JP6955763B2 - ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、非ハロゲン系難燃剤として、メラミンとリン酸の反応生成物と、ホスフィン酸金属塩と、金属化合物との混合物を用いることが開示され、1/16インチの成形品において難燃規格UL94V−0規格を満足することが開示されている。しかしながら、ホスフィン酸金属塩を含有するポリアミド樹脂組成物は、金属腐食性が大きく、溶融加工時において、押出機のスクリューやダイス、また成形機のスクリューや金型などの金属部品を激しく摩耗するので、量産性に欠けるという問題があった。またこの組成物は、成形加工時に、ガスの発生が多く、金型に汚れが付着する問題もあった。
(2)ホスフィン酸金属塩(B)が、下記一般式(I)または(II)で表される化合物であることを特徴とする(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)炭酸金属塩(C)を構成する金属が、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウムからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)脂肪酸バリウム塩(D)を構成する脂肪酸が、ラウリン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)ヒンダードフェノール構造を有するヒドラジン系化合物(E)が、下記式(III)で表される化合物であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(7)さらに強化材(G)を5〜60質量%含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(8)強化材(G)が、平均粒径が10〜30μmであるタルクを含有することを特徴とする(7)記載のポリアミド樹脂組成物。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、半芳香族ポリアミド(A)、ホスフィン酸金属塩(B)、炭酸金属塩(C)、脂肪酸バリウム塩(D)、およびヒンダードフェノール構造を有するヒドラジン系化合物(E)を含有する。
分子量が140以上の脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、カプリル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられる。中でも、汎用性が高いことから、ステアリン酸が好ましい。
分子量が140以上の脂環族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチルシクロヘキサンカルボン酸、4−へキシルシクロヘキサンカルボン酸、4−ラウリルシクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。
分子量が140以上の芳香族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチル安息香酸、4−へキシル安息香酸、4−ラウリル安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸およびそれらの誘導体が挙げられる。
モノカルボン酸成分は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。また、分子量が140以上のモノカルボン酸と分子量が140未満のモノカルボン酸を併用してもよい。なお、本発明において、モノカルボン酸の分子量は、原料のモノカルボン酸の分子量を指す。
本発明において、ホスフィン酸金属塩(B)の含有量は、樹脂組成物全体に対して5〜30質量%であることが必要であり、8〜25質量%であることが好ましく、8〜20質量%であることがさらに好ましい。ホスフィン酸金属塩(B)は、含有量が5質量%未満であると、必要とする難燃性を樹脂組成物に付与することが困難となる。一方、ホスフィン酸金属塩(B)の含有量が30質量%を超えると、樹脂組成物は、難燃性に優れる反面、金属腐食性が大きくなるとともに、溶融混練が困難となることがあり、また得られる成形体は機械的特性が不十分となることがある。
R3は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、アリールアルキレン基、または、アルキルアリーレン基であることが必要である。直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、イソプロピリデン基、n−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−オクチレン基、n−ドデシレン基が挙げられる。炭素数6〜10のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基が挙げられる。アルキルアリーレン基としては、例えば、メチルフェニレン基、エチルフェニレン基、tert−ブチルフェニレン基、メチルナフチレン基、エチルナフチレン基、tert−ブチルナフチレン基が挙げられる。アリールアルキレン基としては、例えば、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、フェニルプロピレン基、フェニルブチレン基が挙げられる。
Mは、金属イオンを表す。金属イオンとしては、例えば、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオンが挙げられ、アルミニウムイオン、亜鉛イオンが好ましく、アルミニウムイオンがより好ましい。
m、nは、金属イオンの価数を表す。mは、2または3である。aは、金属イオンの個数を表し、bは、ジホスフィン酸イオンの個数を表し、n、a、bは、「2×b=n×a」の関係式を満たす整数である。
しかしながら、ヒンダードフェノール構造を有するヒドラジン系化合物(E)をさらに含有することにより、樹脂組成物は、難燃性を飛躍的に向上させることができ、その結果、高い難燃性を有するともに、金属腐食性が抑制された樹脂組成物を得ることができる。またヒンダードフェノール構造を有するヒドラジン系化合物(E)を含有する樹脂組成物は、ホスフィン酸金属塩(B)の含有量を低減することができ、金属腐食性をさらに抑制することができる。
強化材(G)を含有する場合、含有量は、樹脂組成物全体に対して5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、20〜50質量%であることがさらに好ましい。強化材(G)の含有量が5質量%未満であると、樹脂組成物は、機械的特性の向上効果が小さい場合がある。一方、含有量が60質量%を超えると、樹脂組成物は、機械的特性の向上効果が飽和しそれ以上の向上効果が見込めないばかりでなく、溶融加工時の作業性が低下し、樹脂組成物のペレットを得ることが困難になる場合がある。
繊維状強化材としては、特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、アスベスト繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ケナフ繊維、竹繊維、麻繊維、バガス繊維、高強度ポリエチレン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、玄武岩繊維を挙げられる。中でも、機械的特性の向上効果の高く、ポリアミド(A)との溶融混練時の加熱温度に耐え得る耐熱性を有し、入手しやすいことから、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維が好ましい。繊維状強化材は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
繊維状強化材の断面形状としては、円形、長方形、楕円、それ以外の異形断面等が挙げられ、中でも円形が好ましい。
タルクは、シランカップリング剤などの有機化合物で表面処理されていてもよい。表面処理されることにより,半芳香族ポリアミド(A)や脂肪族ポリアミド(F)との密着性が改善され、強度向上やブリスター抑制に効果がある。
本発明において、タルクの平均粒径とは、レーザー回折法により得られるメジアン径(D50)を指す。
タルクを含有する場合、含有量は,樹脂組成物全体に対して3〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。タルクの含有量が3質量%未満であると、リフロー時のブリスター抑制効果が小さい。
前記メラミン付加物を構成するリン化合物としては、リン酸、オルトリン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、ポリリン酸等が挙げられる。メラミン付加物の具体例として、メラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、ジメラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メレムポリホスフェート、メラムポリホスフェートが挙げられ、中でも、メラミンポリホスフェートが好ましい。リンの数は、2以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。
ホスファゼン化合物の具体的な商品としては、例えば、伏見製薬所社製「ラビトルFP−100」、「ラビトルFP−110」、大塚化学社製「SPS−100」、「SPB−100」などが挙げられる。
射出成形機としては、特に限定されず、例えば、スクリューインライン式射出成形機またはプランジャ式射出成形機が挙げられる。射出成形機のシリンダー内で加熱溶融されたポリアミド樹脂組成物は、ショットごとに計量され、金型内に溶融状態で射出され、所定の形状で冷却、固化された後、成形体として金型から取り出される。射出成形時の樹脂温度は、半芳香族ポリアミド(A)の融点(Tm)以上であることが好ましく、(Tm+50℃)未満であることがより好ましい。
なお、ポリアミド樹脂組成物の加熱溶融時には、十分に乾燥されたポリアミド樹脂組成物ペレットを用いることが好ましい。ポリアミド樹脂組成物ペレットは、含有する水分量が多いと、射出成形機のシリンダー内で発泡し、最適な成形体を得ることが困難となることがある。射出成形に用いるポリアミド樹脂組成物ペレットの水分率は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、0.3質量部未満であることが好ましく、0.1質量部未満であることがより好ましい。
自動車部品としては、例えば、サーモスタットカバー、インバータのIGBTモジュール部材、インシュレーター部材、エキゾーストフィニッシャー、パワーデバイス筐体、ECU筐体、ECUコネクタ、モーターやコイルの絶縁材、ケーブルの被覆材が挙げられる。電気電子部品としては、例えば、コネクタ、LEDリフレクタ、スイッチ、センサー、ソケット、コンデンサー、ジャック、ヒューズホルダー、リレー、コイルボビン、ブレーカー、電磁開閉器、ホルダー、プラグ、携帯用パソコンやワープロ等の電気機器の筐体部品、抵抗器、IC、LEDのハウジングが挙げられる。中でも、本発明のポリアミド樹脂組成物は、特に難燃性に優れていることから、電気電子部品に好適に用いることができる。
ポリアミドおよびポリアミド樹脂組成物の物性は以下の方法により測定した。
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製 DSC−7型)用い、昇温速度20℃/分で350℃まで昇温した後、370℃で5分間保持し、降温速度20℃/分で0℃まで降温し、さらに0℃で5分間保持後、再び昇温速度20℃/分で昇温した際の吸熱ピークのトップを融点(Tm)とした。
JIS K7210に従い、(融点+15℃)、1.2kgfの荷重で測定した。
MFRは、成形流動性の指標とすることができ、MFRの値が高いほど流動性が高いことを示す。
ポリアミド樹脂組成物を、射出成形機(ファナック社製 S2000i−100B型)を用いて、シリンダー温度(融点+15℃)、金型温度(融点−185℃)の条件で射出成形し、試験片(ダンベル片)を作製した。
得られた試験片を用いて、ISO178に準拠して曲げ強度や曲げ弾性率を測定した。
曲げ強度や曲げ弾性率は、数値が大きいほど機械的特性が優れていることを示す。
ポリアミド樹脂組成物を、射出成形機(ニイガタマシンテクノ社製 CND15)を用いて、シリンダー温度(融点+15℃)、金型温度(融点−185℃)の条件で射出成形し、5インチ(127mm)×1/2インチ(12.7mm)×1/32インチ(0.79mm)の試験片を作製した。
得られた試験片を用いて、表1に示すUL94(米国Under Writers Laboratories Inc.で定められた規格)の基準に従って難燃性を評価した。いずれの基準にも満たない場合は、「not V−2」とした。
総残炎時間が短い方が、難燃性が優れていることを示す。
射出成形機(ファナック社製 α−100iA)を用いて、シリンダー温度(融点+25℃)、金型温度(融点−185℃)の条件下、1サイクル25秒で、浅いコップ形状(肉厚1.5mm、外径40mm、深さ30mm)の成形体を500ショット連続成形した。成形終了後に、深さ4μm、幅1mmのガスベントを目視で確認し、以下の基準で金型汚れを評価した。◎および○を合格とした。
◎:詰まりがまったく見られないもの
○:詰まりが一部見られるもの
×:完全に詰まっているもの
上記(5)で連続成形したときの401〜500ショット目の成形体の突き出しピンの痕の有無を目視観察し、ピンの痕がない成形体の個数をカウントして、離型性を評価した。
ピンの痕がない成形体の個数は90個以上であることが好ましく、95個以上であることがより好ましい。
図1のように、二軸混練押出機(EX)(池貝社製PCM30)に、ダイス(D)を取り付け、通常押出機の鋼材として使用する金属プレート(MP)(材質SUS630、20×10mm、厚さ5mm、質量7.8g)を、溶融樹脂の流路(R)の上下に取り付け、1mmの隙間を設け、溶融樹脂が幅10mm、長さ20mmにわたって接するようにした。その隙間に、押出機バレル設定温度(融点+15℃)、吐出7kg/hの条件で、計25kgのポリアミド樹脂組成物を押出した。押出後、金属プレート(MP)を取り外し、500℃の炉の中に10時間放置し、付着した樹脂を取り除いた後に質量を測定し、押出前後の質量変化により金属腐食性を測定した。重量変化が大きいほど、金属腐食性が大きいことを示す。
ポリアミド樹脂組成物を、射出成形機J35AD(日本製鋼所社製)を用いて、シリンダー温度(融点+15℃)、金型温度(融点−185℃)の条件で射出成形し、20mm×20mm×0.5mmの試験片と20mm×20mm×2mmの試験片を作製した。得られた試験成形片を、85℃×85%RHにて168時間吸湿処理を行った後、赤外線加熱式のリフロー炉中にて、150℃で1分間加熱し、100℃/分の速度で265℃まで昇温し、10秒間保持した。
加熱処理後の試験片において,試験片表面全体の内,試験片表面に発生したブリスター(水ぶくれ)の占める面積率が0%の場合を「◎」、0%より大きく25%以下の場合を「〇」、25%より大きく50%以下の場合を「△」、50%より大きい場合を「×」と評価した。
加熱処理後の試験片は、表面にブリスター(水ぶくれ)や溶融がないことが好ましい。
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
・半芳香族ポリアミド(A−1)
ジカルボン酸成分として粉末状のテレフタル酸(TPA)4.70kgと、モノカルボン酸成分としてステアリン酸(STA)0.32kgと、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物9.3gとを、リボンブレンダー式の反応装置に入れ、窒素密閉下、回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、ジアミン成分として100℃に加温した1,10−デカンジアミン(DDA)4.98kgを、2.5時間かけて連続的(連続液注方式)に添加し反応生成物を得た。なお、原料モノマーのモル比は、TPA:DDA:STA=48.5:49.6:1.9(原料モノマーの官能基の当量比率は、TPA:DDA:STA=49.0:50.0:1.0)であった。
続いて、得られた反応生成物を、同じ反応装置で、窒素気流下、250℃、回転数30rpmで8時間加熱して重合し、半芳香族ポリアミドの粉末を作製した。
その後、得られた半芳香族ポリアミドの粉末を、二軸混練機を用いてストランド状とし、ストランドを水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングして半芳香族ポリアミド(A−1)ペレットを得た。
樹脂組成を表2に示すように変更した以外は、(A−1)と同様にして、(A−2)〜(A−5)を得た。
上記ポリアミド(A−1)〜(A−5)の樹脂組成と特性値を表2に示す。
・B−1:ジエチルホスフィン酸アルミニウム(クラリアント社製 Exolit OP1230)
・C−1:炭酸カルシウム
・C−2:炭酸マグネシウム
・D−1:ステアリン酸バリウム(日東化成工業社製 Ba−St P)
・D−2:ラウリン酸バリウム(日東化成工業社製 BS−3)
・E−1:N,N′−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン(アデカ社製 CDA−10)
・F−1:ポリアミド66(ユニチカ社製 A125J)
・F−2:ポリアミド46(DSM社製 TW300)
・G−1:ガラス繊維(旭ファイバーグラス社製 03JAFT692、平均繊維径10μm、平均繊維長3mm)
・G−2:タルク(日本タルク社製 ミクロエースK−1、平均粒子径8μm)
・G−3:タルク(日本タルク社製 MSZ−C 平均粒径11μm 表面処理品)
・G−4:タルク(日本タルク社製 MS−P 平均粒径15μm)
・G−5:タルク(日本タルク社製 MS−KY 平均粒径25μm)
・H−1:2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−ベンズアミド(アデカ社製 CDA−1)
ポリアミド(A−1)50質量部、ホスフィン酸金属塩剤(B−1)17質量部、炭酸金属塩(C−1)1.5質量部、脂肪酸バリウム塩(D−1)1質量部、ヒンダードフェノール構造を有するヒドラジン系化合物(E−1)0.5質量部ドライブレンドし、ロスインウェイト式連続定量供給装置(クボタ社製 CE−W−1型)を用いて計量し、スクリュー径26mm、L/D50の同方向二軸押出機(東芝機械社製 TEM26SS型)の主供給口に供給して、溶融混練を行った。途中、サイドフィーダーより強化材(G−1)30質量部を供給し、さらに混練を行った。ダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。押出機のバレル温度設定は、(融点−5〜+15℃)、スクリュー回転数250rpm、吐出量25kg/hとした。
ポリアミド樹脂組成物の組成を表3、4に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこなってポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
実施例1〜5の対比から、用いるポリアミドのモノカルボン酸成分として、分子量が140以上のモノカルボン酸を含有した実施例1、2、4、5の方が、金型汚れが少なく、離型性が優れていた。実施例1と実施例3の対比から、モノカルボン酸成分として、脂肪族モノカルボン酸を用いた実施例1の方が、芳香族モノカルボン酸を用いた実施例3よりも、離型性が優れていた。実施例1と実施例2の対比から、脂肪族ジアミン成分として、1,9−ノナンジアミンを用いた実施例2よりも、1,10−デカンジアミンを用いた実施例1の方が、機械的特性が優れていた。
実施例1、11〜14において、ヒンダードフェノール構造を有するヒドラジン系化合物の含有量を増加することにより、難燃性の向上がみられた。後述するように、比較例10は、ホスフィン酸金属塩を32質量%含有することにより、難燃性に優れるが、金属腐食性が著しく高いものであった。比較例10で得られた難燃性と同程度の難燃性は、ホスフィン酸金属塩の含有量を30質量%に低減させても、ヒンダードフェノール構造を有するヒドラジン系化合物を含有することによって得られ(実施例8)、ヒンダードフェノール構造を有するヒドラジン系化合物を含有する実施例においては、ホスフィン酸金属塩の含有量を低減することができ、金属腐食性を抑制することが可能となった。
実施例1、15〜17において、炭酸金属塩の含有量を増加することにより、金属腐食性の抑制効果の向上が見られた。しかし、炭酸金属塩の含有量を増加することにより、難燃性の低下も見られた。実施例1、19〜21において、脂肪酸バリウム塩の含有量を増加することにより、金属腐食性の抑制効果の向上が見られた。しかし、脂肪酸バリウム塩の含有量を増加することにより、機械的特性の低下も見られた。
実施例1と23の対比から、強化材としてガラス繊維を用いた実施例1の方が、板状のタルクを用いた実施例23よりも、機械的特性が優れていた。
実施例1、24、25の対比から、脂肪族ポリアミドを含有することにより、流動性が向上し、金属腐食性がより抑制される効果が見られた。なお、脂肪族ポリアミドを含有する実施例24、25では、20mm×20mm×2mmの試験片において、ブリスター(水ぶくれ)が発生し、耐リフロー性の低下が見られたが、実施例27〜31において、強化材として平均粒径が10〜30μmの範囲にあるタルクを含有することにより、耐リフロー性の低下は抑制された。
比較例6は、ヒンダードフェノール構造を有するヒドラジン化合物の含有量が多かったため、実施例1、11〜14と比較して機械的特性が低く、また難燃性の向上効果も飽和していた。比較例7は、ヒンダードフェノール構造を有するヒドラジン系化合物の代わりに、環内にヒドラジン構造を有するが、ヒンダードフェノール構造を有していないトリアゾール系化合物を使用したため、実施例1と比較して、難燃性の向上効果がみられなかった。
比較例8、9は、ホスフィン酸金属塩を含有しないか、その含有量が少なかったため、難燃性が劣るものであった。比較例10は、ホスフィン酸金属塩の含有量が多いため、難燃性に優れるものとなったが、金属腐食性が著しく高くなった。
比較例11は、炭酸金属塩を含有しなかったため、金属腐食性が著しいものであった。比較例12は、炭酸金属塩の含有量が多かったため、実施例1、15〜17と比較して難燃性が低く、また金属腐食性の抑制効果も飽和していた。比較例13は、脂肪酸バリウム塩を含有しなかったため、金属腐食性が著しいものであった。比較例14は、脂肪酸バリウム塩の含有量が多かったため、実施例1、19〜21と比較して難燃性が低く、また金属腐食性の抑制効果も飽和していた。
D:ダイス
MP:金属プレート
R:溶融樹脂の流路
Claims (9)
- 融点が300〜350℃の半芳香族ポリアミド(A)を20〜80質量%、ホスフィン酸金属塩(B)を5〜30質量%、炭酸金属塩(C)を0.1〜8質量%、脂肪酸バリウム塩(D)を0.01〜3質量%、およびヒンダードフェノール構造を有するヒドラジン系化合物(E)を0.01〜5質量%含有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
- 炭酸金属塩(C)を構成する金属が、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウムからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 脂肪酸バリウム塩(D)を構成する脂肪酸が、ラウリン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- さらに融点が200〜300℃の脂肪族ポリアミド(F)を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- さらに強化材(G)を5〜60質量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 強化材(G)が、平均粒径が10〜30μmであるタルクを含有することを特徴とする請求項7記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
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