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JP6956503B2 - 血糖値上昇抑制用組成物 - Google Patents
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本発明は、大豆植物体の抽出物を有効成分とする血糖値上昇抑制用の組成物に関する。
現代社会においては、栄養過多や運動機会の減少に伴い、メタボリックシンドロームの増加が問題となっている。その肥満やストレス等を誘因として、糖尿病、特に2型糖尿病を発症する人が増えてきている。糖尿病は、進行すると、動脈硬化等の血管障害や自立神経障害、網膜症、糖尿病性腎症等の合併症を引き起こすため、早期に発見し、適切な食事療法、運動療法、薬物療法等を実行する必要がある。
現在、糖尿病の治療薬としては、チアゾリジン誘導体であるピオグリタゾンや、メトホルミンやブホルミンといったビグアナイドが使用されており、この投与によっても血糖値の低下が見られない場合には、インシュリン注射が用いられる。
2型糖尿病は、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす遺伝因子に加えて、過食、運動不足、肥満、ストレスなどの環境因子および加齢が加わり発症する。2型糖尿病の発症や進展には、食後高血糖が関わっており、これによりインスリン分泌低下やインスリン抵抗性の悪化をきたすことが知られている。従って、未病の段階で適切な食事療法、運動療法、薬物療法等を実行すれば、2型糖尿病の発症を避けられる可能性がある。
日常生活において食後の血糖値を管理し、その上昇を穏やかにすることは、2型糖尿病を予防するために重要であると考えられている。血糖値上昇抑制による糖尿病発症予防を目的として、血糖値上昇抑制作用を持つ植物由来の成分をサプリメントや食品等により経口摂取している人も多く、例えばオオベニゴウカンの葉のメタノール抽出物(特許文献1)や大麦茎葉の粉砕末(特許文献2)を利用する方法が提案されている。
一方、大豆は日本人にとってなじみの深い食材で広く一般に栽培される農作物であり、大豆種子に含まれる機能性成分として骨粗しょう症の予防に有効なイソフラボンがよく知られている。また、血糖値上昇抑制作用を有する成分としては、大豆蛋白質由来のオリゴペプチド(特許文献3)が知られている。
特開2006−23275号公報 特開2016−193879号公報 特開平10−84911号公報
本発明は、新規の血糖値上昇抑制用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、農業上利用の価値のない大豆の種子以外の部位の抽出物に血糖値上昇抑制作用を有することを見出し、さらにその作用は、従来より血糖値上昇抑制効果があるとして公知であり大豆植物体に微量に含有するピニトールや、ケンフェロールなどのポリフェノール成分に起因するものではないことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、大豆植物体の水抽出物をスチレン系合成吸着剤処理により分画された非吸着画分を有効成分とする血糖値上昇抑制用組成物を第1の要旨とする。
また、前記大豆植物体が、葉部、茎部、または莢部のすくなくともいずれかの部位を含む血糖値上昇抑制用組成物を第2の要旨とする。
また、大豆植物体を切断する工程と、加熱乾燥する工程と、水抽出する工程と、スチレン系合成吸着剤処理して非吸着画分を分画する工程を順に含むことを特徴とする血糖値上昇抑制用組成物の製造方法を第3の要旨とする。
本発明により、農業廃棄物として処理されていた大豆植物体から血糖値上昇抑制用組成物を得ることができ、これを利用した糖尿病の予防における食事療法に活用することが出来る。
図1は実験例1の結果として、各試料摂取後の血糖値変化を示すグラフである。数値は平均値を表し、グラフ上の縦線は標準偏差を表す。 図2は実験例2の結果として、各試料摂取後の血糖値変化を示すグラフである。数値は平均値を表し、グラフ上の縦線は標準偏差を表す。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下の記載に限定されない。
本発明は、大豆植物体の抽出物を有効成分とする血糖値上昇抑制用組成物である。
本発明に使用する大豆植物体は、種子を除く、葉、茎、根、莢のうち何れか一部位以上からなる大豆植物体である。収穫や回収が容易であることから、特に葉、茎、莢を使用することが好ましい。さらに切断や乾燥などの加工処理が容易であることから、葉を使用することがより好ましい。
大豆の種子は、食用、飼料用、搾油用などとして利用されるものなので商業的価値が高く原料としても比較的高価である。一方、種子以外の葉、茎、根、莢には通常利用価値がないため、本発明ではこれら未利用原料を有効活用できる。
本発明に使用する大豆植物体の収穫時期に関しては、結実後の種子を収穫した後の植物体を使用することができる。
本発明に使用する大豆の産地は特に限定されず、品種についても従来公知の品種の利用ができ、例えば、黄大豆、青大豆、黒大豆、赤大豆、茶大豆、鞍掛豆などを使用することができる。
本発明において、抽出に用いる大豆植物体は生のまま用いてもよいが、乾燥物、その粉砕物などとしてもよく、取扱い性、保存性及び抽出効率の点から、乾燥物を使用することが好ましい。
乾燥させる場合の条件や方法は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、熱風乾燥、減圧加熱乾燥、天日乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。特に限定されないが、一例を挙げると、釜炒り機を用いる場合は釜温度50〜300℃、好ましくは100〜250℃での乾燥である。乾燥時間は乾燥温度や、乾燥の対象とする大豆植物体の量や大きさに依存するが、大豆植物体の水分量が0.5〜15%、好ましくは2〜10%となるに要する時間がよい。
大豆植物体からの抽出方法としては、本発明の効果を奏することを限度として、一般に用いられる方法を利用することが出来る。抽出に用いる溶媒は、植物体に含まれる成分が十分に抽出される条件であればよく、特に限定されるものではないが、水やエタノール等の医薬品や食品に使用することが許されている溶媒を使用することが出来る。抽出液をそのまま飲用に使用する場合には、水での抽出が好ましい。
抽出時間は、抽出温度や溶媒量によって調整することが出来るが、例えば90℃の熱水が植物体重量の100倍量である抽出条件においては3〜10分程度が好ましい。
抽出が終了したら、濾過やデカンテーション等の公知の方法で大豆植物体を除去し、大豆植物体由来の成分を含有する大豆植物体抽出物を得る。
上記のようにして得られた大豆植物体抽出物は、そのまま用いてもよいが、減圧濃縮、加熱濃縮、膜濃縮などの方法により濃縮した濃縮液の形状で使用してもよく、凍結乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥などの方法により乾燥し、さらに粉末化することで粉末状の大豆植物体抽出物として使用してもよい。
また、本発明は、大豆植物体抽出物の合成吸着剤処理により得られる非吸着画分を有効成分とする血糖値上昇抑制用組成物である。
本発明の合成吸着剤とはスチレン、メタアクリル酸エステル等の多孔質架橋重合体で、細孔表面は疎水性であるため、疎水性度の大きい有機物をvan der Waals力によって吸着し、極性溶媒中から非極性の有機物のみを吸着させる用途で使用される粒子状の樹脂である。スチレン系樹脂としては例えば、ダイアイオンHP20、HP21、セパビーズSP825、SP70、SP700などが、アクリル系樹脂としてはダイアイオンHP2MGL、アンバーライトXAD7HPなどが使用できる。
合成吸着剤による非吸着画分の分離は、従来公知の方法で行えばよく、例えば、大豆植物体の水抽出液を、ガラス管に充填した合成吸着剤に対して通液させ、その通過液を非吸着画分とする。粉末固形状の大豆植物体抽出物を用いる場合は、水または水溶性有機溶媒を用いて溶解した溶液を合成吸着剤に通液させて分離してもよい。
本発明により得られる上記の血糖値上昇抑制用組成物は、これを飲食品、医薬品、医薬部外品、飼料等の公知の製品の配合原料の一部として利用することができる。実用的な製品の例を以下に述べるが、本発明はこの例示により何ら制限されるものではない。
本発明による上記組成物を配合する飲食品としては、茶飲料、野菜ジュース、果汁飲料、清涼飲料等の飲料類、クッキー、チョコレート、キャンディー、グミ、ガム、ゼリー、プリン、ケーキプレミックス製品、菓子類、ふりかけ、味噌、醤油、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、植物性クリーム、焼肉用たれや麺つゆ等の調味料、うどん、蕎麦、スパゲッティ等の麺類、ハンバーグ、ハムやソーセージ等の畜肉魚肉加工食品、牛乳、ヨーグルト、クリーム、バター、チーズ等の乳製品、マーガリン、パン、ケーキ、即席麺、スープ、コロッケ、佃煮、ジャム等の各種一般加工食品がある。加えて、上記組成物を配合する飲食品として、栄養補助食品、特定保健用食品、機能性食品、健康食品、濃厚流動食や嚥下障害用食品等を挙げることができ、その形態は、粉末状、顆粒状、丸剤状、錠剤状、ソフトカプセル状、ハードカプセル状、ペースト状または液体状であってもよい。
また、本発明は、大豆植物体を切断工程、酵素失活工程、揉捻工程、加熱乾燥工程を順次経てなる血糖値上昇用の茶葉乾燥物の製造方法である。
切断工程は、原料となる前記大豆植物体を小さく切断することで、酵素失活や乾燥など後段の処理をしやすくするためのものである。
酵素失活工程は、加熱により植物体の酵素を失活させ、酵素による悪変性を防ぐと共に、植物体を柔らかくするためのものである。従来公知の方法を用いてよく、例えば蒸し、炒り蒸し、釜炒りなどが挙げられる。
揉捻工程は、植物体を押圧しながら回転させて揉むことにより、組織を柔らかくして、植物体の水分を均一にして、水分を揉みだし、適切な乾燥と細胞組織の破壊を促すためのものである。
乾燥工程は、加熱により茶葉の水分含量を減らすことで、抽出効率、風味、保存性を向上させるためのものである。一般に製茶で用いられる方法であれば従来公知の方法から選択することが出来、特に限定はされないが、例えば、釜炒り機に投入して、釜温度150℃の釜炒り加熱を60分間行い、大豆葉植物体を乾燥させることができる。
上述の工程以外の加工工程と組み合わせてもよく、例えば冷却、乾燥後の粉砕、焙煎など日本茶の茶葉の加工工程と同じ工程を組み合わせて用いることができる。特に乾燥後の茶葉を焙煎することは、青臭みが除去されると共に良好な焙煎香が付与されるなど、食品的な価値を向上できるため好ましい工程である。
本発明の茶葉乾燥物とは上記工程のようにして製造された大豆植物体の乾燥物であって、日本茶、杜仲茶、柿の葉茶などと同じように用いられるものである。水あるいはお湯で抽出することで、その抽出液を飲用するために用いられるものである。
また、本発明は、大豆植物体乾燥物を原料とする血糖値上昇抑制用食品である。
大豆植物体乾燥物の使用形態は特に限定されず、従来公知の方法により加工した乾燥物やその粉砕物をそのまま用いてよい。乾燥物を粉末化したものは、食品に混合しやすく、また口に入れた時の異物感が少なく飲食しやすいため好ましい。例えば、大豆植物体の乾燥粉末を水またはお湯に懸濁させることで、そのまま飲用に供することができる。
大豆植物体乾燥物を既存の食品に添加混合することで、血糖値上昇抑制用の食品とすることができる。例えば、菓子類、麺類、畜肉魚肉加工食品、パン、ケーキ等の各種一般加工食品のほか、粉末状、顆粒状、丸剤状、錠剤状、ソフトカプセル状、ハードカプセル状、ペースト状または液体状の栄養補助食品、特定保健用食品、機能性食品、健康食品、濃厚流動食や嚥下障害用食品の治療食等を挙げることができる。
以下に実施例について示し、本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔大豆植物体抽出物〕
生の大豆葉20kgを3cm幅程度に裁断し、釜温度200℃の釜炒り加熱により30分間乾燥した後、1cm角程度に裁断し、大豆植物体乾燥物5kgを得た。この大豆植物体乾燥物の水分含量は4.2%であった。大豆植物体乾燥物4gに対して90℃の熱湯500gを投入して5分後、メッシュ濾過にて残渣を除去し、480gの抽出液を得た。上記のようにして得た大豆植物体熱水抽出液を、凍結乾燥機(東京理化器械(株))にて凍結乾燥し、粉末状の大豆植物体抽出物0.92gを得た。
〔試験例1〕
大豆植物体抽出物が血糖値上昇抑制作用を有するか否かを調べる目的で、マウスを用いた動物実験を実施した。
正常マウスとしてICRマウス(オス、4週齢)を用い、上述の大豆植物体抽出物について、血糖値上昇抑制作用の確認試験を実施した。各群の平均体重が均等になるように1群6匹になるよう群分けをしたのち、12時間の絶食をさせた。大豆葉抽出物を生理食塩水に溶解し、胃ゾンデによる経口投与法により、250、500、750mg/kg(体重)量を投与した。対照には生理食塩水を投与した。投与30分後にグルコースを1,000mg/kg(体重)投与した。抽出物投与後の血糖値への影響をみるため、採血は抽出物投与前、グルコース投与後30分ごとに120分まで尾静脈より行い、血糖値を測定した。血糖値の測定にはアキュチェックアビバ(ロシュDCジャパン(株))を使用した。
結果を図1に示す。対照(Control)と比較して、大豆植物体抽出物は、グルコース投与後のマウスの血糖値上昇を抑制した。
〔試験例2〕
大豆植物体抽出物の血糖値上昇抑制における作用成分を確認する目的で試験を実施した。
〔合成吸着剤分画試験〕
上述の大豆植物体熱水抽出物500mgを400mlの蒸留水に溶解し、合成吸着剤Diaion HP20(三菱化学(株))100mlを充填したガラス製カラムに通液した(SV4)。通液後、カラムを400mlの蒸留水で洗浄し(SV4)、非吸着画分を回収した。さらにカラムに400mlの60%EtOHを通液し(SV4)、吸着画分を回収した。回収した画分は減圧乾燥後、凍結乾燥機にて乾燥し、それぞれ422mg(非吸着画分)、65mg(吸着画分)の粉末試料を得た。
〔成分分析〕
総イソフラボン量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。分析方法は平成18年8月23日付け食安発第0823001号「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いに関する指針について」に従った。詳しくは、島津製作所製ProminenceUFLCにYMC−Pack ODS−AM(5μ)AM−303(250×4.6mmID)を装着し、0.1%酢酸添加15%アセトニトリルおよび0.1%酢酸添加35%アセトニトリルを移動相(グラジエント)として流速1mL毎分、35℃の条件で、UV検出器(254nm)により検出し、アグリコン等量として算出した。また、同様のHPLC分析条件によりケンフェロールを分析した。ケンフェロールの分析では、前処理として塩酸酸性下で加熱することにより全ての配糖体を加水分解しアグリコンであるケンフェロールとして評価した。
さらにイソフラボン及びケンフェロール含量を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。詳しくは、島津製作所製ProminenceUFLCにYMC−Pack ODS−AM(5μ)AM−303(250×4.6mmID)を装着し、0.1%酢酸添加15%アセトニトリルおよび0.1%酢酸添加35%アセトニトリルを移動相(グラジエント)として流速1mL毎分、35℃の条件で、検出波長254nmのUV検出器によって溶質を検出することにより行った。なおケンフェロール分析における検体は、前処理として塩酸酸性下で加熱することにより全てのケンフェロール配糖体を加水分解しアグリコンであるケンフェロールとして評価した。
分析結果を下記の表1に示した。表1より大豆植物体抽出物中の成分について、ピニトール、フルクトース等の糖は非吸着画分に、イソフラボン、ケンフェロールといったポリフェノール類は吸着画分に分画されたことがわかる。
Figure 0006956503
〔血糖値上昇抑制作用確認試験〕
大豆植物体抽出物500mg/k(体重)の投与と、それに相当する前述のHP20吸着画分(422mg/kg(体重))、HP20非吸着画分(65mg/kg(体重))、D−ピニトール(40.5mg/kg(体重))をそれぞれ投与し、試験例1と同様に血糖値上昇抑制作用確認試験を行った。
結果を図2に示す。大豆植物体抽出物、非吸着画分の投与で血糖値上昇抑制効果が確認されたが、吸着画分、抽出物相当量のピニトールの投与では効果は確認されなかった。
上述のとおり、大豆植物体抽出物の血糖値上昇抑制に関わる作用成分は、イソフラボンやケンフェロールのような疎水性のポリフェノール成分でもピニトールでもないことがわかった。本発明の大豆植物体抽出物の血糖値上昇抑制作用は、既知の作用成分とは無関係に血糖値上昇抑制作用を有することが明らかになった。
本発明により、従来用途の無い農業廃棄物として処理されていた大豆植物体から血糖値上昇抑制用組成物を得ることができ、これを利用した糖尿病の予防における食事療法に活用することが出来る。糖尿病予防用の飲料や食品の原料として有用である。

Claims (3)

  1. 大豆植物体の水抽出物をスチレン系合成吸着剤処理により分画された非吸着画分を有効成分とする血糖値上昇抑制用組成物。
  2. 前記大豆植物体が、葉部、茎部、または莢部の少なくともいずれかの部位を含む請求項1記載の血糖値上昇抑制用組成物。
  3. 大豆植物体を切断する工程と、加熱乾燥する工程と、水抽出する工程と、スチレン系合成吸着剤処理して非吸着画分を分画する工程を順に含むことを特徴とする血糖値上昇抑制用組成物の製造方法。
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