実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による電気事業損益分析システムのブロック図である。電気事業損益分析システムは、電気事業による将来の損益リスクを定量化するために、データ設定10で設定されたデータを用いて、シナリオ生成部12において不確定要因に関するシナリオを多数生成し、発電計画部13にて各ケースにおける発電計画、損益等を計算する。この際、全てのケースについて発電計画部13で損益を算出すると発電計画部13の処理に計算時間がかかるため、不確定要因の数、損益リスクの計算期間によっては実運用上耐えられないことになる。
このため本実施の形態1では、モデル作成部14及び省略計算部15の機能によって、各ケースにおける損益を発電計画部13と比較して高速に求める。全てのケースに対する損益を計算し終えると、リスク量計算部16にて損益計算結果を集計し、結果を結果表示部17で表示する。データ格納部11は、データ設定部10からデータを受け取り、シナリオ生成部12、発電計画部13、モデル作成部14、省略計算部15、及びリスク量計算部16との間ではデータの入出力をし、結果表示部17に計算結果を出力する。
図2は一般的なハード装置の構成を示す。コンピュータ1は、CPU2、主記憶装置3、補助記憶装置4及び外部記憶装置5から構成されている。外部記憶装置5はネットワーク6を介して接続されていてもよい。出力装置7はコンピュータ1からの出力結果を表示し、入力装置8はコンピュータ1へ情報を入力する。
本発明の実施の形態1において、図1に示すデータ設定部10は、例えば、図2に示す入力装置8、主記憶装置3、補助記憶装置4、ネットワーク6、外部記憶装置5のいずれか、あるいは複数を組み合わせて実現される。データ設定部10は、例えば、損益リスク計算に関するデータを入力または取得し、データ格納部11である記憶装置(例えば、主記憶装置3、補助記憶装置4、外部記憶装置5の少なくともいずれか)に保存する。損益リスク計算に関するデータは、例えば、シナリオ生成部12における演算の際に参照する実績データ、実績データの参照期間、生成するケース数、損益リスクの計算期間、発電計画部13における発電機の燃料費関数及び運転制約、モデル作成部14におけるモデル生成に利用するケース数等である。
データ格納部11は、例えば、図2に示す主記憶装置3、補助記憶装置4、ネットワーク6、外部記憶装置5の少なくともいずれかで実現され、データ設定部10、シナリオ生成部12、発電計画部13、モデル作成部14、省略計算部15、リスク量計算部16の計算結果を格納する。
シナリオ生成部12は、コンピュータ1の内部演算処理としてCPU2を用いて実現できる。シナリオ生成部12は、例えば、プログラムとして図2に示す主記憶装置3上に展開したものをCPU2上で実行するものである。CPU2は、データ格納部11である主記憶装置3上のデータを読み込み、シナリオ生成部12の処理を行い、その結果得られた不確定要因に関するシナリオを主記憶装置3、補助記憶装置4、外部記憶装置5の少なくともいずれかに保存する。また、シナリオをディスプレイ等の出力装置7に表示し運用者に示してもよい。不確定要因に関するシナリオは、例えば、損益リスクの計算期間の長さを持つ為替の値動き、電力需要等である。
発電計画部13は、コンピュータ1の内部演算処理としてCPU2を用いて実現できる。発電計画部13は、例えば、プログラムとして図2に示す主記憶装置3上に展開したものをCPU2上で実行するものである。CPU2は、主記憶装置3上のデータを読み込み、発電計画部13の処理を行い、その結果得られた発電計画結果を主記憶装置3、補助記憶装置4、外部記憶装置5の少なくともいずれかに保存する。また、発電計画結果をディスプレイ等の出力装置7に表示し運用者に示してもよい。発電計画結果は、例えば、損益リスクの計算期間の長さを持つ発電機の起動停止計画、発電機出力等である。
モデル作成部14は、コンピュータ1の内部演算処理としてCPU2を用いて実現できる。モデル作成部14は、例えば、プログラムとして図2に示す主記憶装置3上に展開したものをCPU2上で実行するものである。CPU2は、主記憶装置3上のデータを読み込み、モデル作成部14の処理を行い、その結果得られたモデルを主記憶装置3、補助記憶装置4、外部記憶装置5の少なくともいずれかに保存する。また、モデルをディスプレイ等の出力装置7に表示し運用者に示してもよい。モデルは、例えば、不確定要因を説明変数、損益を被説明変数とした線形回帰モデル等である。
省略計算部15は、コンピュータ1の内部演算処理としてCPU2を用いて実現できる。省略計算部15は、例えば、プログラムとして図2に示す主記憶装置3上に展開したものをCPU2上で実行するものである。CPU2は、主記憶装置3上のデータを読み込み、省略計算部15の処理を行い、その結果得られたシナリオに対する損益の計算結果を主記憶装置3、補助記憶装置4、外部記憶装置5の少なくともいずれかに保存する。また、シナリオに対する損益の計算結果をディスプレイ等の出力装置7に表示し運用者に示してもよい。
リスク量計算部16は、コンピュータ1の内部演算処理としてCPU2を用いて実現できる。リスク量計算部16は、例えば、プログラムとして図2に示す主記憶装置3上に展開したものをCPU2上で実行するものである。CPU2は、主記憶装置3上のデータを読み込み、リスク量計算部16の処理を行い、その結果得られたリスク量を主記憶装置3、補助記憶装置4、外部記憶装置5の少なくともいずれかに保存する。また、リスク量をディスプレイ等の出力装置7に表示し運用者に示してもよい。リスク量としては、例えば、損益の平均及び分散、ある信頼水準における最大損失を表すVaR等である。
結果表示部17は、主記憶装置3、補助記憶装置4、外部記憶装置5の少なくともいずれかに保存された発電計画部13、モデル作成部14、省略計算部15、リスク量計算部16の少なくともいずれかの演算結果を表示する。
図3は本実施の形態1に係る電気事業損益分析システムの動作を示すフローチャートである。以下、図3を用いて動作について説明する。
まず、データ設定部10において損益リスク計算に関するデータを設定する(ステップS100)。損益リスク計算に関するデータは、例えば、シナリオ生成部12における演算の際に参照する実績データ(為替、燃料価格、需要等)、実績データの参照期間R([日]、[月]、[年]等)、生成するケース数N[個]、損益リスクの計算期間T([日]、[月]、[年]等)、発電計画部13における発電機の燃料費関数、運転制約(最小停止時間、最小起動時間等)、小売単価[円/kWh]、モデル作成部14におけるモデル生成に利用するケース数M[個]である。これら損益リスク計算に関するパラメータはデータ格納部11に格納される。
次に、シナリオ生成部12において不確定要因に関するモデルパラメータを推定する(ステップS101)。シナリオを生成するための数理モデルは様々な種類があるが、例えば、為替を表すモデルとしてGBM(Geometric Brownian Motion)モデルを利用すると、式(1)のように表せる。
ここで、μ:平均対数変化率、σ:ボラティリティ、dz:標準正規乱数(平均0、分散1)であり、また、P:為替として、xはx=lnPの変数変換を実施している。
ステップS101のモデルパラメータの推定では、データ設定部10にて設定した実績データを実績データ参照期間Rだけ参照し、平均対数変化率μ及びボラティリティσについて統計的な解析を実施することで値を求める。なお、ここでは為替のモデルとしてGBMモデルを例示したが、本発明における不確定要因に関するシナリオを生成するためのモデルは、このモデルでなくてもよい。また、モデルパラメータについては統計的な解析により求めてもよく、ユーザの入力によって設定されてもよい。
ステップS102では、引き続きシナリオ生成部12において、ステップS101で求めた不確定要因に関するモデルに基づいて、シナリオ及びケースを生成する。ここで、シナリオとは、不確定要因を複数種類(例えば、燃料価格と為替)について考える場合に、一つの不確定要因における将来予測される値の変化のことである。また、ケースとは、不確定要因の種類毎にシナリオを集めたもののことである。例えば、1つのケースは1つの為替シナリオと1つの燃料価格シナリオから構成されることになる。
例えば、為替に関するシナリオを式(1)のGBMモデルを利用して生成する場合は、初期値x0及び標準正規乱数dzを生成することで、x1を求める作業を損益リスクの計算期間Tにわたって実施する。ここで、生成するケース数Nだけ繰り返すことで、為替に関してTの長さを持つシナリオをN本得ることになる。
図4にT=365、N=5として生成した為替及び燃料価格シナリオと、これらをケースとして整理した例を示す。図4の左側上段に為替シナリオ(縦軸は為替[円/ドル]、横軸は所定間隔による時間軸であり、ここでは日)、左側下段に燃料価格シナリオ(縦軸は燃料価格[ドル/バレル]、横軸は所定間隔による時間軸であり、ここでは日)を各5本示しており、右側のグラフ(縦軸は損益リスク、横軸は所定間隔による時間軸であり、ここでは日)には、それぞれ1本ずつ抽出し5個のケース(上段にケース1と下段にケース5を示して他を省略)として整理している。なお、所定間隔による時間軸とは、例えば、30分単位でプロットされることもあれば、一日単位でプロットされることもある。
シナリオ生成部12は、不確定要因に関して損益分析期間以上の長さを持つ値を生成することになる。なお、これら不確定要因に関するケースはデータ格納部11に格納される。
ステップS103及びS104では、ケース毎に発電機の起動停止計画及び起動発電機の出力を決定する。想定する発電機台数及び損益リスクの計算期間Tの長さによっては、ステップS103及びS104の計算時間が実用上問題となる。このため、本実施の形態1ではステップS103及びS104を生成ケース数N回より少ないM回だけ実施することで、この問題を回避する。
ステップS103では、発電計画部13において、ケース毎に損益リスクの計算期間Tにおける発電機の起動停止計画を決定する。起動停止計画は、発電機の運転制約(最小停止時間、最小起動時間、出力変化速度制約、出力上下限制約等)、燃料消費制約等を守りながら決定する。
本来、発電機の機器に関する制約は全てのケースで同一である。ところが、不確定要因として需要及び燃料価格を考えた場合には、起動すべき発電機の総台数及び発電機種別が変化するため、各ケースについて起動停止計画及び発電機出力の決定が必要となる。決定方法としては、例えば、数理計画法の一つである動的計画法の利用が考えられる。これら起動停止計画はデータ格納部11に格納される。
ステップS104では、引き続き発電計画部13において、ケース毎にステップS103で決定した起動停止計画に基づいて、起動している発電機の出力を決定する。この出力決定は評価関数が最小または最大となるように決定され、評価関数としては、例えば、発電コストが挙げられる。また、出力決定方法としては、例えば、等λ法の利用が考えられる。
発電機出力の決定後は、出力と燃料費関数から期間Tにわたる発電コストを算出する。また、需要と小売単価より期間Tにわたる小売収入も算出する。これらより電気事業による損益を小売収入と発電コストとの差分と定義して算出する。これら発電機出力及び損益に関するデータはデータ格納部11に格納される。
なお、本実施の形態1では起動停止計画(S103)と出力決定(S104)は別個に実施したが、同時に決定したり、繰り返し計算によって決定したりする方法等でもよい。また動的計画法と等λ法を例示したが、これら以外の方法でもよい。発電計画部13は、シナリオを利用した需要及び供給の想定から、各シナリオにおける損益を算出することになる。
ステップS105では、ステップS103及びS104がM回実施された時点で、各ケースに対して同じ長さTをもつ損益の結果がM個得られる。図5はケース毎の日次損益を説明するための図である。図5では5つのケースの日次損益を例示している。なお、縦軸は日次損益、横軸は所定間隔による時間軸であり、ここでは日である。
ステップS106では、モデル作成部14において、損益リスクの計算期間Tの長さを持つM個のケースと損益算出結果から、損益モデルを作成する。モデル作成部14は、シナリオと損益との関係をモデル化する。損益モデルは不確定要因に対する損益の関係をモデル化したものであり、例えば、不確定要因として為替、燃料、需要を想定した場合、時刻tにおける為替x1,t、燃料価格x2,t、需要x3,tを説明変数、損益ytを被説明変数とした線形回帰モデル式(2)で表せる。
ここで、a0からa3はモデルパラメータである。これらモデルパラメータをステップS106以前で算出した期間TのM個のケースと、これらケースに対応する同期間Tの損益計算結果とを利用して算出することで、不確定要因と損益との関係がモデル化できる。
ステップS107では、省略計算部15において、ステップS106で作成した損益モデルに残りのケース(N−M)個のシナリオを代入することで、発電計画部13を省略して各ケースにおける損益を算出する。
省略計算部15は、作成したモデルにシナリオを代入することで、シナリオにおける損益を求めることになる。
また、これら損益はデータ格納部11に格納される。生成したケースN個について全て損益計算する場合は、M個についてはステップS103とステップS104とで既に損益計算が終了しているため、本ステップでは残りの(N−M)個のケースについて省略計算を実施し、損益を算出する。
例えば、全体の数であるNが1000個である場合、M個は50個、(N−M)個は950個であったりする。電気事業者が損益のリスクを管理する上で、Nの数を十分に大きくしないと損益リスクを管理するのには、十分ではない。損益リスクを管理する上では、震災の発生等に起因する変動の大きいシナリオも考える必要があるからである。また、M個と(N−M)個とで、十分に差が無いと省略計算部15を設けたことの意味が半減する。
これらを背景に、所望の計算時間内にN個の全ケースにおける損益計算結果を得るためのM個の数の決め方には、例えば、次の方法がある。ステップS103とS104との発電計画に1ケースあたりA[秒]、ステップS106のモデル化にB[秒]、ステップS107の省略計算に1ケースあたりC[秒]かかり、所望の計算時間がR[秒]である場合、所望の計算時間内にN個の全ケースにおける損益計算結果を得るためのMは、式(3)のように各ステップの計算時間の和によって示すことができる。
AM+B+C(N−M)≦R (3)
ここで、例えば、N:1000[回]、A:10[秒]、B:20[秒]、C:0.5[秒]、R:1000[秒]ある場合、M≦50.5となる。この場合、所望の時間内で精度の高い計算結果を得るためのMは50回、(N−M)は950回となる。さらなる高速化が必要な場合は、Mの回数を50回より減少させればよい。このように、M、Nの回数及び比は、一概に決めることができるものではなく、計算量のボリューム、電気事業者の都合等により左右されるものである。
ステップS108では、ステップS107が(N−M)回実施された時点で、期間Tの長さを持つ損益計算結果が(N−M)個得られる。
ステップS109では、リスク量計算部16において、ステップS105で得られたM個の損益計算結果と、ステップS107で得られた(N−M)個の損益計算結果とで、N個の損益計算結果が既に得られている。ステップS109では、このN個の損益計算結果から所望のリスク指標を算出する。リスク指標としては、例えば、損益計算結果の平均値及び分散、ある信頼水準における最大損失を表すVaR等がある。これらリスク指標はデータ格納部11に格納される。
ステップS110では、結果表示部17において、データ格納部11に格納された計算結果を表示する。
本実施の形態1における電気事業損益分析システムでは、モデル作成部14及び省略計算部15の機能によって、各ケースにおける損益算出を発電計画部13と比較して高速に求めることができるので、システム全体における計算時間を従来と比較して短縮可能である。
また、発電計画部13は数理計画法を利用するため各ケースにおいて、最適な発電機の運用状態が求められるが、求解に時間がかかる。本実施の形態1のように合計でNケースの損益を算出して損益リスクを定量化する場合に、発電計画部13の計算をM回だけ実施し、これらM回の計算結果を利用してモデル作成部14において1回だけ不確定要因と損益のモデル化を行い、残りN−M回のケースは省略計算部15においてモデル式にシナリオの数値を代入するのみの損益計算を実施するので、発電計画部13で損益計算をN回のケース分実施した場合と比較し、全ケースにおける損益を高速に求めることが可能である。
さらに、省略計算部15を構成要素として含むので、計算時間のかかる発電計画をスキップし各ケースに対する損益を計算可能であるため、全ケースにおける損益を算出し損益リスクの定量化にかかる計算時間を短縮できる。
例えば、モンテカルロシミュレーションの中で、不確定要因と損益の関係をモデル化し、発電計画の回数を減少させて全ケースにおける損益を算出することで、モンテカルロシミュレーションにかかる時間を短縮できる。省略計算部15を構成要素として含むことで、計算時間のかかる発電計画をスキップし、シナリオに対する損益が計算でき、損益リスクの定量化にかかる計算時間を短縮できる。
なお、本実施の形態1では発電機でエネルギーの供給可能な需要の例に電力需要を挙げて説明したが、他のエネルギーでもよく、他には熱エネルギー等が考えられる。
以上のように、電気事業損益分析システムは、電気事業の損益のリスクに関する不確定要因を含むデータを設定するデータ設定部と、不確定要因に関する将来予測のシナリオをN個生成するシナリオ生成部と、シナリオに基づく電力の需要及び供給の想定からシナリオ毎に損益をM個算出する発電計画部と、該M個のシナリオと損益との関係を損益モデルにするモデル作成部と、損益モデルに発電計画部で算出しなかった(N−M)個のシナリオを代入してシナリオ毎に損益を計算する省略計算部と、発電計画部で算出したM個の損益と省略計算部で計算した(N−M)個の損益とからリスクを計算するリスク量計算部と、リスク量計算部が計算した損益のリスクを表示する結果表示部とを備えている。但し、N及びMは自然数であり、M<Nの関係にある。
実施の形態2.
実施の形態1では、不確定要因に関して生成した全てのケースの電気事業損益を高速に求める電気事業損益分析システムの動作を示した。損益を高速に求めるために不確定要因と損益との関係に関してモデル化を行ったが、本実施の形態2では、このモデル化の精度向上方法について説明する。
本実施の形態2は、図6に示すように、実施の形態1のモデル作成部14に代わりに区分モデル作成部20を備える。なお、図において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、このことは明細書の全文、図面の全図において共通することである。さらに、明細書全文に表れている構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。
区分モデル作成部20は、例えば、プログラムとして図2に示す主記憶装置3上に展開したものをCPU2上で実行するものである。CPU2は、主記憶装置3上のデータを読み込み、区分モデル作成部20の処理を行い、その結果得られたモデルを主記憶装置3、補助記憶装置4、外部記憶装置5の少なくともいずれかに保存する。また、モデルをディスプレイ等の出力装置7に表示し運用者に示してもよい。モデルは、例えば、不確定要因を説明変数、損益を被説明変数とした線形回帰モデルである。また、不確定要因の中には発電及び発熱により満たす需要を含み、起動する発電機の容量に応じてモデル化に利用するデータの範囲を区分し、区分毎にモデル化を実施する。
図7は本実施の形態2に係る電気事業損益分析システムの動作を示すフローチャートである。以下、図7を用いて動作について説明する。なお、図7において実施の形態1と同様の処理は同じ番号を割り振り、説明を省略する。
図7のステップS200では、区分モデル作成部20において、損益リスクの計算期間Tの長さを持つM個のケースと損益算出結果とから損益モデルを作成する。損益モデルは不確定要因に対する損益の関係をモデル化したものであり、例えば、不確定要因として為替、燃料、需要を想定した場合、時刻tにおける為替x1,t、燃料価格x2,t、需要x3,tを説明変数、損益ytを被説明変数とした線形回帰モデル式で表せる。
ここで、不確定要因の中に発電により満たす需要が含まれている場合、需要を満たすために必要な起動発電機の台数・種類によって平均発電単価が変化する性質を考慮して、起動発電機の容量に応じてモデル化に利用するデータの範囲を区分し、区分毎にモデル化を行うことによって、需要と損益の関係に関するモデル化の精度を向上させる。
図8を用いて区分モデルを説明する。縦軸は損益[万円]、横軸は需要[MWh]である。図8は、電力需要に関するシナリオを含むM個のケースと損益計算結果とから、電力需要と損益とに着目してこれらの関係をプロットした図である。横軸は需要、縦軸は損益を示し、区分Aから区分Dまでの4つの区分毎にモデル式を求めている。ここでは、線形性のあるモデル式であるが、モデル化(モデル式)は非線形のモデルでもよい。なお、一つのプロットはt時のあるケースの電力需要における損益を示している。
電力需要が450[MWh]前後での損益に着目し、需要が450[MWh]より小さい範囲を区分A、450[MWh]より大きい範囲を区分Bとすると、区分Bにおける損益は区分Aにおける損益と比較して全体的に減少している。これは電力需要が450[MWh]を超える場合は新たな発電機が起動し電力需要を満たすことに起因する。
通常、発電機は発電単価が安価な順番に起動するため、新たに起動が発生した場合は平均発電単価としては上昇し、損益は減少する。このように区分の前後において損益分布の様相が変化するため、区分A及び区分Bの不確定要因と損益との関係を1つのモデルで表した場合はモデル化誤差が大きくなる。このことは、次のステップS107における損益の省略計算の精度が悪化する可能に繋がる。
このため、発電単価の安価な順に各発電機の発電容量でモデル化に利用するデータの範囲を区分し、区分毎にモデル化することで、区分前と比較し精度のよいモデル化を実施する。
例えば、ある電気事業者の所有する発電機が5台で1台あたりの発電容量が100[MW]であり、供給すべき需要が300[MW]から500[MW]まで変動するとする。この場合は区分を2つ設け、2つの区分A・Bそれぞれを、区分A:300[MW]から400[MW]、区分B:400[MW]から500[MW]として不確定要因と損益データを区分Aまたは区分Bに分離し、式(4)及び式(5)のようにそれぞれの区分でモデル式を作成する。
ここで、添え字a,bは各区分を表し、a0からa3はモデルパラメータである。これらモデルパラメータを区分毎に分離したデータを利用して算出することで、区分毎に不確定要因と損益の関係がモデル化できる。
区分モデル作成部20は、不確定要因と損益との関係をモデル化する際に、電気事業者がエネルギーを供給可能な需要に関して、発電機の容量に応じてモデル化に利用するデータの範囲を区分し、区分ごとにモデル化を行うことになる。
区分ごとにモデル化を行うことによって、区分しない場合における、区分の前後における損益分布の様相の変化に起因するモデル化誤差の増大を回避して、不確定要因と損益との関係に関するモデル化の精度を向上させることができる。
本実施の形態2に係る電気事業損益分析システムは、需要を満たすために必要な起動発電機の台数・種類によって平均発電単価が異なる性質を考慮して、区分モデル作成部20において起動発電機の容量に応じてモデル化に利用するデータの範囲を区分し、区分毎にモデル化を行うことによって、不確定要因と損益との関係に関するモデル化の精度を向上させることが可能である。
なお、本実施の形態2では発電機でエネルギーの供給可能な需要の例に電力需要を挙げて説明したが、他のエネルギーでもよく、他には熱エネルギー等が考えられる。
以上のように、電気事業損益分析システムは、電気事業の損益のリスクに関する不確定要因を含むデータを設定するデータ設定部と、不確定要因に関する将来予測のシナリオをN個生成するシナリオ生成部と、シナリオに基づく電力の需要及び供給の想定からシナリオ毎に損益をM個算出する発電計画部と、該M個のシナリオと損益との関係を電力の需要を発電機の容量で区分した損益モデルにする区分モデル作成部と、損益モデルに発電計画部で算出しなかった(N−M)個のシナリオを代入してシナリオ毎に損益を計算する省略計算部と、発電計画部で算出したM個の損益と省略計算部で計算した(N−M)個の損益とからリスクを計算するリスク量計算部と、リスク量計算部が計算した損益のリスクを表示する結果表示部とを備えている。但し、N及びMは自然数であり、M<Nの関係にある。
実施の形態3.
実施の形態1では、不確定要因に関して生成した全てのケースの電気事業損益を高速に求める電気事業損益分析システムの動作を示した。また、実施の形態2では、需要の大きさで利用するデータを区分し、区分毎にモデル化することで、モデル化の精度を向上可能であった。本実施の形態3では、モデル化のためのデータを得る方法に関する説明であり、実施の形態2と同様にモデル化精度の向上を目的とする。
本実施の形態3は、図9に示すように、実施の形態1に加えてシナリオ抽出部30を備える。なお、図9においては、実施の形態1と同様の構成には同じ番号を割り振る。
シナリオ抽出部30は、例えば、プログラムとして図2に示す主記憶装置3上に展開したものをCPU2上で実行するものである。CPU2は、主記憶装置3上のデータを読み込み、シナリオ抽出部30の処理を行い、その結果得られたモデルを主記憶装置3、補助記憶装置4、外部記憶装置5の少なくともいずれかに保存する。また、処理結果をディスプレイ等の出力装置7に表示し運用者に示してもよい。
図10は本実施の形態3に係る電気事業損益分析システムの動作を示すフローチャートである。以下、図10を用いて動作について説明する。なお、図10において実施の形態1と同様の処理は同じ番号を割り振り、説明を省略する。
図10のステップS300では、シナリオ抽出部30において、シナリオ生成部12が生成したシナリオに順位付けをして、モデル生成に利用するケースM[個]のシナリオを、順位をもとに抽出する。
例えば、図11には不確定要因として燃料価格シナリオを20本示している。横軸は所定間隔による時間軸であり、ここでは日、縦軸は燃料価格[ドル/バレル]である。シナリオが生成された順番が図中に示したとおりだとすると、M=5の場合は、燃料価格が損益計算期間中に比較的高かったシナリオのみについて、次ステップのS103及びS104の起動停止計画及び出力決定で扱って損益計算する可能性がある。これらのシナリオ及び損益から損益モデルを作成すると、シナリオデータの偏りによって、燃料価格が下降したシナリオにおける損益については、損益モデルからは精度よく求まらない可能性がある。
このため、シナリオ抽出部30において予めS103、S104で利用するシナリオを抽出しておくことで、データの偏りを防止でき、モデル化の精度悪化を防ぐことができる。
シナリオ抽出方法としては、例えば、各シナリオの平均値を算出後、平均値について降順に順位付けし、順位が一番のシナリオから順に等間隔にN番のシナリオまでM本抽出する方法がある。不確定要因が複数ある場合は、各不確定要因に対し、上述した順位付け及びシナリオ抽出を実施し、同じ順位のシナリオ(例えば、1位の為替・燃料価格シナリオをケース1、5位の為替・燃料シナリオをケース2等)をまとめてケースとする方法がある。
シナリオ抽出部30は、生成したシナリオに順位付け及び発電計画部13で利用するシナリオの選択を実施する。
本実施の形態3に係る電気事業損益分析システムは、生成したシナリオに順位付け及び順位に基づいた選択を実施し、不確定要因と損益との関係をモデル化する際の入力データの偏りを防止することによって、モデル化の精度が向上可能である。
なお、本実施の形態3では発電機でエネルギーの供給可能な需要の例に電力需要を挙げて説明したが、他のエネルギーでもよく、他には熱エネルギー等が考えられる。
電気事業損益分析システムは、電気事業の損益のリスクに関する不確定要因を含むデータを設定するデータ設定部と、不確定要因に関する将来予測のシナリオをN個生成するシナリオ生成部と、シナリオに基づく電力の需要及び供給の想定からシナリオ毎に損益をM個算出する発電計画部と、該M個のシナリオと損益との関係を損益モデルにするモデル作成部と、損益モデルに発電計画部で算出しなかった(N−M)個のシナリオを代入してシナリオ毎に損益を計算する省略計算部と、発電計画部で算出したM個の損益と省略計算部で計算した(N−M)個の損益とからリスクを計算するリスク量計算部と、リスク量計算部が計算した損益のリスクを表示する結果表示部とを備えている。但し、N及びMは自然数であり、M<Nの関係にある。
また、シナリオ生成部で生成したN個のシナリオから優先順位の高いものから順にM個のシナリオを抽出するシナリオ抽出部を備え、発電計画部は、シナリオ抽出部で抽出されたM個のシナリオを用いている。
実施の形態4.
実施の形態2では、需要の大きさで利用するデータを区分し、区分毎にモデル化することで、モデル化の精度を向上可能であった。また、実施の形態3では、モデル化のためのデータを得る方法を工夫することで、モデル化精度を向上させるものであった。本実施の形態4は、実施の形態2と実施の形態3とを組み合わせたものである。より具体的には、実施の形態1に対して、モデル作成部14を区分モデル作成部20に置き換え、シナリオ抽出部30を加えた構成である。
図12は実施の形態4における電気事業損益分析システムの機能を示すブロック図である。また、図13は実施の形態4における電気事業損益分析システムの動作を示すフローチャートである。各構成要素及びステップは、実施の形態1から実施の形態3までで説明したとおりである。
本実施の形態4に係る電気事業損益分析システムは、需要を満たすために必要な起動発電機の台数・種類によって平均発電単価が異なる性質を考慮して、区分モデル作成部20において起動発電機の容量に応じてモデル化に利用するデータの範囲を区分し、区分毎にモデル化を行うことによって、不確定要因と損益との関係に関するモデル化の精度を向上させることが可能である。
また、本実施の形態4に係る電気事業損益分析システムは、生成したシナリオに順位付け及び順位に基づいた選択を実施し、不確定要因と損益との関係をモデル化する際の入力データの偏りを防止することによって、モデル化の精度が向上可能である。
なお、本実施の形態4では発電機でエネルギーの供給可能な需要の例に電力需要を挙げて説明したが、他のエネルギーでもよく、他には熱エネルギー等が考えられる。
電気事業損益分析システムは、電気事業の損益のリスクに関する不確定要因を含むデータを設定するデータ設定部と、不確定要因に関する将来予測のシナリオをN個生成するシナリオ生成部と、シナリオに基づく電力の需要及び供給の想定からシナリオ毎に損益をM個算出する発電計画部と、該M個のシナリオと損益との関係を電力の需要を発電機の容量で区分した損益モデルにする区分モデル作成部と、損益モデルに発電計画部で算出しなかった(N−M)個のシナリオを代入してシナリオ毎に損益を計算する省略計算部と、発電計画部で算出したM個の損益と省略計算部で計算した(N−M)個の損益とからリスクを計算するリスク量計算部と、リスク量計算部が計算した損益のリスクを表示する結果表示部とを備えている。但し、N及びMは自然数であり、M<Nの関係にある。
また、シナリオ生成部で生成したN個のシナリオから優先順位の高いものから順にM個のシナリオを抽出するシナリオ抽出部を備え、発電計画部は、シナリオ抽出部で抽出されたM個のシナリオを用いている。
実施の形態5.
本発明の実施の形態1では、全シナリオに対して発電計画を計算した場合の損益分布に対し、省略計算をすることにより近似した損益分布を高速に得られることを示した。経営判断をする上では、損益分布の全体的な傾向は大まかに把握した上で、損益を被る可能性があるかどうかを見極めるために、損益分布の裾野(特に、損失が発生する側)はできる限り正確に把握しておくことが望ましい。
そこで、実施の形態5では、図14に示すような実施の形態1の省略計算部15で得た損益のシナリオ分布のうち、損益が小さくなる或いは損失となる側の裾野にある部分のシナリオに対して、発電計画部13で再計算して、損益を被るかどうかを正確に把握することを目的とする。図14では、横軸を損益、縦軸を度数として、省略計算後の損益の分布を示し、特に、損益の軸が損失又は利益が小さい箇所に絞って再計算の対象とすることを示している。
本実施の形態5は、図15に示すように、実施の形態1に加えて再計算対象決定部50を備える。なお、図15においては、実施の形態1と同様の構成には同じ番号を割り振る。
再計算対象決定部50は、例えば、プログラムとして図2に示す主記憶装置3上に展開したものをCPU2上で実行するものである。CPU2は、主記憶装置3上のデータを読み込み、再計算対象決定部50の処理を行い、その結果得られた再計算対象シナリオを主記憶装置3、補助記憶装置4、外部記憶装置5のいずれか、あるいは複数に保存する。また、処理結果をディスプレイ等の出力装置7に表示し運用者に示してもよい。
また、再計算対象決定部50で再計算対象シナリオを決定するために、あらかじめデータ設定部10に、再計算させる範囲を指定するために損益分布のうち損益の小さい、換言すると損益がマイナスになりやすいシナリオをどれだけ選択するかを決める再計算対象割合(%)、或いは損益の額が所定の値以下となるシナリオのみを選択するための再計算対象損益額(円)を、入力または取得し、指定する記憶装置に保存する。
図16は本実施の形態5に係る電気事業損益分析システムの動作を示すフローチャートである。以下、図16を用いて動作について説明する。なお、図16において実施の形態1と同様の処理は同じ番号を割り振り、説明を省略する。
図16のステップS500では、再計算対象決定部50において、再計算対象シナリオを決定する。より具体的には、例えば、損益の小さいシナリオから再計算対象割合(%)だけ再計算対象シナリオを選択する、損益の額が再計算対象損益額(円)よりも小さいシナリオを再計算対象シナリオとして選択する。
ステップS501では、ステップS500で選択した再計算対象シナリオに対して、発電計画部13で再計算を実施する。
ステップS502では、リスク量計算部16において、再計算した結果を含むN個の損益計算結果から所望のリスク指標を算出し、データ格納部11に格納する。
ステップS503では、結果表示部17において、データ格納部11に格納された再計算結果を含む計算結果を表示する。
本実施の形態5に係る電気事業損益分析システムは、省略計算で得た損益分布のうち、損益が小さくなる、あるいは損失となる側の裾野にある一部のシナリオに対して、発電計画部13で再計算することによって、損益を被るかどうかを正確に把握することが可能である。
電気事業損益分析システムは、電気事業の損益のリスクに関する不確定要因を含むデータを設定するデータ設定部と、不確定要因に関する将来予測のシナリオをN個生成するシナリオ生成部と、シナリオに基づく電力の需要及び供給の想定からシナリオ毎に損益をM個算出する発電計画部と、該M個のシナリオと損益との関係を電力の需要を発電機の容量で区分した損益モデルにする区分モデル作成部と、損益モデルに発電計画部で算出しなかった(N−M)個のシナリオを代入してシナリオ毎に損益を計算する省略計算部と、発電計画部で算出したM個の損益と省略計算部で計算した(N−M)個の損益とからリスクを計算するリスク量計算部と、リスク量計算部が計算した損益のリスクを表示する結果表示部とを備えている。但し、N及びMは自然数であり、M<Nの関係にある。
また、省略計算部から得られた損益の分布から損失側となる所定のシナリオを選定する再計算対象決定部を備え、発電計画部は、再計算対象決定部で選定したシナリオを再計算する。
実施の形態6.
本発明の実施の形態1では、省略計算に入る前に発電計画部13で所定のM個のシナリオに対して計算を行う。所定の計算時間で終わらせることを目的とするのであれば、実施の形態1のようにあらかじめMの値を設定しても良い。しかしながら、損益分布を効率良く再現するための適切なMの値は、発電計画部13で必要最小限だけ行う計算回数である。
発電計画部13で計算を進めていくと、計算済みのシナリオから算出される損益の期待値、分散などの指標は収束していくことになる。この際に、所定の誤差範囲内でこれらの指標が収まれば収束したと判定でき、発電計画部13での計算の終了判定が可能となる。
そこで、実施の形態6では、実施の形態1の発電計画部で計算する回数を限定せず、図17に示すように、発電計画部13で計算した結果を蓄積して得られた損益の期待値、分散などの指標が収束した時点で発電計画部13での計算を終了して、発電計画部13での計算回数を適正化することを目的とする。これによって、無駄な計算時間を短種することができる。
図17の横軸はシナリオ計算回数であり、縦軸は収束判定指標である。収束を判定する指標が収束して所定の範囲に収まる(点線で囲った箇所)と、収束したと判定し、ここで発電計画部13の計算を終了できる。
ここで、収束を判定する指標としては、損益の期待値、分散に限られるものではなく、歪度、尖度、VaR、CVaRなどであってもよい。判定に用いる指標は、これらのうち1つでもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
ここで、VaRとは、Value at Risk(バリュー・アット・リスク)の略で、通常発生し得る損益の範囲を考え、その範囲の中で最悪の損失をリスク量と捉える考え方である。例えば、信頼区間を99%としたとき、損益の良い方から99%に相当する値がVaRとなる。
また、CVaRとは、Conditional Value at Rist(条件付バリュー・アット・リスク)の略で、通常発生し得る損益の範囲を超える場合の平均損益のことである。例えば、信頼区間を99%としたとき、損益の良い方から99%を除いた値の平均値がCVaRとなる。
例えば、計算済みのシナリオ数をn、シナリオi(i:1,2,・・・,n)の損益の額をx(i)、x(i)の平均値をx_ave、標準偏差をsとすると、分布の非対称性を示す歪度は、例えば、次の式(6)で算出することができる。
また、分布の鋭さを示す尖度は例えば次の式(7)で算出することができる。
本実施の形態6は、図18に示すように、実施の形態1に加えて収束判定部60を備える。なお、図18においては、実施の形態1と同様の構成には同じ番号を割り振る。
収束判定部60は、例えば、プログラムとして図2に示す主記憶装置3上に展開したものをCPU2上で実行するものである。CPU2は、主記憶装置3上のデータを読み込み、収束判定部60の処理を行い、その結果得られた損益の期待値や分散などの収束判定指標を主記憶装置3、補助記憶装置4、外部記憶装置5のいずれか、或いは複数に保存する。また、処理結果をディスプレイ等の出力装置7に表示し運用者に示してもよい。また、収束判定部60は、損益の期待値、分散などの収束判定指標が、所定の誤差範囲内に収まっていれば収束したものと判定し、発電計画部13に計算を終了するように指令する。
また、収束判定部60で収束したかどうかを判定するために、予めデータ設定部10に、損益の期待値、分散などの収束判定指標が所定の誤差範囲内に収まっているかどうかを見極めるための誤差基準εを、入力または取得し、指定する記憶装置に保存する。この誤差基準εを使い、例えば、次の式のように、ある収束判定指標Xの前回値X(t−1)と今回値X(t)との差の絶対値が、誤差基準ε未満であれば収束したものと判定する。
|X(t)−X(t−1)|<ε ・・・(8)
また、偶然性を排除するために、収束判定指標が所定の誤差範囲内に1回収まっただけで収束したものと判定するのではなく、数回続けて収まっていることをもって収束したものと判定してもよい。
さらに、図17に示すように、ある計算回数(判定開始タイミング)から別の計算回数(判定終了タイミング)の間で判定を行うように、判定開始タイミング(回)と判定終了タイミング(回)を設定してもよい。ただし、判定開始タイミング<判定終了タイミングが成り立つものとする。
図19は本実施の形態6に係る電気事業損益分析システムの動作を示すフローチャートである。以下、図19を用いて動作について説明する。なお、図19において実施の形態1と同様の処理は同じ番号を割り振り、説明を省略する。
図19のステップS600では、収束判定部60において、判定開始タイミング以上であれば、ステップS601に進み、判定開始タイミン未満であれば、ステップS103に戻る。より具体的には、収束判定部60において、発電計画部13での計算回数が判定開始タイミング以上であるかどうかを判定し、判定開始タイミング以上であればステップS601を、判定開始タイミング以下であればS103に戻る。
ステップS601では、収束判定部60が収束したと判断した場合にはステップS106に進み、収束していないと判断した場合にはステップS602に進む。より具体的には、発電計画部13で各シナリオの計算をする度に、計算した全シナリオに対する損益の期待値、分散などの収束判定指標を計算し、収束判定指標が、データ設定部10で設定した誤差基準に基づく所定の誤差範囲内に収まっているかどうかを判定し、1回あるいは数回続けて誤差範囲内であれば、発電計画部13に計算を終了するように指令してステップS106を実行し、誤差範囲外であれば、ステップS602に進む。
ステップS602では、発電計画部13での計算回数が判定終了タイミング以上であるかを判定し、判定終了タイミング以上であれば発電計画部13に計算を終了するように指令してステップS106に進み、判定終了タイミング以下であればステップS103を実行する。
発電計画部13のM個のシナリオと、省略計算部15の(N−M)個のシナリオから得られた損益の分布から損失側となる所定のシナリオを選定する再計算対象決定部50を備えている。もっとも、発電計画部13で既に損益を計算したM個について、同じ計算になる場合は再計算を省略することができるのは、当然のことである。
本実施の形態6に係る電気事業損益分析システムは、発電計画部13で計算する回数を限定せず、発電計画部13で計算した結果を蓄積して得られた損益の期待値、分散などの指標が収束した時点で発電計画部13での計算を終了することによって、発電計画部13での計算回数を適正化することが可能である。
発電計画部13の損益が収束しているか否かが重要であり、その判断の指標はいずれでも構わない。また、収束しているか否かの判断基準は、許容される計算時間との関係で問題になることであり、一概に決めることができるものでもない。
電気事業損益分析システムは、電気事業の損益のリスクに関する不確定要因を含むデータを設定するデータ設定部と、不確定要因に関する将来予測のシナリオをN個生成するシナリオ生成部と、シナリオに基づく電力の需要及び供給の想定からシナリオ毎に損益をM個算出する発電計画部と、該M個のシナリオと損益との関係を電力の需要を発電機の容量で区分した損益モデルにする区分モデル作成部と、損益モデルに発電計画部で算出しなかった(N−M)個のシナリオを代入してシナリオ毎に損益を計算する省略計算部と、発電計画部で算出したM個の損益と省略計算部で計算した(N−M)個の損益とからリスクを計算するリスク量計算部と、リスク量計算部が計算した損益のリスクを表示する結果表示部とを備えている。但し、N及びMは自然数であり、M<Nの関係にある。
発電計画部の損益が収束しているか否かを判定する収束判定部を備え、発電計画部は、収束判定部が収束と判定した場合は計算を終了する。
実施の形態7.
本発明の実施の形態5では、損益分布の裾野を正確に把握するために、損益が小さくなる、或いは損失となる側の裾野にある一部のシナリオに対して、発電計画部13で再計算することを示した。損益分布の裾野をさらに精度良く把握するためには、損益分布の裾野に存在するシナリオを多く生成して、損益分布の裾野のサンプル数を増やし、裾野の形状をより細やかに表現する必要がある。
そこで、実施の形態7では、実施の形態1のシナリオ生成部12が、損益分布の裾野に存在する可能性の高いシナリオを生成するようにし、損益分布の裾野の形状をより細やかに精度良く表現することを目的とする。
これを実現するために、図20に示すような特徴抽出部70を備え、特徴抽出部70では、不確定要因に関する将来予測に基づいて生成したシナリオを損益モデルに代入した結果、損益分布の裾野に存在するシナリオに着目し、そのシナリオの特徴を抽出する。シナリオの特徴を表す不確定要因は、例えば、為替の高低、燃料価格の高低、需要の大小等がある。これらの特徴から、シナリオ生成部12でシナリオを生成する際に、不確定要因の取りうる値の幅を狭め、損益分布の裾野に存在する可能性の高いシナリオを生成する。
このようにすることで、例えば、需要が大きいシナリオが損益分布の裾野に存在する可能性が高い場合には、需要が大きいシナリオのみを生成するようにし、損益分布の裾野のサンプル数を増やして、裾野の形状をより細やかに精度良く表現することが可能となる。一つの不確定要因に限らず、複数の不確定要因の組み合わせを特徴としても良く、例えば、為替が高く、かつ需要が大きいことを特徴とするシナリオが損益分布の裾野に存在する可能性が高い場合には、為替が高く、かつ需要が大きいシナリオのみを生成するようにしても良い。
本実施の形態7に係る電気事業損益分析システムは、損益分布の裾野に存在するシナリオの特徴を抽出し、抽出した特徴に基づいてシナリオ生成部12でシナリオを生成することによって、損益分布の裾野のサンプル数を増やし、損益分布の裾野の形状をより細やかに精度良く表現することが可能である。
電気事業損益分析システムは、電気事業の損益のリスクに関する不確定要因を含むデータを設定するデータ設定部と、不確定要因に関する将来予測のシナリオをN個生成するシナリオ生成部と、シナリオに基づく電力の需要及び供給の想定からシナリオ毎に損益をM個算出する発電計画部と、該M個のシナリオと損益との関係を電力の需要を発電機の容量で区分した損益モデルにする区分モデル作成部と、損益モデルに発電計画部で算出しなかった(N−M)個のシナリオを代入してシナリオ毎に損益を計算する省略計算部と、発電計画部で算出したM個の損益と省略計算部で計算した(N−M)個の損益とからリスクを計算するリスク量計算部と、リスク量計算部が計算した損益のリスクを表示する結果表示部とを備えている。但し、N及びMは自然数であり、M<Nの関係にある。
また、発電計画部及び省略計算部から得られた損益からシナリオの特徴を抽出する特徴抽出部を備え、シナリオ生成部は、特徴抽出部で抽出した特徴を持つシナリオを生成する。
本願発明は、これまで述べてきた実施の形態に限定されるものではなく、本願発明の範囲内で種々に改変することができる。すなわち、これまで述べてきた実施の形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成に代替させてもよい。さらに、その配置について特に限定のない構成要件は、実施の形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。また、これまで述べてきた実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより発明を形成してもよい。さらに、本願発明は、これまで述べてきた実施の形態の範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。