以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、一実施形態における電源システム120の機能ブロック及び負荷90を概略的に示す。電源システム120は、電源装置10と蓄電システム20とを備える。電源装置10は、蓄電システム20の入力端子12に接続される。蓄電システム20の出力端子14には負荷90が接続される。電源装置10は交流電源であってよい。負荷90は交流で動作する負荷であってよい。蓄電システム20は、無停電電源装置(UPS)において用いられてよい。また、蓄電システム20は、太陽光発電装置、風力発電装置、燃料電池装置等の発電装置において用いられてよい。実施形態において、二次電池は鉛蓄電池を用いてよい。
蓄電システム20は、コンバータ22と、インバータ24と、鉛蓄電池装置100とを有する。鉛蓄電池装置100は、制御装置30と、鉛蓄電池40と、充放電装置50と有する。制御装置30は、充放電制御部32と、検出部34と、取得部36と、判定部38とを有する。図1において、電源装置10、コンバータ22、インバータ24、鉛蓄電池40、充放電装置50及び負荷90の電気的接続は、単線図で示される。
充放電装置50の一端は、コンバータ22とインバータ24との間のノード16に電気的に接続される。充放電装置50の他端は鉛蓄電池40に電気的に接続される。
コンバータ22は、電源装置10から出力される交流電流を直流電流に変換する。コンバータ22により変換された直流電流は、インバータ24及び充放電装置50の少なくとも一方に出力され得る。
充放電装置50は、鉛蓄電池40の充放電を行う。具体的には、充放電装置50は、コンバータ22からの直流電流を、鉛蓄電池40の充電用の直流電流に変換して、鉛蓄電池40側に出力する充電回路を有する。鉛蓄電池40は、充放電装置50から出力される充電用の直流電流により充電される。また、充放電装置50は、鉛蓄電池40から出力される直流電流を、給電用の直流電流に変換して、ノード16側に出力する放電回路を有する。給電用の直流電流は、インバータ24に供給される。制御装置30は、充放電装置50を制御することにより、鉛蓄電池40の充放電を制御する。制御装置30は、鉛蓄電池40の充電制御装置として機能する。また、制御装置30は、鉛蓄電池40の放電制御装置として機能する。
インバータ24は、コンバータ22から出力される直流電流及び充放電装置50から出力される直流電流の少なくとも一方を、交流電流に変換して出力する。インバータ24から出力された交流電流は、負荷90に供給される。なお、負荷90が直流で動作する場合は、インバータ24を省略してよい。また、電源装置10が直流を供給する場合は、コンバータ22を省略してよい。
通常動作時において、電源システム120は、コンバータ22及びインバータ24を介して電源装置10の電力を負荷90に供給してよい。また、通常動作時において、制御装置30は、電源装置10からの電力で鉛蓄電池40を充電してよい。非通常動作時において、蓄電システム20は、鉛蓄電池40に蓄えられている電力を負荷90に供給してよい。
なお、蓄電システム20がUPSに用いられる場合、入力電源正常時には、電源装置10からコンバータ22及びインバータ24を介して負荷90に電力が供給される。これに対し、停電等の入力電源異常時には、鉛蓄電池40から充放電装置50及びインバータ24を経て負荷90に電力が供給される。入力電源異常時とは、例えば、電源装置10からの電力について、電圧及び周波数の少なくとも一方が定常状態及び過渡変動範囲を外れた場合、又は、ひずみ若しくは電力瞬断時間が予め定められた限界値を超えたときであってよい。なお、蓄電システム20がUPSに用いられる場合、電源装置10は商用交流電源であってよい。電源装置10は、商用交流電源以外の電源であってよい。なお、電源システム120は、蓄電システム20をバイパスして、入力端子12及び出力端子14を介さずに電源装置10の電力を負荷90に供給する直送回路を有してよい。
また、蓄電システム20が発電装置に用いられる場合、電源装置10は発電機であってよい。例えば、電源装置10は、太陽電池、風力発電機、燃料電池、内燃力発電機等の発電機であってよい。この場合、蓄電システム20は電源装置10の補助電源として機能してよい。電源装置10の出力が規定値の場合には、電源装置10からコンバータ22及びインバータ24を介して負荷90に電力が供給される。この場合、鉛蓄電池40は、電源装置10からの電力のうち負荷90によって消費されない余剰電力により充電されてよい。これに対し、電源装置10に異常が生じた場合等には、鉛蓄電池40から充放電装置50及びインバータ24を介して、負荷90に電力が供給される。また、電源装置10から負荷90に供給される電力が、負荷90が必要とする電力より小さい場合に、鉛蓄電池40から充放電装置50及びインバータ24を介して、負荷90に不足分の電力が供給されてよい。
鉛蓄電池40は、直列接続された電池セル42A、電池セル42B、電池セル42C、電池セル42D、電池セル42E、及び電池セル42Fを含む、複数の電池セルを有する。鉛蓄電池40が有する複数の電池セルを電池セル42と総称する場合がある。
電池セル42はそれぞれ、電極としての少なくとも1つの正極及び少なくとも1つの負極と、正極と負極との間に設けられたセパレータと、正極、負極及びセパレータが設けられた空間を満たす電解液とを有する。鉛蓄電池40は、直列接続された6つの電池セル42を有するユニットである。鉛蓄電池40において、電池セルとは、直列に接続された一対の正極及び負極を有する鉛蓄電池の最小単位を指す。なお、鉛蓄電池装置100は、複数の鉛蓄電池40を有してよい。鉛蓄電池装置100は、直列接続された2つ以上の鉛蓄電池40を有してよい。鉛蓄電池装置100は、並列接続された2つ以上の鉛蓄電池40を有してよい。
制御装置30は、充放電装置50を制御することにより、鉛蓄電池40を間欠充電する。制御装置30において、充放電制御部32は、鉛蓄電池40の充放電を制御する主体となる。充放電制御部32は、鉛蓄電池40の充電制御部として機能する。充放電制御部32は、鉛蓄電池40の放電制御部として機能する。具体的には、充放電制御部32は、パルス状の高電圧を鉛蓄電池40に印加する高電圧充電と、高電圧より低い低電圧を鉛蓄電池40に印加する低電圧充電とを交互に繰り返すことによって鉛蓄電池40を充電する。間欠とは、高電圧が印加されない期間が繰り返し存在することを意味する。
ここで、鉛蓄蓄電池の負極及び正極の劣化について説明する。鉛蓄電池においては、充電時に下記の半反応が進む。
(正極反応)PbSO4+2H2O → PbO2+4H++SO4 2−+2e−
(負極反応)PbSO4+2e− → Pb+SO4 2−
また、放電時には、充電時とは逆の下記の半反応が進む。
(正極反応)PbO2+4H++SO4 2−+2e− → PbSO4+2H2O
(負極反応)Pb+SO4 2− → PbSO4+2e−
鉛蓄電池においては放電により負極に形成された硫酸鉛により、サルフェーションが促進される場合がある。
電極に形成された硫酸鉛は、速やかに十分な充電を行えば分解されて電解液に戻り得る。しかし、硫酸鉛が付着した状態が継続すると、電極に形成された硫酸鉛が結晶化して硬質化する。硫酸鉛が硬質化すると、充電によっても上記の反応は実質的に起こらない。したがって、結晶化した硫酸鉛が電極を被うことで、電極の有効面積が減少する。これにより、各電極における反応が進みにくくなり、放電性能が低下し得る。また、結晶化した硫酸鉛の量が多くなるほど、電気エネルギーの蓄積を担う電解液中の鉛イオン及び硫酸イオンが減少する。そのため、結晶化した硫酸鉛が増えるほど、蓄電性能が低下し得る。場合によっては、鉛蓄電池の充電が困難になってしまう。このようにして、負極は、主として硫酸鉛により劣化し得る。
電解液は、蒸発及び透湿等によって鉛蓄電池の外部に失われる。これにより、電解液濃度が経時的に上昇し得る。また、鉛蓄電池の過充電等による水の電解反応によっても、電解液中の水が失われる場合がある。電解液中の水が失われることで、鉛蓄電池の充電率が規定値である場合における硫酸濃度が、経時的に上昇し得る。これにより、正極の電極格子の腐食が進む。このようにして、正極の劣化が進む。
電源システム120においては、充放電制御部32の制御により高電圧充電と低電圧充電とを交互に繰り返して鉛蓄電池40を充電する。低電圧充電期間が存在することで、電解液中の水が電解反応により二次電池から失われることを抑制できる。また、低電圧と高電圧とを切り替えて印加することで、負極に形成された硫酸鉛の分解を促進し得る。これにより、鉛蓄電池40の電極の劣化を抑制することができる。間欠充電の具体例及び電極の劣化抑制については、後述する。
鉛蓄電池40が有する電池セル42には、個体差等により、充電特性や自己放電特性に違いがある。電池セル42は直列接続されているため、鉛蓄電池40の充電時には、直列接続された電池セル42の全体に電圧が印加される。そのため、鉛蓄電池40の一部の電池セル42が充電不足となる場合がある。したがって、鉛蓄電池40の運転期間が長くなると、鉛蓄電池40の一部の電池セル42が充電不足の状態にある期間が長くなる場合がある。一部の電池セル42が充電不足の状態が続くと、当該電池セル電池セル42のサルフェーション劣化が進行する。そのため、一部の電池セル42のサルフェーション劣化が進行する前に、電池セル42の充電状態を均等化することが望まれる。電池セル42のセル電圧は、電池セル42の充電状態や劣化状態等、電池セル42の内部状態を表す指標の一つである。したがって、電池セル42のセル電圧にばらつきがある場合、電池セル42の内部状態にばらつきがあると判断することができる。
電池セル42のセル電圧にばらつきに関する制御について説明する。取得部36は、電池セル42のそれぞれのセル電圧を検出する。セル電圧とは、電池セル42がそれぞれ有する一対の正極−負極間の電圧である。取得部36は、低電圧充電中の電池セル42のそれぞれのセル電圧を取得する。
検出部34は、取得部36により取得されたセル電圧に基づいて、電池セル42のばらつきを検出する。例えば、検出部34は、電池セル42のうちのいずれかの電池セル42のセル電圧と複数の電池セル42のセル電圧の平均値との差の絶対値が予め定められた閾値を超える場合に、セル電圧にばらつきがあると判断してよい。例えば、予め定められた閾値は、1つの電池セルあたり20mVであってよい。また、検出部34は、電池セル42のそれぞれのセル電圧の最大値と最小値との差が予め定められた値を超える場合に、セル電圧にばらつきがあると判断してよい。
上述したように、充放電制御部32は、パルス状の高電圧を鉛蓄電池40に印加する高電圧充電と、高電圧より低い低電圧を鉛蓄電池40に印加する低電圧充電とを交互に繰り返すことによって鉛蓄電池40を充電する。ここで、充放電制御部32は、鉛蓄電池40が有する複数の電池セルのセル電圧のばらつきが予め定められた値より大きい場合に、鉛蓄電池40の充電電圧が高電圧より高い切換電圧に達するまでの間、第1の充電電流で鉛蓄電池40を充電し、充電電圧が切換電圧に達した場合に、鉛蓄電池40の充電電流を第1の充電電流より小さい第2の充電電流に切り換えて、鉛蓄電池40の充電電圧が高電圧より高い切換電圧に達するまで鉛蓄電池40を充電する。
なお、本実施形態の説明において、第1の充電電流及び第2の充電電流を含む複数の充電電流で鉛蓄電池40を段階的に充電する方式のことを、多段電流充電と呼ぶ場合がある。充放電制御部32の制御によれば、高電圧より高い電圧を切換電圧に設定した多段電流充電を行うことで、充電不足の電池セルを十分に充電しつつ、多段電流充電を行う期間の平均充電電圧を下げることができる。そのため、十分充電されている電池セルが過充電となることを抑制することができる。
第1の充電電流及び第2の充電電流は定電流であってよい。
充放電制御部32は、充電電圧が切換電圧に到達する毎に、鉛蓄電池40の充電電流が順次小さくなるように、鉛蓄電池40の充電電流を2回以上切り換えてよい。このように、3段階以上の電流値による多段電流充電を行ってよい。
充放電制御部32は、第1の切換電圧に達するまでの間、第1の充電電流で鉛蓄電池40を充電し、第1の充電電流より小さい充電電流で鉛蓄電池40を充電する場合に、切換電圧を第1の切換電圧より低く設定する。例えば、第1の充電電流の充電を終了した後に行われる少なくともいずれかの定電流充電の充電電流を、第1の充電電流より小さい値に設定してよい。
充放電制御部32は、低電圧充電を行う期間に検出された複数の電池セルのセル電圧に基づいて、セル電圧のばらつきが予め定められた値より大きいと判断した場合に、高電圧充電を行う期間において、第1の充電電流による充電と第2の充電電流による充電とを行ってよい。充放電制御部32は、第1の充電電流による充電及び第2の充電電流による充電を行った後、低電圧充電と高電圧充電とを繰り返すことによって鉛蓄電池40を充電してよい。このように、充放電制御部32は、間欠充電を行っている場合に、セル電圧のばらつきが検出されると、高電圧充電を行うタイミングにおいて、高電圧充電に代えて多段電流充電を行った後、低電圧充電に移行してよい。
充放電制御部32は、第1の充電電流による充電及び第2の充電電流による充電が行われた後、充電電圧を高電圧に設定して鉛蓄電池40を予め定められた時間充電する。判定部38は、充電電圧を高電圧に設定して予め定められた時間が経過した場合に測定された鉛蓄電池40の内部抵抗に基づいて、鉛蓄電池40の劣化を判定する。多段電流充電によって電池セル42のセル電圧を均等化した後に鉛蓄電池40の内部抵抗を測定するので、より高い精度で鉛蓄電池40の劣化を判定することができる。
図2は、鉛蓄電池40に印加する充電電圧のタイミングチャートを模式的に示す。図2のタイミングチャートの横軸は時刻を示す。図2のタイミングチャートの縦軸は鉛蓄電池40の端子間に印加する電圧を示す。図2のタイミングチャートに示されるように、充放電制御部32は、間欠充電によって鉛蓄電池40を充電する。
THは、鉛蓄電池40の端子間に高電圧VHを印加する高電圧充電期間の時間長さを示す。TLは、鉛蓄電池40の端子間に低電圧VLを印加する高電圧充電期間の時間長さを示す。VHは、高電圧の電圧値の規定値を示す。VHは、高電圧充電を行う期間における最大電圧値を示してよい。VLは、低電圧の電圧値の規定値を示す。VLは、低電圧充電を行う期間における最小電圧値を示してよい。
横軸において、ts1は、低電圧を印加している状態から高電圧の印加を開始する時刻の1つを示す。te1は、ts1から始まる高電圧の印加を終了して、低電圧の印加を開始する時刻を示す。よって、TH=te1−ts1である。充放電制御部32は、ts1において、鉛蓄電池40に印加する電圧を低電圧から高電圧に切り替え、te1において、鉛蓄電池40に印加する電圧を高電圧から低電圧に切り替える。ts2は、低電圧の印加を終了して、高電圧の印加を開始する時刻を示す。充放電制御部32は、ts2において、鉛蓄電池40に印加する電圧を低電圧から高電圧に切り替え、te2において、鉛蓄電池40に印加する電圧を高電圧から低電圧に切り替える。同様に、充放電制御部32は、ts3において、鉛蓄電池40に印加する電圧を低電圧から高電圧に切り替え、te3において、鉛蓄電池40に印加する電圧を高電圧から低電圧に切り替える。また、充放電制御部32は、ts4において、鉛蓄電池40に印加する電圧を低電圧から高電圧に切り替え、te4において、鉛蓄電池40に印加する電圧を高電圧から低電圧に切り替える。
充放電制御部32は、充放電装置50を制御して、鉛蓄電池40に高電圧を印加するTHと鉛蓄電池40に低電圧を印加するTLとを有する1周期Tを1回以上繰り返すことにより、鉛蓄電池40を間欠充電する。なお、VH、VL、TH及びTLは、鉛蓄電池40の充電条件の一例である。
図2に示すパルス状の高電圧は、予め定められたピーク電圧値VHを有する矩形波形状を有する。なお、パルス状の高電圧とは、短時間で急峻に電圧値が上昇する電圧波形を意味してよい。パルス状の高電圧は、矩形波以外に、例えば、正弦波、三角波又は鋸波におけるピークを含む部分期間の波形形状を有してよい。
ここで、VH、VL、TH及びTLがどの程度の値であるかを例示するとともに、間欠充電により得られる効果を説明することを目的として、VH、VL、TH及びTLの具体的な数値等を例示する。
THは、例えば60秒である。TLは例えば3600秒である。間欠充電によれば、高電圧をパルス状に印加するので、THを短くすることができる。THが短いほど、電解液中の水が電解反応により二次電池から失われることを抑制できる。また、パルス状の高電圧を印加することで、負極に発生した硫酸鉛が分解され易くなる場合がある。また、THを短くすることで、鉛蓄電池40の正極の劣化を抑制し得る。例えば、正極の電極格子上に形成される酸化鉛に起因する体積膨張や抵抗増加を抑制し得る。
VHは、電池メーカーが指定する仕様値であってよい。VHは13.38Vであってよい。この場合、THの期間内に、1つの電池セル当たり2.23V(=13.38V/6)の高電圧が印加され得る。VHは13.65Vであってよい。この場合、THの期間内に、1つの電池セル当たり2.275V(=13.65V/6)の高電圧が印加され得る。なお、鉛蓄電池40の仕様に応じて、VHの値を変更してもよい。
VLは、例えば12.6Vである。この場合、TLの期間内に、1つの電池セルあたり2.1Vの電圧が印加される。なお、VLは、0Vよりも高くてよい。VLは、鉛蓄電池40の完全放電時の起電力以上であってもよい。例えば、1つの電池セルの完全放電時の起電力が1.95Vである場合、VLは11.7V以上であってよい。
鉛蓄電池への印加電圧が極端に低いと、自己放電が進んで、負極で硫酸鉛の形成及び結晶化が進み易い。例えば、充電電圧が0Vの場合、負極で硫酸鉛の結晶化が進み易くなる。これに対し、蓄電システム20においては、VLを0Vよりも高くすることで、硫酸鉛の結晶化の進行を抑制し得る。また、VLを完全放電時の起電力以上とすることによっても、硫酸鉛の結晶化の進行を抑制し得る。このように、充放電制御部32は、低電圧充電期間において、鉛蓄電池40の負極の劣化を抑制し得る電圧値を、鉛蓄電池40に印加する。
なお、VLは、鉛蓄電池40における理論起電力の74%以上であってもよい。例えば、1つの電池セルの理論起電力が2.04Vである場合に、VLは9.06V以上であってよい。VLは、鉛蓄電池40における理論起電力の93%以上であってもよい。例えば、1つの電池セルの理論起電力が2.04Vである場合に、VLは11.4V以上であってよい。VLが理論起電力の74%以上又は93%以上である場合とは、低電圧充電期間における瞬間最低値が理論起電力の74%以上又は93%以上であることを意味してよい。VLが理論起電力の74%以上又は93%以上である場合、サルフェーションの抑制に一定の効果があり得る。
また、VLは、鉛蓄電池40の完全充電時の起電力以下であってよい。1つの電池セルの完全充電時の起電力が2.1Vである場合に、VLは12.6V以下であってよい。
また、VLは、鉛蓄電池40における理論起電力の電圧値の121%以下であってよい。1つの電池セルの理論起電力が2.04Vである場合に、VLは14.8V以下であってもよい。
なお、TLは、THよりも長くてよい。また、THが60秒であり、TLが240秒以上であってよい。また、THが60秒であり、TLが30分以上であってよい。THが60秒であり、TLが1時間以上であってよい。THが60秒であり、TLが2時間以上であってよい。このように、TLとTHとの比は、4≦TL/TH、30≦TL/TH、60≦TL/TH、又は120≦TL/THであってよい。
また、THが60秒であり、TLが5時間以下であってよい。THが60秒であり、TLが3時間以下であってよい。このように、TLとTHとの比は、TL/TH≦180又はTL/TH≦300としてよい。特に、鉛蓄電池において、TLが3時間以上5時間以下の間において、負極の劣化の進行が早まる場合があることが、本願の発明者らによる実験において確認されている。したがって、TLを5時間以下、より好ましくは3時間以下とすることは、鉛蓄電池の劣化抑制に有効といえる。
図3は、均等化充電を行う場合の充電電圧と充電電流の波形を模式的に示す。図4において、横軸は時刻を示し、縦軸は鉛蓄電池40に印加する充電電圧又は充電電流を示す。
取得部36は、低電圧充電期間が終了する前に電池セル42のセル電圧を取得する。例えば、取得部36は、低電圧充電期間が終了する時刻t1の前より予め定められた時間だけ前の時刻t0において、電池セル42のセル電圧を取得する。充放電制御部32は、検出部34によってセル電圧のばらつきが検出されると、時刻t1から通常の高電圧充電に代えて、多段電流充電を開始する。
本図において、VHは13.38Vであり、VLは12.6Vである。また、多段電流充電の切換電圧Vsは、15.72V(1つの電池セル当たり2.62V)である。なお、鉛蓄電池40の定格充電電圧は13.38Vであるとする。切換電圧は、鉛蓄電池40の定格充電電圧に対して約15%だけ高い値に設定されてよい。
多段電流充電における充電電流として、第1の充電電流I1、第2の充電電流I2、第3の充電電流I3、及び第4の充電電流I4が設定されている。I1>I2>I3>I4である。一例として、I1は1Cレートの充電電流であり、I2は0.5Cレートの充電電流であり、I3は0.2Cレートの充電電流であり、I4は0.05Cレートの充電電流である。
充放電制御部32は、時刻t1から、充電電流がI1に一致するように、鉛蓄電池40の充電電圧を制御する。時刻t2において、鉛蓄電池40の充電電圧が切換電圧Vsに達すると、充放電制御部32は、充電電流をI2に切り換えて、充電電流がI2に一致するように、鉛蓄電池40の充電電圧を制御する。時刻t3において、鉛蓄電池40の充電電圧が切換電圧Vsに達すると、充放電制御部32は、充電電流をI3に切り換える。時刻t4において、鉛蓄電池40の充電電圧が切換電圧Vsに達すると、充放電制御部32は、充電電流をI4に切り換える。そして、時刻t5において、鉛蓄電池40の充電電圧が切換電圧Vsに達すると、充放電制御部32は、低電圧充電に切り換える。
このように、充放電制御部32によれば、低電圧充電が終了する場合に電池セル42のセル電圧を測定して、セル電圧のばらつきが検出された場合に、高電圧充電を行うタイミングから多段電流充電を行い、多段電流充電が終了すると、低電圧充電に移行する。なお、多段電流充電の次の低電圧充電の終了時に、電池セル42のセル電圧のばらつきを再び測定し、セル電圧のばらつきが解消されていないと判断した場合は、再び多段電流電圧を行ってよい。このように、セル電圧のばらつきが完了するまで、多段電流電圧を繰り返し行ってよい。また、セル電圧のばらつきが解消されていないと判断した場合、充放電制御部32は、多段電流電圧の電流値条件として、図4に示す4個より多い数の電流値条件を設定して、再び多段電流電圧を行ってよい。
多段電流充電の切換電圧には、間欠充電のVHより高い電圧を適用する。VHより高い切換電圧を適用することで、充電不足の電池セル42を十分に充電することが可能になる。一方、充電不足でない電池セル42においては、水の電解反応が発生し、電解反応過電圧によりセル電圧の上昇が抑えられる。このため、充電不足でない電池セル42の過充電劣化を抑制しつつ、鉛蓄電池40内の電池セル42の充電不足を解消することができる。
ここで、電池セル42のセル電圧を均等化するために、高い充電電圧を単に適用するのではなく、VHより高い切換電圧に到達する毎に充電電流を減少させていく。これにより、図3の充電電圧波形から分かるように、セル電圧の均等化に必要な高電圧が印加されている期間を短くしつつ、比較的に低い電圧で充電される期間を挟むことができる。これにより、均等化のための充電期間中の平均電圧を下げることができる。したがって、例えばトリクル充電の設定電圧を高めることで均等化充電を行う場合に比べて、充電不足でない電池セル42の過充電劣化を抑制しつつ、一部の電池セル42の充電不足を解消することができる。
なお、図3に示す多段電流充電では、切換電圧Vsを一定の電圧とした。切換電圧Vsは一定でなくてよい。例えば、iを1から3の整数として、第iの充電電流から第(i+1)の充電電流に切り換えるための切換電圧VsをVsiとすると、Vs4は、Vs1より小さくてよい。Vs2はVs1より小さい又は同じであり、Vs3はVs2より小さい又は同じであり、Vs4はVs3より小さい又は同じであってよい。切換電圧Vsは、定格充電電圧より高く、定格充電電圧より20%だけ高い電圧以下であってよい。
また、図3に示す多段電流充電では、充電電流I1〜I4は実質的に固定値である。すなわち、図3に示す多段電流充電は、多段定電流充電である。しかし、充電電流は時間的に一定でなくてよく、実質的な時間的変化を有してよい。充電電流が実質的な時間的変化を有する場合、I2の最大値はI1の最小値より小さく、I3の最大値はI2の最小値より小さく、I4の最大値はI3の最小値より小さくてよい。
多段電流充電における充電電流値は、1C〜0.01Cの範囲内であってよい。また、図3に示す多段電流充電では、充電電流として4個の電流値条件が設定されている。しかし、2個以上の任意の個数の電流値条件を設定してよい。例えば、多段電流充電において、2〜10個の電流値条件を設定してよい。
図4は、均等化充電を行った後に鉛蓄電池40の内部抵抗を測定する場合の電圧波形を模式的に示す。図4において、横軸は時刻を示し、縦軸は鉛蓄電池40に印加する充電電圧を示す。図4の時刻t5までの電圧波形は、図3と同一であるので、説明を省略する。
時刻t5において鉛蓄電池40の充電電圧が切換電圧Vsに達すると、充放電制御部32は、充電電圧を定格充電電圧である13.38Vにし、予め定められた時間だけ充電電圧を定格充電電圧に維持し、時刻t6において鉛蓄電池40の内部抵抗を測定する。
例えば、充電電圧を12時間だけ定格充電電圧に維持した後、直流電圧印加方式にて鉛蓄電池40の内部抵抗を測定する。例えば、制御装置30において、充放電制御部32は、時刻t6から時刻t7まで、0.2Cレート放電を50秒行う。取得部36は、2Cレート放電の放電電流ΔIと、2Cレート放電を50秒行った場合の電圧低下量ΔVとを取得する。判定部38は、ΔV/ΔIにより、鉛蓄電池40の内部抵抗を算出する。そして、充放電制御部32は、時刻t7において充電電圧をVLに設定して、低電圧充電を開始する。
判定部38は、算出した鉛蓄電池40の内部抵抗が予め定められた基準値未満の場合に、鉛蓄電池40が劣化していないと判定する。判定部38は、鉛蓄電池40の内部抵抗が予め定められた基準値以上の場合に、鉛蓄電池40が劣化していると判定してよい。これにより、多段電流充電によって電池セル42のセル電圧が均等化された状態で鉛蓄電池40の内部抵抗を測定することができるので、内部抵抗が上昇している電池セル42又は劣化が進行している電池セル42の存在を検出することができる。したがって、内部抵抗により劣化診断をより高い精度で実施することができる。
図5は、制御装置30による鉛蓄電池40による充電に関する制御方法を示すフローチャートである。制御装置30は、この制御方法における各段階の動作を制御する主体であってよい。これを実現するべく、制御装置30は、CPU又はASIC等の処理装置及びメモリ等を有してよい。なお、図5のフローチャートは、蓄電システム20における制御方法の一例を示すに過ぎない。図5のフローチャートの各段階を適宜組み換えてよく、図5のフローチャートの一部の段階を省略してもよく、図5のフローチャートに他の段階を追加してもよい。
本フローチャートのS502において、充放電制御部32は、電源装置10の電力を利用して、鉛蓄電池40の充電率が規定の充電率に達するまで鉛蓄電池40を充電する。充放電制御部32は、定電流充電によって、鉛蓄電池40の充電率が規定の充電率に達するまで充電してよい。規定の充電率は、鉛蓄電池40毎に定められてよい。例えば、規定の充電率は、完全充電状態の80%以上100%以下の範囲内の値であってよい。完全充電状態とは、鉛蓄電池40が満充電状態と判断される状態であってよい。完全充電状態とは、所定の充電条件で鉛蓄電池40の定格容量に達するまで鉛蓄電池40を充電した状態であってよい。
S504において、充放電制御部32は、充電電圧をVHに設定して、高電圧充電を開始する。高電圧充電を開始してから予め定められた時間が経過すると、S506において、充放電制御部32は、充電電圧をVLに設定して、低電圧充電を開始する。S508において、取得部36は、各電池セル42のセル電圧の測定値を取得する。
S510において、検出部34は、S510で取得したセル電圧にばらつきがあるか否かを判断する。例えば、検出部34は、各セル電圧の平均値との差分が1つの電池セルあたり20mVを超える電池セルが存在する場合に、セル電圧にばらつきがあると判断する。セル電圧にばらつきがない場合、S504に処理を移行する。
セル電圧にばらつきがある場合、S520において、充放電制御部32は、電流値条件を第1の充電電流に設定して、定電流充電を開始する。S522において、充放電制御部32は、充電電圧が切換電圧Vsに達したか否かを判断する。充電電圧が切換電圧Vsに達していない場合は、充電電圧が切換電圧Vsに達するまで、設定された電流値条件の定電流充電を維持する。充電電圧が切換電圧Vsに達した場合、S524において、充放電制御部32は、充電条件の切り替えを規定回数行ったか否かを判断する。充電条件の切り替えを規定回数行っていない場合、充放電制御部32は、S526において、定電流充電の電流値条件を1段階小さい電流値に切り換えて定電流充電を開始し、S522に処理を移行する。
S524において、充電条件の切り替えを規定回数行った場合、S530において、鉛蓄電池40の内部抵抗を測定する。具体的には、充放電制御部32が充電電圧を定格充電電圧に設定し、予め定められた時間が経過したタイミングで取得部36が鉛蓄電池40の内部抵抗を取得する。S532において、判定部38は、取得部36が取得した内部抵抗に基づいて、鉛蓄電池40の劣化が大きいか否かを判定する。例えば、判定部38は、内部抵抗が予め定められた基準値を超える場合に、鉛蓄電池40の劣化が大きいと判定する。鉛蓄電池40の劣化が小さいと判定した場合、S506に処理を移行する。劣化が大きいと判定した場合、S534において、制御装置30は鉛蓄電池40が劣化した旨を外部に通知して、本フローチャートの処理を終了する。
以上に説明したように、制御装置30によれば、高電圧VHより高い電圧を切換電圧に設定した多段電流充電を行うことで、セル電圧を均等化するための充電期間における平均充電電圧を下げることができる。そのため、十分充電されている電池セルが過充電となることを抑制しつつ、充電不足の電池セルを十分に充電することができる。
なお、本実施形態では、主として、6個の電池セルが直列接続された鉛蓄電池40を取り上げて説明した。しかし、直列接続される電池セルは6個に限られない。直列接続される電池セルは12個や30個等であってよい。直列接続された電池セルの数は、1つの鉛蓄電池に要求される電圧を確保するべく、任意に設計されてよい。
本実施形態で説明した鉛蓄電池40は、二次電池の一例である。電源システム120において、鉛蓄電池に代えて、鉛蓄電池以外の二次電池を適用してもよい。
制御装置30は、コンピュータにより実現されてよい。コンピュータがプログラムを実行することにより、プログラムは、コンピュータが有するプロセッサおよびメモリ等の各部を制御して、制御装置30として機能させてよい。当該プログラムは、コンピュータを、充放電制御部32、検出部34、取得部36、及び判定部38として機能させ、図5等に関連して説明した制御方法を実現してよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。