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JP6953924B2 - 熱交換器のモデル化システム及びその方法 - Google Patents
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JP6953924B2 - 熱交換器のモデル化システム及びその方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱交換器のモデル化システム及びその方法に関し、特に熱交換に伴い流体が相変化する熱交換器のモデル化システム及びその方法に関する。
熱交換器の伝熱を扱う手法の一つとして、ε−NTU法が知られている。例えば、特許文献1は、水−冷媒間の対向流型熱交換器の設計のためにε−NTU法を用いることを開示する。
特開2009-68736公報
ところで、ランキンサイクルは公知であり、例えば省エネの観点から、エンジンの廃熱回収などに用いられている。ランキンサイクルは、ポンプ、蒸発器、膨張器、凝縮器が順に配置されて、作動流体が循環する閉回路を主構成として有する。蒸発器は、熱源からの廃熱を有する流体と、ランキンサイクルを循環する作動流体との間での熱交換をもたらすように構成された熱交換器である。ランキンサイクルにおいては、一般には、作動流体は、蒸発器に入る段階では液相であり、蒸発器を出る段階では気相である。この蒸発器をモデル化して、例えばコンピュータシミュレーションで蒸発器での伝熱状態または伝熱結果を適切に推定することを可能にすることは、ランキンサイクルの効率又は膨張器の仕事などを評価又は管理する上で有効である。
しかし、ε−NTU法は、熱交換器での伝熱を扱う手法として広く適用されているが、その適用は、エンジンのラジエータ(特に空気とエンジン冷却水との間で熱交換を生じさせる熱交換器)のように、熱交換する2つの流体がいずれも相変化しない熱交換器が主である。つまり、ε−NTU法は、熱交換する2つの流体のうち、少なくとも一方の流体が相変化する熱交換器には簡単に適用することはできない。また、熱交換器の伝熱経路を細分化してそれをモデル化する手法もある。しかし、これは熱交換器の形状に合わせて細分化方法を定めてそれを細分化する必要があるので、ある熱交換器でのモデル化方法を同じく、異なる形状の熱交換器に安易に適用することはできない。
本発明の目的は、熱交換する2つの流体のうち、少なくとも一方の流体が熱交換により相変化する熱交換器を、その形状に制約を受けることなく、モデル化することにある。
本発明の第1態様によれば、
冷熱源からの第1流体と該第1流体との熱交換により相変化を生じる第2流体とが流れる対向流型熱交換器のモデル化システムであって、
前記熱交換器での前記第1流体の入口温度と前記熱交換器での前記第2流体の出口温度とを対応関係付けるとともに、前記熱交換器での前記第2流体の入口温度と前記熱交換器での前記第1流体の出口温度とを対応関係付けて、基本エンタルピーモデルを作成する基本エンタルピーモデル作成手段と、
取得した前記第1流体の状態量と取得した前記第2流体の状態量とに基づいて、前記熱交換器での前記第1流体の温度と前記第2流体の温度との温度差データを作成する温度差データ作成手段と、
前記熱交換器のモデル化を図るように、前記温度差データを前記基本エンタルピーモデルに関連付ける関連付け手段と
を備えた、対向流型熱交換器のモデル化システム
が提供される。
好ましくは、前記温度差データ作成手段は、更に、取得した前記第1流体の流量及び取得した前記第2流体の流量に基づいて、前記温度差データを作成する。
本発明の第2態様によれば、
冷熱源からの第1流体と該第1流体との熱交換により相変化を生じる第2流体とが流れる対向流型熱交換器のモデル化方法であって、
前記熱交換器での前記第1流体の入口温度と前記熱交換器での前記第2流体の出口温度とを対応関係付けるとともに、前記熱交換器での前記第2流体の入口温度と前記熱交換器での前記第1流体の出口温度とを対応関係付けて、基本エンタルピーモデルを作成する基本エンタルピーモデル作成ステップと、
取得した前記第1流体の状態量と取得した前記第2流体の状態量とに基づいて、前記熱交換器での前記第1流体の温度と前記第2流体の温度との温度差データを作成する温度差データ作成ステップと、
前記熱交換器のモデル化を図るように、前記温度差データを前記基本エンタルピーモデルに関連付ける関連付けステップと
を含む、対向流型熱交換器のモデル化方法
が提供される。
好ましくは、前記温度差データ作成ステップでは、更に、取得した前記第1流体の流量及び取得した前記第2流体の流量に基づいて、前記温度差データを作成する。
本発明の上記態様に係る対向流型熱交換器のモデル化システム又は対向流型熱交換器のモデル化方法によれば、対向流型熱交換器での同じ側での第1流体の温度と第2流体の温度とを対応関係付けて基本エンタルピーモデルが作成され、一方で、取得したそれら流体の状態量に基づいて温度差データが作成され、熱交換器のモデル化を図るようにそれらは関連付けられる。したがって、本発明の上記態様によれば、熱交換器の形状及び熱交換器での流体の相変化にかかわらず、熱交換器のモデル化を図ることができる。
本発明の一実施形態が適用された熱交換器としての蒸発器を備える動力回収装置の概略構成図である。 図1の実施形態における、熱交換器のモデル化のフローを示す図である。 図1の実施形態における、基本エンタルピーモデルの説明図である。 図1の蒸発器における、流体の温度変化例を示すグラフである。
以下、本発明に係る一実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、本実施形態のモデル化システムでモデル化の対象とされる熱交換器を有するランキンサイクルシステム10を備えた動力回収装置1の概略構成図である。この動力回収装置1は、以下に説明するランキンサイクルシステム10の膨張器によって車両用のエンジンの排気ガスから動力を取り出すものである。すなわち、動力回収装置1のランキンサイクルシステム10は、エンジンを熱源として、その排気ガスを熱媒体とするが、他の流体が熱媒体とされてもよく、例えばエンジン冷却水が熱媒体とされてもよい。なお、動力回収装置1は、膨張器で回収した動力で発電機を駆動するように構成されているが、他の機械、例えばエンジンを膨張器負荷とするものであってもよい。
ランキンサイクルシステム10は、ポンプ12、蒸発器14、膨張器16及び凝縮器18を備えている。ポンプ12、蒸発器14、膨張器16及び凝縮器18は、作動流体が流通する環状通路20に順に配置されていて、これらは閉回路を形成する。
ポンプ12は、作動流体を蒸発器14側に圧送してランキンサイクルシステム10の環状通路20を循環させるものである。ここでは、ポンプ12はモータ12aによって駆動されるが、他の動力源の動力(駆動力)を用いて駆動されてもよい。また、蒸発器14は、熱交換器として構成されている。本実施形態では、この蒸発器14が、モデル化の対象となる熱交換器である。蒸発器14は、対向流型の熱交換器として構成されている。つまり、蒸発器14において、第1流体としての排気ガスの流れ方向と、第2流体としての作動流体の流れ方向とは概ね逆向きである。蒸発器14は、ポンプ12が圧送した(液相の)作動流体を、熱源としてのエンジン22の排気管24内を流通する排気ガスと熱交換させて加熱するものである。蒸発器14において排気ガスの熱(廃熱)で加熱されることによって作動流体は蒸気化し(蒸発し)、蒸気化した作動流体は膨張器16に流入する。膨張器16は、蒸発器14で蒸気化した作動流体の膨張エネルギーを動力(機械的エネルギー)として取り出し、駆動軸16aを回転させるものである。ここでは、駆動軸16aは発電機26に接続されている。凝縮器18は、膨張器16が膨張させた作動流体を冷却して凝縮液化させるものである。凝縮器18で凝縮された作動流体はポンプ12に吸引され、環状通路20内を再び循環する。
さて、上記エンジン22及び動力回収装置1には、各種センサが設けられている。例えば、エンジン回転速度を検出するためのエンジン回転速度センサ30、及び、エンジン負荷を検出するためのエンジン負荷センサ32がエンジン22に対して設けられている。エンジン負荷センサは例えばエアフローメーター(流量センサ)である。また、排気ガスの温度を検出するための第1及び第2排気温度センサ34、36、及び、排気ガスの圧力を検出するための第1及び第2排気圧力センサ38、40が蒸発器14の入口側及び出口側のそれぞれに対する位置に設けられている。第1排気温度センサ34及び第1排気圧力センサ38は、蒸発器14に流入する第1流体としての排気ガスの温度(入口温度)及び圧力(入口圧力)をそれぞれ検出するために設けられていて、第2排気温度センサ36及び第2排気圧力センサ40は、蒸発器14から流出する排気ガスの温度(出口温度)及び圧力(出口圧力)をそれぞれ検出するために設けられている。更に、作動流体の温度を検出するための第1及び第2作動流体温度センサ42、44、及び、作動流体の圧力を検出するための第1及び第2作動流体圧力センサ46、48が蒸発器14の入口側及び出口側のそれぞれに対する位置に設けられている。第1作動流体温度センサ42及び第1作動流体圧力センサ46は、蒸発器14に流入する第2流体としての作動流体の温度(入口温度)及び圧力(入口圧力)をそれぞれ検出するために設けられていて、第2作動流体温度センサ44及び第2作動流体圧力センサ48は、蒸発器14から流出する作動流体の温度(出口温度)及び圧力(出口圧力)をそれぞれ検出するために設けられている。また、ポンプ12(の駆動軸12b)の回転速度を検出するための回転速度センサ50が設けられている。更に、ランキンサイクルシステム10の環状通路20には、ここでは、ポンプ12と蒸発器14との間の位置に、流量センサ52が設けられている。流量センサ52は、蒸発器14に入る作動流体の流量を計測するために設けられている。
これらセンサからの出力は、電子制御ユニット(以下、ECU)60に入力される。ECU60は、ランキンサイクルシステム10やエンジン22の各種制御を行うように、所謂コンピュータとして構成され、公知の演算処理装置(例えばCPU)や記憶装置(例えばROM、RAM)、入力ポート、出力ポート等を備えて構成されている。ECU60は、それらセンサからの出力に基づいて各種値を取得し(検出し)、予め記憶しているプログラム及びデータに基づいて所定の演算をし、エンジン22(例えばインジェクタやスロットルバルブ)の作動、モータ12aの駆動等のためにそれらのそれぞれに作動信号を出力する。
更に、エンジン22を各種運転状態で作動させるとともに、モータ12aを各種条件(例えば所定回転速度)で作動させたときに取得される上記センサの出力に基づいて、ECU60は蒸発器14のモデル化を行う。つまり、ECU60は、モデル化システムSのモデル化手段の機能を担う。モデル化手段は、基本エンタルピーモデル作成手段と、温度差データ作成手段と、関連付け手段とを含み、これらは相互に関連付けられている。モデル化システムSのモデル化手段は、ここでは単一のユニットとしてECU60に組み込まれているが、複数のユニットが電気的に接続されることで構成されてもよい。例えば、基本エンタルピーモデル作成手段及び関連付け手段の機能を担う第1電子制御ユニットと、温度差データ作成手段の機能を担う第2電子制御ユニットとが別体で構成され、これらは通信可能に構成されてもよい。なお、この場合、関連付け手段の機能を、第2電子制御ユニットが担ってもよい。以下、本実施形態におけるモデル化について、説明する。
本発明者は、鋭意研究の結果、ランキンサイクルの蒸発器のような熱交換器における熱(量)の授受(出入り)に伴う流体の変化を等圧変化と仮定して扱うことに着目した。等圧変化の場合、蒸発器で出入りする熱は流体のエンタルピー変化(熱交換器の出入口でのエンタルピー差)に使われることは公知である。
蒸発器14のモデル化の流れを図2に示す。ECU60における、モデル化手段に相当する機能部による蒸発器14のモデル化では、まず、基本エンタルピーモデルの作成(構築)が行われる(ステップS201、つまり基本エンタルピーモデル作成ステップ)。ここでは、以下において説明される基本エンタルピーモデルの作成として、蒸発器14での排気ガスの入口温度と蒸発器14での作動流体の出口温度とを対応関係付けるとともに、蒸発器14での作動流体の入口温度と蒸発器14での排気ガスの出口温度とを対応関係付けることが行われる。ここでは、具体的には、蒸発器14での排気ガスの入口温度とそこでの作動流体の出口温度とが略等しいというようにそれらは対応関係付けられ、蒸発器14での作動流体の入口温度とそこでの排気ガスの出口温度とが略等しいというようにそれらは対応関係付けられる。
図3(a)に、蒸発器14(を有する系)を簡略化して表す。図3(a)では、排気ガスF1(実線)が図中右側から左側に流れ、作動流体F2(破線)が図中左側から右側に流れ、排気ガスF1と作動流体F2とが対向するように流れるところが表わされている。図3(b)に、図3(a)の蒸発器における排気ガス及び作動流体のそれぞれの理想的な温度変化を表す。図3(b)では、実線が排気ガスの温度T1に対応し、破線が作動流体の温度T2に対応する。なお、図3(b)のグラフの横軸は、図3(a)の蒸発器の各位置に対応し、蒸発器の両端部(入口部又は出口部)は位置E1、E2に対応する。
図3に示す蒸発器14(を有する系)の基本モデルでは、蒸発器14における排気ガスの変化及び作動流体の変化をそれぞれ等圧変化と仮定し、蒸発器で授受される(出入りする)熱(量)をそれぞれのエンタルピー変化に略等しいとみなす。更に、図3に示す基本モデルでは、蒸発器14における排気ガスと作動流体との間の熱授受が略等しく(排気ガスからの熱量Q1≒作動流体への熱量Q2)、位置E2において排気ガスの入口温度が作動流体の出口温度に略等しく、位置E1において作動流体の入口温度が排気ガスの出口温度に略等しいと仮定している。このような図3に示す、基本モデルを、ここでは、上記基本エンタルピーモデル(「基本ファンクション(function)モデル」称してもよい。)と称する。このモデルの作成(ここでは特に設定)は、ECU60の基本エンタルピーモデル作成手段に相当する機能部により実行される。
そして、基本エンタルピーモデルでは、この蒸発器14での熱交換により排気ガスと作動流体との間で授受される最大熱量Qmaxを、排気ガスからの熱量(放熱量)Q1と、作動流体への熱量(吸熱量)Q2とのうち小さい方とみなす(設定される)。上記のように等圧変化と仮定し、蒸発器14における排気ガスの比エンタルピーの(蒸発器の入口と出口間での)変化をΔhhot、それの質量流量をmhotとし、蒸発器14における作動流体の(蒸発器の入口と出口間での)比エンタルピーの変化をΔhcold、それの質量流量をmcoldとすると、その設定では、次式(1)の関係が成立する。
max = min(mhot・Δhhot,mcold・Δhcold) ・・・ (1)
基本エンタルピーモデルでは、等圧変化であり、かつ、排気ガスの入口温度が作動流体の出口温度に略等しく、作動流体の入口温度が排気ガスの出口温度に略等しいという仮定があるので、排気ガスの入口温度及び入口圧力、並びに、作動流体の入口温度及び入口圧力を取得して、所定のデータに基づいて所定の演算をすることで、排気ガスの比エンタルピーの変化Δhhot及び作動流体の比エンタルピーの変化Δhcoldは求めることができる。具体的には、排気ガスの比エンタルピーの変化Δhhotは、排気ガスの入口温度と、その出口温度(≒作動流体の入口温度)、その入口圧力を上記センサ34、42、38の出力に基づいて取得し、予め記憶するデータ、演算式に基づいて演算することで、ECU60により求められる。また、作動流体の比エンタルピーの変化Δhcoldは、作動流体の入口温度と、その出口温度(≒排気ガスの入口温度)、その入口圧力を上記センサ42、34、46の出力に基づいて取得し、予め記憶するデータ、演算式に基づいて演算することで、ECU60により求められる。また、排気ガスの質量流量mhotは、ここでは、エンジン回転速度センサ30及びエンジン負荷センサ32の出力に基づいて予め記憶するデータ、演算式に基づいて演算することで、ECU60により求められるが、排気管24(排気通路)に流量センサを設けて、その出力に基づいて所定の演算を行うことで推定(取得)されてもよい。更に、ECU60は、作動流体の質量流量mcoldを流量センサ52の出力に基づいて所定の演算を行うことで推定(取得)するが、例えば回転速度センサ50の出力に基づいて予め記憶するデータ、演算式に基づいて演算することで推定(取得)してもよい。なお、排気ガスや作動流体の質量流量を検出するために、質量流量計が用いられてもよい。こうして取得した排気ガスの比エンタルピーの変化Δhhotをそれの質量流量mhotに乗じて排気ガスの放熱量Q1を求めることができ、取得した作動流体の比エンタルピーの変化Δhcoldをそれの質量流量mcoldに乗じて作動流体の吸熱量Q2を求めることができる。上式(1)より、求めた排気ガスの放熱量Q1と、作動流体の吸熱量Q2のうち小さい方の値が、蒸発器14での熱交換により排気ガスと作動流体との間で授受される最大熱量Qmaxとされる。
ここで、蒸発器14における、現実での、排気ガスの温度T1´と、作動流体の温度T2´の各変化例を図4に示す。なお、図4は、図3(a)に対応付けられていて、その横軸は図3(b)の横軸と同じであり、図3(b)と同じく、蒸発器の両端部(入口部又は出口部)に相当する位置E1、E2を有する。上で述べたように、作動流体は、蒸発器14に入る段階では液相であり、熱を受けることで、気相に変わる。つまり、図4において、作動流体の温度T2´は、位置E1で液相の温度F2aであり、位置E2で気相の温度F2bである。それ故、作動流体の温度T2´の線(図4の破線)は縦軸(温度軸)に略直角に延びる領域(位置P1、P2間)を有し、その上で、全体的に見たとき蒸発器14の入口側(図中左側)から出口側(図中右側)に向けて温度が上昇するように変化する。一方、排気ガスの温度T1´の線(図4の実線)は、蒸発器14内で排気ガスは相変化を生じないので、単に、蒸発器14の入口側(図中右側)から出口側(図中左側)に向けて温度が下降するように変化する。そして、図4から明らかなように、排気ガスの出口温度F1bは作動流体の入口温度F2aから離れ、作動流体の出口温度F2bは排気ガスの入口温度F1aから離れている。したがって、上記基本エンタルピーモデルを実情により適合させて用いるためには、(エンタルピー(比エンタルピー)は温度の関数であるので、)図4に示すような温度変化に応じて、上記基本エンタルピーモデルを修正(補正)可能にする必要がある。
そこで、ここでは、実験により、蒸発器14における排気ガスの温度と、作動流体の温度との関係を定め、それに基づいて、上記式(1)の関係を修正可能にする。具体的には、ECU60の温度差データ作成手段に相当する機能部は、蒸発器14における排気ガスの温度と、作動流体の温度との関係として、温度差データ(好ましくはマップ化されたデータ)を作成(構築)する(図2のステップS203、つまり温度差データ作成ステップ)。
ECU60の作動制御部に相当する機能部は、所定のプログラム等に従ってエンジン及びポンプの作動条件を種々変更してエンジン22及びポンプ12を作動させる。これにより、ECU60の取得部に相当する機能部は、その時々の蒸発器14に関する種々のデータを上記センサからの出力に基づいて取得する。具体的には、蒸発器に関する種々のデータには、蒸発器14における、排気ガスの状態量として、その入口温度、出口温度、入口圧力、出口圧力があり、排気ガスの流量があり、作動流体の状態量として、その入口温度、出口温度、入口圧力及び出口圧力があり、作動流体の流量がある。蒸発器に関する種々のデータとしては、それらのうちの任意の2つの以上の組み合わせであるとよいが、基本的には、排気ガスの状態量(特に入口温度)及び作動流体の状態量(特に入口温度)を含む。ECU60は、これらの検出値(取得値)に基づいて、所定のプログラム等に従って、排気ガスの温度と作動流体の温度との温度差データを構築する。この温度差データは電子制御ユニット60の温度差データ作成手段に相当する機能部によって作成される。なお、ここでの蒸発器に関する種々のデータの取得のために、上で述べたように、蒸発器の前後に種々のセンサを設けている。したがって、作成する温度差データの精密さ又は複雑さなどに応じて、蒸発器前後に設けるセンサの数、種類などを任意に変更可能である。なお、上記説明から理解できるように、上記センサ34、36、38、40はそれぞれ第1流体である排気ガスの状態量を検出するための第1流体状態量検出手段に相当し、上記センサ42、44、46、48はそれぞれ第2流体である作動流体の状態量を検出するための第2流体状態量検出手段に相当する。また、エンジン回転速度センサ30及びエンジン負荷センサ32は第1流体である排気ガスの流量を検出するための第1流体流量検出手段に相当し、流量センサ52は第2流体である作動流体の流量を検出するための第2流体流量検出手段に相当する。
温度差データとしては、本実施形態では、作動流体の入口温度と排気ガスの出口温度とを関係付けた排気ガス出口温度差データ(第1温度差データ)と、排気ガスの入口温度と作動流体の出口温度とを関係付けた作動流体出口温度差データ(第2温度差データ)があるが、いずれか一方であってもよい。このように、ここでは、温度差データは蒸発器の端部又は出入口部の温度差データである。例えば、作動流体の出口温度差データ(排気ガスの入口温度と作動流体の出口温度との差についてのデータ)は、排気ガスの入口温度、排気ガスの流量、作動流体の入口温度及び入口圧力で検索可能に作成されるマップ化されたデータであり得る。なお、より正確に作動流体の出口温度差を定めることを望む場合、作動流体の出口温度差データは、更に、作動流体の出口圧力を考慮して定められるとよい。上記基本エンタルピーモデルは等圧変化を前提にしているからである。
そして、ECU60における、関連付け手段に相当する機能部は、上記した温度差データを上記基本エンタルピーモデルに関連付ける(図2のステップS205、つまり関連付けステップ)。この関連付けは、後述するように温度差データに基づいて取得された温度差を、基本エンタルピーモデルの修正又は補正に活用できるようにすることを意味する。これにより、蒸発器14(を有する系)のモデル化(「数式モデル化」と称してもよい。)が図られる。
このようにして蒸発器14のモデルが構築されると、例えば、この構築したモデルをコンピュータシミュレーションに適用することができる。例えば、コンピュータシミュレーションを実行するコンピュータにおける、出口温度推定部に相当する機能部は、上記基本エンタルピーモデルに、上記のごとく作成した温度差データを適用することで、排気ガスの出口温度や作動流体の出口温度を容易かつ的確に推定することができる。
更に、このようにして求めた排気ガスの出口温度や作動流体の出口温度を、上記式(1)での排気ガスの比エンタルピーの変化Δhhotや作動流体の比エンタルピーの変化Δhcoldの演算に適用することで、最大熱量Qmaxをより精度よく推定することができる。この演算は、コンピュータにおける、熱量推定部に相当する機能部により行われる。
以上、上記記載から明らかなように、上記実施形態によれば、蒸発器14の形状に制約を受けることなく、また、蒸発器での熱交換する流体の相変化の有無にかかわらず、蒸発器14のモデル化を図ることができる。そして、このモデル化方法は、同様に、異なる熱交換器のモデル化に適用することができる。
更に、そのモデル化方法により構築されたモデルを活用することで、蒸発器で排気ガス(第1流体)と作動流体(第2流体)との間で授受される最大熱量、作動流体の出口温度、又は排気ガスの出口温度をより正確に推定することができる。これは、上で述べたように、実験(単体試験)により定めた温度差データを用いて基本エンタルピーモデルを修正又は補正することができるからである。
以上、本発明の一実施形態に係るモデル化システムSでの蒸発器14のモデル化等について説明したが、そのモデル化の対象となる熱交換器は、ランキンサイクルシステムの蒸発器に限定されない。例えば、冷源からの第1流体との熱交換により、第2流体が気相から液相に変化するような熱交換器のモデル化に本発明が適用されてもよい。すなわち、本発明における第1流体の冷熱源は、熱源であることに限定されず、冷源であってもよい。更に、上記実施形態では、エンジンの排気ガスを第1流体としたが、エンジンの冷却水、燃料電池システムの排気ガス又は冷却水、モータの冷却水などを第1流体としてもよい。また、上記実施形態では、熱交換器で熱交換する2つの流体のうちの一方の流体(作動流体)のみが相変化を生じたが、2つの流体がそれぞれ相変化を生じるような熱交換器のモデル化に本発明を適用することも可能である。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明は種々の変更が可能である。本願の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、種々の置換、変更が可能である。
1 動力回収装置
10 ランキンサイクルシステム
12 ポンプ
12a モータ
12b 駆動軸
14 蒸発器
16 膨張器
18 凝縮器
20 環状通路
22 エンジン
24 排気管
26 発電機
30 エンジン回転速度センサ
32 エンジン負荷センサ
34 第1排気温度センサ
36 第2排気温度センサ
38 第1排気圧力センサ
40 第2排気圧力センサ
42 第1作動流体温度センサ
44 第2作動流体温度センサ
46 第1作動流体圧力センサ
48 第2作動流体圧力センサ
50 回転速度センサ
52 流量センサ

Claims (4)

  1. 冷熱源からの第1流体と該第1流体との熱交換により相変化を生じる第2流体とが流れる対向流型熱交換器のモデル化システムであって、
    前記対向流型熱交換器での前記第1流体の入口温度と前記対向流型熱交換器での前記第2流体の出口温度とが等しくなるように対応関係付けるとともに、前記対向流型熱交換器での前記第2流体の入口温度と前記対向流型熱交換器での前記第1流体の出口温度とが等しくなるように対応関係付けて、基本エンタルピーモデルを作成する基本エンタルピーモデル作成手段と、
    取得した前記第1流体の状態量と取得した前記第2流体の状態量とに基づいて、前記対向流型熱交換器での前記第2流体の入口温度と前記第1流体の出口温度との差である第1温度差データと、前記対向流型熱交換器での前記第1流体の入口温度と前記第2流体の出口温度との差である第2温度差データとを作成する温度差データ作成手段と、
    前記対向流型熱交換器のモデル化を図るように、前記第1温度差データ及び前記第2温度差データ用いて前記基本エンタルピーモデルを修正又は補正する関連付け手段と
    を備えた、対向流型熱交換器のモデル化システム。
  2. 前記温度差データ作成手段は、取得した前記第1流体の流量及び取得した前記第2流体の流量に基づいて、前記第1温度差データ及び前記第2温度差データを作成する、請求項1に記載の対向流型熱交換器のモデル化システム。
  3. 冷熱源からの第1流体と該第1流体との熱交換により相変化を生じる第2流体とが流れる対向流型熱交換器のモデル化方法であって、
    前記対向流型熱交換器での前記第1流体の入口温度と前記対向流型熱交換器での前記第2流体の出口温度とが等しくなるように対応関係付けるとともに、前記対向流型熱交換器での前記第2流体の入口温度と前記対向流型熱交換器での前記第1流体の出口温度とが等しくなるように対応関係付けて、基本エンタルピーモデルを作成する基本エンタルピーモデル作成ステップと、
    取得した前記第1流体の状態量と取得した前記第2流体の状態量とに基づいて、前記対向流型熱交換器での前記第2流体の入口温度と前記第1流体の出口温度との差である第1温度差データと、前記対向流型熱交換器での前記第1流体の入口温度と前記第2流体の出口温度との差である第2温度差データとを作成する温度差データ作成ステップと、
    前記対向流型熱交換器のモデル化を図るように、前記第1温度差データ及び前記第2温度差データ用いて前記基本エンタルピーモデルを修正又は補正する関連付けステップと
    を含む、対向流型熱交換器のモデル化方法。
  4. 前記温度差データ作成ステップでは、取得した前記第1流体の流量及び取得した前記第2流体の流量に基づいて、前記第1温度差データ及び前記第2温度差データを作成する、請求項3に記載の対向流型熱交換器のモデル化方法。
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