画像111には、道路標示のひとつである駐車枠112の像と、車止め113の像とが含まれる。
駐車枠112は、例えばひとつの矩形の駐車領域Aの三辺に配置された3本の区画線112a、112bを含み、路面に所定幅の白線或いは黄線で描かれる。2本の区画線112aは車両の左右各々において車両の前後方向長さに対応する所定長さで延びる。1本の区画線112bは例えば車両が後退して駐車領域Aに進入する場合の後方側の、区画線112aの端部において幅方向に沿って延びる。なお、以下の説明において、区画線112a、112bを限定する必要が無い場合、単に「駐車枠112」と総称することがある。また、区画線112a、112b各々を形容する場合、「車両の左右の区画線112a」、「車両の後方の区画線112b」と記述することがある。
車止め113は駐車枠112で囲まれたひとつの駐車領域Aに対して、例えば車両の後方の区画線112bの近傍に、車両の幅方向に並べて2個設置される。車止め113は、例えばコンクリート製のブロックで構成され、略直方体形状である。
検出部12はカメラ110から取得した画像111から駐車枠112及び車止め113を検出する。検出部12は画像111に対して画像処理を行い、画像111中の所謂エッジを抽出することによって駐車枠112及び車止め113を検出する。
一般的に多くの駐車場では、路面がアスファルトであって、駐車枠112には白色または黄色等の明るい色彩が施され、車止め113は白色に近いコンクリート製である。いずれにせよ、路面に対して、駐車枠112及び車止め113には視認性が高い、目立つ色合いが用いられることが多い。これにより、駐車枠112及び車止め113の輝度と駐車場の路面表面の輝度との間に輝度差が発生する。この輝度差に基づく輝度変化は一定範囲になるために、輝度変化が一定範囲となるエッジを抽出することにより、駐車枠112及び車止め113の検出を行うことができる。なお、画像内の「エッジ」は、画素間の輝度が所定以上の大きさで変化する部分である。
また、検出部12は車両の移動過程の異なる位置で撮像された2つの画像111内において抽出された路面の特徴点のベクトル(オプティカルフロー)から、車両の移動量及び方向を導出する。なお、画像内の「特徴点」は、エッジ抽出の結果として安定的に検出可能な画像内の特徴的な点であり、例えば駐車枠112や車止め113の一部、路面のヒビ、シミ、砂利等が該当する。そして、検出部12は、導出した車両の移動量及び方向に基づいて画像111内における車両を駐車するための駐車領域Aに注目し、駐車枠112及び車止め113を検出する。
ここで、カメラ110が撮像した画像111内の駐車枠112や車道の区画線(例えば車道中央線)等の道路標示には、路面上の障害物や、カメラレンズに付着した汚れ等のために、見かけ上欠損した中断部が生じる場合がある。また、駐車枠112や車道の区画線等は、経時劣化や車両のタイヤ等との摩擦などによって実際に消えてしまうという中断部が生じる場合がある。
検出部12は画像111内の道路標示(例えば駐車枠112)におけるこれらの中断部を検出する。この中断部の検出に関して、記憶部20は道路標示に係る情報である道路標示情報21を記憶する。道路標示情報21としては例えば道路標示の規則性や種類、仕様を表す情報を含む。検出部12は道路標示情報21として予め記憶された道路標示の規則性や種類、仕様に基づき道路標示の形状や大きさを認識するとともに、その道路標示における中断部を検出する。
判別部13は画像111内の道路標示における中断部に路面上の障害物が存在するか否かを判別する。判別部13は車両の移動過程の異なる位置で時系列に沿って撮像された複数の画像111に基づき中断部に路面上の障害物が存在するか否かを判別する。この障害物の判別には、例えば先に説明したオプティカルフローや移動ステレオ方式などの手法が用いられる。移動ステレオ方式では、車両の移動に伴って車載カメラが移動すると、路面上の比較的高い障害物の移動量(ベクトルの大きさ)が路面の移動量よりも大きくなるという特徴を利用して障害物を検出する。
判別部13は画像111内の道路標示における中断部に路面上の障害物が存在するか否かに加えて、障害物の高さも認識することができる。障害物の高さの認識については、例えば予め定めた所定高さの障害物に関する画像パターンを道路標示情報21として記憶させておくことで、障害物の高さの認識精度を向上させることができる。
補完部14は、中断部に障害物が存在しない場合、道路標示の中断部を補完する補完処理を実施する。ここで言う補完処理としては、道路標示認識装置1の内部における処理と、表示装置120に表示する処理と、の2種類の処理がある。これら2種類の補完処理は、両方とも実施しても良いし、いずれかのみ実施しても良い。
道路標示認識装置1の内部における補完処理は、車両の進行方向における道路標示(例えば駐車枠112)の連続性、一定性、すなわち車両のこれまでの移動過程において撮像された画像内の道路標示のパターンや車両の進行方向における道路標示の存在に基づき、中断部の箇所において道路標示が車両の進行方向に繋がっていると、道路標示認識装置1の内部で認識する処理を意味する。この処理は、車両を自動的に駐車枠112内に駐車する自動駐車システム等の自動運転や、障害物検知に用いるカメラのキャリブレーション(カメラの角度設定等)に適用することができる。
表示装置120に表示する補完処理は、道路標示認識装置1の内部で中断部の箇所において繋がっている認識された道路標示を、像として画像上に形成して表示装置120の画面に表示する処理を意味する。このとき、例えば赤色等の目立つ色を用いて道路標示の像を表示することもできる。この処理は、運転者が、表示装置120の画像を後方確認に利用しながら自ら運転して駐車する場合に適用することができる。
中断部に障害物が存在しない場合、補完部14は道路標示の中断部が道路標示の掠れやカメラレンズに付着した汚れであると判定し、道路標示の中断部を補完する補完処理を実施する。この場合、補完部14は車両の移動過程の異なる位置で時系列に沿って撮像された複数の画像111各々に記録された道路標示を用いて、道路標示の中断部に対する補完処理を実施する。すなわち、補完部14は車両の移動過程で時系列に沿って撮像された複数の画像のうち従前の画像から中断部に対応する領域である道路標示の一部分の画素情報(例えば、色相・明度・彩度の色の三要素)を利用し、道路標示の中断部に対して補完処理を実施する。
補完部14は、中断部に障害物が存在する場合、障害物の高さに基づき道路標示の補完処理が必要であるか否かを判別する。すなわち、補完部14は、障害物の高さが予め定めた所定値以上の場合に道路標示の中断部に対する補完処理を禁止し、障害物の高さが当該所定値未満の場合に道路標示の中断部に対する補完処理を実施する。道路標示の補完処理の要否を判断するための障害物の高さの所定値は、例えば30cmが予め定められ、記憶部20等に記憶される。
例えば、障害物が駐車領域Aに置かれた高さ30cmを超える荷物のようなものである場合、補完部14は道路標示である駐車枠112に対する補完処理を禁止する。一方例えば、障害物が駐車領域Aに置かれた板や紙である場合、補完部14は駐車枠112に対する補完処理を実施する。これらの板や紙が移動しない場合、従前の画像から障害物の箇所に対応する領域である駐車枠112の一部分の画素情報を利用することができないので、補完部14は道路標示情報21として記憶された駐車枠112の規則性や種類、仕様に基づき駐車枠112の障害物の箇所に対する補完処理を実施する。
このように障害物の高さが所定値以上の場合に補完処理を禁止する理由は、補完してしまうと、補完した駐車枠112の像が障害物の像に重畳されて車両の運転者が障害物を視認できず、運転者が障害物を認識しないまま車両を移動させて障害物に衝突させてしまう虞があるためである。また、障害物の高さが所定値未満の場合に補完処理を実施する理由は、車両の移動により車両が障害物を乗り越えるなどして車両への危険性はないことから、障害物の位置に駐車枠112の像を重畳表示させることで、障害物によって運転者が視認できない駐車枠112を表示させ、運転者が車両を駐車枠112内に容易に駐車することができるようになるからである。
また、上記のように駐車枠112の中断部に対して補完処理を実施することで、自動駐車システム等の自動運転において容易に、車両を自動的に駐車枠112内に駐車することができる。そして、障害物の高さが所定値以上の場合に補完処理を禁止することにより、補完した駐車枠112が障害物の位置で繋がっていると道路標示認識装置1が誤認識することを抑制することができる。これにより、自動駐車時に、車両を障害物に衝突させてしまうことを防止することが可能である。また、障害物の高さが所定値未満の場合に補完処理を実施することにより、自動駐車時に、自動的に車両に障害物を乗り越えさせるなどして車両を駐車枠112内に駐車させることができる。
また、上記のような道路標示認識装置1の道路標示に対する補完処理に係る機能は、例えば障害物検知機能を有する従来の障害物検知ECUに付加することができる。これにより、画像内の補完された駐車枠等の道路標示を、障害物検知に用いるカメラの角度の算出に利用することが可能になる。カメラの角度は実測が困難であることから、画像内の補完された道路標示を利用することで、障害物検知に用いるカメラのキャリブレーションの精度を向上させることができる。さらに、障害物検知ECUにおける障害物検知の精度を高めることが可能になる。
<1−3.障害物の判別及び道路標示の補完処理の具体例>
続いて、障害物の判別及び道路標示の補完処理の具体例について、図3〜図10に示した4つの例を用いて説明する。
図3は道路標示認識装置1が用いるカメラ110の画像の第二例を示す図である。図4は図3の所定時間後のカメラ110の画像を示す図である。すなわち、図3に示す画像111Pと、図4に示す画像111Nとは車両の移動過程の異なる位置で時系列に沿って撮像された2つの画像である。図3に示すように、駐車場には駐車枠112及び車止め113が設けられる。駐車枠112には中断部112zが1箇所存在する。
検出部12は図3に示す画像111Pにおいて、駐車枠112、車止め113及び駐車領域Aを検出する。さらに、検出部12は駐車枠112に係る規則性や種類、仕様といった道路標示情報21に基づき、車両の左右の区画線112aの一方に中断部112zがあることを検出する。
判別部13は図3に示す画像111Pと、図4に示す画像111Nとの2つの画像に基づき、駐車枠112の区画線112aにおける中断部112zが画像上で移動していないことを判別する。すなわち、判別部13は中断部112zに路面上の障害物が存在するわけではなく、中断部112zがカメラレンズに付着した汚れ等であることを判別する。
中断部112zが路面上の障害物ではないので、補完部14は図4に示す画像111Nにおいて駐車枠112の区画線112aに対する補完処理を実施する。補完部14は、従前の画像である図3に示す画像111Pから中断部112zに対応する領域である区画線112aの一部分(図3の破線円112c内)の画素情報を利用し、図4に示すように区画線112aの中断部112zに対する補完処理を実施する(図4の破線)。
図5は道路標示認識装置1が用いるカメラ110の画像の第三例を示す図である。図6は図5の所定時間後のカメラ110の画像を示す図である。すなわち、図5に示す画像111Pと、図6に示す画像111Nとは車両の移動過程の異なる位置で時系列に沿って撮像された2つの画像である。図5に示すように、駐車場には駐車枠112及び車止め113が設けられる。駐車枠112には中断部112zが1箇所存在する。
検出部12は図5に示す画像111Pにおいて、駐車枠112、車止め113及び駐車領域Aを検出する。さらに、検出部12は駐車枠112に係る規則性や種類、仕様といった道路標示情報21に基づき、車両の左右の区画線112aの一方に中断部112zがあることを検出する。
判別部13は図5に示す画像111Pと、図6に示す画像111Nとの2つの画像に基づき、駐車枠112の区画線112aにおける中断部112zが画像上で区画線112aとともに移動していることを判別する。すなわち、判別部13は中断部112zに路面上の障害物114が存在することを判別する。さらに、判別部13は障害物114の高さを認識する。なおここでは、例えば障害物114が所定値である30cmを超える高さの物体であるとする。
中断部112zに路面上の障害物114が存在するので、補完部14は障害物114の高さに基づき区画線112aの補完処理が必要であるか否かを判別する。障害物114の高さが30cm(所定値)以上であるので、補完部14は図6に示すように画像111Nにおいて駐車枠112の区画線112aに対する補完処理を禁止する。
図7は道路標示認識装置1が用いるカメラ110の画像の第四例を示す図である。図8は図7の所定時間後のカメラ110の画像を示す図である。すなわち、図7に示す画像111Pと、図8に示す画像111Nとは車両の移動過程の異なる位置で時系列に沿って撮像された2つの画像である。図7に示すように、駐車場には駐車枠112及び車止め113が設けられる。駐車枠112には中断部112zが1箇所存在する。
検出部12は図7に示す画像111Pにおいて、駐車枠112、車止め113及び駐車領域Aを検出する。さらに、検出部12は駐車枠112に係る規則性や種類、仕様といった道路標示情報21に基づき、車両の左右の区画線112aの一方に中断部112zがあることを検出する。
判別部13は図7に示す画像111Pと、図8に示す画像111Nとの2つの画像に基づき、駐車枠112の区画線112aにおける中断部112zが画像上で区画線112aとともに移動していることを判別する。すなわち、判別部13は中断部112zに路面上の障害物115が存在することを判別する。さらに、判別部13は障害物115の高さを認識する。なおここでは、例えば障害物115が所定値である30cm未満の高さの板状の物体であるとする。
中断部112zに路面上の障害物115が存在するので、補完部14は障害物115の高さに基づき区画線112aの補完処理が必要であるか否かを判別する。障害物115の高さが30cm(所定値)未満であるので、補完部14は図8に示す画像111Nにおいて駐車枠112の区画線112aに対する補完処理を実施する。この場合、従前の画像である図7に示す画像111Pから障害物115の箇所に対応する領域である区画線112aの一部分の画素情報を利用するが、2つの画像間で障害物115が移動していないので、画素情報を利用することができない。したがって、補完部14は道路標示情報21として記憶された区画線112aの規則性や種類、仕様に基づき、図8に示すように区画線112aの障害物115の箇所に対する補完処理を実施する(図8の破線)。
なお、高さが30cm未満である物体としては、板のほか、例えば紙や、コインパーキング等で一般的に見られる車両ロック装置が相当する。
図9は道路標示認識装置1が用いるカメラ110の画像の第五例を示す図である。図10は図9の所定時間後のカメラ110の画像を示す図である。すなわち、図9に示す画像111Pと、図10に示す画像111Nとは車両の移動過程の異なる位置で時系列に沿って撮像された2つの画像である。図9に示すように、駐車場には駐車枠112及び車止め113が設けられる。駐車枠112には中断部112zが2箇所存在する。
検出部12は図9に示す画像111Pにおいて、駐車枠112、車止め113及び駐車領域Aを検出する。さらに、検出部12は駐車枠112に係る規則性や種類、仕様といった道路標示情報21に基づき、車両の左右の区画線112aの両方に1箇所ずつ中断部112zがあることを検出する。
判別部13は図9に示す画像111Pと、図10に示す画像111Nとの2つの画像に基づき、駐車枠112の区画線112aにおける中断部112zが画像上で区画線112aとともに移動していることを判別する。そして、それらの2つの画像に基づき、判別部13は中断部112zに路面上の障害物が存在しないことを判別し、さらに中断部112zが区画線112aの掠れであることを判別する。
中断部112zが区画線112aの掠れであるので、補完部14は図10に示す画像111Nにおいて駐車枠112の区画線112aに対する補完処理を実施する。この場合、従前の画像である図9に示す画像111Pから中断部112z(掠れ)の箇所に対応する領域である区画線112aの一部分の画素情報を利用するが、2つの画像間で中断部112zが移動していないので、画素情報を利用することができない。したがって、補完部14は道路標示情報21として記憶された区画線112aの規則性や種類、仕様に基づき、図10示すように区画線112aの中断部112z(掠れ)の箇所に対する補完処理を実施する(図10の破線)。
<1−4.道路標示認識装置の動作>
続いて、第1実施形態の道路標示認識装置1の動作について説明する。図11は、道路標示認識装置1の動作例を示すフローチャートである。なお、このフローチャートを用いた説明において、カメラ110が撮像した画像としては、上記図3〜図10の画像111P、111Bを適宜用いて説明する。
道路標示認識装置1はその動作開始を促すイベントの発生に基づき動作を開始する(図11の「開始」)。道路標示認識装置1の動作開始イベントとしては、例えば車両のシフトレバーの位置がリバースレンジに切り替わったこと等を挙げることができる。なお、道路標示認識装置1の動作開始とともにカメラ110及び表示装置120も動作を開始し、表示装置120の画面にカメラ110が撮像した車両の後方の画像が表示される。
道路標示認識装置1が動作を開始すると、検出部12が、カメラ110が取得した画像111Pから道路標示を検出する(図11のステップS101)。なお、画像は、映像取得部11が所定時間(例えば1/30秒)ごとに時間的に連続して取得する。また、検出部12は車両の移動量及び方向に基づいて車両を駐車するための駐車領域Aに注目し、駐車枠112等の道路標示を検出する。
続いて、検出部12は、画像111P内において検出した道路標示である駐車枠112に中断部があるか否かを判定する(ステップS102)。検出部12は道路標示情報21として予め記憶された駐車枠112の規則性や種類、仕様に基づき駐車枠112の形状や大きさを認識するとともに、その駐車枠112における中断部112zを検出する。
駐車枠112に中断部112zがある場合(ステップS102のYes)、判別部13は画像111P内の駐車枠112における中断部112zに路面上の障害物が存在するか否かを判別する(ステップS103)。判別部13は、車両の移動過程の異なる位置で時系列に沿って撮像された2つの画像111に基づき中断部112zに路面上の障害物が存在するか否かを判別する。
例えば、図3及び図4を用いて先に説明したように、駐車枠112における中断部112zに路面上の障害物が存在しない場合(ステップS103のNo)、補完部14は図4に示すように画像111Nにおいて駐車枠112に対する補完処理を実施する(ステップS104)。
また例えば、図9及び図10を用いて先に説明したように、中断部112zに路面上の障害物が存在せず(ステップS103のNo)、中断部112zが駐車枠112の掠れであると判別された場合、補完部14は図10に示すように画像111Nにおいて駐車枠112の掠れの箇所(中断部112z)に対する補完処理を実施する(ステップS104)。
一方、駐車枠112における中断部112zに路面上の障害物が存在する場合(ステップS103のYes)、判別部13が障害物の高さを認識する(ステップS105)。
続いて、補完部14が路面上の障害物の高さに基づき駐車枠112の補完処理が必要であるか否かを判別する(ステップS106)。
例えば、図5及び図6を用いて先に説明したように、障害物114の高さが所定値(例えば30cm)以上である場合、補完部14は駐車枠112の補完処理が必要ないと判定する(ステップS106のNo)。これにより、補完部14は図6に示すように画像111Nにおいて駐車枠112に対する補完処理を禁止する。
一方例えば、図7及び図8を用いて先に説明したように、障害物115の高さが所定値(例えば30cm)未満である場合、補完部14は駐車枠112の補完処理が必要であると判定する(ステップS106のYes)。これにより、補完部14は図8に示すように画像111Nにおいて駐車枠112に対する補完処理を実施する(ステップS104)。
そして、道路標示認識装置1の動作を終了するか否かが判定される(ステップS107)。道路標示認識装置1の動作終了イベントとしては、例えば車両のシフトレバーの位置がリバースレンジから他のレンジに切り替わったこと等を挙げることができる。動作終了イベントが発生していれば(ステップS107のYes)、道路標示認識装置1は動作を終了する(図11の「終了」)。動作終了イベントが発生していなければ(ステップS107のNo)、ステップS101に戻り、道路標示認識装置1は動作を継続する。
なお、道路標示認識装置1の動作終了イベントを常時監視し、上記フローの途中であっても、動作終了イベントが発生すれば、直ちに道路標示認識装置1が動作を終了することにしても良い。
上記第1実施形態のように、道路標示認識装置1は、車両の周辺を撮像するカメラ110から取得した画像111から道路標示である駐車枠112及び駐車枠112における中断部112zを検出する検出部12と、画像111内の中断部112zに路面上の障害物が存在するか否かを判別する判別部13と、駐車枠112の中断部112zに対する補完処理を実施する補完部14と、を備える。そして、補完部14は、中断部112zに障害物が存在する場合に、駐車枠112の中断部112zに対する補完処理を禁止する。
この構成によれば、カメラ110から得た画像111から、駐車枠112の中断部112zと、中断部112zにおける障害物の有無とを認識することができる。そして、中断部112zにおける障害物の有無に基づいて、駐車枠112の中断部112zに対する補完処理の必要性を判別することができる。したがって、障害物を認識し、視認性の低い駐車枠112に対して適正に補完処理を実施することが可能になる。障害物を認識することができ、障害物への対応を迅速且つ適正に実施することが可能になる。また、例えば雨滴や汚泥がカメラレンズに付着して汚れていても、障害物と認識されることなく、駐車枠112が適正に補完処理される。そして、例えば道路標示認識装置1が補完した駐車枠112の像を車両の後方の画像111内に重ねて明示すれば、運転者は駐車枠112を容易に認識することができ、駐車枠112内に容易に駐車することが可能になる。
また、判別部13は、車両の移動過程の異なる位置で時系列に沿って撮像された2つの画像111に基づき駐車枠112の中断部112zに路面上の障害物が存在するか否かを判別する。この構成によれば、障害物と、カメラレンズに付着した汚れや駐車枠112の掠れ等とを適正に判別することが可能になる。
また、補完部14は、車両の移動過程の異なる位置で時系列に沿って撮像された2つの画像111各々の駐車枠112の画素情報を利用して駐車枠112の中断部112zに対する補完処理を実施する。この構成によれば、駐車枠112の補完処理に対して画像111の駐車枠112の像を直接利用するので、より正確に駐車枠112に対する補完処理を実施することが可能になる。したがって、運転者が実際の駐車枠112内に駐車する精度を高めることができる。
また、補完部14は、記憶部20に記憶された駐車枠112の規則性や種類、仕様といった道路標示情報21に基づき駐車枠112の中断部112zに対する補完処理を実施する。この構成によれば、例えば従前の画像から障害物の箇所に対応する領域である駐車枠112の一部分の画素情報(例えば、色相・明度・彩度の色の三要素)を利用することができない場合に、駐車枠112の中断部112zに対する補完処理を実施することが可能になる。したがって、高さが比較的低い障害物が駐車枠112と重畳する場合や、駐車枠112が掠れている場合等において、正確に駐車枠112の中断部112zに対する補完処理を実施することが可能になる。
そして、補完部14は、障害物の高さが予め定めた所定値以上の場合に、駐車枠112の中断部112zに対する補完処理を禁止し、障害物の高さが所定値未満の場合に、駐車枠112の中断部112zに対する補完処理を実施する。この構成によれば、必要に応じて駐車枠112の中断部112zに対する補完処理を実施することができる。したがって、障害物と、カメラレンズに付着した汚れや駐車枠112の掠れ等との判別を高精度に実現することが可能になる。
なお、上記実施形態において、駐車枠112は区画線がひとつの矩形の駐車領域Aの三辺に配置される形態であることとしたが、駐車枠はこのような形態に限定されるわけでない。例えば、駐車枠が、車両の前後方向長さに対応する所定長さで延びる車両の左右2本の区画線のみで構成され、車両の前後の区画線が無い形態であっても良い。また、上記実施形態の駐車枠112は隣り合う他の駐車領域と区画線を共用する形態であるが、区画線が駐車領域ごとに個別に設けられる形態であっても良い。駐車枠がこれらのいずれの形態であっても、道路標示認識装置1は駐車枠として補完することができ、運転者に明示することが可能である。
さらに、駐車枠は路面に描かれた所定幅の線(帯)に限定されるわけではない。例えば、ロープ、タイル等の駐車枠を提示する他のものであっても、道路標示認識装置1は駐車枠として補完することができ、運転者に明示することが可能である。
また、駐車領域Aに複数の障害物が存在する場合、車両に近い障害物ほど道路標示認識装置1による処理の優先度を上げることが好ましい。これにより、車両に近い障害物を迅速に認識することができ、障害物への対応を一層早めることが可能になる。
<2.第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。図12は、車道区画線認識装置1が用いるカメラの画像の第六例を示す図である。図13は、図12の所定時間後のカメラの画像を示す図である。図14は、道路標示認識装置1の動作例を示すフローチャートである。なお、第2実施形態の基本的な構成は先に説明した第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と異なる構成要素については以下で説明し、第1実施形態と共通する構成要素については詳細な説明を省略する。
第2実施形態の道路標示認識装置1は判別部13が、図12に示す画像111P内の障害物116が移動体であるか否かを判別する。判別部13は、例えば車両の移動過程の異なる位置で時系列に沿って撮像された複数の画像111に基づき障害物116が移動体であるか否かを判別する。なおここでは、例えば障害物116が駐車場内を歩く歩行者であるとする。
また、判別部13は、図12及び図13に示すように車両の移動過程の異なる位置で時系列に沿って撮像された複数の画像111に基づき移動体である障害物116のこれまでの移動経路R1を導出する。そして、判別部13は、障害物116のこれまでの移動経路R1に基づき予測される障害物116の今後の移動経路である予測移動経路R2を推定する。さらに、判別部13は、引き続き障害物116が予測移動経路R2に沿って移動した場合に関して、予測移動経路R2と重畳する駐車枠112の重畳部112yを推定する。
補完部14は重畳部112yにおいて駐車枠112に対する補完処理を禁止する。すなわち、以後の処理で取得された画像内で、重畳部112yにおいて駐車枠112に中断部が発生した場合、補完部14は該中断部に対して補完処理を禁止する。
続いて、第2実施形態の道路標示認識装置1の動作について、図12〜図14を用いて説明する。
道路標示認識装置1が動作を開始すると(図14の「開始」)、検出部12が、カメラ110が取得した画像111P(図12参照)から道路標示を検出する(ステップS201)。続いて、検出部12は、画像111P内において検出した道路標示である駐車枠112に中断部があるか否かを判定する(ステップS202)。駐車枠112に中断部112zがある場合(ステップS202のYes)、判別部13は画像111P内の駐車枠112における中断部112zに路面上の障害物が存在するか否かを判別する(ステップS203)。
画像111P内に障害物116が存在する場合(ステップS203のYes)、判別部13は図12に示す画像111Pと、図13に示す画像111Nとの2つの画像に基づき、障害物116が移動体であるか否かを判別する(ステップS205)。障害物116が移動体である場合(ステップS205のYes)、判別部13は、図13に示すように移動体である障害物116の予測移動経路R2及び当該予測移動経路R2における駐車枠112との重畳部112yを推定する(ステップS206)。
そして、補完部14は重畳部112yにおいて駐車枠112に対して補完処理の禁止を設定する(ステップS207)。これにより、重畳部112yにおいて駐車枠112が補完されることなくステップS210に移行し、道路標示認識装置1の動作を終了するか否かが判定される。
なお、以後の処理で取得された画像内で、重畳部112yにおいて駐車枠112に中断部が発生した場合、予め補完処理の禁止が設定されているので、補完部14は該中断部に対して補完処理を禁止する。
上記第2実施形態のように、道路標示認識装置1は判別部13が、画像111P内の障害物116が移動体であるか否かを判別するとともに、移動体の予測移動経路R2及び当該予測移動経路R2と重畳する駐車枠112の重畳部112yを推定する。そして、補完部14は、当該重畳部112yにおける駐車枠112に対する補完処理を禁止する。
この構成によれば、駐車枠112に対する補完処理の必要性を高精度に判別することができる。また、駐車枠112の重畳部112yにおいて不要な補完処理が禁止されるので、道路標示認識装置1における制御に係る負荷を低減させることが可能である。
<3.留意事項>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。また、上記の複数の実施形態及び変形例は可能な範囲で組み合わせて実施しても良い。
また、上記実施形態において、道路標示認識装置1が駐車場の駐車枠112に対して補完処理を実施することとしたが、補完処理の対象となる道路標示は駐車枠に限定されるわけではない。道路標示認識装置1は、例えば車道中央線や車線境界線、横断歩道といった道路標示についても同様に補完処理を実施することが可能である。車道中央線や車線境界線に対して補完処理を実施すれば、走行中に車線を認識させる作用を向上させることができる。また、横断歩道などといった減速、停止の対象となる道路標示に対する認識も高まり、走行中の安全性をより一層向上させることが可能になる。さらに、障害物として、例えば横断歩道上の歩行者を認識することができ、歩行者への対応を迅速且つ適正に実施することが可能になる。
また、上記実施形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されていると説明したが、これらの機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路によって実現されても良い。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されても良い。