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JP6960146B2 - ケージド化合物及びケージド化合物の製造方法並びに発現方法 - Google Patents
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JP6960146B2 - ケージド化合物及びケージド化合物の製造方法並びに発現方法 - Google Patents

ケージド化合物及びケージド化合物の製造方法並びに発現方法 Download PDF

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Description

本発明は、ケージド化合物及びケージド化合物の製造方法並びに発現方法に関する。
ケージド化合物(Caged compounds)とは、生理活性分子の生物活性に重要な官能基を光で脱保護できる保護基(以下、「光感受性保護基」ともいう。)で保護(修飾)して、一時的に、不活性化させた化合物である。
ケージド化合物は光を照射することにより、光感受性保護基による保護が解除されて(アンケージング)生物活性を発現するため、生理活性分子が作用する時間、場所等を高い時空間分解能で制御できる。これにより、近年、ケージド化合物は、神経細胞間の情報伝達の解析を含め、ライフサイエンス分野において汎用されている。
汎用のケージド化合物としては、例えば、RuBi(Ruthenium-Bipyridine-Triphenylphosphine)等で神経伝達物質等を保護したケージド化合物が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
また、例えば、Bhc(6-bromo-7-hydroxycoumarin-4-ylmethyl)基を光感受性保護基として有するケージド化合物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2000/031588号
フナコシ株式会社 ケージド化合物カタログ、[平成29年5月8日検索]インターネット<URL:http://www.funakoshi.co.jp/contents/6676>
特許文献1に記載された、Bhc基を有するエステル型ケージド化合物及び、2−ニトロベンジル型、ヒドロキシフェナシル型及びクマリニルメチル型の汎用されているケージド化合物等では、短波長の紫外光を利用して脱保護を行うため、短波長の紫外光による細胞損傷が懸念される。そのため、紫外光よりも波長が長い、可視光による脱保護が可能なケージド化合物の開発が一層求められている。
非特許文献1に記載されたRuBiで保護されたグルタミン酸(RuBi−グルタミン酸ナトリウム)は、可視光による脱保護が可能なケージド化合物である。しかしながら、RuBi−グルタミン酸ナトリウムは、光反応効率が低いため、より実用的に用いるためには、さらに高い光反応性を示すケージド化合物が求められている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、光反応性及び暗所下安定性に優れ、かつ、可視光による脱保護が可能なケージド化合物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく、キノリニウム型の光感受性保護基と、−O(C=O)NH−を介して、生理活性分子等のアミノ基を有する化合物とを結合することで、光反応性及び暗所下安定性に優れ、かつ、可視光による脱保護が可能なケージド化合物を見出した。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の態様が含まれる。
<1>下記一般式(1)で表されるケージド化合物である。
Figure 0006960146
一般式(1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又はアルキルアミノ基を表し、Rは、アルキル基又は窒素原子以外のヘテロ原子を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表し、Xは1価の陰イオンを表し、Yは1価の有機基を表し、Zは、水素原子又は1価の有機基を表し、aは0又は1を表す。但し、Rが窒素原子以外のヘテロ原子を表す場合、aは0を表す。
<2> 前記一般式(1)において、Rは炭素数1〜12のアルキル基である、<1>に記載のケージド化合物。
<3> 前記一般式(1)において、Rはハロゲン原子、ヒドロキシ基又はアミノ基である、<1>又は<2>に記載のケージド化合物。
<4> 前記一般式(1)において、Xは、ハロゲン化物イオン、トリフルオロメチル酢酸イオン又はトリフルオロメタンスルホン酸イオンである、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のケージド化合物。
<5> 前記一般式(1)において、Xは、臭素イオン、ヨウ素イオン又はトリフルオロメタンスルホン酸イオンである、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のケージド化合物。
<6> 前記一般式(1)において、Yは、下記一般式(2)、一般式(3)又は一般式(4)で表される基である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のケージド化合物。
Figure 0006960146
一般式(2)中、Rは、アルキレン基を表し、*は連結部を表す。
Figure 0006960146
一般式(3)中、Rは、水素原子又は脂肪族炭化水素基を表し、*は連結部を表す。
Figure 0006960146
一般式(4)中、Rは、アルキレン基を表し、*は連結部を表す。
<7> キノリン誘導体を準備する工程と、
前記キノリン誘導体とアミノ基を有する化合物とを縮合反応させる工程と、
前記キノリン誘導体にアルキル基又は窒素原子以外のヘテロ原子を導入する工程と、
を含む、下記一般式(1)で表されるケージド化合物の製造方法。
Figure 0006960146
一般式(1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又はアルキルアミノ基を表し、Rは、アルキル基又は窒素原子以外のヘテロ原子を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表し、Xは1価の陰イオンを表し、Yは1価の有機基を表し、Zは、水素原子又は1価の有機基を表し、aは0又は1を表す。但し、Rが窒素原子以外のヘテロ原子を表す場合、aは0を表す。
<8> <1>〜<6>のいずれか1つに記載のケージド化合物を細胞に導入する工程と、励起光を前記ケージド化合物に照射して、一般式(1)中の−NYZ基を脱離し、前記NYZ基を含むアミノ基を有する化合物を細胞内で発現させる工程と、を含む発現方法。
<9> 前記励起光の波長領域は、380nm〜500nmである<8>に記載の発現方法。
本発明によれば、光反応性及び暗所下安定性に優れ、かつ、可視光による脱保護が可能なケージド化合物を提供される。
本発明のケージド化合物であるN−Me−7−HQm−GluのH−NMRスペクトルを示す図である。 本発明のケージド化合物であるN−Me−7−HQm−Gluの13C−NMRスペクトルを示す図である。 本発明のケージド化合物であるN−Me−7−HQm−AlaのH−NMRスペクトルを示す図である。 横軸に照射時間、縦軸にケージド化合物であるN−Me−7−HQm−Gluの残存率(%)をプロットした図である。 逆相HPLCを用いて測定される、保持時間を横軸に、照射時間を縦軸にとった、458nmの励起光を照射後のN−Me−7−HQm−Gluの光反応性を示す図である。 横軸に照射時間、縦軸にケージド化合物であるN−Me−7−HQm−Alaの残存率(%)をプロットした図である。 逆相HPLCを用いて測定される、保持時間を横軸に、照射時間を縦軸にとった、458nmの励起光を照射後のN−Me−7−HQm−Alaの光反応性を示す図である。 暗所下に保存したときのケージド化合物であるN−Me−7−HQm−Gluの残存率の変化を示す図である。 暗所下に保存したときのケージド化合物であるN−Me−7−HQm−Alaの残存率の変化を示す図である。 横軸に照射時間、縦軸にケージド化合物であるRuBi−グルタミン酸の残存率(%)をプロットした図である。 逆相HPLCを用いて測定される、保持時間を横軸に、照射時間を縦軸にとった、445nmの励起光を照射後のRuBi−グルタミン酸の光反応性を示す図である。 横軸に照射時間、縦軸にケージド化合物であるN−Me−7−HQm−OAcの残存率(%)をプロットした図である。 逆相HPLCを用いて測定される、保持時間を横軸に、照射時間を縦軸にとった、450nmの励起光を照射後のN−Me−7−HQm−OAcの光反応性を示す図である。
以下、本発明のケージド化合物について詳細に説明する。
本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示すものとする。
本明細書において、ケージド化合物とは、生理活性分子の生物活性に重要な官能基を光照射により脱保護できる保護基(光感受性保護基)で保護して、その生物活性を一時的に失わせた化合物を意味する。
本明細書において、「Me」はメチル基、「Et」はエチル基、「Bu」はブチル基、「OMe」はメトキシ基、「Ph」はフェニル基、「CFCOO」はトリフルオロメチル酢酸イオン、「Tf」はトリフルオロメタンスルホニル基を表し、「TfO」はトリフルオロメタンスルホン酸イオンを表す。
《ケージド化合物》
本発明のケージド化合物は、下記一般式(1)で表される。
Figure 0006960146
一般式(1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又はアミノ基を表し、Rは、アルキル基又は窒素原子以外のヘテロ原子を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表し、Xは1価の陰イオンを表し、Yは1価の有機基を表し、Zは、水素原子又は1価の有機基を表し、aは0又は1を表す。但し、Rが窒素原子以外のヘテロ原子を表す場合、aは0を表す。
本発明のケージド化合物は、一時的に不活性化を所望する分子が、キノリウム型の光感受性保護基によって、−O(C=O)N−(以下、「オキシカーバメート結合」ともいう。)を介して保護された化合物である。
本発明のケージド化合物は上記構成を有するので、ケージド化合物に可視光を照射すると、光感受性保護基と、保護されていた分子と、が脱離する。すなわち、光感受性保護基がケージド化合物から脱保護されることにより、保護されていた分子は活性を示すことが可能である。
また、本発明のケージド化合物は、可視光領域に極大吸収波長を有するキノリニウム型光感受性保護基を有する。そのため、細胞損傷が低い可視光をケージド化合物に照射することで、脱保護が可能であり、かつ、高い光反応効率で脱保護を行うことが可能である。 さらに、本発明のケージド化合物は、生理的条件下で加水分解に対して安定性を有するオキシカーバメート結合を介して生理活性分子と結合しているため、比較的容易に加水分解されるエステル結合を有するケージド化合物に比べて、顕著に高い安定性を有する。
以下、本発明のケージド化合物の詳細について説明する。
ケージド化合物は、上記一般式(1)で表される。一般式(1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又はアミノ基を表す。
で表されるハロゲン原子としては、特に制限はなく、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
これらの中でも、ハロゲン原子としては、臭素原子又は塩素原子が好ましい。
で表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であっても環状であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。
で表されるアルキル基としては、無置換のアルキル基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜12のアルキル基が更に好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基が特に好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が最も好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−エチルプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられる。
で表されるアリール基は、無置換であっても置換基を有していてもよい。アリール基に導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基、フェニル基で置換された置換アミノ基等が挙げられる。
で表されるアリール基の総炭素数(即ち、置換基を有する場合には置換基の炭素数も含めた総炭素数を意味する。以下、同義である。)としては、6〜20が好ましく、6〜18がより好ましい。
上記アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、ジフェニルアミノフェニル基等が挙げられる。
で表されるアリール基としては、置換又は無置換のフェニル基が好ましく、アルキル基で置換された総炭素数7〜20のフェニル基又はフェニル基で置換された置換アミノ基を有するフェニル基がより好ましく、フェニル基で置換された置換アミノ基を有する総炭素数6〜18フェニル基が更に好ましく、ジフェニルアミノフェニル基が特に好ましい。)
で表されるアルコキシ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であっても環状であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。
で表されるアルコキシ基としては、直鎖状又は分岐鎖状の無置換のアルコキシ基であることが好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜24のアルコキシ基であることがより好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルコキシ基であることが更に好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基であることが特に好ましい。
アルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロピルオキシ基、イソブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、t−オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、2−ヘキシルデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、及びオクチルシクロヘキシルオキシ基を挙げることができる。
で表されるアミノ基は、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。
アミノ基に導入可能な置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基等が挙げられる。
で表されるアミノ基としては、総炭素数0〜20のアミノ基が好ましく、総炭素数1〜12のアミノ基がより好ましく、総炭素数2〜12のジアルキルアミノ基若しくはモノアルキルアミノ基又はジフェニルアミノ基が更に好ましく、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基が特に好ましい。
アミノ基の具体例としては、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基などが挙げられる。
電子供与性の観点から、一般式(1)中、Rとしては、置換又は無置換のフェニル基、総炭素数2〜12のジアルキルアミノ基若しくはモノアルキルアミノ基又はヒドロキシ基が好ましく、総炭素数2〜8のモノアルキルアミノ基若しくはジアルキルアミノ基、フェニル基で置換された置換アミノ基を有する総炭素数6〜18フェニル基又はヒドロキシ基がより好ましく、ヒドロキシ基又はジフェニルアミノフェニル基が更に好ましい。
一般式(1)中、Rは、アルキル基又は、窒素原子以外のヘテロ原子を表す。但し、Rが窒素原子以外のヘテロ原子を表す場合、aは0を表す。
で表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であっても環状であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。アルキル基に導入可能な置換基としては、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシ基等が挙げられる。
で表される無置換のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜12のアルキル基がより好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基が更に好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
無置換のアルキル基の具体例としては、Rで表されるアルキル基と同義である。
で表される置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基にアリール基が結合した基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基にアリール基が結合した基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基にアリール基が結合した基であることが更に好ましく、メチル基にフェニル基が結合した基(ベンジル基)であることが特に好ましい。
で表される窒素原子以外のヘテロ原子としては、酸素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。これらの中でも、窒素原子以外のヘテロ原子としては、酸素原子であることが好ましい。
光反応性の観点から、Rとしては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基若しくはベンジル基が好ましく、合成が容易である観点から、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、直鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
一般式(1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
で表されるハロゲン原子及びアルキル基としては、Rにおけるハロゲン原子及びアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
副反応を抑制しやすい観点から、Rとしては、水素原子、塩素原子又は直鎖状の炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
一般式(1)中、Xは一価の陰イオンを表す。
で表される一価の陰イオンは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
一価の陰イオンとしては、例えば、ハロゲン化物イオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)、スルホン酸イオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン)、カルボン酸イオン(例えば、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン)、水酸化物イオン、硫酸モノアルキルイオン(例えば、硫酸モノメチルイオン、硫酸モノエチルイオン)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、ヘキサフルオロホウ酸イオン(BF )、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO )、(CFSO)N及びSCN等が挙げられる。
これらの中でも、光反応効率の観点から、Xとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、(CFSO)N、トリフルオロ酢酸イオン又はトリフルオロメタンスルホン酸イオンが好ましく、臭素イオン、ヨウ素イオン、トリフルオロ酢酸イオン又はトリフルオロメタンスルホン酸イオンがより好ましく、ヨウ素イオン又はトリフルオロメタンスルホン酸イオンが更に好ましい。
一般式(1)中、Yは、1価の有機基を表し、Zは、水素原子又は1価の有機基を表す。
Y又はZで表される1価の有機基としては、アルキル基、アリール基等が挙げられ、無置換であっても置換基を有していてもよい。
1価の有機基に導入可能な置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ基、チオール基等が挙げられる。
Y又はZが置換基を有する場合、置換基の数は、1〜4が好ましく、1又は2がより好ましい。
これらの中でも、置換基としては、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基又はチオール基が好ましく、カルボキシ基、スルホ基又はヒドロキシ基がより好ましい。
Yとしては、無置換若しくは置換された総炭素数1〜5のアルキル基、又は無置換若しくは置換されたフェニル基であることが好ましく、下記一般式(2)、一般式(3)又は一般式(4)で表される基であることがより好ましい。なお、下記一般式中、*は連結部を表す。
Figure 0006960146
一般式(2)中、Rは、アルキレン基を表す。
Figure 0006960146
一般式(3)中、Rは、水素原子又は脂肪族炭化水素基を表す。
Figure 0006960146
一般式(4)中、Rは、アルキレン基を表す。
一般式(2)中、Rで表されるアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。
アルキレン基としては、無置換のアルキレン基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の総炭素数1〜10のアルキレン基がより好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の総炭素数1〜4のアルキレン基が更に好ましい。
アルキレン基の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、sec−ペンチレン基、tert−ペンチレン基及び3−ペンチレン基が挙げられる。
で表される基としては、水素原子又は無置換のアルキレン基であることが好ましく、水素原子又は直鎖状若しくは分岐鎖状の総炭素数1〜4アルキレン基であることがより好ましい。
で表される脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基が挙げられる。
で表される脂肪族炭化水素基に導入可能な置換基としては、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。上記アルコキシ基及びアミノ基は、一般式(1)のRで表されるアルコキシ基及びアミノ基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
脂肪族炭化水素基が置換基としてアリール基を有する場合、アリール基は更に置換基を有していてもよい。更に導入可能な置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基などが挙げられる。
ヘテロ環基としては、特に限定されず、脂肪族ヘテロ環基及び芳香族ヘテロ環基が挙げられる。なお、ヘテロ環基が有するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。
ヘテロ環基としては、総炭素数1〜20のヘテロ環基が好ましく、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含む総炭素数1〜12のヘテロ環基がより好ましい。
ヘテロ環基の具体例としては、ピロリジン基、モルホリン基、イミダゾール基、チアゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾトリアゾール基、インドール基などが挙げられる。
脂肪族炭化水素基の総炭素数としては、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が更に好ましい。
で表される基としては、水素原子又置換基を有する総炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、水素原子又はアリール基、ヘテロ環基、カルボキシ基、チオール基、アミノ基若しくはアミド基を有する総炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、水素原子又はアリール基、ヘテロ環基若しくはカルボキシ基を有する総炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましく、水素原子又はカルボキシ基を有する総炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。
で表されるアルキレン基は、一般式(2)のRで表されるアルキレン基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
以下、Yで表される有機基の具体例(Y−1)〜(Y−5)を示す。但し、Yは以下の具体例によって限定されることはない。なお、下記構造式中、*は連結部を示す。
Figure 0006960146
Zとしては、水素原子、無置換若しくは置換された総炭素数1〜5のアルキル基、又は無置換若しくは置換されたフェニル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
一般式(1)において、Rは置換又は無置換のフェニル基、総炭素数2〜8のジアルキルアミノ基若しくはモノアルキルアミノ基又はヒドロキシ基(より好ましくは、総炭素数2〜8のモノアルキルアミノ基若しくはジアルキルアミノ基、フェニル基で置換された置換アミノ基を有する総炭素数6〜18フェニル基又はヒドロキシ基、更に好ましくは、ヒドロキシ基又はジフェニルアミノフェニル基である)であり、Rは、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はベンジル基(より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、更に好ましくは炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基である)であり、Rは水素原子、塩素原子又は炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基(より好ましくは、水素原子である)であり、Xは塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、(CFSO)N、トリフルオロ酢酸イオン又はトリフルオロメタンスルホン酸イオン(より好ましくは、臭素イオン、ヨウ素イオン、トリフルオロ酢酸イオン又はトリフルオロメタンスルホン酸イオン、更に好ましくは、ヨウ素イオン又はトリフルオロメタンスルホン酸イオンである)であり、Yは、無置換若しくは置換された総炭素数1〜5のアルキル基、又は無置換若しくは置換されたフェニル基(より好ましくは、上記一般式(2)、一般式(3)又は一般式(4)で表される基)であり、Zは、水素原子、無置換若しくは置換された総炭素数1〜5のアルキル基、又は無置換若しくは置換されたフェニル基(より好ましくは、水素原子である)であることが好ましい。
本発明のケージド化合物としては、例えば、以下に示す例示化合物が挙げられる。
なお、本発明のケージド化合物は、以下の例示化合物に限定されず、既述の一般式(1)に包含される化合物であれば特に制限されない。
Figure 0006960146
Figure 0006960146
Figure 0006960146
本発明のケージド化合物の光反応効率(ε・Φchem)は、モル吸光係数(ε)と光反応量子収率(Φchem)との積によって求めることができる。
本発明のケージド化合物の光反応量子収率(Φchem)は、「Tslen,R.Y.,Zucker,R.S.,Biophys J.1986,50,843」に記載された下記式(1)に基づき算出することができる。
Figure 0006960146
式(1)中、Iは、光量(mol・s−1・cm−2)を表し、ελは、吸収波長λのモル吸光係数(mol−1・cm−1)を表し、t90は、基質(ケージド化合物)が90%分解するのに必要な時間(s)を表す。
90は、ケージド化合物に特定の吸収波長の励起光を照射し、横軸に照射時間、縦軸にケージド化合物の残存率(%)をプロットした、一次指数関数の近似式より求めることができる。
光反応効率は、100(M−1・cm−1)以上であることが好ましい。光反応効率が100(M−1・cm−1)以上であると、ケージド化合物を実用的に用いることが可能である。
光反応効率の観点から、光反応効率としては、200(M−1・cm−1)以上であることがより好ましく、300(M−1・cm−1)以上であることが更に好ましい。
可視光による脱保護の観点から、ケージド化合物の最大吸収波長λmaxは、可視光領域380nm〜780nmの範囲にあることが好ましく、450nm〜500nmの範囲にあることがより好ましい。
ケージド化合物の最大吸収波長(λmax)及びモル吸光係数(ε)は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、Eppendorf Bio分光計(登録商標) basic分光光度計UV(Eppendorf社製)を用いて測定することができる。
《ケージド化合物の製造方法》
本発明のケージド化合物の製造方法は、少なくとも、キノリン誘導体を準備する工程(以下、「キノリン誘導体準備工程」ともいう。)と、前記キノリン誘導体とアミノ基を有する化合物とを縮合反応する工程(以下、「縮合反応工程」ともいう。)と、前記キノリン誘導体にアルキル基又は窒素原子以外のヘテロ原子を導入する工程(以下、「導入工程」ともいう。)と、を含む。
本発明のケージド化合物は、光感受性保護基であるキノリン誘導体と、一時的な活性の抑制を所望する分子であるアミノ基(−NH)を有する化合物と、を結合させて、製造することができる。
以下、本発明のケージド化合物の製造方法の一例について説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
<キノリン誘導体準備工程>
キノリン誘導体は、キノリン誘導体の市販品を購入して準備してもよく、公知の合成方法によりキノリン誘導体を合成して準備してもよい。
キノリン誘導体の出発原料は、所望のキノリン誘導体が合成可能であれば、特に制限はなく、市販品を用いてもよく、常法により合成してもよい。
キノリン誘導体の合成方法の一例を下記スキームに示す。但し、キノリン誘導体の合成方法はこれに限定されない。
Figure 0006960146
<縮合反応工程>
縮合反応工程は、上記キノリン誘導体準備工程で得られたキノリン誘導体とアミノ基を有する化合物とを縮合反応する工程である。
縮合反応する方法は、縮合反応によってオキシカーバメート結合が形成可能であれば特に限定されず、公知の方法により縮合反応を行うことができる。オキシカーバメート結合を有する本発明のケージド化合物は、保存安定性に優れる傾向がある。
アミノ基を有する化合物としては、キノリン誘導体と、オキシカーバメート結合を介して結合可能であれば特に制限はなく、例えば、アミノ酸及びその誘導体、たんぱく質、ペプチド、核酸などが挙げられる。
縮合反応の方法としては、キノリン誘導体とアミノ基を有する化合物とを、例えば、カルボニルジイミダゾール(CDI)及びトリエチルアミンの存在下で縮合する方法、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)及びピリジンの存在下で縮合する方法等が挙げられる。
例えば、キノリン誘導体と、アミノ基を有する化合物として、5−アザ−2’−デオキシシチジンと、を縮合反応する方法としては、クロロトリメチルシラン(TMSCl)及びピリジンの存在下で縮合する方法等が挙げられる。
溶媒としては、一般的に各種化学製品の製造技術で利用されている有機溶剤を使用することができ、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン及びジメチルホルムアミドが挙げられる。
操作の簡便性の観点から、溶媒としては、ジクロロメタンが好ましい。
キノリン誘導体と、アミノ基を有する化合物として、H−Ala−OtBu・HCl(L-Alanine t-butyl ester hydrochloride)又はH−Glu−(OtBu)・HCl(L-Glutamic acid α,γ-di(t-butyl ester) hydrochloride)とを、結合する合成方法の一例を下記に示すが、オキシカーバメート結合を介して結合する方法はこれに限定されない。
Figure 0006960146
Figure 0006960146
<導入工程>
導入工程は、上記縮合反応工程で得られた生成物であるキノリン誘導体にアルキル基又は窒素原子以外のヘテロ原子を導入する工程である。
キノリン誘導体にアルキル基又は窒素原子以外のヘテロ原子を導入する方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
導入工程としては、合成が容易である観点から、アルキル基を導入する工程であることが好ましい。
アルキル基を導入する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。合成が容易である観点から、アルキル化剤を用いて、アルキル基を導入することが好ましい。
アルキル化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
アルキル化剤としては、例えば、アルキルハライド、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、炭酸アルキル、リン酸アルキル等が挙げられ、より具体的には、MeCl(SbF)、(MeO)CHBF、MeOBF、EtOBF、MeOTf、MeSOF、(MeO)SO、MeI等が挙げられる。
光反応性の観点から、アルキル化剤としては、MeOTf、MeI又はMeOBF4が好ましく、MeOTf又はMeIがより好ましい。
ケージド化合物の製造方法は、キノリン誘導体準備工程、縮合反応工程及び導入工程に加えて、得られたケージド化合物を精製する精製工程(以下、「精製工程」ともいう。)を更に含んでいてもよい。
精製方法としては、例えば、逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)、イオン交換HPLC、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の公知の精製方法が挙げられる。
<その他の工程>
ケージド化合物の製造方法は、キノリン誘導体準備工程、縮合反応工程及び導入工程及び精製工程以外の工程(以下、「その他の工程」ともいう。)を含むことができる。
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明のケージド化合物の合成の一例を下記スキームに示す。但し、本発明のケージド化合物の製造方法は、これに限定されるものではない。
Figure 0006960146
10mLナスフラスコに3−アミノフェノール、p−クロラニル、クロトンアルデヒド及びn−ブタノールを入れ、105℃で加熱しながら、撹拌した。次いで、tert−ブチルジフェニルクロロシラン(TBDPSCl)、イミダゾール及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を加えた。さらに、二酸化セレン(SeO)及び1,4−ジオキサン(1,4−DOX)を加え、80℃で加熱し、エタノール溶媒中で、水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元し、光感受性保護基となるキノリン誘導体を得た。
キノリン誘導体と、H−Ala−OtBu・HCl(L-Alanine t-butyl ester hydrochloride)と、をカルボニルジイミダゾール(CDI)と、トリエチルアミンとを用いて、ジクロロメタン溶媒中で、縮合反応を行った。次いで、ジクロロメタン溶媒中で、メチル化剤としてトリフルオロメタンスルホン酸メチル(MeOTf)を用いて、N−アルキル化を行った。更に、テトラヒドロフラン(THF)下で、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)を用いて脱保護し、N−メチル(Me)−7−ヒドロキシキノリウム(HQm)−アラニン(Ala)(以下、「N−Me−7−HQm−Ala」ともいう。)を得た。得られたN−Me−7−HQm−AlaのH−NMRスペクトルを図3に示す。
IR(ATR)・3319(OH),3065(OH),1718(CO),1670(CO),1625(CO): H NMR(300MHz,DMSO−d)deruta 1.33(d,J=6.0Hz,3H),4.05(p,J=6.0Hz,1H),4.26(s,3H),5.68(s,2H),7.57(d,J=9.0Hz,1H),7.67(s,1H),7.82(d,J=6.0Hz,3H),8.17(d,J=9.0Hz,1H),8.30(d,J=9.0Hz,1H),9.07(d,J=9.0Hz,1H),12.14(brs,1H)
Figure 0006960146
10mLナスフラスコに3−アミノフェノール、p−クロラニル、クロトンアルデヒド及びn−ブタノールを入れ、105℃で加熱しながら、撹拌した。次いで、tert−ブチルジフェニルクロロシラン(TBDPSCl)、イミダゾール及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を加えた。さらに、二酸化セレン(SeO)及び1,4−ジオキサン(1,4−DOX)を加え、80℃で加熱し、エタノール溶媒中で、水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元し、キノリン誘導体を得た。
キノリン誘導体と、H−Glu−(OtBu)・HCl(L-Glutamic acid α,γ-di(t-butyl ester) hydrochloride)と、をカルボニルジイミダゾール(CDI)と、トリエチルアミンとを用いて、ジクロロメタン溶媒中で、縮合反応を行った。次いで、ジクロロメタン溶媒中で、メチル化剤としてトリフルオロメタンスルホン酸メチル(MeOTf)を用いて、N−アルキル化を行った。更に、テトラヒドロフラン(THF)下で、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)を用いて脱保護し、N−メチル(Me)−7−ヒドロキシキノリウム(HQm)−グルタミン酸(Glu)(以下、「N−Me−HQm−Glu」ともいう。)を得た(収率49%)。得られたN−Me−7−HQm−GluのH−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルをそれぞれ、図1及び図2に示す。
IR(ATR)・3110(OH),2954(OH),1714(CO),1630(CO),1600(CO):H NMR(300MHz,Acetonitrile−d)deruta 1.73−1.94(m,2H),2.28−2.39(m,2H),4.14(s,2H),5.50(s,1H),6.43(d,J=9.0Hz,1H),7.44(d,J=9.0Hz,1H),7.55(s,1H),7.72(d,J=6.0Hz,1H),8.07(d,J=6.0Hz,1H),8.75(d,J=6.0Hz,1H);13C NMR(75MHz,CDCN) deruta 27.0,30.2,39.8,54.3,63.5,102.0,118.9,123.1,125.1,133.9,143.8,147.0,155.9,156.7,165.7,173.3,174.6;LRMS(ESI),m/z calcd for C181910S[M−OTf 363, found 363.
《発現方法》
本発明の発現方法は、本発明のケージド化合物を細胞に導入する工程(以下、「細胞導入工程」ともいう。)と、励起光を前記ケージド化合物に照射して、一般式(1)中の−NYZ基を脱離し、前記NYZ基を含むアミノ基を有する化合物の活性を細胞内で発現させる工程(以下、「脱離工程」ともいう。)と、を含む。
この発現方法により、本発明のケージド化合物から光感受性保護基が脱保護され、NYZ基を含むアミノ基を有する化合物を活性化させることが可能となる。
(細胞導入工程)
本発明のケージド化合物を細胞に導入する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ケージド化合物を導入する細胞としては、培養細胞であってもよく、組織切片であってもよく、生物個体であってもよい。
(脱離工程)
脱離工程は、励起光を前記ケージド化合物に照射して、一般式(1)中の−NYZ基を脱離(以下、単に「脱離」ともいう。)し、NYZ基を含むアミノ基を有する化合物の活性を細胞内で発現させる工程を含む。
−NYZ基の脱離は、1光子の吸収による励起(以下、「1光子励起」ともいう。)によって行ってもよく、2光子の吸収による励起(以下、「2光子励起」ともいう。)によって行ってもよい。
1光子励起を利用して脱離を行う場合、励起光としては、励起光は可視光領域380nm〜780nmであることが好ましく、波長領域が380nm〜500nmであることがより好ましく、430nm〜480nmであることが更に好ましい。励起光の波長領域が上記範囲であると、水等の分子に吸収されにくく、光反応性に優れる傾向がある。
1光子励起に用いる光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、発光ダイオード(LED)光源、エキシマレーザー発生装置などを用いることができ、中でも、操作性の観点から、発光ダイオード(LED)光源が好ましい。
2光子励起を利用して脱離を行う場合、励起光としては、1光子励起する波長の2倍の長さを持つ光を励起光として用いることが可能である。
このような励起光としては、近赤外光であり、好ましくは720nm〜1000nmの近赤外光であり、より好ましくは720nm〜900nmの近赤外光である。
2光子励起に用いる光源としては、例えば、近赤外パルスレーザー、チタンサファイアレーザー等が挙げられる。
励起光の照射時間としては、0.1秒間〜5.0秒間、好ましくは0.5秒間〜2.0秒間、更に好ましくは0.5秒間〜1.0秒間程度がよい。
1光子励起によって脱離を行う場合、実用的な観点から、光反応効率(Φchem・ελ)は、100(M−1cm−1)以上であることが好ましい。
2光子励起によって脱離を行う場合、実用的な観点から、光反応効率(δ)は、0.1GM以上であることが好ましい。
励起光の照射方法は、ケージド化合物を導入した細胞に対して行えばよい。
本発明の発現方法は、生体内の細胞に対しては、生体外から励起光を照射して、細胞内で活性を発現させることが可能である。また、カテーテルの先端に励起光照射手段を設置し、生体内の標的細胞が存在する箇所に光照射手段を血管等を経由して到達させ、励起光を照射してもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<N−Me−7−HQm−Gluの合成>
一般式(1)で表されるN−Me−7−HQm−Gluは、下記のスキームに従い合成を行った。
Figure 0006960146
30mL二口ナスフラスコに3−アミノフェノール1549.1mg(14.2mmol)と、濃塩酸を4.0mLと、p−クロラニル349.17mg(14.2mmol)を入れ、n−ブタノールを5.0mL入れ、105℃で加熱しがら10分間撹拌した。
次いで、4mLバイヤルにクロトンアルデヒドを1.5mL(18.5mmol)、n−ブタノールを400μL入れ、反応溶液を別途調製した。二口ナスフラスコに入った溶液を105℃で加熱しながら、別途調製した反応溶液を滴下し、さらに1時間撹拌し精製を行い、目的物を得た(収率70%)。
次いで、tert−ブチルジフェニルクロロシラン(TBDPSCl)4.4mL(17.0mmol)、イミダゾール1658.1mg(24.4mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)19mLを加え、7位の水酸基をTBDPSで保護した。さらに、二酸化セレン(SeO)1052.7mg(9.48mmol)及び1,4−ジオキサン(1,4−DOX)を27mL加え、80℃で加熱しメチル基をホルミル基とし、エタノール溶媒15mL中で、水素化ホウ素ナトリウム78.657mg(2.08mmol)を用いて還元し、キノリン誘導体を得た(収率63%)。
キノリン誘導体82.50mg(0.200mmol)と、H−Glu−(OtBu)・HCl(L−Glutamic acid α,γ‐di(t-butyl ester) hydrochloride)121.1mg(0.409mmol)と、をカルボニルジイミダゾール(CDI)34.60mg(0.213 mmol)と、トリエチルアミン70.5μL(0.212mmol)と、を用いて、ジクロロメタン1.0ml中で、縮合反応を行った(収率71%)。次いで、ジクロロメタン溶媒1.0ml中で、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(MeOTf)15.3μl(0.140mmol)を用いて、N−アルキル化を行い、更に、テトラヒドロフラン(THF)1.0ml下で、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)140μL(0.140mmol)及びトリフルオロ酢酸(TFA)1.0mlを用いて、脱保護し、分取HPLCにて精製を行い、目的物を得た(収率49%)。
上記で得られた目的物について、NMR測定、赤外分光分析(IR)及び四重極型質量分析(LRMS)を行い下記の結果を得た。NMR測定により得られた測定(スペクトルのケミカルシフト〔ppm〕及び(積分値(比))値、並びに、IR及びLRMSの結果を下記に示す。また、得られたH−NMRスペクトル及び13C−NMRをそれぞれ、図1及び図2に示す。
IR(ATR)・3110(OH),2954(OH),1714(CO),1630(CO),1600(CO):H NMR(300MHz,Acetonitrile−d)deruta 1.73−1.94(m,2H),2.28−2.39(m,2H),4.14(s,2H),5.50(s,1H),6.43(d,J=9.0Hz,1H),7.44(d,J=9.0Hz,1H),7.55(s,1H),7.72(d,J=6.0Hz,1H),8.07(d,J=6.0Hz,1H),8.75(d,J=6.0Hz,1H);13C NMR(75MHz,CDCN) deruta 27.0,30.2,39.8,54.3,63.5,102.0,118.9,123.1,125.1,133.9,143.8,147.0,155.9,156.7,165.7,173.3,174.6;LRMS(ESI),m/z calcd for C181910S[M−OTf 363, found 363.
以上の測定結果によって、ケージド化合物であるN−Me−7−HQm−Gluが得られたことが示された。
[評価]
(1)光反応性
実施例1で得られたN−Me−7−HQm−Gluに対して、可視光(458nm)の励起光を照射して光分解反応を行った。
実施例1で得られたN−Me−7−HQm−Gluをリン酸緩衝液(PBS)に溶解して、10μMの希釈溶液を調製したのち、希釈液を石英セルに入れ、SUGARCUBE LEDファイバー光源(製品名;SUGAR CUBE LEDファイバー光源 青 458NM、エドモンド・オプティクス・ジャパン(株)製)にセットし、458nmの励起光(光源:キセノンライト(製品名;Max−303、朝日分光(株)製)を照射した。
照射後のケージド化合物の残存率を下記の条件で逆相HPLC装置(JASCO PU−980型番、日本分光(株)社製)、LC−NetII/ADC(JASCO)、Intelligent Sampler(AS−2055Plus、日本分光(株)社製)、Column Oven(CO−965、日本分光(株)社製)、マルチチャンネル検出器(MD−2010Plus、日本分光(株)社製)、Intelligent HPLC PUMP(PU−980、日本分光(株)社製)、Ternary Gradient Unit(LG−1580−02、日本分光(株)社製)、3−Line Degasser(DG−1580−53、日本分光(株)社製)を用いて測定した。
結果を図4Bに示す。
(条件)
カラム:YMC−Triart C18
溶出条件:12% CHCN−88% HO (containing 0.1% トリフルオロ酢酸(TFA))
検出波長:365nm
流速:1.0mL/min
横軸に照射時間、縦軸にケージド化合物の残存率(%)をプロットし、一次指数関数の近似式を算出した(図4A)。
一次指数関数の近似式より、基質(ケージド化合物)が90%分解するのに必要な時間(t90)を求め、下記式を用いて光反応量子収率(Φchem)を算出した。
N−Me−7−HQm−Gluの光反応量子収率(Φchem)は、0.119であった。
Figure 0006960146
90(基質が90%分解するのに必要な時間(s));61(s)
(光量);4.24×10−8(mol・s−1・cm−2
ε458(458nmにおける吸収波長のモル吸光係数)(mol−1・cm−1);3113(M−1・cm−1
さらに、光反応量子収率(Φchem)と458nmにおけるモル吸光係数(ε458)との積を求め、光反応効率(ε458・Φchem)を算出した。
N−Me−7−HQm−Gluの光反応効率(ε458・Φchem)は、370(M−1・cm−1)であり、実用的なケージド化合物として求められる光反応効率100(M−1・cm−1)を超える値であった。
図4Bに示すように、保持時間8.6分付近に、光分解産物であるアルコール(N−Me−7−HQm−OH)のピークが見られ、12.2分付近にN−Me−7−HQm−Gluのピークが見られた。
照射時間を増加させると、光分解産物であるアルコールの増加に伴い、N−Me−7−HQm−Gluが減少していることが確認できた。
(2)暗所下安定性
実施例1で得られたN−Me−7−HQm−Gluをリン酸緩衝液(PBS)に溶解して、10μMの濃度(pH=7.4)に調製して、試験サンプルを作製した。この試験サンプルを室温(25℃)条件下で暗所に24時間保存した。保存後、0、6、9及び24時間経過した後の試験サンプルについて、逆相HPLCを用いて、ケージド化合物の加水分解に対する安定性を評価した。
なお、逆相HPLCの測定条件は、既述の条件と同様である。
図6に横軸に静置時間、縦軸にケージド化合物の残存率(%)をプロットしたグラフを示す。
(3)水溶性
リン酸緩衝液(PBS、pH=7.4)に対する、N−Me−7−HQm−Gluの飽和濃度を測定して水溶性の評価を行った。
まず、N−Me−7−HQm−Gluについて、既知濃度の溶液(標準溶液)及び飽和溶液を調製して、それぞれの溶液について逆相HPLC分析を行った。
標準溶液の濃度に対してクロマトグラムから得られるピーク面積をプロットして、絶対検量線を求めた後、飽和溶液から得られるピーク面積値を絶対検量線に代入することで、N−Me−7−HQm−Gluのリン酸緩衝液に対する飽和濃度(Cs)を定量的に算出した。
(条件)
カラム:YMC−Triart C18
溶出条件:12% CHCN−88% HO (containing 0.1% トリフルオロ酢酸(TFA))
検出波長:365nm
流速:1.0mL/min
N−Me−7−HQm−Gluの飽和濃度(Cs)は、6.36mMを超える値であった。
(実施例2)
<N−Me−7−HQm−Alaの合成>
一般式(1)で表されるN−Me−7−HQm−Alaは、下記のスキームに従い合成を行った。
Figure 0006960146
30mL二口ナスフラスコに3−アミノフェノール1549.1mg(14.2mmol)と、濃塩酸を4.0mLと、p−クロラニル349.17mg(14.2mmol)と、を入れ、n−ブタノールを5.0mL入れ、105℃で加熱しがら10分間撹拌した。
次いで、4mLバイヤルにクロトンアルデヒドを1.5mL(18.5mmol)、n−ブタノールを400μL入れ、反応溶液を別途調製した。二口ナスフラスコに入った溶液を105℃で加熱しながら、別途調製した反応溶液を滴下し、さらに1時間撹拌し精製を行い、目的物を得た(収率70%)。
次いで、tert−ブチルジフェニルクロロシラン(TBDPSCl)4.4mL(17.0mmol)、イミダゾール1658.1mg(24.4mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)19mLを加え、7位の水酸基をTBDPSで保護した。さらに、二酸化セレン(SeO)1052.7mg(9.48mmol)及び1,4−ジオキサン(1,4−DOX)を27mL加え、80℃で加熱しメチル基をホルミル基とし、エタノール溶媒15mL中で、水素化ホウ素ナトリウム78.657mg(2.08mmol)を用いて還元し、キノリン誘導体を得た(収率63%)。
キノリン誘導体199.8mg(0.483mmol)と、H−Ala−OtBu・HCl180.7mg(0.995mmol)と、をカルボニルジイミダゾール(CDI)85.10mg(0.512mmol)と、トリエチルアミン170μL(1.22mmol)と、を用いて、ジクロロメタン2.4ml中で、縮合反応を行った(収率86%)。
縮合したキノリン誘導体101.2mg(0.173mmol)は、ジクロロメタン溶媒1.0ml中で、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(MeOTf)19.0μL(0.173mmol)を用いて、N−アルキル化を行った。更に、テトラヒドロフラン(THF)1.0mL下で、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)200μL(0.200mmol)を用いて、脱保護し、分取HPLCにて精製を行い、目的物を得た(収率48%)。
上記で得られた目的物について、NMR測定を行い下記の結果を得た。NMR測定により得られた測定(スペクトルのケミカルシフト〔ppm〕及び(積分値(比))値を下記に示す。また、得られたH−NMRスペクトルを図3に示す。
IR(ATR)・3319(OH),3065(OH),1718(CO),1670(CO),1625(CO): H NMR(300MHz,DMSO−d)deruta 1.33(d,J=6.0Hz,3H),4.05(p,J=6.0Hz,1H),4.26(s,3H),5.68(s,2H),7.57(d,J=9.0Hz,1H),7.67(s,1H),7.82(d,J=6.0Hz,3H),8.17(d,J=9.0Hz,1H),8.30(d,J=9.0Hz,1H),9.07(d,J=9.0Hz,1H),12.14(brs,1H)
以上の測定結果によって、ケージド化合物であるN−Me−7−HQm−Alaが得られたことが示された。
得られたN−Me−7−HQm−Alaについて、実施例1と同様にして光反応性及び暗所下安定性の評価を行った。光反応性及び暗所下安定性の評価結果をそれぞれ図5B及び図7に示す。
一次指数関数の近似式(図5A)より、基質(ケージド化合物)が90%分解するのに必要な時間(t90)を求めたのち、N−Me−7−HQm−Alaの光反応量子収率(Φchem)を、下記の値を用いて算出した。
90(基質が90%分解するのに必要な時間(s));62(s)
(光量):4.63×10−8(mol・s−1・cm−2
ε458(458nmにおける吸収波長のモル吸光係数)(mol−1・cm−1);2623(M−1・cm−1
N−Me−7−HQm−Alaの光反応量子収率(Φchem)は、0.138であり、N−Me−7−HQm−Alaの光反応効率(ε458・Φchem)は、362(M−1・cm−1)であった。また、実用的なケージド化合物として求められる光反応効率100(M−1・cm−1)を超える値であった。
図5Bに示すように、保持時間8.6分付近に、光分解産物であるアルコール(N−Me−7−HQm−OH)のピークが見られ、11.8分付近にN−Me−7−HQm−Ala(基質)のピークが見られた。
照射時間を増加させると、光分解産物であるアルコールの増加に伴い、ケージド化合物が減少していることが確認できた。
(比較例1)
<RuBi−グルタミン酸>
RuBi−グルタミン酸ナトリウム(Ruthenium-Bipyridine-Triphenylphosphineで保護されたグルタミン酸、アブカム社製)を用い、445nmの光を照射した以外は、実施例1と同様にして光反応性の評価を行った。評価結果を図8Bに示す。
Figure 0006960146
RuBi−グルタミン酸の光反応量子収率(Φchem)は、0.018であり、光反応効率(ε445・Φchem)は83(M−1・cm−1)であった。
(比較例2)
<エステル型ケージド化合物>
エステル型ケージド化合物として、N−Me−7−HQm−OAc(対アニオン:ヨウ素)を用い、450nmの光を照射した以外は、実施例1と同様にして、光反応性、暗所下安定性及び水溶性の評価を行った。光反応性及び暗所下安定性の評価結果は、それぞれ、図6、図7及び図9Bに示す。
Figure 0006960146
N−Me−7−HQm−OAcの光反応量子収率(Φchem)は、0.083であり、光反応効率は(ε450・Φchem)は878(M−1・cm−1)であった。
N−Me−7−HQm−OAcの飽和濃度(Cs)は、20.2mMであった。
一般式(1)で表される実施例1及び実施例2のケージド化合物は、可視光である458nmの励起光で脱保護することが可能であり、実用的なケージド化合物として求められる光反応効率100(M−1・cm−1)を超える値の光反応効率を示していた。また、実施例1及び実施例2のケージド化合物を暗所下に保存した場合、24時間経過後のケージド化合物の残存率は99%以上であり、実施例1及び実施例2のケージド化合物は、ほとんど分解されないことが示されていた。
これに対して、比較例1のRuBi−グルタミン酸の光反応効率は、83(M−1・cm−1)であり、実用的なケージド化合物として求められる光反応効率100(M−1・cm−1)未満の値であった。実施例1及び実施例2のケージド化合物は、比較例1のケージド化合物と比べて、約4.5倍高い光反応性を有していた。
実施例1のケージド化合物である、N−Me−7−HQm−Gluの光反応量子収率(Φchem)は、0.119であり、比較例1のRuBi−グルタミン酸と比べて、約6.6倍高い光反応量子収率を有していた。また、実施例2のケージド化合物である、N−Me−7−HQm−Alaの光反応量子収率(Φchem)は、0.138であり、比較例1のRuBi−グルタミン酸と比べて、約7.7倍高い光反応量子収率を有していた。
また、比較例2のエステル型ケージド化合物は、暗所下に3時間保存したときの残存率は約98%であり、12時間経過後の残存率は約96%であり、暗所下保存時における残存率が低下する傾向が見られた。エステル型の光感受性保護基で保護されたグルタミン酸は、実施例1のオキシカーバメート型の光感受性保護基で保護されたグルタミン酸と比べて、不安定であるため、暗所下安定性に劣っていた。
以上より、本発明のケージド化合物は、光反応性及び暗所下安定性に優れ、可視光による脱保護が可能である。加えて、本発明のケージド化合物は水溶性にも優れる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表されるケージド化合物。
    Figure 0006960146


    [一般式(1)中、Rは、ヒドロキシ基を表し、Rは、直鎖状の炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは、水素原子を表し、Xはヨウ素イオン又はトリフルオロメタンスルホン酸イオン表し、Yは下記一般式(2)又は一般式(3)を表し、Zは、水素原子を表し、aは1を表す。]
    Figure 0006960146

    [一般式(2)中、R は、直鎖状又は分岐鎖状の総炭素数1〜4のアルキレン基を表し、*は連結部を表す。]
    Figure 0006960146

    [一般式(3)中、R は、水素原子又は置換基を有する総炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を表し、*は連結部を表す。]
  2. 下記一般式(1)−1で表されるキノリン誘導体を準備する工程と、
    前記キノリン誘導体と下記一般式(1)−2で表されるアミノ基を有する化合物とを縮合反応させる工程と、
    前記縮合反応させる工程で得られたキノリン誘導体に、直鎖状の炭素数1〜4のアルキル基を導入する工程と、
    を含む、下記一般式(1)で表されるケージド化合物の製造方法。
    Figure 0006960146

    一般式(1)−1中、Rは、トリメチルシリル基又はtert−ブチルジフェニルシリル基を表す。]
    Figure 0006960146

    [一般式(1)−2中、Yは、一般式(2)、又は、一般式(3)を表し、Zは、水素原子を表す。]
    Figure 0006960146

    [一般式(2)中、R は、直鎖状又は分岐鎖状の総炭素数1〜4のアルキレン基を表し、*は連結部を表す。]
    Figure 0006960146

    [一般式(3)中、R は、水素原子又は置換基を有する総炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を表し、*は連結部を表す。]
    Figure 0006960146

    [一般式(1)中、Rは、ヒドロキシ基を表し、Rは、直鎖状の炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは、水素原子を表し、Xはヨウ素イオン又はトリフルオロメタンスルホン酸イオンを表し、Yは前記一般式(2)又は前記一般式(3)を表し、Zは、水素原子を表し、aは1を表す]
  3. 請求項1に記載のケージド化合物を培養細胞、組織切片又は生物個体に導入する工程と、
    励起光を前記ケージド化合物に照射して、一般式(1)中の−NYZ基を脱離し、前記NYZ基を含むアミノ基を有する化合物を培養細胞、組織切片又は生物個体内で発現させる工程と、
    含み、
    前記生物個体はヒト以外の生物個体である、発現方法。
  4. 前記励起光の波長領域は、380nm〜500nmである請求項に記載の発現方法。
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