JP6961925B2 - 酸化物スパッタリングターゲット - Google Patents
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Description
特許文献1には、酸化ガリウムが5〜40wt%ドーピングされているZnOからなるスパッタリングターゲットが開示されている。
特許文献2には、60〜87モル%のZnOと10〜25モル%のGa2O3とを含み、更にTiO2、SnO2から選ばれた少なくとも1種類の酸化物を含有したスパッタリングターゲットが開示されている。
特許文献3には、ZnOを主成分とし、Ti及びGaの両元素を含有し、両元素がTi1.1at%以上又はGa4.5at%以上の範囲で含有されているスパッタリングターゲットが開示されている。
また、Gaを10.0原子%以上20.0原子%以下の量にて含むので、導電性が高く、耐環境性に優れ、かつAg膜との密着性が高く、Ag膜と積層した場合に反射率が高い酸化物膜を成膜することができる。
さらに、Yを0.1原子%以上10.0原子%以下の量にて含むので、仕事関数が高い酸化物膜を成膜することができる。
この場合、耐環境性がより向上し、さらに導電性が向上した酸化物膜を成膜することができる。
本実施形態である酸化物スパッタリングターゲットは、例えば有機ELディスプレイの陽極として用いられる積層反射電極膜において基材となる透明酸化物膜を形成する際に使用されるものである。
本発明の第一の実施形態である酸化物スパッタリングターゲットは、ZnOを主成分とする酸化物からなる。この酸化物は、全金属成分量に対して、Gaを10.0原子%以上20.0原子%以下、Yを0.1原子%以上10.0原子%以下、SnまたはTiを少なくとも1種または2種の合計で0.5原子%以上10.0原子%以下の量にて含有し、残部がZn及び不可避不純物とされている。以下に、本実施形態である酸化物スパッタリングターゲットを構成する酸化物における金属成分元素の含有割合を上述のように規定した理由について説明する。
Gaは、適量添加することによってZnO(酸化亜鉛)のドーパントとして作用し、電気抵抗を低減させる効果を有する元素であることから、Gaを適量添加することにより、酸化物スパッタリングターゲットの導電性が向上し、また導電性の高い酸化物膜を成膜することが可能となる。また、Gaは、Ag膜に対する濡れ性を向上させる作用効果を有する元素であるから、Gaを添加することによって、Ag膜に対する密着力が高い酸化物膜を成膜することができる。よって、この酸化物膜とAg膜とを積層した積層反射膜は、反射率が高く、高温高湿環境下で使用した場合であっても、Ag膜への水分の侵入が抑制されるので、耐環境性が向上する。さらに、Gaは、耐アルカリ性を向上させる作用効果を有する元素であることから、Gaを添加することにより、エッチング処理の際に使用されるマスキング材を剥離するのに用いるアルカリ処理液に対して劣化が起こりにくい酸化物膜を成膜することができる。よって、この酸化物膜とAg膜とを積層した積層反射膜は、エッチング処理による加工性に優れたものとなる。
ここで、Gaの含有量が10.0原子%未満の場合は、成膜した酸化物膜の導電性が低下するおそれがある。また、成膜した酸化物膜は、Ag膜に対する密着力や耐アルカリ性が低くなるおそれがあり、この酸化物膜とAg膜とを積層した積層反射膜は、耐環境性や耐アルカリ性が低下するおそれがある。一方、Gaの含有量が20.0原子%を超える場合は、かえってターゲットの導電性が低下し、DCスパッタが困難となるおそれがある。また、成膜した酸化物膜の電気抵抗が高くなり、絶縁膜となるおそれがある。
このような理由から、本実施形態では、Gaの含有量を10.0原子%以上20.0原子%以下の範囲内に設定している。
Yは、酸化物膜の仕事関数を向上させる作用効果を有することから、Yを適量添加することにより、仕事関数の高い酸化物膜を成膜することが可能となる。また、Yは、ターゲットの密度を向上させる効果を有する元素であることから、Yを適量含む酸化物スパッタリングターゲットは密度が高くなる。
ここで、Yの含有量が0.1原子%未満の場合は、仕事関数の高い酸化物膜を成膜することが困難となるおそれがある。一方、Yの含有量が10.0原子%を超える場合は、成膜した酸化物膜の電気抵抗が高くなり、絶縁膜となるおそれがある。
このような理由から、本実施形態では、Yの含有量を0.1原子%以上10.0原子%以下の範囲内に設定している。
Sn及びTiは、酸化物膜の耐環境性や耐アルカリ性を向上させる作用効果を有することから、SnまたはTiを適量添加することにより、耐環境性や耐アルカリ性の高い酸化物膜を成膜することが可能となる。
ここで、SnまたはTiの含有量が0.5原子%未満の場合は、耐環境性や耐アルカリ性が向上した酸化物膜を成膜することが困難となるおそれがある。一方、SnまたはTiの含有量が10.0原子%を超える場合は、異常放電が発生し易くなるおそれがある。
このような理由から、本実施形態では、SnまたはTiの含有量を少なくとも1種または2種を合計で0.5原子%以上10.0原子%以下の範囲内に設定している。
本実施形態の酸化物スパッタリングターゲットは、ZnOを主成分とするので、過酸化水素水やリン酸、硝酸、酢酸の混合液など、エッチング液として一般に使用されている酸に対する溶解速度が高く、Ag膜との一括エッチングが可能な酸化物膜を成膜できる。
本実施形態の酸化物スパッタリングターゲットにおいて、全金属成分量に対するZnの含有量は60原子%以上である。
不可避不純物は原料由来あるいは製造の過程である程度混入することが避けられない元素であって、上記の発明効果に影響を及ぼさない元素を指す。本実施形態の酸化物スパッタリングターゲットにおいて、不可避不純物の含有量は、一般に合計で100質量ppm以下である。
次に、本実施形態である酸化物スパッタリングターゲットの製造方法について説明する。
原料粉末として、酸化ガリウム(Ga2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)の各粉末を用意する。原料粉末は、純度が99.9質量%以上であることが好ましい。
第二の実施形態である酸化物スパッタリングターゲットは、さらに、全金属成分量に対して、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、B、Al、In、Si、Ge、Pb、Biおよびランタノイド系列の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加元素を、合計で0.01原子%以上10.0原子%以下の量にて含有する。すなわち、第二の実施形態である酸化物スパッタリングターゲットは、全金属成分量に対して、Gaを10.0原子%以上20.0原子%以下、Yを0.1原子%以上10.0原子%以下、SnまたはTiの少なくとも1種または2種を合計で0.5原子%以上10.0原子%以下、そして上記の添加元素を合計で0.01原子%以上10.0原子%以下の量にて含有し、残部がZn及び不可避不純物とされている。本実施形態の酸化物スパッタリングターゲットにおいては、全金属成分量に対するZnの含有量は50原子%以上である。
ここで、上記添加元素の含有量が0.01原子%未満の場合は、耐環境性が向上した酸化物膜を成膜することが困難となるおそれがある。一方、上記添加元素の含有量が10.0原子%を超える場合は、成膜された酸化物膜の可視光の透過性が低下して、Ag膜との積層膜とした場合にその反射積層膜の可視光の反射率が低くなるおそれがある。
このような理由から、本実施形態では、上記添加元素の含有量を、合計で0.01原子%以上10.0原子%以下の範囲内に設定している。
例えば、本実施形態では、酸化物スパッタリングターゲットを、有機ELディスプレイの陽極として用いられる積層反射電極膜において基材となる透明酸化物膜を形成する際に使用されるものとして説明したが、タッチパネルの抵抗膜などのその他の用途に用いられる透明酸化物膜を製造する際に使用してもよい。
原料粉末として、酸化ガリウム(Ga2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化モリブテン(MoO2)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化ジルコニウム(ZrO2)の各粉末を用意した。
原料粉末は、全て純度が99.9質量%以上のものを用意した。用意した各原料粉末を、それぞれ表1に示す原子比率となるように秤量した。
本発明例及び比較例で製造した酸化物スパッタリングターゲットについて、組成、相対密度、異常放電試験、比抵抗を、下記の方法により測定した。その結果を表1に示す。
成形前の混合粉末の金属含有量をICP分析にて測定し、測定された金属元素の含有量を原子%に換算した。なお、上記の酸化物スパッタリングターゲットの製造条件においては、混合粉末の組成とその混合粉末を用いて製造したターゲットの組成とが一致することは予め確認した。
酸化物スパッタリングターゲットの実測密度を、ノギスにて測定した酸化物スパッタリングターゲットの寸法と電子天秤にて測定した重量とから算出した。次に、酸化物スパッタリングターゲットの理論密度を、酸化物スパッタリングターゲットに含まれている各酸化物の質量%含有率と密度から算出した。例えば、GaとYとTiを含む酸化物スパッタリングターゲットの場合は、Ga2O3の質量%含有率をC1、密度をρ1とし、Y2O3の質量%含有率をC2、密度をρ2とし、TiO2の質量%含有率をC3、密度をρ3とし、ZnOの質量%含有率をC4、密度をρ4とすると、理論密度は下記の式より算出できる。
理論密度=1/[C1/100ρ1+C2/100ρ2+C3/100ρ3+C4/100ρ4]
相対密度(%)=実測密度/理論密度×100
酸化物スパッタリングターゲットを、Cu製のバッキングプレートにはんだ付けし、DCマグネトロンスパッタ装置に装着した。次に、1×10−4Paまで排気した後、Arガス圧:0.3Pa、投入電力:DC500W、ターゲット−基板間距離:70mmの条件で、スパッタを行った。スパッタ時の異常放電回数はMKSインスツルメンツ社製DC電源(型番:RPDG−50A)のアークカウント機能により、放電開始から1時間の異常放電回数として計測した。
三菱化学製抵抗測定器ロレスタGPにより、四探針法を用いて酸化物スパッタリングターゲットの比抵抗を測定した。
本発明例及び比較例の酸化物スパッタリングターゲットを用いて、ガラス基板上に、500nmの厚さで酸化物膜を成膜した。酸化物膜は、DCマグネトロンスパッタ装置によって成膜した。スパッタの条件は、上記異常放電試験と同じ条件とした。
得られた酸化物膜について、透過率を下記の方法により測定した。その結果を表1に示す。
分光光度計(日立分光光度計U−4100)を用いて、酸化物膜の波長400−800nmの可視光領域の透過率を測定し、その平均値を算出した。
ガラス基板上に、酸化物膜10nm/Ag−Cu合金膜100nm/酸化物膜10nmの三層構造の積層反射膜を成膜した。酸化物膜は、本発明例及び比較例の酸化物スパッタリングターゲットを用い、DCマグネトロンスパッタ装置によって成膜した。Ag−Cu合金膜は、Ag−0.5at%Cu合金スパッタリングターゲットを用い、DCマグネトロンスパッタ装置によって成膜した。スパッタの条件は、上記異常放電試験と同じ条件とした。
得られた積層反射膜について、シート抵抗、反射率、仕事関数、耐環境性、エッチング性、耐アルカリ性を下記の方法により測定した。その結果を表1に示す。
三菱化学製抵抗測定器ロレスタGPにより、四探針法を用いて積層反射膜表面のシート抵抗を測定した。
分光光度計(日立分光光度計U−4100)で積層反射膜の反射率を測定した。青色波長付近の波長400−450nmの光の反射率の平均値を算出した。
理研計器製の大気中光電子分光装置AC−2にて、積層反射膜表面の仕事関数を測定した。仕事関数が高いほど、有機ELディスプレイの陽極として用いるのに好ましい。仕事関数と積層膜表面の抵抗値は比例関係にあるため、仕事関数が高すぎる積層膜は絶縁膜となっている可能性がある。
温度85℃、湿度85%の高温高湿環境中に100時間放置した。放置後の積層反射膜の反射率を上述の方法により測定した。そして、下記の式により高温高湿環境中の放置前後の反射率の変化率を算出して、耐環境性を評価した。反射率の変化率が小さいほど、耐環境性に優れることを意味する。
反射率の変化率=(放置後の反射率−放置前の反射率)/放置前の反射率×100
反射積層膜に対して、フォトリソグラフィーによりパターニングを施した後、エッチング液(燐硝酢酸:関東化学SEAシリーズ)でウェットエッチングを行って、配線幅30μmの櫛型パターンを形成した。得られた櫛型パターンをSEMにて観察し、Ag−Cu合金膜と酸化物膜の配線幅を測定した。そして、下記の式により、Ag−Cu合金膜と酸化物膜の配線幅の変動率を算出して、エッチング性を評価した。配線幅の変動率が小さいほど、エッチング液に対するAg−Cu合金膜と酸化物膜の溶解速度が近いことを意味する。
配線幅の変動率
=(Ag−Cu合金膜の配線幅−酸化物膜の配線幅)/Ag−Cu合金膜の配線幅×100
反射積層膜を、40℃の5%NaOH水溶液に10分浸漬した。NaOH水溶液浸漬前後の反射積層膜の膜厚を測定した。そして、下記の式より、膜厚の変化率を算出して、耐アルカリ性を評価した。膜厚の変化率が小さいほどアルカリに溶解しにくく、耐アルカリ性に優れることを意味する。
膜厚の変化率=(浸漬前の膜厚−浸漬後の膜厚)/(浸漬前の膜厚)×100
Gaの含有量が20.0原子%を超えた比較例2においては、DCスパッタによる成膜が不可であった。
Yの含有量が10.0原子%を超えた比較例4においては、DCスパッタによる成膜が不可であった。
SnまたはTiの少なくとも1種または2種の合計含有量が10.0原子%を超えた比較例6、8においては、スパッタ時の異常放電の発生数が多くなった。
添加元素(Zr)の合計含有量が10.0原子%を超えた比較例9においては、酸化物膜の単層膜したときの可視光領域の透過率が低下し、積層反射膜としたときの青色光の反反射率が低下した。
一般的に、有機ELディスプレイの陽極として用いられているITO10nm/Ag100nm/ITO10nmからなる積層反射膜は、波長400−450nmの短波長の光(青色光)の平均反射率が79〜80%程度となる。これに対し、本発明例1〜14では、青色光の反射率が2〜4%程高くなるため、有機ELディスプレイの青色発光材の寿命に対する効果が大きい。
Claims (2)
- ZnOを主成分とし、全金属成分量に対して、Gaを10.0原子%以上20.0原子%以下、Yを0.1原子%以上10.0原子%以下、Tiを0.5原子%以上10.0原子%以下の量にて含有し、相対密度が91.3%以上である酸化物からなることを特徴とする酸化物スパッタリングターゲット。
- さらに、全金属成分量に対して、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、B、Al、In、Si、Ge、Pb、Biおよびランタノイド系列の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加元素を、合計で0.01原子%以上10.0原子%以下の量にて含有することを特徴とする請求項1に記載の酸化物スパッタリングターゲット。
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