JP6951985B2 - 樹脂組成物及び止水材 - Google Patents
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Description
また、特許文献1には、外壁貫通部に設置するパイプに弾性部材を有するフランジ部材(ツバ部)を設け、このフランジ部材をねじで外壁に押し付けて、パイプと壁面との間の止水性を確保する技術が開示されている。
そこで本発明は、住宅外壁等の凹凸面に対して、当該凹凸面を処理せずにそのまま適用した場合でも、圧力下(凹凸面に押し付けた状態で)、当該凹凸にしっかりと追従して密着することができ、かつ、この圧力下の追従密着性を長期に亘り発現し続けることができ、その結果、優れた止水性を長期間、持続的に発現することができる樹脂組成物及び止水材を提供することを課題とする。
〔1〕
熱可塑性エラストマーと、酸変性樹脂と、該熱可塑性エラストマー及び該酸変性樹脂の合計100質量部に対して80〜310質量部の金属水酸化物と、160〜460質量部の軟化剤とを含有する樹脂組成物。
〔2〕
前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラストマーを含む、〔1〕記載の樹脂組成物。
〔3〕
前記熱可塑性エラストマー及び前記酸変性樹脂の合計に占める前記酸変性樹脂の割合が10〜40質量%である、〔1〕又は〔2〕記載の樹脂組成物。
〔4〕
JIS K 6254のC法に準拠して測定される25%圧縮応力が300kPa以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の樹脂組成物。
〔5〕
ドーナツ状に成形されてなる、〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の樹脂組成物。
〔6〕
前記樹脂組成物を、孔径40mm、外径60mm、厚さ6.7mmの平板ドーナツ状に成形し、該ドーナツ状成形品を、孔径37.1mmの円筒型パイプが円筒軸方向端部に有する外径105mmのステンレス製フランジ表面に、該ドーナツ状試験片の孔の中央部に前記円筒型パイプの孔が位置するように配し、該ドーナツ状成形品の前記フランジ側とは反対の側にはサイディング板(ニチハ社製、商品名:モエンエクセラード16ニューグランドールシリーズI EPB311N)を、該サイディング板の凹凸面が該ドーナツ状成形品側となるように配し、前記サイディング板の凹凸面と前記フランジ表面との最短距離が2.0mmとなるまで該フランジと該サイディング板とをねじ締めした状態とし、前記パイプ内に高さ10cmまで25℃の水を入れた場合に、30℃で、30分間以上水漏れを生じない、〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の樹脂組成物。
〔7〕
前記樹脂組成物を、孔径40mm、外径60mm、厚さ6.7mmの平板ドーナツ状に成形し、該ドーナツ状成形品を、孔径37.1mmの円筒型パイプが円筒軸方向端部に有する外径105mmのステンレス製フランジ表面に、該ドーナツ状試験片の孔の中央部に前記円筒型パイプの孔が位置するように配し、該ドーナツ状成形品の前記フランジ側とは反対の側にはサイディング板(ニチハ社製、商品名:モエンエクセラード16ニューグランドールシリーズI EPB311N)を、該サイディング板の凹凸面が該ドーナツ状成形品側となるように配し、前記サイディング板凹凸面と前記フランジ表面との最短距離が2.0mmとなるまで該フランジと該サイディング板とをねじ締めした状態とし、30℃で125時間静置し、その後、前記パイプ内に高さ10cmまで25℃の水を入れた場合に、30℃で、30分間以上水漏れを生じない、〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の樹脂組成物。
〔8〕
止水材として用いる、〔1〕〜〔7〕のいずれか記載の樹脂組成物。
〔9〕
熱可塑性エラストマーと、酸変性樹脂と、該熱可塑性エラストマー及び該酸変性樹脂の合計100質量部に対して80〜310質量部の金属水酸化物と、160〜460質量部の軟化剤とを含有する樹脂組成物からなる止水材。
〔10〕
前記熱可塑性エラストマーがスチレン系熱可塑性エラストマーを含む、〔9〕記載の止水材。
〔11〕
前記樹脂組成物中、前記熱可塑性エラストマー及び前記酸変性樹脂の合計に占める前記酸変性樹脂の割合が10〜40質量%である、〔9〕又は〔10〕記載の止水材。
〔12〕
前記樹脂組成物の、JIS K 6254のC法に準拠して測定される25%圧縮応力が300kPa以下である、〔9〕〜〔11〕のいずれか記載の止水材。
〔13〕
ドーナツ状に成形されてなる、〔9〕〜〔12〕のいずれか記載の止水材。
〔14〕
前記止水材を、孔径40mm、外径60mm、厚さ6.7mmの平板ドーナツ状に成形し、該ドーナツ状成形品を、孔径37.1mmの円筒型パイプが円筒軸方向端部に有する外径105mmのステンレス製フランジ表面に、該ドーナツ状試験片の孔の中央部に前記円筒型パイプの孔が位置するように配し、該ドーナツ状成形品の前記フランジ側とは反対の側にはサイディング板(ニチハ社製、商品名:モエンエクセラード16ニューグランドールシリーズI EPB311N)を、該サイディング板の凹凸面が該ドーナツ状成形品側となるように配し、前記サイディング板の凹凸面と前記フランジ表面との最短距離が2.0mmとなるまで該フランジと該サイディング板とをねじ締めした状態とし、前記パイプ内に高さ10cmまで25℃の水を入れた場合に、30℃で、30分間以上水漏れを生じない、〔11〕〜〔13〕のいずれか記載の止水材。
〔15〕
前記止水材を、孔径40mm、外径60mm、厚さ6.7mmの平板ドーナツ状に成形し、該ドーナツ状成形品を、孔径37.1mmの円筒型パイプが円筒軸方向端部に有する外径105mmのステンレス製フランジ表面に、該ドーナツ状試験片の孔の中央部に前記円筒型パイプの孔が位置するように配し、該ドーナツ状成形品の前記フランジ側とは反対の側にはサイディング板(ニチハ社製、商品名:モエンエクセラード16ニューグランドールシリーズI EPB311N)を、該サイディング板の凹凸面が該ドーナツ状成形品側となるように配し、前記サイディング板の凹凸面と前記フランジ表面との最短距離が2.0mmとなるまで該フランジと該サイディング板とをねじ締めした状態とし、30℃で125時間静置し、その後、前記パイプ内に高さ10cmまで25℃の水を入れた場合に、30℃で、30分間以上水漏れを生じない、〔11〕〜〔14〕のいずれか記載の止水材。
本発明の樹脂組成物は、25%圧縮応力が300kPa以下であり、かつ、30℃で125日経過後の緩和弾性率が9.0kPa以上という特有の物性を有している。25%圧縮応力が300kPa以下であることにより、樹脂組成物に一定の高い凹凸追従性が付与される。つまり、圧力下における凹凸面への追従密着性を十分に高めることができる。
また、30℃で125日後の緩和弾性率が9.0kPa以上であることにより、圧力変形状態における経時的な応力緩和が抑えられて長期に亘り一定の高い応力も発現することができる。そのため、圧力をかけて凹凸面に追従、密着させた樹脂組成物は、その追従密着状態を長期に亘り安定に維持することができる。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、凹凸追従性(変形性)と弾性という、互いに相反する特性の両立をこれまでにない高いレベルで実現したものであり、例えば、住宅用貫通部材等の止水材として好適な、特異な物性を有している。
本発明の樹脂組成物の形態は、溶媒を含有せずに固形分で構成されていてもよいし。また、溶媒中に樹脂成分等が溶解した状態にあり、成形時等に溶媒を揮発させて用いる形態でもよい。なお、本発明の樹脂組成物が溶媒を含有する形態であっても、本発明で規定する圧縮応力や緩和弾性率の値は、溶媒を除いた状態における樹脂組成物の物性である。
本発明の樹脂組成物は、上記の通り、25%圧縮応力が300kPa以下である。つまり、一定の柔らかな物性を有し、圧力下における凹凸面への追従性に優れている。
本発明の樹脂組成物は、25%圧縮応力が270kPa以下が好ましく、250kPa以下がより好ましく、230kPa以下がさらに好ましい。また、上記25%圧縮応力は通常は30kPa以上であり、40kPa以上が実際的である。
樹脂組成物の25%圧縮応力は、JIS K 6254のC法に準拠して測定される。より具体的には、後述する実施例に記載の方法により決定することができる。
本発明の樹脂組成物は、上記の通り、30℃で125日経過後の緩和弾性率が9.0kPa以上である。つまり、圧力変形状態において、経時的な応力緩和が抑えられて一定の弾性を維持することができる。その結果、圧力をかけて凹凸面へ追従、密着させた樹脂組成物は、当該追従密着状態を長期に亘り維持することができる。
本発明の樹脂組成物は、30℃で125日経過後の緩和弾性率が9.2kPa以上が好ましい。また、上記緩和弾性率は通常は100kPa以下であり、90kPa以下が実際的であり、80kPa以下とすることも好ましい。
30℃で125日経過後の緩和弾性率は、特開2013−134477号公報の段落[0023]〜[0025]に記載された方法に準じて測定することができる。より具体的には、後述する実施例に記載の方法により決定することができる。
本発明の樹脂組成物は、上記特性を有すれば、その成分組成に特に制限はない。例えば、熱可塑性樹脂をベース樹脂として、必要により軟化剤、フィラー等を配合し、また必要により慣用添加物等を配合し、本発明の樹脂組成物を得ることができる。
なお、樹脂組成物を構成する、下記で説明する樹脂成分の少なくとも一部は、後述するように酸変性された形態であることも好ましい。
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分(ポリマー成分)として、通常は熱可塑性樹脂を含み、樹脂成分のすべてが熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂の種類は、本発明で規定する物性ないし特性の樹脂組成物を実現できれば特に制限はない。
熱可塑性樹脂の好ましい例としては、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。なかでも、本発明に用いる熱可塑性樹脂は熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。本発明の樹脂組成物中の熱可塑性樹脂に占める熱可塑性エラストマーの割合は40質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、本発明の樹脂組成物中の熱可塑性樹脂のすべてが熱可塑性エラストマーであることも好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系の各エラストマーを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。以下、本発明に用いる熱可塑性エラストマーの好ましい形態について説明する。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB、スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合体)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR)、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体(SEP、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、低分子のグリコール及びジイソシアネートからなるハードセグメントと、高分子(長鎖)ジオールおよびジイソシアネートからなるソフトセグメントとの構造単位を含むエラストマーなどが挙げられる。
高分子(長鎖)ジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン・1,4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1,6−ヘキシレンカーボネート)、ポリ(1,6−ヘキシレン・ネオペンチレンアジペート)などが挙げられる。高分子(長鎖)ジオールの数平均分子量は、500以上10,000未満が好ましい。
低分子のグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等の短鎖ジオールを用いることができる。短鎖ジオールの数平均分子量は、48以上〜500未満が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの1種又は2種以上を用いることができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントがポリアミドであり、ソフトセグメントがポリエーテルやポリエステルを用いたマルチブロックコポリマーを挙げることができる。ハードセグメントとしては、例えば、ポリアミド6,66,610,11,12等が挙げられる。ソフトセグメントにおけるポリエーテルは、ポリエチレングリコール、ジオールポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール等が挙げられ、ポリエステルは、ポリ(エチレンアジペート)グリコール、ポリ(ブチレン−1,4−アジペート)グリコール等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの1種又は2種以上を用いることができる。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、特開平11−92636号公報などに記載された高融点ポリエステルセグメント(ハードセグメント)と分子量400〜6,000程度の低融点ポリマーセグメント(ソフトセグメント)とからなるブロックコポリマーを用いることができる。高融点ポリエステルセグメントとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等を挙げることができる。また、低融点ポリマーセグメントとしては、例えば、ガラス転移温度が−70℃の非晶性ポリエーテル、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)等を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明において「酸変性」とは、酸基を導入した形態の他、酸無水物基を導入した形態を含む意味である。また、原料として用いた酸変性樹脂が、酸無水物基を導入された形態である場合、混練等を経て樹脂組成物を調製した後においては、当該組成物中において酸無水物基の少なくとも一部は空気中の水分により加水分解されて開環し、酸基となる。
酸変性は、酸化合物(酸基又は酸無水物基を有する化合物)をグラフト反応させたり、酸化合物をモノマーとして共重合したりして行われる。また、酸変性樹脂は、極性基として酸基や酸無水物基を有することに加え、他の極性基が導入されていてもよい。
ジカルボン酸無水物構造を有する化合物は、芳香族多価カルボン酸や脂肪族多価カルボン酸の無水物が挙げられる。なかでもジカルボン酸無水物構造が環を形成した構造の化合物が好ましく、芳香族多価カルボン酸の隣接する2つのカルボキシ基が脱水縮合した構造の化合物がより好ましい。ジカルボン酸無水物構造が環を形成している場合、この環は5員環または6員環が好ましく、5員環がより好ましい。
また、酸変性のエチレン−プロピレン共重合体、酸変性のエチレン−α−オレフィン共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体など)等も好適に用いることができる。
また、酸変性樹脂の別の好ましい例として、酸変性ポリスチレン樹脂が挙げられる。酸変性ポリスチレン樹脂は、酸変性スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。具体例として酸変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(以下、酸変性SEBSと記す)、酸変性スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(以下、酸変性SBSと記す)等が挙げられる。
酸変性樹脂のなかでも特に好ましいのは、酸変性SEBSや、酸変性SBS等の酸変性スチレン系熱可塑性エラストマーである。
酸変性SEBSは、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体中のエチレン/ブチレンブロックを酸化合物によって変性させたものである。また、酸変性SBSは、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体中のブタジエン成分を酸化合物によって変性させたものである。
酸変性樹脂は、未変性の樹脂と比較して、金属水酸化物との相互作用が大きい。このような酸変性樹脂は常法により合成することができ、市販品を用いることもできる。例えば酸変性SEBSとしては、タフテック M1911(商品名、旭化成ケミカルズ社製)等が市販されている。
本発明の樹脂組成物は、金属水酸化物を含有することができる。金属水酸化物を含有させることにより、樹脂組成物の応力緩和を抑制することが可能となる。この金属水酸化物による応力緩和抑制作用は、樹脂組成物に酸変性樹脂を含有させることでより顕在化する。これは、酸変性樹脂が有する酸基と金属水酸化物が有する水酸基とが相互作用(水素結合性相互作用ないしはエステル結合の形成)をし、酸変性樹脂が金属酸化物により物理的、化学的に架橋されたような状態となり、酸変性樹脂の分子運動が拘束されることが一因と考えられる。この観点からは、金属水酸化物を構成する金属は多価金属であることが好ましく、より好ましくは2価又は3価の金属であり、より好ましくは2価の金属である。
このような応力緩和抑制作用をより効果的に発現させる観点から、本発明の樹脂組成物を構成する樹脂成分の合計に占める酸変性樹脂の割合を10〜40質量%(好ましくは15〜35質量%)とし、本発明の樹脂組成物を構成する樹脂成分の含有量の合計100質量部に対する上記の金属水酸化物の含有量を80〜310質量部とすることが好ましい。金属水酸化物の量を上記範囲内とすることによって、より伸びやすく、また、より高い強度の物性とすることができる。本発明の樹脂組成物を構成する樹脂成分に占める酸変性樹脂以外の樹脂は、上記で説明した熱可塑性樹脂(酸変性されていないもの)であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、軟化剤を含有することも好ましい。軟化剤を含有することにより、本発明の樹脂組成物の凹凸追従性をより高めることができる。なかでも、樹脂組成物が酸変性樹脂と金属水酸化物を含有する形態である場合には、応力緩和が抑制されて上昇した弾性率を、軟化剤がほどよく抑え込み、弾性と柔軟性の両特性を、より高いレベルで兼ね備えた物性の樹脂組成物とすることができる。
本発明に用い得る軟化剤に特に制限はない。例えば、一般的なゴム・エラストマー類の軟化剤として使用されるものを広く用いることができる。軟化剤の好ましい例としてはオイルを挙げることができる。このオイルは、後述する実施例に記載されるように、クロロホルムに対して相溶性を示し、且つ、エタノールに対しても相溶性を示す成分である。本発明において「X(溶媒)に対して相溶性を示す」とは、Xに対する溶解度が25℃において「50g/100g−X」以上であることを意味する。
オイルとしては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル、シリコーン系オイル、ポリブテン系オイル、植物由来系オイルが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、樹脂成分との相溶性の観点から、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル、ポリブテン系オイル、又は植物由来系(中でも特にテルペン系)オイルが好ましく、特にパラフィン系オイル、ポリブテン系オイル、及びテルペン系オイルから選ばれるものが好ましい。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物中、軟化剤の含有量は、本発明の樹脂組成物を構成する樹脂成分の合計含有量100質量部に対して150〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは160〜460質量部、さらに好ましくは190〜400質量部、さらに好ましくは200〜350質量部である。
本発明の樹脂組成物は、各成分を均質に含有する形態であれば、その形状に特に制限はない。例えば、各成分を混練して得た混練物の状態でもよいし、ペレットの状態でもよいし、成形品の形態でもよい。また、本発明の樹脂組成物は溶媒を含み、この溶媒中に樹脂成分等が溶解した状態であってもよい。
本発明の樹脂組成物が成形品の形態である場合、好ましい形状の一例として、ドーナツ状に成形された形態が挙げられる。このドーナツ状の成形品は、例えば、住宅外壁等の貫通部に設置する貫通パイプに用いる止水材として好適に用いることができる。ドーナツ状成形体は、円形であってもよく、多角形状であってもよく、また楕円状でもよい。つまり、本発明においてドーナツ状とは、中心部に孔(貫通孔)を有する形態であれば特に制限されない。ドーナツ状の成形品のサイズは、適用する貫通孔等の大きさを考慮して適宜に調整すればよい。ドーナツ状成形品は中央に孔を有する平板状であることが好ましく、その厚さは通常は3〜15mmであり、好ましくは5.5〜10.0mmである。
本発明の樹脂組成物は、所望の止水性能を示すことが好ましい。より詳細には、次の条件(I)及び/又は(II)で行う止水性試験において、30℃で、30分以上の間、水漏れを生じないことが好ましい。
樹脂組成物を、孔径40mm、外径60mm、厚さ6.7mmのドーナツ状に成形し、該ドーナツ状成形品を、孔径37.1mmの円筒型パイプが円筒軸方向端部に有する外径105mmのステンレス製フランジ表面に、該ドーナツ状試験片の孔の中央部に前記円筒型パイプの孔が位置するように配し、該ドーナツ状成形品の前記フランジ側とは反対の側にはサイディング板を、該サイディング板の凹凸面が該ドーナツ状成形品側となるように配し、前記サイディング板の凹凸面と前記フランジ表面との最短距離が2.0mmとなるまで該フランジと該サイディング板とをねじ締めした状態とし、前記パイプ内に高さ10cmまで25℃の水を入れた条件。
樹脂組成物を、孔径40mm、外径60mm、厚さ6.7mmのドーナツ状に成形し、該ドーナツ状成形品を、孔径37.1mmの円筒型パイプが円筒軸方向端部に有する外径105mmのステンレス製フランジ表面に、該ドーナツ状試験片の孔の中央部に前記円筒型パイプの孔が位置するように配し、該ドーナツ状成形品の前記フランジ側とは反対の側にはサイディング板を、該サイディング板の凹凸面が該ドーナツ状成形品側となるように配し、前記サイディング板の凹凸面と前記フランジ表面との最短距離が2.0mmとなるまで該フランジと該サイディング板とをねじ締めした状態とし、30℃で125時間静置し、その後、前記パイプ内に高さ10cmまで25℃の水を入れた条件。
本発明の樹脂組成物は、止水材として好適である。本発明において「止水材」は、目地材を含む意味に用いる。
本発明の樹脂組成物は、例えば、住宅用貫通部材の止水材として、アルミサッシ周りの止水材として、キッチン周りの目地材として、また外壁サイディング環の目地材として、好ましく適用することができる。
本発明の止水材は、熱可塑性エラストマーと、酸変性樹脂と、金属酸化物と、軟化剤とを含有する樹脂組成物からなる。止水材を構成する樹脂組成物において、熱可塑性エラストマー及び酸変性樹脂の合計100質量部に対し、金属酸化物の含有量は80〜310質量部であり、軟化剤の含有量160〜460質量部である。本発明の止水材を構成する樹脂組成物に含まれる熱可塑性エラストマー、酸変性樹脂、金属酸化物、及び軟化剤の好ましい形態は、上述の本発明の樹脂組成物において説明した熱可塑性エラストマー、酸変性樹脂、金属酸化物、及び軟化剤の好ましい形態と同義であり、これらの止水材中(樹脂組成物中)の好ましい含有量も、本発明の樹脂組成物において説明した樹脂組成物中の好ましい含有量と同義である。本発明の止水材において、単に「熱可塑性エラストマー」という場合、特段の断りのない限り、酸変性されていない熱可塑性エラストマーを意味する。
<ベース樹脂製剤>
(非酸変性樹脂)
・スチレン系熱可塑性エラストマー製剤(アロン化成社製、商品名:AR−SC−0(SEBS)
・スチレン系熱可塑性エラストマー製剤(リケンテクノス社製、商品名:TPE LQR7466N、水添スチレン−エチレン−α−オレフィン共重合体)
(酸変性樹脂)
・無水マレイン酸変性SEBS製剤(旭化成ケミカルズ社製、商品名:タフテックM1911)
・パラフィン系オイル(日本サン石油社製、商品名:SUNPAR2280)
・ポリブテン系オイル(JXTGエネルギー社製、商品名:LV−50)
・水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、商品名:マグシーズN6)
・炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名:白艶華CC)
<樹脂組成物の調製>
下表に示す成分組成(単位:質量部)となるように、ベース樹脂製剤、軟化剤、フィラーを混合し(全量700g)、混練して、実施例1〜7、比較例1〜5の各樹脂組成物を得た。この混練は、150℃に設定した1Lニーダー(モリヤマ製、MS式小型加圧ニーダー(容量1L))を用いて、10分〜15分間、各成分が均一になるまで行った。各実施例、比較例の樹脂組成物の調製について詳しく説明する。
スチレン系熱可塑性エラストマー製剤(リケンテクノス社製、商品名:TPE LQR7466N)90.0質量部に対して、酸変性SEBS製剤(旭化成ケミカルズ社製、商品名:タフテックM1911)10.0質量部、ポリブテン系オイル(JXTGエネルギー社製、商品名:LV−50)40.0質量部および水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、商品名:マグシーズN6)50.0質量部を配合し、上述した通り混練し、実施例1の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物中の成分含有量は次のように決定した(実施例2〜7、比較例1〜5の樹脂組成物についても同様に、成分含有量を決定した。)。
−− 軟化剤成分の含有量 −−
樹脂組成物2.727gを、20mLのクロロホルムに浸し、クロロホルム溶解性成分(フィラー以外の成分)が完全に溶解するまで放置した。その後、このクロロホルム溶液を十分量(1.0L以上)のエタノールに滴下し、樹脂成分及びフィラー成分を凝集・沈殿させた。この沈殿物を、濾紙を使って減圧濾過して分離した後、エタノールを沈殿物に流しかけて沈殿物を洗浄した。その後、乾燥してエタノールを除去し、沈殿物の質量を測定したところ、1.380gであった。
出発時点の樹脂組成物の量は上記の通り2.727gであるから、[2.727g]−[1.380g]=[1.347g]が、軟化剤(オイル)の量となる。
−− 樹脂成分の含有量 −−
上記沈殿物1.380gを再度クロロホルムに浸し、クロロホルム溶解性成分が完全に溶解した後、シリンジフィルター(孔径0.80μm→孔径0.45μm、各々1回ずつ濾過)によりフィラー成分を除去した。得られた濾液を乾燥してクロロホルムを除去したところ、揮発せずに残留した成分は0.660gであった。この残留成分0.660gが樹脂成分の量となる。
−− フィラー成分の含有量 −−
出発時点の樹脂組成物2.727gから、軟化材成分1.347gと樹脂成分0.660gとを差し引いた0.720gが、フィラー成分の量となる。
−− 樹脂成分中に占める酸変性樹脂と非酸変性樹脂の比 −−
実施例1において、樹脂成分中のスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂と酸変性SEBSの量は、次のように決定した。
スチレン系熱可塑性エラストマー製剤(リケンテクノス社製、商品名:TPE LQR7466N)3.498gを、クロロホルムに完全溶解し、次いで十分量のエタノール中に滴下して沈殿物を得た。この沈殿物を、濾紙を使って減圧濾過して分離した後、エタノールを沈殿物に流しかけて沈殿物を洗浄した。その後、乾燥してエタノールを除去し、沈殿物の質量を測定したところ、1.404gであった。したがって、軟化材成分は[3.498g]−[1.404g]=[2.094g]となる(スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂:軟化剤=2:3(質量比))。
ここで、実施例1の樹脂組成物中には、スチレン系熱可塑性エラストマー製剤を90質量部に対し、無水マレイン酸変性SEBS製剤を10質量部配合している。
スチレン系熱可塑性エラストマー製剤は、上記の通り、スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂:軟化剤=2:3(質量比)であるから、スチレン系熱可塑性エラストマー製剤90質量部のうち、36質量部が非酸変性樹脂であるスチレン系熱可塑性エラストマーとなり、残る54質量部が軟化剤成分となる。一方、樹脂組成物中に配合した無水マレイン酸変性SEBS製剤は軟化剤を含んでいない。
したがって、樹脂成分全体(36質量部+10質量部)で100質量部となるように換算すると、非酸変性樹脂が78.3質量部、酸変性樹脂が21.7質量部と算出される。
スチレン系熱可塑性エラストマー製剤(リケンテクノス社製、商品名:TPE LQR7466N)90.0質量部に対して、酸変性SEBS(旭化成ケミカルズ社製、商品名:タフテックM1911)10.0質量部、ポリブテン系オイル(JXTGエネルギー社製、商品名:LV−50)28.8質量部、水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、商品名:マグシーズN6)36.8質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の樹脂組成物を調製した。
スチレン系熱可塑性エラストマー製剤(アロン化成社製、商品名:AR−SC−0)90.0質量部に対して、酸変性SEBS(旭化成ケミカルズ社製、商品名:タフテックM1911)10.0質量部、パラフィン系オイル(日本サン石油社製、商品名:SUNPAR2280)78.8質量部、水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、商品名:マグシーズN6)100.8質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3の樹脂組成物を調製した。
スチレン系熱可塑性エラストマー製剤(リケンテクノス社製、商品名:TPE LQR7466N)90.0質量部に対して、酸変性SEBS(旭化成ケミカルズ社製、商品名:タフテックM1911)10.0質量部、ポリブテン系オイル(JXTGエネルギー社製、商品名:LV−50)38.0質量部、水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、商品名:マグシーズN6)92.0質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の樹脂組成物を調製した。
スチレン系熱可塑性エラストマー製剤(アロン化成社製、商品名:AR−SC−0)90.0質量部に対して、酸変性SEBS(旭化成ケミカルズ社製、商品名:タフテックM1911)10.0質量部、パラフィン系オイル(日本サン石油社製、商品名:SUNPAR2280)33.3質量部、水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、商品名:マグシーズN6)97.5質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の樹脂組成物を調製した。
スチレン系熱可塑性エラストマー製剤(リケンテクノス社製、商品名:TPE LQR7466N)90.0質量部に対して、酸変性SEBS(旭化成ケミカルズ社製、商品名:タフテックM1911)10.0質量部、ポリブテン系オイル(JXTGエネルギー社製、商品名:LV−50)61.0質量部、水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、商品名:マグシーズN6)36.8質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の樹脂組成物を調製した。
スチレン系熱可塑性エラストマー製剤(アロン化成社製、商品名:AR−SC−0)90.0質量部に対して、酸変性SEBS(旭化成ケミカルズ社製、商品名:タフテックM1911)10.0質量部、パラフィン系オイル(日本サン石油社製、商品名:SUNPAR2280)78.8質量部、水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、商品名:マグシーズN6)81.3質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の樹脂組成物を調製した。
スチレン系熱可塑性エラストマー製剤(リケンテクノス社製、商品名:TPE LQR7466N)90.0質量部に対して、酸変性SEBS(旭化成ケミカルズ社製、商品名:タフテックM1911)10.0質量部、ポリブテン系オイル(JXTGエネルギー社製、商品名:LV−50)15.0質量部、水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、商品名:マグシーズN6)50.6質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の樹脂組成物を調製した。
スチレン系熱可塑性エラストマー製剤(リケンテクノス社製、商品名:TPE LQR7466N)90.0質量部に対して、酸変性SEBS(旭化成ケミカルズ社製、商品名:タフテックM1911)10.0質量部、ポリブテン系オイル(JXTGエネルギー社製、商品名:LV−50)28.8質量部、水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、商品名:マグシーズN6)23.0質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の樹脂組成物を調製した。
スチレン系熱可塑性エラストマー製剤(リケンテクノス社製、商品名:TPE LQR7466N)100質量部に対して、ポリブテン系オイル(JXTGエネルギー社製、商品名:LV−50)120.0質量部、水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、商品名:マグシーズN6)32.0質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして比較例3の樹脂組成物を調製した。
スチレン系熱可塑性エラストマー製剤(アロン化成社製、商品名:AR−SC−0)90.0質量部に対して、酸変性SEBS(旭化成ケミカルズ社製、商品名:タフテックM1911)10.0質量部、パラフィン系オイル(日本サン石油社製、商品名:SUNPAR2280)88.5質量部、水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、商品名:マグシーズN6)100.8質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして比較例4の樹脂組成物を調製した。
スチレン系熱可塑性エラストマー製剤(リケンテクノス社製、商品名:TPE LQR7466N)90.0質量部に対して、酸変性SEBS(旭化成ケミカルズ社製、商品名:タフテックM1911)10.0質量部、ポリブテン系オイル(JXTGエネルギー社製、商品名:LV−50)40.0質量部、炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名:白艶華CC)50.0質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして比較例6の樹脂組成物を調製した。
得られた各実施例ないし比較例の樹脂組成物を、縦160×横200×高さ2mm(緩和弾性率測定用)、縦160×横200×高さ7mm(止水性試験用)、及び縦160×横200×高さ13mm(25%圧縮応力測定用)の各モールドに投入し、これを予めプレス板温度を160℃に設定したプレス機に投入し、5MPaの圧力で5分間プレスした。プレスした状態でそのまま30℃以下まで冷却し、各実施例、比較例の樹脂組成物について、厚み1.9mm(緩和弾性率測定用)、6.7mm(止水性試験用)、12.5mm(25%圧縮応力測定用)の試験用シートを作製した。
JIS K 6254のC法に準拠して、25%圧縮応力を測定した。万能引張試験機(島津試験器社製、オートグラフAGS−1kNX)に、金属製圧縮治具を取り付け、厚さ12.5mmの試験用シートを直径30mm(実測径29.8mm)に打ち抜いた円盤状サンプルを治具中央に設置した。10mm/minの速度でひずみ量25%まで圧縮し、直ちに10mm/minで荷重を取り除く、という操作を3回繰り返し、25%まで圧縮した状態の応力を測定した。得られた3回の測定値の平均値を、樹脂組成物の25%圧縮応力とした。
結果を下表に示す。
試験片を平板治具に固定して、下記の動的粘弾性試験条件にて、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、及び損失正接値(tanδ)測定した。
測定条件は、温度範囲30℃〜220℃で10℃ステップ、5種類の周波数(0.5〜20Hz)、歪量0.5%とし、回転モードにて、上記の厚み1.9mmのシートを直径25mmポンチで打ち抜いた直径25mm×厚さ1.9mmの試験片を用いて、連続的な昇温プロセスの中での歪に対する応答を測定した。周波数や歪量が大きすぎると試験片が捩れてしまうなど、データが不安定になってしまうため、上記条件で貯蔵弾性率(G’)の測定を行った。
各温度の貯蔵弾性率データに対し、次の操作を行った。
まず、時間−温度換算則(Time−Temperature−Superposition[TTS]=時間と温度は等価に扱うことができるという実験則)に従い、下記のW.L.F式(Williams,Landel,Ferry式)を参照し、基準温度30℃としたときのシフトファクターLogaT(各温度のデータを周波数軸に沿って水平移動させる量)を、下記の手順で定義した。
横軸を周波数、縦軸を弾性率とした両対数グラフ上で、30℃の測定温度にて周波数を変えて測定した粘弾性データ(貯蔵弾性率)を固定とし、このデータ曲線と、40℃で測定した同データ曲線がスムーズに繋がるように、40℃データ曲線を周波数側に沿ってシフトさせる。同様の操作を、50℃〜220℃までのデータ曲線について行い、最終的に1本の曲線として合成した。各温度における水平移動量からaT(シフトファクター)ならびに、C1、C2を回帰的に求め、これらが決定した状態の合成曲線を、マスターカーブとした。さらに、横軸(周波数)の逆数を取ることで横軸を時間単位に換算したものが、本発明において緩和弾性率曲線と定義するものである。
この曲線上で、30℃で125日(3000時間)後の値を読み取り、緩和後弾性率とした。
なお、測定には、動的粘弾性試験装置(TAインスツルメント社製 製品名:ARES−G2)を使用した。また、上記一連の操作(手順)は、ソフトウェア(製品名:TRIOS、TAインスツルメント社製)を用いて自動で行った。その際、シフトさせるパラメーターとして貯蔵弾性率を選択し、X軸方向(周波数軸)の水平移動のみを許可するよう設定し、マスターカーブを決定した。
結果を下表に示す。
<用意した試験具>
・サイディング板(ニチハ社製、商品名:モエンエクセラード16ニューグランドールシリーズI EPB311N、凹部の底部から凸部の頂部までの高さの差は最大4.2mm)
・両端溶接真空管 NWフランジ×VFフランジ(ミスミ社製、型番:FRNRFR40、材質:SUS304、高さ50mm、管内径37.1mm)
・NW/KF規格 ロングフランジ(コスモ・テック社製、型番:NW40LF70L、材質:SUS304、高さ70mm、管内径37.1mm)
・MPC真空配管 KFセンターリング(ミラプロ社製、型番:MCK−2040)
・NWクランプ(ISO−KFフランジタイプ、ミラプロ社製、型番:MCK−1040)
・M10ボルトおよびナット4組(サイディングとVFフランジとの固定に用いる)
両端溶接真空管(FRNRFR40)のVFフランジのボルト孔に合わせ、サイディング側にも孔開けし、M10ボルトでサイディング板に両端溶接真空管(FRNRFR40)のVFフランジを固定できるようにした。VFフランジの取付け位置は、サイディング板に存在する柄(凹凸)に対して任意の位置である。
厚さ6.7mmの試験シートから、直径60mmの円形シートを切り取り、得られた円盤状シートの中央部に直径40mmの孔を空けたドーナツ状試験片を作製した。
図1に示すように、下からサイディング板1、ドーナツ状試験片7、両端溶接真空管2(FRNRFR40)、KFセンターリング3(MCK−2040)、ロングフランジ4(NW40LF70L)の順に積み重ねた。この際、ドーナツ状試験片7の孔(直径40mm)の中央部に両端溶接真空管2(FRNRFR40)の孔(直径:37.1mm)が位置するようにした。
両端溶接真空管2(FRNRFR40)とロングフランジ4(NW40LF70L)とを、KFセンターリング3(MCK−2040)を挟んでNWクランプ(ISO−KFフランジタイプ、ミラプロ社製、型番:MCK−1040、図示せず)によりクランプした。
また、サイディング板1表面の凸部の最も高い部位と、両端溶接真空管2(FRNRFR40)の、サイディング板表面に向き合う最下端(VFフランジ最表面)との距離が2.0mmになるまで(ドーナツ状試験片7の最小厚さが2mmになるまで)ボルトを締めこんだ。この際、2.0mmのスペーサーを使用し、サイディング板1とVFフランジ最表面との間のクリアランスが変動しないようにした。
条件(I):
ロングフランジ4(NW40LF70L)の上部から管内に水(25℃)を注ぎ、両端溶接真空管2(FRNRFR40)のVFフランジ下端から高さ10cmの位置まで、管内に水を満たした。30℃雰囲気下で30分間経過後、水漏れの有無を目視で調べた。水漏れが生じていない場合を○、水漏れが生じた場合を×とした。
条件(II):
試験具ないし試験片を組み立てた状態で、30℃の恒温槽に125日間静置した。その後、上記条件(I)と同様にして管内に高さ10cmまで水(25℃)を注ぎ、30℃雰囲気下で30分間経過後、水漏れの有無を目視で調べた。水漏れが生じていない場合を○、水漏れが生じた場合を×とした。
また、樹脂組成物の25%圧縮応力が本発明の規定内であっても、30℃で125日後の緩和弾性率が本発明の規定よりも小さいと、圧力下において凹凸追従状態を長期間維持することができなかった(比較例2〜5)。
これに対し、樹脂組成物の25%圧縮応力と30℃で125日後の緩和弾性率の両物性が、いずれも本発明の規定を満たす場合には、凹凸面への追従性に優れ、この追従状態を長期間維持することができ、結果、長期に亘り優れた止水性を維持することができることがわかった(実施例1〜7)。
2 両端溶接真空管
3 センターリング
4 ロングフランジ
5 ボルト
6 ナット
7 樹脂組成物(止水材)
Claims (15)
- 熱可塑性エラストマーと、酸変性樹脂と、該熱可塑性エラストマー及び該酸変性樹脂の合計100質量部に対して80〜310質量部の金属水酸化物と、160〜460質量部の軟化剤とを含有する樹脂組成物。
- 前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラストマーを含む、請求項1記載の樹脂組成物。
- 前記熱可塑性エラストマー及び前記酸変性樹脂の合計に占める前記酸変性樹脂の割合が10〜40質量%である、請求項1又は2記載の樹脂組成物。
- JIS K 6254のC法に準拠して測定される25%圧縮応力が300kPa以下である、請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂組成物。
- ドーナツ状に成形されてなる、請求項1〜4のいずれか1項記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物を、孔径40mm、外径60mm、厚さ6.7mmの平板ドーナツ状に成形し、該ドーナツ状成形品を、孔径37.1mmの円筒型パイプが円筒軸方向端部に有する外径105mmのステンレス製フランジ表面に、該ドーナツ状試験片の孔の中央部に前記円筒型パイプの孔が位置するように配し、該ドーナツ状成形品の前記フランジ側とは反対の側にはサイディング板(ニチハ社製、商品名:モエンエクセラード16ニューグランドールシリーズI EPB311N)を、該サイディング板の凹凸面が該ドーナツ状成形品側となるように配し、前記サイディング板の凹凸面と前記フランジ表面との最短距離が2.0mmとなるまで該フランジと該サイディング板とをねじ締めした状態とし、前記パイプ内に高さ10cmまで25℃の水を入れた場合に、30℃で、30分間以上水漏れを生じない、請求項1〜4のいずれか1項記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物を、孔径40mm、外径60mm、厚さ6.7mmの平板ドーナツ状に成形し、該ドーナツ状成形品を、孔径37.1mmの円筒型パイプが円筒軸方向端部に有する外径105mmのステンレス製フランジ表面に、該ドーナツ状試験片の孔の中央部に前記円筒型パイプの孔が位置するように配し、該ドーナツ状成形品の前記フランジ側とは反対の側にはサイディング板(ニチハ社製、商品名:モエンエクセラード16ニューグランドールシリーズI EPB311N)を、該サイディング板の凹凸面が該ドーナツ状成形品側となるように配し、前記サイディング板の凹凸面と前記フランジ表面との最短距離が2.0mmとなるまで該フランジと該サイディング板とをねじ締めした状態とし、30℃で125時間静置し、その後、前記パイプ内に高さ10cmまで25℃の水を入れた場合に、30℃で、30分間以上水漏れを生じない、請求項1〜4のいずれか1項記載の樹脂組成物。
- 止水材として用いる、請求項1〜7のいずれか1項記載の樹脂組成物。
- 熱可塑性エラストマーと、酸変性樹脂と、該熱可塑性エラストマー及び該酸変性樹脂の合計100質量部に対して80〜310質量部の金属水酸化物と、160〜460質量部の軟化剤とを含有する樹脂組成物からなる止水材。
- 前記熱可塑性エラストマーがスチレン系熱可塑性エラストマーを含む、請求項9記載の止水材。
- 前記樹脂組成物中、前記熱可塑性エラストマー及び前記酸変性樹脂の合計に占める前記酸変性樹脂の割合が10〜40質量%である、請求項9又は10記載の止水材。
- 前記樹脂組成物の、JIS K 6254のC法に準拠して測定される25%圧縮応力が300kPa以下である、請求項9〜11のいずれか1項記載の止水材。
- ドーナツ状に成形されてなる、請求項9〜12のいずれか1項記載の止水材。
- 前記止水材を、孔径40mm、外径60mm、厚さ6.7mmの平板ドーナツ状に成形し、該ドーナツ状成形品を、孔径37.1mmの円筒型パイプが円筒軸方向端部に有する外径105mmのステンレス製フランジ表面に、該ドーナツ状試験片の孔の中央部に前記円筒型パイプの孔が位置するように配し、該ドーナツ状成形品の前記フランジ側とは反対の側にはサイディング板(ニチハ社製、商品名:モエンエクセラード16ニューグランドールシリーズI EPB311N)を、該サイディング板の凹凸面が該ドーナツ状成形品側となるように配し、前記サイディング板の凹凸面と前記フランジ表面との最短距離が2.0mmとなるまで該フランジと該サイディング板とをねじ締めした状態とし、前記パイプ内に高さ10cmまで25℃の水を入れた場合に、30℃で、30分間以上水漏れを生じない、請求項9〜12のいずれか1項記載の止水材。
- 前記止水材を、孔径40mm、外径60mm、厚さ6.7mmの平板ドーナツ状に成形し、該ドーナツ状成形品を、孔径37.1mmの円筒型パイプが円筒軸方向端部に有する外径105mmのステンレス製フランジ表面に、該ドーナツ状試験片の孔の中央部に前記円筒型パイプの孔が位置するように配し、該ドーナツ状成形品の前記フランジ側とは反対の側にはサイディング板(ニチハ社製、商品名:モエンエクセラード16ニューグランドールシリーズI EPB311N)を、該サイディング板の凹凸面が該ドーナツ状成形品側となるように配し、前記サイディング板の凹凸面と前記フランジ表面との最短距離が2.0mmとなるまで該フランジと該サイディング板とをねじ締めした状態とし、30℃で125時間静置し、その後、前記パイプ内に高さ10cmまで25℃の水を入れた場合に、30℃で、30分間以上水漏れを生じない、請求項9〜12のいずれか1項記載の止水材。
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