JP6953258B2 - 金の浸出方法および、金の回収方法 - Google Patents
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Description
このような湿式製錬法に関し、硫化鉱物や製錬中間物中の金を溶液中に浸出させるに当って以前は、シアン、チオ尿素、チオ硫酸、ハロゲンガスといった薬品を使用していた。しかしながら、特にシアンはその毒性の故に使用が制限されることが多いことから、このような薬品を用いることは望ましくない。
このうち、硫化鉱物等における露出している金は、上記の金浸出工程でハロゲン錯体を形成して溶解させることができる。
この発明の金の浸出方法は、第一浸出工程で、少なくとも一部が元素状硫黄の形態をなす硫黄が含まれる浸出残渣が得られる場合に特に有効である。
この発明の一の実施形態に係る金の浸出方法は、図1に示すように、硫化鉱物もしくは、当該硫化鉱物に対して製錬処理を施して得られた製錬中間物としての原料であって、金及び硫黄を含むものを対象とし、その原料から、そこに含まれる金を浸出させる方法である。そしてこの方法は、少なくとも、原料中の金の一部を浸出させ、金が残留するとともに硫黄が含まれる浸出残渣を得る第一浸出工程と、前記浸出残渣中の硫黄を除去する硫黄除去工程と、硫黄除去工程を経た浸出残渣中の金の残部の少なくとも一部を浸出させる第二浸出工程とを含み、それにより、金を含有する浸出後液を得る。
硫化鉱物や製錬中間物は、たとえば、輝銅鉱、斑銅鉱、銅藍、黄銅鉱、黄鉄鉱、硫砒銅鉱、硫砒鉄鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、硫砒鉄鉱、輝安鉱、磁硫鉄鉱から選択される少なくとも一種を含む硫化鉱物や珪酸鉱等の金及び硫黄を含有する硫化鉱物、または、それら硫化鉱物を製錬処理した後に得られる中間物(ここでは「製錬中間物」ともいう。)とすることができる。
なおここで、製錬処理とは、たとえば、硫化銅鉱の場合は所定の浸出液で銅を浸出させる処理、または、黄鉄鉱の場合は所定の浸出液で鉄を浸出させる処理等をいい、このような処理により得られる浸出残渣を製錬中間物とすることができる。
このようにして得られる金を含む原料中の金濃度は、典型的には1〜500質量ppm程度であり、より典型的には10〜50質量ppm程度である。
前処理工程として焙焼工程を行う場合、この焙焼工程では、金及び硫黄を含む原料を、アンモニア、一酸化炭素、硫化水素などの還元性雰囲気、アルゴンやヘリウムのような希ガス雰囲気、窒素雰囲気や二酸化炭素雰囲気等の不活性雰囲気その他の非酸化性雰囲気の下、450℃〜800℃程度でおよそ30分〜120分にわたって加熱し、当該原料中の黄鉄鉱を硫化鉄(II)及び単体硫黄に熱分解する。このときの化学反応はFeS2→FeS+Sで表される。
非酸化性雰囲気は、実質的に酸化硫黄が発生しても実質的な悪影響を与えない程度の酸素が含まれていてもよく、たとえば、原料に対する酸素供給量のモル比が酸素:黄鉄鉱=1/5以下であれば許容され、1/10以下であれば好ましい。
ここでは、たとえば管状炉、ロータリーキルン炉等の種々の炉を使用することができる。
前処理工程は任意の工程であり、省略することもできる。
第一浸出工程では、上述した原料を、前処理工程なしでそのまま又は前処理工程後に、所定の酸性水溶液と酸化剤の供給下で接触させて、鉄および金を浸出させる。ここでは、銅イオン及び鉄イオンならびに、塩化物イオンや臭化物イオンなどのハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液を用いることが好ましい。先述の焙焼工程で二硫化鉄から変換された硫化鉄(II)を、FeS→Fe+Sの反応により浸出させて除去することができる。それにより、原料中の硫化物に覆われた金を露出させることができ、これを浸出することが可能になる。
発明者は鋭意検討の結果、浸出できるはずの金が浸出残渣に残る要因について次のことを見出した。すなわち、第一浸出工程で金の浸出を阻害する硫化物(硫化鉄等)を浸出すると、その硫化物の金属成分は溶解するが、硫黄成分は一般に元素状硫黄(単体硫黄)等として浸出残渣に残留する。この元素状硫黄等の硫黄は、多くは金粒子上にその周囲を取り囲んで存在し、酸への溶解速度が遅いことによって金の浸出を阻害する。
そこで、発明者は、第一浸出工程の後に、その浸出残渣中の硫黄を除去する硫黄除去工程及び、硫黄除去工程を経た浸出残渣中の金の残部の少なくとも一部を浸出させる第二浸出工程を行うことにより、残りの金を有効に浸出させることができると考えた。これらの硫黄除去工程及び第二浸出工程の詳細については後述する。
臭化物イオンの濃度は、50g/L以上、さらには80g/L以上、特に150g/L以上とすることが、金の浸出率をさらに向上させるとの観点から好ましい。臭化物イオン濃度の特に好ましい上限値はないが、添加する臭化金属の溶解度以下とすることが望ましい。一方、塩化物イオンの濃度は、たとえば40g/L以下とすることができ、特に25g/L以下とすることが一層好適である。さらには、酸性水溶液中のハロゲン化物イオンを臭化物イオンのみとして、酸性水溶液中に塩化物イオンを存在させないことがより一層好ましい。
なお、上記の臭化物イオン、塩化物イオン、銅イオン及び鉄イオンの各濃度は、酸性水溶液を原料に接触させる前の酸性水溶液中の濃度を意味する。
この際に原料からの金の浸出率は、85%以上、さらには90%以下、特に95%以下であることが好ましい。
第一浸出工程で得られた浸出残渣に対しては、その浸出残渣に含まれる硫黄を除去するための硫黄除去工程を行う。この硫黄除去工程は、第一浸出工程の浸出とは別の工程として行う。これにより、浸出残渣中の元素状硫黄等の硫黄に覆われた金が露出するので、これを後述の第二浸出工程で有効に浸出させることができるようになる。
硫黄除去工程では、浸出残渣を所定の雰囲気下で加熱し、浸出残渣中の硫黄をガスとして除去すること、または、浸出残渣をアルカリ溶液で洗浄して、硫黄を溶解させて除去すること等を挙げることができる。
加熱時の雰囲気は、アルゴンやヘリウムのような希ガス雰囲気や窒素雰囲気、二酸化炭素雰囲気等を含む不活性雰囲気とすることができ、この場合は硫黄が硫黄ガスとして除去される。あるいは空気中などの酸化雰囲気とすることもでき、この場合、SO2ガスとして除去される。
この加熱には、管状炉やロータリーキルン炉などの種々の炉を用いることが可能である。
アルカリ溶液による洗浄時の液温は、20(室温)℃〜90℃とすることができ、特に50℃〜80℃とすることが好ましい。液温が低すぎる場合は、硫黄の溶解速度の低下を招くおそれがあり、液温が高すぎる場合は、加熱コストがかかることが懸念される。
洗浄時間は、たとえば60分〜360分、好ましくは60分〜180分とすることができる。洗浄時間が短すぎると、浸出残渣中の硫黄が十分に除去できないことが懸念され、この一方で、洗浄時間が長すぎると、処理能率が低下する。
ここで、非酸化雰囲気で加熱する場合は、450℃以上の温度とすることが必要になる他、排ガス中の硫黄をスクラバーを用いてアルカリ性の溶液で溶解回収することになるも、ここでは硫黄が溶けたアルカリ排液が生じる。このようなアルカリ排液は、上述したように浸出残渣を直接的にアルカリ溶液で洗浄した場合と同様であることから、この観点より、高温加熱が不要で低温で行うことのできるアルカリ溶液による洗浄のほうが好ましいといえる。
一方、酸化雰囲気で加熱する場合は、確実に硫酸製造プラントを併設する必要があり、設備規模及びコストが嵩むという欠点がある。
これらの理由から、硫黄除去工程では、浸出残渣をアルカリ溶液で洗浄して硫黄を溶解させて除去することが好適である。
硫黄除去工程を経て浸出残渣中の硫黄を除去した後は、その浸出残渣中の金を浸出させるための第二浸出工程を実施し、金の浸出を再度行う。第二浸出工程は、先に述べた第一浸出工程と実質的に同様の条件とすることができるが、ここでは、第一浸出工程後の浸出残渣中に残留した金を覆っていた硫黄が金硫黄除去工程で除去されて、当該金が露出しているので、これを有効に浸出することができる。
第二浸出工程により、浸出残渣からの金の浸出率は、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上とすることができる。
金の浸出後、固液分離によって得られた金浸出後液から、活性炭吸着を利用して金を回収することができる。活性炭への金の接触は、バッチ回分式もしくは活性炭を充填した吸着塔に酸性浸出液を連続通液することで行うことができる。
連続通液法式の場合、通液速度は特に限定されない(一般的にはSV1〜25)。但し、活性炭の単位重量あたりの金吸着量が20000〜30000g/tとなった時点で、活性炭はその吸着能力の低下が認められることがある。そのため、活性炭からの金のストリップや再生はこの吸着量を目安に行うことができる。活性炭の再生方法は、一般的に知られる硫黄化合物や窒素化合物、もしくは酸等の様々な手法にて行うことができる。
次いで、吸着工程で金を吸着させた活性炭を、洗浄用薬剤としての酸性溶液ないしアルカリ溶液により洗浄する洗浄工程を行うことができる。NaOH等のアルカリ性溶液による洗浄では、活性炭に吸着していることのある硫黄を効果的に除去することができ、また、塩酸等の酸性溶液による洗浄では、活性炭に吸着していることのある銅や鉄を効果的に除去することができる。酸洗浄及びアルカリ洗浄は、そのうちのいずれか一方のみを行うことができ、又は、両方を行うことができる他、いずれも行わずに、この洗浄工程を実施しないことも可能である。
活性炭に吸着した金は、アルカリ液、好ましくはNaOH、もしくはNaOHとNa2Sとを混合した液により溶離する。ここで、アルカリ濃度が低いと金の溶離が困難となり、アルカリ濃度が高いと調製時の発熱の危険がある。このような観点から、NaOHを用いる場合、その濃度は0.05〜1Mとすることが好ましく、0.1〜0.5Mとすることがより好ましい。また、Na2Sは価格と取り扱いの難しさから使用量が低いほうが好ましいが、Na2Sの濃度が低ければそれだけ金の溶離効果が低下する。一方、Na2Sの濃度が高すぎてもそれ以上の効果は見込めず、さらにNa2Sの処理負担も大きくなる。このような観点から、NaOHとNa2Sとを混合した溶液を用いる場合は、Na2S添加量はNaOHの0.1〜10モル倍量とすることが好ましく、0.5〜1.5モル倍量とすることがより好ましい。
黄鉄鉱を主体とした硫化鉱物中の金の存在形態を、Diagnostic Leach Testにより確認したところ、表1に示す結果を得た。非酸化焙焼工程及び一回の浸出工程を行って硫化物が浸出されると、想定される金の浸出率は99.9%となるはずであるが、実際の試験では、図2にグラフで示すように、金の浸出率は94%止まりであった。
したがって、従来の浸出方法では、残りの6%近くの金が本来は浸出されるはずであるのに浸出されていないことが解かる。
上記の硫化鉱物に対して非酸化焙焼工程及び第一浸出工程を行った後、その浸出残渣に対し、硫黄除去工程を行わずに、第二浸出工程を実施した。ここで、第二浸出工程では、Cu:18g/L、Fe:2g/L、Cl:40g/L、Br:80g/Lの液組成でpH:1の酸性水溶液を用いて、85℃の温度で6時間にわたって浸出を行った。
第二浸出工程前後の各浸出残渣の品位を表2に示す。表2に示す品位は、第二浸出工程に用いた上記の浸出残渣を100gとした場合の各元素の量であり、表2中、「S−0」は元素状硫黄を意味する。また、表3に、第二浸出工程前後の各成分の量の変化から算出した硫黄の除去率及び金の浸出率のそれぞれを百分率で示す。なお各成分の分析は高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)により行った。
第二浸出工程前に、アルカリ溶液を用いた洗浄による硫黄除去工程を行ったことを除いて比較例と同様にして、硫黄除去工程前及び第二浸出工程後の各浸出残渣の品位ならびに、硫黄の除去率及び金の浸出率を測定及び算出した。それらの結果を表4及び5に示す。ここで、硫黄除去工程での洗浄は、アルカリ溶液としてNaOH溶液を用いて、洗浄時間を3時間とし、洗浄時の温度を60℃とした。
Claims (8)
- 硫化鉱物もしくは、当該硫化鉱物に対して製錬処理を施して得られた製錬中間物としての、金及び硫黄を含む原料に含まれる金を浸出させる方法であって、
前記原料中の金の一部を浸出させ、金が残留するとともに硫黄が含まれる浸出残渣を得る第一浸出工程と、前記浸出残渣中の硫黄を除去する硫黄除去工程と、硫黄除去工程を経た浸出残渣中の金の残部の少なくとも一部を浸出させる第二浸出工程とを含み、
硫黄除去工程で、浸出残渣をアルカリ溶液と接触させて、浸出残渣中の硫黄を除去する、金の浸出方法。 - 硫黄除去工程で、浸出残渣中の硫黄が除去されることにより、浸出残渣中の金が露出する、請求項1に記載の金の浸出方法。
- 第一浸出工程で、少なくとも一部が元素状硫黄の形態をなす硫黄が含まれる浸出残渣を得る、請求項1又は2に記載の金の浸出方法。
- 硫黄除去工程で、浸出残渣と接触させるアルカリ溶液のpHを10以上とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の金の浸出方法。
- 硫黄除去工程での硫黄の除去率を10%以上とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の金の浸出方法。
- 硫黄除去工程での硫黄の除去率を25%以上とする、請求項5に記載の金の浸出方法。
- 第一浸出工程にて、原料を、銅イオン、鉄イオンおよびハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液と酸化剤の供給下で接触させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の金の浸出方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の金の浸出方法を用いて、原料から金を回収する、金の回収方法。
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